JP5971124B2 - 雨滴検出装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の装置間の通信装置は、雨滴検出装置と、この雨滴検出装置によって検出された雨滴量に応じて払拭操作するワイパ装置とを備え、雨滴検出装置とワイパ装置のうち一方の装置への単方向の信号を送信する通信手段と、前記一方の装置側に設けられた前記単方向の信号の電位を短絡させる送信手段と、他方の装置側に設けられ、短絡された信号に基づいて前記一方の装置から他方の装置への伝達情報を認識する認識手段を備えている。
この雨滴検出装置では、ウインドガラス内面に設定された検知領域に対して光を投光する発光素子(LED)と、この発光素子から投光された光を平行に方向変換する平行光レンズと、ウインドガラスと外部空間との外側境界面から反射された光を方向変換して集束する集光レンズと、この集光レンズによって集束された反射光の受光量に応じた検出信号を出力する受光素子(フォトダイオード)等を備え、晴れ状態の受光量から雨滴によって低下した受光量の減少量に基づいて雨滴量を算出している。
カーメーカーにおいて、同一の雨滴検出装置を一車種のみならず他の車種にも流用することが行われている。また、ユーザーが独自に雨滴検出装置を特定の車種から別の車種へ付け替えて、ワイパ装置に自動制御機能を付加するケースもある。
近年、ユーザの利便性向上を狙いとして、ヘッドライト等の車載機器の自動制御を、ユーザーの感覚に合わせてカスタマイズ可能にした技術も知られている。
しかし、以下のように、特許文献1の技術では、ユーザーの感覚に十分に適合することができない虞がある。
しかし、装着されたウインドガラスの傾斜角度によって、同じ降雨量であってもウインドガラス外面に付着する雨滴量が異なり、また、ウインドガラス外面に付着する雨滴量が同じ量であってもユーザーの視界に入る雨滴の見かけ上の密度(以下、見かけ雨滴密度という)が異なると考えられる。
そこで、本発明者は、ウインドガラスの傾斜角度と雨滴付着率と雨滴の見かけ密度との相関関係についてシミュレーションによる検証実験を行った。
ウインドガラスの傾斜角度と雨滴付着率との相関関係を図14に示す。便宜上、ウインドガラスの傾斜角度が40度のときの雨滴付着率を評価基準値として1.00に設定した。
図14に示すように、ウインドガラスの傾斜角度が小さくなる程、ウインドガラス外面に付着する雨滴付着率は増加することが分かる。例えば、ウインドガラスの傾斜角度が20度のとき、雨滴付着率は1.23である。
ウインドガラスの傾斜角度と見かけ雨滴密度との相関関係を図15に示す。
図15に示すように、ウインドガラスの傾斜角度が小さくなる程、ユーザーから視た見かけ雨滴密度は増加することが分かる。例えば、ウインドガラスの傾斜角度が20度のとき、見かけ雨滴密度は0.12個/mm2であり、ウインドガラスの傾斜角度が40度のとき、見かけ雨滴密度は0.06個/mm2である。
特許文献2の技術によって、ワイパ装置の作動態様をウインドガラスの傾斜角度に応じてカスタマイズすることも考えられるが、車外のカスタマイズ装置が必要になるため、その設備が大掛かりになり、コスト面の課題を招く虞がある。
請求項5の発明は、請求項1の発明において、前記作動態様設定部は、ウインドガラスの傾斜角度が小さい程、払拭速度が速くなるように前記ワイパ装置の作動態様を設定することを特徴としている。
請求項6の発明は、請求項1の発明において、前記作動態様設定部は、ウインドガラスの傾斜角度が小さい程、間欠期間が短くなるように前記ワイパ装置の作動態様を設定することを特徴としている。
請求項5の発明によれば、ワイパ装置の払拭速度によってユーザーに与える違和感を防止することができる。
請求項6の発明によれば、ワイパ装置の間欠期間によってユーザーに与える違和感を防止することができる。
図1に示すように、本実施例では、フロントウインドガラス(以下、ウインドガラスという)1と、ウインドガラス1の外側面に付着した雨滴や汚れを払拭するワイパーブレード(図示略)やワイパモータ2a等によって構成されたワイパ装置2と、レインセンサ3(雨滴検出装置)等を備えた自動車Vを例として説明する。
