以下、本発明の実施形態を図1〜図17を用いて説明する。以下の説明では、ジョブ実行部として原稿読取部1と印刷部2を含む複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
(画像形成装置の概略)
まず、図1を用いて、実施形態に係る複合機100の概略を説明する。図1は、複合機100を示す図である。
図1に示すように、複合機100の正面前方には、複合機100に関して各種設定を行うための操作パネル3(操作部、入力部に相当)が設けられる(詳細は後述)。又、図1に示すように、本実施形態の複合機100は、上部に、画像読取部1aと原稿搬送部1bを含む原稿読取部1が設けられる。又、複合機100の内部に印刷部2として、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c、排出搬送部4c、両面搬送部4dを含む。
複数の給紙部4aは、それぞれ印刷に用いる用紙Pを収容する。各給紙部4aは、それぞれ回転駆動する給紙ローラー41を含む。印刷のとき、何れかの給紙ローラー41が回転し、1枚ずつ搬送部4bに用紙Pを給紙する。
搬送部4bは、用紙Pの案内のためのガイド板や、回転して用紙Pを搬送する搬送ローラー対42a、42b、42cや、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせ用紙Pを送り出すレジストローラー対43を含む。
画像形成部5aは、複数の画像形成ユニット50(ブラック用の50Bk、イエロー用の50Y、シアン用の50C、マゼンタ用の50M)と露光装置51を含む。各画像形成ユニット50は、感光体ドラム、帯電装置、現像装置、清掃装置などを含む。露光装置51は、画像データに基づき、レーザー光を点消灯しつつ出力し、各感光体ドラムを走査露光する。各画像形成ユニット50と露光装置51により、感光体ドラムの周面上にトナー像が形成される。
中間転写部5bは、各1次転写ローラー52Bk〜52M、中間転写ベルト53、駆動ローラー54、複数の従動ローラー55(55a〜55c)、2次転写ローラー56、ベルト清掃装置57を含む。中間転写ベルト53は、各画像形成ユニット50からトナー像の1次転写を受け、中間転写部5bは、シートに2次転写を行う。
定着部5cは、発熱体を内蔵する加熱ローラー58とこれに圧接する加圧ローラー59を含む。定着部5cは、加熱ローラー58と加圧ローラー59のニップにトナー像が転写された用紙Pを通過させ、トナー像を用紙Pに定着させる。
排出搬送部4cは、定着部5cから排出された用紙Pを排出トレイ44方向又は両面搬送部4d方向に用紙搬送方向を仕分ける。用紙搬送方向の切り替えのため、切替弁45を有する。そして、排出搬送部4cの排出ローラー対46は、正回転方向に回転駆動して排出トレイ44方向に送り出す。尚、両面印刷のとき、排出ローラー対46は、用紙Pをスイッチバックさせ、片面印刷済みの用紙Pを両面搬送部4dに導く。両面搬送部4dの両面搬送ローラー対47、48、49(計3つ)は片面印刷済の用紙Pをレジストローラー対43の上流まで搬送する。
(原稿読取部1)
次に、図2を用いて、実施形態に係る原稿読取部1を説明する。図2は、原稿読取部1を示す図である。
本実施形態の複合機100は、原稿読取部1を含む。原稿読取部1は、原稿搬送部1bと画像読取部1aを含む。
原稿搬送部1bは、複合機100の上部に設けられる。原稿搬送部1bは、原稿搬送方向上流側から順に、原稿トレイ11、原稿給紙ローラー12a、原稿搬送路12b、複数の原稿搬送ローラー対12c、原稿排出ローラー対12d、原稿排出トレイ13等を含む。そして、原稿搬送部1bは、搬送読取用コンタクトガラス14a(読み取り位置)に向け原稿トレイ11に載置された原稿Dを1枚ずつ、自動的、連続的に搬送する。尚、原稿搬送部1bは、図1、図2の紙面奥側を支点として画像読取部1aに対し上下方向に開閉自在に取り付けられ、各コンタクトガラスを上方から押さえる板として機能する。
次に、本実施形態における画像読取部1aを説明する。画像読取部1aは、搬送される原稿Dを読み取るための搬送読取用コンタクトガラス14aと、載置された原稿Dを読み取るための載置読取用コンタクトガラス14bを上面に有する。
又、図2に示すように、画像読取部1aは、筐体内に、ランプ15aと第1ミラー15bが取り付けられた第1移動枠15c、第2ミラー15dと第3ミラー15eが取り付けられた第2移動枠15f、ワイヤ15g、巻取ドラム15h、レンズ15i、原稿Dで反射された光が入射され、1ライン毎に原稿Dを読み取り、画像データを生成するためのイメージセンサー16のような光学系部材を含む。ランプ15aから発せられた光は、各コンタクトガラス上の原稿Dに当たり、反射光を各ミラーで反射させて、レンズ15iに導く。レンズ15iは反射光を集光し、イメージセンサー16に入射する。
第1移動枠15c及び第2移動枠15fには複数本のワイヤ15gが取り付けられる(図2では、便宜上1本のみ図示)。ワイヤ15gの他端は巻取ドラム15hに接続され、巻取モーター15m(図5参照)により、巻取ドラム15hが正逆回転し、第1移動枠15cと第2移動枠15fは水平方向に自在に移動する。
原稿搬送部1bにより搬送される原稿Dを読み取るとき、巻取モーター15mが駆動した後、第1移動枠15cと第2移動枠15fは、搬送読取用コンタクトガラス14aの下方位置(読み取り位置)に固定される。そして、通過する原稿Dに対し、ランプ15aは光を照射して、走査動作がなされる。一方、載置読取用コンタクトガラス14b上に載置された原稿Dを読み取る場合、第1移動枠15c及び第2移動枠15fを、巻取ドラム15hやワイヤ15g等により、ホームポジションから図2の右方向に水平に移動させ、走査動作を、順次原稿端部まで連続的に行う。
(操作パネル3)
次に、図1、図3を用いて、実施形態に係る操作パネル3の一例を説明する。図3は、操作パネル3を示す図である。
まず、複合機100は、コピー機能(コピージョブ)や、原稿Dを読み取って得られたデータをいずれかの場所に格納する送信機能(送信ジョブ)や、複合機100の記憶部61(図4参照)に記憶された画像データを利用するボックス機能のような複数の機能を有する。言い換えると、複合機100では、実行できるジョブの種類が多数に及ぶ。
これらの機能の設定のため、操作パネル3が設けられる。操作パネル3は、複合機100の正面上方に設けられる(図1参照)。そして、操作パネル3は、用いる機能を選択するためにコピーキー33aや送信キー33bや文書ボックスキー33cのようなハードキーを含む機能選択キー群33を含む。また、操作パネル3には、数字入力用のテンキー部34や、各種設定後、ジョブの開始指示用のスタートキー35(入力部に相当)等が設けられる。
また、操作パネル3は表示部31を含む。表示部31は、機能を利用するうえで(ジョブの設定を行ううえで)、設定項目の選択画面や、選択した設定項目の設定画面や、設定値の設定用のキーを表示する。また、表示部31は、液晶や有機ELを用いた表示パネルである。また、タッチパネル部32が表示部31に対し(表示部31の上面に)設けられる。タッチパネル部32は、表示部31の領域内のタッチされた位置(座標)を検知するためのものである。タッチパネル部32の出力に基づき、タッチされた位置に表示される画像、キーなどが認識され、使用者の操作が受け付けられる。
(複合機100等のハードウェア構成)
次に、図4を用いて、実施形態に係る複合機100のハードウェア構成の一例を説明する。図4は、複合機100のハードウェア構成を示す図である。
複合機100には、主制御部6が設けられる。主制御部6は、操作パネル3、原稿読取部1、印刷部2、記憶部61、通信部62(入力部に相当)などと接続され、複合機100の制御を司る。主制御部6のCPU63は、制御のための演算などの処理を行う。画像処理部64は、原稿Dの読み取りで得られた画像データや、通信部62で受信された画像データに対し、操作パネル3でなされた設定に応じた画像処理を行い、印刷や送信用やプレビュー表示用の画像データを生成する。
記憶部61は、ROM、RAM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶素子、装置を組み合わせて構成される。制御用のデータやプログラムや画像データや設定に関するデータを記憶し、主制御部6は記憶部61に記憶内容に基づいて制御を行う。
通信部62は、主制御部6の指示に基づき、ネットワークや通信回線やケーブルを介して、コンピューター200やFAX装置300と通信を行う。通信部62は、コンピューター200やFAX装置300に画像データを送信できる。また、主制御部6は、コンピューター200やFAX装置300から画像データを受信させ、受信画像データに基づいて印刷部2に印刷を行わせることができる。
また、主制御部6は、原稿搬送部1b、画像読取部1aと接続され、動作の指示を出して制御を行う。また、主制御部6は、印刷部2を制御するエンジン制御部20と接続される。エンジン制御部20は、主制御部6の指示に基づき、給紙部4a、搬送部4b、画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c、排出搬送部4c、両面搬送部4dなどの動作を制御し、印刷部2に印刷を行わせる。
