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JP5948506B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、用紙(記録媒体)にトナー像を定着させる定着装置と、この定着装置を備えた画像形成装置に関する。
従来、複写機やプリンター等の電子写真方式の画像形成装置は、用紙(記録媒体)にトナー像を定着させる定着装置を備えている。
例えば、特許文献1には、定着ベルト(特許文献1の「定着フィルム20」参照)と、定着ベルトの端部に装着されるキャップ部材(特許文献1の「従動リング34」参照)と、定着ベルトとキャップ部材の間に介装される弾性部材(特許文献1の「弾性部材33」参照)と、を備えた定着装置が開示されている。
特開平10−48977号公報
特許文献1の定着装置では、定着ベルトの内周面に潤滑剤が塗布された場合に、この潤滑剤が定着ベルトの外周面に回り込み、キャップ部材と弾性部材の間に入り込む可能性がある。このような事態が発生すると、キャップ部材と弾性部材の間でスリップが発生する恐れがある。
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、キャップ部材と弾性部材の間に潤滑剤が入り込むのを抑制し、キャップ部材と弾性部材の間でスリップが発生するのを防止することを目的とする。
本発明の定着装置は、回転軸の周りを回転する定着ベルトと、前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、前記定着ベルトの端部に装着されるキャップ部材と、前記定着ベルトと前記キャップ部材の間に介装される弾性部材と、を備え、前記キャップ部材は、前記定着ベルトの前記端部の前記回転軸方向外側を覆う本体部と、前記本体部から前記回転軸方向内側に向かって延出し、前記定着ベルトの前記端部の外径側を覆うフランジ部と、を備え、前記フランジ部の内周面には、段差が形成され、前記弾性部材の外周面は、前記フランジ部の前記内周面のうちの前記段差よりも前記回転軸方向内側の部分に接触していることを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、上記した定着装置を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、キャップ部材と弾性部材の間に潤滑剤が入り込むのを抑制し、キャップ部材と弾性部材の間でスリップが発生するのを防止することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るカラープリンターの構成の概略を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置の前端部を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、キャップ部材及び弾性部材を示す斜視断面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、キャップ部材を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、定着ベルト、キャップ部材及び弾性部材を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、定着ベルトの前端部及びその周辺を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る定着装置において、キャップ部材及びキャップ部材を製造するための金型を示す断面図である。 本発明の他の異なる実施形態に係る定着装置の前端部を示す断面図である。
まず、図1を用いてカラープリンター1(画像形成装置)の全体の構成について説明する。カラープリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備えており、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、プリンター本体2の上部には排紙トレイ4が設けられている。
プリンター本体2の中央部には、中間転写ベルト6が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト6の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光装置7が配置されている。中間転写ベルト6の近傍には、中間転写ベルト6の下部に沿って4個の画像形成部8がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。各画像形成部8には、感光体ドラム9が回転可能に設けられており、感光体ドラム9の周囲には、帯電器10と、現像器11と、一次転写部12と、クリーニング装置13と、除電器14とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器11の上方には、各画像形成部8と対応するトナーコンテナ15が、トナーの色ごとに設けられている。
