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JP6323975B2 - 針状体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、針状体および該針状体の製造に適した針状体の製造方法に関する。
皮膚上から薬剤などの送達物を浸透させ体内に送達物を投与する方法である経皮吸収法は、人体に痛みを与えることなく簡便に送達物を投与することが出来る方法として用いられている。
経皮投与の分野において、μmオーダーの針が形成された針状体を用いて皮膚を穿孔し、皮膚内に薬剤などを投与する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、針状体の製造方法として、機械加工を用いて原版を作製し、該原版から転写版を形成し、該転写版を用いた転写加工成型を行なうことが提案されている(特許文献2参照)。
また、針状体の製造方法として、エッチング法を用いて原版を作製し、該原版から転写版を形成し、該転写版を用いた転写加工成型を行なうことが提案されている(特許文献3参照)。
また、針状体を構成する材料は、仮に破損した針状体が体内に残留した場合でも、人体に悪影響を及ぼさない材料であることが望ましい。このため、針状体材料としてキチン・キトサン等の生体適合材料が提案されている(特許文献4参照)。
特開昭48−93192号公報 国際公開第2008/013282号パンフレット 国際公開第2008/004597号パンフレット 国際公開第2008/020632号パンフレット
キトサン等の水溶性高分子を生体適合性材料を用いた針状体は、皮膚に穿刺後に皮膚内部で溶解させることができる。したがって、水溶性高分子の他に皮膚内への送達を目的とした送達物を含有させて針状体を作製することにより、針状体を皮膚に穿刺した際に水溶性高分子の溶解により送達物を皮膚内に送達することができる。
皮膚内への送達物としてはたんぱく質が例示されるが、たんぱく質は熱や、低湿度下で変質してしまうという問題がある。特に水溶性高分子を用いた針状体を製造するにあっては、水溶性高分子を水溶液とし、当該数溶液を凹版に供給し、凹版内の水分を除去することによっておこなうため、凹版内の水分を除去する工程で加熱手段や送風手段を用いる。したがって、送達物としてたんぱく質を用いた場合に、製造工程でたんぱく質が変質してしまう問題がある。
本発明にあっては、たんぱく質が変質しない針状体の製造方法及び針状体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、針状の突起部とこの突起部を支持する支持基板とを備える針状体の製造方法であって、水溶性高分子と二糖とたんぱく質とを含む針状体形成水溶液を調整する工程と、前記針状体形成水溶液を針状の凹部を備えた凹版に供給する工程と、前記凹版内の針状体形成水溶液を加熱乾燥し針状体とする工程と、前記針状体を前記凹版から剥離する工程とを備えることを特徴とする針状体の製造方法とした。
また、請求項2にかかる発明としては、前記水溶性高分子が、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒアルロン酸から選択されることを特徴とする請求項1記載の針状体の製造方法とした。
また、請求項3にかかる発明としては、前記二糖が、トレハロースであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の針状体の製造方法とした

本発明の針状体の製造方法とすることにより、針状体を作製する際にたんぱく質の変質のない針状体の製造方法とすることができた。
図1は本発明の針状体の斜視図である。 図2は本発明の針状体の模式断面図である。 図3は本発明の針状体の製造方法の説明図である。
本発明の針状体について説明する。
図1に本発明の針状体の斜視図を示した。本発明の針状体は、支持基板3上に針状の突起部2を備える。
本発明の針状体において、突起部2は皮膚を穿刺するのに適した形状であればよい。突起部2は、例えば円錐、角錐、円柱、角柱、鉛筆形状(胴体部が柱状であり、先端部が錐形状のもの)等の形状を有する。また、突起部は(1)支持基板上に一本存在する形態、(2)支持基体上に複数本林立した形態、のいずれでもよい。支持基板上に突起部が複数林立した場合、各突起部はアレイ状に配列することが好ましい。ここで、「アレイ状」とは各単位針状体が並んでいる状態を示す。例えば、格子配列、最密充填配列、同心円状配列、ランダム配列、などを含むものとする。