又、主制御部6は、操作パネル3になされた入力を認識し、使用者の設定にあわせてジョブが行われるように複合機100を制御する。例えば、操作パネル3で、両面印刷の設定がなされると、主制御部6は、エンジン制御部20に指示を与え、排出搬送部4c、両面搬送部4dを動作させ、用紙Pの両面に印刷を行わせる。
操作パネル3は、パネル制御部30、メモリー36、ドライバ回路30a、表示部31、タッチパネル部32を含む。パネル制御部30は、CPUやIC等で構成され、表示部31の表示を制御する。また、パネル制御部30は、タッチパネル部32の出力を受け、どのキーや画像の表示位置がタッチされたかを認識し、なされた操作を認識する。また、パネル制御部30は、機能選択キー群33に含まれるハードキーやテンキー部34やスタートキー35のようなハードキーと接続される。そして、パネル制御部30は、タッチ操作された(押された)ハードキーを認識する。パネル制御部30は、操作内容を主制御部6に伝達し、認識させる。
(通常読取モードと静音読取モード)
次に、図5を用いて、実施形態に係る原稿読取部1の原稿Dの読取速度に関するモードを説明する。図5は、ジョブの実行速度を説明するための図である。
本実施形態の原稿読取部1は、予め定められた通常速度で原稿Dの読み取りを行う通常読取モードを有する。言い換えると、通常読取モードは、仕様上、予め定められた通常のジョブの実行速度(例えば、仕様上の1分間あたり原稿読取枚数)で原稿Dの読み取りを行うモードである。また、原稿読取部1は、通常速度(第1読取速度)よりも遅い静音速度(第2読取速度)で原稿Dを読み取ることで、通常読取モードよりも原稿Dの読取速度を遅くする静音読取モードを有する。言い換えると、ジョブ実行部としての原稿読取部1は、第1読取速度(通常速度)で原稿Dを読み取る通常モード(通常読取モード)と、第2読取速度(静音速度)で原稿Dを読み取る静音モード(静音読取モード)を有する。
静音読取モードでは、原稿Dの読取速度が抑えられる。そのため、原稿Dの送り出し音や、原稿Dが搬送ガイドに衝突する音や擦れにより生ずる音や、原稿搬送用モーター10mの回転音や、原稿搬送時に回転する原稿給紙ローラー12aのような回転体やギアのような機械要素から生ずる音の大きさを抑えることができる。言い換えると、静音読取モードでは、通常読取モードよりも原稿読取部1から生ずる音を抑えることができる。
静音読取モードでの読取速度は、通常読取モードでの読取速度よりも遅い範囲で適宜定められる。具体的に、静音読取モードでの原稿Dの読取速度は、通常読取モードでの読取速度の1/2や1/3や3/4や2/3や、3/5程度とできる。本実施形態の複合機100では、静音読取モードでの読取速度は通常読取モードの読取速度の1/2(半速)とされる。
静音読取モードで原稿Dを読み取るか、通常読取モードで原稿Dを読み取るかの設定は、操作パネル3で行える。操作パネル3には、原稿読み取りでのモード設定のため、モード設定キー37が設けられる。モード設定キー37は、操作パネル3にハードキーとして設けられてもよいし、表示部31にソフトキーとして表示されてもよい。このように、操作パネル3のモード設定キー37は、静音読取モードで読み取りを行うか、通常読取モードで読み取りを行うかの設定を受け付ける。尚、モード設定キー37でモードが設定されていないとき、原稿読取部1は、通常読取モードで原稿Dの読み取りを行う(デフォルトが通常読取モード)。
次に、各読取モードでの速度制御を説明する。原稿読取部1の原稿搬送部1bには、原稿搬送制御部10bが設けられる。原稿搬送制御部10bは、主制御部6の指示に基づき、原稿搬送を制御する。原稿搬送制御部10bは、CPUやROMやRAMやICや素子を含む回路(基板)である。
コピージョブ(原稿読取部1の原稿読み取りに基づく画像データを用いて、印刷するジョブ)や、送信ジョブ(原稿読取部1の原稿読み取りに基づく画像データをコンピューター200やFAX装置300や記憶部61に送信するジョブ)のとき、原稿搬送制御部10bは、原稿トレイ11に載置された原稿Dを1枚ずつ搬送する。尚、原稿読取部1には、原稿トレイ11に原稿Dがあるか否かを検知するための原稿検知センサー10sが設けられる。
そして、原稿搬送制御部10bは、原稿トレイ11に載置された原稿Dを搬送する回転体を回転させる原稿搬送用モーター10mの動作を制御する。原稿搬送制御部10bは、原稿検知センサー10sの出力に基づき原稿トレイ11に原稿Dが載置されていると認識している状態で、コピージョブや送信ジョブを静音読取モードで行うとき、通常読取モードでジョブを実行するときよりも、原稿搬送用モーター10mの回転速度を遅くする(1/2程度とする)。これにより、静音読取モードでは、原稿搬送制御部10bは、通常読取モードのときよりも1/2程度の速度で原稿Dを搬送させる。
また、原稿読取部1の画像読取部1aには、読取制御部10aが設けられる。読取制御部10aは、主制御部6の指示に基づき、原稿Dの読み取りを制御する。読取制御部10aは、CPUやROMやRAMやICや素子を含む回路(基板)である。
読取制御部10aは、各移動枠(ランプ15aや各ミラー)を移動させる巻取モーター15mの回転速度や、回転方向を制御する。また、読取制御部10aは、ランプ15aの点消灯を制御する。読取制御部10aは、原稿Dを読み取るとき、ランプ15aを点灯させ、読み取りが終了するとランプ15aを消灯させる。また、読取制御部10aは、イメージセンサー16の動作を制御する。また、読取制御部10aは、イメージセンサー16のアナログ出力に基づき、A/D変換部17に画像データを生成させる。また、読取制御部10aは、A/D変換部17により生成された画像データに対し、読取データ処理部18に各種補正や調整のための画像処理を行わせる。また、読取制御部10aは、画像メモリー19に読取データ処理部18が処理した画像データを蓄積させ、画像データを主制御部6や記憶部61に向けて送信させる。
読取制御部10aは、原稿検知センサー10sの出力に基づき原稿トレイ11に原稿Dが載置されていないことを認識している状態で、コピージョブや送信ジョブを開始するとき、巻取モーター15mを動作させて載置読取用コンタクトガラス14bに載置された原稿Dを読み取らせる。読取制御部10aは、静音読取モードで載置読取用コンタクトガラス14bに載置された原稿Dの読み取りを伴うジョブを実行するとき、通常読取モードでジョブを実行するときよりも、巻取モーター15mの回転速度を遅くする(1/2程度とする)。これにより、静音読取モードでは、読取制御部10aは、原稿Dの読取速度を通常読取モードのときよりも1/2程度とする。
読取制御部10aは、静音読取モードで原稿Dの読み取りを行うとき、イメージセンサー16やA/D変換部17や読取データ処理部18や画像メモリー19の動作速度(動作クロック)を通常読取モードのときよりも遅い速度で動作させてもよい(例えば、動作周波数を1/2程度とする)。あるいは、読取制御部10aは、イメージセンサー16やA/D変換部17や読取データ処理部18や画像メモリー19を通常読取モードと、静音読取モードとで同じ速度で動作させてもよい。この場合、原稿搬送方向(副走査方向)でのライン数は予め定められた読取解像度に比べ多くなるので、読取制御部10aは、不要なラインを読取データ処理部18に間引き処理させる。
このように、静音読取モードと通常読取モードに応じた速度で読み取りが行われるように、主制御部6は、原稿読取部1(原稿搬送部1b、画像読取部1a)の動作を原稿搬送制御部10bや読取制御部10aに制御させる。
(通常印刷モードと静音印刷モード)
次に、図5を用いて、実施形態に係る印刷部2の印刷速度に関するモードを説明する。
本実施形態の印刷部2は、予め定められた通常速度で印刷を行う通常印刷モードを有する。言い換えると、通常印刷モードは、仕様上、通常のジョブの予め定められた実行速度(例えば、仕様上の1分間あたりの印刷枚数)で印刷を行うモードである。また、印刷部2は、通常速度よりも遅い静音速度で印刷を行って、通常印刷モードよりも印刷速度を遅くする静音印刷モードを有する。言い換えると、ジョブ実行部としての印刷部2は、第1印刷速度(通常速度)で用紙Pに印刷する通常モード(通常印刷モード)と、第2印刷速度(静音速度)で用紙Pに印刷する静音モード(静音印刷モード)を有する。
静音印刷モードでは、印刷速度が抑えられる。そのため、用紙Pの送り出し音(給紙音)や、用紙Pが搬送ガイドに衝突する音や擦れにより生ずる音や、印刷用モーター23の回転音や、用紙搬送やトナー像形成のために回転する搬送ローラー対42a、42b、42cのような回転体やギアのような機械要素から生ずる音の大きさを抑えることができる。言い換えると、静音印刷モードでは、通常印刷モードよりも印刷部2から生ずる音を抑えることができる。
静音印刷モードでの印刷速度は、通常印刷モードでの印刷速度も遅い範囲で適宜定められる。具体的に、静音印刷モードでの印刷速度は、通常印刷モードでの印刷速度の1/2や1/3や3/4や2/3や、3/5程度とできる。以下の説明では、静音印刷モードでの印刷速度を通常印刷モードのときの印刷速度の1/2(半速)とする例を説明する。
静音印刷モードで印刷を行うか、通常印刷モードで印刷を行うかの指示は、操作パネル3で行うことできる。そのため、操作パネル3のモード設定キー37は、静音印刷モードで印刷を行うか、通常印刷モードで印刷を行うかの設定を受け付ける。
