JP5825751B2 - クレープ紙製品 - Google Patents
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Description
この種のクレープ紙は、衛生用途、家庭用途のトイレットペーパーやティシュペーパー、タオルペーパーを始めとして、水周りのキッチンペーパー等にも使われている。また、クレープ紙製品の形態としてはロール状に巻かれたものがあり、専用のホルダーにセットされて使用されることも多い。
これに対し、トイレットペーパーは水洗トイレで使用されるために水解性が必要とされ、通常、湿潤紙力増強剤は配合されていない。
更に、特許文献2に記載されている如く、原紙に保湿成分を添加して含有水分を多くすることで、トイレットペーパー等の肌触り性を向上させた保湿タイプの水解紙も存在する。
1.単にエンボス加工されたクレープ紙は、肌触りが未だ十分ではない。
2.タオルペーパー、キッチンペーパー等は吸水性を高めるために深いエンボスを入れることが多いが、このエンボスの形状を保つために、硬い原紙を使用したり、接着剤により原紙を2、3枚張り合わせて一体化し、エンボスの形状を保持している。このため、触感が硬くなり、肌触りが悪くなる。
3.特許文献1のように洗浄便座用に開発されたトイレットペーパーでは、例えば3枚重ねとすることによって紙の使用量が多くなり、不経済であると共に、深いエンボスを入れた製品では、前記タオルペーパー、キッチンペーパーと同様に接着剤の使用により肌触り性が低下するという問題がある。
4.特許文献2に記載された保湿タイプの水解紙をトイレットペーパーに使用した場合、紙が柔らかいため肌触りは良好であるが、嵩が低く、拭き取り性や吸水性の点で改善の余地がある。また、含有水分が多いため、人によっては使用時に不快な冷たさを感じることがある。
本発明によれば、クレープ紙に保湿成分を含有することで水分率が高くなり、パルプ繊維が可塑化すると共に、繊維間の水素結合が緩くなって紙の柔軟性が向上する。また、エンボス加工によって紙と皮膚との接触面積が少なくなり、冷たさを感じる指標である初期熱流束最大値Qmaxが低下する。この初期熱流束最大値Qmaxは、値が大きいほど冷たく感じ、小さいほど暖かく感じる特性であり、本発明では、初期熱流束最大値Qmaxを0.17〔J/cm2/sec〕以下、好ましくは0.15〔J/cm2/sec〕以下、更に好ましくは、0.13〔J/cm2/sec〕以下とする。
クレープ紙の破裂強度は、30〜120〔kPa〕が好ましく、更に好ましくは35〜110〔kPa〕、特に好ましくは40〜100〔kPa〕である。
破裂強度が30〔kPa〕以下であると、使用時に破れ易くなり、120〔kPa〕以上であると硬くなって肌触り性に劣るため、衛生用途、家庭用途の紙製品としては、少なくとも30〜120〔kPa〕の範囲にあることが望ましい。
この場合のロール密度は、好ましくは0.05〜0.16〔g/cm3〕であり、更に好ましくは0.06〜0.15〔g/cm3〕、特に好ましくは0.07〜0.13〔g/cm3〕である。
ロール密度は、ロール重さとロール体積とによって決定され、ロール体積はエンボスの高さによって調整することができる。ロール密度が0.16〔g/cm3〕以上になると、ロールが締まって硬く感じられ、0.05〔g/cm3〕以下であると柔らか過ぎてロールの形状を保つのが困難になる。よって、ロール密度を少なくとも0.05〜0.16〔g/cm3〕の範囲にすると、クレープ紙の層間に空気を多く含んでふんわりとしたロール製品を得ることができる。また、層間に存在する空気層の断熱効果により、冷たい感触を一層抑えることができ、吸水性も高まって拭き取り性に優れた紙製品となる。
ロールの圧縮たわみ深さは、ロールを指先で押し込んだときのロールの凹みを示すもので、この押し込み量が多いほど、ふんわりとした柔らかさを感じる。たわみ深さが2.0〔mm〕以上であれば、数個のロールがフィルム包装された製品であっても、フィルムの上から押して十分な柔らかさを感じることができる。圧縮たわみ深さが10.0〔mm〕以上になると、数個のロールを集積してフィルム包装するときに変形し易くなり、運搬や陳列時に積み重ねにくくなったり、製品の外観が悪くなる等の問題がある。
従って、ロールの圧縮たわみ深さは、少なくとも2.0〜10.0〔mm〕、更に好ましくは2.5〜9.0〔mm〕、特に好ましくは3.0〜8.0〔mm〕の範囲とすることが望ましい。
