JP5812657B2 - 飲料又は食品の苦渋味抑制剤 - Google Patents
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Description
詳しくは、カゼインホスホペプチド又はセリシンからなる苦渋味抑制剤であり、カゼインホスホペプチド又はセリシンを飲料又は食品に添加することにより飲料又は食品の苦味若しくは渋味を抑制する方法に関するものである。
また、カゼインホスホペプチド又はセリシンが添加された茶葉加工品、及び該茶葉加工品を含有する飲料又は食品、並びに該茶葉加工品の製造方法に関するものである。
特に、茶のカテキン類などによる苦味や渋味に対する抑制効果が高く、飲料又は食品に対して十分な量のカテキン類やテアフラビン類を添加しても飲料又は食品自体の風味を損なわず、飲料とした場合の外観も損なわない茶葉加工品及び、茶葉加工品を含有する飲料又は食品及び茶葉加工品を製造する方法を簡便かつ低コストに提供することである。
(1)飲料又は食品の苦味若しくは渋味の抑制剤であって、カゼインホスホペプチド又はセリシンを有効成分とすることを特徴とする苦渋味抑制剤
(2)カゼインホスホペプチド又はセリシンを添加することを特徴とする、飲料又は食品の苦味若しくは渋味の抑制方法
(3)カテキン類を含有する飲料又は食品に、カゼインホスホペプチド又はセリシンを添加することを特徴とする、飲料又は食品に含まれるカテキン類濃度の低減方法
(4)茶葉の抽出液、懸濁液、造粒物、粉砕物、及び前記抽出物若しくは懸濁液の乾燥粉末から選ばれる一種にカゼインホスホペプチド又はセリシンが添加されてなることを特徴とする茶葉加工品
(5)前記茶葉加工品を含有することを特徴とする飲料又は食品
(6)茶葉の抽出液又は懸濁液に、カゼインホスホペプチド又はセリシンを添加することを特徴とする茶葉加工品の製造方法
(7)粉末状の茶葉又は固体状の茶葉抽出物に、カゼインホスホペプチド又はセリシンを添加して造粒することを特徴とする茶葉加工品の製造方法
従って、飲料又は食品本来の持つ風味を低下させることなく、飲料又は食品への茶葉加工品の添加量を多くすることができる。
さらに、通常濃度のカテキン類やテアフラビン類を含有する茶飲料であっても苦味及び渋味が低減されることから多く飲むことも可能となる。
さらにこのようにして製造された茶飲料は濁りが生じないことから、製品の外観に優れ、製品の品質向上に貢献する。
(1)苦渋味抑制剤
本発明においては、苦渋味抑制の有効成分として、タンパク質系のカゼインホスホペプチド(CPP)又はセリシンを使用する。
カゼインホスホペプチド(casein phosphopeptide:略称CPP)は、乳蛋白カゼインをトリプシンで分解したペプチドであり、例えば、特開昭58−170440号公報、特開昭59−159793号公報等に開示されている公知の方法に従って得ることができる。
「実施例1:乳酸カゼイン(ニュージーランド産)10gを水に溶解し10%溶液とした (pH8.0)。この溶液に豚の結晶トリプシン(ノボ社製) を対基質0.01%添加しpH7.5〜8.5で50℃、6時間反応させた。この反応液に、塩化第2鉄を10mMの濃度になるように添加し撹拌後、5℃で一夜放置した。沈殿となったCPP画分を遠心分離によって回収し、少量の水で洗浄した。その後真空乾燥し、CPP画分1.2gを得た。CPP純度は92%、N/P=8.9であった。」
このようなカゼインホスホペプチドは、市販品、例えば株式会社明治フードマテリア製「CPP−III」等を利用することもできる。
「製造例1:繭(家蚕(Bombyx mori)が作ったもの)1kgを、0.2%炭酸ナトリウム水溶液(pH11〜12)50L中において95℃の条件下において2時間熱水処理を施し、セリシン加水分解物を抽出した。得られたセリシン加水分解物抽出液を平均孔径0.2μmのフィルターを用いて濾過し、凝集物を除去した後、濾液を逆浸透膜により脱塩し、セリシン濃度0.2%の無色透明のセリシン加水分解物水溶液を得た。 次いで、この水溶液を、エバポレーターを用いてセリシン濃度が約2%になるまで濃縮させた後、凍結乾燥処理を行って、純度90%以上で、平均分子量20,000であるセリシン加水分解物(ポリペプチドA)の粉体100gを得た。」
