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JP5969848B2 - 露光装置、調整対象の調整量を求める方法、プログラム及びデバイスの製造方法 - Google Patents

露光装置、調整対象の調整量を求める方法、プログラム及びデバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、露光装置、調整対象の調整量を求める方法、プログラム及びデバイスの製造方法に関する。
フォトリソグラフィー技術を用いて半導体デバイスを製造する際に、レチクル(マスク)のパターンを投影光学系によって基板に投影してパターンを転写する露光装置が使用されている。かかる投影光学系は、光学特性(収差)を測定する工程と、測定された光学特性に基づいて光学特性を補正するための調整部の調整量を算出する工程と、算出された調整量に基づいて調整部を調整する工程を経て調整される。
また、調整対象となる光学特性は、各部(例えば、投影光学系を構成するレンズ)の調整量に依存し、像面(露光領域)内の各点において、その絶対値の最大値を最小化することが要求される。そこで、線形計画法や2次計画法を用いて各部の調整量を決定(最適化)する技術が提案されている(特許文献1)。
特開2005−268451号公報
特許文献1には、各部の調整量を決定するための2つの方法が開示されているが、以下に説明するように、いずれの方法も課題を有している。例えば、1つ目の方法は、2次計画法を用いた方法である。かかる方法によれば、2次光学特性(例えば、波面収差の(重み付き)2乗和)を最小化する調整量を求めることができる。しかしながら、この方法は、当該2次光学特性を目的関数とする方法であって、厳密な最適解を得られる保証のない方法である。また、2つ目の方法は、波面収差のRMSに相当する量(例えば、波面収差の(重み付き)2乗和の平方根)を、波面収差係数(Zernike係数)の絶対値の重み付き和で表すことを通じて1次式で近似し、その上限値を表す変数を目的関数とする。そして、当該目的関数の値を最小化する調整量を線形計画法で解く方法である。かかる方法は、厳密な最適解を得られる方法ではあるが、上記近似の誤差が課題となりうるものである。なお、RMSとは、「Root Mean Squares」の略である。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、露光装置の光学特性値を調整する調整部の調整量を求めるのに有利な技術を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての露光装置は、レチクルを介して基板を露光する露光装置であって、位置、姿勢及び形状の少なくとも1つを調整可能な調整対象を含み、前記レチクルからの光を前記基板に投影する投影部と、前記調整対象の位置、姿勢及び形状の少なくとも1つを調整する調整部と、前記投影部により投影された光の波面収差係数の重み付き2乗和平方根で表される前記投影部の第1光学特性値を調整するための前記調整部による前記調整対象の調整量を求め、該調整量に基づいて前記調整部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記波面収差係数を表す前記調整量に関して1次の等式と、各座標軸に前記波面収差係数をとった直交座標系において、その原点に重心を有する多角形又は多面体の各辺又は各面の前記原点からの距離が第1変数以下であることを示す前記波面収差係数に関して1次の複数の不等式とを含む制約条件のもとで、前記第1変数を目的関数として、前記目的関数を最小化する前記調整量を線形計画法により求める、ことを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、露光装置の光学特性値を調整する調整部の調整量を求めるのに有利な技術を提供することができる。