プリンター本体2の一側(図面上右側)には、用紙の搬送経路16が設けられている。搬送経路16の上流端には給紙部17が設けられ、搬送経路16の中流部には中間転写ベルト6の一端(図面上右端)に二次転写部18が設けられ、搬送経路16の下流部には定着装置19が設けられ、搬送経路16の下流端には排紙口20が設けられている。
次に、このような構成を備えたカラープリンター1の画像形成動作について説明する。カラープリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置19の温度設定等の初期設定が実行される。そして、カラープリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
まず、帯電器10によって感光体ドラム9の表面が帯電された後、露光装置7からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム9の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナーコンテナ15から供給されるトナーによって現像器11が対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部12において中間転写ベルト6の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部8が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト6上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム9上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置13及び除電器14によって除去される。
一方、給紙部17によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部18へと搬送され、二次転写部18において、中間転写ベルト6上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路16を下流側へと搬送されて定着装置19に進入し、この定着装置19において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口20から排紙トレイ4上に排出される。
次に、定着装置19について説明する。なお、図2の矢印Zは、用紙の搬送方向を示している。また、各図に適宜付される矢印Frは、定着装置19の前側(正面側)を示している。また、各図に適宜付される矢印Iは前後方向内側を示し、各図に適宜付される矢印Oは前後方向外側を示している。
図2、図3に示されるように、定着装置19は、定着ベルト21と、定着ベルト21の右側に設けられる加圧ローラー22(加圧部材)と、定着ベルト21の左側に設けられるIH定着ユニット23と、定着ベルト21の内部の略中央に設けられる支持部材24と、定着ベルト21の内部において支持部材24の右側に設けられる押圧パッド25(押圧部材)と、定着ベルト21の内部において支持部材24の上下両側及び左側に設けられる磁気遮蔽板26と、定着ベルト21の内部において磁気遮蔽板26の上下両側及び左側に設けられるガイド板27(ガイド部材)と、定着ベルト21の前後両端部21a、21b(前端部21a、後端部21b)にそれぞれ装着されるキャップ部材28と、定着ベルト21の前後両端部21a、21bと各キャップ部材28の間に介装される弾性部材29と、前側のキャップ部材28の下側に設けられる回転検知機構30と、を備えている。
定着ベルト21(図2、図3等参照)は、周方向には無端状であり、前後方向に長い略円筒状を成している。定着ベルト21は、前後方向に延びる回転軸Xの周りを回転可能に設けられている。つまり、本実施形態では、前後方向が定着ベルト21の回転軸方向である。定着ベルト21の内周面には、例えばフッ素グリスやシリコンオイル等によって構成される潤滑剤が塗布されている。
定着ベルト21の右上部には、膨出部31が形成されている。定着ベルト21の左下部には、一方挟持部32が形成されている。一方挟持部32は、定着ベルト21の回転軸Xを挟んで膨出部31の反対側に配置されている。
定着ベルト21は、例えば、基材層と、この基材層に周設される弾性層と、この弾性層を被覆する離型層と、を備えている。定着ベルト21の基材層は、例えばニッケルや銅等の金属にメッキ処理や圧延処理を施すことによって形成されている。定着ベルト21の弾性層は、例えば、シリコンゴムによって形成されている。定着ベルト21の離型層は、例えば、PFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。なお、各図において、定着ベルト21の各層(基材層、弾性層、離型層)は、特に区別されずに表示されている。
加圧ローラー22(図2、図3等参照)は、前後方向に長い略円筒状を成している。加圧ローラー22は、定着ベルト21に圧接しており、定着ベルト21と加圧ローラー22の間には用紙の搬送経路16に沿って定着ニップ35が形成されている。なお、前述した定着ベルト21の膨出部31は、定着ニップ35の上側(用紙の搬送方向下流側)に設けられている。
