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JP5986419B2 - 接点装置及びこれを使用した電磁開閉器 - Google Patents

接点装置及びこれを使用した電磁開閉器 Download PDF

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Description

本発明は、所定間隔を保って配置された一対の固定接触子と、これら固定接触子に接離可能に配置された可動接触子とを有する接点装置及びこれを使用した電磁開閉器に関する。
電流路の開閉を行う接点装置として、従来、電磁継電器や電磁接触器などでは、固定接触子及び可動接触子が接触している接点機構の閉成状態から電流を遮断して開成状態とするために可動接触子を固定接触子から離間させる開極時に発生するアークを消弧する接点機構が種々提案されている。
例えば、所定距離だけ離間して配設されたそれぞれ固定接点を有する一対の固定接触子と、これら一対の固定接触子に接離自在に配設された左右端に可動接点を有する可動接触子と、可動接触子を駆動する電磁石装置と、可動接触子及び固定接触子を収納する囲み部材とを備え、囲み部材の外側に可動接触子と平行にアーク消弧用の永久磁石を配置した電磁開閉装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−19148号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、永久磁石の磁力によってアークを引き伸ばして消弧し易くなるものの、固定接触子に可動接触子が接触している投入状態から可動接触子を離間させる電流遮断時すなわち開極時に発生するアークの足は、永久磁石の磁力によって可動接触子の可動接点を消弧空間側へ移動する。移動したアークの足は可動接触子の角部に留まってアーク足から生じる金属蒸気等により電界強度低下が生じ、アークの再発弧が繰り返されるなど遮断性能が低下するという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、開極時に固定接触子及び可動接触子間に発生するアークを容易に消弧することができる接点装置及びこれを使用した電磁開閉器を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る接点装置の第1の態様は、消弧室内に所定間隔を保って固定配置された一対の固定接触子と、前記消弧室内に前記一対の固定接触子に対して接離可能に配設された可動接触子と、前記固定接触子と前記可動接触子の開閉方向と直交し、且つ当該可動接触子の長手方向と直交する方向にアークを駆動させるアーク消弧用永久磁石とを備え、前記一対の固定接触子に、それぞれ前記可動接触子が離間する開極時に発生するアークの足の当該可動接触子から離れる方向への移動を促進する第1のアーク足移動促進部を形成し、前記可動接触子に、前記一対の固定接触子から離間する開極時に発生するアークの足の当該固定接触子から離れる方向への移動を促進する第2のアーク足移動促進部を形成し、前記第1アーク足移動促進部は、前記可動接触子の長手方向と平行な前記固定接触子の両端面に設けられ、前記可動接触子側とは反対側に突出延長する平板上のアークランナーで構成されている。
この第1の態様によると、一対の固定接触子の可動接触子との対向面に第1のアーク足移動促進部が形成され、可動接触子の一対の固定接触子との対向面に第2のアーク足移動促進部が形成されているので、一対の固定接触子から可動接触子が離間する開極時に発生するアークの足が一対の固定接触子及び可動接触子の双方でアークの足間距離が長くなるように移動される。したがって、アーク発生時の電界強度が大きくなり、アークの再発弧を抑制して防止して遮断性能を向上させることができる。
また、第1のアーク足移動促進部としてアークランナーを設け、このアークランナーを可動接触子の一対の固定接触子とは反対側に突出延長させることにより、開極時に発生するアークの足が角部に留まることなく固定接触子から離れる方向に移動されるのでアーク発生時の電界強度を大きくして再発弧を抑制し、遮断性能を向上させることができる。
また、本発明に係る接点装置の第2の態様は、前記一対の固定接触子は、所定間隔を保って配置された上面板部及び下面板部と、上面板部及び下面板部の外側端を連結する連結板部とから内側を開放したC字状に形成され、前記上面板部及び下面板部間に前記可動接触子が可動可能に配置されている。
この第2の態様によると、一対の固定接触子がC字状に形成されているので、一対の固定接触子に可動接触子が接触して一対の固定接触子間に可動接触子を介して電流が流れる投入状態としたときに、上面板部及び下面板部間で電流の流れる方向が逆となり、電磁反発力に抗するローレンツ力を発生することができ、これに応じて接触スプリングの付勢力を小さく設定することが可能となり、接点装置の構成を小形化することができる。
また、本発明に係る接点装置の第の態様は、両側面のアークランナーが前記可動接触子との対向面で連結板部によって連結されている。
この第の態様によると、一対の固定接触子の可動接触子に対向する接点部がアークランナーで覆われるので、開極時に発生するアークの足の移動を円滑に行うことができる。
また、本発明に係る接点装置の第の態様は、前記第2のアーク足移動促進部が、前記可動接触子の電流の通流方向と直交する方向で端部に行くに従い厚みが薄くなる傾斜面で構成されている。
この第の態様によると、第2のアーク足移動促進部でも、可動接触子の電流の通流方向と直交する方向で段部に行くに従い厚みが薄くなるテーパー面、円弧面等の傾斜面が形成されているので、この傾斜面に沿ってアークの足の一対の固定接触子から離れる方向の移動が促進される。
本発明に係る接点装置の第の態様は、前記傾斜面が、テーパー面で構成されている。
この第の態様によると、傾斜面がテーパー面であるので、アーク足移動促進部を有する可動接触子を容易に形成することができる。
本発明に係る接点装置の第の態様は、前記傾斜面が、円弧状湾曲面で構成されている。
この第の態様によると、傾斜面が円弧状湾曲面であるので、可動接触子の底面側に達するまでの間に角部が生じることがなく、アークの足の移動を容易かつ確実に行うことができる。
また、本発明に係る電磁開閉装置の第1の態様は、前述した第1乃至第の態様に係る接点装置を備え、前記可動接触子が電磁石装置の可動鉄心に連結され、前記一対の固定接触子が外部接続端子に接続されている。
この構成によると、簡単な構成で開極時に発生するアークを確実に消弧して遮断性能を向上することができる電磁開閉器を提供することができる。
本発明によれば、一対の固定接触子に開極時に発生するアークの足を可動接触子から離れる方向に移動させる第1のアーク足移動促進部を形成し、可動接触子に開極時に発生するアークの足を一対の固定接触子から離れる方向に移動させる第2のアーク足移動促進部を形成したので、開極時に発生したアークが一対の固定接触子及び可動接触子の角部に留まってアーク足間の電界強度がアーク電圧以下に低下してアーク足近傍の電極間に再点弧が発生することを確実に防止して遮断性能を向上させることができる。