本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略斜視図である。 図1に示す露光装置において、位置を調整可能なレチクル及び投影光学系に含まれる光学素子の可動方向(駆動方向)の一例を模式的に示す図である。 図1に示す露光装置における投影光学系の調整を説明するためのフローチャートである。 式(9)〜式(12)に示す不等式を満足するβ1h及びβ2hの範囲を示す図である。 式(9)〜式(12)を含む複数の不等式を満足するβ1h及びβ2hの範囲を示す図である。 2変数から構成される制約条件式(入れ子構造制約式)の構造の一例(勝ち抜き方式)を示す図である。 2変数から構成される制約条件式(入れ子構造制約式)の構造の一例(トーナメント方式)を示す図である。 図1に示す露光装置における投影光学系の調整を説明するためのフローチャートである。 図1に示す露光装置における投影光学系の調整を説明するためのフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の一側面としての露光装置1の構成を示す概略斜視図である。露光装置1は、レチクル(マスク)を介して基板を露光する。露光装置1は、具体的には、例えば、ステップ・アンド・スキャン方式でレチクルを介して基板を露光する。また、露光装置1は、ステップ・アンド・リピート方式やその他の露光方式によるものであってもよい。
露光装置1は、照明光学系(不図示)と、レチクル10を保持するレチクルステージ20と、投影光学系30と、基板40を保持する基板ステージ50と、レーザー干渉計60a、60b及び60cと、測定部70と、調整部80と、制御部90とを有する。
照明光学系は、波長約248nmのKrFエキシマレーザー、波長約193nmのArFエキシマレーザー、波長約157nmのFレーザーなどの光源からの光を用いてレチクル10を照明する。
レチクル10は、基板40に転写すべきパターン(回路パターン)を有し、レチクルステージ20に保持される。レチクル10のパターンで回折された光(回折光)は、投影光学系30を介して、基板40に投影される。
レチクルステージ20は、レチクルチャックなどを含み、レチクル10を保持し、調整部80により移動される。調整部80は、制御部90により制御され、レチクル10の位置及び姿勢の少なくとも1つを調整する機能を有する。
投影光学系30は、複数の光学素子(例えば、レンズ、ミラー、開口絞りなど)を含み、レチクル10からの光を基板40に投影する光学系である。投影光学系30に含まれる複数の光学素子のうち一部の光学素子は、調整部80によって、位置、姿勢及び形状の少なくとも1つを調整可能に構成されている。調整部80による当該光学素子の調整も、制御部90により制御される。調整部80は、投影光学系30に含まれる複数の光学素子のうち一部の光学素子の位置、姿勢及び形状の少なくとも1つを調整する。調整部80は、例えば、光軸方向(図1に示すz軸方向)や光軸方向に垂直な方向に光学素子を変位させる機構、光軸に対し光学素子を傾ける機構、光学素子を変形させる機構などを含みうる。
基板40は、レチクル10のパターンが転写される基板である。基板40には、レジスト(感光剤)が塗布されている。基板40は、シリコンウエハ、ガラスプレート、その他の基板などを含む。
基板ステージ50は、基板チャックなどを含み、基板40を保持し、調整部80により移動される。調整部80は、制御部90により制御され、基板40の位置及び姿勢の少なくとも1つを調整する機能を有する。
ここで、レチクルステージ20、投影光学系30及び基板ステージ50は、露光装置1の投影部を構成する。
レーザー干渉計60a、60b及び60cは、基板ステージ50の周囲に配置され、基板ステージ50の位置を計測する。
測定部70は、露光装置1における光学特性、特に、投影光学系30の光学特性を測定する。測定部70は、例えば、干渉計を含んで構成され、投影光学系30の像面(露光領域)内の各点(複数の像高のそれぞれ)における波面収差を測定する機能を有する。また、測定部70は、投影光学系30の収差として、ディストーション(歪曲)を測定する機能を有していてもよい。ディストーションとは、像平面上の実際の像の位置が理想的な像の位置からどれだけずれているかを表す量であり、像平面上(露光領域内)の各点で測定することが可能である。測定部70は、当業界で周知のいかなる構成をも適用することができるため、ここでの詳しい構造及び動作の説明は省略する。
制御部90は、CPUやメモリなどを含み、露光装置1の各部の動作を制御しうる。制御部90は、例えば、レチクルステージ20及び基板ステージ50のスキャン(走査)動作を制御しうる。また、制御部90は、本実施形態では、測定部70の測定結果に基づいて、調整部80による投影光学系30の光学素子、レチクルステージ20及び基板ステージ50の少なくとも1つの調整量を、線形計画法を用いて求める(算出する)。更に、制御部90は、線形計画法を用いて求めた当該調整量に基づいて、調整部80を制御する。制御部90による当該調整量の求め方については後で詳細に説明する。
