<第1実施例>
図1を参照して、携帯端末10は、CPU(プロセサまたはコンピュータと呼ばれることもある。)20、キー入力装置22およびタッチパネル制御回路34によって制御されるタッチパネル36を含む。CPU20は、無線通信回路14を制御して発呼信号を出力する。出力された発呼信号は、アンテナ12から送出され、基地局を含む移動通信網に送信される。通話相手が応答操作を行うと、通話可能状態が確立される。
通話可能状態に移行した後にキー入力装置22またはタッチパネル36によって通話終了操作が行われると、CPU20は、無線通信回路14を制御して、通話相手に通話終了信号を送信する。通話終了信号の送信後、CPU20は、通話処理を終了する。先に通話相手から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は、通話処理を終了する。また、通話相手によらず、移動通信網から通話終了信号を受信した場合も、CPU20は通話処理を終了する。
携帯端末10が起動している状態で通話相手からの発呼信号がアンテナ12によって捉えられると、無線通信回路14は、着信をCPU20に通知する。CPU20は、LCDドライバ24によってLCDモニタ26を制御し、描画に必要な画像をビデオRAM28に記憶させることで、着信通知に記述された発信元情報をLCDモニタ26に表示させる。また、CPU20は、図示しない着信通知用のスピーカから着信音を出力させる。
通話可能状態では、次のような処理が実行される。通話相手から送られてきた変調音声信号(高周波信号)は、アンテナ12によって受信される。受信された変調音声信号は、無線通信回路14によって復調処理および復号処理を施される。これによって得られた受話音声信号は、スピーカ18から出力される。マイク16によって取り込まれた送話音声信号は、無線通信回路14によって符号化処理および変調処理を施される。これによって生成された変調音声信号は、上述と同様、アンテナ12を利用して通話相手に送信される。
タッチパネル36は、LCDモニタ26の画面内の任意の位置を使用者が指示するためのポインティングデバイスである。タッチパネル36は、その上面を指で、押したり、スライドしたり(撫でたり)、触られたりすることにより操作されると、その操作を検出す
る。そして、タッチパネル36がタッチを検出すると、タッチパネル制御回路34は、その操作の位置を特定し、操作された操作位置の座標データをCPU20に出力する。つまり、使用者は、タッチパネル36の上面を指で、押したり、スライドしたり、触れたりすることによって、操作の方向や図形などを携帯端末10に入力することができる。
また、タッチパネル36は、指がタッチパネル36の表面に接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する静電容量方式と呼ばれる方式で、指がタッチパネル36に触れたことを検出する。なお、このタッチパネル36には、透明フィルムなどに電極パターンを形成することで、指が接近して生じた電極間の静電容量の変化を検出する、投影型の静電容量方式が採用されている。また、検出方式には、表面型の静電容量方式が採用されてもよいし、抵抗膜方式、超音波方式、赤外線方式および電磁誘導方式などであってもよい。
ここで、使用者がタッチパネル36の上面を指で触れる操作を「タッチ」と呼ぶことにする。一方、タッチパネル36から指を離す操作を「リリース」と呼ぶことにする。そして、タッチによって示された座標を「タッチ始点」、リリースによって示された操作の終了位置の座標を「タッチ終点」と呼ぶことにする。さらに、使用者がタッチパネル36の上面をタッチして、続けてリリースする操作を「タッチ操作」とよぶことにする。なお、タッチパネル36に対する操作は、指だけに限らずペンなどの先が細い形状をした棒で行うようにしてもよい。また、操作を行うために、専用のタッチペンなどを備えるようにしてもよい。
指を使ってタッチする場合のタッチ位置は、タッチパネル36に触れている指の面積における重心がタッチ位置となる。ただし、タッチ位置をタッチパネル36に触れている指の面積における重心とするときに、使用者が意図していなくても触れている指の面積が変化することがある。そのため、使用者がタッチ位置を動かしていないと認識していても、CPU20では、タッチ位置が移動していると検出する。そこで、CPU20では、タッチ位置の移動量が微量(たとえば、LCDモニタ26の10dot以下)であれば、タッチ位置が変化していないと判断する。
図2(A)−(C)は携帯端末10の外観を示す図解図である。図2(A)−(C)を参照して、携帯端末10は、各々が板状に形成されたケースC1およびケースC2を有する。ケースC1およびケースC2の厚みは略同じである。図2では、図示しないマイク16は、ケースC2に内蔵され、スピーカ18はケースC1に内蔵される。内蔵されたマイク16に通じる開口op2は、ケースC2の長さ方向一方の上面に設けられ、内蔵されたスピーカ18に通じる開口op1は、ケースC1の長さ方向一方の上面に設けられる。つまり、使用者は、開口op1を通じてスピーカ18から出力される音を聞き、開口op2を通じてマイク16に音声を入力する。
キー入力装置22は、ケースC2の上面に設けられる。使用者は、キー入力装置22またはタッチパネル36を操作することで、通話開始/終了操作や、携帯端末10の電源のオン/オフ操作などを行う。LCDモニタ26は、モニタ画面がケースC1の上面に露出するように取り付けられ、さらにLCDモニタ26の上面には、タッチパネル36が設けられる。
ケースC1およびケースC2には、図示しない開閉機構が内蔵される。そして、ケースC1は、ケースC2の上に積層された状態でケースC2の長さ方向に可動できる。さらに、開閉機構は、ケースC1をバネ機構などによってアシストするアシスト機構を含む。
また、図2(A)に示す状態を「閉状態」、図2(B)、(C)に示す状態を「開状態」と呼ぶことにする。そして、CPU20は、開状態と閉状態とを図示しない磁気セン
サと磁石によって検出する。
なお、ケースC1、LCDモニタ26、タッチパネル36、開口op1およびケースC1については、他の図解図では簡単のため詳細な説明を省略する。
携帯端末10は、TV視聴機能を備えており、キー入力装置22またはタッチパネル36によってTV視聴機能を実行する操作が行われると、LCDモニタ26には、デジタル放送による映像を表示する。具体的には、DTVチューナ42は、アンテナ44によって受信したデジタル放送信号から選局されたチャンネルに対応するデジタル放送信号を抽出する。また、DTVチューナ42は、その抽出したデジタル放送信号に対してデジタル復調等の処理を行い、復調信号を生成する。さらに、DTVチューナ42は、復調信号を携帯端末10に出力する。携帯端末10は、復調信号に対してMPEG方式に基づいた復号処理を行い、映像信号を形成する。そして、その形成された映像信号は、LCDモニタ26に出力され、LCDモニタ26には、選局されたチャンネルのデジタル放送による映像が表示される。
