JP5990913B2 - 針状体の製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、針状体の製造方法として、エッチング法を用いて原版を作製し、該原版から鋳型を形成し、該鋳型を用いた転写加工成型を行うことが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
上述した問題を解決する手段として、針状体材料の調製溶液温度に対応した温湿度の環境の下、送風することにより、鋳型に充填した針状体材料を乾燥させる方法が考えられている(例えば、特許文献4参照)。
そこで本発明は、針状体材料の水溶性高分子溶液の温度調節や、温度恒温恒湿度環境を保つ設備を必要とせず、かつ針状体の製造工程数も増加せずに、針状体の基体の反りを抑制することができる針状体の製造方法および針状体を提供することを目的とする。
図1(a)は、本発明に係る針状体101を模式的に示す上面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す針状体101のI−I線断面図である。図1(a)および(b)に示すように、針状体101は、基体103と、前記基体103の第一の面から突出する突起部105を具備している。前記針状体101の材料は、水溶性高分子であれば良く、例えば、具体的には、アルギン酸塩、カードラン、キトサン、グルコマンナン、ポリリンゴ酸などを用いることができる。
また、送達物を針状体101で投与するにあたり、針状体101が皮膚に穿刺される前あるいは皮膚に穿刺される後に、送達物を対象となる皮膚上に塗布してもよい。このとき、針状体101の表面または内部に送達物を配置し、かつ、対象となる皮膚表面にも送達物を塗布してもよい。
前記針状体101は、基体103に1つの突起部105を具備してもよく、また基体103に複数の突起部105を具備してもよい。複数の突起部105を具備する場合には、基体103上に複数の突起部105を林立し、アレイ状に配列していることが好ましい。ここで、「アレイ状」とは、各突起部105が並んでいる状態を示すものであり、例えば、格子配列、最密充填配列、同心円状に配列、ランダムに配列などのパターンを含む。
また、特に、突起部105による穿孔の深さを「角質層を貫通しかつ神経層へ到達しない深さ」にすると、送達物や化粧品組成物を、角質層より深い位置に送達することが出来る。角質層に形成された穿孔は時間と共に塞がるため、角質層下に送達された送達物や化粧品組成物は外界から角質層にバリアされた状態で生体内に保持される。このため、送達物や化粧品組成物は、角質層の新陳代謝や、スキンケアなどの洗浄により剥落することを低減でき、長期間、化粧状態を維持することが出来る。
また、本発明に係る突起部105を基体103上にアレイ状に配列する場合、各突起部105の長さは全て同一でもよく、同一でなくてもよい。
(1)アレイ状の外周のみ長い突起部とすることで、曲面に対し、好適に接触することができる。
(2)アレイ状の外周のみ短い突起部とすることで、破損しやすい外周部の針状体の機械的強度を補強することができる。
などの利点が挙げられる。
(1)角質層を貫通するときは、先端角は5°以上30°以下、より好ましくは10°以上20°以下の範囲程度が好ましく、
(2)角質層内に穿孔を留める場合、先端角は30°以上、より好ましくは、45°以上が好ましい。
本発明の針状体製造方法において、針状体101を製造するにあたり使用される鋳型の例を図2(a)、(b)に示す。図2において、(a)は鋳型201の上面図、(b)は同図(a)に示す鋳型201のI−I線断面図である。
鋳型201の第一の面についても、凹部203を有していれば特に形状の制限はない。具体的には、例えば、平坦面、曲面、段構造などでもよい。
鋳型201の材質は、鋳型201としての耐熱性や熱伝導、機械的強度、形状追従性を有していれば、特に材質上の制約はない。例えば、金属および樹脂など、例えば、(1)シリコン、(2)ニッケル、アルミニウム、ステンレスおよびチタン等の金属材料、(3)アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックスなどのセラミックスやガラス、(4)ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂等の合成樹脂などを用いてよい。
また、鋳型201の非凹部領域207の材質は、前記鋳型201の凹部領域205の材質より針状体材料と密着性の良い材質を、少なくとも1つ以上用いることが好ましい。密着性は、前記針状体材料と前記鋳型材料との界面に発生するイオン性の分子間相互作用により制御されると考えられる。
また、鋳型201の凹部領域205および非凹部領域207は、それぞれ2つ以上の材質を用いてもよい。
本実施形態では、図3(a)に示すように凹部領域205を取り囲むことなく異なる材料からなる非凹部領域207を形成することも可能である。図3(a)に示す例では、凹部領域205の外周の4辺のうち2辺のみの外側に異なる材料からなる非凹部領域207を形成している。