図2は、レチクル10、投影光学系30に含まれる光学素子302及び304、並びに、基板40の可動方向(駆動方向)の一例を模式的に示す図である。レチクル10は、調整部80及びレチクルステージ20を介して6自由度(即ち、矢印x、y、z、ωx1、ωy1及びωz1の示す自由度)において位置調整される。光学素子302は、調整部80を介して同様に6自由度(矢印x、y、z、ωx2、ωy2及びωz2の示す自由度)において位置調整される。同様に、光学素子304は、6自由度(即ち、矢印x、y、z、ωx3、ωy3及びωz3の示す自由度)において位置調整される。また、基板40は、調整部80及び基板ステージ50を介して6自由度(即ち、矢印x、y、z、ωx4、ωy4及びωz4の示す自由度)において位置調整される。
以下、露光装置(投影光学系30)の光学特性(収差ともいう)の調整方法について説明する。図3は、露光装置1における光学特性の調整を説明するためのフローチャートである。光学特性の調整は、上述したように、制御部90が露光装置1の各部を統括的に制御することで行われうる。
S302では、測定部70を介して、投影光学系30の収差(波面収差)を測定する。具体的には、投影光学系30の像面(露光領域)内のH箇所ある測定点(像高)ごとに波面収差を測定する。
S304では、制御部90は、S302で測定した像高hの波面収差をJ個(J番目まで)のZernike直交関数で展開し、各々のZernike係数zjhを算出する。かかるZernike係数zjhから、線幅非対称性、像面湾曲、非点収差などにより例示される、Zernike係数に関して1次の式で表される光学特性値を求めることができる。かかるZernike係数、即ち、かかる光学特性値は、各調整対象(レチクルステージ20、基板ステージ50、光学素子302及び304)の調整量の1次関数で表されうる。そこで、本実施形態では、当該光学特性値を1次光学特性値(第2光学特性値)と称する。また、Zernike係数zjhから、Zernike係数Zjhの(重み付き)2乗和の平方根で表される光学特性値(波面収差のRMSに対応する光学特性値)を求めることができる。かかる光学特性値の2乗は、各調整対象(レチクルステージ20、基板ステージ50、光学素子302及び304)の調整量の2次関数で表されうる。そこで、本実施形態では、当該光学特性値を2次光学特性値(第1光学特性値)とも称する。
ここで、以下の説明で使用する添え字h、i、j、kを、以下の式(1)、式(2)、式(3)、式(4)で定義する。
h=1,・・・,H ・・・(1)
i=1,・・・,I ・・・(2)
j=1,・・・,J ・・・(3)
k=1,・・・,K ・・・(4)
各部の調整量を変化させた後のZernike係数zjhは、以下の式(5)で表される。式(5)において、z0jhは、像高hにおけるj番目のZernike係数の初期値(計測値)である。また、xは、k番目の調整対象の調整量、bjhkは、Zernike係数Zjhに対する各調整対象の調整量xの影響度(xの単位量当たりのZernike係数Zjhの変化量)である。
Figure 0005969848
一方、各像高hにおける波面収差rmsを以下の式(6)で表す。式(6)において、αjhは、Zernike係数Zjhに乗じる係数(正値)である。なお、波面収差rmsは、Zernike係数Zjhの2乗の重み付き和の平方根(重み付き2乗和平方根)である。ここで、重みである係数αjhは、全て1であってもよい。
Figure 0005969848
ここで、βjh =αjhjh とすると、式(6)は、以下の式(7)に置き換えられる。
Figure 0005969848
ここで、J=2のとき、波面収差rmsの上限(上限値)を表す第1ダミー変数(単に第1変数ともいう)をt2hとすると、式(7)は、以下の式(8)で表される。
Figure 0005969848
ここで、第1ダミー変数t2hを用いて、以下の式(9)、式(10)、式(11)、式(12)に示す不等式を式(8)の代わりに定める。
Figure 0005969848
式(9)〜式(12)に示す不等式を満足するβ1h及びβ2hの範囲を図4に示す。更に、0≦θ<(π/2)の範囲において、複数のθを設定して不等式の数を増やすと、図5に示すように、かかる不等式を満足するβ1h及びβ2hの範囲は円形に近づくことになる。なお、式(9)〜式(12)におけるt2hは、図4及び図5の直交座標系において、多角形の各辺の原点からの距離(原点から各辺におろした垂線の長さ)を表している。換言すれば、式(9)〜式(12)に示す不等式を満足することは、式(8)を満足することを近似している(即ち、近似的に表している)。以下では、式(9)〜式(12)に示すような不等式(制約条件式)を多角形包囲制約式と称する。
