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JP5824254B2 - ガスエンジンのガス流量計測装置及び方法 - Google Patents

ガスエンジンのガス流量計測装置及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスエンジンへ供給される燃料ガスの流量を計測するガスエンジンのガス流量計測装置及び方法に関する。
近年、発電プラント等においては、高効率発電に向けた技術開発が加速しており、その駆動源としてのガスエンジンの高効率化も同時に求められている。ガスエンジンの燃費計測には高精度な流量計が必要不可欠であり、電気ノイズ等の影響を受けない容積式流量計が一般的に使用される。しかし、容積式流量計は、ガスエンジンへの燃料ガス供給ラインに設けられた圧力調整弁等によって生じる燃料ガスの脈動の影響を受け易く、計測精度に問題がある。そこで、特許文献1では、圧力調整弁と流量計とを結ぶ配管途中に緩衝手段を設け、圧力調整弁によって生じる脈動の影響を低減させて、流量の計測精度を向上させている。
特許第3259820号公報
しかしながら、特許文献1の緩衝手段は固定されたメッシュ構造であり、この圧力損失が大きい場合にはその影響を無視できない。例えば、メッシュ構造における圧力損失が大きい場合には、その損失分はガス昇圧機の昇圧能力を増加させて補わねばならないため、設備全体のエネルギー消費量が増加し、結果的に発電プラントのエネルギー効率が低下することとなる。
そこで本発明は、燃料ガスの流量計測精度の向上とエネルギー効率の向上とを両立させることを目的としている。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係るガスエンジンのガス流量計測装置は、ガスエンジンへ供給される燃料ガスの流量を計測するガスエンジンのガス流量計測装置であって、燃料ガス供給源から供給される燃料ガスを昇圧する昇圧手段と、前記昇圧手段で昇圧された燃料ガスの流量を計測する第1流量計測手段と、前記第1流量計測手段の下流側に設けられ、前記ガスエンジンへ供給される燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整手段と、前記第1流量計測手段と前記圧力調整手段との間に設けられ、燃料ガスの脈動を抑えるための絞り部を有する緩衝手段と、を備え、前記緩衝手段は、前記絞り部の開度を可変に調整できるよう構成されている。
前記構成によれば、緩衝手段の絞り部の開度を可変に調整できるので、絞り部によって脈動の影響を低減させながらも、絞り部における圧力損失が過大にならないように絞り部の開度を容易に設定することができる。即ち、高精度な流量計測が可能としながらも、緩衝手段における圧力損失を抑制することが可能となり、昇圧手段によって燃料ガスの圧力を無駄に昇圧させる必要がなくなる。したがって、燃料ガスの流量計測精度の向上とエネルギー効率の向上とを両立させることが可能となる。
前記絞り部の開度は、前記絞り部の開度に依存する燃料ガスの流量振幅値と前記第1流量計測手段によって計測される燃料ガスの所定時間当たりの積算流量値との間の相関関係における前記積算流量値の変化率を利用して設定されてもよい。
前記構成によれば、流量振幅値と積算流量値との間の相関関係から積算流量値の変化率(流量振幅値が所定量変化したときの積算流量値の変化量)を参照して絞り部の開度を設定することで、絞り部によって脈動の影響を低減させながらも、絞り部における圧力損失が過大にならないように絞り部の開度を好適に設定することができる。
前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満であり且つ前記流量振幅値が所定値以上である範囲で前記絞り部の開度が設定されてもよい。
前記構成によれば、積算流量値の変化率が小さい範囲における流量振幅値(即ち、絞り部の開度)を選んで、脈動の影響を低減させた高精度な流量計測を実現しながらも、流量振幅値が小さくなり過ぎて圧力損失が増大するのを防止することができ、流量計測精度とエネルギー効率との両面で良好な絞り開度を設定することが可能となる。