図1に示すように、自動車Vは、ボディコントロールモジュール(Body Control Module:以下、BCMという)4と、エンジンコントロールモジュール(Engine Control Module:以下、ECMという)5と、ブレーキ制御機構6と、ヘッドライト制御機構(Adaptive Front-Lighting System:以下、AFSという)7等を備え、これら各制御機構4〜7はCAN(Controller Area Network)8によって相互に送受信可能に接続されている。
ブレーキ制御機構6は、急ブレーキをかけつつ衝突回避する機構(Antilock Brake System)と、車両旋回時におけるアンダーステアやオーバーステアを防止する機構(Dynamic Stability Control)とを制御可能に構成されている(何れも図示略)。
AFS7は、傾動可能に形成されたヘッドライト(図示略)の向きをハンドル舵角や車速に基づいて走行中の自動車Vの進行方向に適合した方向へ変更可能に構成されている。
自動車Vの型式には、自動車Vの構成部材の設計仕様(例えば、ウインドガラス1の傾斜角度、面積、形状等)が一義的に関連付けられている。
各制御機構4〜7や各種センサから出力された通信信号は、フレームのデータフィールドに格納されてCANバス8aを介して夫々の送信先へ送信される。
図3に示すように、ワイパ装置2は、ワイパーブレードと、ワイパーアーム(図示略)と、ワイパモータ2aと、オートストップスイッチ2b等を備え、ユーザーによるワイパスイッチ12(図2参照)の手動操作によって各モード制御を実行可能に構成されている。
オートストップスイッチ2bは、回転維持回路であり、ユーザーがワイパスイッチ12をオフ操作したとき、ワイパーブレードが下側反転位置(停止位置)に到達していない場合には、ワイパモータ2aへの電流供給を継続してワイパーブレードを停止位置に停止させる。
ワイパスイッチ12は、雨が降っていないとき、ユーザーのオフ操作によってOFF位置12aに設定されている。ワイパスイッチ12がOFF位置12aからMIST位置12bに操作されたとき、ワイパ装置2がウインドガラス1を1回だけ払拭するミストモード制御を実行した後、ワイパスイッチ12は圧縮バネの付勢力によって自動的にOFF位置12aへ戻される。
ワイパスイッチ12がOFF位置12aからLOW位置12dに操作されたとき、第1リレー回路10がオンすると同時に第2リレー回路11がオフされるため、ワイパ装置2は停止時間を有さない低速の連続払拭動作を行う第1連続払拭モード制御が設定される。ワイパスイッチ12がOFF位置12aからHIGH位置12eに操作されたとき、第1リレー回路10がオフすると同時に第2リレー回路11がオンされるため、ワイパ装置2は第1連続払拭モード制御よりも高速で連続払拭動作を行う第2連続払拭モード制御に設定される。
図1〜図6に示すように、レインセンサ3は、ルームミラー14の前方且つウインドガラス1の外面上端部分に設定された雨滴検出領域に対向した位置に着脱可能に装備されている。それ故、レインセンサ3とBCM4を電気的にCAN接続することにより、ウインドガラス1の傾斜角度や車体寸法等設計仕様の異なる自動車Vに対してレインセンサ3を後から任意に装着することが可能である。
レインセンサ3は、4組の雨滴検出手段20と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)30(制御手段)と、これらを収容可能な略直方体形状の筐体3a等を備えている。
図5,図6に示すように、雨滴検出手段20は、投光部22と、この投光部22を制御する投光部制御部23と、平行光レンズ24と、集光レンズ25と、受光部26と、この受光部26を制御する受光部制御部27等を備えている。
投光部制御部23は、マイコン30からの制御信号に基づいて投光部22の作動タイミングや赤外線αの照射量(強度)等を制御可能に構成されている。
図6に示すように、平行光レンズ24は、投光部22側の面が凸状且つウインドガラス1側の面が平面状に形成され、投光部22から照射された赤外線αの進行方向を拡散方向から平行方向に変更している。この平行光レンズ24は、ウインドガラス1外面に雨滴Wが付着しているとき、投光部22から照射された赤外線αが雨滴Wと外部空間との外側境界面から全反射され、ウインドガラス1外面に雨滴Wが付着していないとき、赤外線αがウインドガラス1を透過するように傾斜角度等が設定されている。