尚、モード設定キー37でモードが設定されていないとき、印刷部2は、通常印刷モードで印刷を行う(デフォルトが通常印刷モード)。
次に、各印刷モードでの速度制御を説明する。印刷部2には、エンジン制御部20が設けられる。エンジン制御部20は、主制御部6の指示に基づき、印刷速度(単位時間あたりの印刷枚数)を制御する。エンジン制御部20は、エンジンCPU21やエンジンメモリー22やICや素子を含む回路(基板)である。
エンジン制御部20は、印刷部2内に設けられる印刷用モーター23のON/OFFや回転速度を制御する。印刷用モーター23は、1又は複数設けられる。印刷用モーター23は、用紙搬送用のローラー(各種搬送部4bや給紙部4aの回転体)や、トナー像形成や転写や定着に関する処理を行う回転体(画像形成部5a、中間転写部5b、定着部5c内の回転体など)のような印刷時に回転する回転体を回転させる。また、エンジン制御部20は、感光体ドラムの走査、露光を行う露光装置51内のポリゴンミラー24aを回転させるポリゴンモーター24のON/OFFや回転速度を制御する。
コピージョブや、コンピューター200のような外部から送信されたデータに基づき印刷を行うプリントジョブや、記憶部61に蓄積された画像データに基づき印刷を行うボックス印刷ジョブのとき、エンジン制御部20は、印刷部2に印刷を行わせる。
エンジン制御部20は、静音印刷モードで印刷を行うとき、通常印刷モードで印刷を行うときよりも、印刷用モーター23の回転速度を遅くする(1/2程度とする)。これにより、静音印刷モードでは、エンジン制御部20は、印刷ジョブの実行速度を、通常印刷モードのときの1/2程度とする。
また、エンジン制御部20は、静音モードで感光体ドラムの走査、露光を行うとき、通常モードよりも感光体ドラムの回転速度が遅くなるのにあわせて、ポリゴンモーター24の回転速度を通常モードよりも遅くしてもよい(例えば、ポリゴンモーター24に入力する駆動信号の周波数を1/2程度とする)。あるいは、エンジン制御部20は、静音モードでは、ポリゴンモーター24の回転速度を同じとしつつ、減速率にあわせて、数ラインに1ラインの割合で、感光体ドラムの走査、露光を行うようにしてもよい(例えば、2ライン中、1ラインのみ画像データにあわせて露光する)。
このように、静音印刷モードと通常印刷モードに応じた速度で印刷が行われるように、エンジン制御部20は、印刷部2の動作を制御する。
(コピージョブを行うときのプレビュー画像の表示)
次に、図6を用いて、本実施形態の複合機100に係るコピージョブ時のプレビュー画像の表示について説明する。図6は、コピージョブ時のプレビュー画像の表示を説明するための図である。
まず、本実施形態の複合機100では、原稿読取部1で原稿Dを読み取らせ、原稿Dの読み取りで得られた画像データに基づき印刷を行うコピー機能を有する。
コピージョブを複合機100に実行させるとき、使用者は、操作パネル3に設けられたコピーキー33aを押す。パネル制御部30は、コピーキー33aが押されたことを認識すると、表示部31に図6に示すようなコピー機能の基本画面71を表示させる。基本画面71には、設定項目(用紙選択や拡大/縮小などの機能)を選択し、選択した設定項目の設定画面を表示させるための選択キーK1が設けられる。
また、パネル制御部30は、基本画面71内に複数のタブTBを表示させる。尚、図6では、簡単設定のタブTBが選択されている状態である。各タブTBに対応して、コピージョブで用いることができる設定項目が予め割り振られている(例えば、「カラー/画質」のタブTBでは、濃度設定の設定項目や、印刷色の設定項目が割り振られる)。パネル制御部30は、タブTBの表示位置へのタッチを認識すると、そのタブTBに割り当てられた設定項目の選択画面(設定項目を選択するための選択キーK1が一覧表示される画面)を表示部31に表示させる。尚、本実施形態の複合機100で選択可能な設定項目(機能)や設定値は多数に及ぶので、各設定項目の詳細については、特に説明をする場合を除き、省略する。
そして、パネル制御部30は、選択キーK1の表示位置へのタッチにより設定項目の選択を認識すると、選択された設定項目の設定画面を表示部31に表示させる。パネル制御部30は、設定画面内で設定値を定める入力を受け付ける(認識する)。例えば、パネル制御部30は、用紙選択の設定項目が選択されると、各種用紙Pサイズを示す設定値キーを含む用紙選択用の設定画面を表示部31に表示させる。そして、パネル制御部30は、表示位置がタッチされた設定値キーに記された用紙Pサイズを、印刷で用いる用紙Pサイズと認識する。
このように、操作パネル3(パネル制御部30)は、印刷部数や、設定項目の設定値の設定など、コピージョブに関する設定を受け付ける。主制御部6は、操作パネル3と通信を行い、操作パネル3になされた設定の内容を認識する。そして、主制御部6は、使用者の設定内容に基づいたコピージョブを原稿読取部1と印刷部2に行わせる。
そして、本実施形態の複合機100では、コピージョブでの印刷物の仕上がりイメージ(第1プレビュー画像i1)を表示部31に表示させることができる。これにより、どのような内容の印刷が印刷されるか、印刷を開始する前に、確認することができる。
図6に示すように、表示部31の表示領域内には、第1プレビュー画像i1を表示させるための第1プレビュー画像表示領域71aが設けられる。第1プレビュー画像表示領域71aは、固定的に割り当てられた領域であり、コピー機能の各設定項目の設定画面内でも表示される。そして、第1プレビュー画像表示領域71a内には、プレビューキーK2が設けられる。プレビューキーK2は、表示部31に第1プレビュー画像i1を表示させるためのものである。
第1プレビュー画像i1の表示の流れを説明する。パネル制御部30は、コピージョブの実行開始前のプレビューキーK2の表示位置のタッチ操作を、第1プレビュー画像i1を表示させる旨の指示(プレビュー表示指示、内容確認入力)として認識する(受け付ける)。
プレビュー表示指示がなされた旨がパネル制御部30から伝達され、主制御部6は、原稿読取部1に原稿Dの読み取りを行わせる。原稿トレイ11に載置された複数枚の原稿Dのうち、原稿読取部1は、コピージョブの最初の1ページ分の原稿Dの読み取りを行う。
原稿Dの読み取りにより生成された画像データは、記憶部61に記憶される。そして、原稿読み取りにより生成された画像データは、表示部31で表示するには画素数が多すぎる。そこで、画像処理部64は、第1プレビュー画像i1の表示用の画像データ(プレビュー用画像データ)を生成する。このとき、画像処理部64は、コピージョブに関し、操作パネル3でなされた設定を反映したプレビュー用画像データを生成する。
そして、図6の下方の図に示すように、パネル制御部30は、プレビュー用画像データに基づき、第1プレビュー画像表示領域71a内に第1プレビュー画像i1を表示させる。尚、図6の上方の図に示すように、第1プレビュー画像表示領域71aには、プレビューキーK2の表示位置のタッチ前では、白紙状態の画像が表示される。この白紙状態の画像が、第1プレビュー画像i1に置き換えられる。
第1プレビュー画像i1の内容で問題がなければ(使用者が意図する内容になっていれば)、スタートキー35を押せばよい。スタートキー35が押されると、主制御部6は、原稿読取部1に原稿Dの読み取りを継続させ、印刷部2に原稿Dの画像データに基づき印刷させる(原稿読取部1と印刷部2にコピージョブを行わせる)。
第1プレビュー画像i1をみて、使用者が意図する内容になっていなければ、使用者は、第1プレビュー画像表示領域71aに設けられた中止キーK3の表示位置をタッチする。中止キーK3は、第1プレビュー画像i1の表示に伴い、プレビューキーK2に置き換えて表示される。また、操作パネル3にハードキーとして設けられたストップキー35aを押してもよい(図3参照)。パネル制御部30は、これらの操作をプレビュー終了指示として受け付ける。
プレビュー終了指示がなされると、パネル制御部30は、コピージョブの基本画面71を表示する。そして、使用者は、設定ミスや設定漏れのある設定項目の設定を行う。そして、設定を変更した後、プレビューキーK2の表示位置がタッチされると、パネル制御部30は、変更後の設定内容に応じた第1プレビュー画像i1を表示部31に再び表示させる原稿はセットしなおす必要がある。
(第1プレビュー画像i1の表示の有無に応じた印刷速度制御)
次に、図7を用いて、第1プレビュー画像i1を表示させたか否かに応じた印刷速度制御の流れを説明する。図7は、第1プレビュー画像i1の表示の有無に応じた印刷速度制御の流れを示すフローチャートである。
本実施形態の複合機100では、高速の第1印刷速度(通常印刷モード)で印刷するか、低速の第2印刷速度(静音印刷モード)で印刷するかを操作パネル3で設定することができる。尚、印刷速度に関する設定が別段なされない場合、第1印刷速度で印刷がなされる。
そして、以下の説明は、第1印刷速度で印刷を行う場合(第1印刷速度での印刷が設定された場合や、別段、印刷速度に関する設定がなされなかったとき)に関する。尚、第2印刷速度で印刷を行う設定がなされたとき、その設定が優先され、第2印刷速度での印刷が続けられる。