本名発明の針状体の使用形態において、針状体の挿入位置および方向を固定するためのアプリケータを取付けることができる。本発明の針状体は、突起部に孔を設けてもよい。孔は、支持基板の裏面まで貫通する孔でも、未貫通孔でもよい。また、支持基板に孔を設けてもよい。孔は、支持基板の裏面まで達する貫通孔でも、未貫通孔でもよい。
図2に本発明の針状体の模式断面図を示した。
本発明の針状体において、針状の突起部2の寸法は皮膚に穿刺孔を形成するのに適した細さと長さを有することが好ましい。具体的には、図2に示す突起部2の高さHは10μm以上1000μm以下の範囲内であることが好ましい。突起部の高さHは、支持基板から突起部の先端部までの距離である。
突起部の高さHは、前記範囲内で針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を皮膚内のどのくらいの深さまで形成するかを考慮して決定することが好ましい。
特に、針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を「角質層内」に留める場合、針状体の突起部の高さHは例えば10μm以上300μm以下、より好ましくは30μm以上200μm以下、の範囲内にすることが望ましい。
また、針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を「角質層を貫通し、かつ神経層へ到達しない長さ」に留める場合、針状体の突起部の高さHは200μm以上700μm以下、より好ましくは200μm以上500μm以下、さらに好ましくは200μm以上300μm以下、の範囲内にすることが望ましい。
さらに、針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を「穿刺孔が真皮に到達する長さ」とする場合、針状体の突起部の高さHは200μm以上500μm以下の範囲内とすることが好ましい。また、針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を「穿刺孔が表皮に到達する長さ」の場合、針状体の突起部の高さHは200μm以上300μm以下の範囲内とすることが好ましい。
突起部の幅Dは、1μm以上300μm以下の範囲内であることが好ましい。突起部の幅Dは、前記範囲内で針状体を穿刺した際に形成される穿刺孔を皮膚内のどのくらいの深さまで形成するか等を考慮して決定することが好ましい。
突起部の幅Dは、突起部を基板面と平行に投影した際の支持基板と接している突起部の長さのうち最大の長さである。例えば、突起部が円錐状である場合、突起部と支持基板と接している面の円の直径が幅Dとなる。突起部が正四角錐である場合、突起部と支持基板と接している面の正方形の対角線が幅Dとなる。また、突起部が円柱である場合、突起部と支持基板と接している面の円の直径が幅Dとなる。突起部が正四角柱である場合、突起部と支持基板と接している面の正方形の対角線が幅Dとなる。
アスペクト比は、1以上10以下の範囲内であることが好ましい。アスペクト比Aとは、突起部の長さHと幅Dを用い、A=H/Dにより定義される。
実施形態に係る針状体において、突起部が錐形状のように先端角を有し、角質層を貫通させる場合、突起部の先端角θは5°以上30°以下、より好ましくは10°以上20°以下、の範囲内であることが望ましい。なお、先端角θは突起部を支持基板面と平行に投影した際の角度(頂角)のうち最大のものを指す。
実施形態に係る針状体において、支持基板は突起部の材料と同じであることが好ましい。支持基板と突起部とを同材料で形成することにより、支持基板と突起部を一体的に成形することが可能になる。
支持基板は、下層に前記突起部の材料と異なる材料を積層した多層構造であってもよい。複数種の材料を積層することにより、以下に説明するように複数の材料の物性を活かした支持基板とすることが可能になる。
(1)突起部が形成される上層を突起部と同じ材料で形成し、下層を可撓性に富んだ材料で形成した支持基板は、支持基板をロール状に曲げることができる。
(2)上層を下層よりも展性の大きい材料で形成した支持基板は、ロール状に曲げることができる。