なお、セリシンはトリプシン等の酵素により、分子量が1,000〜100,000程度に分解されたものであっても良い。
上記セリシンが低分子量の場合は、苦渋味の低減効果が弱く、一方、高分子量の場合は溶解性が悪いことが予想される。従って、本発明におけるセリシンの分子量は好ましくは1,000〜100,000である。
また、本発明の苦渋味抑制剤の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、水溶液、エマルジョン、粉末、粒状体、製剤などを挙げることができる。
また、後述するように、CPP又はセリシンを配合した茶葉加工品を飲料又は食品に使用することもできる。この場合も茶葉加工品の使用時期は特に限定されるものではない。
本発明で苦渋味の抑制が図られる飲料又は食品とは、嗜好性に問題を及ぼすような苦味や渋味を有する飲料や食品一般を含み、具体的には、植物由来の苦味物質としてポリフェノールやアルカロイドを含む飲料や食品である。
例えば、苦味物質としてポリフェノール成分のカテキン類やテアフラビン類やテアルビジン類を含有する紅茶、緑茶、烏龍茶が挙げられ、さらにこれらの茶葉抽出物や濃縮物、茶葉原料を含む食品が挙げられる。
さらに、苦味物質としてポリフェノール成分のカテキン類やアルカロイドのテオブロミンを含むカカオ豆を原料とするココアやチョコレートも挙げられる。
加えて、渋味成分であるタンニンを含むグアバ茶などの各種健康茶もあげられる。
一般に、タンパク質の場合、添加量が多くなるとタンパク質自体の風味がそれを添加する飲料や食品の風味に影響を与える。しかし、CPP又はセリシン自体が有する独特の風味は弱いため、一般的なタンパク質より多く使用することができる。しかし、コストを考慮すると、効果が望めるのであれば、添加量は低いほうがよい。
そこで、本発明の苦渋味抑制剤の使用量は、一般には飲料又は食品1000質量部に対して、抑制剤中の有効成分CPP又はセリシンが0.001〜50質量部の範囲内が適当であり、好ましくは0.01〜50質量部である。0.001質量部未満では十分な苦渋味の抑制効果が得られず、一方、50質量部を超えるとコストがかかり高価となってしまう。
かかる結合は、疎水結合、水素結合、イオン結合などによる分子間の相互作用によるものであるが、苦味若しくは渋味成分がCPP又はセリシンと結合することにより、物理的に口腔内の感覚器官と接触できなくなり、結果として苦味若しくは渋味を感じなくなるのである。
固体の食品の場合、CPP又はセリシン溶液に5〜90℃の温度条件で1分〜1日浸漬すればCPP又はセリシンと食品中の苦味若しくは渋味成分が結合する。
あるいは固体のままのCPP又はセリシンを直接固体の食品と混合しても、該食品を食する際に、口腔内でCPP又はセリシンと食品中の苦味若しくは渋味成分が結合する。
本発明の茶葉加工品は、茶葉の抽出液、懸濁液、造粒物、粉砕物、及び前記抽出物若しくは懸濁液の乾燥粉末から選ばれた一種にCPP又はセリシンが添加されたものである。
本発明における茶葉とはツバキ科ツバキ属チャノキの葉や茎を加工したものであり、代表的なものとして、緑茶等の不発酵茶、烏龍茶等の半発酵茶、紅茶等の発酵茶の茶葉が挙げられる。
茶葉加工品におけるCPP又はセリシンの配合割合は、一般には茶葉由来固形物中のカテキン類やテアフラビン類の含量にもよるが、茶葉由来固形物1質量部に対して0.01〜100質量部であり、好ましくは0.1〜10質量部であり、0.1〜3質量部とすることがさらに好ましい。
茶葉の抽出方法は特に限定されないが、公知の熱水抽出が好ましく用いられる。
また、得られた抽出液は水分量が多いため濃縮することが好ましい場合もある。濃縮手段は特に限定されないが、減圧濃縮、加熱濃縮、凍結濃縮等の常法が適宜選択できるが、加熱による風味の劣化が少ないことから、減圧濃縮又は凍結濃縮がより好ましい。