図3(A)、(B)は、TV視聴機能を実行する携帯端末10の外観を表す図解図である。図3(A)、(B)を参照して、LCDモニタ26には、TV領域R1、操作領域R2および状態表示領域R3が表示される。TV領域R1は、受信中のデジタル放送による映像が表示される領域である。操作領域R2は、TV視聴機能において使用者が操作を行うキーを含む領域であり、メニューキー50、チャンネルキー52および音量キー54を含む。メニューキー50は、TV視聴機能を終了させたり、設定を変更したりするためのGUIを表示させるためのキーである。チャンネルキー52は、受信中のデジタル放送のチャンネルを選局する(チャンネル番号を変更する)ためのキーである。使用者は、上方向を示すチャンネルキー52チャンネル番号を大きくし、下方向を示すチャンネルキー52によってチャンネル番号を小さくすることができる。音量キー54は、TV領域に表示されたデジタル放送に対応する音量を調節するためのキーである。使用者は、「+」で示される音量キー54によって音量を大きくし、「−」で示される音量キー54によって音量を小さくする。
また、このTV視聴機能では、タッチパネル36によって操作されると、モータ40によるモータ振動によって、操作を使用者にフィードバックする、フィードバック機能を備える。たとえば、使用者がチャンネルキー52によって選局すると、CPU20は、選局処理を行うのに合わせてモータ40を回転させ、そのモータ40の回転によって携帯端末10を振動させる。そして、使用者は、チャンネルキー52によって選局する毎に、携帯端末10が振動、つまりフィードバックされるため、自身の選局操作が成功していることを知ることができる。
なお、TV視聴機能だけに限らず、他の機能でもタッチパネル36によって操作する毎にフィードバック機能が実行されるようにしてもよい。さらに、モータ40による振動は、使用者への着信を通知するバイブレーション機能として用いられてもよい。また、フィードバック機能は、モータ40の振動だけでなく、図示しないスピーカなどから音を出力してもよい。
状態表示領域R3は、携帯端末10の状態が表示される領域であり、携帯端末10の電波受信状態および電池残量状態を示すアイコンを含む。
また、横向き方向におけるLCDモニタ26の右上端を特定位置Aする。この特定位置Aについては、他の実施例で後述するため、ここでは詳細な説明は省略する。さらに、CPU20は、加速度センサ38から出力される加速度のデータ(加速度データ)から、携
帯端末10の携帯端末姿勢が変化したことを検出し、LCDモニタ26の表示方向を切り替える。たとえば、携帯端末10の携帯端末姿勢が、図3(A)に示す横向き状態から図3(B)に示す縦向き状態に変化すると、LCDモニタ26の表示方向は、携帯端末姿勢の変化に合わせて、横方向から縦方向に切り替えられる。なお、この特定位置Aは、LCDモニタ26において常に同じ位置となるため、縦向き方向では、LCDモニタ26の右下端が特定位置Aとなる。
なお、TV領域R1、操作領域R2および状態表示領域R3については、他の図解図において同様であるため、他の図解図では簡単のため詳細な説明を省略する。さらに、TV領域R1については、表示内容についても省略する。
図3(C)、(D)は、TV視聴機能を実行する場合に、使用者によって携帯端末10が保持される状態を示す図解図である。図3(C)は、横向き状態で携帯端末10を保持する図であり、図3(D)は、縦向き状態で携帯端末10を保持する図である。図3(C)、(D)のどちらにおいても、使用者は、自身の指がタッチパネル36に触れて誤操作しないようにするため、携帯端末10の側面を指でつまむように持つことで、携帯端末10を保持する。
ところが、使用者がTV視聴機能によってデジタル放送を長時間、楽しむ場合に、図3(C)または図3(D)に示すように携帯端末10の側面を指でつまむように持つと、使用者は、手が疲れてしまい、長時間の視聴に耐えられない。長時間の保持でも疲れにくい持ち方として、図4(A)、(B)に示すように、ケースC1の上面とケースC2の下面を挟むように持つことで、携帯端末10を長時間保持することを考えられるが、指が操作領域R2などに触れるため、必要のない選局または音量調整を行ってしまう。また、タッチパネル36は、ケースC1の上面とほぼ同じ大きさであるため、タッチパネル36に触れないようにして、ケースC1の上面とケースC2の下面を挟むように持つことは困難である。
そこで、特定領域に特定操作を行うことで、タッチパネル36におけるタッチ反応領域内に、各キーに対応する操作を無効化する不感領域を設定することで、タッチパネル36に対する誤操作を防ぐようにする。なお、タッチ反応領域は、LCDモニタ26の表示領域と同じ座標である。
具体的には、特定領域を操作領域R2として、操作領域R2に対して、特定のスライド操作を行うことで、特定領域を設定する。たとえば、携帯端末姿勢が横向き方向であれば、図5(A)を参照して、操作領域R2に対して、親指で下から上へスライド操作を行うと、タッチ反応領域の全てを不感領域として設定することができる。さらに、縦向き方向では、図5(B)を参照して、操作領域R2に対して、親指で右から左へスライド操作を行うと、タッチ反応領域の全てを不感領域として設定することができる。そして、スライド操作後にタッチパネル36から親指を離すまでの間、不感領域は設定されたままになるため、操作領域R2内のメニューキー50、チャンネルキー52および音量キー54に対する誤操作は防がれる。さらに、特定のスライド操作を行うだけで、不感領域を容易に設定することができる。
図6は、RAM32のメモリマップを示す図解図である。図6を参照して、RAM32のメモリマップ300には、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304が含まれる。プログラムおよびデータの一部は、フラッシュメモリ30から一度に全部または必要に応じて部分的にかつ順次的に読み出され、RAM32に記憶され、そしてCPU20などで処理される。
プログラム記憶領域302は、携帯端末10を動作させるためのプログラムを記憶する。携帯端末10を動作させるためのプログラムは、TV視聴プログラム310およびタッチパネル制御プログラム312などによって構成される。ただし、タッチパネル制御プログラム312は、操作結果の判定プログラム312aを含む。
TV視聴プログラム310は、携帯端末10でデジタル放送を視聴するためのプログラムである。タッチパネル制御プログラム312は、タッチパネル36に対するタッチなどを処理するためのプログラムである。ただし、操作結果の判定プログラム312aは、タッチ後の操作が特定操作であるか否かを判断するためのプログラムである。
なお、図示は省略するが、携帯端末10を動作させるためのプログラムは、通話制御プログラムなどを含む。