(3)上層を下層よりも収縮の小さい材料で形成した支持基板もロール状に曲げることができる。
(4)最下層を柔軟性を有する材料で形成した支持基板を備えた針状体は、それらを重ねて保管しても、突起部の破損を抑制できる。
本発明の針状体は、水溶性高分子と、二糖と、たんぱく質を含むことを特徴とする。本発明者らは、皮膚への送達物としてたんぱく質を含む針状体にあって
水溶性高分子としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キトサン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸系ポリマー,ポリアクリルアミド(PAM)、ポリエチレンオキシド(PEO)の中から選択される。
中でも、水溶性高分子として、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒアルロン酸の中から選択されることが好ましい。理由としては、生物学的に安全性が高いことによる。
本発明の針状体に用いられる二糖としては、スクロース、ラクツロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、コージビオース、ニゲロース、イソマルトース、イソトレハロース、ネオトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチビオース、ツラノース、マルツロース、パラチノース、ゲンチオビウロース、、マンノビオース、、メリビオース、メリビウロース、ネオラクトース、ガラクトスクロース、シラビオース、ルチノース、ルチヌロース、ビシアノース、キシロビオース、プリメベロース、トレハロサミン、マルチトール、セロビオン酸、ラクトサミン、ラクトースジアミン、ラクトビオン酸、ラクチトール、ヒアロビウロン酸、スクラロースの中から選択される。
中でも、二糖としてトレハロースを用いることが好ましい。理由としては、二糖の中でも特に結晶構造が水に近いためたんぱく質を保護し、安定化してくれるためであると考えられる。
本発明の針状体にあっては、皮膚内へ送達するための送達物としてたんぱく質を含む。送達物は、薬理活性物質や、化粧品送達物を含むことができる。このとき、送達物として芳香を有する材料を用いた場合、使用に際して匂いを付与することができ、美容品として用いるのに好ましいものとすることができる。
前記薬理活性物質は、用途に応じて適宜選択してよい。例えば、インフルエンザなどのワクチン、癌患者の痛止め向け薬、インスリン、生物製剤、遺伝子治療薬、注射剤、経口剤、皮膚適用製剤等であっても良い。本発明の針状体は皮膚を穿刺することから、従来の経皮投与に用いられる薬理活性物質以外にも、皮下注射が必要な薬理活性物質にも適用することが出来る。特に、注射剤であるワクチンなどは、針状体を用いた場合、投与に際し痛みがないため、小児への適用に適している。また、従来の経口剤の投与では、小児は経口剤を飲むのが困難であるが、針状体を用いた場合、投与に際し薬剤を飲む必要がないため、小児への適用に適している。
前記化粧品組成物は、化粧品および美容品として用いられる組成物である。例えば、保湿剤、色料、香料、美容効果(しわ、にきび、妊娠線などに対する改善効果、脱毛に対する改善効果など)を示す生理活性物質、などが挙げられる。
次に、本発明の針状体の製造方法を詳細に説明する。図3に本発明の針状体の製造方法の説明図を示した。
<凹版の準備工程(図3(a))>
針状体の形状を決定する原版を作製し、原版から所望する針状体の形状を凹凸反転させた凹版12を作製する。針状体の形状を決定する原版は、針状体の形状に応じて公知の方法で製造することができる。原版は、微細加工技術を用いて形成してもよい。微細加工技術は、例えばリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法、サンドブラスト法、レーザー加工法、精密機械加工法などが挙げられる。原版から凹版を形成するには、公知の形状転写法を用いることができる。例えば、(1)Ni電鋳法によるNi製凹版の形成、(2)溶融した樹脂を用いた転写成形、等が挙げられる。
<液状の針状体材料の調製工程(図3(a))>
水溶性高分子、二糖、送達物であるたんぱく質を水に溶解させて液状の針状体形成水溶液11を調製する。