かかる結合は、疎水結合、水素結合、イオン結合などによる分子間の相互作用によるものであるが、苦渋味成分がCPP又はセリシンと結合することにより、物理的に口腔内の感覚器官と接触できなくなり、結果として苦味若しくは渋味を感じなくなるのである。
固体のCPP又はセリシンを固形の茶葉抽出物や微粉末状態の茶葉と造粒した茶葉加工品であっても、該茶葉加工品を含有する食品を食する際に、口腔内でCPP又はセリシンと食品中の苦味若しくは渋味成分が結合することにより苦味及び渋味が低減される。
本発明の飲料又は食品は、上記の茶葉加工品を含有することを特徴とする飲料又は食品である。ここで、前記飲料又は食品が、飲料、飲料用粉末、キャンデー、グミ、チューインガム、タブレット、打錠菓子、ビスケット、クッキー、チョコレート、ゼリー、プリン、ババロア、ケーキ類、まんじゅう、羊羹、アイスクリーム、冷菓から選ばれる1種であることが好ましい。本発明の茶葉加工品は、苦味、渋味を充分に抑制されているので、飲料又は食品自体の持つ風味を低下させることがないため従来よりも茶葉加工品の添加量を多くでき、カテキン類やテアフラビン類などの茶由来成分含有量の多い飲料又は食品を提供できる。
そのため、茶葉加工品の飲料又は食品への添加量は、目的とする食品にもよるが、茶葉加工品を固形分換算で、食品100質量部に対して0.1〜30質量部を添加するのが好ましい。
予め磁器蒸発皿に海砂(20〜35メッシュ:和光純薬工業株式会社製)をおよそ30g加え、攪拌棒とともに、105℃に設定した乾燥機で1時間以上乾燥し、デシケーター中で放冷後、その重量(A)を精密に量る。
ここに茶葉抽出液をおよそ6g加え、その重量(B)を精密に量り、攪拌棒で均一に広げる。次にこれを105℃に設定した乾燥機で2時間乾燥し、デシケーター中で放冷後、その重量(C)を精密に量る。
茶抽出液100g中の固形量は以下の式で算出される。
固形量={(C)−(A)}/{(B)−(A)}×100%
CPPと苦味若しくは渋味物質との結合実験を行った検体は、限外ろ過膜(ミリポア社製 アミコンウルトラ0.5 (3k)))を用いてろ過し、ろ液を以下の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いてカテキン類の残存量について定量した。
なお、本実験例で用いたHPLCの条件を以下に示す:
カラム:株式会社資生堂製「CAPCELL PAK C18MG」(カラム温度:40℃)
溶離液:A. アセトニトリル
B. 10%アセトニトリル水溶液(pH2.5 H3PO4)
グラジエント条件: 0分 → 10分 →25分 → 35分
A. 0% 0% 15% 100%
B. 100% 100% 85% 0%
流速: 1mL/分間
検出波長: 280nm
各成分の濃度は、純品で作成した検量線を用いて算出した。
市販の茶パックに小分けした紅茶葉(インド産)10gに沸騰した熱水(イオン交換水)を1000g投入し5分間抽出後、茶パックごと紅茶葉を廃棄することで紅茶葉抽出液を得た。測定例1記載の方法に従い、この紅茶葉抽出液の固形量を測定したところ、0.35重量%であった。
市販の茶パックに小分けした緑茶葉(静岡産)10gに沸騰した熱水(イオン交換水)を1000g投入し5分間抽出後、茶パックごと緑茶葉を廃棄することで緑茶葉抽出液を得た。測定例1記載の方法に従い、この緑茶葉抽出液の固形量を測定したところ、0.28重量%であった。
市販の茶パックに小分けした緑茶葉(静岡産)30gに沸騰した熱水(イオン交換水)を1000g投入し5分間抽出後、茶パックごと緑茶葉を廃棄することで高濃度緑茶葉抽出液を得た。測定例1記載の方法に従い、この高濃度緑茶葉抽出液の固形量を測定したところ、0.73重量%であった。
以下の試験においてCPPは株式会社明治フードマテリア製「CPP−III」を、セリシンはカシロ産業株式会社製「HiセリシンP−103」を使用した。
これら紅茶葉加工品について、8名のパネラーにより官能評価を行い、苦渋味を比較した。苦渋味は、無添加の紅茶葉抽出液を5点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。
