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JP5951102B2 - 通信回線品質推定装置および受信機 - Google Patents

通信回線品質推定装置および受信機 Download PDF

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Description

本発明は、ディジタル無線通信において通信回線品質を推定する通信回線品質推定装置に関する。
ディジタル無線通信装置では、送信電力制御、適応変調といった送信モードの制御、また、受信機における復調処理に使用するために、SNR(Signal to Noise power Ratio:信号電力対雑音電力比)などの通信回線品質を測定する手段を有することが一般的である。
従来の通信回線品質推定技術としては、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を対象とした技術が下記特許文献1において開示されている。下記特許文献1では、送信機と受信機の間で既知の信号をサブキャリアにマッピングして送信するOFDM通信の受信機において、既知信号の変調成分を除去した後、隣接した既知信号間の差分の電力値を雑音電力推定値とする。次に、全受信信号電力から、推定した雑音電力推定値を減算し、所望信号電力推定値を得る。最後に、所望信号電力推定値と雑音電力推定値の比を計算することでSNR推定を実現している。
特許第4129004号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、受信機で既知信号の変調成分を除去する必要がある。そのため、通信回線品質推定に係る処理量が増える、という問題があった。また、所望信号電力推定値を、全受信信号電力と雑音電力推定値との差分で計算する。そのため、通信環境に依らず常に高い精度で通信回線品質推定を実現することが難しい、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な処理で精度良く通信回線品質推定を実施可能な通信回線品質推定装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、送信機と受信機との間で位相関係が既知の既知信号を含む前記送信機からの信号を受信する前記受信機の通信回線品質推定装置であって、規定された前記既知信号の組み合わせから求めた雑音成分の電力値を累積加算して平均化する第1の電力値算出手段と、前記既知信号の電力値を累積加算して平均化する第2の電力値算出手段と、前記第1の電力値算出手段から入力した雑音信号電力値と前記第2の電力値算出手段から入力した受信信号電力値とを用いて通信回線品質を推定する電力比計算手段と、を備えることを特徴とする。
本発明にかかる通信回線品質推定装置は、簡易な処理で精度良く通信回線品質推定を実施できる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態1の送信機の構成例を示す図である。 図2は、実施の形態1の受信機の構成例を示す図である。 図3は、実施の形態1の送信フレームのフレームフォーマットを示す図である。 図4は、実施の形態1の通信回線品質推定部の構成例を示す図である。 図5は、実施の形態2の送信フレームのフレームフォーマットを示す図である。 図6は、実施の形態2の通信回線品質推定部の構成例を示す図である。 図7は、実施の形態3の受信機の構成例を示す図である。 図8は、実施の形態3の通信回線品質推定部の構成例を示す図である。 図9は、実施の形態4のフレーム構成と信号の送信方法について例示する図である。 図10は、実施の形態4の受信機の構成例を示す図である。 図11は、実施の形態4の通信回線品質推定部の構成例を示す図である。 図12は、サブキャリア番号1を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。 図13は、サブキャリア番号3を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。 図14は、サブキャリア番号5を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。 図15は、サブキャリア番号7を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。 図16は、実施の形態5のデータ復調部の構成例を示す図である。 図17は、実施の形態5の第2の通信回線品質推定部の構成例を示す図である。
以下に、本発明にかかる通信回線品質推定装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
以下、OFDM伝送を例に説明する。図1は、本実施の形態における送信機の構成例を示す図である。送信機は、データ変調部10と、既知信号生成部11と、周波数マッピング部12と、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)部13と、CP(Cyclic Prefix)付加部14と、フレーム生成部15と、D/A変換処理部16と、高周波処理部17と、送信アンテナ18と、を備える。
次に、図1を用いて送信機の全体動作について説明する。送信機は、データ変調部10で送信したい情報ビットに対して変調処理を行う。ここの変調処理は、任意の方式が適用できる。例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)などが適用できる。既知信号生成部11は、通信回線品質推定に用いるための既知信号を生成する。周波数マッピング部12は、データ変調部10から入力されるデータ信号と、既知信号生成部11から入力される既知信号とを、所定のサブキャリアに割り当てる処理を行う。IDFT部13は、周波数マッピング部12でサブキャリア割り当てが行われた信号に対してIDFTを行い、時間領域の信号に変換する。CP付加部14は、IDFT部13で生成された時間領域の信号に対して、最後尾の所定のサンプル数をコピーし、時間領域信号の先頭に付加する処理を行う。CP付加部14までの一連の処理によって、OFDMシンボルが生成されることとなる。フレーム生成部15は、所定のフォーマットに従って、複数のOFDMシンボルをフレームと呼ばれる単位にグルーピングする。D/A変換処理部16は、ディジタル信号をアナログ信号に変換する処理を行う。高周波処理部17は、D/A変換処理部16で変換されたアナログ信号に対してアップコンバート等の所定の高周波信号処理を実施する。その後、送信アンテナ18から高周波信号処理後のアナログ信号を送信する。
図2は、本実施の形態における受信機の構成例を示す図である。受信機は、受信アンテナ20と、高周波処理部21と、A/D変換処理部22と、CP除去部23と、DFT(Discrete Fourier Transform)部24と、データ復調部25と、通信回線品質推定部26と、を備える。
次に、図2を用いて受信機の全体動作について説明する。受信アンテナ20で受信した高周波無線信号に対して、高周波処理部21において、ダウンコンバート等の所定の高周波信号処理を実施後、A/D変換処理部22が、ディジタル信号に変換する。CP除去部23は、OFDMシンボルの先頭に付加されているCPを除去する。DFT部24は、CPが除去されたOFDMシンボルに対してDFTを行い、周波数領域の受信信号に変換する。通信回線品質推定部26は、周波数領域の受信信号からSNRを推定する。データ復調部25は、周波数領域の受信信号と、通信回線品質推定部26で推定したSNRとを用いて、送信データを復調する。