従って、式(9)〜式(12)に示す多角形包囲制約式を制約条件として用い、第1ダミー変数t2hを目的関数とすれば、線形計画法を用いて当該目的関数を最小化する調整量xを求めることができる。換言すれば、波面収差rmsを最小化する調整対象の調整量を線形計画法により求めることができる。
また、変数としてのβjhの数Jが2よりも大きい場合(J>2)には、ダミー変数をt2hからtjhまで(J−1)個用意し、以下の式(13)、式(14)、式(15)に示す不等式を制約条件に追加すればよい。このように、直前の制約条件式の上限値を含み、必ず2変数から構成される制約条件式を入れ子構造制約条件式(又は入れ子構造制約式)と称する。かかる入れ子構造制約条件式は、図6に示すような勝ち抜き方式の構造を採ってもよいし、図7に示すようなトーナメント方式の構造を採ってもよい。
Figure 0005969848
ある像高hにおいて、波面収差rmsの最大値を最小化するためには、式(8)、式(13)〜式(15)に対応する多角形包囲制約式を含む制約条件を定め、以下の式(16)を目的関数とした線形計画問題を解けばよい。なお、Jが2の場合には、t2hを第1ダミー変数(目的関数となるダミー変数)としたが、Jが2よりも大きい場合には、tjhを第1ダミー変数とし、t2h、t3h、・・・、t(j−1)hを第2ダミー変数というものとする。第2ダミー変数は、単に第2変数ともいう。
Figure 0005969848
これまでの説明を考慮して図3に戻ると、S306では、波面収差rmsの上限を規定するダミー変数t2hを用いて多角形包囲制約式(例えば、式(9)〜式(12))を定める(定義する)。換言すれば、波面収差係数を座標軸とする直交座標系において、その原点を内側に含む多角形(例えば、当該原点に重心を有する多角形)の上又はその内側の範囲内に波面収差rmsが収まることを示す制約式を定める。ここで、当該多角形の複数の辺は、それぞれ直線の方程式で表される(図4及び図5参照)。多角形包囲制約式は、より一般的には、各座標軸に波面収差係数をとった直交座標系において、その原点に重心を有する多角形又は多面体の各辺又は各面の原点からの距離が第1変数以下であることを示す波面収差係数に関して1次の複数の不等式としうる。
S308では、変数としてのβjhの数Jが2よりも大きいかどうか(J>2)を判定する。βjhの数Jが2よりも大きい場合には、S310に移行する。また、βjhの数Jが2よりも大きくない場合には、S312に移行する。
S310では、制約条件としての入れ子構造制約式(例えば、式(13)〜式(15))を定める(定義する)。2次光学特性値に対応する波面収差rmsは、J(J>2)個のZernike係数の2乗和の平方根で表される。従って、入れ子構造制約式として、(J−1)個のZernike係数の2乗和の平方根の上限値の2乗とJ個目のZernike係数の2乗との和の平方根の値が新たなダミー変数の値以上であることを示す不等式を用いて、各調整対象の調整量を求める必要がある。
S312では、上述したように、線形計画法を用いて、各調整対象(各部)の調整量を求める(決定する)。具体的には、第1ダミー変数tJhを目的関数とし、線形計画法を用いてかかるダミー関数tJhの値を最小化する各調整対象の調整量を求める。
S314では、S312で求めた調整量に基づいて、調整部80を制御する。具体的には、調整部80によって、S312で求めた調整量に従って各調整対象を駆動して、露光装置の光学特性(2次光学特性値)を調整する。
このように、本実施形態は、露光装置の2次光学特性値が上限値以下であることを複数の1次不等式で近似して表すことにより、2次光学特性値を調整するための各調整対象の調整量を得ている。そのような近似により、波面収差の最大値の最小化問題に、大規模な問題でも高速な求解が可能な線形計画法のアルゴリズムを利用することができる。また、後述するように、露光装置の1次光学特性値も同時に最適化することもできるため、露光装置の光学特性の複雑な調整を高精度、且つ、短時間で行うことができる。
露光装置において、光源から発せられた光束は、照明光学系によってレチクル10を照明する。レチクル10のパターンを反映する光は、投影光学系30によって基板40上に結像する。この際、露光装置の光学特性は、上述した調整方法によって調整され、優れた結像性能を得ることができる。従って、露光装置1は、解像力、重ね合わせ精度、スループットの少なくとも1つにおいて有利なものとなりうる。
<第2の実施形態>