そのため、図7のスタートは、実行指示がなされ(スタートキー35が押され)、基本的に第1印刷速度でコピージョブを開始する時点である。
主制御部6は、パネル制御部30と通信し、実行しようとするコピージョブで、実行指示がなされるまでに第1プレビュー画像i1の表示がなされたか否かを確認する(ステップ♯1)。もし、第1プレビュー画像i1の表示がなされたコピージョブであれば(ステップ♯1のYes)、主制御部6は、エンジン制御部20や原稿読取部1(原稿搬送制御部10b、読取制御部10a)に第1プレビュー画像i1を表示したコピージョブであることを通知する。この通知を受け、原稿読取部1は、第1読取速度で読み取りを行い、エンジン制御部20は、コピージョブの完了まで第1印刷速度(通常印刷モード)で印刷を印刷部2に行わせる(ステップ♯2→エンド)。第1プレビュー画像i1を確認したのであれば、仕上がりの確認がなされており、設定漏れや設定ミスの可能性が低い。そのため、最初から高速で印刷を行う。
一方、第1プレビュー画像i1を表示していないコピージョブであれば(ステップ♯1のNo)、主制御部6は、エンジン制御部20や原稿読取部1(原稿搬送制御部10b、読取制御部10a)に第1プレビュー画像i1を表示していないコピージョブであることを通知する。そして、エンジン制御部20は、印刷部2に第2印刷速度(静音印刷モード)で印刷を行わせる(ステップ♯3)。尚、この間、原稿読取部1は、第1読取速度で読み取りを行ってもよいし、第2読取速度で読み取りを行ってもよい。
そして、エンジン制御部20は、最初のページから予め定められた印刷枚数、第2印刷速度で印刷がなされたかを確認する(ステップ♯4)。言い換えると、エンジン制御部20は、最初のページから印刷された枚数が予め定められた印刷枚数に到達したか否かを確認する(ステップ♯4)。ここで、予め定められた印刷枚数は、任意の値である。予め定められた印刷枚数は、予め定められた印刷枚数の印刷に要する時間が、第1プレビュー画像i1を見ていない使用者がコピージョブで設定漏れや設定ミスが有ることに気づける時間となるような枚数とされる。そのため、予め定められた印刷枚数は、1〜数枚程度でよい。
第2印刷速度での予め定められた印刷枚数分の印刷が未完了であれば(ステップ♯4のNo)、フローは、ステップ♯3に戻る。一方、予め定められた印刷枚数分の印刷がなされれば、エンジン制御部20は、印刷速度を第1印刷速度に変更する。言い換えると、エンジン制御部20は、最初から予め定められた印刷枚数よりも後のページから最終ページまで、第1印刷速度で印刷部2に印刷させる(ステップ♯5→エンド)。
ここで、このように、第2印刷速度でコピージョブを行う設定がなされず、また、第1プレビュー画像i1を表示していないとき(プレビューキーK2による内容確認入力がなされていないとき)、印刷部2は、コピージョブの途中で印刷速度を変更する。
そのため、エンジン制御部20は、第2印刷速度(静音印刷モード)で印刷を行う枚数分、給紙部4aに給紙を行わせた後、第2印刷速度で印刷する最後の用紙Pが排出トレイ44に排出されるまで、給紙部4aに給紙を停止させるようにしてもよい。排出後、エンジン制御部20は、コピージョブの残りのページを第1印刷速度で印刷部2に印刷させる。言い換えると、印刷速度の変更に備え、エンジン制御部20は、給紙部4aからの給紙を一旦停止させ、第2印刷速度で給紙、用紙搬送、トナー像形成を行った全ページが排出トレイ44に排出されたとき、第1印刷速度(通常印刷モード)での給紙、用紙搬送、トナー像形成のような印刷動作を印刷部2に開始させてもよい。
尚、本実施形態の複合機100には、排出ローラー対46近傍に、印刷済の用紙Pが排出トレイ44に排出されたことを検知するための排出検知センサー25が設けられる(図5参照)。エンジン制御部20は、排出検知センサー25の出力に基づき、排出トレイ44に印刷済みの用紙Pが排出されたことを認識する。あるいは、各印刷速度での用紙搬送速度は決まっており、給紙部4aから排出までに要する搬送距離は決まっているので、エンジン制御部20は、給紙開始からの時間に基づき、印刷済用紙Pが排出トレイ44に排出されたことを認識してもよい。
(試し刷り印刷)
次に、図8、図9を用いて、本実施形態の複合機100での試し刷り印刷を説明する。図8は、試し刷り印刷を説明するための図である。図9は、試し刷り後保留ボックス画面72を示す図である。
まず、図8に示すように、複合機100は、ネットワークやケーブルなどを介してコンピューター200と通信可能に接続できる。
ここで、コンピューター200について説明しておく。コンピューター200は、パーソナルコンピューターやサーバーなどである。コンピューター200は、CPUなどが設けられた処理、演算を行う処理基板201、画面、画像を表示するディスプレイ202、キーボードやマウスのような入力装置203、HDD、ROM、RAMなどで構成された記憶装置204、外部との通信用の通信I/F部205を含む。
そして、コンピューター200の通信I/F部205と、複合機100の通信部62は、ネットワークやケーブルなどにより通信可能に接続される。これにより、コンピューター200から印刷用データD1を送信し、複合機100に印刷用データD1に基づき印刷を行わせる(複合機100をプリンターとして用いる)ことができる。
また、コンピューター200の記憶装置204には、各種アプリケーション206(例えば、文書作成用や画像編集用など)がインストールされる(記憶される)。また、コンピューター200から印刷用データD1を送信して、複合機100で印刷を行えるようにするため、記憶装置204には、複合機100のドライバソフトウェア207がインストールされる(記憶される)。
アプリケーション206で印刷コマンドを実行すると、ドライバソフトウェア207が起動する。ドライバソフトウェア207では、印刷内容に関し、各種設定を行うことができる。例えば、ドライバソフトウェア207では、印刷するページや、印刷に用いる用紙Pや、ズーム倍率や、印刷濃度の指定や、試し刷りの設定や、試し刷り印刷で印刷を行う総部数などを行うことができる。尚、ドライバソフトウェア207上で設定可能な事項の詳細は、特に説明する場合を除き省略する。
ドライバソフトウェア207に基づき、処理基板201は、アプリケーション206上のデータを加工して、印刷内容を示すデータ(例えば、画像データ)や、ドライバソフトウェア207上でなされた設定の内容を示す設定データを印刷用データD1として生成する。また、ドライバソフトウェア207上で、試し刷りを行う設定や、試し刷り印刷を行うジョブの合計印刷部数の設定がなされると、処理基板201は、試し刷り印刷を行う旨を示すデータ(試し刷り命令)や合計印刷部数を示すデータを含む印刷用データD1を生成する。
そして、通信I/F部205は、生成された印刷用データD1を通信部62に向けて送信する。通信部62は、コンピューター200から送信された印刷用データD1を受信する。そして、主制御部6は、印刷用データD1の内容を認識する。また、主制御部6は、エンジン制御部20に指示を与え、印刷用データD1に基づき印刷部2に印刷(プリントジョブ)を行わせる。
試し刷り印刷の設定がなされたプリントジョブ(試し刷り命令を含む印刷用データD1)を受信すると、主制御部6は、印刷用データD1に基づき、1部のみ印刷する指示をエンジン制御部20に与える。エンジン制御部20は、試し刷り命令を含む印刷用データD1に基づき、各ページを1ページずつ印刷する(1部の印刷)。
また、主制御部6は、試し刷り設定有りの印刷用データD1を記憶部61(記憶部61に含まれるHDD)に不揮発的に記憶させ、登録する。そして、使用者は、操作パネル3に対して操作を行い、記憶部61に登録された試し刷り設定有りの印刷用データD1の残りの部数を印刷させることができる。このように、複合機100は、複数部印刷するとき、1部だけ印刷し、残りの部数の印刷を保留する機能を有する。1部だけ印刷されるので、使用者は試し刷り印刷したプリントジョブを見て、設定漏れや設定ミスが有るか否かを確認できる。
次に、図9を用いて、記憶部61に登録された印刷用データD1の残り部数の印刷を説明する。記憶部61に登録された試し刷り設定有りの印刷用データD1に基づき、試し刷り後に印刷を行うとき、使用者は、操作パネル3の文書ボックスキー33cを押す。
そして、一定の操作を行うことにより、試し刷り後保留ボックス画面72を表示部31に表示させることができる。図9に示すように、試し刷り後保留ボックス画面72には、登録された試し刷り設定有りの印刷用データD1が一覧形式で表示される。
また、図9に示すように、試し刷り後保留ボックス画面72の左端には、各印刷用データD1に応じてチェックボックスCBが設けられる。パネル制御部30は、チェックボックスCBの表示位置へのタッチ操作を、残りの部を印刷したい印刷用データD1を指定する(選択する)操作として受け付ける。図9に示すように、表示部31は、指定された印刷用データD1に対応するチェックボックスCBには、チェックを表示する。
また、図9に示すように、試し刷り後保留ボックス画面72には、印刷キーK4が配される。印刷キーK4の表示位置がタッチされると、主制御部6は、チェックボックスCBにチェックが入れられた印刷用データD1に基づく印刷の実行をエンジン制御部20に指示する。エンジン制御部20は、指示に基づき、指定された印刷用データD1の残りの部数の印刷を印刷部2に行わせる。