評価点の平均値を表1に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表1に示す。さらに、紅茶葉加工品に発生する濁りの有無についても表1に示す。
実施例1のCPP又はセリシンの代わりに、所定濃度のエンドウタンパク(オルガノフードテック株式会社製「PP−CS」)又は大豆タンパク(不二製油株式会社製「プロリーナ900」)又はカゼインナトリウム(DMVインターナショナル社製「EM7」)を加えて紅茶葉加工品を得た。
これら紅茶葉加工品について、8名のパネラーにより、官能評価を行い、苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加の紅茶抽出液を5点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値を表1に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表1に示す。さらに、紅茶葉加工品に発生する濁りの有無についても表1に示す。
また、紅茶葉抽出液にCPPやセリシンを添加してもざらつき感をはじめとする異味も感じられず、濁りも発生しなかった。一方、エンドウタンパクや大豆タンパクやカゼインナトリウムを紅茶抽出液に添加するとざらつき感をはじめとする異味が感じられ、濁りも発生した。
これらのことから、本発明の紅茶葉加工品を利用すれば好ましい飲食物を製造できることが明らかとなった。
試験例2で調製した緑茶葉抽出液を室温になるまで放置したのち、所定濃度となるよう実施例1で用いたCPP又はセリシンを加え1分間攪拌し、緑茶葉加工品を得た。
これら緑茶葉加工品について、9名のパネラーにより、官能評価を行い、苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加の緑茶葉抽出液を5点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値を表2に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表2に示す。さらに、緑茶葉加工品に発生する濁りの有無についても表2に示す。
実施例2のCPP又はセリシンの代わりに、所定濃度の比較例1で用いたエンドウタンパク又は大豆タンパク又はカゼインナトリウムを加えて緑茶葉加工品を得た。
これら緑茶葉加工品について、9名のパネラーにより、官能評価を行い、苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加の緑茶葉抽出液を5点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値を表2に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表2に示す。さらに、緑茶葉加工品に発生する濁りの有無についても表2に示す。
一方、エンドウタンパクや大豆タンパクやカゼインナトリウムを緑茶葉抽出液に添加すると、ざらつき感をはじめとする異味が感じられ、濁りも発生した。
これらのことから、本発明の緑茶葉加工品を利用すれば好ましい飲食物を製造できることが明らかとなった。
試験例3で調製した高濃度緑茶葉抽出液を室温になるまで放置したのち、所定濃度となるよう実施例1で用いたCPP又はセリシンを加え1分間攪拌し、高濃度緑茶葉加工品を得た。
これら高濃度緑茶葉加工品について、8名のパネラーにより、官能評価を行い、苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加の高濃度緑茶葉抽出液を7点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。
評価点の平均値を表3に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表3に示す。 さらに、高濃度緑茶葉加工品に発生する濁りの有無についても表3に示す。
実施例3のCPP又はセリシンの代わりに、所定濃度の比較例1で用いた大豆タンパク又はカゼインナトリウムを加えて、高濃度緑茶葉加工品を得た。