図7に示すように、データ記憶領域304には、タッチ位置バッファ330が設けられる。また、データ記憶領域304には、タッチ座標マップデータ332、特定領域座標データ334、特定位置座標データ336、タッチ位置積算データ338、不感領域座標データ340およびGUIデータ342が記憶されるとともに、タッチフラグ344、携帯端末姿勢フラグ346、特定操作フラグ350、操作カウンタ352およびリリースカウンタ354などが設けられる。ただし、GUIデータ342は、キー領域データ342aを含む。
タッチ位置バッファ330は、タッチパネル36によって検出されたタッチなどの入力結果を一時記憶するためのバッファであり、たとえばタッチ始点、タッチ終点、および現在のタッチ位置の座標データを格納する。タッチ座標マップデータ332は、タッチパネル制御回路38によって特定されたタッチなどの位置と、LCDモニタ26の表示位置とを対応付けるためのデータである。よって、CPU20は、タッチ座標マップデータ332に基づいて、タッチパネル制御回路38によって特定されたタッチ操作の位置をLCDモニタ26の表示と対応付けることができる。
特定領域座標データ334は、特定領域の座標データであり、第1実施例では、操作領域R2の表示領域と同じ座標データである。なお、特定領域座標データ334は、LCDモニタ26の表示領域を示す座標データと同じであってもよい。特定位置座標データ336は、図3(A)、(B)で示した特定位置Aの座標データであり、図3(A)の横向き方向では、LCDモニタ26の表示座標において、右上端を示す座標データである。
タッチ位置積算データ338は、タッチされてからリリースされるまでの間に、検出されたタッチ位置の座標データを積算したデータである。不感領域座標データ340は、タッチ反応領域内に設定される不感領域の領域座標データであり、この実施例では、タッチパネル36におけるタッチ反応領域の座標データと一致する。なお、タッチ位置積算データ338に代えて、タッチ位置を随時記録し、蓄積されたタッチ位置のデータから構成されるタッチ位置記録データや、タッチ位置の履歴データから構成されるタッチ位置履歴データなどであってもよい。
GUIデータ342は、LCDモニタ26に表示されるGUIの座標データであり、キー領域データ342aは、メニューキー50、チャンネルキー52および音量キー54などの操作キーの表示領域における座標データから構成される。
タッチフラグ344は、タッチパネル36にタッチしているか(触れているか)否かを判断するフラグである。たとえば、タッチフラグ344は、1ビットのレジスタで構成される。タッチフラグ344が成立(オン)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定
され、タッチフラグ344が不成立(オフ)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。
携帯端末姿勢フラグ346は、携帯端末10の携帯端末姿勢が横向き方向か縦向き方向かを判断するフラグである。たとえば、携帯端末姿勢フラグ346は、1ビットのレジスタで構成される。携帯端末10が図3(A)に示すように横向き方向であれば、携帯端末姿勢フラグ346が成立(オン)され、レジスタにはデータ値「1」が設定される。一方、携帯端末10が図3(B)に示すように縦向き方向であれば、携帯端末姿勢フラグ346が不成立(オフ)され、レジスタにはデータ値「0」が設定される。
スライド方向フラグ348は、スライド操作が縦方向か横方向かを判断するフラグである。たとえば、スライド方向フラグ348は、1ビットのレジスタで構成される。スライド方向が横方向であれば、スライド方向フラグ348が成立(オン)され、レジスタにはデータ値「1」が設定される。一方、スライド方向が縦方向であれば、スライド方向フラグ348は、不成立(オフ)される。
特定操作フラグ350は、特定操作が行われたか否かを判断するフラグである。たとえば、特定操作フラグ350は、1ビットのレジスタで構成される。特定操作フラグ350が成立(オン)されると、レジスタにはデータ値「1」が設定され、特定操作フラグ350が不成立(オフ)されると、レジスタにはデータ値「0」が設定される。
操作カウンタ352は、タッチパネル36よってタッチを検出してからの時間をカウントするためのカウンタである。この操作カウンタ352の計測結果は、操作時間が閾値Tよりも大きいか否かを判断するために用いられる。リリースカウンタ354は、不感領域を設定後にリリースしてからの時間をカウントするためのカウンタである。このリリースカウンタ354の計測結果は、不感領域を解除するか否かを判断するために用いられる。
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、画像ファイルなどが記憶されるとともに、携帯端末10の動作に必要な他のカウンタやフラグも設けられる。また、各カウンタおよびフラグは、初期状態で「0」が設定される。
CPU20は、μITRONやSymbianなどのマルチタスクOSの制御下で、図8、9に示すタッチパネル制御処理、図10に示す操作結果の判定処理などを含む複数のタスクを並列的に実行する。
たとえば、使用者が携帯端末10のタッチパネル36をタッチすると、図8に示すように、CPU20は、タッチパネル制御処理を開始し、ステップS1では、タッチされたか否かを判断する。つまり、ステップS1では、タッチフラグ344がオンか否かを判断する。ステップS1で“NO”であれば、つまりタッチフラグ344がオフであれば、ステップS1の判断を繰り返し実行する。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまりタッチフラグ344がオンであれば、ステップS3でタッチ位置記録処理を実行する。つまり、ステップS3では、タッチ位置バッファ330に格納されている、現在のタッチ位置の座標データをタッチ位置積算データ338として記録する。
続いて、ステップS5では、スライド操作中か否かを判断する。つまり、ステップS5でタッチ位置バッファ330に格納されている現在のタッチ位置の座標データが変化しているか否かを判断する。ステップS5で“YES”であれば、つまりスライド操作中であればステップS3に戻る。
ここで、ステップS3、S5の処理は、約10ms以内に繰り返されるが、ステップS
3で現在のタッチ位置の座標データをタッチ位置積算データ338として記録するのは、10回の繰り返しのうち1度だけとする。これは、約10ms毎に座標データを記録すると、タッチ位置積算データ338のデータ量が大きくなり、RAM32の記憶容量を圧迫するからである。つまり、ステップS3、S5の処理が繰り返される場合には、約100ms毎にタッチ位置の座標データがタッチ位置積算データ338として記録される。