(試し刷り印刷での印刷速度制御)
次に、図10を用いて、試し刷り印刷での印刷速度制御の流れを説明する。図10は、試し刷り印刷での印刷速度制御の流れを示すフローチャートである。
まず、図10のスタートは、試し刷り印刷設定有りの印刷用データD1をコンピューター200が送信した時点である。尚、試し刷り印刷の設定がないとき(印刷用データD1に試し刷り印刷命令が含まれていないとき)、ドライバソフトウェア207で設定された部数の全てが印刷される。
複合機100の通信部62は、試し刷り印刷設定付きの印刷用データD1を受信する(ステップ♯11)。そして、主制御部6は、受信した印刷用データD1に基づいて1部印刷する指示をエンジン制御部20に与える。これに応じ、エンジン制御部20は、受信した印刷用データD1に基づいて、第2印刷速度(静音印刷モード)で、1部の試し刷り印刷を印刷部2に行わせる(ステップ♯12)。
また、主制御部6は、受信した試し刷り印刷設定有りの印刷用データD1を記憶部61に記憶させる(登録する、ステップ♯13)。これにより、事後的に印刷用データD1を呼び出して残りの部数を印刷することができる。
そして、パネル制御部30は、試し刷り後保留ボックス画面72で、記憶部61に登録された印刷用データD1の残り部数の印刷を行う操作がなされたか否か(残り部数の印刷実行指示があったか否か)の確認を続ける(ステップ♯14、ステップ♯14のNo→ステップ♯14)。
操作パネル3に残り部数の印刷実行指示がなされたとき、エンジン制御部20は、印刷用データD1に基づいて、第1印刷速度(通常印刷モード)で、残りの部の印刷を印刷部2に行わせる(ステップ♯15→エンド)。
もし、残りの部を印刷したい印刷用データD1(プリントジョブ)の指定とともに、第2印刷速度で印刷を行う設定がなされたとき、エンジン制御部20は、ステップ♯15では、第2印刷速度での印刷を印刷部2に行わせてもよい(操作パネルでのモード設定優先)。第1印刷速度での印刷が設定された場合や、別段、印刷速度に関する設定がなされなかったとき、ステップ♯15では、第1印刷速度(通常印刷モード)で印刷がなされる。
(送信ジョブを行うときのプレビュー画像の表示)
次に、図11を用いて、本実施形態の複合機100に係る送信ジョブ時のプレビュー画像の表示を説明する。図11は、送信ジョブ時のプレビュー画像の表示を説明するための図である。図12は、送信ジョブの開始により原稿Dが読み取られているときのプレビュー画像の表示を説明するための図である。
まず、本実施形態の複合機100は、原稿トレイ11に載置された原稿Dを読み取って得られた画像データに基づき、コンピューター200やFAX装置300や記憶部61に送信を行う送信機能(送信ジョブ機能)を有する。送信ジョブを行うには、まず、使用者は、操作パネル3に設けられた送信キー33bを押す。パネル制御部30は、送信キー33bが押されたことを認識すると、表示部31に送信機能の設定用の画面を表示させる。
そして、パネル制御部30は、送信機能の設定用の画面での、送信を行う相手先の宛先情報(アドレスやFAX番号など)の入力を受け付ける。また、パネル制御部30は、送信機能の設定用の画面で、送信機能に関する設定項目を選択する入力を受け付ける。使用者により設定項目の選択操作がなされると、パネル制御部30は、設定項目の設定画面を表示部31に表示させる。
多数の設定項目があり、例えば、送信機能用として送信する画像データのファイル形式の設定や、送信サイズ選択や、原稿サイズ選択や、拡大/縮小や、濃度設定や、送信する画像データの色選択(カラー、モノクロ設定)などのような設定項目がある。送信機能に関し、選択可能な設定項目(機能)や設定値は多数に及ぶので、各設定項目の詳細については、特に説明をする場合を除き、省略する。
図11は、送信する画像データのファイル形式の設定項目の設定画面73を示している。このように、各設定項目には、設定画面が用意される。設定項目の設定画面には、設定値を定めるための設定値キーなどが配される。
このように、操作パネル3(パネル制御部30)は、送信先や送信に関する設定項目の設定値の設定など、送信ジョブに関する設定を受け付ける。主制御部6は、操作パネル3と通信を行い、操作パネル3になされた設定の内容を認識する。そして、主制御部6は、使用者の設定内容に基づいた原稿読み取りを原稿読取部1に行わせ、画像処理部64に設定に応じた画像データを生成させ、通信部62から設定された宛先に画像データを送信させる。
そして、本実施形態の複合機100では、読み取った原稿Dに基づき、送信ジョブで送信される画像データの仕上がりイメージ(第2プレビュー画像i2)を表示部31に表示させることができる。これにより、どのような内容の画像データが送信されるか、送信開始前に、確認することができる。
図11に示すように、各設定項目の設定画面には、第2プレビュー画像i2を表示させるための第2プレビュー画像表示領域73aが設けられる。そして、図11の上方の図に示すように、第2プレビュー画像i2の表示前では、第2プレビュー画像表示領域73a内にプレビューキーK5が表示される。プレビューキーK5は、第2プレビュー画像i2の表示を指示するためのものである。
第2プレビュー画像i2の表示の流れを説明する。送信ジョブの実行開始前、パネル制御部30は、プレビューキーK5の表示位置へのタッチ操作を、第2プレビュー画像i2を表示させる旨の指示(プレビュー表示指示、内容確認入力)として認識する(受け付ける)。
プレビュー表示指示がなされた旨がパネル制御部30から伝達され、主制御部6は、原稿読取部1に原稿Dの読み取りを行わせる。原稿トレイ11に載置された複数枚の原稿Dの読み取りでは、原稿読取部1は、送信ジョブの最初の1ページ分の原稿Dの読み取りを行う。
原稿Dの読み取りにより生成された画像データは、記憶部61に記憶される。そして、原稿読取部1から出力された画像データは、表示部31で表示するには画素数が多すぎる。そこで、画像処理部64は、表示部31で第2プレビュー画像i2を表示するためのプレビュー用画像データを生成する。このとき、画像処理部64は、操作パネル3でなされた設定を反映したプレビュー用画像データを生成する。そして、図11の下方に示すように、パネル制御部30は、プレビュー用画像データに基づき、第2プレビュー画像表示領域73a内に、第2プレビュー画像i2を表示させる。
第2プレビュー画像i2の内容で問題がなければ(使用者が意図する内容であれば)、スタートキー35を押せばよい。スタートキー35が押されると、主制御部6は、原稿読取部1に原稿Dの読み取りを継続させる(原稿読取部1に送信ジョブを行わせる)。
第2プレビュー画像i2をみて、使用者が意図する内容でなければ、使用者は、第2プレビュー画像表示領域73aに設けられた中止キーK6の表示位置をタッチする(図11の下方の図参照)。中止キーK6は、第2プレビュー画像i2の表示に伴い、プレビューキーK5に置き換えて表示される。また、操作パネル3にハードキーとして設けられたストップキー35aを押してもよい(図3参照)。パネル制御部30は、これらの操作をプレビュー終了指示として受け付ける。
プレビュー終了指示がなされると、パネル制御部30は、送信ジョブの設定用の画面を表示部31に表示させる。そして、使用者は、設定すべき設定項目について設定を行う。そして、設定を変更した後、プレビューキーK5の表示位置がタッチされると、パネル制御部30は、変更後の設定内容に応じた第2プレビュー画像i2を表示部31に表示させる。
また、スタートキー35が押され、送信ジョブが開始されると(原稿Dの読取が開始されると)、パネル制御部30は、読み取った原稿Dに基づき、送信ジョブで送信される画像データの各ページの仕上がりイメージ(第2プレビュー画像i2)を表示するプレビュー表示画面74を自動的に表示部31に表示させる(図12参照)。パネル制御部30は、原稿Dの読み取りの進展にあわせ、プレビュー表示画面74で、ページ順に第2プレビュー画像i2を切り替え表示させる。この場合も、画像処理部64は、操作パネル3でなされた設定を反映したプレビュー用画像データをページ順に生成する。して、パネル制御部30に生成したプレビュー用画像データが送信される。パネル制御部30は、順次、受信する各ページのプレビュー用画像データに基づき、スライドショー的に、第2プレビュー画像i2を表示部31に表示させる。これにより、生成され、送信される画像データの内容を確認することができる。このとき、パネル制御部30は、中止キーK7を表示部31に表示させる。中止キーK7の表示位置がタッチされると、主制御部6は原稿読取部1に送信ジョブを中止させる。
(送信ジョブ開始前の第2プレビュー画像i2の表示の有無に応じた読取速度制御)
次に、図13を用いて、送信ジョブ開始前に第2プレビュー画像i2を表示させたか否かに応じた読取速度制御の流れを説明する。図13は、第2プレビュー画像i2の表示の有無に応じた読取速度制御の流れを示すフローチャートである。尚、原稿Dの読取速度を変化させる制御は、原稿トレイ11に載置された複数枚の原稿Dを連続して読み取る場合に適用される。
