以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、この運転支援装置100は、他車両、基地局、或いは路側設備等との間で各種データの送受信を行う通信部(通信手段)1と、自車両の位置及び自車両の運転状態を認識するGPSモジュール2と、演算処理部(運転支援手段)3、及び情報提供部(情報提供手段)4を備えている。
通信部1は、「車車間通信」、「車路車間通信」、或いは「車路間通信」のうちのいずれかの通信方式により、他車両の車両情報(例えば、走行速度、走行位置、走行方向、ウィンカ操作、アクセル操作等)を取得する。ここで、「車車間通信」とは、自車両と複数の他車両との間で直接通信を行い、車両どうしで各種の車両情報の授受を行う通信方式である。また、「車路車間通信」とは、基地局を媒介して自車両と他車両との間の通信を行う通信方式であり、他車両の車両情報が一旦基地局に設けられるサーバに格納され、その後、該サーバは自車両からの要求に応じて各車両情報を送信する。「車路間通信」とは、例えば交差点等に設置される車両監視装置との間の通信方式であり、車両監視装置により取得される車両情報を、自車両からの要求に応じて送信する。
即ち、通信部1は、少なくとも1台の他車両の車両情報を受信する通信手段としての機能を備える。また、通信部1は、車車間通信、或いは車路車間通信方式の場合には、自車両の車両状態を他車両或いは基地局に送信する。
GPSモジュール2は、GPS機能により自車両の位置、及び進行方向を特定する位置特定部(位置情報取得手段)21と、自車両の運動状態(例えば、アクセル操作、ステアリング操作、ブレーキ操作等)を認識する車両運動状態認識部(車両状態認識手段)22とを備えている。
演算処理部3は、通信部1で取得される他車両の車両情報、及びGPSモジュール2より取得される自車両の位置情報、自車両の進行方向情報、或いは自車両の運動状態に関する情報に基づいて、後述する手法により自車両の運転者に対して運転支援のための情報提供、注意喚起を実行する機能を備える。
情報提供部4は、例えば、ディスプレイやスピーカ等を備え、自車両の運転者に対して情報を提供する場合や注意を喚起する場合に、映像や音声で運転者に報知する機能を備える。
次に、上述のように構成された運転支援装置100の演算処理部3による、第1〜第3の実施形態に係る処理動作について説明する。
[第1の実施形態に係る処理動作]
第1の実施形態では、自車両が交差点を右折する際において、自車両の前方に設定される対象車両の判定エリア(自車両に影響を及ぼすと予想される他車両を対象車両として認識するためのエリア)を、自車両の動作状態に応じて変更し、本来必要とする領域を判定エリアとして設定し、この判定エリア内に存在する他車両の挙動に応じた注意喚起を行う。具体的には、図2(a)に示すように、自車両Aが交差点(この例では、T字交差点)を右折する際に、通常であれば、自車両の前方となる所定領域(エリアX1で示す領域)が判定エリアとして設定されるが、これを自車走行路の前方となる所定領域(エリアY1で示す領域)が判定エリアとなるように変更することにより、右折時に対向車線を走行する他車両の存在についての注意を喚起する。なお、第1の実施形態では、車両が左側通行であることを想定しているので右折時を例に挙げて説明するが、車両が右側通行である場合には、左右を反対とすれば良い。
以下、図5〜図8に示すフローチャートを参照して、第1の実施形態に係る処理動作の手順について説明する。この処理動作は、図5,図6に示す右折挙動判定処理、図7に示す対象車両判定処理、及び図8に示す注意喚起実施処理の、3つの処理に大別して構成されている。以下、詳細に説明する。
[第1の実施形態の右折挙動判定処理]
まず、演算処理部3は、ステップS10において、自車両の右折挙動の判定(右折に関連する特定挙動の判定)を行うために、位置特定部21より出力される進行方向値を取得する。このとき取得した進行方向値と前回の処理周期時に取得した進行方向値を比較する。なお、本実施形態では、進行方向を設定する際に、東方向を0度として、左方向への角度変化をプラス180度まで、右方向への角度変化をマイナス180度までとして取り扱うことにする。また、進行方向の認識は、GPSにより認識することができ、これ以外では、ジャイロセンサや地磁気センサ等を利用して車両の進行方向を検出しても良い。
次に、ステップS20において、演算処理部3は、ステップS10の処理で比較した進行方向値の変化量の絶対値が異常に大きい値であるか否かを判断する。GPS信号を用いて進行方向を測定する場合には、瞬間的に実際の進行方向とは異なる値を出力する場合があり、このような異常な信号が出力された場合には、これを排除するための処理である。そして、変化量の絶対値が異常に大きい場合には、ステップS30に処理を進め、そうでない場合にはステップS40に処理を進める。
ステップS30において、演算処理部3は、今回取得した進行方向値をキャンセルする。
ステップS40において、演算処理部3は、車両の方向変化が右方向であり、且つ、右折フラグ(後述のステップS50で設定される)が0であるか否かを判断する。そして、車両の方向変化が右方向であり、且つ、右折フラグが0である場合にはステップS50に処理を進め、そうでない場合には、ステップS60に処理を進める。
ステップS50において、演算処理部3は、自車両の右折挙動の判断を行うために、右方向への角度変化量の積算値である右折角度積算値(後述のステップS140にて設定される)をゼロにリセットする。更に、右折フラグを1に設定する。ここで、右折フラグは、自車両が右折中であるか否かを示すフラグであり、右折中であると認識された場合には「1」、そうでない場合には「0」となる。なお、右折フラグ及び上記の積算値は、例えば図示省略のRAM等に記憶される。その後、ステップS120に処理を進める。
ステップS60において、演算処理部3は、車両の方向変化が左方向であり、且つ、右折フラグが1であるか否かを判断する。そして、車両の方向変化が左方向であり、且つ、右折フラグが1である場合にはステップS100に処理を進め、そうでない場合には、ステップS70に処理を進める。この処理は、右折フラグが1の状態(自車両の方向が右側に変化していると認識されている状態)から、自車両の方向が左側に変化した場合には、右折を中止したか、或いは右折が終了したものと見なして、ステップS100に処理を進める。
ステップS70において、演算処理部3は、方向値の変化が自車両の左方向への角度変化を示しており、且つ、その変化量が所定量よりも大きいか否かを判断する。そして、左方向への角度変化が顕著であると判断された場合には、自車両が左折状態にあると認識し、ステップS100に処理を進める。そうでない場合には、ステップS80に処理を進める。
ステップS80において、演算処理部3は、自車両が右方向への角度変化を示してからの時間を参照し、所定時間以上経過しているか否かを判断する。そして、所定時間以上経過していると判断された場合には、何らかの原因で右折状態にあることを誤認識しているか、或いは既に右折が終了しているものと判断してステップS100に処理を進める。そうでなければ、ステップS90に処理を進める。なお、時間の経過を計測するためのタイマは、例えば図示省略のRAM等に設定される。
ステップS90において、演算処理部3は、自車両が右方向への角度変化を示してから所定角度以上の角度が変化しているか否かを判断する。そして、所定角度以上変化していると判断された場合には、自車両の右折挙動は既に終了しているものと認識して、ステップS100に処理を進める。そうでない場合には、ステップS110に処理を進める。
