JP5825815B2 - 皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減材および低減化方法 - Google Patents
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Description
そのために、ユーザーが容器に充填された皮膚外用剤を開封し、使用を終了するまでの間、使用に伴う外部からの微生物の混入が起こった場合、当初の十分な防腐効果を発揮することができないため、微生物の増殖が起こり、皮膚外用剤が変質し変臭・白濁等の問題が生じる。
いわゆる微生物による二次汚染が起こり、この汚染に対しては防腐効果を十分に発揮することができない。
この方法によると、皮膚外用剤の保存性に影響を与えることなく、皮膚外用剤の使用を終了するまでの間、使用による外部からの微生物の汚染いわゆる二次汚染を防ぐことができる。
その上、使用時に皮膚外用剤に含まれる防腐剤を速やかに低減することができる。
結果として、皮膚外用剤に含まれる防腐剤によって刺激感を感じる使用者の刺激感を軽減することが可能となった。
更に、製造工程上の微生物汚染いわゆる一次汚染に特別の防止措置を講じることなく、また皮膚外用剤の保存性に悪影響を与えることもなく、皮膚外用剤の使用を終了するまでの間、使用による外部からの微生物の汚染いわゆる二次汚染を防ぐことも可能となる。
エチレン−酢酸ビニルコポリマーに含まれる酢酸ビニルの含有量は特に規定はないが、3〜40%が好ましく、10〜25%程度がより好ましい。
例えば、市販品である和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%)等が好適に用いられる。
形態に関しては、防腐剤を含む皮膚外用剤とエチレン−酢酸ビニルコポリマーが接触できる形態であれば良く、エチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材がガーゼやパフ、スポンジのように表面積の大きい形状であれば、防腐剤を含む皮膚外用剤と接触する部分が大きくなり、より効率的に防腐剤を除去することができる。
エチレン−酢酸ビニルコポリマーの被覆量についてはエチレン−酢酸ビニルコポリマー溶液の濃度を変えることで、被覆量を調整することが可能である。
ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系ポリオレフィンが例示できる。エチレン-酢酸ビニルコポリマーとポリオレフィン繊維の構造は特に制限されないが、例えば、ポリオレフィンを芯成分、エチレン-酢酸ビニルコポリマーを鞘成分とする芯鞘構造を有する繊維が挙げられる。芯と鞘の割合は任意に用いることができる。
エチレン-酢酸ビニルコポリマーを含む不織布は、公知の種々の技術を利用して製造できる。例えば、繊維を水中に均一に懸濁し、これを金網等ですくいシート状にする湿式製造法や、繊維を空気中に飛散させた後、金網に集めてカード状にするエアーレイド法や、紡糸機から直接ウェブを形成するスパンボンド法やメルトブロー法などが挙げられる。さらには、不織布を製造する際には、繊維の分散性を改良するために界面活性剤や、繊維のからみを向上させるためのポリビニールアルコール等の添加剤を用いても良い。これらの不織布は単層であっても、異なる2種以上の不織布を積層したものでもよい。
或いは、エチレン−酢酸ビニルコポリマーそのものをプレス架橋発泡成形法等の方法で発泡体とし、メーキャップスポンジ等の形状に成型して使用しても良い。その際、充填材(炭酸カルシウム、シリカ、クレーなど)や、弾性や耐熱性改善のためのゴム類(天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴムなど)や着色剤として顔料を使用しても良い。
通常、皮膚外用剤に含まれる防腐剤は皮膚外用剤製造時の微生物汚染を防止することができ、保存期間中の保存性を維持できる割合で配合されている。
皮膚外用剤に汎用されるメチルパラベン、エチルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸の6種の防腐剤について各種素材に対する吸着度を測定した。「表1」に示す防腐剤水溶液を調製し、チャック付きポリ袋(ユニパック、生産日本社)に防腐剤水溶液/素材を5/1の重量比で加え、1時間室温下で放置した。その後水溶液を回収し、液体クロマトグラフィーにて防腐剤量を定量し、素材による処理前の防腐剤量と比較して素材の防腐剤吸着率を算出した。防腐剤吸着率は「式1」により算出した。結果を「表2」に示す。
使用した素材のうち、リヨセルは再生セルロース繊維の一つで、アセテート繊維などのように、誘導体化というプロセスを経由せずに、セルロースそのものを溶剤に溶解させた溶液を紡糸して得られる。テンセルはコートルズ社の商標名である。キュプラは銅アンモニアレーヨンであり、再生繊維の一種である。