以下、本実施の形態で特徴的な部分である通信回線品質推定について詳細に説明する。図3は、フレーム生成部15で生成した本実施の形態の送信フレームのフレームフォーマットを示す図である。図3では、2フレーム分の信号を図示しており、フレーム30が1フレーム目、フレーム31が2フレーム目に相当する。1フレームは、周波数軸方向に4サブキャリア、時間軸方向に7OFDMシンボルで構成されている。各フレーム内の信号について、x0〜x3およびy0〜y3は、それぞれ既知信号生成部11で生成された既知信号を示す。ここで、既知信号は、x0=−y0,x1=−y1,x2=−y2,x3=−y3の関係を満たしていれば、任意の信号を用いてよい。また、フレーム内の「d」で示した信号は、データ変調部10で生成された送信データである。
図4は、受信機における本実施の形態の通信回線品質推定部26の構成例を示す図である。通信回線品質推定部26は、パイロット加算部40と、第1の電力計算部41と、第1の平均化処理部42と、第2の電力計算部43と、第2の平均化処理部44と、電力比計算部45と、を備える。パイロット加算部40および第2の電力計算部43には、DFT部24の出力である周波数領域の受信信号が入力されている。なお、パイロット加算部40、第1の電力計算部41および第1の平均化処理部42で第1の電力値算出手段を構成し、第2の電力計算部43および第2の平均化処理部44で第2の電力値算出手段を構成する。
以下、図3に示したフレームフォーマットの信号を送受信する場合を例に用いて、通信回線品質推定部26の動作を説明する。なお、説明の便宜上、図3に示したフレームのうち、x0〜x3およびy0〜y3がマッピングされているOFDMシンボルのことを、それぞれ、先頭パイロットOFDMシンボル、2番目のパイロットOFDMシンボル、と呼ぶこととする。また、本実施の形態における通信回線品質推定部26は、各パイロットOFDMシンボルでのみ動作し、送信データがマッピングされているOFDMシンボルでは動作しないものとする。
パイロット加算部40は、周波数領域の受信信号を受け取ると、先頭パイロットOFDMシンボルを受信した際には信号をそのまま蓄積し、2番目のパイロットOFDMシンボルを受信した際には、蓄積している先頭パイロットOFDMシンボルに対して、2番目のパイロットOFDMシンボルを、サブキャリア毎に加算する処理を行う。前述したように、各パイロットOFDMシンボルで伝送している既知信号は、x0=−y0,x1=−y1,x2=−y2,x3=−y3の関係があることから、パイロット加算部40の処理によって、既知信号成分がキャンセルされることとなる。その結果、所望信号以外の雑音成分のみが残留する。パイロット加算部40は、処理結果を第1の電力計算部41へ出力する。
第1の電力計算部41は、パイロット加算部40から入力された信号の電力値をサブキャリア毎に計算した後、1OFDMシンボル分累積加算する。第1の電力計算部41は、計算した電力値を、第1の平均化処理部42へ出力する。
第1の平均化処理部42は、第1の電力計算部41から入力された電力値を複数フレームに渡り平均化する。平均化方法に関して特に制約はなく、例えば、所定の平均化フレーム数で算術平均を計算する方法などがある。第1の平均化処理部42は、平均化した電力値を、電力比計算部45へ出力する。
第2の電力計算部43は、周波数領域の受信信号に対して、パイロットOFDMシンボル毎に電力値を計算する。第2の電力計算部43は、計算した電力値を、第2の平均化処理部44へ出力する。
第2の平均化処理部44は、第2の電力計算部43から入力されたパイロットOFDMシンボルの電力値を複数OFDMシンボルおよび複数フレームに渡り平均処理を実施する。第1の平均化処理部42と同様、平均化方法は任意の方法を適用できる。第2の平均化処理部44は、平均化したパイロットOFDMシンボルの電力値を、電力比計算部45へ出力する。
電力比計算部45は、第1の平均化処理部42から入力された雑音信号の電力値(以下、αと表わす)と、第2の平均化処理部44から入力された受信信号の電力値(以下、βと表わす)との比(以下、zと表わす)を次に示す式(1)のように計算する。
z=(β−α×0.5)/(α×0.5) …(1)
ここで、αに乗じる係数0.5は、パイロット加算部40におけるパイロットOFDMシンボル同士を加算する処理によって雑音成分が2倍になるため、それを打ち消すために導入している。式(1)によって、SNRが求められる。電力比計算部45は、計算したSNRを、データ復調部25へ出力する。SNRは、データ復調部25において所定の復調処理のために使用される。
本実施の形態において、送信機は、自機と受信機との間で位相関係が既知の既知信号を受信した受信機が既知信号の組み合わせにおいて加算または減算により求めた雑音成分の電力値を用いて通信回線品質を推定する場合に、受信機に対して既知信号を含む信号を送信する送信手段を備えている。送信機からの信号を受信した受信機の通信回線品質推定装置である通信回線品質推定部26では、規定された既知信号の組み合わせから求めた雑音成分の電力値を累積加算して平均化し、また、既知信号の電力値を累積加算して平均化し、平均化された2つの電力値を用いて通信回線品質を推定する。このとき、受信機では、パイロット成分を除去するために、受信信号に対して既知パイロット信号の逆変調成分を乗算するような処理は不要である。
以上説明したように、本実施の形態では、送信機において、位相関係がx0=−y0,x1=−y1,x2=−y2,x3=−y3のように逆位相となるような既知信号を用いてパイロットOFDMシンボルを生成する構成とした。また、受信機において、逆位相の既知信号を加算することで既知信号成分を除去し、雑音電力推定を実施する構成とした。これにより、受信機において既知信号の変調成分を除去する処理を行うことなく、簡易な処理で通信回線品質推定を実現することができる。
なお、本実施の形態では、パイロットOFDMシンボルを構成する既知信号として、逆位相となる信号を用いる構成としたが、位相関係が既知でさえあれば逆位相となる信号に限定されない。例えば、同一の信号を送信し、パイロット加算部40においてパイロットOFDMシンボル同士の減算を行う構成とすれば同一の効果を実現できる。
また、本実施の形態では、x0〜x3,y0〜y3をそれぞれ一つのパイロットOFDMシンボルに割り当てる構成としたが、この組合せは任意の構成にしてよい。例えば、先頭パイロットOFDMシンボルにx0,y0,x1,y1を割り当て、2番目のパイロットOFDMシンボルにx2,y2,x3,y3と割り当ててもよい。この場合、パイロット加算部40では、先頭パイロットOFDMシンボルを処理するタイミングでは、x0+y0,x1+y1が計算されるように、先頭パイロットOFDMシンボル内でサブキャリア方向に加算処理を実行する。2番目のパイロットOFDMシンボルを処理するタイミングでも同様に、x2+y2,x3+y3が計算されるように、サブキャリア方向に加算処理を実行する。このような構成とすると、先頭パイロットOFDMシンボルを処理する際に生じる、信号蓄積による処理遅延が生じないという効果が得られる。更に、位相関係が既知である信号の配置パターンは必ずしも隣接サブキャリア、隣接OFDMシンボルに割り当てる必要はなく、任意の場所とすることができる。この場合は、パイロット加算部40において、位相関係が既知である信号同士を適切に選択して加算処理を行えばよい。
また、本実施の形態では、1OFDMシンボルが既知信号のみで構成されるパイロットOFDMシンボルと、送信データのみで構成されるOFDMシンボルとが時間多重されるフレーム構成としているが、既知信号と送信データが同一OFDMシンボルの異なるサブキャリアに割り当てられる構成としてもよい。この場合、通信回線品質推定部26は、既知信号がマッピングされているサブキャリアに対してのみその処理を実行することとなる。このような構成を用いた場合、図3のように間欠的にパイロットOFDMシンボルが挿入されるのではなく、時間的に連続して既知信号を挿入することができるため、通信環境の変動に追従しやすいという効果をもたらす。
また、本実施の形態では、パイロット加算部40において同一フレーム内の先頭パイロットOFDMシンボルと、2番目のパイロットOFDMシンボルとの間でサブキャリア毎の加算を行う構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、先頭フレームの2番目のパイロットOFDMシンボルと、2フレーム目の先頭パイロットOFDMシンボルとの間で加算する構成としてもよい。この場合、雑音信号電力を計算するシンボル数が増えるため、精度よく通信回線品質を推定できる。