前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満となる前記流量振幅値のうち最も大きい流量振幅値での開度が前記絞り部の開度に設定されてもよい。
前記構成によれば、流量計測精度が良好な範囲内で圧力損失が最も少ない絞り開度を得ることがき、脈動緩衝を必要最小限にして最適な絞り開度を設定することが可能となる。
前記緩衝手段は、前記絞り部の開度を可変に調整できるよう構成されていてもよい。
前記構成によれば、絞り部の開度調整が容易になると共に、絞り部の開度を最適値に設定した後に燃料ガス供給圧が変わった場合にも開度を容易に再調整することができる。
前記第1流量計測手段に直列に設けられ、燃料ガスの流量振幅値を算出するための第2流量計測手段をさらに備えていてもよい。
前記構成によれば、2つの流量計測手段を用いることによって、流量計測手段の故障を早期に把握することができる。また、第2流量計測手段に質量流量計を用いる場合には、流量振幅を容易に算出できると共に、絞りの開度の最適値を更に高精度に設定することができる。
また本発明のガスエンジンのガス流量計測方法は、ガスエンジンへ供給される燃料ガスの流量を計測するガスエンジンのガス流量計測方法であって、燃料ガス供給源から供給される燃料ガスを昇圧する昇圧工程と、前記昇圧された燃料ガスの流量を計測する第1流量計測工程と、前記ガスエンジンへ供給される燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整工程と、絞りによって燃料ガスの脈動を抑える緩衝工程と、前記絞りの開度を可変に調整して設定する開度設定工程と、を備えている。
前記方法によれば、絞りの開度を調整することで、絞りによって脈動の影響を低減させながらも、絞りにおける圧力損失が過大にならないように絞りの開度を容易に設定することができる。即ち、高精度な流量計測が可能としながらも、緩衝工程における圧力損失を抑制することが可能となり、昇圧工程によって燃料ガスの圧力を無駄に昇圧させる必要がなくなる。したがって、燃料ガスの流量計測精度の向上とエネルギー効率の向上とを両立させることが可能となる。
前記絞りの開度に応じて燃料ガスの流量振幅値を夫々算出する振幅算出工程と、前記絞りの開度に応じて燃料ガスの所定時間当たりの積算流量値を夫々算出する積算流量算出工程と、をさらに備え、前記開度設定工程では、前記流量振幅値と前記積算流量値との間の相関関係における前記積算流量値の変化率を利用して前記絞りの開度を設定してもよい。
前記方法によれば、流量振幅値と積算流量値との間の相関関係から積算流量値の変化率(流量振幅値が所定量変化したときの積算流量値の変化量)を参照して絞りの開度を設定することで、絞りによって脈動の影響を低減させながらも、絞りにおける圧力損失が過大にならないように絞り部の開度を好適に設定することができる。
前記開度設定工程では、前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満であり且つ前記流量振幅値が所定値以上である範囲で前記絞り部の開度を設定してもよい。
前記方法によれば、積算流量値の変化率が小さい範囲における流量振幅値(即ち、絞りの開度)を選んで、脈動の影響を低減させた高精度な流量計測を実現しながらも、流量振幅値が小さくなり過ぎて圧力損失が増大するのを防止することができ、流量計測精度とエネルギー効率との両面で良好な絞り開度を設定することが可能となる。
前記開度設定工程では、前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満となる前記流量振幅値のうち最も大きい流量振幅値での開度を前記絞りの開度に設定する、
前記方法によれば、流量計測精度が良好な範囲内で圧力損失が最も少ない絞り開度を得ることがき、最適な絞り開度を設定することが可能となる。
前記振幅算出工程及び前記積算流量算出工程では、前記絞りの開度を大から小へと変化させて各開度における流量振幅値及び積算流量値を算出し、前記開度設定工程では、前記振幅算出工程及び前記積算流量算出工程で前記絞りの開度を大から小へと変化させていくなかで、前記積算流量値の変化率が前記所定値以上から前記所定値未満となったときの直前の開度又はその近傍の開度を前記絞りの開度に設定してもよい。