また、上記効果を有する接点装置を電磁開閉器に適用することにより、簡易な構成で開極時に発生するアークを容易に消弧して遮断性能を向上することができる電磁接触器、電磁継電器等の電磁開閉器を提供することができる。
本発明に係る電磁開閉器の第1の実施形態を示す断面図である。 接点収納ケースの分解斜視図である。 図1のB−B線上の模式的断面図である。 接点装置の絶縁カバーを示す図であって、(a)は斜視図、(b)は装着前の平面図、(c)は装着後の平面図である。 絶縁カバーの装着方法を示す説明図である。 図1のA−A線上の断面図である。 本発明によるアーク消弧用永久磁石によるアーク消弧の説明に供する説明図である。 アーク消弧用永久磁石を絶縁ケースの外側に配置した場合のアーク消弧の説明に供する説明図である。 本発明の第1の実施形態の変形例を示す図3と同様の模式的断面図である。 本発明の第2の実施形態を示す図3と同様の模式的断面図である。 本発明の第2の実施形態の変形例を示す図3と同様の模式的断面図である。 本発明の第3の実施形態を示す断面図である。 本発明の接点装置の変形例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図である。 本発明の接点装置の他の変形例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る電磁開閉器を電磁接触器に適用した場合の第1の実施形態を示す断面図、図2は接点収納ケースの分解斜視図である。この図1及び図2において、10は電磁接触器であり、この電磁接触器10は接点機構を配置した接点装置100と、この接点装置100を駆動する電磁石ユニット200とで構成されている。
接点装置100は、図1及び図2から明らかなように、接点機構101を収納する消弧室としての接点収納ケース102を有する。この接点収納ケース102は、図2(a)に示すように、金属製の下端部に外方と突出するフランジ部103を有する金属角筒体104と、この金属角筒体104の上端を閉塞する平板状のセラミック絶縁基板で構成される天板となる固定接点支持絶縁基板105とを備えている。
金属角筒体104は、そのフランジ部103が後述する電磁石ユニット200の上部磁気ヨーク210にシール接合されて固定されている。
また、固定接点支持絶縁基板105には、中央部に後述する一対の固定接触子111及び112を挿通する貫通孔106及び107が所定間隔を保って形成されている。この固定接点支持絶縁基板105の上面側における貫通孔106及び107の周囲及び下面側における金属角筒体104に接触する位置にメタライズ処理が施されている。このメタライズ処理を行うには、平面上に複数の固定接点支持絶縁基板105を縦横に配列した状態で、貫通孔106及び107の周囲及び金属角筒体104に接触する位置に銅箔を形成する。
接点機構101は、図1に示すように、接点収納ケース102の固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通されて固定された一対の固定接触子111及び112を備えている。これら固定接触子111及び112のそれぞれは、固定接点支持絶縁基板105の貫通孔106及び107に挿通される上端に外方に突出するフランジ部113を有する支持導体部114と、この支持導体部114に連結されて固定接点支持絶縁基板105の下面側に配設され内方側を開放したC字状の接点導体部115とを備えている。
接点導体部115は、固定接点支持絶縁基板105の下面に沿って外側に延長する第2の連結板部としての上板部116とこの上板部116の外側端部から下方に延長する連結板部としての中間板部117と、この中間板部117の下端側から上板部116と平行に内方側すなわち固定接触子111及び112の対面方向に延長する接点板部としての下板部118とを備えている。このため、接点導体部115は、中間板部117及び下板部118で形成されるL字状部に上板部116を加えたC字状に形成されている。
ここで、支持導体部114と接点導体部115とは、支持導体部114の下端面に突出形成されたピン114aを接点導体部115の上板部116に形成された貫通孔120内に挿通した状態で例えばろう付けによって固定されている。なお、支持導体部114及び接点導体部115の固定は、ろう付けに限らず、ピン114aを貫通孔120に嵌合させたり、ピン114aに雄ねじを形成し、貫通孔120に雌ねじを形成して両者を螺合させたりしてもよい。
また、接点導体部115の下板部118は、先端側の接点部の電流の流れる方向と直交する前後方向の断面が、図3に示す構成となっている。すなわち、前後方向の中央部が所定の厚みを有する平坦部118aとされ、この平坦部118aの前後方向の両端側に端面側に行くに従い厚みが薄くなる第1のアーク足移動促進部を構成する左下がり及び右下がりの傾斜面で後述する可動接触子130からの距離が徐々に遠くなるテーパー面118b及び118cが形成されている。
このように、平坦部118aの前後両側にテーパー面118b及び118cを形成することにより、後述するように開極時に発生するアークを後述するアーク消弧用永久磁石143及び144の磁力によって引き伸ばす際に、アークの足を素早く可動接触子130から離れる方向に移動させる。
また、固定接触子111及び112の接点導体部115における中間板部117の内側面を覆うように、平面から見てC字状の磁性体板119が装着されている。このように、中間板部117の内側面を覆うように磁性体板119を配置することにより、中間板部117を流れる電流によって発生する磁場をシールドすることができる。
このため、後述するように、固定接触子111,112の平坦部118aに可動接触子130の平坦部130aが接触している状態から平坦部130aが上方に離間する際にアークが発生する場合に、中間板部117に流れる電流による磁場と固定接触子111,112の平坦部118a及び可動接触子130の平坦部130a間に発生するアークによる磁場とが干渉することを防止することができる。したがって、両磁場が互いに反発し、この電磁反発力によってアークを可動接触子130に沿って内側に移動されてアークの遮断が困難となることを防止できる。この磁性体板119は、中間板部117の周囲を覆うように形成してもよく、中間板部117に流れる電流による磁場をシールドできればよい。
さらに、固定接触子111及び112の接点導体部115にそれぞれ、アークの発生を規制する合成樹脂材製の絶縁カバー121が装着されている。この絶縁カバー121は、図4(a)及び(b)に示すように、接点導体部115の上板部116及び中間板部117の内周面を被覆するものである。絶縁カバー121は、上板部116及び中間板部117の内周面に沿うL字状板部122と、このL字状板部122の前後端部からそれぞれ上方及び外方に延長して接点導体部115の上板部116及び中間板部117の側面を覆う側板部123及び124と、これら側板部123及び124の上端から内方側に形成された固定接触子111及び112の支持導体部114に形成された小径部114bに嵌合する嵌合部125とを備えている。