また、本実施の形態では、通信回線品質として、OFDMシンボルが占める全帯域幅に対するSNRを算出することとしたが、例えば、サブキャリア当たりのSNRを算出する構成にしてもよい。この場合、式(1)を求めるために使用したαおよびβを、1OFDMシンボル分の電力値から、サブキャリア当たりの電力値となるようにすればよい。
また、本実施の形態では、通信回線品質推定部26において、DFT部24から入力される周波数領域の受信信号を用いて通信回線品質推定を行う構成としたが、この構成に限定されず、例えば、DFTを行う前の時間領域信号を用いる構成としてもよい。この場合、時間領域信号のなかに、パイロット加算部40で加算する信号同士が逆位相となるような部分が含まれるように既知信号を設計すればよい。また、第2の電力計算部43の処理を時間領域信号を用いて実行し、パイロット加算部40〜第1の電力計算部41の処理を周波数領域信号を用いて実行する構成としてもよいし、その逆の構成も取りうる。
また、本実施の形態では、所望信号電力を推定するために、パイロットOFDMシンボルの全電力値から、推定した雑音電力値を減算する構成としたが、送信データがマッピングされているOFDMシンボルの全電力値から、推定した雑音電力値を減算する構成としてもよい。この場合、パイロットOFDMシンボルと送信データがマッピングされているOFDMシンボルとの送信電力比があらかじめ既知である場合、通信回線品質推定部26において電力比を考慮した平均化を行えばよい。このような構成にすることで、送信データがマッピングされているOFDMシンボルも使用して所望信号電力を推定することができ、通信回線品質の推定精度向上が期待できる。
実施の形態2.
本実施の形態では、1フレーム内に複数のパイロットOFDMシンボルを配置し、通信回線品質推定の実施要否を適宜判断する構成とする。実施の形態1と異なる部分について説明する。
図5は、フレーム生成部15で生成した本実施の形態の送信フレームのフレームフォーマットを示す図である。図5では、フレーム50が本実施の形態における1フレームを示す。本実施の形態では、フレーム内の先頭のOFDMシンボルと、2番目のOFDMシンボルと、6番目のOFDMシンボルと、10番目のOFDMシンボルが、パイロットOFDMシンボルとなっており、その他は送信データから構成されている。ここで、既知信号は、x00=−y00=x10=−y10,x01=−y01=x11=−y11,x02=−y02=x12=−y12,x03=−y03=x13=−y13の関係が成り立つように既知信号生成部11で生成される。また、x00〜x03が割り当てられたOFDMシンボルを先頭パイロットOFDMシンボルと、y00〜y03が割り当てられたOFDMシンボルを2番目のパイロットOFDMシンボルと、x10〜x13が割り当てられたOFDMシンボルを3番目のパイロットOFDMシンボルと、y10〜y13が割り当てられたOFDMシンボルを4番目のパイロットOFDMシンボルと、それぞれ呼ぶこととする。
図6は、受信機における本実施の形態の通信回線品質推定部26の構成例を示す図である。なお、図6において、図4と同一の機能を有する部分は同一の番号を付してその説明を省略する。通信回線品質推定部26は、パイロット加算部40と、第1の電力計算部41と、第1の平均化処理部42と、第2の電力計算部43と、第2の平均化処理部44と、電力比計算部45と、制御部60と、しきい値判定部61と、を備える。DFT部24の出力である周波数領域の受信信号は、制御部60を介してパイロット加算部40および第2の電力計算部43に入力されている。
制御部60およびしきい値判定部61は、推定されたSNR値と所定の条件とを比較して、通信回線品質推定を実施するか否かを切り替える処理を実施する。以下、制御部60およびしきい値判定部61の動作を中心に説明する。
制御部60は、先頭のパイロットOFDMシンボルと2番目のパイロットOFDMシンボルを処理するタイミングでは、入力された周波数領域の受信信号をそのままパイロット加算部40および第2の電力計算部43へ出力し、実施の形態1で説明した方法を用いて通信回線品質推定を行う。電力比計算部45は、計算したSNRを、データ復調部25とともにしきい値判定部61へ出力する。
しきい値判定部61は、入力されたSNRと、通信回線品質推定を終了するか継続するかを判定する判定しきい値とを比較し、SNRが判定しきい値より大きい場合は通信回線品質が良好であるとして、通信回線品質推定終了を通知する信号を制御部60へ出力する。また、しきい値判定部61は、SNRが判定しきい値より小さい場合は通信回線品質が劣悪であるとして、通信回線品質推定を継続することを通知する信号を制御部60へ出力する。
制御部60は、3番目のパイロットOFDMシンボルの処理タイミングにおいて、しきい値判定部61から通信回線品質推定終了を通知する信号を受け取っている場合は、パイロット加算部40および第2の電力計算部43に対して周波数領域の受信信号を出力せず、通信回線品質推定部としてSNR推定を行わないように制御する。一方、制御部60は、しきい値判定部61から通信回線品質推定を継続することを通知する信号を受け取っている場合は、周波数領域の受信信号をパイロット加算部40および第2の電力計算部43に出力し、通信回線品質推定を実施する。このとき、パイロット加算部40は、2番目のパイロットOFDMシンボルと、3番目のパイロットOFDMシンボルとを加算して処理を継続することとなる。
このように、パイロット加算部40において位相関係が既知のパイロットOFDMシンボルの最初の組み合わせ(先頭のパイロットOFDMシンボルと2番目のパイロットOFDMシンボル)を用いて雑音成分の電力値を求めている場合に、しきい値判定部61が通信回線品質推定の終了または継続を判定すると、制御部60は、2番目以降の組み合わせの位相関係が既知のパイロットOFDMシンボル(3番目以降のパイロットOFDMシンボル)の出力を制御する。
以上説明したように、本実施の形態では、先頭のパイロットOFDMシンボルと2番目のパイロットOFDMシンボルとを用いて推定した通信回線品質に基づいて、フレーム内の後続するパイロットOFDMシンボルにおいて通信回線品質推定を実施するか否かを決定する構成とした。通信回線品質が良好な条件では、通信回線品質推定に用いるパイロットOFDMシンボル数は比較的少なくても高い精度で通信回線品質を推定することが期待でき、通信回線品質が劣悪な条件では、通信回線品質推定精度を高くするためには多くのパイロットOFDMシンボル数が必要であると考えられるためである。これにより、実際の通信回線品質に応じて、通信回線品質推定に用いるパイロットOFDMシンボル数を制御することが可能となる。その結果、推定精度の劣化を抑えながら受信機の処理量削減効果が期待できる。
なお、本実施の形態では、しきい値判定部61において、SNRに対して判定しきい値を設定する構成としたが、しきい値判定部61の動作を決めるパラメータはこれに限定されず、例えば、周波数領域の受信信号に残留している残留周波数オフセット量をも考慮し、周波数オフセットが大きく且つSNRが高い場合は3番目および4番目のパイロットOFDMシンボルを用いない構成とすることもできる。図5のフレーム構成では、2番目〜4番目のパイロットOFDMシンボルの間隔が広いため、周波数オフセットがある状況では、パイロット加算部40の処理で完全に既知信号成分が除去できず、推定精度が落ちる可能性がある。この影響は、通信回線品質が良好であるほど顕著に現れるため、しきい値判定部61においてSNRと周波数オフセットとを考慮して動作を切り替える構成とすることで、通信回線品質推定精度劣化を回避することができる。
また、本実施の形態では図5に例示したフレーム構成を適用したが、実施の形態1と同様にフレーム構成に制約はない。例えば、フレーム先頭により多くのパイロットOFDMシンボルを配置し、フレーム内部ではより間隔を広げてパイロットOFDMシンボルを配置してもよい。
実施の形態3.