一方、ステップS5で“NO”であれば、つまりスライド操作中でなければ、ステップS7で操作時間の算出処理を実行する。つまり、ステップS7では、タッチを検出してからスライド操作が終了するまでの時間を操作時間として算出する。具体的には、タッチ位置積算データ338に記録されている積算されたタッチ位置の座標データを利用する。先述したとおり、約100ms毎にタッチ位置の座標データがタッチ位置積算データ338として記録されるため、積算したタッチ位置積算データ338の数と座標データが積算される時間とから、タッチを開始してからの操作時間を算出することができる。
ここでは、操作カウンタ352によって、タッチ位置積算データ338に含まれる積算したデータの数をカウントする。そして、数1に示すように、操作カウンタ352と座標データが積算される時間との積を求めることで、操作時間を算出することができる。
[数1] 操作時間 = (操作カウンタ352)×(座標データが積算される時間) たとえば、座標データが積算される時間は、約100msであるため、操作カウンタ352の値、つまりタッチ位置積算データ338に含まれる積算したデータの数が「3」であれば、数1から、タッチが検出されてから約300ms経過したことを算出することができる。
なお、タッチフラグ344がオンされる同時に、時間ループ処理を実行することで、操作時間を算出するようにしてもよい。具体的には、その時間ループ処理が繰り返した回数を操作カウンタ352によってカウントし、その時間ループ処理の処理時間と操作カウンタ352との積から操作時間を算出する。
続いて、ステップS9では、操作時間が閾値T以上か否かを判断する。つまり、ステップS9では、タッチが検出されてから、スライド操作が終了するまでの操作時間が閾値T以上か否かを判断する。ここでは、閾値Tを500msとする。よって、ステップS9では、使用者がタッチ操作を開始してからスライド操作を終了するまでの操作時間が500ms以上か否かを判断する。なお、閾値Tは500ms以上であってもよいし、500ms未満であってもよい。
ここで、ステップS9で“NO”であれば、つまり、操作時間が500ms未満であれば、ステップS3に戻る。一方、ステップS9で“YES”であれば、つまり操作時間が500ms以上であれば、ステップS11で操作結果の判定処理を実行する。つまり、ステップS11では、使用者が行ったスライド操作が特定操作であるか否かを判断し、特定操作あれば、特定操作フラグ350がオンされる。また、操作結果の判定処理については、図10に示す操作結果の判定処理のフロー図によって詳細に説明するため、ここでは省略する。
続いて、ステップS13で特定操作か否かを判断する。つまり、特定操作フラグ350がオンであるか否かを判断する。ステップS13で“NO”であれば、つまり特定操作フラグ350がオフであれば、ステップS19に進む。一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり特定操作フラグ350がオンであれば、ステップS15で不感領域を設定する。つまり、タッチ反応領域の座標データが、不感領域座標データ340として記録される。続いて、ステップS17では、フィードバックを禁止し、ステップS31に進む。つまり、ステップS17では、モータ40の動作を停止させることで、フィードバッ
クの動作を禁止する。
ここで、ステップS19では、つまりステップS13で“NO”であれば、タッチ位置がキー領域内か否かを判断する。つまり、現在のタッチ位置の座標データが、メニューキー50、チャンネルキー52および音量キー54などのキー領域データ342a内に含まれているか否かを判断する。ステップS21で“YES”でれば、たとえば、現在のタッチ位置の座標データが、チャンネルキー52のキー領域内であれば、ステップS21でキー対応する動作処理を実行し、ステップS23に進む。つまり、チャンネルキー52が操作されたとして、デジタル放送のチャンネル番号を変更する。一方、ステップS19で“NO”であれば、つまり現在のタッチ位置の座標データが、いずれの操作キー領域内に含まれていなければ、ステップS23に進む。
続いて、ステップS23では、リリースされたか否かを判断する。つまり、タッチフラグ344がオフであるか否かを判断する。ここで、ステップS23で“NO”であれば、つまりタッチフラグ344がオンであれば、タッチ位置積算データ388に含まれる積算された座標データおよび操作カウンタ352をリセットして、ステップS3に戻る。一方、ステップS23で“YES”であれば、つまりタッチフラグ344がオフであれば、タッチ位置バッファ330、タッチ位置積算データ388に含まれる積算された座標データおよび操作カウンタ352をリセットして、ステップS1に戻る。
図9を参照して、ステップS31では、リリースされたか否かを判断する。つまりタッチフラグ344がオフであるか否かを判断する。ステップS31で“NO”であれば、つまりタッチフラグ344がオンであれば、ステップS31の処理を繰り返す。つまり、不感領域が設定された後に、タッチパネル36からリリースされない限り、不感領域は設定されたままになる。一方、ステップS31で“YES”であれば、つまりタッチフラグ344がオフであれば、ステップS33でリリース時間の算出処理を実行する。つまり、ステップS33では、タッチパネル36からリリースされてからの時間(リリース時間)を算出する。具体的には、タッチフラグ344がオフされると同時にカウント処理を実行し、リリースカウンタ354を繰り返してカウントする。そして、そのカウント処理の繰り返し時間とリリースカウンタ354との積からリリース時間を算出する。また、リリース時間の算出処理は、タッチフラグ344がオンになれば、終了する。
続いて、ステップS35では、リリース時間が閾値R以上であるか否かを判断する。ここでは、閾値Rを1000msとする。よって、ステップS35では、使用者がタッチパネル36からリリースしてからの時間が、1000ms以上か否かを判断する。また、ステップS35の処理は、ステップS33が実行されると同時に、実行される、つまりリリース時間が、閾値R以上となったか否かは、ステップS33が実行されるとすぐに判断される。なお、閾値Rは、1000ms以上であってもよいし、1000ms未満であってもよい。
ステップS35で“NO”であれば、つまりリリース時間が閾値R未満であれば、ステップS31に戻る。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまりリリース時間が閾値R以上であれば、ステップS37で不感領域を解除する。つまり、不感領域座標データ340をリセットする。
これによって、使用者は、タッチパネルから指を離すだけで、不感領域を容易に解除することができる。さらに、リリース時間が所定時間以内であれば、タッチパネル36から指を離しても不感領域が解除されないため、使用者の利便性が向上する。
続いて、ステップS39では、フィードバック禁止を解除する。つまりモータ40を作