受光部26は、撮像素子(例えば、CCD)によって構成され、ウインドガラス1の外側面に付着した雨滴Wの外側境界面から反射された赤外線αの反射光量を検出可能に構成されている。受光部制御部27は、マイコン30からの制御信号に基づいて受光部26の受光感度や焦点等を制御可能に構成され、受光部26で検出された赤外線αの反射光量検出信号をマイコン30へ出力している。
図6に示すように、ウインドガラス1の親水特性と重力との影響によって雨滴Wは扁平状に形成されている。平行光レンズ24は、投光部22から照射された赤外線αが雨滴Wと外部空間との湾曲状外側境界面から全反射するように傾斜角度等が設定されている。それ故、ウインドガラス1の外側面に雨滴Wが付着していない部分では、投光部22から照射された赤外線αはウインドガラス1を全て透過するため、反射光が発生しない。また、雨滴Wが滴下してウインドガラス1の外側面に扁平状の雨滴Wが付着している部分では、ウインドガラス1を透過した赤外線αが雨滴Wと外部空間との外側境界面から全反射される。これにより、雨滴検出手段20は、雨滴Wの外側面からの反射光である赤外線αの反射光量を検出する。
マイコン30は、雨滴検出手段20で検出された赤外線αの反射光量に基づいてウインドガラス1の外側面に付着した雨滴量を検出可能に構成されている。
このマイコン30は、ワイパ装置2の作動態様に係る指令信号をマイコン9へ出力することによって、ワイパ装置2の払拭特性を変更している。
図5に示すように、マイコン30は、雨滴検出処理部31と、雨滴量測定部32(雨滴量検知部)と、オートワイパ判断部33と、作動態様設定部34を備えた制御基盤によって構成され、投光部制御部23及び受光部制御部27が電気的に接続されている。
図7に示すように、ウインドガラス1への雨滴Wの付着率は出力xと比例関係が成立しているため、この相関関係に基づいて、雨滴量測定部42では、雨滴検出処理部41で設定された出力xを付着率X(%)に変換している。
ここで、出力xから変換された雨滴検出手段20の付着率Xは、ウインドガラス1に付着した雨滴Wがないとき、付着率0%に設定され、ウインドガラス1の全面に雨滴Wが付着したとき、付着率100%になるように設定される。
尚、図7おいて、所定雨滴付着率(例えば、1.0%)以下では、雨滴検出手段20の検出精度の関係上、出力xは出力されない。
作動態様設定部34は、ユーザーが選択したモード制御に応じてワイパ装置2を制御する基本機能と、オートモード制御においてレインセンサ3が検出した雨滴量に基づいてワイパ装置2の作動態様を変更する作動態様変更機能とを備えている。
図8に示すように、払拭速度マップM1は、レインセンサ3が検出した雨滴量とワイパ装置2の払拭速度との相関関係を設定している。
ワイパ装置2の払拭速度は、ウインドガラス1の傾斜角度が40度の自動車Vに適合するように、雨滴量L1まで雨滴量に応じて増加し雨滴量L1以上では一定速度にする払拭速度特性V1が予め格納されている。
ワイパ装置2の間欠時間は、ウインドガラス1の傾斜角度が40度の自動車Vに適合するように、雨滴量L1まで雨滴量に応じて減少し雨滴量L1以上では間欠時間が零になる間欠時間特性T1が予め格納されている。
払拭補正値は、ウインドガラス1の傾斜角度毎に求められた雨滴付着率補正値と見かけ雨滴密度補正値との積によって算出される。
雨滴付着率補正値は、図14のグラフに示す雨滴付着率の値を用いている。
見かけ雨滴密度補正値は、図11に示すように、図15のグラフをウインドガラス1の傾斜角度が40度のときの見かけ雨滴密度が1になるように変換した値を用いている。
自動車Vの型式と自車のウインドガラス1の設計仕様(傾斜角度)とは一義的に関連付けられるため、この傾斜角度判定テーブルを参照することによって、各制御機構4〜7からCANバス8aを介して送信された車両IDによって自車のウインドガラス1の傾斜角度を判定することができる。
まず、自動車Vのイグニッションがオン状態か否か判定する(S1)。イグニッションがオン状態ではない場合、S1を繰り返す。
イグニッションがオン状態の場合、S2へ移行し、ワイパスイッチ12がオフ操作以外のオン状態か否か判定する。ワイパスイッチ12がオン状態ではない場合、S2を繰り返す。