加圧ローラー22は、例えば、円筒状の芯材36と、この芯材36に周設される弾性層37と、この弾性層37を被覆する離型層(図示せず)と、を備えている。
加圧ローラー22の芯材36は、例えばステンレスやアルミニウム等の金属によって形成されている。加圧ローラー22の芯材36の前後両端部は、定着フレーム(図示せず)に回転可能に支持されている。加圧ローラー22の芯材36の後端部には、駆動ギア33が固定されている。駆動ギア33は、モーター等によって構成される駆動部34に接続されている。
加圧ローラー22の弾性層37は、例えばシリコンゴムやシリコンスポンジによって形成されている。加圧ローラー22の離型層は、例えばPFA等のフッ素系樹脂によって形成されている。
IH定着ユニット23(図2参照)は、ケース部材38と、ケース部材38内に収納され、定着ベルト21の外周に沿って円弧状に設けられるIHコイル40(熱源)と、ケース部材38内に収納され、IHコイル40の外周に沿って設けられるアーチコア41と、を備えている。なお、IH定着ユニット23は、図2を除いて記載が省略されている。
支持部材24(図2等参照)は、断面略L字状を成す一対の板金部材42を組み合わせて形成されており、前後方向に長い四角筒状を成している。支持部材24の前後両端部には、固定片46(図3、図4等参照)が固定されている。各固定片46の前後方向内側の部分は、支持部材24に挿入されている。各固定片46には、支持部材24に挿入される部分の前後方向外側に係止突起47が設けられている。各固定片46の前後方向外側の部分の外周には、ストッパー48が固定されている。各固定片46の前後方向外側の端部は、定着フレーム(図示せず)に固定されている。
押圧パッド25(図2参照)は、前後方向に長い形状を成している。押圧パッド25は、例えば、LCP(液晶ポリマー)等の耐熱性樹脂によって形成されている。押圧パッド25は、支持部材24の右側面に固定されている。これにより、押圧パッド25が支持部材24に支持されている。
押圧パッド25の右面には、押圧面49が形成されている。押圧面49は、定着ベルト21を右側(加圧ローラー22側)に向かって押圧している。押圧面49は、上側(用紙の搬送方向下流側)に向かって右側(加圧ローラー22側)に傾斜している。これに伴って、定着ニップ35の上側(用紙の搬送方向下流側)に設けられた定着ベルト21の膨出部31が外径側に膨出している。
磁気遮蔽板26(図2参照)は、支持部材24に固定されている。磁気遮蔽板26は、例えば、無酸素銅等の非磁性で導電性の良い材料から形成されている。磁気遮蔽板26は、支持部材24の左側を覆う側板50と、側板50の上下両端部から右側に向かって屈曲される上下両板51と、を備えており、断面略コ字状を成している。磁気遮蔽板26は、IHコイル40からの磁気が支持部材24を貫くのを防止している。
ガイド板27(図2参照)は、磁気遮蔽板26に固定されている。ガイド板27は、例えば、磁性体によって形成されている。ガイド板27は、磁気遮蔽板26の上板51に取り付けられる上側取付部52と、磁気遮蔽板26の下板51に取り付けられる下側取付部53と、上側取付部52と下側取付部53を接続し、左側に向かって円弧状に湾曲する湾曲部54と、を備えている。湾曲部54は、定着ベルト21の内周面の左側部分に沿って配置されており、定着ベルト21を内側からガイドしている。
各キャップ部材28(図4〜図6等参照)は、円環状の本体部55と、本体部55の外径側の端部から前後方向内側に向かって延出するフランジ部56と、本体部55の内径側の端部から前後方向外側に向かって延出する挿通筒部57と、本体部55の径方向中央部から前後方向外側に向かって突出するギア部58と、を備えている。
各キャップ部材28の本体部55は、定着ベルト21の前後両端部21a、21bの前後方向外側を覆っている。これにより、定着ベルト21の蛇行(定着ベルト21の前後方向外側への移動)が規制されている。本体部55の前後方向内側の面には、円環状の非接触部分59が形成されている。非接触部分59は、定着ベルト21が蛇行しても定着ベルト21の前後両端部21a、21bと接触しない部分である。本体部55の前後方向内側の面には、非接触部分59の外径側に円環状の接触可能部分60が形成されている。接触可能部分60は、定着ベルト21の蛇行時に定着ベルト21の前後両端部21a、21bと接触する可能性のある部分である。なお、各図に適宜付される二点鎖線Yは、非接触部分59と接触可能部分60の境界を示している。
各キャップ部材28のフランジ部56は、定着ベルト21の前後両端部21a、21bの外径側を覆っている。フランジ部56の内周面63には、段差Sが形成されている。以下、フランジ部56の内周面63のうちの段差Sよりも前後方向内側の部分を「内側部分61」と称し、フランジ部56の内周面63のうちの段差Sよりも前後方向外側の部分を「外側部分62」と称する。段差Sは、内側部分61が外側部分62よりも外径側に位置するように形成されている。内側部分61は、外側部分62よりも内径が大きく、外側部分62よりも前後方向の長さが長い。