ステップS100において、演算処理部3は、上述したステップS60〜S90の判断結果に基づき、自車両が右折状態ではないか、或いは、既に右折を終了しているものと判断し、右折角度積算値をゼロにリセットし、且つ右折フラグを0とする。その後、ステップS120に処理を進める。
ステップS110において、演算処理部3は、方向値の変化が自車両の右方向への角度変化を示しており、且つ右折フラグが1であると判断する。その後、ステップS130に処理を進める。
ステップS120において、演算処理部3は、自車両の右折状態を認識し始める直前の進行方向角度を記録する。この処理では、例えば、図2(a)に示したように、交差点を右折する目的で自車両の方向を右側に変更した場合には、その直前の進行方向(走行路を向く方向)の角度が記録されることになる。換言すれば、図中のエリアX1を向く方向ではなく、エリアY1を向く方向の角度が記録される。そして、ここで記録した進行方向角度値は、後述するの対象車両判定処理における判定エリアの設定処理(図7のS450)に使用されることになる。
ステップS130において、演算処理部3は、右折フラグの値を参照し、自車両が右折状態にあるかどうかを判断する。そして、右折フラグが1である場合には、ステップS140に処理を進め、右折フラグが0である場合には、ステップS150に処理を進める。
ステップS140において、演算処理部3は、自車両は右折状態であると認識し、右折角度を積算して右折角度積算値を設定し、右折判定された後の移動距離を積算し、更に、右折判定された後の経過時間の積算を行う。これらの各積算値は、例えば図示省略のRAM等に記憶される。その後、図6のステップS160に処理を進める。
ステップS150において、演算処理部3は、自車両は右折状態ではないと認識し、移動距離積算値、及び経過時間値をリセットする。その後、ステップS160に処理を進める。
ステップS160において、演算処理部3は、RAM等に記憶されている右折角度積算値を参照し、右折角度積算値に変化があるか否かを判断する。そして、右折角度積算値に変化がない場合はステップS170に処理を進め、変化がある場合にはステップS180に処理を進める。
ステップS170において、演算処理部3は、右折角度積算値に変化が無いことから、自車両が右折途中で動きを止めている状態(対向車の通過待ちをしている状態)であると判断し、その右折中断の状態の経過時間を示す状態維持カウンタをインクリメント(積算)する。なお、状態維持カウンタは、例えば図示省略のRAM等に設定される。その後、ステップS190に処理を進める。
ステップS180において、演算処理部3は、自車両は右折を継続していると判断し、状態維持カウンタの値を0にリセットする。その後、ステップS190に処理を進める。
ステップS190において、演算処理部3は、右折角度積算値が予め設定した所定の積算値を下回っているか否かを判断し、且つ、自車両の速度が予め設定した所定速度よりも低いか否かを判断する。そして、これらの条件が共に満たされる場合には、自車両が右折状態であり、且つ、車速が停止あるいは極低速であるような、右折待ち状態であると判断することができる。そして、ステップS200に処理を進める。そうでない場合には、ステップS210に処理を進める。
ステップS200において、演算処理部3は、自車両が右折状態であることが認識されているので、運転支援実施を許可し、右折時の衝突防止のための対象車両判定処理(図7参照)に移行する。
ステップS210において、演算処理部3は、自車両が右折状態で無いか、或いは右折状態であっても車速が高い場合(車両を停止させることなく右折するような場合)であるので、運転支援実施を許可しない。即ち、後述する右折時の注意喚起処理を実施しないと判断して、本処理を終了する。
こうして、自車両が右折に関連する特定挙動を行っているか否かの判断が終了する。
[第1の実施形態の対象車両判定処理]
次に、図7に示すフローチャートを参照して、対象車両判定処理について説明する。この処理では、自車両の近傍を走行する他車両のうち、自車両の走行に影響を与えると判断される他車両を対象車両として特定する。従って、この処理は、自車両の近傍に走行する複数の他車両について演算が実行される。
初めに、ステップS430において、演算処理部3は、自車両と、通信部1にて取得される他車両を結ぶ直線の角度(東方向を0度としたときの角度)を算出する。通信部1では、他車両の位置、進行方向、車速、及び車両種別等を取得することができる。
次いで、ステップS440において、演算処理部3は、右折挙動判定処理(図5,図6で示した処理)で、自車両が右折中であるか否か、即ち、右折フラグが1であるか0であるかを判断する。そして、右折中であれば、ステップS450に処理を進め、右折中でなければ、本処理を終了する。
ステップS450において、演算処理部3は、右折に関連する運転支援の対象車両を判定するために、前述したステップS120の処理(図5参照)で予め記録しておいた情報、即ち、自車両が右折動作を開始する直前の進行方向角度を参照し、この進行方向角度を基準とした判定エリアを設定する。具体的には、自車両の進行方向を向く基準線を設定し、自車両が右折動作を開始する直前の基準線の幅方向の所定距離(例えば、左右15mずつで合計30m)、及び前方の所定距離(例えば、前方150m)となる範囲を、判定エリアとして設定する。その結果、図2(a)に示すエリアY1で示す矩形状の領域が対象車両の判定エリアとして設定されることになる。
即ち、従来の方式では、自車両の走行方向を基準線として判定エリアが設定されるので、図2(a)のエリアX1に示す領域が判定エリアとして設定されることになるが、本実施形態では、右折を開始する直前の進行方向に基づいて判定エリアを設定するので、エリアY1が設定されることになる。
次いで、ステップS460において、演算処理部3は、判定エリア内に他車両が存在するか否かを判定する。そして、他車両が存在する場合には、ステップS470に処理を進め、他車両が存在しない場合には、ステップS500に処理を進める。
ステップS470において、演算処理部3は、判定エリア内に存在する他車両のうち、自車両の進行方向に対する他車両の相対的な進行方向を算出する。即ち、自車両の進行方向は、東方向を基準とした角度で求められ、且つ他車両についても同様に東方向を基準とした角度で求められるので、これらの差分から両者の相対的な角度を求めることができる。
ステップS480において、演算処理部3は、ステップS470の処理で求められた相対的な角度に基づいて、他車両は自車両に接近する方向を向いているか否かを判定する。この処理では、予め相対的な角度の閾値(例えば、20度)を設定しておき、ステップS470の処理で求められる相対角度がこの閾値角度以内である場合には、他車両は自車両に向いていると判定し、相対角度が閾値角度以上である場合には、他車両は自車両に向いていないと判定する。そして、他車両が自車両の方向を向いていると判定された場合には、ステップS490に処理を進め、そうでない場合にはステップS500に処理を進める。
ステップS490において、演算処理部3は、この他車両を自車両に対する注意喚起の対象車両であると判断し、対象車フラグを1に設定する。即ち、この他車両は、自車両の右折動作に影響を及ぼす可能性の高い車両であると判断し、注意喚起の対象車両として認識する。更に、認識した他車両が自車両の前方に存在することを示す、他車両の存在位置変数に前方(存在位置=1)を設定する。その後、ステップS510に処理を進める。