したがって、絶縁カバー121が、図4(a)及び(b)に示すように、固定接触子111及び112の支持導体部114の小径部に嵌合部125を対向させた状態とし、次いで、図4(c)に示すように、絶縁カバー121を押し込むことにより、嵌合部125を支持導体部114の小径部114bに係合させる。
実際には、図5(a)に示すように、固定接触子111及び112を取付けた後の接点収納ケース102を、固定接点支持絶縁基板105を下側とした状態で、上方の開口部から絶縁カバー121を図5(a)〜(c)とは上下逆にした状態で、固定接触子111及び112間に挿入する。
次いで、図5(b)に示すように、嵌合部125を固定接点支持絶縁基板105に接触させた状態で、図5(c)に示すように、絶縁カバー121を外側に押し込むことにより、嵌合部125を固定接触子111及び112の支持導体部114の小径部114bに係合させて固定する。
このように、固定接触子111及び112の接点導体部115に絶縁カバー121を装着することにより、この接点導体部115の内周面では下板部118の上面側のみが露出されて接点部とされている。
そして、固定接触子111及び112の接点導体部115内に両端部を配置するように可動接触子130が配設されている。この可動接触子130は後述する電磁石ユニット200の可動プランジャ215に固定された連結軸131に支持されている。この可動接触子130は、図1に示すように、中央部の連結軸131の近傍が下方に突出する凹部132が形成され、この凹部132に連結軸131を挿通する貫通孔133が形成されている。
連結軸131は、上端に外方に突出するフランジ部131aが形成されている。この連結軸131に下端側から接触スプリング134に挿通し、次いで可動接触子130の貫通孔133を挿通して、接触スプリング134の上端をフランジ部131aに当接させこの接触スプリング134で所定の付勢力を得るように可動接触子130を例えばCリング135によって位置決めする。
そして、可動接触子130の左右両端の接点部の電流の通電方向と直交する方向の断面形状が図3に示すように前述した一対の固定接触子111及び112の接点部となる下板部118と同様に構成されている。すなわち、前後方向の中央部に厚みの厚い平坦部130aが形成され、この平坦部130aの前後端部から可動接触子130の前後端部に向かうに従って厚みが薄くなって一対の固定接触子111及び112との距離が長くなる第2のアーク足移動促進部を構成する傾斜面としてのテーパー面130b及び130cが形成されている。
このように、可動接触子130の一対の固定接触子111及び112の接点部となる下板部118と対向する接点部にテーパー面130b及び130cを形成することにより、後述する開極時に発生するアークアーク消弧用永久磁石143及び144の磁力によって外方に引き延ばされる際に、アークの足を素早く外側へ移動させることができる。
この可動接触子130は、釈放状態で、両端の平坦部130aと固定接触子111及び112の接点導体部115の下板部118の平坦部118aとが所定間隔を保って離間した状態となる。また、可動接触子130は、投入位置で、両端の接点部が固定接触子111及び112の接点導体部115の下板部118の平坦部118aに、接触スプリング134による所定の接触圧で接触するように設定されている。
さらに、接点収納ケース102の金属角筒体104の内周面には、図1に示すように、底板部140aとこの底板部140aの上面に形成された角筒体140bとで有底角筒状に形成された絶縁筒体140が配設されている。この絶縁筒体140は例えば合成樹脂製で底板部140a及び角筒体140bが一体成形されている。この絶縁筒体140の可動接触子130の側面に対向する位置に磁石収納部としての磁石収納筒体141及び142が一体形成されている。この磁石収納筒体141及び142には、アーク消弧用永久磁石143及び144が挿通されて固定されている。
このアーク消弧用永久磁石143及び144は、厚み方向に互いの対向磁極面が同極例えばN極となるように着磁されている。また、アーク消弧用永久磁石143及び144は、左右方向の両端部がそれぞれ、図6に示すように、固定接触子111及び112の接点部と可動接触子130の接点部との対向位置より僅かに内側となるよう設定されている。そして、磁石収納筒体141及び142の左右方向すなわち可動接触子の長手方向外側にそれぞれアーク消弧空間145及び146が形成されている。
また、磁石収納筒体141及び142の可動接触子130の両端よりの側縁と摺接して可動接触子130の回動を規制する可動接触子ガイド部材148及び149が突出形成されている。
したがって、絶縁筒体140は、磁石収納筒体141及び142によるアーク消弧用永久磁石143及び144の位置決め機能と、アークからアーク消弧用永久磁石143及び144を保護する保護機能及び外部の剛性を高める金属角筒体104に対するアークの影響を遮断する絶縁機能を備えている。
そして、アーク消弧用永久磁石143及び144を絶縁筒体140の内周面側に配置することにより、アーク消弧用永久磁石143及び144を可動接触子130に近接させることができる。このため、両アーク消弧用永久磁石143及び144のN極側から出る磁束φが、図7(a)に示すように、固定接触子111及び112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aとの対向部を左右方向に内側から外側に大きな磁束密度で横切ることになる。
したがって、固定接触子111を電流供給源に接続し、固定接触子112を負荷側に接続するものとすると、投入状態の電流の方向は、図7(b)に示すように、固定接触子111から可動接触子130を通じて固定接触子112に流れることになる。そして、投入状態から可動接触子130を固定接触子111及び112から上方に離間させて釈放状態とする場合に、固定接触子111及び112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aとの間にアークが発生する。
このアークは、アーク消弧用永久磁石143及び144からの磁束φにより、アーク消弧用永久磁石143側のアーク消弧空間145側に引き伸ばされる。このとき、アーク消弧空間145及び146はアーク消弧用永久磁石143及び144の厚み分広く形成されているので、長いアーク長をとることができ、アークを確実に消弧することができる。
因みに、アーク消弧用永久磁石143及び144を、図8(a)〜(c)に示すように、絶縁筒体140の外側に配置する場合には、固定接触子111及び112の接点部と可動接触子130の接点部との対向位置までの距離が長くなり、本実施形態と同一の永久磁石を適用した場合に、アークを横切る磁束密度が少なくなる。