計算は上記式にて行った。
*2:ポリエチレン
*3:ポリプロピレン
*4:エチレン-酢酸ビニルコポリマー
*5:エチレン-ビニルアルコールコポリマー
<実施例1>の実験でエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に特に強い吸着効果が見られたメチルパラベンとエチルパラベンについて、素材中のエチレン-酢酸ビニルコポリマーの含有量と吸着性の関係を調査した。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%))をテトラヒドロフランに0.75重量%になるように溶解させたものを、ガラス製噴霧器を用いて市販のコットンに噴霧し、噴霧後、一晩室温にて放置し、乾燥させたものを用いた。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材のエチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は、コットンに噴霧するエチレン−酢酸ビニルコポリマーの量を調整し、最終的に1〜20重量%の含有量になるように噴霧を調整した。エチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は噴霧前後のコットンの乾燥重量を測定することで確認を行った。
次に「表3」に示す防腐剤水溶液を調製し、チャック付きポリ袋(ユニパック、生産日本社)に防腐剤水溶液/エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有素材を5/1の比で加え、1時間室温下で放置した。その後水溶液を回収し、液体クロマトグラフィーにて防腐剤量を定量し、エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有素材による処理前の防腐剤量と比較して素材の防腐剤吸着率を算出した。防腐剤吸着率は「式1」により算出した。結果を「表4」に示す。
尚、ビニルアセテート含量が25%のエチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体20(ビニルアセテート含量20%))を用いて同様の試験を行ったところ、同様に良好な結果が得られた。
<実施例1>の実験でエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に特に強い吸着効果が見られたメチルパラベンとエチルパラベンについて、素材と接触させる時間と吸着性の関係を調査した。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%))をテトラヒドロフランに0.75重量%になるように溶解させたものを、ガラス製噴霧器を用いて市販のコットンに噴霧し、噴霧後、一晩室温にて放置し、乾燥させたものを用いた。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材のエチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は、コットンに噴霧するエチレン−酢酸ビニルコポリマーの量を調整し、最終的に20重量%の含有量になるように噴霧量を調節して作成した。エチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は噴霧前後のコットンの乾燥重量を測定することで確認を行った。
「表3」に示す防腐剤水溶液を調製し、チャック付きポリ袋(ユニパック、生産日本社)に防腐剤水溶液/エチレン-酢酸ビニルコポリマー含有素材を5/1の比で加え、5分、15分、1時間、24時間、1週間室温下で放置した。その後水溶液を回収し、液体クロマトグラフィーにて防腐剤量を定量し、開始時の防腐剤量と比較して素材の防腐剤吸着率を算出した。防腐剤吸着率は「式1」により算出した。結果を「表5」に示した。
そして、放置時間が5分と放置時間が168時間後の結果を比較した。
比較のため、放置時間が5分の吸着率/放置時間168時間の吸着率の比を求めた。
メチルパラベンでは70/78=0.897
エチルパラベンでは80/87=0.920
となり、5分という短時間でも168時間後の吸着率と大差ない吸着力を発揮していることがわかった。
本発明の吸着効果に関しては、短時間でその効果が発揮されている。即ち、エチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する素材に、使用したい皮膚外用剤を含浸させて、直ぐに使用するような使い方、つまりコットンに化粧水を含ませて、直ぐ顔面に使用するといった使用シーンでも十分に効果が期待できるものである。