本実施の形態では、伝送路推定結果を用いて通信回線品質を推定する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
図7は、本実施の形態における受信機の構成例を示す図である。なお、図7において、図2と同一の機能を有する部分は同一の番号を付してその説明を省略する。受信機は、受信アンテナ20と、高周波処理部21と、A/D変換処理部22と、CP除去部23と、DFT部24と、データ復調部25と、伝送路推定部70と、通信回線品質推定部71と、を備える。DFT部24の処理結果である周波数領域の受信信号は、データ復調部25、伝送路推定部70、および通信回線品質推定部71にそれぞれ入力されている。
伝送路推定部70は、データ復調部25における復調処理のために必要な、送信機と受信機との間の無線伝送路の応答を推定する。伝送路推定部70で適用する無線伝送路応答の推定方法には、例えば、パイロットOFDMシンボルにおいてサブキャリア毎に受信した既知信号と、受信機であらかじめ保持しておいた既知信号のレプリカとを比較することで、無線伝送路で受けた波形歪みを推定する方法などが広く知られており、このような一般的な方法を適用可能である。以降は、伝送路推定部70における伝送路推定結果として、サブキャリア毎の周波数伝達関数が推定されるものと仮定して説明する。伝送路推定部70は、伝送路推定結果をデータ復調部25および通信回線品質推定部71へ出力する。伝送路推定結果は、データ復調部25においてデータ復調処理に使用されるとともに、通信回線品質推定部71において通信回線品質推定に使用される。
図8は、受信機における本実施の形態の通信回線品質推定部71の構成例を示す図である。なお、図8において、図4と同一の機能を有する部分は同一の番号を付してその説明を省略する。通信回線品質推定部71は、パイロット加算部40と、第1の電力計算部41と、第1の平均化処理部42と、第2の電力計算部43と、第2の平均化処理部44と、(第1の)電力比計算部45と、第3の電力計算部80と、第3の平均化処理部81と、第2の電力比計算部82と、通信回線品質推定結果出力部83と、を備える。伝送路推定部70の出力である伝送路推定結果は、第3の電力計算部80に入力されている。また、DFT部24の出力である周波数領域の受信信号は、パイロット加算部40および第2の電力計算部43に入力されている。なお、第3の電力計算部80および第3の平均化処理部81で第3の電力値算出手段を構成する。
第3の電力計算部80は、入力されたサブキャリア毎の周波数伝達関数に対して、サブキャリア毎に電力値を計算し、1OFDMシンボル分累積加算した後、第3の平均化処理部81へ出力する。
第3の平均化処理部81は、入力された電力値を平均化する。平均化方法は、算術平均等、任意の方法を適用できる。平均結果は、第2の電力比計算部82へ出力する。
一方、パイロット加算部40〜(第1の)電力比計算部45は、実施の形態1と同様の処理を実行し、SNRを計算する。ここで、第1の平均化処理部42は、処理結果を、(第1の)電力比計算部45に加えて、第2の電力比計算部82に対しても出力する。また、(第1の)電力比計算部45は、処理結果を、通信回線品質推定結果出力部83に対して出力する。
第2の電力比計算部82は、第3の平均化処理部81から入力した伝送路推定結果の電力値(以下、γと表わす)と、第1の平均化処理部42から入力した雑音信号の電力値αとの比(以下、yと表わす)を次に示す式(2)のように計算する。
y=γ/(α×0.5) …(2)
第2の電力比計算部82は、計算した電力比yを、通信回線品質推定結果出力部83へ出力する。
通信回線品質推定結果出力部83は、第2の電力比計算部82から入力した電力比yと、所定の選択しきい値とを比較して、電力比yが選択しきい値より小さい場合は電力比yを出力し、電力比yが選択しきい値より大きい場合は、(第1の)電力比計算部45から入力した電力比zを出力する。すなわち、通信回線品質推定結果出力部83は、電力比yの計算結果に応じて、通信回線品質推定部71から出力する通信回線品質推定値を電力比yと電力比zで切り替えるように制御する。
通信回線品質推定部71は、通信回線品質推定値をデータ復調部25へ出力する。通信回線品質推定部71から出力される通信回線品質推定値は、データ復調部25においてデータ復調処理に使用される。
以上説明したように、本実施の形態では、実施の形態1で説明した通信回線品質推定部に対して、伝送路推定部70で推定した伝送路推定結果の電力値を用いて電力比yを計算できる構成とした。更に、電力比yと所定の選択しきい値を比較した結果に応じて、通信回線品質推定部の出力として電力比yと電力比zを切り替え可能な構成とした。一般に、SNRが非常に低い通信環境では、実施の形態1で例示した式(1)の電力比計算方法では、良好な精度でSNRを計算できない場合が生じる。本実施の形態の構成を用いることにより、異なる二つの基準からSNRを計算できるため、実際の通信環境に依らず、広範なSNRの範囲に対して良好な通信回線品質推定手段を提供することが可能となる。
また、本実施の形態では、通信回線品質推定結果出力部83において、電力比yと選択しきい値とを比較する構成としたが、電力比zと選択しきい値とを比較する構成としてもよい。また、実施の形態2に例示した構成と、実施の形態3に例示した構成とを組み合わせることもできる。
更に、電力比計算部45および第2の電力比計算部82で計算した電力比yと電力比zに対して、補正係数をかける構成としてもよい。このような構成とすることで、例えば、伝送路推定部70で推定した伝送路推定結果の電力値に固定的な誤差が生じているような場合に、通信回線品質推定結果から誤差量を取り除くことができ、良好な推定精度を維持することができる。
また、本実施の形態では、通信回線品質推定結果出力部83において、電力比yと電力比zを条件に応じて切替える構成としたが、例えば、電力比yと電力比zとを、しきい値判定の結果に応じて重みづけ合成して通信回線品質推定結果とすることもできる。更に、選択しきい値として複数用意しておき、電力比yを出力する場合、電力比yと電力比zを重みづけ合成して出力する場合、電力比zを出力する場合、のような条件分岐とすることもできる。
また、通信回線品質推定結果出力部83において、重みづけ合成方法には任意の手法を用いることができる。例えば(y+z)/2のように単純平均することができる。重みづけ合成する構成とすることで、電力比yと電力比zの双方の推定結果を用いた高精度な通信回線品質推定を実現できる。更に、電力比zは計算せず、電力比yのみを用いて通信回線品質推定を実施する構成としてもよい。このような構成は、電力比zでは十分な推定精度が確保できないような非常に低SNRな環境のみで通信を行う場合に、簡易な構成で良好な推定精度を実現できるという効果を期待できる。
以上、本発明の詳細を例示したが、本発明の範囲は上記で説明した実施の形態に限定されず、考えうるあらゆる構成がその範囲に含まれる。
実施の形態4.