ステップS500において、演算処理部3は、この他車両は判定エリア内に存在しないので、右折時の注意喚起の対象車両にはならないと判断し、対象車フラグを0に設定する。その後、本処理を終了する。
ステップS510において、演算処理部3は、自車両と他車両(注意喚起の対象車両として認識されている他車両)とを結ぶ直線の距離を算出する。
ステップS520において、演算処理部3は、ステップS510の処理で算出した距離と、この対象車両の車速情報に基づいて、この対象車両が自車両の現在位置まで到達するのに要する時間(これを「到達時間TTC」と称する)を算出する。
そして、注意喚起の対象となる他車両が複数存在する場合には、上記のステップS430〜S520の処理を、各他車両に対して実行し、各他車両についての到達時間TTCを算出する。そして、全ての他車両について、TTCの算出が終了した場合には、注意喚起実施処理に移行する。
[第1の実施形態の注意喚起実施処理]
以下、図8に示すフローチャートを参照して、注意喚起実施処理について説明する。初めに、ステップS760において、演算処理部3は、自車両の速度が予め設定した所定値を下回っているか否かを判定する。自車両の速度が所定値を下回っている場合には、自車両が右折の状態にあると判断し、注意喚起情報を提供する必要性があると判断し、ステップS770に処理を進める。他方、自車両の速度が所定値を上回る場合には、注意喚起情報を提供する必要性は無いと判断して、本処理を終了する。
ステップS770において、演算処理部3は、対象車フラグが1であるか否かを判断する。そして、対象車フラグが1である場合にはステップS780に処理を進め、そうでない場合には、本処理を終了する。
ステップS780において、演算処理部3は、各対象車両のうち、TTCの値が最小となる対象車両を特定し、このときの到達時間TTCを、最小値を示す最短到達時間TTC_initとする。
ステップS790において、演算処理部3は、ステップS780の処理で求めた最短到達時間TTC_initが、予め設定した閾値時間TTC_min以下であるか否かを判定する。そして、閾値時間TTC_min以下である場合には、ステップS810に処理を進め、そうでない場合には本処理を終了する。
ステップS810において、演算処理部3は、前方からの接近車両に関する注意喚起情報の提供が必要であると判断し、前方からの接近車両の存在を自車両のドライバに注意喚起情報を提供するための音声データ及びアイコンデータを情報提供部4に出力する。
ステップS820において、情報提供部4は、ステップS810の処理で出力された音声データ、及び表示アイコンに基づいて、ドライバへ運転支援のための注意喚起情報の提供を実施する。こうして、自車両が右折する際に、対向車線の前方より接近する他車両が存在する場合には、この他車両の存在が自車両のドライバに対して報知されるのである。
以下、注意喚起情報の提供を実施する際の条件について説明する。上述した第1の実施形態では、最短到達時間TTC_initが閾値時間TTC_min以下である対象車両が存在する場合には、これを画像、及び音声で報知するようにしたが、実際には自車両のドライバは、既に接近しつつある対象車両の存在に気付いている場合が多い。このような場合には、対象車両の存在についての注意喚起が行われると、かえって煩わしく感じられていまう。そこで、本実施形態では、予め設定した自車両の発進開始条件が検出された場合に、注意喚起情報を提供する。即ち、演算処理部3は、自車両の発進開始を検出する発進開始検出手段としての機能を備える。
具体的には、自車両のブレーキペダル操作、自車両の位置の変化、及び自車両の車輪の回転に伴って発生する車輪速パルス信号に基づいて、発進開始を検出することができる。例えば、ブレーキ操作が解除され、その後、車輪速パルスが増加するような場合には、車両が発進を開始したものと判断し、自車両のドライバは前方から接近する対象車両の存在に気付いていないものと判断し、注意喚起情報を提供する。
このようにして、本発明の第1の実施形態に係る運転支援装置では、自車両が右折に関連する特定挙動を行った場合には、右折動作直前の自車両の方向に基づいて設定される判定エリア(図2(a)に示したエリアY1)を設定し、このエリア内に存在する他車両のうち所定の条件を満たすものを注意喚起の対象車両として認識する。従って、自車両が右折する際の対向車線の領域を確実に対象車両を認識するための判定エリアとして設定することができる。
更に、注意喚起の対象車両として認識された他車両のうち、到達時間TTCが最も短い車両の最短到達時間TTC_initが、予め設定した閾値時間TTC_minよりも短い場合には、自車両が右折を開始した際に、この他車両が自車両に異常接近するものと判断して、注意喚起情報を提供する。従って、交差点を右折しようとするドライバに対して、対向車線方向から接近する他車両の存在を認識させることができ、他車両が自車両に異常接近するというトラブルの発生を未然に防止することができる。
また、対向車線方向から他車両が接近している場合で、自車両が右折しようとして一旦停止し、その後車両を発進させようとした場合に、注意喚起情報を提供するので、ドライバが必要とする場合にのみ注意喚起情報が提供され、不要な注意喚起情報の提示を割愛することができ、ドライバに対して煩わしさを感じさせることを防止できる。
次に、上述した第1の実施形態の変形例について説明する。
[第1の実施形態の第1変形例]
第1の実施形態では、判定エリアとして、図2(a)に示すエリアY1のように長方形状のエリアを設定した。これに対し、第1変形例では、図2(b)に示すように、自車両から離れるに連れて判定エリアの幅が徐々に狭くなるエリアY4を設定する。即ち、エリアY1のように長方形状の判定エリアを設定する場合には、自車両から離れるにつれて、自車両の走行に何等影響を及ぼさない車両(例えば、他の道路を走行中の車両)が注意喚起の対象車両候補として認識される確率が高くなる。しかし、エリアY4のように台形状の判定エリアを設定すれば、自車両に影響を及ぼさない他車両を排除した上で、運転支援に必要な対象車両のみを効率良く認識することが可能となる。
[第1の実施形態の第2変形例]
第1の実施形態では、ステップS470の処理で、自車両の進行方向に対する他車両の相対的な方向を算出し、この相対的な角度が予め設定した閾値角度以下(例えば、20度以下)の場合に、この他車両は自車両に接近する方向を向いていると判断して、注意喚起の対象車両として認識する例について説明したが、第2変形例では、この閾値角度を、自車両からの距離に応じて変更して設定する。例えば、自車両に近いエリアでは、閾値角度を30度とし、自車両から遠くなるにつれて徐々に閾値角度を小さくし、自車両から最も離れたエリアでは閾値角度を10度等にすることも可能である。
このような構成とすることにより、自車両からの距離が大きい車両ほど、注意喚起の対象車両と判定するための相対角度が小さくなるので、自車両の走行に影響を及ぼさない他車両を排除することができ、運転支援に必要な対象車両のみを効率良く認識することが可能となる。
[第1の実施形態の第3変形例]
第3変形例では、第1の実施形態で設定した判定エリア内に存在する他車両が、予め設定した閾値時間以上継続してこのエリア内に滞在した場合には、この他車両を対象車両から除外する。即ち、図示省略のRAMにタイマを設定し、判定エリア内に存在する他車両の滞在時間をこのタイマで測定し、滞在時間が閾値時間に達した場合には、この他車両は駐車場を探している車両等で走行する意思のない車両であると判断し、対象車両から除外する。これにより、自車両の走行に影響を及ぼさない他車両を排除することができる。