このため、投入状態から釈放状態に移行する際に発生するアークに作用するローレンツ力が小さくなり、アークを十分に引き伸ばすことができなくなる。アークの消弧性能を向上させるために、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁力を増加させる必要がある。しかも、アーク消弧用永久磁石143及び144を固定接触子111及び112と可動接触子130の接点部との距離を短くするためには絶縁筒体140の前後方向の奥行きを狭くする必要があり、アークを消弧するための十分なアーク消弧空間を確保することができないという問題点がある。
しかしながら、上記実施形態によると、アーク消弧用永久磁石143及び144を絶縁筒体140の内側に配置するので、上述した絶縁筒体140の外側にアーク消弧用永久磁石143及び144を配置する場合の問題点を解決することができる。
電磁石ユニット200は、図1に示すように、側面から見て扁平なU字形状の磁気ヨーク201を有し、この磁気ヨーク201の底板部202の中央部に円筒状補助ヨーク203が固定されている。この円筒状補助ヨーク203の外側にスプール204が配置されている。
このスプール204は、円筒状補助ヨーク203を挿通する中央円筒部205と、この中央円筒部205の下端部から半径方向外方に突出する下フランジ部206と、中央円筒部205の上端より僅かに下側から半径方向外方に突出する上フランジ部207とで構成されている。そして、中央円筒部205、下フランジ部206及び上フランジ部207で構成される収納空間に励磁コイル208が巻装されている。
そして、磁気ヨーク201の開放端となる上端間に上部磁気ヨーク210が固定されている。この上部磁気ヨーク210は、中央部にスプール204の中央円筒部205に対向する貫通孔210aが形成されている。
そして、スプール204の中央円筒部205内に、底部と磁気ヨーク201の底板部202との間に復帰スプリング214を配設した可動プランジャ215が上下に摺動可能に配設されている。この可動プランジャ215には、上部磁気ヨーク210から上方に突出する上端部に半径方向外方に突出する周鍔部216が形成されている。
また、上部磁気ヨーク210の上面に、例えば外形が方形で円形の中心開口210aを有して環状に形成された永久磁石220が可動プランジャ215の周鍔部216を囲むように固定されている。この永久磁石220は上下方向すなわち厚み方向に上端側を例えばN極とし、下端側をS極とするように着磁されている。
そして、永久磁石220の上端面に、永久磁石220と同一外形で可動プランジャ215の周鍔部216の外径より小さい内径の貫通孔224を有する補助ヨーク225が固定されている。この補助ヨーク225の下面に可動プランジャ215の周鍔部216が当接されている。
なお、永久磁石220の形状は上記に限定されるものではなく、円環状状に形成することもでき、要は内周面が周鍔部216の形状に合わせた形状であれば外形は円形、多角形等の任意形状とすることができる。
また、可動プランジャ215の上端面には可動接触子130を支持する連結軸131が螺着されている。
そして、可動プランジャ215が非磁性体製で有底筒状に形成されたキャップ230で覆われ、このキャップ230の開放端に半径方向外方に延長して形成されたフランジ部231が上部磁気ヨーク210の下面にシール接合されている。これによって、接点収納ケース102及びキャップ230が上部磁気ヨーク210の貫通孔210aを介して連通される密封容器が形成されている。そして、接点収納ケース102及びキャップ230で形成される密封容器内に水素ガス、窒素ガス、水素及び窒素の混合ガス、空気、SF等のガスが封入されている。
次に、上記実施形態の動作を説明する。
今、固定接触子111が例えば大電流を供給する電力供給源に接続され、固定接触子112が負荷に接続されているものとする。
この状態で、電磁石ユニット200における励磁コイル208が非励磁状態にあって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下降させる励磁力を発生していない釈放状態にあるものとする。この釈放状態では、可動プランジャ215が復帰スプリング214によって、上部磁気ヨーク210から離れる上方向に付勢される。これと同時に、永久磁石220の磁力による吸引力が補助ヨーク225に作用されて、可動プランジャ215の周鍔部216が吸引される。このため、可動プランジャ215の周鍔部216の上面が補助ヨーク225の下面に当接している。
このため、可動プランジャ215に連結軸131を介して連結されている接点機構101の可動接触子130の接点部となる平坦部130aが固定接触子111及び112の接点部となる平坦部118aから上方に所定距離だけ離間している。このため、固定接触子111及び112間の電流路が遮断状態にあり、接点機構101が開極状態となっている。
このように、釈放状態では、可動プランジャ215に復帰スプリング214による付勢力と環状永久磁石220による吸引力との双方が作用しているので、可動プランジャ215が外部からの振動や衝撃等によって不用意に下降することがなく、誤動作を確実に防止することができる。
この釈放状態から、負荷に電力を供給するには、電磁石ユニット200の励磁コイル208を励磁し、電磁石ユニット200で励磁力を発生させて、可動プランジャ215を復帰スプリング214の付勢力及び環状永久磁石220の吸引力に抗して下降させる。この可動プランジャ215の下降が、周鍔部216の下面が上部磁気ヨーク210の上面に当接することにより停止される。
このように、可動プランジャ215が下降することにより、可動プランジャ215に連結軸131を介して連結されている可動接触子130も下降し、その平坦部130aが固定接触子111及び112の平坦部118aに接触スプリング134の接触圧で接触する。
このため、外部電力供給源の大電流が固定接触子111、可動接触子130、及び固定接触子112を通じて負荷に供給される閉極状態となる。
このとき、固定接触子111及び112と可動接触子130との間に可動接触子130を開極させる方向の電磁反発力が発生する。
しかしながら、固定接触子111及び112は、図1に示すように、上板部116、中間板部117及び下板部118によって接点導体部115が形成されているので、上板部116及び下板部118とこれに対向する可動接触子130とで逆方向の電流が流れることになる。このため、固定接触子111及び112の下板部118が形成する磁界と可動接触子130に流れる電流の関係からフレミング左手の法則により可動接触子130を固定接触子111及び112の平坦部118aに押し付けるローレンツ力を発生することができる。
このローレンツ力によって、固定接触子111及び112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130a間に発生する開極方向の電磁反発力に抗することが可能となり、可動接触子130の平坦部130aが開極することを確実に防止することができる。このため、可動接触子130を支持する接触スプリング134の押圧力を小さくすることができ、この接触スプリング134を小形化することができ、接点装置100を小形化することができる。