本実施の形態では、時間領域のシンボルに関して、シンボル内の所定のサンプル位置のサンプルが毎シンボル固定位相をとる信号を送信機から送信し、受信機において前記サンプルの差分をシンボル間で計算することで雑音電力推定を実施する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
図9は、本実施の形態におけるフレーム構成と信号の送信方法について例示する図である。送信機から送信される送信フレームのフレームフォーマットを示すものである。図9では1フレーム分の信号を示しており、2シンボル配置されたパイロットシンボル90と、4シンボル配置されたデータシンボル91と、から構成される。図9では、各シンボルは8サブキャリアを有する。
本実施の形態では、全サブキャリアの中から信号送信が可能なサブキャリアを複数設定し、これらのサブキャリアをサブキャリアセットと定義する。ここでは、図9において、斜線で示したサブキャリア(1番目、3番目、5番目、7番目の4つのサブキャリア)をサブキャリアセットとする。また、サブキャリアセットを構成するサブキャリアは、互いに等間隔となるように選択する。
送信機では、パイロットシンボルにおいて、サブキャリアセットの中からあらかじめ定められたサブキャリアを選択して送信し、データシンボルにおいて、情報ビットに応じてサブキャリアセットの中からサブキャリアを選択して送信する。図9では、各シンボルで選択されたサブキャリアを「1」で表している。なお、ここでは、2シンボルのパイロットシンボルで同一のサブキャリアを選択するようにしている。
図10は、本実施の形態における受信機の構成例を示す図である。受信機は、受信アンテナ20と、高周波処理部21と、A/D変換処理部22と、CP除去部23と、DFT部24と、データ復調部25と、通信回線品質推定部100と、を備える。本実施の形態では、通信回線品質推定部100は、CP除去部23から入力される時間領域のシンボルを用いて通信回線品質推定の処理を行い、処理結果をデータ復調部25へ出力する。
次に、通信回線品質推定部100の動作を説明する。図11は、本実施の形態における通信回線品質推定部100の構成例を示す図である。通信回線品質推定部100は、第1の電力計算部41と、第1の平均化処理部42と、第2の電力計算部43と、第2の平均化処理部44と、電力比計算部45と、セレクタ110,111と、パイロット減算部112と、サンプル減算部113と、サンプル電力計算部114と、を備える。なお、セレクタ110、パイロット減算部112、第1の電力計算部41、サンプル減算部113、サンプル電力計算部114、セレクタ111および第1の平均化処理部42で第1の電力値算出手段を構成し、第2の電力計算部43および第2の平均化処理部44で第2の電力値算出手段を構成する。
セレクタ110は、CP除去部23から受け取る時間領域のシンボルを出力する信号経路を切り替える処理を行う。具体的に、セレクタ110は、パイロットシンボルを処理するタイミングでは時間領域のシンボルをパイロット減算部112へ出力し、データシンボルを処理するタイミングでは時間領域のシンボルをサンプル減算部113へ出力する。
パイロット減算部112は、先頭のパイロットシンボルを処理するタイミングでは信号をそのまま蓄積し、2番目のパイロットシンボルを処理するタイミングでは、蓄積している先頭のパイロットシンボルから2番目のパイロットシンボルを、同一サンプルタイミング間で減算する処理を行う。パイロット減算部112は、減算した演算結果を第1の電力計算部41へ出力する。
第1の電力計算部41は、パイロット減算部112より入力されたサンプル毎の減算結果に対してサンプル毎に電力値を計算した後、電力値を1シンボル分累積加算してセレクタ111へ出力する。
サンプル減算部113は、サブキャリアセットによって決定される、シンボル内の特定サンプルのみを抽出する。サンプルの抽出方法の詳細を以下に説明する。本実施の形態では、8本のサブキャリアの中から1番目、3番目、5番目、7番目、のサブキャリアをサブキャリアセットとして定義している。各シンボルは、一つのサブキャリアにだけ信号成分が存在するため、時間領域波形は使用するサブキャリア番号によって周波数が決まる正弦波となる。この様子を図12〜15に例示する。図12は、サブキャリア番号1を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。図13は、サブキャリア番号3を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。図14は、サブキャリア番号5を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。図15は、サブキャリア番号7を使用した場合の時間領域のシンボルを示す図である。図12〜15において、横軸はシンボル内のサンプル番号を示す。図12〜15より、0番目のサンプルと4番目のサンプルは、選択するサブキャリア番号に依らず同一の位相を取ることがわかる。サンプル減算部113では、このように、サブキャリア番号に依らず共通の位相を取るサンプル(ここでは、0番目のサンプルと4番目のサンプル)のみを抽出する。
サンプル減算部113は、上記で示すようなサブキャリア番号に依らず共通の位相を取るサンプルの抽出を行った後、フレーム内の初回のデータシンボルを処理するタイミングでは信号をそのまま蓄積する。サンプル減算部113は、2番目のデータシンボルを処理するタイミングでは、初回のデータシンボルと同一のサンプル位置のサンプルを抽出し、蓄積している初回のデータシンボルから抽出されたサンプルとの間で、同一サンプル位置同士で差分を計算し、計算した結果をサンプル電力計算部114へ出力する。上述したように、シンボル間で同一位相を取るサンプルのみを抽出して差分計算を行っているため、差分結果には雑音成分のみが残留することとなる。また、サンプル減算部113は、2番目以降のデータシンボルを処理する場合には、次のデータシンボルを処理するタイミングで引き続き差分計算を行えるように、抽出したサンプルを蓄積しておく。