これら高濃度緑茶葉加工品について、8名のパネラーにより、官能評価を行い、苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加の高濃度緑茶葉抽出液を7点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。
評価点の平均値を表3に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表3に示す。 さらに、高濃度緑茶葉加工品に発生する濁りの有無についても表3に示す。
また、高濃度緑茶葉抽出液にCPPやセリシンを添加しても、ざらつき感をはじめとする異味も感じられず、濁りも発生しなかった。
一方、大豆タンパクやカゼインナトリウムを高濃度緑茶葉加工品に添加するとざらつき感をはじめとする異味が感じられ、濁りも発生した。
これらのことから、本発明の高濃度緑茶葉加工品を利用すれば、好ましい飲食物を製造できることが明らかとなった。
実施例3で調製した、CPPを1.00重量%含む高濃度緑茶葉加工品300μLを限外ろ過膜(ミリポア社製 アミコンウルトラ0.5(3k))を用いてろ過し、ろ液を得た。
比較として、試験例3で作成した高濃度緑茶抽出液300μLを限外ろ過膜(ミリポア社製 アミコンウルトラ0.5(3k))を用いてろ過し、ろ液を得た。
表中でガレート型カテキン類とは、エピガロカテキン−3−O−ガレート、エピカテキン−3−O−ガレート、ガロカテキン−3−O−ガレート、カテキン−3−O−ガレートを示す。また、非ガレート型カテキン類とはエピガロカテキン、エピカテキン、ガロカテキン、カテキンを示す。
「ガレート型カテキン類残存率」とは、CPPを添加した高濃度緑茶中のガレート型カテキン類の残存率を示し、下記計算式(I)を用いて算出した。
残存率(%)=a/b×100(%) (I)
〔式中a:CPPを添加した高濃度緑茶のろ液中のガレート型カテキン類濃度、b:CPPを添加しない高濃度緑茶のろ液中のガレート型カテキン類濃度〕
残存率(%)=c/d×100(%) (II)
〔式中c:CPPを添加した高濃度緑茶のろ液中の非ガレート型カテキン類濃度、d:CPPを添加しない高濃度緑茶のろ液中の非ガレート型カテキン類濃度〕
試験例2で調製した緑茶葉抽出液1000重量部に実施例1で用いたCPPを5重量部加えた後、凍結乾燥し、粉末状の緑茶葉加工品を得た。
実施例5で得られた粉末状緑茶葉加工品を用いて、常法に従って下記の表5の組成を有するタブレットを製造した。この結果、このタブレットにおいては効果的に苦味及び渋味が抑制されていることが確認された。
実施例5で得られた粉末状緑茶葉加工品を用いて、常法に従って下記の表6の組成を有するキャンデーを製造した。この結果、このキャンデーにおいては効果的に苦味及び渋味が抑制されていることが確認された。
市販のココアパウダー(ココアパウダー含量22〜24%)2gを熱水100mLに溶解させ、常温になるまで放置した。こうして調製したココア飲料に、所定濃度となるよう実施例1で用いたCPP又はセリシンを加え1分間攪拌した。
これらココア飲料について、8名のパネラーにより官能評価を行い苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加のココア飲料を5点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値を表7に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表7に示す。
実施例8のカゼインホスホペプチド又はセリシンの代わりに、所定濃度の比較例1で用いた大豆タンパク又はカゼインナトリウムを加えて、ココア飲料を得た。
これらココア飲料について、8名のパネラーにより官能評価を行い苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加のココア飲料を5点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値を表7に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表7に示す。