この接点機構101の閉極状態から、負荷への電流供給を遮断する場合には、電磁石ユニット200の励磁コイル208の励磁を停止する。
これによって、電磁石ユニット200で可動プランジャ215を下方に移動させる励磁力がなくなることにより、可動プランジャ215が復帰スプリング214の付勢力によって上昇し、周鍔部216が補助ヨーク225に近づくに従って環状永久磁石220の吸引力が増加する。
この可動プランジャ215が上昇することにより、連結軸131を介して連結された可動接触子130が上昇する。これに応じて接触スプリング134で接触圧を与えている間は可動接触子130が固定接触子111及び112に接触している。その後、接触スプリング134の接触圧がなくなった時点で可動接触子130が固定接触子111及び112から上方に離間する開極開始状態となる。
この開極開始状態となると、固定接触子111及び112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aとの間にアークが発生し、このアークによって電流の通電状態が継続される。このとき、固定接触子111及び112の接点導体部115の上板部116及び中間板部117を覆う絶縁カバー121が装着されているので、アークが固定接触子111及び112の接点部となる平坦部118aと可動接触子130の接点部となる平坦部130aとの間のみに発生させることができる。このため、アークが固定接触子111及び112の接点導体部115上を動くことを確実に防止してアークの発生状態を安定させることができ、消弧性能を向上させることができる。しかも、固定接触子111及び112の両側面も絶縁カバー121で覆われているので、アークの先端が短絡することも確実に防止することができる。
さらに、固定接触子111及び112の接点導体部115の上板部116及び中間板部117の可動接触子130と対向する面が絶縁カバー121で覆われているので、必要な絶縁距離を確保しながら上板部116及び中間板部117と可動接触子130とを接近させることができ、接点機構101の高さすなわち可動接触子130の可動方向の高さを短縮することができる。
そして、絶縁カバー121は、嵌合部125を、固定接触子111及び112の小径部114bに係合させるだけで、固定接触子111及び112に装着することができ、固定接触子111及び112への装着を容易に行うことができる。
さらに、固定接触子111,112の中間板部117の内側面には磁性体板119によって覆われているので、この中間板部117を流れる電流によって発生する磁場が磁性体板119によってシールドされる。このため、固定接触子111,112の平坦部118a及び可動接触子130の平坦部130a間に発生するアークによる磁場と中間板部117を流れる電流によって発生する磁場とが干渉することはなく、中間板部117を流れる電流によって発生する磁場にアークが影響されることを防止できる。
このとき、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面がN極であり、その外側がS極であるので、このN極から出た磁束が、平面から見て図7(a)に示すように、各アーク消弧用永久磁石143及び144固定接触子111の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aとの対向部のアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。同様に、固定接触子112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aのアーク発生部を可動接触子130の長手方向に内側から外側に横切ってS極に達して磁界が形成される。
したがって、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁束がともに固定接触子111の接点部となる平坦部118a及び可動接触子130の接点部となる平坦部130a間と、固定接触子112の接点部となる平坦部118a及び可動接触子130の接点部となる平坦部130a間を可動接触子130の長手方向で互いに逆方向に横切ることになる。
このため、固定接触子111の接点部となる平坦部118aと可動接触子130の接点部となる平坦部130aとの間では、図7(b)に示すように、電流Iが固定接触子111側から可動接触子130側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、図7(c)に示すように、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子111の平坦部118aと可動接触子130との開閉方向と直交してアーク消弧空間145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
このローレンツ力Fによって、固定接触子111の接点部となる平坦部118aと可動接触子130の接点部となる平坦部130aとの間に発生したアークが、固定接触子111の接点部となる平坦部118aの側面からアーク消弧空間145内を通って可動接触子130の上面側に達するように大きく引き伸ばされて消弧される。
このとき、アークが外側のアーク消弧空間145内に引き伸ばされることにより、固定接触子111側のアークの足は、図3に示すように、平坦部118aからテーパー面118cを伝って下板部118の後端面側に素早く移動する。
同様に、可動接触子130側でも平坦部130aで発生するアークの足がテーパー面130cを伝って可動接触子130の後端面側に素早く移動する。
したがって、固定接触子111及び可動接触子のアークの足間距離が大きく広がり、固定接触子111及び可動接触子130間にアークによって発生する金属蒸気150の影響による電界強度の低下を防止して、アーク足間の電界強度をアーク電圧以上に維持することができる。このため、固定接触子111及び可動接触子130のアーク足の近傍の電極間に再発弧が発生することを確実に防止することができ、遮断性能を向上させることができる。
このとき、可動接触子130の上側の消弧空間を図3に示すように大きくとることにより、アーク足が可動接触子130の固定接触子111及び112とは反対方向に移動し易くなるとともに、伸長し易くなるので遮断性能をより向上させることができる。
因みに、固定接触子111,112及び可動接触子130がテーパー面118b,118c及び130b,130cが形成されていない平坦面であるものとすると、固定接触子111,112及び可動接触子130との間に発生したアークが固定接触子111,112及び可動接触子130のアークの足がアーク消弧用永久磁石143及び144の磁力によって消弧空間145(又は146)側に引き伸ばされたときに、平坦面と側面との角部に留まってしまう。このため、固定接触子111及び112のアークの足との距離が短いままに留まることになり、金属蒸気等によりアーク足間の電界強度がアーク電圧以下に低下することがある。この結果、アーク足近傍の電極間に再発弧が発生して遮断性能が低下する。