[第1の実施形態の第4変形例]
第4変形例では、判定エリア内に存在する他車両であって、左方向のウィンカが操作されている他車両は、対象車両から除外する。即ち、左方向のウィンカが操作されているということは、交差点で左折する意思があるので、自車両の右折には影響を及ぼさないものと判断でき、対象車両から除外する。これにより、自車両の走行に影響を及ぼさない他車両を排除することができる。
[第2の実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態に係る運転支援装置について説明する。前述した第1実施形態では、自車両が右折する際に、対向車線から自車両方向に向かって走行する他車両の存在を報知することにより注意を喚起するようにしたが、第2実施形態では、自車両が交差点を左折する際に、自車両の後方から接近する二輪車等の車両の存在を報知することにより、左折時における他車両の巻き込み等のトラブルを回避する。以下、詳細に説明する。
第2の実施形態では、自車両が交差点を左折する際において、自車両の後方に設定される判定エリアを、自車両の動作状態に応じて変更し、本来必要とする領域を判定エリアとして設定し、この判定エリア内に存在する他車両の挙動に応じた注意喚起を行う。
具体的には、図3に示すように、自車両Aが交差点(この例では、T字交差点)を左折する際に、従来方式であれば、自車両の後方となる所定領域(エリアX2で示す領域)が判定エリアとして設定されるが、これを自車走行路の後方となる所定領域(エリアY2で示す領域)が判定エリアとなるように変更することにより、左折時に自車両の後方から接近する他車両の存在についての注意を喚起する。なお、第2の実施形態では、車両が左側通行であることを想定しているので左折時を例に挙げて説明するが、車両が右側通行である場合には、左右を反対とすれば良い。
以下、図9〜図12に示すフローチャートを参照して、第2の実施形態に係る処理動作の手順について説明する。この処理動作は、左折挙動判定処理、対象車両判定処理、及び注意喚起処理の、3つの処理に大別して構成されている。以下、詳細に説明する。
[第2の実施形態の左折挙動判定処理]
まず、演算処理部3は、ステップS220において、自車両の左折挙動の判定(左折に関連する特定挙動の判定)を行うために、位置特定部21より出力される進行方向値を取得する。このとき取得した進行方向値と前回の処理周期時に取得した進行方向値を比較する。なお、ここでは前述した第1の実施形態と同様に、進行方向を設定する際に、東方向を0度として、左方向への角度変化をプラス180度まで、右方向への角度変化をマイナス180度までとして取り扱うことにする。また、進行方向の認識は、GPSにより認識することができ、これ以外では、ジャイロセンサや地磁気センサ等を利用して車両の進行方向を検出しても良い。
次に、ステップS230において、演算処理部3は、ステップS220の処理で比較した進行方向値の変化量の絶対値が異常に大きい値であるか否かを判断する。GPS信号を用いて進行方向を測定する場合には、瞬間的に実際の進行方向とは異なる値を出力する場合があり、このような異常な信号が出力された場合には、これを排除するための処理である。そして、変化量の絶対値が異常に大きい場合には、ステップS240に処理を進め、そうでない場合にはステップS250に処理を進める。
ステップS240において、演算処理部3は、今回取得した進行方向値をキャンセルする。
ステップS250において、演算処理部3は、車両の方向変化が左方向であり、且つ、左折フラグ(後述のステップS260で設定される)が0であるか否かを判断する。そして、車両の方向変化が左方向であり、且つ、左折フラグが0である場合にはステップS260に処理を進め、そうでない場合には、ステップS270に処理を進める。
ステップS260において、演算処理部3は、自車両の左折挙動の判断を行うために、左方向への角度変化量の積算値である左折角度積算値(後述のステップS350にて設定される)をゼロにリセットする。更に、左折フラグを1に設定する。ここで、左折フラグは、自車両が左折中であるか否かを示すフラグであり、左折中であると認識された場合には「1」、そうでない場合には「0」となる。なお、左折フラグ及び上記の積算値は、例えば図示省略のRAM等に記憶される。その後、ステップS330に処理を進める。
ステップS270において、演算処理部3は、車両の方向変化が右方向であり、且つ、左折フラグが1であるか否かを判断する。そして、車両の方向変化が右方向であり、且つ、左折フラグが1である場合にはステップS310に処理を進め、そうでない場合には、ステップS280に処理を進める。この処理は、左折フラグが1の状態(自車両の方向が左側に変化していると認識されている状態)から、自車両の方向が右側に変化した場合には、左折を中止したか、或いは左折が終了したものと見なして、ステップS310に処理を進める。
ステップS280において、演算処理部3は、方向値の変化が自車両の右方向への角度変化を示しており、且つ、その変化量が所定量よりも大きいか否かを判断する。そして、右方向への角度変化が顕著であると判断された場合には、自車両が右折状態にあると認識し、ステップS310に処理を進める。そうでなければ、ステップS290に処理を進める。
ステップS290において、演算処理部3は、自車両が左方向への角度変化を示してからの時間を参照し、所定時間以上経過しているか否かを判断する。そして、所定時間以上経過していると判断された場合には、何らかの原因で左折状態にあることを誤認識しているか、或いは既に左折が終了しているものと判断してステップS310に処理を進める。そうでなければ、ステップS300に処理を進める。なお、時間の経過を計測するためのタイマは、例えば図示省略のRAM等に設定される。
ステップS300において、演算処理部3は、自車両が左方向への角度変化を示してから所定角度以上の角度が変化しているか否かを判断する。そして、所定角度以上変化していると判断された場合には、自車両の左折挙動は既に終了しているものと認識して、ステップS310に処理を進める。そうでない場合には、ステップS320に処理を進める。
ステップS310において、演算処理部3は、上述したステップS270〜S300の判断結果に基づき、自車両が左折状態ではないか、或いは、既に左折を終了しているものと判断し、左折角度積算値をゼロにリセットし、且つ左折フラグを0とする。その後、ステップS330に処理を進める。
ステップS320において、演算処理部3は、方向値の変化が自車両の左方向への角度変化を示しており、且つ左折フラグが1であると判断する。その後、ステップS340に処理を進める。
ステップS330において、演算処理部3は、自車両の左折状態を認識し始める直前の進行方向角度を記録する。この処理では、例えば、図3に示したように、交差点を左折する目的で自車両の方向を左側に変更した場合には、その直前の進行方向(走行路を向く方向)の角度が記録されることになる。換言すれば、図中のエリアX2を向く方向ではなく、エリアY2を向く方向の角度が記録される。そして、ここで記録した進行方向角度値は、後述するの対象車両判定処理における対象車両の判定エリア設定処理(図11のS680)に使用されることになる。
ステップS340において、演算処理部3は、左折フラグの値を参照し、自車両が左折状態にあるかどうかを判断する。そして、左折フラグが1である場合には、ステップS350に処理を進め、左折フラグが0である場合には、ステップS360に処理を進める。