前記方法によれば、絞りの開度を大から小へと変化させていくにつれて積算流量値の変化率が減少していき、当該変化率が所定値以上から所定値未満になったときの開度又はその近傍の開度を絞りの開度に設定するので、絞りの開度を設定する際に絞りの開度を全開度域で変化させずに済み、開度設定に要する時間を短縮することができる。また、絞りが低開度のときは流量が安定しないが、絞りの開度を大から小へと変化させていくことで、流量が安定した状態で流量振幅値及び積算流量値を算出することができ、最適な絞り開度を精度良く設定することが可能となる。
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、燃料ガスの流量計測精度の向上とエネルギー効率の向上とを両立させることが可能となる。
本発明の実施形態に係るガスエンジンのガス流量計測装置を備えた発電プラントを示す構成図である。 図1に示すガスエンジンに供給される燃料ガスの流量振幅値を表すグラフである。 図1に示すガスエンジンに供給される燃料ガスの単位時間当たりの積算流量値と図2の流量振幅値と間の相関関係を表すグラフである。 図1に示す緩衝装置の絞り開度を決定する手順を説明するフローチャートである。 図4の手順中に測定された単位時間当たりの積算流量値と流量振幅値との相関関係を表すグラフである。
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るガスエンジン2のガス流量計測装置3を備えた発電プラント1を示す構成図である。図1に示すように、ガスエンジン2は、天然ガスや都市ガス等の燃料ガスを主燃料とするレシプロ型の多気筒4ストロークエンジンであり、発電プラント1の発電機(図示せず)を駆動する原動機として使用されている。気筒4にはピストン5が往復動可能に挿入されており、ピストン5は出力軸であるクランク軸(図示せず)と連結されている。気筒4内におけるピストン5の上方の空間は主燃焼室6である。主燃焼室6には、給気弁7を介して給気ポート8が接続されるとともに、排気弁9を介して排気ポート10が接続されている。給気ポート8内には燃料ガスを噴射する主燃料ガス供給弁11が設けられている。主燃焼室6には副燃焼室12が隔壁13を介して隣接している。副燃焼室12は、隔壁13に形成された連通孔14を介して主燃焼室6と連通している。副燃焼室12には燃料ガスを噴射する副燃料ガス供給弁15と、混合気を燃焼させるための点火プラグ16とが設けられている。
ガスエンジン2によれば、給気行程において、主燃焼室6には給気ポート8から空気と主燃料ガス供給弁11が噴射する燃料ガスとを含む混合気が供給され、副燃焼室12には副燃料ガス供給弁15が噴射する燃料ガスを含む混合気が供給される。圧縮行程において主燃焼室6及び副燃焼室12内の混合気が圧縮された後、点火プラグ16が所定のタイミングで動作して副燃焼室12内の混合気が着火される。副燃焼室12内で発生した火炎は連通孔14を通じて主燃焼室6内に伝播し、主燃焼室6内の混合気が着火される。これによりピストン5が下動して膨張行程が行われる。そして、排気行程において、主燃焼室6内のガスは排気ポート10を介して外部に排出される。
発電プラント1には、発電機が一定出力で発電するようにガスエンジン2を制御する主制御装置17が設けられている。主制御装置17は、主燃料ガス供給弁11及び副燃料ガス供給弁15を駆動するガス弁制御装置18に接続されている。主制御装置17は、点火プラグ16を駆動する点火プラグドライバ19に接続されている。主制御装置17には、ガスエンジン2により駆動される発電機(図示せず)の出力、給気ポート8に供給される給気の圧力及び温度、ガスエンジン2のクランク角など入力情報が各種センサから入力されている。主制御装置17は、これら入力情報に基づいてガス弁制御装置18及び点火プラグドライバ19に指令信号を出力し、各燃料ガス供給弁11,15及び点火プラグ16の動作を制御する。