また、アーク消弧空間145では、その下方側及び上方側で、固定接触子111の平坦部118a及び可動接触子130の平坦部130a間の磁束の向きに対して下方側に及び上方側に磁束が傾くことになる。このため、傾いた磁束によってアーク消弧空間145に引き伸ばされたアークがアーク消弧空間145の隅の方向へさらに引き伸ばされ、アーク長を長くすることができ、良好な遮断性能を得ることができる。
一方、固定接触子112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aとの間では、図7(b)に示すように、電流Iが可動接触子130側から固定接触子112側に流れるとともに、磁束Φの向きが内側から外側に向かう右方向となる。このため、フレミングの左手の法則によって、図7(c)に示すように、可動接触子130の長手方向と直交し且つ固定接触子112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aとの開閉方向と直交してアーク消弧空間145側に向かう大きなローレンツ力Fが作用する。
このローレンツ力Fによって、固定接触子112の平坦部118aと可動接触子130と平坦部130aとの間に発生したアークが、可動接触子130の上面側からアーク消弧空間145内を通って固定接触子112の側面側に達するように大きく引き伸ばされて消弧される。
また、固定接触子112及び可動接触子130でも、アークがアーク消弧空間145側に引き伸ばされたときに、アークの足がテーパー面118b及び130bを伝って素早く前端面側に移動し、前述した固定接触子111及び可動接触子130の場合と同様に、固定接触子112及び可動接触子130のアークの足間距離が大きく広がり、固定接触子112及び可動接触子130間にアークによって発生する金属蒸気150の影響による電界強度の低下を防止して、アーク足間の電界強度をアーク電圧以上に維持することができる。このため、固定接触子112及び可動接触子130のアーク足の近傍の電極間に再点弧が発生することを確実に防止することができ、遮断性能を向上させることができる。
また、アーク消弧空間145では、上述したように、その下方側及び上方側で、固定接触子112の平坦部118a及び可動接触子130の平坦部130a間の磁束の向きに対して下方側及び上方側に磁束が傾くことになる。このため、傾いた磁束によってアーク消弧空間145に引き伸ばされたアークがアーク消弧空間145の隅の方向へさらに引き伸ばされ、アーク長を長くすることができ、良好な遮断性能を得ることができる。
一方、電磁接触器10の投入状態で、負荷側から直流電源側に回生電流が流れている状態で、釈放状態とする場合には、前述した図7(b)における電流の方向が逆となることから、ローレンツ力Fがアーク消弧空間146側に作用し、アークがアーク消弧空間146側に引き伸ばされることを除いては同様の消弧機能が発揮される。
このとき、アーク消弧用永久磁石143及び144は絶縁筒体140に形成された磁石収納筒体141及び142内に配置されているので、アークが直接アーク消弧用永久磁石143及び144に接触することがない。このため、アーク消弧用永久磁石143及び144の磁気特性を安定して維持することができ、遮断性能を安定化させることができる。
また、絶縁筒体140によって、金属角筒体104の内周面を覆って絶縁できるので、電流遮断時のアークの短絡がなく、確実に電流遮断を行うことができる。
さらに、絶縁機能、アーク消弧用永久磁石143及び144の位置決め機能、アーク消弧用永久磁石143及び144のアークからの保護機能及び外部の金属角筒体104にアークが届くことを遮断する絶縁機能を1つの絶縁筒体140で行うことができるので、製造コストを低減させることができる。
また、アーク消弧用永久磁石143及び144を収納する永久磁石収納筒体141及び142の可動接触子130と対向する位置に可動接触子の側縁に摺接する可動接触子ガイド部材148及び149が突出形成されているので、可動接触子130の回動を確実に防止することができる。
また、可動接触子130の側縁と、絶縁筒体140の内周面との距離をアーク消弧用永久磁石143及び144の厚み分、長くすることができるので、十分なアーク消弧空間145及び146を設けることができ、アークの消弧を確実に行うことができる。
さらに、アーク消弧用永久磁石143及び144を収納する磁石収納筒体141及び142の可動接触子130と対向する位置に可動接触子の側縁に摺接する可動接触子ガイド部材148及び149が突出形成されているので、可動接触子130の回動を確実に防止することができる。
このように、上記実施形態によれば、可動接触子130の平坦部130aが固定接触子111及び112の平坦部118aに接触している投入状態から、可動接触子130の平坦部130aを固定接触子111及び112の平坦部118aから離間させる開極時に、可動接触子130の平坦部130aと固定接触子111及び112の平坦部118aとの間にアークが発生する。このアークはアーク消弧用永久磁石143及び144の磁力によってアーク消弧空間145又は146に引き伸ばされる。このとき、固定接触子111,112には第1のアーク足移動促進部を構成するテーパー面118b及び118cが形成され、可動接触子130には第2のアーク足移動促進部を構成するテーパー面130b及び130cが形成されている。このため、アークの足が平坦部118a及び130a間に留まることなくテーパー面118b、118c及び130b,130cを伝って素早く外側に移動し、アークの足間距離が広がることになる。したがって、固定接触子112及び可動接触子130間にアークによって発生する金属蒸気150の影響による電界強度の低下を防止して、アーク足間の電界強度をアーク電圧以上に維持することができる。このため、固定接触子112及び可動接触子130のアーク足の近傍の電極間に再発弧が発生することを確実に防止することができ、遮断性能を向上させることができる。
また、一対の固定接触子111及び112の接点導体部115をC字形状とするとともに、投入状態での電磁反発力に抗するローレンツ力を発生するように平坦部118aに近づけて中間板部117及び上板部116を配置し、さらに一対の固定接触子111及び112の接点導体部115と接触スプリング134とを可動接触子130の延長方向に並列状態に配置するので、接点装置100の高さを低くすることができるとともに、幅も縮小することができ、接点装置100全体を小形化することができる。しかも、固定接触子111及び112の接点導体部115で投入時に固定接触子111及び112の平坦部118aと可動接触子130の平坦部130aとの間に生じる電磁反発力に抗するローレンツ力を発生することができる。このため、接触スプリング134の付勢力を低下させて小形化することができ、この分でも接点装置100の高さを低くすることができる。さらに、可動接触子130の接触スプリング134との当接位置に天板となる固定接点支持絶縁基板105とは反対側すなわち下方側に突出する凹部132を形成したので、さらに接触スプリング134の突出高さを低くすることができる。