ステップS350において、演算処理部3は、自車両は左折状態であると認識し、左折角度を積算して左折角度積算値を設定し、左折判定された後の移動距離を積算し、更に、左折判定された後の経過時間の積算を行う。これらの各積算値は、例えば図示省略のRAM等に記憶される。その後、図10のステップS370に処理を進める。
ステップS360において、演算処理部3は、自車両は左折状態ではないと認識し、移動距離積算値、及び経過時間値をリセットする。その後、ステップS370に処理を進める。
ステップS370において、演算処理部3は、RAM等に記憶されている左折角度積算値を参照し、左折角度積算値に変化があるか否かを判断する。そして、左折角度積算値に変化がない場合はステップS380に処理を進め、変化がある場合にはステップS390に処理を進める。
ステップS380において、演算処理部3は、左折角度積算値に変化が無いことから、自車両が左折の途中で動きを止めている状態(例えば、後方からの二輪車の通過待ちをしている状態)であると判断し、その左折中断の状態の経過時間を示す状態維持カウンタをインクリメント(積算)する。なお、状態維持カウンタは、例えば図示省略のRAM等に設定される。その後、ステップS400に処理を進める。
ステップS390において、演算処理部3は、自車両は右折を継続していると判断し、状態維持カウンタの値を0にリセットする。その後、ステップS400に処理を進める。
ステップS400において、演算処理部3は、左折角度積算値が予め設定した所定の積算値を上回っているか否かを判断し、且つ、自車両の速度が予め設定した所定速度よりも低いか否かを判断する。そして、これらの条件が共に満たされる場合には、自車両が左折状態であり、且つ、車速が停止あるいは極低速であるような、左折待ち状態であると判断することができる。そして、ステップS410に処理を進める。そうでない場合には、ステップS420に処理を進める。
ステップS410において、演算処理部3は、自車両が左折状態であることが認識されているので、運転支援実施を許可し、左折時の衝突防止のための対象車両判定処理(図11参照)に移行する。
ステップS420において、演算処理部3は、自車両が左折状態で無いか、或いは左折状態であっても車速が高い場合(車両を停止させることなく左折するような場合)であるので、運転支援実施を許可しない。即ち、後述する左折時の注意喚起処理を実施しないと判断して、本処理を終了する。
こうして、自車両が左折に関連する特定挙動を行っているか否かの判断が終了する。
[第2の実施形態の対象車両判定処理]
次に、図11に示すフローチャートを参照して、第2の実施形態に係る対象車両判定処理について説明する。この処理では、自車両の近傍を走行する他車両のうち、自車両の走行に影響を与えると判断される他車両を注意喚起の対象車両として特定する。従って、この処理は、自車両の近傍に走行する複数の他車両について演算が実行される。
初めに、ステップS665において、演算処理部3は、自車両と、通信部1にて取得される他車両を結ぶ直線の角度(東方向を0度としたときの角度)を算出する。通信部1では、他車両の位置、進行方向、車速、及び車両種別等を取得することができる。
次いで、ステップS670において、演算処理部3は、左折挙動判定処理(図9,図10で示した処理)で、自車両が左折中であるか否か、即ち、左折フラグが1であるか0であるかを判断する。そして、左折中であれば、ステップS680に処理を進め、左折中でなければ、本処理を終了する。
ステップS680において、演算処理部3は、左折に関連する注意喚起の対象車両を判定するために、前述したステップS330の処理で予め記録しておいた情報、即ち、自車両が左折動作を開始する直前の進行方向角度を参照し、この進行方向角度を基準とした判定エリアを設定する。具体的には、自車両の進行方向を向く基準線を設定し、自車両が左折動作を開始する直前の基準線の幅方向の所定距離(例えば、左右15mずつで合計30m)、及び後方の所定距離(例えば、前方150m)となる範囲を、判定エリアとして設定する。その結果、図3に示すエリアY2で示す矩形状の領域が対象車両の判定エリアとして設定されることになる。
即ち、通常の処理では、自車両の走行方向を基準線として判定エリアが設定されるので、図3のエリアX2に示す領域が判定エリアとして設定されることになるが、本実施形態では、左折を開始する直前の進行方向に基づいて判定エリアを設定するので、エリアY2が設定されることになる。
次いで、ステップS690において、演算処理部3は、判定エリア内に他車両が存在するか否かを判定する。そして、他車両が存在する場合には、ステップS710に処理を進め、他車両が存在しない場合には、ステップS750に処理を進める。
ステップS710において、演算処理部3は、判定エリア内に存在する他車両のうち、自車両の進行方向に対する他車両の相対的な進行方向を算出する。即ち、自車両の進行方向は、東方向を基準とした角度で求められ、且つ他車両についても同様に東方向を基準とした角度で求められるので、これらの差分から両者の相対的な角度を求めることができる。
ステップS720において、演算処理部3は、ステップS710の処理で求められた相対的な角度に基づいて、他車両は自車両に接近する方向を向いているか否かを判定する。この処理では、予め相対的な角度の閾値(例えば、20度)を設定しておき、ステップS710の処理で求められる相対角度がこの閾値角度を下回る場合には、他車両は自車両に向いていると判定し、相対角度が閾値角度以上である場合には、他車両は自車両に向いていないと判定する。そして、他車両が自車両の方向を向いていると判定された場合には、ステップS730に処理を進め、そうでない場合にはステップS750に処理を進める。
ステップS730において、演算処理部3は、判定された他車両を自車両に対する注意喚起の対象車両であると判断し、対象車フラグを1に設定する。即ち、この他車両は、自車両の左折動作に影響を及ぼす可能性の高い車両であると判断し、注意喚起の対象車両として認識する。更に、この対象車両が自車両の後方に存在することを示すために、対象車両の存在位置変数を2に設定する(存在位置=2)。その後、ステップS735に処理を進める。
ステップS750において、演算処理部3は、他車両は判定エリア内に存在しないので、注意喚起の対象車両にはならないと判断し、対象車フラグを0に設定し、更に、他車両の存在位置を0に設定する。その後、本処理を終了する。
ステップS735において、演算処理部3は、自車両と他車両(対象車両として認識されている他車両)とを結ぶ直線の距離を算出する。
ステップS740において、演算処理部3は、ステップS735の処理で算出した距離と、この対象車両の車速情報に基づいて、この対象車両が自車両の現在位置まで到達するのに要する到達時間TTCを算出する。
そして、注意喚起の対象となる他車両が複数存在する場合には、上記のステップS665〜S750の処理を、各他車両に対して実行し、各他車両についての到達時間TTCを算出する。そして、全ての他車両について、TTCの算出が終了した場合には、注意喚起実施処理に移行する。
[第2の実施形態の注意喚起実施処理]
以下、図12に示すフローチャートを参照して、第2の実施形態に係る注意喚起実施処理について説明する。
初めに、ステップS1110において、演算処理部3は、自車両の速度が予め設定した所定値を下回っているか否かを判定する。自車両の速度が所定値を下回っている場合には、自車両が左折の状態にあると判断し、注意喚起情報を提供する必要性があると判断し、ステップS1120に処理を進める。他方、自車両の速度が所定値を上回る場合には、注意喚起情報を提供する必要性は無いと判断して、本処理を終了する。