発電プラント1には、ガスエンジン2へ供給される燃料ガスの流量を計測するガス流量計測装置3が設けられている。ガス流量計測装置3は、ガスエンジン2に燃料ガスを供給する燃料ガス供給管20を備えている。燃料ガス供給管20は、外部の燃料ガス供給源(図示せず)から供給される燃料ガスを設定圧に昇圧するガス昇圧機24(昇圧手段)が上流側に設けられた燃料ガス共通供給管21を有しており、燃料ガス供給管20は、燃料ガス共通供給管21の下流側で主燃料ガス供給管22と副燃料ガス供給管23とに分岐している。主燃料ガス供給管22には、燃料ガス供給弁11に供給される燃料ガスの供給圧力を調整する主圧力調整弁25(圧力調整手段)が設けられている。副燃料ガス供給管23には、副燃料ガス供給弁15に供給される供給圧力を調整する副圧力調整弁26(圧力調整手段)が設けられている。
燃料ガス共通供給管21には、ガス昇圧機24で設定圧に昇圧された燃料ガスの流量を計測する容積式流量計27(第1流量計測手段)が設けられている。発電プラント稼動時に容積式流量計27で計測されるガス流量は、燃費(発電効率)を算出するために用いられる。容積式流量計27は、燃料ガス共通供給管21を流れる燃料ガスの通過容積量に比例して歯車等の回転子が回転し、その回転数からガス流量を測定する流量計である。ゆえに、容積式流量計27は、発電プラント稼動時の使用環境が悪くても故障確率が低く、電気ノイズの影響も受けない。
燃料ガス共通供給管21には、容積式流量計27と圧力調整弁25,26との間の位置に可変絞り弁28(緩衝手段)が設けられている。可変絞り弁28は、開度調整可能な絞り部を有する弁であり、容積式流量計27が設けられた燃料ガス共通供給管21における燃料ガスの脈動を抑えるための緩衝装置として用いられている。燃料ガス共通供給管21には、容積式流量計27の直ぐ上流側に直列で燃料ガスの流量振幅値を算出するための質量流量計29(第2流量計測手段)が設けられている。質量流量計29は、瞬時流量をパルス出力することで流量振幅値を容易に算出することを可能とするが、発電プラント稼動時の使用環境によってはセンサ故障やノイズの影響を受け得る。
図2は、図1に示すガスエンジン2に供給される燃料ガスの流量振幅値を表すグラフである。図2に示すように、質量流量計29で計測される瞬時流量は、燃料ガス供給弁11,15の開閉や圧力調整弁25,26のバネの影響等により周期的に増減し、燃料ガス共通供給管21を流れる燃料ガスは脈動する。その燃料ガスの流量振幅値は、可変絞り弁28の開度に依存する。具体的には、燃料ガスの流量振幅値は、可変絞り弁28の開度が大きい(絞り部の流路断面が大きい)場合に大きくなり、可変絞り弁28の開度が小さい(絞り部の流路断面が小さい)場合に小さくなる。即ち、可変絞り弁28の開度が小さくなると脈動の緩衝効果が大きくなる。
図3は、図1に示すガスエンジン2に供給される燃料ガスの単位時間当たりの積算流量値と図2の流量振幅値との間の相関関係を表すグラフである。図3に示すように、可変絞り弁28の開度を増加することで流量振幅値が増加するため、容積式流量計27で計測される単位時間当たりの積算流量値は二次曲線状に増加することとなる。しかし、ガス昇圧機24及び圧力調整弁25,26により燃料ガスの圧力は調整されているので、可変絞り弁28の開度が変わっても実際の積算流量値は略一定となる筈であり、実際に質量流量計29で測定すると積算流量値は略一定となる(但し、可変絞り弁28の開度が極めて小さいときは、燃料ガスの流れが妨げられて実際の積算流量値も減少する。)。即ち、流量振幅値が増加するにつれて、容積式流量計27の測定精度が低下して単位時間当たりの積算流量値が実際よりも多く測定されてしまう。これは、燃料ガスの流れの脈動により、容積式流量計27の回転子に慣性力が作用することで、容積式流量計27の回転子が燃料ガスの通過容積量に対して多めに回転してしまうことによる。よって、流量振幅値が増加するにつれて容積式流量計27の計測精度は悪化し、流量振幅値が減少するにつれて容積式流量計27の計測精度は向上する。