ヒステリシスロス率が高いほど低反発弾性であることを示す。ヒステリシスロス率が40〔%〕以下であると、弾力感はあるが、硬い反発性が感じられ、80〔%〕以上であれば、反発性が少な過ぎて頼りなく感じる。このため、ロールのヒステリシスロス率を40〜80〔%〕、更に好ましくは45〜75〔%〕、特に好ましくは50〜70〔%〕の範囲とすることにより、しなやかな弾力感を得ることができる。
縦方向の引張強度が0.6〔N〕以下であると使用時に破れ易くなり、特に、ホルダーにセットされて使用されるトイレットペーパーやキッチンペーパー等のロール製品では、引張強度が0.6〔N〕以下である時、ロール状のクレープ紙をホルダーから引き出す際に切れ易く、引き出すことが困難になる。逆に、引張強度が5.0〔N〕以上であるとこれらの問題は生じない反面、紙が硬くなって肌触り性に劣り、衛生用途、家庭用途に向かなくなる。
このため、クレープ紙の縦方向の引張強度は、少なくとも0.6〜5.0〔N〕の範囲にあることが望ましい。
柔らかさが15〔mN〕以下であると、弱くなり過ぎて使用時に破れ易くなり、90〔mN〕以上であると、硬く感じて肌触り性に劣るため、衛生用途、家庭用途の紙製品としては、少なくとも15〜90〔mN〕の範囲にあることが望ましい。
平衡水分率増加量とは、クレープ紙製品の平衡水分率〔重量%〕から、保湿成分を除去したクレープ紙製品の平衡水分率〔重量%〕を引いた数値である。
ここで、クレープ紙製品の平衡水分率〔重量%〕とは、クレープ紙がもともと有する平衡水分と、保湿成分により周囲の雰囲気から紙に取り込まれて平衡状態にある水分との合計量を、クレープ紙製品に対する重量比率で表した指標である。
また、保湿成分を除去したクレープ紙製品の平衡水分率〔重量%〕とは、保湿成分を除去したクレープ紙製品の平衡水分を、保湿成分を除去したクレープ紙製品に対する重量比率で表した指標である。なお、保湿成分を除去したクレープ紙製品は、次の操作により調整したものである。クレープ紙製品を約10〔g〕採り、60〔℃〕の蒸留水2〔l〕中で攪拌しながら10分間洗浄する。次に、洗浄液を濾過して保湿成分を除去し、乾燥して試料とする。
平衡水分率増加量が0.2以下では柔軟化の作用が十分ではなく、14以上になると強度が低下する。よって、平衡水分率増加量は、少なくとも0.2〜14の範囲にあることが望ましい。
保湿成分が0.5〔重量%〕より少ないと原紙に取り込まれる水分量が減少して柔軟化効果が少なくなり、50〔重量%〕より多くなると、原紙が柔らかくなりすぎて強度が低下する。また、柔らか過ぎてエンボスの形状を保ち難くなり、エンボス加工による作用効果が得られなくなる。
よって、保湿成分の含有量は、少なくとも、対原紙当たり0.5〜50〔重量%〕の範囲にあることが望ましい。
柔軟剤の含有量としては、対原紙当たり0.01〜20〔重量%〕が好ましく、更に好ましくは0.03〜10〔重量%〕、特に好ましくは0.05〜3〔重量%〕である。
柔軟剤が0.01〔重量%〕より少ないと柔軟効果が十分ではなく、20〔重量%〕以上になると効果が飽和すると共に、油性感が強く現れてべたつき感が生じ、肌触りが劣るようになる。よって、柔軟剤の含有量は、少なくとも、対原紙当たり0.01〜20〔重量%〕の範囲にあることが望ましい。
周知のように、グリセリンは吸湿性、安全性が何れも高いため、衛生用途、家庭用途のクレープ紙製品に使用すると好適である。
エンボスの形状を保持するために各プライを接着剤により接着して1組とすることが従来から行われているが、接着点でシートが固定されると共に接着剤が固まり、触感が硬くなって手触りが悪くなる。従って、接着剤を使用せずに各プライをフリーな状態としておくことが望ましい。
このようなエンボスの形状、個数とすることで、皮膚との接触面積が少なくなり、かつ、クレープ紙の層間に所定厚さの空気層が形成されるため、肌と紙との間の熱の移動が抑制され、含有水分が多いにも関わらず冷たさを感じることが少なくなる。また、空気層を多く含むために、ふんわりとした柔らかさに富み、肌触りに優れた製品を得ることができる。
エンボス加工によってクレープ紙に凹凸面が形成されることになるが、肌に接触する表面側に滑らかな凹面が現れるように重ね合わせれば、肌触りを良くすることができる。
柔軟剤は、親油性物質や親油基を持つ成分からなり、具体的には、炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン類、ロウ類、界面活性剤等が挙げられる。
ここで、炭化水素類としては、流動パラフィン、スクワラン等がある。
油脂類としては、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、大豆油、やし油、牛脂、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリン、トリカプリル酸グリセリン等がある。