針状体形成水溶液は、凹版に流入できる程度の流動性を有することが好ましい。
<液状の針状体材料の充填工程(図3(b))>
次に。凹版11に針状体形成水溶液12を供給する。供給方法は、凹版の形状および寸法に応じ適宜公知の方法を選択することができる。例えば、凹版への水溶液の供給方法としてスピンコート法、ディスペンサーを用いる方法、キャスティング法、インクジェット法などを用いることができる。また、凹版への針状体形成水溶液の供給に際し、凹版の周囲の環境を減圧下または真空下にしてもよい。
<液状の針状体材料の固化工程(図3(c))>
次に、凹版11に供給された前記針状体形成水溶液を乾燥、固化し針状体とする。固化は、常温での乾燥であっても完結するが、加熱乾燥して製造時間を短縮することが好ましい。図3(c)にあっては、加熱手段としてホットプレート13を用いている。本発明にあっては、乾燥工程で加熱手段を用いたとしても送達物であるたんぱく質の劣化を防ぐことができる。なお、加熱する際の加熱温度は、気泡が針状体に残ることを避けるため、水溶液が沸騰しない程度の温度に設定することが好ましい。このため、加熱温度は50℃以上90℃以下の範囲内にすることが好ましい。加熱は、公知のいずれの加熱手段であってもよく、例えば液状の針状体材料が充填された凹版を載置するホットプレートを用いることができる。
<針状体材料の固化物の脱離工程(図3(d))>
針状体材料の固化物を前記凹版から脱離する。脱離した固化物は最終形状である針状体形状を有する。脱離方法は、例えば固化物を凹版から物理的な力で剥離する方法、化学的に凹版を選択的に溶解する方法等を用いることができる。
本発明の針状体の製造方法では、突起部に用いる針状体材料は、少なくとも水溶性高分子と二糖とたんぱく質を混合した水溶液を固化することにより形成される。本発明者は、鋭意検討の結果、たんぱく質を水溶性構文子と二糖の水溶液に溶解させ針状体を成形することにより、加熱等をおこなったとしてもたんぱく質の劣化のない針状体が製造可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。二糖を混合することで、加熱によるたんぱく質の劣化を防ぐことができ、送達物を安全に皮膚に送達することが可能となる。
[実施例1]
<針状体の製造>
まず、シリコン基板に精密機械加工を用いて、正四角垂(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)が、1mm間隔で、6列6行の格子状に36本配列した針状体原版を形成した。
次に、前記シリコン基板で形成された針状体原版に、メッキ法によりニッケル膜を500μmの厚さに形成し、90℃に加熱した重量パーセント濃度30%の水酸化カリウム水溶液によって前記シリコン基板をウェットエッチングして除去し、ニッケルから成る凹版を作成した。
次に、5質量%キトサン/2質量%トレハロース/5質量%クエン酸水溶液にルシフェラーゼを溶解させ針状体形成水溶液を調整した。
次に、スピンコート法を用いて、凹版に針状体形成水溶液を充填した。
次に、針状体形成水溶液が充填された凹版を熱源を用いて90℃、10分間加熱し、針状体材料を乾燥、固化させた。ここで、熱源として、ホットプレートを用いている。
次に、凹版から、固化した針状体材料を剥離し、針状体を得た。
[比較例1]
実施例1と同様に針状体を製造した。ただし、針状体水溶液を5質量%キトサン/5質量%クエン酸水溶液にルシフェラーゼを溶解させたものとした。
<確認実験>
ルシフェリン、ATP、マグネシウムを含む水溶液に、実施例1、比較例1の針状体を溶解させた。得られた水溶液の蛍光発光強度を蛍光分光光度計を用いて蛍光強度を測定した。測定の結果、実施例1と比較して比較例1は弱い強度を示した。比較例1の蛍光強度低下はトレハロースの存在なしに加熱処理したために起きた、ルシフェラーゼ活性が低下によるものと考えられる。
[実施例2]
<針状体の製造>
まず、シリコン基板に精密機械加工を用いて、正四角垂(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)が、1mm間隔で、6列6行の格子状に36本配列した針状体原版を形成した。
次に、前記シリコン基板で形成された針状体原版に、メッキ法によりニッケル膜を500μmの厚さに形成し、90℃に加熱した重量パーセント濃度30%の水酸化カリウム水溶液によって前記シリコン基板をウェットエッチングして除去し、ニッケルから成る凹版11を作成した。