ステップS1120において、演算処理部3は、対象車フラグが1であるか否かを判断する。そして、対象車フラグが1である場合(注意喚起の対象となる他車両が存在する場合)にはステップS1130に処理を進め、そうでない場合には、本処理を終了する。
ステップS1130において、演算処理部3は、各対象車両のうち、TTCの値が最小となる対象車両を特定し、このときの到達時間TTCを、最小値を示す最短到達時間TTC_initとする。
ステップS1140において、演算処理部3は、ステップS1130の処理で求めた最短到達時間TTC_initが、予め設定した閾値時間TTC_min以下であるか否かを判定する。そして、閾値時間TTC_min以下である場合には、ステップS1150に処理を進め、そうでない場合には本処理を終了する。
ステップS1150において、演算処理部3は、後方からの接近車両に関する注意喚起情報の提供が必要であると判断し、後方からの接近車両の存在を自車両のドライバに報知する。具体的には、注意喚起するための音声データやアイコンデータを情報提供部4に出力する。
ステップS1160において、情報提供部4は、ステップS1150の処理で出力された音声データ、及び表示アイコンに基づいて、ドライバへ運転支援のための注意喚起を実施する。即ち、アイコンデータを画面に表示し、且つ音声を再生する。こうして、自車両が左折する際に、自車両の後方より接近する他車両が存在する場合には、この他車両の存在がドライバに対して報知されるのである。
また、注意喚起情報を提供する条件については、前述した第1の実施形態と同様である。例えば、ブレーキ操作が解除され、その後、車輪速パルスが増加するような場合には、車両が発進を開始したものと判断し、自車両のドライバは後方から接近する他車両の存在に気付いていないものと判断し、注意喚起情報を提供する。
このようにして、本発明の第2の実施形態に係る運転支援装置では、自車両が左折に関連する特定挙動を行った場合には、左折動作直前の自車両の方向に基づいて設定される判定エリア(図3に示したエリアY2)を設定し、このエリア内に存在する他車両のうち所定の条件を満たすものを対象車両として認識する。従って、自車両が左折する際の対向車線の領域を確実に対象車両を認識するための判定エリアとして設定することができる。
更に、注意喚起の対象車両として認識された他車両のうち、到達時間TTCが最も短い車両の最短到達時間TTC_initが、予め設定した閾値時間TTC_minよりも短い場合には、自車両が左折を開始した際に、この他車両が自車両に異常接近するものと判断して、注意喚起情報を提供する。従って、交差点を左折しようとするドライバに対して、後方から接近する他車両(例えば、二輪車)の存在を認識させることができ、他車両が自車両に異常接近するというトラブルの発生を未然に防止することができる。
また、後方から他車両が接近している場合で、自車両が左折しようとして一旦停止し、その後車両を発進させようとした場合に、注意喚起情報を提供するので、ドライバが必要とする場合にのみ注意喚起情報が提供されることになり、不要な注意喚起情報の提示を割愛することができ、ドライバに対して煩わしさを感じさせることを防止できる。
また、第2の実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様に、第1変形例〜第4変形例を採用することが可能である。これらの変形例については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
[第3の実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態に係る運転支援装置について説明する。第3の実施形態では、正面が突き当たりとなるT字交差点に自車両が侵入して、右折、或いは左折する場合に、自車両が右折、或いは左折後に走行する走行路に判定エリアを設定し、この判定エリア内に存在する他車両の情報に基づいて、注意喚起情報を提供する。更に、判定エリアを自車両の動作状態に応じて変更し、本来必要とする領域を判定エリアとして設定し、この判定エリア内に存在する他車両の挙動に応じた注意喚起を行う。
具体的には、図4に示すように、自車両AがT字交差点に侵入して左折しようとする場合に、通常であれば、自車両に対して直交する方向の所定領域(エリアX3で示す領域)が判定エリアとして設定されるが、これを左折後の走行路上となる所定領域(エリアY3で示す領域)が判定エリアとなるように変更することにより、T字交差点で自車両が右折、或いは左折する際に、左右方向から接近する他車両の存在についての注意を喚起する。なお、第3の実施形態では、車両が左側通行であることを想定して説明するが、車両が右側通行である場合には、左右を反対とすれば良い。
以下では、自車両AがT字交差点を左折する場合について説明する。
[第3の実施形態の右折、左折挙動判定処理]
第3の実施形態に係る右折、左折挙動判定処理は、前述した第1の実施形態で説明した右折挙動判定処理、及び第2の実施形態にて説明した左折挙動判定処理と同様であるので説明を省略する。即ち、第3の実施形態に係る右折挙動判定処理では、図5,図6のステップS10〜S210と同様の処理を行い、左折挙動判定処理では、図9,図10のステップS220〜S420と同様の処理を行う。
[第3の実施形態の対象車両判定処理]
次に、対象車両判定処理について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。初めに、ステップS525において、演算処理部3は、自車両と、通信部1にて取得される他車両を結ぶ直線の角度(東方向を0度としたときの角度)を算出する。通信部1では、他車両の位置、進行方向、車速、及び車両種別等を取得することができる。
ステップS530において、演算処理部3は、右折挙動判定処理、或いは左折挙動判定処理に基づいて、自車両が右折中或いは左折中であるか否かを判断する。そして、右折中或いは左折中であればステップS540に処理を進め、そうでなければ本処理を終了する。
ステップS540において、演算処理部3は、右折または左折に関連する注意喚起の対象車両判定を実施するために、図5のステップS120の処理、或いは図9のステップS330の処理で予め記録した、自車両が右折または左折の動作を開始する直前の進行方向角度を参照し、この角度を基準とする自車両左右側方のエリアを判定エリアとして設定する。例えば、自車両が左折する場合には、左折直前の進行方向に対して直交する方向(図4に示すエリアY3)を判定エリアとして設定する。
ステップS550において、演算処理部3は、ステップS540の処理で設定された判定エリア内に他車両が存在するか否かを判断する。判定エリア内に他車両が存在する場合には、ステップS560に処理を進め、そうでない場合には、ステップS660に処理を進める。
ステップS560において、演算処理部3は、判定エリア内に存在すると認識された他車両が自車両から見て右側に存在するか否かを判断する。そして、この他車両が自車両から見て右側の領域に存在する場合には、ステップS570に処理を進め、そうでない場合には、ステップS610に処理を進める。
ステップS570において、演算処理部3は、判定エリア内に存在する他車両と自車両との相対角度を算出する。