動させる。そして、タッチ位置バッファ330、タッチ位置積算データ388に含まれる積算された座標データ、操作カウンタ352およびリリースカウンタ354をリセットして、ステップS1に戻る。
つまり、不感領域の解除に合わせて、フィードバック動作も再開されるため、使用者は、不感領域の設定または解除の状態を明確に認識することができる。
図10は、ステップS11(図8参照)に示す操作結果の判定処理を示すフロー図である。CPU20は、ステップS51では、特定領域内でスライド操作されたか否かを判断する。つまり、タッチ位置バッファ330に格納されている、タッチ始点および現在のタッチ位置の座標と、タッチ位置積算データに含まれる積算された座標データのそれぞれが、特定領域座標データ334で示される領域内に含まれているか否かを判断する。なお、タッチ位置積算データ338に含まれる積算されたデータの全てが、特定領域座標データ334で示される領域内に含まれるか否かで判断してもよい。
ステップS51で“NO”であれば、つまり特定領域内でスライド操作がされていなければ、操作結果の判定処理を終了して、図8に示すタッチパネル制御処理に戻る。一方、ステップS51で“YES”であれば、つまりスライド操作が特定領域内でされていれば、ステップS53で携帯端末姿勢検出処理を実行する。つまり、加速度センサ38によって、携帯端末10が図3(A)に示す横向き方向であるか、図3(B)に示す縦向き方向であるかを判断し、横向き方向であれば携帯端末姿勢フラグ346をオンにし、縦向き方向であれば携帯端末姿勢フラグ346をオフにする。続いて、ステップS55でスライド方向を算出する。つまり、特定領域内で行われたスライド操作における、スライド方向を算出する。具体的に、タッチパネル36におけるタッチ座標系の原点が、図3(B)に示す携帯端末10において、左上端であり、横軸がX軸、縦軸がY軸である。これにより、タッチ始点の座標を(x1,y1)、現在のタッチ位置の座標を(x2,y2)とすることができる。
そして、携帯端末10が縦向き方向の場合に、数2に示す式が成立すれば、つまりX軸方向の変化量よりY軸方向の変化量が大きければ、スライド方向を縦方向とする。また、数3に示す式が成立すれば、つまりY軸方向の変化量よりX軸方向の変化量が大きければ、スライド方向を横方向とする。
一方、携帯端末10が横向き方向の場合には、数2に示す式が成立すれば、スライド方向を横方向とし、数3に示す式が成立すれば、スライド方向を縦方向とする。
[数2] |x1−x2|<|y1−y2| [数3] |x1−x2|≧|y1−y2| たとえば、図5(A)における横向き方向では、親指によって下から上へスライド操作されると、スライド方向は縦方向となる。一方、図5(B)における縦向き方向では、親指によって右から左へスライド操作されるとスライド方向は横方向となる。
これによって、スライド方向が横方向であればスライド方向フラグをオンにし、スライド方向が縦方向であれば、スライド方向フラグをオフにする。
続いて、ステップS57では、携帯端末姿勢は横か否かを判断する。つまり、携帯端末姿勢フラグ346がオンであるか否かを判断する。ステップS57で“NO”であれば、つまり、携帯端末姿勢が縦向き方向であれば、ステップS65に進む。一方、ステップS57で“YES”であれば、つまり携帯端末姿勢が横向き方向であれば、ステップS59でスライド方向が横であるか否かを判断する。つまり、スライド方向フラグ348がオンであるか否かを判断する。ステップS59で“YES”であれば、つまりスライド方向が
横方向であれば、操作結果の判定処理を終了する。
一方、ステップS59で“NO”であれば、つまりスライド方向が縦方向であれば、ステップS61でスライドの距離が閾値S以上であるか否かを判断する。ここで、閾値Sは、LCDモニタ26の幅方向(図2参照)の3分の1の距離とする。つまり、使用者のスライド操作によるスライドの距離が、LCDモニタ26における幅方向の3分の1以上の距離であるか否かを判断する。また、スライドの距離はタッチ始点と現在のタッチ位置の座標とに基づいて、三平方の定理を利用することで求めることができる。なお、閾値Sは、LCDモニタ26の幅方向の3分の1の距離より、大きくても、小さくてもよい。
ステップS61で“NO”であれば、つまりスライドの距離が閾値S未満であれば、操作結果の判定処理を終了する。一方、ステップS61で“YES”であれば、つまりスライドの距離が閾値S以上であれば、ステップS63で特定操作フラグ350をオンし、操作結果の判定処理を終了する。つまり、使用者によって入力されたスライド操作が、携帯端末姿勢が横向き方向である場合に、操作領域R2内においてスライド方向が縦方向であったため、つまり特定関係であったため、そのスライド操作を特定操作として判定する。
ここで、ステップS65では、スライド方向が縦か否かを判断する。つまりスライド方向フラグ348がオフであるか否かを判断する。ステップS65で“YES”であれば、つまりスライド方向フラグ348がオフであれば、操作結果の判定処理を終了する。一方、ステップS65で“NO”であれば、つまりスライド方向フラグ348がオンであれば、ステップS61に進む。つまり、携帯端末姿勢が縦向き方向である場合に、操作領域R2内においてスライド方向が横方向であるため、スライドの距離が閾値S以上であるか否かがステップS61で判断される。さらに、スライドの距離が閾値S以上であれば、ステップS63で特定操作フラグ350がオンにされる。
以上の説明から分かるように、携帯端末10のLCDモニタ26には、メニューキー50、チャンネルキー52および音量キー54を含む操作領域R2が表示される。そして、操作領域R2内で、特定操作となるスライド操作を行うと、操作領域R2を不感領域として設定することができる。たとえば、使用者は、タッチパネル36に対して、携帯端末姿勢が横向き方向であれば、操作領域R2内で、スライド方向が縦方向となるように、スライド操作を行うことで不感領域を設定することができる。
これによって、使用者は、携帯端末姿勢に対応するスライド操作を行うだけで、タッチパネル36に不感領域を設定することができる。
また、携帯端末10が保持される携帯端末姿勢に合わせて、使用者にとって操作しやすいスライド操作を特定操作として決めることができるため、使用者は、携帯端末姿勢によらず、操作しやすいスライド操作を行うことができる。
そして、スライド操作を特定操作として判断する範囲が操作領域R内だけにすることで、使用者は、特定操作であるスライド操作とキーを操作する通常操作とを区別して操作することができる。
なお、特定操作を特定領域(操作領域R2)内で検出すようにしたが、タッチパネル反応領域を特定領域として特定操作を判断するようにしてもよい。また、特定操作は、丸や三角形を描画するスライド操作であってもよい。さらに、第1実施例で用いた閾値T、R、Sは、他の実施例でも同じ値とする。
また、タッチパネル36がタッチの多点検出に対応する場合に、それぞれのタッチは並