エステル油類としては、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル等がある。
脂肪酸類としては、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリン脂肪酸エステル等があり、脂肪酸として、ベヘニン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、カプリル酸等があり、脂肪酸塩として、前記各種脂肪酸のナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等の塩類があり、グリセリン脂肪酸エステルとして、前記各脂肪酸のグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等がある。
高級アルコール類としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール,ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール等がある。
シリコーン類としては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、ポリエーテル変性、ポリグリセリン変性の変性シリコーンオイル、ジメチルポリシロキサン等がある。
ロウ類としては、ミツロウ、カルナバロウ、ラノリン等がある。
界面活性剤としては、陰イオン性、陽イオン性、両性、非イオン性の界面活性剤が用いられ、非イオン性界面活性剤の場合、HLB価は12以下であることが望ましい。
これらの柔軟剤は、水に乳化、分散または溶解させた状態で供給することが望ましいので、必要に応じて、乳化剤、分散剤、可溶化剤を用いる。
[実施例1〜8]
NBKP(針葉樹クラフト法漂白パルプ)が60〔重量%〕、LBKP(広葉樹クラフト法漂白パルプ)が40〔重量%〕の配合からなるパルプ原料をカナダ標準濾水度600〜610〔ml〕に叩解し、常法によりクレープ原紙を抄紙した。なお、クレープはドライクレープ法により形成した。
得られたクレープ原紙は、坪量が15〔g/m2〕、クレープ率が20〔%〕であった。
クレープ原紙の巻き取り親ロール1組(2本)をリワインダーにセットし、クレープ原紙に1枚ずつ、図1に示す成分の処理液をグラビアロールを用いて含浸させた。図1の処理液成分における数値は、原紙に対する各成分の重量%である。
次に、湿潤状態のクレープ原紙に1枚ずつ、エンボス加工を施した。エンボス加工は、鋼製のエンボスロールとラバー製の受けロールとの1対からなる2対のエンボス加工装置を用い、図1に示すエンボスニップ圧をそれぞれ加えて行った。なお、図1には、SI単位系に換算したニップ圧を併記してある。
実施例1〜8は、処理液の各成分またはエンボスニップ圧が種々異なるものである。
次いで、乾燥ユニットに通して熱風乾燥を行い、その後、エンボスの凸面を内側に合わせて2枚を重ねて1組とし、リールに巻き取った。
ここで、エンボスの形状は、直径が約0.7〔mm〕の円形であり、その密度は50〔個/cm2〕である。また、乾燥ユニットにおける乾燥温度は80〔℃〕であり、エンボス加工速度は100〔m/分〕である。
リールに巻き取ったエンボス加工済みの原紙をロール加工機にセットし、ロール状のエンボス加工クレープ紙製品を得た。
こうして得られた製品を温度23±2〔℃〕、相対湿度50±2〔%〕の環境で調湿し、ロールの形状、長さ、重さ等と各種特性値とを測定した。以下の実施例、比較例についても同様に調湿し、形状、長さ、重さ等と各種特性値とを測定した。
[実施例9〜11]
NBKPが60〔重量%〕、LBKPが40〔重量%〕の配合からなるパルプ原料をカナダ標準濾水度600〜610〔ml〕に叩解した。
次に、湿潤紙力増強剤として「湿潤紙力剤 WS4024」(星光PMC社製)を固形分として、パルプ当たり0.2〔重量%〕添加し、常法によりクレープ原紙を抄紙した。なお、クレープはドライクレープ法により形成した。得られたクレープ原紙は、坪量が15〔g/m2〕、クレープ率が20〔%〕であった。
その後、実施例1〜8と同様に処理液含浸、エンボス加工、ロール加工を行い、ロール状のエンボス加工クレープ紙製品を得た。
この実施例9〜11は、エンボスニップ圧を同一とし、処理液の各成分をそれぞれ異ならせたものである。