ところが、流量振幅値を減少すべく可変絞り弁28の開度を減らし過ぎると、可変絞り弁28での圧力損失が増大してしまう。可変絞り弁28での圧力損失が大きい場合には、その損失分はガス昇圧機24の昇圧能力を増加させて補わねばならないため、発電プラント1全体のエネルギー消費量が増加し、結果的に発電プラント1のエネルギー効率が低下することとなる。
ここで、図3のグラフの傾向に着目すれば、容積式流量計27で計測される単位時間当たりの積算流量値は、流量振幅値の増加に対して比例的には増加していない。流量振幅値が小さい範囲では、容積式流量計27で計測される単位時間当たりの積算流量値の増加率は小さく、流量振幅値が大きい範囲では、容積式流量計27で計測される単位時間当たりの積算流量値の増加率は大きくなる。よって、容積式流量計27で計測される単位時間当たりの積算流量値の増加率が小さい範囲内において、できるだけ流量振幅値が大きいときの可変絞り弁28の開度を最終的な設定開度とすれば、流量計測精度とエネルギー効率との両面から見て最適な開度を得ることができることとなる。そこで、ガス流量計測装置3では、質量流量計29から算出される流量振幅値と容積式流量計27によって計測される単位時間当たりの積算流量値との間の相関関係において、積算流量値の変化率が所定値未満であり且つ流量振幅値が所定値以上であるときの可変絞り弁28の開度を通常運転時(発電時)の開度に設定することとする。なお、パルス出力機能付きの容積式流量計でも、流量振幅値を計測することが可能である。
図4は、図1に示す緩衝装置の絞り開度を決定する手順を説明するフローチャートである。図5は、図4の手順中に測定された単位時間当たりの積算流量値と流量振幅値との相関関係を表すグラフである。なお、図4の手順は、ガスエンジン2に供給される燃料ガスをガス昇圧機24で所定圧に昇圧してガスエンジン2を試運転した状態で実施される。図4及び5に示すように、まず、可変絞り弁28の開度を初期開度に設定する(ステップS1)。なお、初期開度は、後の工程において可変絞り弁28の開度を大から小へと変化させて各開度における流量振幅値及び積算流量値を算出していくために、最適開度が存在すると予想される開度域よりも大きい開度に決められている。
次いで、測定回数nに1を代入する(ステップS2)。そして、質量流量計29により第n回目(n=1)の流量振幅値A(n)を測定し(ステップS3)、容積式流量計27により第n回目(n=1)の単位時間当たりの積算流量値F(n)を測定する(ステップS4)。なお、各測定点での積算流量値F(n)は5分以上計測した値の平均値とする。次いで、測定回数nにn+1を代入してnを1つインクリメントし(ステップS5)、可変絞り弁28の開度を減らす(ステップS6)。このとき、今回の流量振幅値A(n−1)から今回の積算流量値F(n−1)の所定パーセント(例えば、5%)以内に相当する値を引いた値が次回の流量振幅値A(n)となるように可変絞り弁28の開度を決める。その際、第n回目の開度と第n+1回目の開度との差は、nが大きくなるにつれて小さくすることで、最適な絞り開度の決定精度を確保しつつ作業時間を短縮することができる。
そして、質量流量計29により第n回目(n=2)の流量振幅値A(n)を測定し(ステップS7)、容積式流量計27により第n回目(n=2)の単位時間当たりの積算流量値F(n)を測定する(ステップS8)。そして、図5において、第n−1回目(n=2)に測定された流量振幅値及び積算流量値からなる測定点と、第n回目(n=2)に測定された流量振幅値及び積算流量値からなる測定点との間での積算流量値の変化率が所定値α未満であるか否かを判定する。具体的には、数式1を満たすか否かを判定する(ステップS9)。なお、所定値αは、予め調べておいた図3の最適点付近の変化率であり、本例では、0.05〜0.2の範囲から選ばれる値(例えば、0.1)である。
[数式1]
{F(n−1)−F(n)}/{A(n−1)−A(n)} < α
ステップS9で数式1を満たさない場合には、ステップS5に戻って処理を繰り返す。そして、ステップS9で数式1を満たした場合には、可変絞り弁28の開度を第n−1回目のときの開度に決定する(ステップS10)。図5の例では、可変絞り弁28の開度を第5回目の開度としたときに数式1を満たしたため、その直前の第4回目の開度又はその近傍の開度を可変絞り弁28の最適開度に設定する。