次に、5%ヒドロキシプロピルセルロース/2%トレハロース水溶液にルシフェラーゼを溶解させ針状体形成水溶液を調整した。
次に、スピンコート法を用いて、凹版に針状体形成水溶液を充填した。
次に、針状体形成水溶液が充填された凹版を熱源を用いて90℃、10分間加熱し、針状体材料を乾燥、固化させた。ここで、熱源として、ホットプレートを用いている。
次に、凹版から、固化した針状体材料を剥離し、針状体を得た。
[比較例2]
実施例1と同様に針状体を製造した。ただし、針状体水溶液を5%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液にルシフェラーゼを溶解させたものとした。
<確認実験>
ルシフェリン、ATP、マグネシウムを含む水溶液に、実施例2、比較零例2の針状体を溶解させた。得られた水溶液の蛍光発光強度を蛍光分光光度計を用いて蛍光強度を測定した。測定の結果、実施例2と比較して比較例2は弱い強度を示した。比較例2の蛍光強度低下はトレハロースの存在なしに加熱処理したために起きた、ルシフェラーゼ活性が低下によるものと考えられる。
[実施例3]
<針状体の製造>
まず、シリコン基板に精密機械加工を用いて、正四角垂(高さ:150μm、底面:60μm×60μm)が、1mm間隔で、6列6行の格子状に36本配列した針状体原版を形成した。
次に、前記シリコン基板で形成された針状体原版に、メッキ法によりニッケル膜を500μmの厚さに形成し、90℃に加熱した重量パーセント濃度30%の水酸化カリウム水溶液によって前記シリコン基板をウェットエッチングして除去し、ニッケルから成る凹版11を作成した。
次に、5%ヒドロキシプロピルセルロース/2%トレハロース水溶液にルシフェラーゼを溶解させ針状体形成水溶液を調整した。
次に、スピンコート法を用いて、凹版に針状体形成水溶液を充填した。
次に、針状体形成水溶液が充填された凹版を40℃で1時間乾燥し、針状体材料を乾燥、固化させた。ここで、乾燥手段として、送風乾燥器を用いている。
次に、凹版から、固化した針状体材料を剥離し、針状体を得た。
さらに、90度の乾燥機に針状体を1日保管した。
[比較例3]
実施例1と同様に針状体を製造した。ただし、針状体水溶液を5%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液にルシフェラーゼを溶解させたものとした。
<確認実験>
ルシフェリン、ATP、マグネシウムを含む水溶液に、実施例3、比較例3の針状体を溶解させた。得られた水溶液の蛍光発光強度を蛍光分光光度計を用いて蛍光強度を測定した。測定の結果、実施例3と比較して比較例3は弱い強度を示した。比較例3の蛍光強度低下はトレハロースの存在なしに乾燥処理したために起きた、ルシフェラーゼ活性が低下によるものと考えられる。
なお、本発明の針状体は、微細な針状体を必要とする様々な分野に利用可能である。例えば、MEMSデバイス、光学部材、試料治具、創薬、医療用途、化粧品、美容用途などに用いる針状体として応用が期待できる。
1・・・針状体
2・・・突起部
3・・・支持基板
11・・・凹版
12・・・針状体形成水溶液
13・・・熱源(ホットプレート)

Claims (3)

  1. 針状の突起部とこの突起部を支持する支持基板とを備える針状体の製造方法であって、
    水溶性高分子と二糖とたんぱく質とを含む針状体形成水溶液を調整する工程と、
    前記針状体形成水溶液を針状の凹部を備えた凹版に供給する工程と、
    前記凹版内の針状体形成水溶液を加熱乾燥し針状体とする工程と、
    前記針状体を前記凹版から剥離する工程と
    を備えることを特徴とする針状体の製造方法。
  2. 前記水溶性高分子が、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒアルロン酸から選択されることを特徴とする請求項1記載の針状体の製造方法。
  3. 前記二糖が、トレハロースであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の針状体の製造方法。
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