列的に処理される。そして、不感領域がタッチパネル36におけるタッチ反応領域内の一部に設定されるようにすれば、最初のタッチ操作で不感領域を設定し、続けて行われる2番目のタッチ操作で、不感領域外のキーを操作することができるようになる。つまり、使用者は、不感領域を設定していたとしてもタッチパネル36によって携帯端末10を操作することができる。
<第2実施例>
第2実施例では、不感領域の広さを任意に設定することが可能な処理を説明する。また、第2実施例では、第1実施例で説明した図1の携帯端末10の構成、図2の携帯端末10の外観を示す図解図、図3、図4に示すTV視聴機能を実行する携帯端末10の外観を示す図解図、図6に示すメモリマップおよび図8に示すフロー図については、同じであるため、重複した説明は省略する。
第2実施例では、特定領域ではなく、特定位置Aからのスライド操作によって不感領域を設定することができる。図11に示すように、携帯端末姿勢が横方向である場合に、特定位置A(図3(A)、(B)参照)から、スライド方向が横方向であるスライド操作が行われると、図11(B)に示すように、Y軸方向において、特定位置Aから現在のタッチ位置の座標までが不感領域に設定される。なお、特定位置Aは、LCDモニタ26の他の頂点であってもよく、使用者によって任意の位置に設定できるようにされてもよい。さらに、特定位置Aではなく、特定辺であってもよい。たとえば、LCDモニタ26の長さ方向一方の辺や、長さ方向他方の辺などであってもよい。
また、第2実施例では、リリースされたとしても不感領域は解除されない。不感領域を解除するためには、携帯端末姿勢が横方向である場合に、スライド方向が横方向のスライド操作を行い、特定位置Aにおいてリリースすることで、不感領域を解除することができる。これによって、不感領域を設定した後に、何度も持ち替えを行ったとしても、設定した不感領域は解除されることはないので、使用者の利便性は向上する。
なお、携帯端末姿勢が縦向き方向であれば、特定位置Aからスライド方向が縦方向のスライド操作が行われると、そのスライドの距離に応じて不感領域を設定することができ、不感領域を解除する場合には、スライド方向が縦方向のスライド操作を行い、リリース点が特定位置Aと一致するようにすればよい。
CPU20は、μITRONやSymbianなどのマルチタスクOSの制御下で、図12に示すタッチパネル制御処理および図13に示す操作結果の判定処理などを含む複数のタスクを並列的に実行する。
使用者が携帯端末10のタッチパネル36をタッチすると、CPU20は、タッチパネル制御処理を開始する。ここで、ステップS1−S9(図8参照)の処理については第1実施例と同じ処理を行うため、詳細な説明は省略する。ステップS9の処理が終了すると、図12を参照して、ステップS11では、操作結果の判定処理を行う。このステップS11の処理は、第1実施例とは異なる。また、第2実施例におけるステップS11は、図13のフロー図を用いて説明するため、ここでは詳細な説明は省略する。続いて、ステップS13では、特定操作か否かを判断する。ここで、ステップS13で“NO”であれば、つまり特定操作ではなければ、第1実施例と同様にステップS19−S23の処理を行う。
一方、ステップS13で“YES”であれば、つまり特定操作であれば、ステップS81では、特定位置Aでリリースされたか否かを判断する。つまり、タッチ位置バッファ330に格納されたタッチ終点と特定位置座標データ336との座標データが一致するか否
かを判断する。ステップS81で“NO”であれば、つまり特定位置Aでリリースされていなければ、ステップS87で不感領域を設定し、ステップS89でフィードバックを禁止する。そして、ステップS89の処理が終了すれば、ステップS1(図8参照)に戻る。一方、ステップS81で“YES”であれば、つまり特定位置Aでリリースされていれば、ステップS83で不感領域を解除し、ステップS85でフィードバック禁止を解除する。そして、ステップS85の処理が終了すれば、ステップS1に戻る。
図13は、第2実施例におけるステップS11(図12参照)に示す操作結果の判定処理を示すフロー図である。CPU20は、ステップS111では、特定領域内でスライド操作されたか否かを判断する。ステップS111で“NO”であれば、つまり特定領域内でスライド操作がされていなければ、操作結果の判定処理を終了する。一方、ステップS111で“YES”であれば、つまり特定領域内でスライド操作がされていれば、ステップS113でスライド操作の開始位置は特定位置Aか否かを判断する。つまり、タッチ位置バッファ330に格納されたタッチ始点と特定位置座標データ336との座標データが一致するか否かを判断する。
ステップS113で“YES”であれば、つまりスライド操作の開始位置と特定位置Aとが一致すれば、ステップS117に進む。一方、ステップS113で“NO”であれば、つまりスライド操作の開始位置と特定位置Aとが一致しなければ、特定位置Aでリリースされたか否かをステップS115で判断する。ステップS115で“NO”であれば、つまり特定位置Aでリリースされていなければ、操作結果の判定処理を終了して、図12に示すタッチパネル制御処理に戻る。一方、ステップS115で“YES”であれば、つまり特定位置AでリリースされていればステップS117で、携帯端末姿勢検出処理を行い、ステップS119でスライド方向算出処理を行う。
続いて、ステップS121では、携帯端末姿勢が横か否かを判断する。ステップS121で“NO”であれば、つまり携帯端末姿勢が縦向き方向であれば、ステップS129に進む。一方、ステップS121で“YES”であれば、つまり携帯端末姿勢が横向き方向であれば、ステップS123でスライド方向が横か否かを判断する。ステップS123で“NO”であれば、つまり携帯端末姿勢が横向き方向で、スライド方向が縦向き方向であれば、特定操作でないため、操作結果の判定処理を終了する。
ステップS123で“YES”であれば、つまりスライド方向が横方向であれば、ステップS125でスライドの距離が閾値S以上か否かを判断する。ステップS125で“NO”であれば、つまりスライドの距離が閾値S未満であれば、操作結果の判定処理を終了する。一方、ステップS125で“YES”であれば、つまりスライドの距離が閾値S以上であれば、ステップS127で特定操作フラグ350をオンにして、操作結果の判定処理を終了する。つまり、携帯端末姿勢が横向き方向である場合に、スライドの距離が閾値S以上で、スライド方向が横方向であれば、特定操作として判断される。
ここで、ステップS129では、スライド方向が縦か否かを判断する。つまり、携帯端末姿勢が縦向き方向である場合に、スライド方向が縦向きか否かを判断する。ステップS1129で“NO”であれば、つまりスライド方向が横方向であれば、操作結果の判定処理を終了する。一方、ステップS129で“YES”であれば、ステップS125に進む。つまり、携帯端末姿勢が縦向き方向である場合に、スライドの距離が閾値S以上で、スライド方向が縦方向であれば、特定操作として判断される。