本実施形態では、投影光学系30の像面内の像高hの数が複数(H箇所)である場合について説明する。この場合、像高ごと(各箇所)に定められた許容値に応じて、波面収差rmsをバランスよく最小化するためには、図8に示すように、各像高での上限値tJhを、その許容値wで除した値(正規化した値)の上限値tを以下の式(17)で定義すればよい。
Figure 0005969848
そして、式(8)、式(13)〜式(15)に対応する多角形包囲制約式及び式(17)を含む制約条件を定める。次いで、以下の式(18)を目的関数とした線形計画問題を解くことで、全ての像高において、波面収差rmsをバランスよく最小化する解を求めることができる。
Figure 0005969848
従って、図8を参照するに、S306Aでは、第1像高における波面収差rmsの上限を表すダミー変数(第3ダミー変数又は単に第3変数ともいう)を用いて多角形包囲制約式を定める(定義する)。また、S306Bでは、第1像高とは異なる第2像高における波面収差rmsの上限を表すダミー変数(第3ダミー変数)を用いて多角形包囲制約式を定める(定義する)。
S308Aでは、第1像高について、変数としてのβjhの数Jが2よりも大きいかどうか(J>2)を判定する。βjhの数Jが2よりも大きい場合には、S310Aに移行し、第1像高について、制約条件としての入れ子構造制約式を定める(定義する)。また、βjhの数Jが2よりも大きくない場合には、S311Aに移行する。
同様に、S308Bでは、第2像高について、変数としてのβjhの数Jが2よりも大きいかどうか(J>2)を判定する。βjhの数Jが2よりも大きい場合には、S310Bに移行し、第2像高について、制約条件としての入れ子構造制約式を定める(定義する)。また、βjhの数Jが2よりも大きくない場合には、S311Bに移行する。
S311Aでは、上述したように、第1像高の波面収差rmsの上限値(第3ダミー変数tJ1)を、その許容値wで除して正規化する。同様に、S311Bでは、第2像高の波面収差rmsの上限値(第3ダミー変数tJ2)を、その許容値wで除して正規化する。換言すれば、S311A及びS311Bでは、複数の像高のそれぞれに対応する波面収差rms(2次光学特性値)の上限値tJh(第3ダミー変数)を、かかる波面収差の許容値wで除して正規化する。
S312では、上述したように、線形計画法を用いて、各調整対象(各部)の調整量を求める(決定する)。具体的には、S311A及びS311Bで正規化した上限値(第3ダミー変数)の上限値を表す第1ダミー変数t(式(17))を目的関数とし、線形計画法を用いてかかる目的関数の値を最小化する各調整対象の調整量を求める。
このように、本実施形態によれば、複数の像高について、露光装置の2次光学特性値がバランスよく調整されるように各調整対象の調整量を得ることができる。
<第3の実施形態>
本実施形態では、露光装置の2次光学特性値だけではなく、1次光学特性値も調整する場合について説明する。この場合、図9に示すように、2次光学特性値の上限を表す第1ダミー変数を、1次光学特性値の上限を表す変数としても用いればよい。例えば、像高ごとにコマ収差、像面湾曲、非点収差、歪曲収差及びテレセン度などの露光装置(投影光学系30)の1次光学特性値を求める。1次光学特性値yihは、以下の式(19)に示すように、Zernike係数の線形和で表される。
Figure 0005969848
2次光学特性値と1次光学特性値とをバランスよく最適化するためには、1次光学特性値をその許容値で除した値(正規化した値)の上限値を第2の実施形態における第1ダミー変数tとすればよい(式(20))。
Figure 0005969848
そして、式(8)、式(13)〜式(15)に対応する多角形包囲制約式、式(17)及び式(20)を含む制約条件を定める。次いで、式(18)を目的関数とした線形計画問題を解くことで、全ての像高において、2次光学特性値と1次光学特性値とがバランスよく調整された解を求めることができる。
従って、図9を参照するに、S322では、上述したように、1次光学特性値を求める式を定める(即ち、1次光学特性値に対応するダミー変数を定義する)。S324では、S322で定めた1次光学特性値を、その許容値で除して正規化する。
S312では、上述したように、線形計画法を用いて、各調整対象(各部)の調整量を求める(決定する)。具体的には、S311A、S311B及びS324で正規化した各値に共通の上限値を表す第1ダミー変数tを目的関数とし、線形計画法を用いてかかる目的関数の値を最小化する各調整対象の調整量を求める。