ステップS580において、演算処理部3は、ステップS570の処理で算出した自車両と他車両の相対角度値に基づき、この他車両が自車両に対して接近する方向を向いているか否かを判断する。他車両が自車両に接近する方向を向いている場合には、ステップS590に処理を進め、そうでない場合には、ステップS660に処理を進める。
ステップS590において、演算処理部3は、ステップS580の処理で他車両が出会い頭衝突防止支援の判定エリアの中に存在し、且つ、この他車両の進行方向が自車両に接近する方向を向いている場合に、この他車両を出会い頭衝突防止支援の対象車両と判断し、対象車両フラグを1に設定し、存在位置変数を、他車両が自車両の右側に存在することを示す「存在位置=4」に設定する。
ステップS600において、演算処理部3は、対象車両と自車両との間の距離、及びこの対象車両の車速情報に基づいて、自車両位置に到達するまでに要する時間(到達時間TTC)を算出する。
ステップS610において、演算処理部3は、ステップS560の処理において、判定エリア内に存在すると判定された他車両が自車両から見て左側に存在するか否かを判断する。そして、他車両が自車両から見て左側の領域に存在する場合には、ステップS620に処理を進め、そうでない場合には、ステップS660に処理を進める。
ステップS620において、演算処理部3は、判定エリア内に存在する他車両と自車両との相対角度を算出する。
ステップS630において、演算処理部3は、ステップS620の処理で算出した自車両と他車両の相対角度値に基づいて、この他車両が自車両に対して接近する方向を向いているか否かを判断する。他車両が自車両に接近する方向を向いている場合には、ステップS640に処理を進め、そうでない場合には、ステップS660に処理を進める。
ステップS640において、演算処理部3は、ステップS630で他車両が出会い頭衝突防止支援の判定エリアの中に存在し、且つ、この他車両の進行方向が自車両に接近する方向を向いている場合に、この他車両を出会い頭衝突防止支援の対象車両と判断し、対象車両フラグを1とし、存在位置変数を、他車両が自車両の左側に存在することを示す「存在位置=3」に設定する。
ステップS650において、演算処理部3は、対象車両と自車両との間の距離、及びこの対象車両の車速情報に基づいて、自車両位置に到達するまでに要する時間(到達時間TTC)を算出する。
ステップS660において、演算処理部3は、他車両がこの交差点での注意喚起の対象車両とはならないと判断し、対象車フラグを0に設定し他車両の存在位置を0に設定する。その後、本処理を終了する。
[第3の実施形態の注意喚起実施処理]
以下、図14に示すフローチャートを参照して、第3の実施形態に係る注意喚起実施処理について説明する。
初めに、ステップS1210において、演算処理部3は、自車両の速度が予め設定した所定値を下回っているか否かを判定する。自車両の速度が所定値を下回っている場合には、自車両が左折、或いは右折の状態にあると判断し、注意喚起情報を提供する必要性があると判断し、ステップS1220に処理を進める。他方、自車両の速度が所定値を上回る場合には、注意喚起情報を提供する必要性は無いと判断して、本処理を終了する。
ステップS1220において、演算処理部3は、対象車フラグが1であるか否かを判断する。そして、対象車フラグが1である場合(注意喚起の対象となる他車両が存在する場合)にはステップS1230に処理を進め、そうでない場合には、本処理を終了する。
ステップS1230において、演算処理部3は、各対象車両のうち、TTCの値が最小となる対象車両を特定し、このときの到達時間TTCを、最小値を示す最短到達時間TTC_initとする。
ステップS1240において、演算処理部3は、ステップS1230の処理で求めた最短到達時間TTC_initが、予め設定した閾値時間TTC_min以下であるか否かを判定する。そして、閾値時間TTC_min以下である場合には、ステップS1250に処理を進め、そうでない場合には本処理を終了する。
ステップS1250において、演算処理部3は、左側或いは右側からの接近車両に関する注意喚起情報の提供が必要であると判断し、左側或いは右側からの接近車両の存在を自車両のドライバに報知する。具体的には、注意喚起するための音声データやアイコンデータを情報提供部4に出力する。
ステップS1260において、情報提供部4は、ステップS1250の処理で出力された音声データ、及び表示アイコンに基づいて、ドライバへ運転支援のための注意喚起を実施する。即ち、アイコンデータを画面に表示し、且つ音声を再生する。こうして、自車両が突き当たりの交差点を左折或いは右折する際に、自車両の左右方向より接近する他車両が存在する場合には、この他車両の存在がドライバに対して報知されるのである。
ここで、注意喚起情報を提供する条件については、前述した第1,第2の実施形態と同様である。例えば、ブレーキ操作が解除され、その後、車輪速パルスが増加するような場合には、車両が発進を開始したものと判断し、自車両のドライバは左側、或いは右側から接近する対象車両の存在に気付いていないものと判断し、注意喚起情報を提供する。
このようにして、本発明の第3の実施形態に係る運転支援装置では、突き当たりの交差点において自車両が左折、或いは右折に関連する特定挙動を行った場合には、左折或いは左折動作直前の自車両の方向に基づいて設定される判定エリア(図4に示したエリアY3)を設定し、このエリア内に存在する他車両のうち所定の条件を満たすものを対象車両として認識する。従って、自車両が左折、右折した後の走行路の領域を確実に判定エリアとして設定することができる。
更に、対象車両として認識された他車両のうち、到達時間TTCが最も短い車両の最短到達時間TTC_initが、予め設定した閾値時間TTC_minよりも短い場合には、自車両が右折、或いは左折を開始した際に、この他車両が自車両に異常接近するものと判断して、注意喚起情報を提供する。従って、交差点を右折或いは左折しようとするドライバに対して、左右方向から接近する他車両の存在を認識させることができ、他車両が自車両に異常接近するというトラブルの発生を未然に防止することができる。
また、左方向或いは右方向から他車両が接近している場合で、自車両が左折或いは右折しようとして一旦停止し、その後車両を発進しようとした場合に、注意喚起情報を提供するので、ドライバが必要とする場合にのみ注意喚起情報が提供されることになり、不要な注意喚起情報の提示を割愛することができ、ドライバに対して煩わしさを感じさせることを防止できる。
また、第3の実施形態においても、前述した第1、第2の実施形態と同様に、第1変形例〜第4変形例を採用することが可能である。これらの変形例については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
[第4の実施形態の説明]
次に、本発明の第4実施形態に係る運転支援装置について説明する。第4の実施形態では、標準的な運転支援タイミングに対して、ドライバの運転に対する集中度や覚醒度に応じて支援タイミングを変化させることを特徴としている。
[第4の実施形態の構成]
図15は、本実施形態に係る運転支援装置の構成を示すブロック図である。図15に示すように、本実施形態に係る運転支援装置150は、図1に示す第1の実施形態に係る運転支援装置100の構成に、車両信号インターフェース5と、地図データベース6と、ドライバモニター装置7とをさらに備えている。
車両信号インターフェース5は、アクセルやブレーキ、ステアリング等の運転装置の状態と、ヘッドライトやフォグライト、エアコン、ワイパー、デフロスタ等の装備品の状態とを把握して演算処理部3との間で情報の送受信を行っている。