そして、ステップS87(図12参照)では、特定位置Aと現在のタッチ位置(またはタッチ終点)とで示された領域を不感領域として設定することができる。
これによって、特定位置Aがタッチ始点である特定操作(スライド操作)がされれば、不感領域が設定され、特定位置Aがタッチ終点である特定操作(スライド操作)がされれば、不感領域の設定が解除される。
以上の説明から分かるように、第2実施例におけるステップS11の処理では、タッチ始点またはタッチ終点が特定位置Aであるスライド操作を特定操作と判定する。よって、ステップS87の不感領域の設定処理では、そのスライドの距離に応じて不感領域を設定できる。また、特定位置Aが終点となるようにスライド操作がされると、不感領域を解除する。
つまり、携帯端末10が保持される携帯端末姿勢に応じたスライド方向で、タッチ終点が特定位置Aとなるようにスライド操作を行うだけで、不感領域を解除することができる。
これによって、使用者は、携帯端末の端末姿勢とスライド方向が予め決められている関係になるように携帯端末を保持して、終点が特定位置となるようにスライド操作を行うと、不感領域を解除することができる。つまり、使用者は、不感領域を解除する操作と携帯端末を保持する操作とを区別してタッチパネルを操作することができる。
また、使用者は、スライド操作のスライドの距離によって、不感領域の大きさを任意に設定することができる。
なお、第2実施例では、携帯端末姿勢を判定せずに、特定領域内のスライドの距離のみで特定操作と判定し、不感領域が設定されるようにしてもよい。
<第3実施例>
第3実施例では、タッチパネルの代わりに、複数のタッチスイッチを備える携帯端末10において、複数のタッチスイッチのそれぞれに対する不感領域の設定について説明する。
第3実施例では、携帯端末10の構成は、第1実施例とほぼ同じであるが、タッチパネル36に代えて、タッチスイッチTSWを備える。また、携帯端末10の外観についても、第1実施例とほぼ同じであるが、図14(A)を参照して、タッチスイッチTSWは、複数のタッチスイッチA−Fから構成され、LCDモニタ26に隣接するようにケースC1の長さ方向他方の上面に設けられる。タッチスイッチTSWに含まれるタッチスイッチA−Fは、それぞれが独立しており、各タッチスイッチがタッチを検出することができる。また、各タッチスイッチはそれぞれが隣接するように配置されており、タッチスイッチAはタッチスイッチB、Fと隣接し、タッチスイッチBはタッチスイッチA、Cと隣接し、タッチスイッチCはタッチスイッチB、Dと隣接し、タッチスイッチDはタッチスイッチC、Eと隣接する。
タッチスイッチA、Bは第1実施例の音量調節キーに対応し、タッチスイッチC、Dは第1実施例のチャンネルキーに対応する。また、視覚的には認識されないようにされているタッチスイッチE、Fは、不感領域の設定のために用いられる。そして、タッチスイッチTSWがタッチを検出すると、第1実施例と同様にモータ40によってフィードバック動作を行う。
タッチスイッチTSWに含まれるタッチスイッチA−Fは、タッチパネル36と同様に静電容量方式でタッチを検出する。ここで、タッチスイッチAでタッチを検出した場合に、タッチスイッチAにおける静電容量の変化を説明する。
図14(B)は、タッチを検出中のタッチスイッチAおよびタッチスイッチBにおける静電容量の変化量を表すグラフである。このグラフは、左下を原点として、横軸が方向D(図14(A)参照)の位置座標を表し、縦軸が静電容量の変化量を表す。よって、このグラフからは、方向Dの位置座標に対する静電容量の変化量を読み取ることができる。このグラフから、指がタッチスイッチBにも触れていることが分かるが、タッチスイッチAの変化量(斜線部Mの面積)が最も大きいため、タッチスイッチAがタッチされていると認識することができる。また、静電容量の変化量が山型に変化しており、最も大きい方向Dの座標位置は、タッチスイッチAの中心点と一致するため、使用者がタッチしている指の中心(指の面積の重心)がタッチスイッチAの中心に位置していることが分かる。
ここで、タッチしたタッチスイッチからリリースせずに隣接するタッチスイッチにスライドする操作を「タッチスライド操作」と呼ぶことにする。また、タッチスイッチA−Dの静電容量の変化量は、図14(C)に示すように変化する。以下、図14(C)を用いて具体的に説明する。
図14(C)は、タッチスイッチAからタッチスイッチDまでタッチスライド操作した場合に、タッチスイッチAからタッチスイッチDにおける静電容量の時間変化を表す図解図である。図14(C)を参照して、「A」−「D」は、タッチスイッチA−Dに対応する。「A」−「D」に対応する各グラフは、図14(B)に示したグラフと同じであり、方向Dの位置座標に対するタッチスイッチA−Dの静電容量の変化量を表す。そして、一番上の4つのグラフは、時刻TiにおけるタッチスイッチA−Dの静電容量の変化量を表し、縦方向並べられた各グラフは、時刻Tiに対して、時間Δt、2Δt、3Δt後のタッチスイッチA−Dの静電容量の変化量を表す。また、使用者は、時刻Tiから時刻(Ti+3Δt)の間に、タッチスイッチAからタッチスイッチDまでタッチスライド操作を行う。
時刻Tiにおいて、使用者はタッチスイッチAにタッチする。この場合に、タッチされたタッチスイッチAの静電容量の変化量が最も大きくなり、さらに、隣接するタッチスイッチBでも静電容量の変化量が少し変化する。
次に、タッチスイッチAからタッチスイッチBにタッチスライド操作が行われた時刻(Ti+Δt)では、タッチスイッチBの静電容量の変化量が最も大きくなり、隣接するタッチスイッチA、Cでも静電容量の変化量が少し変化する。また、タッチスライド操作では、使用者の指の中心がタッチスイッチAの中心からタッチスイッチBの中心へ移動するため、山型のグラフが形を変えることなく、方向Dの位置座標が変化することになる。つまり、CPU20では、タッチスイッチA、Bで検出される静電容量の変化量における最大値は変わらないが、その最大値に対応する方向Dの位置座標が変化していることを検出することができる。
続けて、タッチスイッチBからタッチスイッチCにタッチスライド操作が行われた時刻(Ti+2Δt)では、タッチスイッチCの静電容量の変化量が最も大きくなり、隣接するタッチスイッチB、Dでも静電容量の変化量が少し変化する。そして、CPU20では、タッチスイッチB、Cで検出される静電容量の変化量における最大値に対応する方向Dの位置座標の変化を検出することができる。
そして、タッチスイッチCからタッチスイッチDにタッチスライド操作が行われた時刻(Ti+3Δt)では、タッチスイッチDの静電容量の変化量が最も大きくなり、隣接するタッチスイッチCでも静電容量の変化量が少し変化する。そして、CPU20では、タッチスイッチC、Dで検出される静電容量の変化量における最大値に対応する方向Dの変