オートモード制御が設定されている場合、S4へ移行し、払拭補正値が設定されているか否か判定する。
S5の判定により、雨滴が検知された場合、S6へ移行し、払拭補正値に対応した払拭速度特性及び間欠時間特性が設定されているか否か判定する。
S6の判定により、払拭補正値に対応した払拭速度特性及び間欠時間特性が既に設定されている場合、設定されている払拭速度特性及び間欠時間特性によってオートモード制御を実行し(S7)、リターンする。
S6の判定により、払拭補正値に対応した払拭速度特性及び間欠時間特性が設定されていない場合、S11へ移行し、自車のウインドガラス1の傾斜角度に基づいて新たな払拭速度特性及び間欠時間特性を設定する。例えば、S10で、レインセンサ3の付け替えに伴って、新たにウインドガラス1の傾斜角度が20度に設定された場合、払拭補正値マップM3により払拭補正値が2.46になるため、図8,図9に示すように、傾斜角度が40度の払拭速度特性V1及び間欠時間特性T1を払拭能力が2.46倍になるように払拭速度特性V2及び間欠時間特性T2に設定し、S7へ移行する。
このレインセンサ3によれば、ワイパ装置2の払拭対象であるウインドガラス1の傾斜角度を正確に識別することができるため、装着される自動車Vの種類に拘わらず、ウインドガラス1の傾斜角度に応じてワイパ装置2の作動態様を設定でき、ユーザーに与える違和感を防止することができる。
作動態様設定部34が払拭補正値マップM3を有するため、ワイパ装置2の作動態様補正を簡単且つ早期に実行できる。
ワイパ装置2は払拭速度と間欠期間の少なくとも1つが変更可能に構成されているため、車種に拘わらず、ユーザーの前方視認性を良好に保つことができる。
1〕前記実施例においては、ウインドガラスの傾斜角度に応じて払拭速度特性及び間欠時間特性を変更した例を説明したが、雨滴判定等ワイパ装置の作動に関わる態様であれば何れの作動を制御しても良い。雨滴判定の場合、ウインドガラスの傾斜角度が小さい程、降雨による雨滴有りと判定する付着率の値を小さくすることができる。
また、間欠時間設定部の作動範囲をウインドガラスの傾斜角度に応じて自動的に変更しても良い。この場合、ウインドガラスの傾斜角度が小さい程、間欠時間の下限値を減少させ、ウインドガラスの傾斜角度が大きい程、間欠時間の上限値を増加させる。
2 ワイパ装置
3 レインセンサ
4 BCM
8 CAN
8a CANバス
20 雨滴検出手段
30 マイコン
32 雨滴量測定部
34 作動態様設定部
M3 払拭補正値マップ
Claims (6)
- ウインドガラス外面に付着した雨滴量を検出し且つ前記雨滴量に応じてワイパ装置を制御する制御手段を備えた雨滴検出装置において、
前記制御手段が、少なくとも、ウインドガラス内面に照射された光の反射光に応じた出力に基づいて雨滴量を検知する雨滴量検知部と、当該車両が保有する車種情報に基づいて判定されたウインドガラスの傾斜角度が小さい程、払拭能力が高くなるように前記ワイパ装置の作動態様を設定する作動態様設定部とを備えたことを特徴とする雨滴検出装置。 - 前記制御手段が前記ワイパ装置に車体側制御手段を間に介してCAN(Controller Area Network)通信可能に接続されたことを特徴とする請求項1に記載の雨滴検出装置。
- 前記作動態様設定部が前記ウインドガラスの傾斜角度と前記ワイパ装置の作動態様補正値との相関マップを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の雨滴検出装置。
- 前記ワイパ装置は払拭速度と間欠期間の少なくとも1つが変更可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の雨滴検出装置。
- 前記作動態様設定部は、ウインドガラスの傾斜角度が小さい程、払拭速度が速くなるように前記ワイパ装置の作動態様を設定することを特徴とする請求項1に記載の雨滴検出装置。
- 前記作動態様設定部は、ウインドガラスの傾斜角度が小さい程、間欠期間が短くなるように前記ワイパ装置の作動態様を設定することを特徴とする請求項1に記載の雨滴検出装置。
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