このように、本実施形態によれば、複数の像高のそれぞれについて、露光装置(投影光学系30)の2次光学特性値及び1次光学特性値がバランスよく調整されるように各調整対象の調整量を得ることができる。
<第4の実施形態>
本実施形態におけるデバイスなどの物品の製造方法は、物体(例えば、フォトレジストが塗布された基板)に対して上記露光装置を用いてパターンの形成を行う工程(物体に対して露光を行う工程)を含みうる。また、該製造方法は、上記工程でパターンの形成を行われた物体を加工(例えば、現像又はエッチング)する工程を含みうる。更に、該製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、エッチング、レジスト剥離、ダイシング、ボンディング、パッケージング等)を含みうる。本実施形態の物品の製造方法は、従来の方法に比べて、物品の性能・品質・生産性・生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

Claims (7)

  1. レチクルを介して基板を露光する露光装置であって、
    位置、姿勢及び形状の少なくとも1つを調整可能な調整対象を含み、前記レチクルからの光を前記基板に投影する投影部と、
    前記調整対象の位置、姿勢及び形状の少なくとも1つを調整する調整部と、
    前記投影部により投影された光の波面収差係数の重み付き2乗和平方根で表される前記投影部の第1光学特性値を調整するための前記調整部による前記調整対象の調整量を求め、該調整量に基づいて前記調整部を制御する制御部と、を有し、
    前記制御部は、前記波面収差係数を表す前記調整量に関して1次の等式と、各座標軸に前記波面収差係数をとった直交座標系において、その原点に重心を有する多角形又は多面体の各辺又は各面の前記原点からの距離が第1変数以下であることを示す前記波面収差係数に関して1次の複数の不等式とを含む制約条件のもとで、前記第1変数を目的関数として、前記目的関数を最小化する前記調整量を線形計画法により求める、ことを特徴とする露光装置。
  2. 前記制約条件は、前記調整量に関して1次の式で表される前記投影部の第2光学特性値が前記第1変数以下であることを示す1次不等式を更に含む、ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
  3. 前記第1光学特性値は、J(J>2)個の波面収差係数の重み付き2乗和平方根で表され、
    前記制約条件における前記複数の不等式は、1から(J−1)番目の波面収差係数の重み付き2乗和平方根の上限値を表す第2変数の2乗とJ番目の波面収差係数の2乗との和の平方根が前記第1変数以下であることを近似的に表している、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
  4. 前記第1変数は、前記投影部の像面内の複数の箇所に関してそれぞれ与えられた前記第1光学特性値の上限値を表す第3変数をその許容値で除して得られる複数の値の上限値を表す、ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の露光装置。
  5. レチクルを介して基板を露光する露光装置において、位置、姿勢及び形状の少なくとも1つを調整可能な調整対象を含み、前記レチクルからの光を前記基板に投影する投影部により投影された光の波面収差係数の重み付き2乗和平方根で表される前記投影部の第1光学特性値を調整するための前記調整対象の調整量を求める方法であって、
    前記波面収差係数を表す前記調整量に関して1次の等式と、各座標軸に前記波面収差係数をとった直交座標系において、その原点に重心を有する多角形又は多面体の各辺又は各面の前記原点からの距離が第1変数以下であることを示す前記波面収差係数に関して1次の複数の不等式とを含む制約条件のもとで、前記第1変数を目的関数として、前記目的関数を最小化する前記調整量を線形計画法により求める、ことを特徴とする方法。
  6. 請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  7. 請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
    前記工程で露光を行われた前記基板を現像する工程と、
    を有することを特徴とするデバイスの製造方法。
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