図7等に示されるように、フランジ部56の内周面63の内側部分61の右上部には、対向部65が設けられている。対向部65は、定着ベルト21の膨出部31と対向しており、定着ベルト21の膨出部31との間に弾性部材29を挟み込んでいる。フランジ部56の内周面63の内側部分61の左下部には、他方挟持部66が設けられている。他方挟持部66は、定着ベルト21の回転軸Xを挟んで対向部65の反対側に配置されている。他方挟持部66は、定着ベルト21の一方挟持部32と対向しており、定着ベルト21の一方挟持部32との間に弾性部材29を挟み込んでいる。以上のような構成により、弾性部材29を介して定着ベルト21に各キャップ部材28が保持されている。
図4等に示されるように、各キャップ部材28の挿通筒部57には、各固定片46が遊挿されている。挿通筒部57は、各固定片46に固定されたストッパー48の前後方向内側に配置されている。これにより、各キャップ部材28の前後方向外側への移動が規制されている。
各弾性部材29(図4、図5等参照)は、円筒状を成している。各弾性部材29は、吸液性を有する材料(本実施形態では、発泡材であるシリコンスポンジ)によって形成されている。各弾性部材29の外周面は、各キャップ部材28のフランジ部56の内周面63の内側部分61に接触している。各弾性部材29は、各キャップ部材28のフランジ部56の内周面63に形成された段差Sに沿って各キャップ部材28に取り付けられている。そのため、各弾性部材29の前後方向外側の面の外径側部分は、段差Sに接触している。
各キャップ部材28の本体部55の前後方向内側の面と、各キャップ部材28のフランジ部56の内周面63の外側部分62と、各弾性部材29の前後方向外側の面と、によって囲まれる空間には、潤滑剤保持部67が形成されている。
回転検知機構30(図3、図4参照)は、被検知部材69と、被検知部材69の前側に配置される検知部70と、を備えている。
被検知部材69は、検知用ギア71と、検知用ギア71の前側に配置されるパルス板72と、検知用ギア71とパルス板72を接続する接続軸73と、を備えている。検知用ギア71は、前側のキャップ部材28のギア部58とアイドルギア74を介して接続されている。パルス板72には、3個のパルス片75が周方向に等間隔で設けられている。検知部70は、例えばPIセンサー(Photo Interrupter Sensor)であり、発光部76と受光部77を備えている。
上記のように構成された定着装置19において、用紙にトナー像を定着させる際には、IHコイル40に高周波電流を流す。これに伴って、IHコイル40が磁界を発生させ、この磁界の作用によって定着ベルト21に渦電流が発生し、定着ベルト21が発熱する。つまり、IHコイル40によって定着ベルト21が加熱される。また、IHコイル40が発生させる磁界によってガイド板27が発熱し、ガイド板27によって定着ベルト21が加熱される。
また、用紙にトナー像を定着させる際には、駆動部34によって駆動ギア33を回転させる。このように駆動ギア33を回転させると、加圧ローラー22が駆動ギア33と一体に回転する(図2の矢印A参照)。これに伴って、加圧ローラー22に圧接する定着ベルト21が加圧ローラー22の回転に従動して回転する(図2の矢印B参照)。このように定着ベルト21が回転すると、定着ベルト21が押圧パッド25に対して摺動する。この状態で、用紙が定着ニップ35を通過すると、用紙とトナー像が加熱及び加圧されて、用紙にトナー像が定着される。
ところで、本実施形態のように加圧ローラー22の回転に従動して定着ベルト21を回転させる場合に、加圧ローラー22と定着ベルト21の間でスリップが発生すると、定着ベルト21を回転させることができなくなり、IHコイル40によって定着ベルト21の一部が局所的に加熱される恐れがある。そこで、本実施形態では以下のようにして定着ベルト21の回転状態を把握している。
上記のように定着ベルト21が回転すると、各キャップ部材28及び各弾性部材29が定着ベルト21と一体に回転する。このように各キャップ部材28が回転すると、前側のキャップ部材28の回転がアイドルギア74を介して被検知部材69に伝達され、被検知部材69が回転する。このように被検知部材69が回転すると、検知部70の発光部76から受光部77に向かって照射された光が被検知部材69のパルス板72の各パルス片75によって断続的に遮断されるため、検知部70の受光部77の受光量がHighとLowの間で交互に切り替わる。これにより、回転検知機構30が前側のキャップ部材28の回転を検知する。
一方で、定着ベルト21が停止していれば、各キャップ部材28も停止しており、回転検知機構30が前側のキャップ部材28の回転を検知することも無い。
本実施形態では以上のように、前側のキャップ部材28の回転検知を通じて定着ベルト21の回転状態を把握している。これに伴って、IHコイル40によって定着ベルト21の一部が局所的に加熱されるような事態を回避することができる。