一方、大豆タンパクやカゼインナトリウムをココア飲料に添加すると、ざらつき感をはじめとする異味が感じられ、濁りも発生した。
これらのことから、本発明のCPP又はセリシンを有効成分とする苦渋味抑制剤を利用すれば、好ましい飲食物を製造できることが明らかとなった。
市販の茶パックに小分けした乾燥グアバ葉10gに沸騰した熱水(イオン交換水)を1000g投入し5分間抽出後、茶パックごとグアバ葉を廃棄することで得たグアバ葉抽出液をグアバ茶とした。
試験例4で調製したグアバ葉抽出液を室温になるまで放置したのち、所定濃度となるよう実施例1で用いたCPP又はセリシンを加え1分間攪拌した。
これらグアバ葉抽出液について、10名のパネラーにより、官能評価を行い、苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加のグアバ葉抽出液を7点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。評価点の平均値を表8に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表8に示す。
さらに、グアバ葉抽出液に発生する濁りの有無についても表8に示す。
実施例9のカゼインホスホペプチド又はセリシンの代わりに、所定濃度の比較例1で用いた大豆タンパク又はカゼインナトリウムを加えてグアバ葉抽出液を得た。
これらグアバ葉抽出液について、10名のパネラーにより、官能評価を行い苦渋味を比較した。
苦渋味は、無添加のグアバ葉抽出液を7点として、1(非常に弱い)〜7(非常に強い)の7段階で評価した。
評価点の平均値を表8に示す。
また、異味の有無についても評価した。異味についてはなし(○)、わずかにあり(△)、あり(×)で評価した。各評価を行った評価者数を表8に示す。 さらに、グアバ葉抽出液に発生する濁りの有無についても表8に示す。
また、グアバ葉抽出液にCPPやセリシンを添加しても、ざらつき感をはじめとする異味も感じられず、濁りも発生しなかった。
一方、大豆タンパクやカゼインナトリウムをグアバ葉抽出液に添加するとざらつき感をはじめとする異味が感じられ、濁りも発生した。
これらのことから、本発明のCPP又はセリシンを有効成分とする苦渋味抑制剤を利用すれば、好ましい飲食物を製造できることが明らかとなった。
Claims (9)
- 飲料又は食品の苦味若しくは渋味の抑制剤であって、カゼインホスホペプチド又はセリシンを有効成分とすることを特徴とする苦渋味抑制剤。
- 飲料又は食品が、ポリフェノール又はアルカロイドを含有する飲料又は食品であることを特徴とする、請求項1記載の苦渋味抑制剤。
- 飲料又は食品が、タンニン、カテキン類、テアフラビン類、テアルビジン類又はクロロゲン酸を含有する飲料又は食品であることを特徴とする、請求項1記載の苦渋味抑制剤。
- 飲料又は食品が、紅茶、緑茶、烏龍茶、各種健康茶、コーヒー、ココア及びその抽出物を含む飲料又は食品であることを特徴とする、請求項1記載の苦渋味抑制剤。
- カゼインホスホペプチドの添加により苦味若しくは渋味が抑制されたことを特徴とするカテキン類含有飲料又は食品。
- カゼインホスホペプチドの添加量が、飲料又は食品1000質量部に対して0.001〜50質量部であることを特徴とする請求項5記載のカテキン類含有飲料又は食品。
- カゼインホスホペプチドの添加により苦味若しくは渋味が抑制されたことを特徴とする茶葉加工品であって、茶葉加工品が茶葉の抽出液、懸濁液、造粒物、粉砕物、及び前記抽出液若しくは懸濁液の乾燥粉末から選ばれる一種である、前記茶葉加工品。
- カゼインホスホペプチドの添加量が、茶葉に由来する固形分1質量部に対して0.01〜100質量部である請求項7記載の茶葉加工品。
- 請求項7又は8に記載の茶葉加工品を含有することを特徴とする飲料又は食品。
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