保湿成分を含む処理液の含浸及びエンボス加工の両方を行わずに、実施例1に示したクレープ原紙をロール状に加工したものを比較例1、処理液を含浸せずエンボス加工のみを行ってロール状に加工したものを比較例2、処理液を含浸してエンボス加工を行わずにロール状に加工したものを比較例3,4とした。また、処理液を含浸して低いニップ圧でエンボスを形成し、ロール状に加工したものを比較例5,6とした。比較例3,4及び5,6における処理液の成分は異なっている。なお、上記比較例1〜6の形態は、トイレットペーパーである。
更に、市販の洗浄便座用トイレットペーパーであってエンボス加工され、プライ間が接着剤で接着されているものを比較例7、市販の一般用トイレットペーパーであってエンボス加工されているものを比較例8,9とし、エンボス加工されてプライ間を接着剤で接着した市販のキッチンペーパーを比較例10とした。これらの比較例7〜10には、保湿成分を含む処理液は含浸されていない。
図2,図3における各種特性値の試験方法は、以下の通りである。
<初期熱流束最大値Qmax>
銅板に熱を蓄え、この銅板がサンプルの表面に接触した直後に、蓄えられた熱量が低温側のサンプルに移動する際の熱流のピーク値を測定する。前述した如く、初期熱流束最大値Qmaxは、大きいほど冷たく感じ、小さいほど温かく感じる。
試験機としては、カトーテック株式会社製の「KES−F7 サーモラボII型 精密迅速熱物性測定装置」 を使用し、室温22〔℃〕、相対湿度50〔%〕の環境下で、サンプル温度を22〔℃〕、試料台(冷却ベース)温度を22〔℃〕とし、銅板については、面積9〔cm2〕、質量9.79〔g〕、熱容量0.41855〔J/℃〕の純銅板を用い、銅板の初期温度を32〔℃〕(サンプル温度プラス10〔℃〕)、銅板の接触圧を10〔gf/cm2〕(0.981〔kPa〕)の条件下で、シート1組(2枚重ね)の表面及び裏面について初期熱流束最大値Qmaxをそれぞれ3回測定し、その平均値を求めた。
ロール密度は、ロール重さ〔g〕÷ロール体積〔cm3〕と定義する。
ここで、ロール重さはロール1個当たりの重量であり、紙管を有する場合は紙管を除いた重量である。また、ロール体積は、中心の空間部を除いたロール端面の面積にロール幅を掛けた値である。なお、紙管を有する場合はロール端面の面積から紙管の端面面積を除く。
測定方法は、以下の通りである。
ロールの中央部の空間に硬質の心棒を挿入し、この心棒を水平にしてロールを水平に保つ。そのロール外周の上面中心部に、面積6〔cm2〕の円形圧縮受圧板を下降させて押し込み、受圧板がロールに接触した位置Aから、一定の押し込み圧における位置Bまでの変位を測定し、この変位(B−A)〔mm〕を圧縮たわみ深さとする。圧縮たわみ深さは、数値が大きいほど圧縮され易く、ふんわり感が増す。
なお、測定は、ロールを円周方向に60度ずつずらして6回行い、その平均値を求めた。
試験機には、オリエンテック社製のテンシロン万能試験機「RTC1210A」を使用し、円形圧縮受圧板の下降速度を10〔mm/分〕とした。また、上述した位置Aは、受圧板がロール外周面に3.0〔gf〕(29.4〔mN〕)の荷重を掛けた位置とし、位置Bは、受圧板がロール外周面に300〔gf〕(2.94〔N〕)の荷重を掛けた位置とした。
ヒステリシスロス率は、JIS−K−6400−2(2004年)に準じて測定した。
変形及び回復の1サイクルにおける機械エネルギーの損失率をヒステリシスロス率と定義し、数値が大きいほど低反発弾性であることを示す。具体的には、
ヒステリシスロス率〔%〕={(加圧エネルギー−除圧エネルギー)/加圧エネルギー}×100
とする。ここで、加圧エネルギーは、以下に述べる位置Cから位置Dまでの加圧時の荷重サンプリングの積算値であり、除圧エネルギーは、同じく位置Dから位置Cまでの除圧時の荷重サンプリングの積算値である。
円形圧縮受圧板の下降及び上昇速度を10〔mm/分〕とし、受圧板がロール外周面に接触していない位置をスタート位置Cとし、下降時(加圧時)に受圧板がロール外周面に300〔gf〕(2.94〔N〕)の圧縮荷重を掛けた位置をDとした。なお、位置Dにおける保持時間はゼロとし、受圧板が位置Dに達したら、直ちに上昇し、スタート位置Cに戻る。すなわち、受圧板は加圧時には位置Cから位置Dに移動し、除圧時には位置Dから位置Cに移動する。
図4は荷重−変位グラフを示したものである。
JIS−S3104(1992年)に規定されるティシュペーパーの引張強さ試験に準じて、試料の縦方向(抄紙時における紙の流れ方向)の乾燥時引張強度〔N〕を測定した。
試験片は、試料(2枚重ね)を幅25.0±0.1〔mm〕に切り取り、つかみ間隔を100±2〔mm〕として測定した。測定は10回行い、その平均値を求めた。