サンプル電力計算部114は、サンプル減算部113から入力される信号に対して、サンプル毎に電力値を計算した後、シンボル内で総和を計算する。ここで、サンプル減算部113において前述した条件を満たすサンプルのみを抽出しているので、サンプル電力計算部114における電力値の総和計算も抽出されたサンプル数分だけ加算する処理となる。サンプル電力計算部114は、最後に、電力値の総和計算結果が全サンプルの電力値に相当する値となるように補正を行う。サンプル電力計算部114は、具体的に、電力値の総和計算結果に対してシンボル内の全サンプル数を乗じた後、抽出サンプル数で割る処理を行う。
セレクタ111は、第1の電力計算部41とサンプル電力計算部114から信号を受け取れるように構成されており、パイロットシンボルを処理するタイミングでは第1の電力計算部41からの入力を第1の平均化処理部42へ出力し、データシンボルを処理するタイミングではサンプル電力計算部114からの入力を第1の平均化処理部42へ出力するように信号経路を切り替える。
第1の平均化処理部42は、セレクタ111から入力された信号をシンボル間で平均化した後、電力比計算部45へ出力する。
第2の電力計算部43および第2の平均化処理部44については、実施の形態1(図4参照)と同等の処理を行う。なお、第2の電力計算部43に対する入力は、実施の形態1と異なり時間領域のシンボルであるが、サンプル毎に電力値を計算した後、1シンボル分の総和を計算することで同様の計算ができる。更に、本実施の形態では、実施の形態1と異なり、第2の電力計算部43に対してデータシンボルも入力されるが、パイロットシンボルとデータシンボルとの間で特に処理内容に違いは無い。第2の平均化処理部44は、平均化された1シンボル当たりの電力値を電力比計算部45へ出力する。
電力比計算部45は、実施の形態1と同様の処理を行うことでSNRを計算し、データ復調部25へ出力する。
以上説明したように、本実施の形態では、信号送信に使用できるサブキャリアをサブキャリアセットとして定義し、送信機において、サブキャリアセット内から1本のサブキャリアを用いて信号を送信することで、異なるシンボル間で同一の位相を取るサンプルが出現するように構成した。更に、受信機において、通信回線品質推定部100が、同一の位相を取るサンプルを抽出し、抽出したサンプル間で差分計算を行うことで雑音成分を推定する構成とした。これにより、既知のパイロットシンボル部分に加えてデータシンボル部分でも通信回線品質推定を実施でき、通信回線品質推定精度が向上するという効果が得られる。
なお、本実施の形態では、シンボル間で同一の位相を取るサンプルが出現するような信号を送信するためにサブキャリアセットを定義し、各シンボルではサブキャリアセットの中から1サブキャリアを選択して送信する構成としたが、これに限定するものではなく、送信シンボル間で同一サンプル位置に同一位相が出現するように構成できれば任意の送信方法が適用できる。
また、本実施の形態では、送信シンボル間で同一サンプル位置に同一位相が出現するように構成したが、必ずしも同一位相である必要は無く、送信シンボル間で既知の固定位相差が出現するような信号を送信することにしてもよい。この場合、通信回線品質推定部100は、送信シンボル間で該当サンプルの差分を計算するのではなく、前記固定位相差をキャンセルできるような位相回転を片方のサンプルに乗じてから減算することで、通信回線品質推定が達成できる。なお、サンプル間の位相が逆位相になるような位相回転を片方のサンプルに乗じてからサンプルを加算することでも同一の効果が得られる。
また、本実施の形態では、パイロットシンボルは同一サブキャリアで信号を送信する構成としたが、パイロットシンボル間で送信するサブキャリアを変更してもよい。その場合、通信回線品質推定部100は、シンボルタイミングに依らず常にサンプル減算部113およびサンプル電力計算部114を使用して雑音電力を推定するように構成すればよい。パイロットシンボル間でサブキャリアを変更することは、例えば、周波数選択性フェージング対策として有効であると考えられ、このようなシステムにも適用できる。また、パイロットシンボル数についても2シンボルに限定する必要は無く、2シンボル以上であれば任意の個数とすることができる。この場合、パイロット減算部112は、2番目以降のパイロットシンボルを処理する際に、パイロットシンボル間の減算処理に加えて、1番目のパイロットシンボルの場合と同様に信号を蓄積し、次のパイロットシンボルとの間の差分計算ができるように構成するとよい。
また、本実施の形態では、パイロットシンボルとデータシンボルの双方に関して、同一のサブキャリアセットを定義する構成としたが、例えば、パイロットシンボルとデータシンボルで別のサブキャリアを用いてサブキャリアセットを定義してもよいし、パイロットシンボルは実施の形態1〜3と同様に全サブキャリアを使用し、データのみ本実施の形態のようにサブキャリアセットを定義する構成としてもよい。これらの構成にすることで、周波数選択性フェージング等への耐性を強くでき、通信品質向上を実現できる。
更に、本実施の形態では、サンプル電力計算部114において、抽出したサンプルの電力値を全サンプルの電力値に換算する処理を行っているが、抽出したサンプルの電力値のままで平均化を行い、最後に電力比計算部45で全サンプルの電力値に変換してからSNRを計算する構成としてもよい。この場合、平均化が完了した電力推定値に対して1回だけ補正を行うため、推定値のバラつきを抑えた精度のよい通信回線品質推定結果が得られる。
実施の形態5.