本発明に係る針状体の製造方法は、以下の5つの工程を有している。
まず、図4A(a)に示すように針状体の凹凸反転パターンからなる凹部203を基板の第一の面に形成し、鋳型201を作製する。鋳型201の材料は、上述した何れかの材質であればよく、凹部203の形成する手段は、上述した何れかの方法を使用すればよい。
次に、針状体材料301の調製を行う。
針状体材料301としては水溶性高分子であればよい。例えば、具体的にアルギン酸塩、カードラン、キトサン、グルコマンナン、ポリリンゴ酸、などを用いても良い。前記針状体材料301の濃度は1〜20重量%程度であることが好ましい。
次に、図4A(b)に示すように、針状体材料301を鋳型201に充填する。
当該針状体材料301の充填方法についての制限は特にない。例えば、充填方法として、射出成形法、押出成形法、インプリント法、キャスティング法などを用いても良い。
次に、前記鋳型201に充填された針状体材料301を図4A(c)に示すように乾燥させて、針状体101を得る。
前記針状体材料の乾燥方法についての制限は特にない。例えば、加熱乾燥、通風乾燥、真空乾燥などを用いても良い。これにより、基体103と突起部105からなる針状体101が得られる。
次に、図4B(d)、(e)に示すように、針状体101から鋳型201を離型する。
前記針状体の離型方法についての制限は特にない。前記鋳型の非凹部領域207と針状体材料301の密着力が強い場合には、図4B(e)に示すように、針状体101の一部101aを前記鋳型201上に残存させた状態で前記鋳型201を離型してもよい。
上述した製造方法によれば、従来技術での問題点、即ち、針状体101の水分を減らしていくと基体103に反りが生じるという問題点を解消することができる。
以上より、本発明の針状体の製造方法を実施することができる。
以下、本発明に係る針状体の製造方法の一例を実施例にて説明する。当然のことながら、本発明の針状体の製造方法は下記実施例に限定されず、当業者が類推できる更なる工程を含んでもよく、一部変更しても、省略してもよい。そのような製造方法も、本発明の範囲内である。
まず、精密機械加工を用いて、シリコン基板に正四角錐(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)が、1mm間隔で、10列10行の格子状に100本配列した突起部を形成した。100本の突起部は、一辺が約9mmの正方形領域内に配置された。
次に、シリコーン樹脂製の鋳型の凹部領域を、前記凹部領域より面積の大きいガラス板に接着させ、図2に示すような鋳型とした。
これにより、シリコーン樹脂とガラスから成る、突起部の凹凸反転パターンである凹部を具備する鋳型を作製した。
次に、針状体材料の調整を行った。
水に、キトサン5重量%、グリオキシル酸2.5重量%となるように溶解後、真空下で脱気を行った。
次に、当該鋳型上にキトサン水溶液を供給し、スピンコート法によって、凹部に充填した。これを、並温並湿環境下で静置して乾燥させた後、鋳型上から剥離し、基板と突起部からなる針状体を得た。乾燥前の鋳型に充填された針状体材料を100重量%とすると、乾燥後の針状体の含水率は0.1重量%以下であったが、針状体の基体の反りは見られなかった。
Claims (3)
- 水溶性高分子を含む針状体材料を調製する針状体材料調製工程と、
針状体形状の凹凸反転パターンからなる凹部と、第一の面に形成された前記凹部を有する領域からなる凹部領域と、前記第一の面に前記凹部を有しない領域からなる非凹部領域とを有し、前記凹部領域の外側に前記非凹部領域が形成され、前記非凹部領域が前記凹部領域と異なる材料からなる鋳型に、前記針状体材料を充填する充填工程と、
前記鋳型に充填した前記針状体材料を乾燥させて針状体を得る乾燥工程と、
前記針状体から前記鋳型を離型する離型工程とを備え、かつ、
前記非凹部領域が、前記凹部領域に用いられる材料と比較して、より前記針状体材料と密着性の高い材料からなる
ことを特徴とする針状体の製造方法。 - 前記凹部領域と前記非凹部領域が、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、チタン、シリコン、アルミナ、窒化アルミニウム、マシナブルセラミックス、ガラス、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレン、アクリル樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂からなる群より選択された少なくとも2種以上の材料からなる鋳型を使用することを特徴とする請求項1に記載の針状体の製造方法。
- 前記針状体材料は、キチン及び/またはキトサンを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の針状体の製造方法。
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