本実施形態の複合機100では、送信ジョブ(スキャンジョブ)のとき、高速の第1読取速度で読み取るか、低速の第2読取速度で読み取るかを操作パネル3で設定することができる。言い換えると、通常読取モードで読み取るか、静音読取モードで読み取るかを設定できる。尚、読取速度に関する設定が別段なされない場合、第1読取速度で読取、送信がなされる。
そして、以下の説明は、第1読取速度で読取を行う場合(第1読取速度での読取が設定された場合や、別段、読取速度に関する設定がなされなかったとき)に関する。尚、第2読取速度で読取を行う設定がなされたとき、第2読取速度での読取が行われる。
そのため、図13のスタートは、送信ジョブの実行指示がなされ、第2読取速度での読み取りが設定されずに送信ジョブを開始する時点である。
主制御部6は、パネル制御部30と通信し、実行しようとする送信ジョブは、実行指示前に(設定開始からスタートキー35が押されるまでの間に)第2プレビュー画像i2の表示がなされたか否かを確認する(ステップ♯21)。
もし、送信ジョブの開始前に、第2プレビュー画像i2を表示していれば(ステップ♯21のYes)、主制御部6は、原稿読取部1(原稿搬送制御部10b、読取制御部10a)に第2プレビュー画像i2を表示した送信ジョブの原稿Dの読み取りであることを通知する。この通知を受け、原稿読取部1は全ての原稿Dを第1読取速度(通常読取モード)で読み取る(ステップ♯22→エンド)。送信ジョブ開始前に、第2プレビュー画像i2を確認したのであれば、仕上がりが確認されており、設定漏れや設定ミスの可能性が低いと推測できるため、最初から(1ページ目から)高速で読取を行う。
一方、送信ジョブ開始前に、第2プレビュー画像i2を表示していなければ(ステップ♯21のNo)、主制御部6は、原稿読取部1(原稿搬送制御部10b、読取制御部10a)に第2プレビュー画像i2を表示していない送信ジョブであることを通知する。そして、原稿読取部1は、まず、第2読取速度(静音読取モード)で原稿Dの読取を行う(ステップ♯23)。
また、主制御部6とパネル制御部30は、第2読取速度で読み取られた原稿Dの画像データに基づき、第2プレビュー画像i2をプレビュー表示画面74内に表示させる(ステップ♯24)。この場合、原稿読み取りが進むにつれて、プレビュー表示画面74では、第2プレビュー画像i2が次のページのものに順番に切り替えられる。尚、送信ジョブ開始前に第2プレビュー画像i2を表示したときでも、主制御部6とパネル制御部30は、第1読取速度で読み取られた原稿Dの画像データに基づき、第2プレビュー画像i2を表示部31に表示させる
そして、原稿搬送制御部10bや読取制御部10aは、第2読取速度で、最初のページから予め定められた読取枚数、原稿Dを読み取ったか否かを確認する(ステップ♯25)。言い換えると、主制御部6や原稿搬送制御部10bは、最初のページから読み取られた枚数が予め定められた読取枚数に到達したか否かを確認する(ステップ♯25)。ここで予め定められた読取枚数は、任意の値である。予め定められた読取枚数は、予め定められた読取枚数の読み取りに要する時間が、原稿読み取り開始後に表示部31に表示される第2プレビュー画像i2を見て、使用者が送信ジョブで設定漏れや設定ミスがあることに気付けるような時間となる枚数とされる。そのため、予め定められた読取枚数は、1〜数枚程度でよい。
予め定められた読取枚数分の第2読取速度での読取が未完了であれば(ステップ♯25のNo)、フローは、ステップ♯23に戻る。一方、予め定められた読取枚数分の第2読取速度での読取がなされれば、原稿搬送制御部10bや読取制御部10aは、読取速度を第1読取速度に変更する。そして、原稿読取部1は、予め定められた読取枚数の後のページから最終ページまでについては、第1読取速度で読み取りを行う(ステップ♯26→エンド)。
ここで、第2読取速度の読み取りが設定されておらず、送信ジョブ開始前に、第2プレビュー画像i2を表示していないとき(プレビューキーK5による内容確認入力がなされていないとき)、原稿読取部1は、第2読取速度で読取を開始する。そして、原稿読取部1は、途中で読取速度を第1読取速度に変化させる。このように、本実施形態の複合機100では、送信ジョブの途中で読取速度が変更される。
そのため、原稿搬送制御部10bは、第2読取速度で読み取りを行う枚数分、原稿トレイ11から給紙を行わせた後、第2読取速度で読み取る最後の原稿Dが原稿排出トレイ44に排出されるまで、原稿Dの給紙を停止させてもよい。その後、原稿読取部1は、送信ジョブの原稿Dの残りのページを第1読取速度で読み取る。言い換えると、読取速度の変更に備え、原稿搬送制御部10bは、原稿トレイ11からの給紙を一旦停止させる。そして、第2読取速度(静音読取モード)で読み取る原稿Dが全て原稿排出トレイ44に排出されると、原稿搬送制御部10bや読取制御部10aは、第1読取速度(通常読取モード)での原稿読み取りを原稿読取部12の各部材に開始させる。
原稿Dの搬送速度は決まっており、給紙位置から原稿排出トレイ44に排出されるまでに要する搬送距離は決まっているので、原稿搬送制御部10bや読取制御部10aは、原稿Dの給紙開始からの時間に基づき、原稿Dが排出トレイ44に排出されたことを認識してもよい。
(ポリゴンモーター24の回転停止)
次に、図5、図14を用いて、本実施形態に係るポリゴンモーター24の回転停止について説明する。図14は、ポリゴンモーター24の回転停止を説明するためのタイミングチャートである。
露光装置51には、感光体ドラムの走査、露光のため、半導体レーザー装置(不図示)と、半導体レーザー装置からのレーザー光を反射するポリゴンミラー24aを回転させるためのポリゴンモーター24が設けられる(図4参照)。ポリゴンモーター24の回転速度は、数万rpmに及ぶため、耳障りと感ずるほどの高周波音が生ずる場合がある。
従来、印刷ジョブの最終ページの用紙Pが排出トレイ44に排出されるまで、エンジン制御部20は、ポリゴンモーター24を回転させる駆動信号の入力を続けていた(ポリゴンモーター24の回転は続けられていた)。
そのため、従来、印刷開始から印刷ジョブの最終ページの用紙Pが排出トレイ44に排出されるまで、及び、排出トレイ44への排出後、ポリゴンモーター24が慣性により回転し続けている間、使用者が不快と感じるおそれがある音が生じている。
そこで、本実施形態の複合機100では、エンジン制御部20は、印刷ジョブの最終ページでの走査、露光(感光体ドラムへの書き込み)が終了すると、エンジン制御部20は、ポリゴンモーター24の回転を停止させる。言い換えると、エンジン制御部20は、最終ページの排出トレイ44への用紙排出前に、ポリゴンモーター24への駆動信号の入力を停止する。本実施形態の複合機100は、第2印刷速度や第2読取速度でジョブを実行することがあり、高い静音性を有するところ、ポリゴンモーター24の回転の早期停止によって、更に静音性が高められる。
この点、図14を用いて、説明する。図14の時点T11は、原稿読取部1での原稿Dの読み取り(原稿搬送や画像データの生成)が終了した時点である。コピージョブのとき、最終ページの印刷開始前に、コピージョブの対象となる原稿Dの束のうちの最終ページ(原稿トレイ11に載置された原稿Dの最終ページ)の読み取りは終了する。尚、原稿搬送制御部10bは、原稿検知センサー10sの出力に基づき、給紙した原稿Dが最終ページであるか否かを認識できる。
そして、最終ページの印刷では、排出トレイ44に排出するまでの用紙搬送、定着、1次転写、2次転写の前に、最終ページのトナー像形成に必要な感光体ドラムの走査、露光が終了する。図14では、T12が最終ページのトナー像形成に必要な感光体ドラムの走査、露光の終了時点である。
尚、いつの時点を最終ページの感光体ドラムの走査、露光の終了時点と扱うかは任意に定めることができる。例えば、感光体ドラムに対する走査、露光位置が、印刷ジョブの最終ページの副走査方向での最終ラインに相当する位置を超えた時点を最終ページの感光体ドラムの走査、露光の終了時点と定めることができる。また、エンジン制御部20は、印刷ジョブの最終ページの画像データに基づき、最終ページのうち、副走査方向で最も用紙後端側でのトナーをのせるドットの位置を認識し、最終ページで露光が必要な全てのドットを走査、露光した時点(副走査方向で最も用紙後端側でのトナーをのせるドットを露光した時点)を終了時点と扱ってもよい。
そして、図14のT13は、排出トレイ44に用紙Pが排出される時点(印刷終了時点)を示す。図14に示す例では、最終ページが排出トレイ44に排出される前に、ポリゴンモーター24は停止される。このように、エンジン制御部20は、最終ページの感光体ドラムの走査、露光の終了時点に到ると、ポリゴンモーター24の回転の停止を開始させ、速やかにポリゴンモーター24から生ずる音を小さくさせる。これにより、複合機100の静音性が高められる。
(給紙タイミングの意図的なずれ)
次に、図15を用いて、原稿読取部1での原稿Dの送り出し開始と、給紙部4aからの用紙Pの給紙開始のずれを説明する。図15は、原稿読取部1での原稿Dの送り出し開始と、給紙部4aからの用紙Pの給紙開始のずれを示す図である。
原稿トレイ11からの原稿Dの搬送では、載置された原稿Dの送り出し(給紙)を開始するときに大きな音が生じやすい。また、印刷のとき、カセット内(給紙部4a内)の用紙Pの送り出し(給紙)を開始するときに大きな音が生じやすい。