因みに、接点導体部115を省略して、支持導体部114の下端に接点部を形成し、この接点部に可動接触子130を下方から接離可能に配置する場合には、接触スプリング、可動接触子及び固定接触子が上下方向に直列配置されることになり、接点装置100の高さが高くなる。
なお、上記第1の実施形態では、第1のアーク足移動促進部をテーパー面118b,118cで構成し、第2のアーク足移動促進部をテーパー面130b,130cで構成する場合について説明した。しかしなだら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、図9に示すように、テーパー面118b,118c及び130b,130cに代えて円筒面の一部を形成する円弧状湾曲面151a,151b及び152a,152bとするようにしてもよい。この場合には、アークの足が円弧状湾曲面151a(又は151b)及び152a(又は152b)に沿って外側に移動するに従い、固定接触子111及び112と可動接触子130とのアークの足間距離をより長くすることができ、遮断性能をより向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態を図10について説明する。
この第2の実施形態では、固定接触子111及び112に形成した第1のアーク足移動促進部の構成を変更したものである。
この第2の実施形態では、図10に示すように、固定接触子111及び112の電流方向と直交する前後方向の断面形状は長方形断面形状を維持するが、前後側面に側面を覆い、且つ下方に突出延長するに第1のアーク足移動促進部としての平板状のアークランナー161a及び161bを固定している。ここで、アークランナー161a及び161bのそれぞれは、タングステン(W)や銀(Ag)等の耐アーク性を有するとともに、電導性を有する金属材料で形成されている。
この第2の実施形態では、上記構成を除いては前述した第1の実施形態と同様の構成を有し、図3との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2の実施形態によると、前述した第1の実施形態と同様に、可動接触子130が固定接触子111及び112から離間する開極時に、可動接触子130及び固定接触子111及び112間に発生するアークがアーク消弧用永久磁石143及び144の磁力によってアーク消弧空間145(又は146)側に引き伸ばされる。
このとき、可動接触子130は、前述した第1の実施形態と同様の構成を有するので、アークの足は、アーク消弧空間145(又は146)側に引き伸ばされるに応じてテーパー面130b(又は130c)を伝って端面側に素早く移動する。
一方、固定接触子111及び112側では、アークがアーク消弧用永久磁石143及び144の磁力によってアーク消弧空間145(又は146)側に引き伸ばされに応じてアークの足が側面のアークランナー161a(又は161b)側に移動し、アークの足がアークランナー161a(又は161b)に達すると、アークの足が、図10に示すように、このアークランナー161a(又は161b)に沿って速やかに下方に移動することになる。このため、アークの足が固定接触子111及び112の側面の角部に留まることがなく、可動接触子130のアークの足との距離を長くして金属蒸気等による電界強度の低下を防止することができる。したがって、前述した第1の実施形態と同様にアークを容易に消弧し、遮断性能を向上させることができる。このとき、固定接触子111及び112のアークの足はアークランナー161a(又は161b)の固定接触子111及び112の下板部118より下側の端面まで移動することにより、アークの引き伸ばし長さを前述した第1の実施形態におけるアークの引き伸ばし長さより長くすることができ、より良好にアークを消弧することができる。
なお、上記第2の実施形態においては、アークランナー161a及び161bを固定接触子111及び112の側面を覆うように形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図11に示すように構成してもよい。すなわち、図11(a)に示すように、前後の両アークランナー161a及び161bの上端部をすなわち可動接触子130と対向して連結部161cで連結して断面逆U字状に形成してもよい。この場合には、図11(b)に示すように、固定接触子111及び112の可動接触子130との対向面に前後方向に延長する溝部162を形成し、この溝部162に連結部161cを係合させて固定する。このように、アークランナーを逆U字状に形成することにより、連結部161cでのアークの足の移動をスムーズに行うことができるとともに、アークランナーの固定接触子111及び112への固定を容易に行うことができる。
次に、本発明の第3の実施形態を図12及び図2(b)について説明する。
この第3の実施形態では、接点収納ケース102の構成を変更したものである。
すなわち、第3の実施形態では、図12及び図2(b)に示すように、セラミックスや合成樹脂材によって角筒部301とその上端を閉塞する天面板部302とを一体成形して桶状体303を形成し、この桶状体303の開放端面側にメタライズ処理して金属箔を形成し、この金属箔に金属製の接続部材304をシール接合して接点収納ケース102を構成している。
そして、桶状体303の底面側の内周面には例えば合成樹脂で形成された前述した第1の実施形態における底板部104bに対応する底板部305が配置されている。
また、天面板部302には、前述した固定接点支持絶縁基板105と同様に、固定接触子111及び112を挿通する挿通孔306及び307が形成され、これら挿通孔306及び307に固定接触子111及び112が前述した第1の実施形態と同様に支持されている。
その他の構成は前述した第1の実施形態と同様の構成を有し、図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第3の実施形態によると、絶縁材で一体成形された桶状体303で接点収納ケース102を構成しているので、気密性のある接点収納ケース102を少ない工数で容易に形成することができるとともに、部品点数を減少させることができる。