実験例21〜24に示す化粧水を常法により調製した。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材は、エチレン−酢酸ビニルコポリマー(和光純薬工業製 エチレン酢酸ビニル共重合体25(ビニルアセテート含量25%))をテトラヒドロフランに0.75重量%になるように溶解させたものを、ガラス製噴霧器を用いて市販のコットンに噴霧し、噴霧後、一晩室温にて放置し、乾燥させたものを用いた。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材のエチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は、コットンに噴霧するエチレン−酢酸ビニルコポリマーの量を調整し、最終的に20重量%の含有量になるように噴霧量を調節して作成した。エチレン−酢酸ビニルコポリマー濃度は噴霧前後のコットンの重量を測定することで確認を行った。
このエチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材を通常のコットンパフの代わりに使用することで、皮膚刺激性と使用性に関する使用試験を実施した。
被験者は予めメチルパラベンに刺激を感じるパネルを選別した上で用いた。
結果を「表7」に示す。表中の値は「皮膚刺激性を訴えた人あるいは使用性に問題を訴えた人/被験者数」を表す。
使用手順は次のとおり。
A)エチレン−酢酸ビニルコポリマー含有素材であるエチレン−酢酸ビニルコポリマーを20%被覆させたコットンパフに化粧水を含浸させた。
B)顔面に塗布する。
C)使用後、刺激感の有無、使用性に関するアンケート調査を行った。
「表7」の結果により、本発明の防腐剤吸着性を有する素材に皮膚外用剤を接触させ、皮膚外用剤に含まれる防腐剤を吸着させた後に皮膚に適用することで、皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量低減化を図ることが確認された。
これにより、使用直前まで皮膚外用剤に含まれる防腐剤量を減らすことなく、使用する時点で皮膚外用剤に含まれる防腐剤の皮膚接触量を低減化する方法が提供でき、防腐剤の刺激感を解消できることが明らかになった。
エチレン−酢酸ビニルコポリマー(ビニルアセテート含量25%)繊維1.1dtex×7mm(繊度×繊維長)の30重量%と0.1〜0.6dtex×5〜10mm(繊度×繊維長)、ポリエチレンテレフタレート極細繊維(TEPYRUS−PET、帝人ファイバー株式会社製)70重量%とを混合した原料を、前述した方法にて湿式抄造して不織布を製造した。次に、抄紙機上でこの不織布を3枚重ね合わせて、ウォータージェット装置で水流絡合させた後、乾燥させて巻き取り、1枚の中間層を2枚の表面層で挟み込んだ三層構造の化粧・美容用不織布を製造した。1枚の不織布の目付は60g/m2とした。
これに実験例21の化粧水を含浸させた直後に、メチルパラベンに刺激を感じるパネル5名に使用させたところ、刺激感を感じなかった。
Claims (4)
- エチレンー酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有する、皮膚外用材に含まれるエチルパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールから選択される1種又は2種以上の防腐剤を低減する低減材(容器を除き、ポリエチレンと混合したものを除く)。
- コットンパフ、メーキャップスポンジ、パック用シート、ガーゼにエチレンー酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有させた請求項1記載の低減材。
- エチレン−酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有する防腐剤低減素材(容器を除き、ポリエチレンと混合したものを除く)に皮膚外用剤を接触させ、皮膚外用剤に含まれるエチルパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールから選択される1種又は2種以上の防腐剤を吸着させた後に皮膚に適用することにより皮膚外用剤に含まれるエチルパラベン、メチルパラベン、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、フェノキシエタノールから選択される1種又は2種以上の防腐剤の皮膚接触量低減化方法(医療行為を除く)。
- コットンパフ、メーキャップスポンジ、パック用シート、ガーゼにエチレン−酢酸ビニルコポリマーを2〜30重量%含有させた請求項3に記載の低減化方法。
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