化を検出することができる。
つまり、CPU20は、検出した静電容量の変化量における最大値が一定のまま、その最大値に対応する方向Dの位置座標が変化することを検出することで、タッチスライド操作されたことを検出することができる。具体的には、CPU20は、静電容量の変化量における最大値に対応する方向Dの位置座標が、或るタッチスイッチの座標から隣接するタッチスイッチの座標に変化したときに、タッチスライド操作であると判断する。
そこで、第3実施例では、任意の2つのタッチスイッチでタッチスライド操作が検出されると、タッチスイッチTSWのタッチ反応領域に対して不感領域を設定する。具体的には、タッチスイッチAからタッチスイッチBまたはタッチスイッチF、タッチスイッチBからタッチスイッチAまたはタッチスイッチC、タッチスイッチCからタッチスイッチBまたはタッチスイッチD、タッチスイッチDからタッチスイッチCまたはタッチスイッチE、タッチスイッチEからタッチスイッチD、タッチスイッチFからタッチスイッチAのいずれかのタッチスライド操作が行われれば、タッチスイッチTSWのタッチ反応領域に対して不感領域を設定する。
第3実施例のRAM32におけるメモリマップの構成は、第1実施例とほぼ同じであるが、プログラム記憶領域302には、タッチパネル制御プログラム312の代わりに、タッチスイッチ制御プログラムが記憶される。また、データ記憶領域304には、タッチ位置バッファ330が設けられ、タッチ座標マップデータ332およびタッチ位置積算データ338が記憶され、さらにタッチフラグ344、リリースカウンタ354が設けられる。
また、第3実施例では、タッチ位置バッファ330には、現在の方向Dの位置座標データと静電容量の変化量とが格納される。タッチ座標マップデータ332は、タッチスイッチTSWによって検出されたタッチの位置を方向Dの位置座標に変換するためのデータである。そして、100ms毎に、タッチ位置バッファ330に格納された方向Dの位置座標データと静電容量の変化量とのデータが、タッチ位置積算データ338としてデータ記憶領域304に記憶される。
タッチフラグ330は、タッチスイッチTSWに対するタッチの有無を判断するために用いられる。また、タッチフラグ330の構成は、第1実施例と同じ出るため、詳細な説明は省略する。リリースカウンタ354は、リリースされてからの時間をカウントするために用いられる。
CPU20は、μITRONやSymbianなどのマルチタスクOSの制御下で、第1実施例で説明した処理に加えて、図15に示すタッチスイッチ制御処理などを含む複数のタスクを並列的に実行する。
たとえば、使用者が携帯端末10のタッチスイッチTSWをタッチすると、図15に示すように、CPU20は、タッチスイッチ制御処理を開始し、ステップS181では、タッチされたか否かを判断する。つまり、タッチフラグ344がオンであるか否かを判断する。ステップS181で“NO”であれば、つまりタッチフラグ344がオフであれば、ステップS181の処理を繰り返し実行する。一方、ステップS181で“YES”であれば、つまりタッチフラグ344がオンであれば、ステップS183でスライドしたか否かを判断する。つまり、ステップS183では、タッチ位置積算データ338に含まれる積算された位置座標が変化しているか否かを判断する。
ステップS183で“NO”であれば、つまりスライドしていなければ、ステップS2
01に進む。一方、“YES”であれば、つまりスライドしていれば、ステップS185で隣接するスイッチが操作されたか否かを判断する。つまり、タッチスライド操作によって隣接するタッチスイッチが操作されたか否かを判断する。具体的には、タッチ位置積算データ338に含まれる積算されたデータにおいて、静電容量の変化量における最大値が一定のまま、タッチ位置の座標データのみが変化しているか否かを判断する。
ステップS185で“NO”であれば、つまりタッチスライド操作がされていなければ、ステップS201でスイッチに対応する動作処理を実行し、ステップS181に戻る。たとえば、タッチされたのがチャンネル操作に対するタッチスイッチDであれば、受信するデジタル放送のチャンネル番号を変更する。
ステップS185で“YES”であれば、つまりタッチスライド操作がされていれば、ステップS187で不感領域を設定する。つまり、ステップS187では、タッチスイッチTSWのタッチ反応領域に対して不感領域を設定する。続いて、ステップS189では、フィードバックを禁止する。つまり、モータ40の動作を停止する。
続いて、ステップS191では、タッチが継続しているか否かを判断する。つまり、タッチフラグ344がオンであるか否かを判断する。ステップS191で“YES”であれば、つまりタッチフラグ344がオンであれば、ステップS191の処理を繰り返し実行する。一方、“NO”であれば、つまりタッチフラグ344がオフであれば、ステップS193でリリース時間の算出処理を実行し、ステップS195でリリース時間が閾値R以上か否かを判断する。なお、ステップS193、S195の処理は、ステップS33、S35(図9参照)と同じであるため、詳細な説明は省略する。
ステップS195で“NO”であれば、リリース時間が閾値R未満であればステップS191に戻る。一方、“YES”であれば、リリース時間が閾値R以上であればステップS197で不感領域を解除する。つまり、タッチスイッチTSWのタッチ反応領域に対して設定された不感領域を解除する。続いて、ステップS199では、フィードバック禁止を解除し、ステップS181に戻る。つまり、ステップS199では、モータ40を再始動させる。
以上の説明から分かるように、タッチパネル36の代わりに、タッチスイッチTSWを用いたとしても、そのタッチスイッチTSWに特定操作が行われたことを検出し、不感領域を設定することができる。
なお、第3実施例では、携帯端末姿勢が横向き方向であったが、縦向き方向であってもよく、タッチスイッチTSWにタッチスライド操作が行われれば、不感領域が設定される。
また、携帯端末10の通信方式には、CDMA方式に限らず、W‐CDMA方式、TDMA方式、PHS方式およびGSM方式などを採用してもよい。携帯端末10のみに限らず、PDA(Personal Degital Assistant)などの携帯情報端末などであってもよい。
さらに、本発明では、特定領域に対する特定操作により、不感領域を設定し、タッチパネル36に対する入力を部分的に無視させ、携帯端末10の保持に使えるようにする。そして、不感領域が設定されている場合に、特定領域に対する特定操作により、不感領域を解除する。また、不感領域を設定するための操作が、キー操作などに影響を与えないように、通常法のキー操作はタッチした瞬間に行われるのではなく、一定時間タッチされた、あるいはリリースされたときに行われる仕組みとしてもよい。これによって、タッチした
まま、キー領域から外れても、キー操作されないという効果がある。