以上によれば、流量振幅値と積算流量値との間の相関関係から積算流量値の変化率を参照し、その変化率が所定値α未満となる流量振幅値のうち最も大きい流量振幅値での開度が可変絞り弁28の開度に設定される。これにより、脈動の影響を低減させた高精度な流量計測を実現しながらも、流量振幅値が小さくなり過ぎて圧力損失が増大することが防止されて、ガス昇圧機24によって燃料ガスを無駄に昇圧させる必要がなくなる。したがって、ガス流量計測精度を確保するために必要最小限の脈動緩衝度合いに最適化して、燃料ガスの流量計測精度の向上とエネルギー効率の向上とを両立させることが可能となる。
また、可変絞り弁28の開度を大から小へと変化させていき、積算流量値の変化率が所定値α以上から所定値α未満になったときの開度又はその近傍の開度を可変絞り弁28の最適開度に設定するので、可変絞り弁28の開度を設定する際に可変絞り弁28の開度を全開度域で変化させずに済み、最適開度を決定するのに要する作業時間を短縮することができる。また、可変絞り弁28が極低開度のときは流量が安定しないが、可変絞り弁28の開度を大から小へと変化させていくことで、流量が安定した状態で流量振幅値及び積算流量値を算出することができ、最適な絞り開度を精度良く設定することが可能となる。
さらに、緩衝装置として可変絞り弁28を用いているため、絞り開度の調整が容易になるとともに、絞り開度を最適値に設定した後に燃料ガス供給圧が変わった場合にも開度を容易に再調整することができる。さらに、容積式流量計27に直列に質量流量計29を設けたので、質量流量計29により流量振幅値を容易かつ高精度に算出できると共に、容積式流量計27の故障を早期に把握することができる。しかも、質量流量計29は、主に発電プラント1が本稼動する前の絞り開度決定時に用いられ、燃費計測のためには容積式流量計27を用いているので、使用環境にかかわらず長期にわたって精度良い燃費計測を行うことができる。
なお、本実施形態では、ステップS9で数式1を満たした場合には、直ちに可変絞り弁28の開度を第n−1回目のときの開度に決定したが(ステップS10)、第n−1回目のときに容積式流量計27で測定された単位時間当たりの積算流量値が、第n−1回目のときに質量流量計29で測定された単位時間当たりの積算流量値から所定の誤差範囲(例えば、±2%)にあるとの条件も満たした場合に、ステップS9からステップS10に進んでもよいことにしてもよい。また、本実施形態では、容積式流量計27で積算流量値を測定し、質量流量計29で流量振幅値を測定したが、質量流量計を廃止してパルス出力付き容積式流量計で流量振幅値と積算流量値の両方を測定してもよい。また、可変絞り弁28の代わりに絞り開度の異なる複数の固定式絞り部材を用意し、それらから最適な絞り開度の絞り部材を選択して設置するようにしてもよい。また、ガスエンジン2には過給機を設けてもよい。また、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成を変更、追加、又は削除することができる。
以上のように、本発明に係るガスエンジンのガス流量計測装置及び方法は、燃料ガスの流量計測精度の向上とエネルギー効率の向上とを両立させることが可能となる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できるガスエンジン発電プラント等に広く適用すると有益である。
1 発電プラント
2 ガスエンジン
3 ガス流量計測装置
20 燃料ガス供給管
24 ガス昇圧機(昇圧手段)
25,26 主圧力調整弁(圧力調整手段)
27 容積式流量計(第1流量計測手段)
28 可変絞り弁(緩衝手段)
29 質量流量計(第2流量計測手段)

Claims (8)

  1. ガスエンジンへ供給される燃料ガスの流量を計測するガスエンジンのガス流量計測装置であって、
    燃料ガス供給源から供給される燃料ガスを昇圧する昇圧手段と、
    前記昇圧手段で昇圧された燃料ガスの流量を計測する第1流量計測手段と、
    前記第1流量計測手段の下流側に設けられ、前記ガスエンジンへ供給される燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整手段と、