ここで、コピージョブのように原稿Dを読み取りつつ印刷を行うとき、原稿Dの搬送を開始する時点と、用紙Pの給紙を開始する時点が同じ、又は、近くなる場合がある。原稿Dの搬送を開始する時点と、用紙Pの給紙を開始する時点が近いと、大きな音が生ずる時間帯が重なり合計音量がかなり大きくなる場合がある。
そこで、本実施形態の複合機100では、複合機100から生ずる音を抑えるため、主制御部6は、給紙部4aから給紙を開始するタイミング(時点)と、原稿搬送部1bから原稿Dの送り出しを開始するタイミング(時点)を所定間隔以上異ならせる。これにより、用紙Pの送り出しが重なって複合機100から生ずる音が大きくなることを避けることができる。本実施形態の複合機100は、第2印刷速度や第2読取速度でジョブを実行することがあり、高い静音性を有するところ、給紙タイミングをずらすことで、更に静音性が高められる。
この点、図15を用いて説明する。図15のうち、上方のチャートでの、High状態は、原稿Dを搬送している状態を示す。言い換えると、原稿搬送制御部10bが原稿搬送用モーター10mを回転させる状態である。また、Low状態は、原稿Dを搬送していない状態を示す。言い換えると、原稿搬送制御部10bが原稿搬送用モーター10mを回転させていない状態である。
また、図15のうち、下方のチャートでの、High状態は、給紙部4aで給紙を行っている状態を示す。言い換えると、エンジン制御部20が給紙ローラー41を回転させている状態である。また、Low状態は、給紙部4aで給紙を行っていない状態を示す。言い換えると、エンジン制御部20が給紙ローラー41を回転させていない状態を示す。
本実施形態の複合機100では、時点T14〜T19に示すように、エンジン制御部20と原稿搬送制御部10bは、原稿Dの搬送の開始の時点と、給紙開始(給紙ローラー41の回転開始)の時点に差を持たせる。差は所定間隔以上とされる。これにより、複合機100の静音性が高められる。
(操作音量の調整)
次に、図5、図16を用いて、印刷が行われているか否かに応じた操作パネル3での操作音の音量調整を説明する。図16は、印刷が行われているか否かに応じた操作音量の調整を説明するための図である。
まず、操作パネル3は、操作パネル3に設けられたソフトキーやハードキーに対するタッチ操作に応じ、操作音を発する発音部38を含む(図5参照)。例えば、発音部38は電子音を発するスピーカーである。操作音により、自己のタッチ操作が受け付けられたことを認識できる。
原稿Dが搬送されていないときや印刷が行われていないとき、画像形成装置から生ずる音は、ほとんど無い。そのため、ジョブ未実行状態では、操作音が耳に付きやすくなる。そして、操作音の音が高いときや、操作音の音量が大きいと、使用者にうるさいと不快感を与えかねない。
そこで、本実施形態の複合機100では、原稿読取部1や印刷部2がジョブ実行していないとき、発音部38は、ジョブを実行しているときよりも操作音を小さくする。一方、原稿読取部1や印刷部2がジョブ実行している間では、発音部38は、ジョブを実行していないときよりも操作音を大きくする。反対に、これにより、ジョブを実行していないときに大きな操作音を鳴らし、操作音が顕著に聞こえるようにしつつ、使用者にうるさいと不快感を与えない。本実施形態の複合機100は、第2印刷速度や第2読取速度でジョブを実行することがあり、高い静音性を有するところ、操作音の調整を行うので、尚更のこと、使用者が不快を感じない複合機100を提供することができる。
具体的に、図16を用いて説明する。図16のうち、上方のチャートは、操作音の大小を示す。また、下方のチャートは、原稿読み取り(原稿搬送)や、印刷(給紙や排出)のようなジョブの実行の有無を示す。High状態は、ジョブが行われている状態を示し、Low状態は、ジョブが行われていない状態を示す。
そして、図16に示すように、パネル制御部30は、原稿読み取りや印刷のようなジョブが実行されると、操作音量を大きなレベルとする(T20の時点)。そして、パネル制御部30は、ジョブが実行されている間、操作がなされると、ジョブ未実行のときよりも大きい操作音を発音部38に出させる。パネル制御部30は、ジョブが完了したとき(排出トレイ44に用紙Pが排出されたときや、原稿Dの最終ページの読み取りが完了したとき)操作音量を小さなレベルとする(T21の時点)。
(印刷のモードに応じたファン26の回転制御)
次に、図5、図17を用いて、印刷のモードに応じたファン26の回転制御を説明する。図17は、印刷のモードに応じたファン26の回転制御を説明するための図である。
まず、本実施形態の複合機100には、冷却、放熱や機内の空気循環などのため、1又は複数のファン26が設けられる(図5参照)。ファン26は、空気の吸入、排出を行う。ファン26は、複合機100の背面や側面のカバーに面するように、あるいは、機内の奥部に設けられる。
エンジン制御部20は、ファン26の回転(回転のON/OFF)を制御する。具体的に、エンジン制御部20は、印刷ジョブの開始(給紙開始)に伴いファン26を回転させ、印刷の終了(最終ページの用紙排出)、又は、印刷の終了から予め定められた冷却時間経過したのち、ファン26の回転を停止させる。
ここで、ファン26を回転させると、風切り音や、モーターの駆動音が生ずる。そのため、ファン26を回転させない方が、画像形成装置から生ずる音の大きさを抑えることができる。そこで、本実施形態の複合機100では、エンジン制御部20は、通常印刷モードで印刷したときと、静音印刷モードで印刷したときとで、各ファン26を停止させる時点を異ならせる。
具体的にファン26は、静音印刷モードで印刷したとき、通常印刷モードで印刷したときよりも早い時点で停止する。この点、図17を用いて説明する。まず、図17でのT22は、印刷ジョブを開始する時点(用紙Pの給紙の開始時点)である。本実施形態では、印刷ジョブの開始からファン26を回転させる例を説明するが、印刷開始から予め定められた時間が経過した後、ファン26の回転が開始されてもよい。
そして、図17のT23は、印刷ジョブの完了(排出トレイ44への印刷ジョブでの最終ページの排出)の時点を示している。そして、エンジン制御部20は、静音印刷モードで印刷したとき、実行とたモードの趣旨に応じ、複合機100から生ずる音をできるだけ速やかに小さくするため、通常印刷モードで印刷したときよりも、早くファン26を停止させる。言い換えると、エンジン制御部20は、静音印刷モードでの印刷ジョブの終了からファン26を停止させるまでの時間を、通常読取モードでの印刷ジョブの終了からファン26を停止させるまでの時間よりも短くする。図17では、T24は静音印刷モードで印刷したときにエンジン制御部20がファン26を停止させる時点を示し、T25は通常印刷モードで印刷したときにエンジン制御部20がファン26を停止させる時点を示す。
これにより、静音印刷モードでは、ジョブを行うことにより生ずる音をできるだけ抑えるというモードの趣旨に基づき、ファン26を停止させることができる。また、通常印刷モードで印刷すると、十分に冷却や空気の循環を行うことができる。
そこで、本発明に係る画像形成装置(複合機100)は、ジョブを実行するジョブ実行部(原稿読取部1、印刷部2)と、使用者の設定入力と、実行しているジョブの中止を受け付ける操作部(操作パネル3)と、外部とデータの通信を行うための通信部62を備え、実行されるジョブの内容を確認するための入力である内容確認入力を受け付ける入力部と、を含み、ジョブ実行部は、内容確認入力が入力部に入力されていないジョブを実行するとき、最初から予め定められた枚数まで、内容確認入力が入力部に入力されたジョブを実行するときよりも遅い速度でジョブを実行し、予め定められた枚数以降では、内容確認入力が入力部に入力されたジョブと同じ速度でジョブを実行することとした。
これにより、内容確認がされず、設定漏れがある可能性があるジョブでは、ジョブの実行開始当初は遅い速度でジョブが実行される。従って、開始からなされたジョブの量が少ない時点で、設定漏れや設定ミスのあるジョブを中止することができる。言い換えると、実行されたジョブの量が少ない時点で、使用者が意図する内容と異なるジョブが実行されていることを気付き、中止することができる。従って、設定漏れや設定ミスのあるジョブを実行しても、用紙P、電力、時間の無駄は、常に高速でジョブを実行するときに比べ、少なくて済む。一方、内容確認入力がなされ、問題ないと確認されたジョブでは、高速にジョブが実行される。しかも、内容確認がなされないままジョブが実行された場合でも、ジョブの実行結果の一部を見ることで使用者が問題ないと確認したと推測できる時点で、ジョブの実行速度が自動的に高速化される(通常の速度に変更される)。これにより、画像形成装置(複合機100)に、高い生産性(高速なジョブ実行性能)も、持たせることができる。
又、用紙Pを搬送して用紙Pに印刷を行う印刷部2と、載置された原稿Dを1枚ずつ自動的に搬送し原稿Dを読み取って画像データを生成する原稿読取部1をジョブ実行部として含み、操作部(操作パネル3)は、表示部31を含み、原稿読取部1が読み取った原稿Dの画像データと操作部になされた設定内容に基づいて印刷を行うコピージョブの実行指示を受け付けるとともに、プレビュー表示指示を内容確認入力として受け付け、操作部がプレビュー表示指示を受け付けたとき、原稿読取部1は原稿Dの読み取りを行い、表示部31は、コピージョブの実行開始前に原稿読取部1が読み取った原稿Dの画像データと操作部になされた設定内容に基づいてコピージョブの実行結果を示す第1プレビュー画像i1を表示し、印刷部2は、実行指示がなされたとき、第1プレビュー画像i1を表示したジョブについては全ページを第1印刷速度で印刷し、第1プレビュー画像i1を表示していないジョブについては、最初から予め定められた印刷枚数を第2印刷速度で、残りのページを第1印刷速度で印刷し、第1印刷速度は、第2印刷速度よりも速いこととした。