ところで、本実施形態では上記のように、定着ベルト21の内周面に潤滑剤が塗布されている。この潤滑剤は、図8に矢印Cで示されるように、定着ベルト21の前端部21aと前側のキャップ部材28の本体部55の間の隙間を経由して、定着ベルト21の外周面に回り込む場合がある。このような場合に、前側のキャップ部材28のフランジ部56の内周面63と前側の弾性部材29の外周面の間に潤滑剤が入り込むと、前側のキャップ部材28と前側の弾性部材29の間でスリップが発生する恐れがある。このようにスリップが発生すると、定着ベルト21と一体に前側のキャップ部材28を回転させることができなくなり、定着ベルト21の回転状態を正確に把握することが困難になる。
しかしながら本実施形態では、各キャップ部材28のフランジ部56の内周面63に段差Sが形成され、各弾性部材29の外周面は、各キャップ部材28のフランジ部56の内周面63の内側部分61に接触している。そのため、定着ベルト21の内周面に塗布された潤滑剤が定着ベルト21の外周面に回り込んだとしても、前側のキャップ部材28のフランジ部56の内周面63と前側の弾性部材29の外周面の間に潤滑剤が入り込みにくくなる。これに伴って、前側のキャップ部材28と前側の弾性部材29の間でスリップが発生するのを防止することが可能となるため、定着ベルト21の回転状態を正確に把握することができる。また、定着ベルト21によって各キャップ部材28をより安定的に保持することが可能となる。
また、内側部分61が外側部分62よりも外径側に位置するように段差Sが形成され、各弾性部材29は、段差Sに沿って各キャップ部材28に取り付けられている。このような構成を採用することで、段差Sを各弾性部材29の取り付け基準として利用することが可能となるため、各弾性部材29を適切な位置に配置することができる。
また、各キャップ部材28の本体部55の前後方向内側の面と、各キャップ部材28のフランジ部56の内周面63の外側部分62と、各弾性部材29の前後方向外側の面と、によって囲まれる空間には、潤滑剤保持部67が形成されている。このような構成を採用することで、定着ベルト21の内周面に塗布された潤滑剤が定着ベルト21の外周面に回り込んだ場合に、潤滑剤を潤滑剤保持部67に保持させることが可能となる。これに伴って、前側のキャップ部材28のフランジ部56の内周面63と前側の弾性部材29の外周面の間に潤滑剤が入り込むのを一層効果的に抑制することが可能となる。
本実施形態では特に、吸液性を有する材料(シリコンスポンジ)によって各弾性部材29が形成されているため、潤滑剤保持部67に保持された潤滑剤の一部を、各弾性部材29に吸収させることが可能となる。これに伴って、前側のキャップ部材28のフランジ部56の内周面63と前側の弾性部材29の外周面の間に潤滑剤が入り込むのをより一層効果的に抑制することが可能となる。
また、各キャップ部材28及び各弾性部材29は、定着ベルト21と一体に回転している。このような構成を採用することで、定着ベルト21、各キャップ部材28及び各弾性部材29の摩耗を抑制することが可能となる。
次に、上記のように構成された定着装置19において、キャップ部材28を製造する方法について、図9を用いて説明する。
キャップ部材28を製造するための金型80は、キャビティー81と、キャビティー81内に部分的に挿入されるコア82と、を備えている。キャビティー81には、キャビティー81とコア82の間に樹脂を流し込むための注入口83が設けられている。コア82には、エジェクターピンやスリーブピン等によって構成されるピン部材84が取り付けられている。
キャップ部材28を製造する際には、まず、キャビティー81の注入口83を介してキャビティー81とコア82の間に樹脂を流し込み、キャップ部材28を成型する。次に、図9に矢印Dで示されるように、キャビティー81をコア82から離間する方向に移動させる。これに伴って、成型品であるキャップ部材28がキャビティー81から離型される。次に、図9に矢印Eで示されるように、ピン部材84をキャップ部材28の本体部55の非接触部分59に向かって突出させる。これに伴って、キャップ部材28がコア82から離型される。
本実施形態では上記のように、キャップ部材28の製造時にピン部材84がキャップ部材28の本体部55の非接触部分59に向かって突出するため、非接触部分59にはピン部材84との接触に伴う凹凸が形成される。一方で、キャップ部材28の本体部55の接触可能部分60にはピン部材84が接触しないため、接触可能部分60には凹凸が形成されない。そのため、接触可能部分60は平面状を成している。このような構成を採用することで、定着ベルト21が蛇行した場合(定着ベルト21が前後方向外側に移動した場合)に、定着ベルト21の前後両端部21a、21bが各キャップ部材28の本体部55の前後方向内側の面に引っ掛かりにくくなる。これに伴って、定着ベルト21の前後両端部21a、21bの損傷を抑制することが可能となる。
本実施形態では、キャップ部材28の回転を回転検知機構30によって検知する場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、図10に示されるように、モーターなどによって構成される駆動源86をキャップ部材28に接続し、駆動源86によってキャップ部材28を回転させても良い。このような構成を採用することで、キャップ部材28から定着ベルト21に回転駆動力を付与し、定着ベルト21を確実に回転させることが可能となる。なお、上記の駆動源86は、単独で用いても良いし、加圧ローラー22を回転させる駆動部34と併用しても良い。