    前記第1流量計測手段と前記圧力調整手段との間に設けられ、燃料ガスの脈動を抑えるための絞り部を有する緩衝手段と、を備え、
    前記緩衝手段は、前記絞り部の開度を可変に調整できるよう構成され
    前記絞り部の開度は、前記絞り部の開度に依存する燃料ガスの流量振幅値と前記第1流量計測手段によって計測される燃料ガスの所定時間当たりの積算流量値との間の相関関係における前記積算流量値の変化率を利用して設定される、ガスエンジンのガス流量計測装置。
  2. 前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満であり且つ前記流量振幅値が所定値以上である範囲で前記絞り部の開度が設定される、請求項に記載のガスエンジンのガス流量計測装置。
  3. 前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満となる前記流量振幅値のうち最も大きい流量振幅値での開度が前記絞り部の開度に設定される、請求項又はに記載のガスエンジンのガス流量計測装置。
  4. ガスエンジンへ供給される燃料ガスの流量を計測するガスエンジンのガス流量計測装置であって、
    燃料ガス供給源から供給される燃料ガスを昇圧する昇圧手段と、
    前記昇圧手段で昇圧された燃料ガスの流量を計測する第1流量計測手段と、
    前記第1流量計測手段の下流側に設けられ、前記ガスエンジンへ供給される燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整手段と、
    前記第1流量計測手段と前記圧力調整手段との間に設けられ、燃料ガスの脈動を抑えるための絞り部を有する緩衝手段と、
    前記第1流量計測手段に直列に設けられ、燃料ガスの流量振幅値を算出するための第2流量計測手段と、を備え
    前記緩衝手段は、前記絞り部の開度を可変に調整できるよう構成されている、ガスエンジンのガス流量計測装置。
  5. ガスエンジンへ供給される燃料ガスの流量を計測するガスエンジンのガス流量計測方法であって、
    燃料ガス供給源から供給される燃料ガスを昇圧する昇圧工程と、
    前記昇圧された燃料ガスの流量を計測する第1流量計測工程と、
    前記ガスエンジンへ供給される燃料ガスの供給圧力を調整する圧力調整工程と、
    絞りによって燃料ガスの脈動を抑える緩衝工程と、
    前記絞りの開度に応じて燃料ガスの流量振幅値を夫々算出する振幅算出工程と、
    前記絞りの開度に応じて燃料ガスの所定時間当たりの積算流量値を夫々算出する積算流量算出工程と、
    前記絞りの開度を可変に調整して設定する開度設定工程と、を備え
    前記開度設定工程では、前記流量振幅値と前記積算流量値との間の相関関係における前記積算流量値の変化率を利用して前記絞りの開度を設定する、ガスエンジンのガス流量計測方法。
  6. 前記開度設定工程では、前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満であり且つ前記流量振幅値が所定値以上である範囲で前記絞りの開度を設定する、請求項に記載のガスエンジンのガス流量計測方法。
  7. 前記開度設定工程では、前記相関関係において前記積算流量値の変化率が所定値未満となる前記流量振幅値のうち最も大きい流量振幅値での開度を前記絞りの開度に設定する、請求項又はに記載のガスエンジンのガス流量計測方法。
  8. 前記振幅算出工程及び前記積算流量算出工程では、前記絞りの開度を大から小へと変化させて各開度における流量振幅値及び積算流量値を算出し、
    前記開度設定工程では、前記振幅算出工程及び前記積算流量算出工程で前記絞りの開度を大から小へと変化させていくなかで、前記積算流量値の変化率が所定値α以上から所定値α未満となったときの直前の開度又はその近傍の開度を前記絞りの開度に設定する、請求項に記載のガスエンジンのガス流量計測方法。
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