これにより、コピージョブを行うとき、最初から予め定められた印刷枚数(1〜数枚)が印刷される間では、遅い速度で印刷がなされる。そのため、開始からの印刷量(印刷された枚数)が少ない時点で、設定漏れや設定ミスのあるジョブを中止することができる。言い換えると、コピージョブ開始からの出力枚数が少ない時点で、使用者が意図する内容と異なるコピージョブが実行されていることに気付き、中止させることができる。従って、設定ミスや設定漏れのあるコピージョブを実行しても、用紙P、電力、時間の無駄は、第1印刷速度のみでジョブを実行するときに比べ、少なくて済む。尚、「予め定められた印刷枚数」は、1〜数枚程度でよい。また、第1プレビュー画像i1の表示を行われて内容が確認されたジョブでは、高速にジョブが実行される。しかも、内容確認がなされないままジョブが実行されても、ジョブの実行結果の一部をみて使用者が問題ないと確認したと推測できる時点で、ジョブの実行速度が自動的に高速化される(第1印刷速度に変更される)。これにより、画像形成装置(複合機100)に、高い生産性(高速な印刷性能)も、持たせることができる。
又、用紙Pを搬送して用紙Pに印刷を行う印刷部2をジョブ実行部として含み、通信部62は、外部から送信された印刷内容を示すデータと印刷での設定データを含む印刷用データD1を受信し、印刷部2は、受信した印刷用データD1に基づく印刷ジョブにおいて、最初に印刷する1部を第2印刷速度で印刷を行い、2部以降では第1印刷速度で印刷を行い、第1印刷速度は第2印刷速度よりも速いこととした。
これにより、プリントジョブ(複合機100をプリンターとして用いるジョブ)を行ううえで、試しに印刷される1部目は、遅い速度で印刷がなされる。従って、1部目は遅い速度で印刷が行われるので、設定ミスや設定漏れのあるプリントジョブを試し刷り印刷中に中止できる場合が多くなる。また、複数部の全てを印刷する前に、設定漏れや設定ミスのあるプリントジョブを中止することができる。言い換えると、印刷された枚数が少ない時点で、使用者が意図する内容と異なるプリントジョブが実行されていることを気付き、中止させることができる。そのため、設定漏れや設定ミスのあるジョブの実行による用紙P、電力、時間の無駄が抑えられる。また、試し刷り印刷後の2部目以降では、高速にプリントジョブが実行される。従って、試し刷り印刷をみて問題ないと確認されている状態では、ジョブの実行速度が自動的に高速化される(第1印刷速度に変更される)。これにより、画像形成装置(複合機100)に、高い生産性(高速なジョブ実行性能)も、持たせることができる。
又、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、データを記憶する記憶部61を含み、記憶部61は、試し刷りの設定がなされた印刷用データD1を登録し、操作部(操作パネル3)は、記憶部61に登録された印刷用データD1を印刷する指示である保留データ印刷指示を受け付け、印刷部2は、通信部62が試し刷りの設定がなされた印刷用データD1を受信したとき、受信した印刷用データD1に基づき第2印刷速度で1部目を印刷し、操作部が保留データ印刷指示を受け付けると、保留データ印刷指示に対応する印刷用データD1に基づき、第1印刷速度で2部目以降の印刷を行うこととした。これにより、1部目で一旦印刷用データD1に基づく印刷が停止される。従って、複数部の全てが、使用者が意図しない内容で印刷されない。言い換えると、無駄な印刷は、最も多くても複数部のうち1部までに止められる。そのため、設定漏れや設定ミスのあったジョブの実行による用紙P、電力、時間の無駄が抑えられる。
原稿Dや用紙Pの送り出しのとき、ローラーの回転開始や、紙同士の擦れなどにより大きな音が生ずる場合がある。そこで、印刷部2は、用紙Pを供給する給紙部4aを含み、給紙部4aと原稿搬送部1bは、異なるタイミングで用紙Pと原稿Dの送り出しを開始することとした。ジョブの開始当初、ジョブの実行速度を落とすことで画像形成装置(複合機100)の静音性が高いところ、原稿Dと用紙Pの送り出しが重なり、画像形成装置から生ずる音が大きくなることを避け、更に静音性を高めることができる。
又、排熱や冷却などの各種の理由により、画像形成装置(複合機100)には、空気の吸入、排出を行うファン26が設けられる。そして、本実施形態の画像形成装置は、印刷動作時に回転させるファン26を含み、印刷部2は、予め定められた第1印刷速度で印刷を実行する通常モードと、第1印刷速度よりも遅い第2印刷速度で印刷する静音モードを有し、操作部(操作パネル3)は、通常モードで印刷を行うか、静音モードで印刷を行うかのモード設定を受け付け、印刷部2は、モード設定がなされたとき設定されたモードに応じた速度で印刷を行うとともに、モード設定がなされず印刷が実行されたとき通常モードで印刷を行い、ファン26は、静音モードで印刷するとき、通常モードで印刷するときよりも早い時点で停止することとした。これにより、静音読取モードで画像形成装置から生ずる音を更に小さくすることができる。
又、操作部(操作パネル3)は、使用者によるタッチ操作の操作音を発する発音部38を含み、発音部38は、ジョブ実行部(原稿読取部1、印刷部2)がジョブ実行中の操作音を、ジョブ実行部がジョブを実行していないときよりも大きくすることとした。これにより、ジョブが実行されていないとき、操作音の音量を抑え、使用者に不快感を与えることを防ぐ。一方で、ジョブを実行しているときに大きな操作音を鳴らし、操作音が顕著に聞こえるようにしつつ、使用者にうるさいと不快感を覚えさせない。
感光体ドラムの走査、露光を行うためのポリゴンモーター24は、高速で回転する。そのため、ポリゴンモーター24を回転させると、高周波音が生じる。そのため、ポリゴンモーター24は、使用者にとって耳障りでうるさいと感じさせる音の発生源となり得る。そして、従来、ポリゴンモーター24は、最終ページが機外に排出されるまで回転させていた(最終ページの排出までポリゴンモーター24を回転させる駆動信号の入力が続けられていた)。そこで、印刷部2は、画像データに基づき走査、露光を行って感光体ドラムに静電潜像を形成する露光装置51を含み、トナー像を形成する画像形成部5aを備え、露光装置51は、ポリゴンミラー24aを回転させるポリゴンモーター24を含み、ポリゴンモーター24は、印刷の最終ページの印刷に必要な走査、露光が完了すると、停止し始めることとした。これにより、従来よりも早くポリゴンモーター24の回転停止を開始して、画像形成装置(複合機100)から生ずる音の大きさを抑えることができる。また、使用者にうるさいと不快感を与えないようにすることができる。
又、本実施形態の画像形成装置は、載置された原稿Dを1枚ずつ自動的に搬送し原稿Dを読み取って画像データを生成する原稿読取部1をジョブ実行部として含み、操作部(操作パネル3)は、表示部31を含み、原稿読取部1が読み取った原稿Dの画像データと操作部になされた設定内容に基づく送信ジョブの実行指示と、プレビュー表示指示を内容確認入力として受け付け、操作部がプレビュー表示指示を受け付けたとき、原稿読取部1は原稿Dの読み取りを行い、表示部31は、送信ジョブの実行開始前に原稿読取部1が読み取った原稿Dの画像データと操作部になされた設定内容に基づいて送信される画像データの内容を示す第2プレビュー画像i2を表示し、操作部が送信ジョブの実行指示を受け付けたとき、表示部31は、原稿読取部1が読み取った原稿Dの画像データと操作部になされた設定内容に基づいて第2プレビュー画像i2を表示し、原稿読取部1は、送信ジョブの実行開始前に第2プレビュー画像i2を表示した送信ジョブについては全ページを第1読取速度で原稿Dを読み取り、送信ジョブの実行開始前に第2プレビュー画像i2を表示していない送信ジョブについては、最初から予め定められた読取枚数を第2読取速度で、残りのページを第1読取速度で原稿Dを読み取り、第1読取速度は、第2読取速度よりも速いこととした。これにより、原稿Dの読み取りが始まって当初の段階では、原稿Dの読取速度を抑えられる。従って、使用者が意図する内容と異なる内容で画像データが送信されると気付き、中止する時点では、原稿Dの読み取り枚数は少なくて済む。従って、設定ミスや設定漏れのあった送信ジョブの実行による生ずる電力、時間の無駄は極力抑えられる。また、当初は原稿Dの搬送速度が遅くても、第2プレビュー画像i2をみて使用者が問題ないと確認したと推測できる時点で、原稿Dの読取速度が自動的に高速化される(第1読取速度に変更される)。これにより、画像形成装置(複合機100)に、高い生産性(高速な原稿読取性能)を、持たせることができる。尚、「予め定められた読取枚数」は、1〜数枚程度でよい。
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。