本実施の形態では、受信信号から波形歪みを除去した後の信号を用いて通信回線品質推定を実施する。実施の形態3,4と異なる部分について説明する。
本実施の形態におけるフレームフォーマットは、実施の形態4と同様に図9のものを用いることとする。また、受信機の全体構成は、実施の形態3における図7と同一であるが、データ復調部25の内部に第2の通信回線品質推定部を備える。図16は、本実施の形態におけるデータ復調部25の構成例を示す図である。本実施の形態において、データ復調部25は、等化処理部160と、等化係数算出部161と、シンボル判定部162と、第2の通信回線品質推定部163と、を備える。
次に、本実施の形態におけるデータ復調部25の動作を説明する。図16に示すデータ復調部25では、等化処理部160には、図7に示すDFT部24から周波数領域の受信信号が入力され、等化係数算出部161には、伝送路推定部70から伝送路推定結果と、通信回線品質推定部71から通信回線品質推定値とが入力され、第2の通信回線品質推定部163には、通信回線品質推定部71から通信回線品質推定値が入力されている。
等化処理部160は、データシンボルを処理するタイミングにおいて、周波数領域の受信信号に対して、サブキャリア毎に等化係数算出部161から入力される等化係数を乗じて信号歪みを補償する。等化処理部160は、処理結果である信号歪みが補償されたデータシンボルを、シンボル判定部162および第2の通信回線品質推定部163へ出力する。
シンボル判定部162は、等化処理部160から入力された信号歪みが補償されたデータシンボルを用いて、送信機で送信されている情報信号の判定を行う。
等化係数算出部161は、パイロットシンボルを処理するタイミングでは、伝送路推定部70から入力された伝送路推定結果と、通信回線品質推定部71から入力された通信回線品質推定値とを用いて、受信信号が受けている信号歪みを補償するための等化係数をサブキャリア毎に算出する。等化係数の算出方法については、任意の方法を適用できる。例えば、MMSE(Minimum Mean Square Error)規範に基づくアルゴリズムが当業者に広く知られている。なお、等化係数算出部161では、第2の通信回線品質推定部163からも通信回線品質推定値を受け取る構成となっているが、パイロットシンボルを処理するタイミングではこれを使用しない。等化係数算出部161は、データシンボルを処理するタイミングでは、伝送路推定部70から入力された伝送路推定結果と、後述する処理によって第2の通信回線品質推定部163で推定された通信回線品質推定値とを用いて等化係数をサブキャリア毎に計算し、等化処理部160へ出力する。
図17は、本実施の形態における第2の通信回線品質推定部163の構成例を示す図である。通信回線品質推定部163は、第2の電力計算部43と、第2の平均化処理部44と、電力比計算部45と、サンプル減算部113と、サンプル電力計算部114と、第4の平均化処理部170と、IDFT部171と、を備える。第2の通信回線品質推定部163は、図11に例示した実施の形態4における通信回線品質推定部100から、セレクタ110、パイロット減算部112、第1の電力計算部41、セレクタ111を取り除き、第1の平均化処理部42に代えて第4の平均化処理部170を備え、更に、IDFT部171を備えた構成となっている。なお、サンプル減算部113、サンプル電力計算部114および第4の平均化処理部170で第1の電力値算出手段を構成し、第2の電力計算部43および第2の平均化処理部44で第2の電力値算出手段を構成する。
IDFT部171は、等化処理部160から受け渡される、信号歪みが補償されたデータシンボルに対して、逆離散フーリエ変換を行い、時間領域信号に変換する変換手段である。
サンプル減算部113は、IDFT部171から受け渡される時間領域信号に対して、実施の形態4と同様に、サブキャリアセットから決定される、シンボル内の特定サンプルのみを抽出する。サンプル減算部113は、フレーム内の初回のデータシンボルを処理するタイミングでは信号をそのまま蓄積し、2番目以降のデータシンボルを処理するタイミングでは、初回のデータシンボルと同一のサンプル位置のサンプルを抽出し、蓄積している初回のデータシンボルから抽出されたサンプルとの間で、同一サンプル位置同士で差分を計算し、サンプル電力計算部114へ出力する。また、サンプル減算部113では、次のデータシンボルを処理するタイミングで引き続き差分計算を行えるように、抽出したサンプルを蓄積しておく。
サンプル電力計算部114は、実施の形態4と同様の処理で電力値を計算し、第4の平均化処理部170へ出力する。
第4の平均化処理部170は、通信回線品質推定部71から入力される通信回線品質推定値を初期値として、サンプル電力計算部114から入力された電力値を平均化する処理を行う。この平均化処理には、例えば、IIR(Infinite Impulse Response)フィルタを用いた平均化処理等が適用できる。第4の平均化処理部170は、平均化結果を電力比計算部45へ出力する。
第2の電力計算部43、第2の平均化処理部44、および、電力比計算部45は、前述と同様の処理を行い、最終的に、電力比計算部45から等化係数算出部161に対して、通信回線品質推定結果を出力する。
以上説明したように、本実施の形態では、実施の形態4と同様に、信号送信に使用できるサブキャリアをサブキャリアセットとして定義し、データシンボル部分でも通信回線品質推定を実施できるように構成したのに加えて、データシンボルを用いた通信回線品質推定を、受信信号に含まれる信号歪みを補償した後の信号を用いて行えるようにした。これにより、信号歪みが存在する環境においても精度の良い通信回線品質推定値が得られ、通信品質が改善するという効果が得られる。また、データシンボル部分で通信回線品質推定値の更新が行えるため、通信回線品質の変動に対する追従性が高くなり、環境に依らず良好な通信を維持することができるようになる。
なお、本実施の形態では、第2の通信回線品質推定部163における処理結果は、等化係数算出部161にのみ出力する構成としたが、特にこれに限定されない。例えば、本実施の形態では明示していないが、誤り訂正符号化が適用されている場合には、復調部において軟判定を行うことで復号性能が改善されることが知られており、推定した通信回線品質推定値を、軟判定を計算するために用いてもよい。また、適応変調等の制御で利用するために、変復調を制御する回路に対して出力する構成にしてもよい。
以上のように、本発明にかかる通信回線品質推定装置は、無線通信に有用であり、特に、ディジタル無線通信に適している。
10 データ変調部、11 既知信号生成部、12 周波数マッピング部、13,171 IDFT部、14 CP付加部、15 フレーム生成部、16 D/A変換処理部、17 高周波処理部、18 送信アンテナ、20 受信アンテナ、21 高周波処理部、22 A/D変換処理部、23 CP除去部、24 DFT部、25 データ復調部、26,100 通信回線品質推定部、40 パイロット加算部、41 第1の電力計算部、42 第1の平均化処理部、43 第2の電力計算部、44 第2の平均化処理部、45 (第1の)電力比計算部、60 制御部、61 しきい値判定部、70 伝送路推定部、71 通信回線品質推定部、80 第3の電力計算部、81 第3の平均化処理部、82 第2の電力比計算部、83 通信回線品質推定結果出力部、110,111 セレクタ、112 パイロット減算部、113 サンプル減算部、114 サンプル電力計算部、160 等化処理部、161 等化係数算出部、162 シンボル判定部、163 第2の通信回線品質推定部、170 第4の平均化処理部。