JIS−P8112(1994年)に規定される紙及び板紙のミューレン低圧形試験機による破裂強さ試験方法に準じて、試料10枚(2枚重ね×5組)当たりの破裂強度を測定した。測定は10回行い、その平均値を求めた。
この破裂強度は、数値が小さいほど破れ易いことを示す。
「JAPAN、TAPPI、NO.34、紙−柔らかさ試験方法」に規定される試験方法に準じ、以下の条件により測定した。
試料を試料受板のクリアランスに押し込み、そのときの抵抗力〔mN〕/100〔mm〕を、試料の縦方向と横方向とについてそれぞれ3回測定し、そのすべての合計の平均値を求めた。この柔らかさは、数値が小さいほど抵抗が少なく、柔らかいと評価される。
試験機には、熊谷理機工業社製のハンドルオメーターを用い、試料(2枚重ね)は10×10〔cm〕の大きさとした。また、試料受板のクリアランスは6.35〔mm〕である。
JIS−P8127(1979年)に規定される紙及び板紙の水分試験方法に準じて測定した。乾燥温度は105±3〔℃〕とし、乾燥時間は1時間とした。
<ふんわり感>
空気を含んだような柔らかい厚み感をふんわり感と定義し、モニター10名が、以下の基準により評価した。
・大変ふんわりしている:4点
・ふんわりしている:3点
・ややふんわりしている:2点
・ふんわりしていない:1点
モニター10名の評価点を集計した合計点について、以下のようにランク付けした。
・36〜40点:◎
・26〜35点:○
・16〜25点:△
・10〜15点:×
以下の評価項目についても同様の方法によりモニター10名が評価し、全員の評価点を集計した合計点によりランク付けした。
指で押し込んだときに、反発性の少ない、しなやかな弾力感をしなやかさと定義して、以下の基準により評価した。
・大変しなやかである:4点
・しなやかである:3点
・ややしなやかである:2点
・しなやかでない:1点
表面を手のひらで触ったときに感じる冷感を、以下の基準により評価した。
・冷たさを感じない:4点
・やや冷たさを感じる:3点
・冷たさを感じる:2点
・冷たさを強く感じる:1点
114〔mm〕×114〔mm〕の大きさのシート1組(2枚重ね)を2回折り畳んで57〔mm〕×57〔mm〕の大きさにし、このサンプルにより、手のひらに落とした1〔ml〕の水を拭き取り、水分の吸い取り性及び保持性を以下の基準により評価した。
・吸い取りが良く、皮膚に水分が残らない:4点
・吸い取りは良いが、皮膚に水分が少し転移する:3点
・吸い取り性が弱く、皮膚に水分が少し残る:2点
・吸い取り性が悪く、拭き取れない:1点
まず、実施例1〜8は保湿成分を含有しているため、保湿成分を含有していない比較例1,2と比べて平衡水分率が多くなっているが、冷たさを感じていない。これは、エンボスによって紙と皮膚との接触面積が少なくなると共に、エンボスによって形成された空間に存在する空気の層が放熱を遮る断熱作用を示し、熱移動が少なくなって、初期熱流束最大値Qmaxが小さくなったためである。処理液の含浸や、含有水分の増加により紙の柔軟性が増加して圧縮たわみ深さも比較例1,2より深くなり、ふんわり感を与えている。更に、ヒステリシスロス率も比較例1,2より高くなっており、低反発弾性のしなやかな弾力性が感じられている。
なお、実施例1〜8の柔らかさの数値は、比較例1,2と比べて必ずしも低くはないが、その理由としては、柔らかさの試験方法は押し込みに対する抵抗を測っているので、紙が厚く嵩高なほど、数値が高くなるためである。
これらの実施例6,7,8によれば、エンボスにより空気層が形成されて断熱効果が高くなり、冷たさを感じさせずに肌触り性が向上していることが分かる。
これらの実施例9,10,11を実施例2,4,5とそれぞれ対応させて比較すると、湿潤紙力増強剤を配合したことによる特性値の顕著な変化は認められないため、本発明に係る紙製品は、湿潤時の強度が要求される用途にも有益であると言える。
比較例2は、保湿成分を含有せずエンボス加工のみを行ったものであり、ロール密度は低いが、破裂強度が高く、肌触り性も不十分である。
比較例3は、保湿成分を含むトイレットペーパーである。エンボス加工が施されていないため、ロール密度が高く、ふんわり感に欠け、しなやかさも不十分である。また、拭き取り性の評価も低い。更に、エンボスがないため皮膚との接触面積が多く、また、断熱効果も少なく、初期熱流束最大値Qmaxが大きくなって、含有水分による冷たさを感じている。