本実施形態では、内側部分61が外側部分62よりも外径側に位置するように段差Sが形成される場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、外側部分62が内側部分61よりも外径側に位置するように段差Sが形成されても良い。
本実施形態では、シリコンスポンジによって各弾性部材29が形成される場合について説明した。一方で、他の異なる実施形態では、フッ素系スポンジ、フッ素系ゴム、ウレタン等のシリコンスポンジ以外の材料によって各弾性部材29が形成されても良い。
本実施形態では、IHコイル40を熱源として用いる場合について説明したが、他の異なる実施形態では、ハロゲンヒーターやセラミックヒーター等のヒーターを熱源として用いても良い。
本実施形態では、定着ベルト21を押圧パッド25に対して摺動させる方式の定着装置19に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、一又は複数のローラーに定着ベルト21が周設される方式の定着装置に本発明の構成を適用しても良い。
本実施形態では、カラープリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、モノクロプリンター、複写機、ファクシミリ、複合機等の他の画像形成装置に本発明の構成を適用しても良い。

Claims (12)

  1. 回転軸の周りを回転する定着ベルトと、
    前記定着ベルトに圧接して定着ニップを形成する加圧部材と、
    前記定着ベルトの端部に装着されるキャップ部材と、
    前記定着ベルトと前記キャップ部材の間に介装される弾性部材と、を備え、
    前記キャップ部材は、
    前記定着ベルトの前記端部の前記回転軸方向外側を覆う本体部と、
    前記本体部から前記回転軸方向内側に向かって延出し、前記定着ベルトの前記端部の外径側を覆うフランジ部と、を備え、
    前記フランジ部の内周面には、段差が形成され、
    前記弾性部材の外周面は、前記フランジ部の前記内周面のうちの前記段差よりも前記回転軸方向内側の部分に接触していることを特徴とする定着装置。
  2. 前記段差は、前記フランジ部の前記内周面のうちの前記段差よりも前記回転軸方向内側の部分が前記フランジ部の前記内周面のうちの前記段差よりも前記回転軸方向外側の部分よりも外径側に位置するように形成され、
    前記弾性部材は、前記段差に沿って前記キャップ部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記本体部の前記回転軸方向内側の面と、前記フランジ部の前記内周面のうちの前記段差よりも前記回転軸方向外側の部分と、前記弾性部材の前記回転軸方向外側の面と、によって囲まれる空間には、潤滑剤保持部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  4. 前記弾性部材は、吸液性を有する材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  5. 前記本体部の前記回転軸方向内側の面は、前記定着ベルトの前記端部と接触する可能性のある部分が平面状を成していることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  6. 前記キャップ部材及び前記弾性部材は、前記定着ベルトと一体に回転することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  7. 前記キャップ部材の回転を検知する回転検知機構を更に備えていることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  8. 前記キャップ部材を回転させる駆動源を更に備えていることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
  9. 前記定着ベルトを前記加圧部材側に向かって押圧する押圧部材と、
    前記押圧部材を支持する支持部材と、を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  10. 前記定着ベルトの外周に沿って設けられ、前記定着ベルトを加熱する熱源を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  11. 前記定着ベルトの内周面に沿って配置され、前記定着ベルトを内側からガイドするガイド部材を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  12. 請求項1に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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