Claims (12)

  1. 送信機から送信された、位相関係が既知の2個以上の信号を受信する受信機の通信回線品質推定装置であって、
    規定された前記信号の組み合わせから求めた雑音成分の電力値を累積加算して平均化する第1の電力値算出手段と、
    前記信号の電力値を累積加算して平均化する第2の電力値算出手段と、
    前記第1の電力値算出手段から入力した雑音信号電力値と前記第2の電力値算出手段から入力した受信信号電力値とを用いて通信回線品質を推定する電力比計算手段と、
    を備え、
    前記第1の電力値算出手段が信号の最初の組み合わせを用いて雑音成分の電力値を求めている場合に、
    さらに、
    前記電力比計算手段の通信回線品質推定結果と判定しきい値とを比較し、前記通信回線品質推定結果が前記判定しきい値より大きい場合は前記通信回線品質が良好であるとして前記通信回線品質の推定を終了することを判定し、前記通信回線品質推定結果が前記判定しきい値より小さい場合は前記通信回線品質が劣悪であるとして前記通信回線品質の推定を継続することを判定するしきい値判定手段と、
    前記しきい値判定手段の判定に基づいて、前記第1の電力値算出手段および前記第2の電力値算出手段に対して、2番目以降の組み合わせの信号を出力するか否かを制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする通信回線品質推定装置。
  2. 前記電力比計算手段は、前記受信信号電力値から前記雑音信号電力値を減算して所望信号電力値を算出し、前記所望信号電力値と前記雑音信号電力値との比から通信回線品質を推定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信回線品質推定装置。
  3. 前記信号の組み合わせとして、前記2個以上の信号のうちの2個の信号の組み合わせにおいて、一方の信号に対して他方の信号が逆位相の場合、
    前記第1の電力値算出手段は、前記信号の組み合わせにおいて信号を加算することで雑音成分の電力値を求める、
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信回線品質推定装置。
  4. 前記信号の組み合わせとして、前記2個以上の信号のうちの2個の信号の組み合わせにおいて、一方の信号と他方の信号が同一の場合、
    前記第1の電力値算出手段は、前記信号の組み合わせにおいて信号を減算することで雑音成分の電力値を求める、
    ことを特徴とする請求項1に記載の通信回線品質推定装置。
  5. 送信機から送信された、位相関係が既知の2個以上の信号を受信する受信機の通信回線品質推定装置であって、
    規定された前記信号の組み合わせから求めた雑音成分の電力値を累積加算して平均化する第1の電力値算出手段と、
    前記信号の電力値を累積加算して平均化する第2の電力値算出手段と、
    前記第1の電力値算出手段から入力した雑音信号電力値と前記第2の電力値算出手段から入力した受信信号電力値とを用いて通信回線品質を推定する第1の電力比計算手段と、
    データ復調処理に必要な、前記送信機と前記受信機との間の無線伝送路の応答を推定する伝送路推定手段と、
    前記伝送路推定手段から入力した伝送路推定結果の電力値を累積加算して平均化する第3の電力値算出手段と、
    前記第1の電力値算出手段から入力した受信信号電力値と前記第3の電力値算出手段から入力した伝送路推定結果電力値との比を計算する第2の電力比計算手段と、
    前記第1の電力比計算手段からの出力値および前記第2の電力比計算手段からの出力値を入力とし、通信回線品質を推定して通信回線品質推定結果を出力する通信回線品質推定結果出力手段と、
    を備えることを特徴とする通信回線品質推定装置。
  6. 前記通信回線品質推定結果出力手段は、前記第1の電力比計算手段からの出力値または前記第2の電力比計算手段からの出力値のいずれかと選択しきい値とを比較し、比較結果に基づいて、いずれかの出力値を通信回線品質推定結果として出力する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の通信回線品質推定装置。
  7. 前記通信回線品質推定結果出力手段は、前記第1の電力比計算手段からの出力値および前記第2の電力比計算手段からの出力値を合成した値を通信回線品質推定結果として出力する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の通信回線品質推定装置。
  8. 送信機と受信機との間でシンボル間の位相関係が既知のサンプルを含む前記送信機からの信号を受信する前記受信機の通信回線品質推定装置であって、
    サブキャリアによらず同一の位相をとる、異なるシンボル間のサンプルを用いて求めた雑音成分の電力値を平均化する第1の電力値算出手段と、
    前記信号の電力値を累積加算して平均化する第2の電力値算出手段と、
    前記第1の電力値算出手段から入力した雑音信号電力値と前記第2の電力値算出手段から入力した受信信号電力値とを用いて通信回線品質を推定する電力比計算手段と、
    を備えることを特徴とする通信回線品質推定装置。
  9. 前記第1の電力値算出手段は、既知の位相関係が同位相の場合、異なるシンボル間でサンプルを減算して前記雑音成分を求める、
    ことを特徴とする請求項8に記載の通信回線品質推定装置。
  10. 前記第1の電力値算出手段は、既知の位相関係が逆位相の場合、異なるシンボル間でサンプルを加算して前記雑音成分を求める、
    ことを特徴とする請求項8に記載の通信回線品質推定装置。
  11. 前記第1の電力値算出手段は、2つのシンボル間でサンプルが同位相または逆位相の関係にない場合、一方のサンプルの値を補正し、他方のサンプルと同位相にして減算して、または他方のサンプルと逆位相にして加算して、前記雑音成分を求める、
    ことを特徴とする請求項8に記載の通信回線品質推定装置。
  12. 送信機と受信機との間でシンボル間の位相関係が既知のサンプルを含む前記送信機からの信号を受信する前記受信機であって、
    周波数領域の信号に対して等化係数を乗じて信号歪みを補償する等化処理手段と、
    前記周波数領域の信号と伝送路推定結果とに基づいて推定された第1の通信回線品質推定結果と、信号歪み補償後の信号とを入力し、前記信号歪み補償後の信号の通信回線の品質推定を行う通信回線品質推定手段と、
    前記通信回線品質推定手段における第2の通信回線品質推定結果と、前記第1の通信回線品質推定結果と、前記伝送路推定結果とを入力し、前記等化係数を算出する等化係数算出手段と、
    を備え、
    前記通信回線品質推定手段は、
    前記信号歪み補償後の信号である周波数領域の信号を時間領域の信号に変換する変換手段と、
    前記第1の通信回線品質推定結果を初期値とし、前記時間領域の信号について雑音成分の電力値を求めて平均化する第1の電力値算出手段と、
    前記時間領域の信号の電力値を累積加算して平均化する第2の電力値算出手段と、
    前記第1の電力値算出手段から入力した雑音信号電力値と前記第2の電力値算出手段から入力した受信信号電力値とを用いて通信回線品質を推定し、前記第2の通信回線品質推定結果を出力する電力比計算手段と、
    を備えることを特徴とする受信機。
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