比較例4は比較例3より保湿成分の含有量は少ないが、比較例3と同様にロール密度が高く、ふんわり感やしなやかさに欠けている。更に、拭き取り性の評価も低い。また、初期熱流束最大値Qmaxが大きく、含有水分による冷たさを感じている。
比較例5は保湿成分を含み、低いニップ圧でエンボス加工されたものである。ニップ圧が低いためエンボスの形成が不十分で、密度が高く、ふんわり感に欠け、しなやかさも不十分である。また、初期熱流束最大値Qmaxも大きい。比較例6は比較例5より保湿成分の含有量は少ないが、比較例5と同様に初期熱流束最大値Qmaxが大きいため、含有水分による冷たさを感じている。また、ふんわり感も不十分で、しなやかさに欠ける。
比較例8,9は市販のエンボス加工された一般用のトイレットペーパーであり、ふんわり感やしなやかさに劣っている。また、拭き取り性の評価も十分ではない。
比較例10は市販のキッチンペーパーであり、エンボス加工され、プライ間が接着剤で接着されている製品である。比較例7より更に嵩高でロール密度は最も低く、拭き取り性の評価は高いが、ヒステリシスロス率が低く、反発弾性が大きい。また、引張強度、破裂強度がかなり大きく、しなやかさがなく、ふんわり感も不十分である。
Claims (12)
- 保湿成分を含有するクレープ原紙に形成したエンボスの凸面を内側に合わせて表面側に前記エンボスの凹面が現われるように前記クレープ原紙を2枚重ね合わせて一組のクレープ紙を構成し、初期熱流束最大値が0.17〔J/cm2/sec〕以下である前記クレープ紙からなるロール状のクレープ紙製品であって、前記クレープ紙の破裂強度が30〜120〔Kpa〕であり、ロールの圧縮たわみ深さが2.5〜9.0〔mm〕であり、ロールのヒステリシスロス率が45〜75〔%〕であることを特徴とするクレープ紙製品。
- 請求項1に記載したクレープ紙製品において、
ロール密度が0.05〜0.16〔g/cm3〕であることを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1または2に記載したクレープ紙製品において、
ロールの圧縮たわみ深さが3.0〜8.0〔mm〕であることを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
ロールのヒステリシスロス率が50〜70〔%〕であることを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜4の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
クレープ紙の縦方向の引張強度が0.6〜5.0〔N〕であることを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜5の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
クレープ紙の柔らかさが15〜90〔mN〕であることを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
クレープ紙の平衡水分率増加量が0.2〜14であることを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜7の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
クレープ紙に含まれる保湿成分の含有量が対原紙当たり0.5〜50〔重量%〕であることを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜8の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
保湿成分がグリセリンを含むことを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
プライ間が接着剤で接着されていないことを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜10の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
高低差が0.03〜2.00〔mm〕であるエンボスを、クレープ紙に4〜200〔個/cm2〕の密度で形成したことを特徴とするクレープ紙製品。 - 請求項1〜11の何れか1項に記載したクレープ紙製品において、
トイレットペーパー、キッチンペーパーまたはタオルペーパーとして形成したことを特徴とするクレープ紙製品。
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