なお、上記第1〜第3の実施形態においては、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面をN極とした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、アーク消弧用永久磁石143及び144の対向磁極面をS極とするようにしても、磁束のアーク横切り方向及びローレンツ力の方向が逆方向となることを除いては上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、接点収納ケース102を金属角筒体104と、この金属角筒体104の上端を閉塞する固定接点支持絶縁基板105とをろう付けして形成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、セラミック、合成樹脂材等の絶縁材で桶状に一体形成するようにしてもよい。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、固定接触子111及び112に接点導体部115を形成する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図13(a)及び(b)に示すように、支持導体部114に接点導体部115における上板部116を省略した形状となるL字状部170を連結するようにしてもよい。
この場合でも、固定接触子111及び112に可動接触子130を接触させた閉極状態で、L字状部170の垂直板部を流れる電流によって生じる磁束を固定接触子111及び112と可動接触子130との接触部に作用させることができる。このため、固定接触子111及び112と可動接触子130との接触部における磁束密度を高めて電磁反発力に抗するローレンツ力を発生させることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、可動接触子130が中央部に凹部132を有する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図14(a)及び(b)に示すように、凹部132を省略して平板状に形成するようにしてもよい。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、可動プランジャ215に連結軸131を螺合させる場合について説明したが、可動プランジャ215と連結軸131とを一体に形成するようにしてもよい。
また、連結軸131と可動接触子130との連結が、連結軸131の先端部にフランジ部131aを形成し、接触スプリング134及び可動接触子130を挿通してから可動接触子130の下端をCリングで固定する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、連結軸131のCリング位置に半径方向に突出する位置決め大径部を形成し、これに可動接触子130を当接させてから接触スプリング134を配置し、この接触スプリング134の上端をCリングによって固定するようにしてもよい。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、接点収納ケース102及びキャップ230で密封容器を構成し、この密封容器内にガスを封入する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、遮断する電流が低い場合にはガス封入を省略するようにしてもよい。
10…電磁接触器、11…外装絶縁容器、100…接点装置、101…接点機構、102…接点収納ケース(消弧室)、104…金属角筒体、105…固定接点支持絶縁基板、111,112…固定接触子、114…支持導体部、115…接点導体部、116…上板部、117…中間板部、118…下板部、118a…平坦部、118b,118c…テーパー面(第1のアーク足移動促進部)、121…絶縁カバー、122…L字状板部、123,124…側板部、125…嵌合部、130…可動接触子、130a…平坦部、130b,130c…テーパー面(第2のアーク足移動促進部)、131…連結軸、132…凹部、134…接触スプリング、140…絶縁筒体、141,142…磁石収納筒体、143,144…アーク消弧用永久磁石、145,146…アーク消弧空間、161a,161b…アークランナー、161c…連結部、170…L字状部、200…電磁石ユニット、201…磁気ヨーク、203…円筒状補助ヨーク、204…スプール、208…励磁コイル、210…上部磁気ヨーク、214…復帰スプリング、215…可動プランジャ、216…周鍔部、220…永久磁石、225…補助ヨーク、301…角筒部、302…天面板部、303…桶状体、304…接続部材、305…底板部

Claims (7)

  1. 消弧室内に所定間隔を保って固定配置された一対の固定接触子と、
    前記消弧室内に前記一対の固定接触子に対して接離可能に配設された可動接触子と
    前記固定接触子と前記可動接触子の開閉方向と直交し、且つ当該可動接触子の長手方向と直交する方向にアークを駆動させるアーク消弧用永久磁石とを備え、
    前記一対の固定接触子に、それぞれ前記可動接触子が離間する開極時に発生するアークの足の当該可動接触子から離れる方向への移動を促進する第1のアーク足移動促進部を形成し、
    前記可動接触子に、前記一対の固定接触子から離間する開極時に発生するアークの足の当該固定接触子から離れる方向への移動を促進する第2のアーク足移動促進部を形成し
    前記第1アーク足移動促進部は、前記可動接触子の長手方向と平行な前記固定接触子の両端面に設けられ、前記可動接触子側とは反対側に突出延長する平板上のアークランナーで構成されていることを特徴とする接点装置。
  2. 前記一対の固定接触子は、所定間隔を保って配置された上面板部及び下面板部と、上面板部及び下面板部の外側端を連結する連結板部とから内側を開放したC字状に形成され、
    前記上面板部及び下面板部間に前記可動接触子が可動可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の接点装置。
  3. 両側面のアークランナーが前記可動接触子との対向面で連結板部によって連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接点装置。
  4. 前記第2のアーク足移動促進部は、前記可動接触子の電流の通流方向と直交する方向で端部に行くに従い厚みが薄くなる傾斜面で構成されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の接点装置。
  5. 前記傾斜面は、テーパー面で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の接点装置。
  6. 前記傾斜面は、円弧状湾曲面で構成されていることを特徴とする請求項に記載の接点装置。
  7. 前記請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の接点装置を備え、前記可動接触子が電磁石装置の可動鉄心に連結され、前記一対の固定接触子が外部接続端子に接続されていることを特徴とする電磁開閉器
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