地図データベース6は、道路線形情報、事故多発地点及び公共施設等の情報を格納して自車両周辺の情報を演算処理部3へ提供する。
ドライバモニター装置7は、カメラによってドライバの顔面を撮影してドライバの居眠り状態を検出する。
[第4の実施形態に係る処理動作]
第4の実施形態では、覚醒度推定処理と重点支援エリア判定処理と視界推定処理とを予め行って、いずれかの処理で運転支援のタイミングを変化させる必要があると判定された場合には、第1〜第3の実施形態で説明した各処理における運転支援のタイミングを変更する。
以下、図16〜図27に示すフローチャートを参照して、第4の実施形態に係る処理動作の手順について説明する。
[覚醒度推定処理]
図16は、覚醒度推定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図16に示すように、演算処理部3は、ステップS1270において、図17に示す時計処理の結果を参照してドライバの運転開始からの経過時間による覚醒度の推定を行う。例えば、運転開始直後や運転開始から2時間以上経過している場合には、演算処理部3はドライバの覚醒度が低下しており運転に対する集中力が低下していると推定する。
ここで、図17を参照して時計処理の手順について説明する。
[時計処理]
図17に示すように、演算処理部3は、ステップS1320においてドライバの覚醒度を推定する材料として運転開始からの経過時間を算出する。ただし、時間の分解能は分単位とする。
次に、ステップS1330において、演算処理部3は運転開始以降、ドライバがイグニッションキーまたはスイッチを操作してエンジンを停止させたか否かを判断する。そして、ドライバがエンジンを停止させた場合にはステップS1340へ進み、そうでない場合にはステップS1350へ進む。
ステップS1350において、演算処理部3は運転開始以降、ドライバが運転席のドアを開閉したか否かを判断し、ドライバがドアの開閉を行った場合にはステップS1340へ進み、そうでない場合にはステップS1320へ戻る。
ステップS1340において、演算処理部3は運転開始以降、ドライバがイグニッションキーまたはスイッチを操作してエンジンを停止させたケースや、運転席のドアを開閉したケースがある場合に、ドライバは運転の継続を中止したと判断して運転開始からの経過時間の値をリセットして時計処理を終了する。
こうして時計処理が終了すると、図16のステップS1270に戻って、演算処理部3は時計処理で算出した経過時間に基づいてドライバの覚醒度を推定し、ドライバの覚醒度が低下していると推定された場合には、ステップS1300へ進み、そうでない場合にはステップS1280へ進む。
ステップS1280において、演算処理部3は、後述するステップS825、ステップS1165またはステップS1265で行われた注意喚起に対するドライバの反応時間の計測結果を参照して覚醒度の推定を行い、注意喚起に対するドライバの反応時間が所定の値よりも大きい場合にはドライバの覚醒度が低下して運転に対する集中力が低下していると推定する。この処理の結果、覚醒度が低下していると推定された場合にはステップS1300へ進み、そうでない場合にはステップS1290へ進む。
ステップS1290において、演算処理部3は、ステアリング操作による覚醒度の推定を行う。ここではドライバの居眠り状態を推定する方法として一般に知られているステアリング操作の滑らかさを評価する手法を利用する。この手法はドライバの覚醒度が低下してくるとステアリング操作が急峻になり、滑らかさが低下するという特性を利用したものである。この処理の結果、ドライバの覚醒度が低下して運転に対する集中力が低下していると推定された場合にはステップS1300へ進み、そうでない場合にはステップS1293へ進む。
ステップS1293において、演算処理部3は、カメラでドライバの顔面を撮影した画像をドライバモニター装置7から取得してドライバの瞼の動きから覚醒度の推定を行い、居眠り状態を認識した場合にはドライバの覚醒度が低下して運転に対する集中力が低下していると推定する。この処理の結果、覚醒度が低下していると推定された場合にはステップS1300へ進み、そうでない場合にはステップS1297へ進む。
ステップS1297において、演算処理部3は、GPS等を利用して自車両の車線内の位置を特定し、自車両の車線内における位置の変化が顕著である場合にはドライバの覚醒度が低下して運転に対する集中力が低下していると推定する。この処理の結果、覚醒度が低下していると推定された場合にはステップS1300へ進み、そうでない場合にはステップS1310へ進む。
ステップS1300では、ステップS1270〜S1297においてドライバの覚醒度が低下していると推定された場合に、演算処理部3が覚醒度推定結果を示す変数に「1」を設定する。
一方、ステップS1310では、ステップS1270〜S1297においてドライバの覚醒度が低下していないと推定された場合に、演算処理部3が覚醒度推定結果を示す変数に「0」を設定する。
こうして覚醒度推定結果を示す変数が設定されると、演算処理部3は覚醒度推定処理を終了する。
[重点支援エリア判定処理]
図18は、重点支援エリア判定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図18に示すように、演算処理部3は、ステップS1360において、重点支援エリアの判定を行うために地図データベース6から自車両周辺の重点支援エリアの情報を取得する。重点支援エリアとしては、例えば事故多発地点(エリア)、住宅街エリア及びスクールゾーン等が考えられる。
ステップS1370において、演算処理部3は、ステップS1360で取得した情報から自車両が事故多発地点の近くにいるか、あるいは事故多発エリアの中にいるか否かを判断する。この判断の結果、自車両が事故多発地点の近くにいる場合や事故多発エリアを走行中であると判断された場合には、ステップS1400へ進み、そうでない場合にはステップS1380へ進む。
ステップS1380において、演算処理部3は、ステップS1360で取得した情報から自車両が住宅街の中にいるか否かを判断する。この判断の結果、自車両が住宅街を走行中であると判断された場合には、ステップS1400へ進み、そうでない場合にはステップS1390へ進む。
ステップS1390において、演算処理部3は、ステップS1360で取得した情報から自車両がスクールゾーンの中にいるか否かを判断する。この判断の結果、自車両がスクールゾーンを走行中であると判断された場合には、ステップS1400へ進み、そうでない場合にはステップS1410へ進む。
ステップS1400では、ステップS1370〜S1390において自車両が重点支援エリアにいると判断されると、演算処理部3が重点支援エリアに存在することを示す変数を「1」に設定する。
一方、ステップS1410では、ステップS1370〜S1390において自車両が重点支援エリアにいないと判断されると、演算処理部3が重点支援エリアに存在することを示す変数を「0」に設定する。
こうして重点支援エリアに存在することを示す変数が設定されると、演算処理部3は重点支援エリア判定処理を終了する。
[視界推定処理]
図19は、視界推定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図19に示すように、演算処理部3は、ステップS1420において車両信号インターフェース5からの情報に基づいて車両の装備品の作動状態を取得し、この装備品の作動状態から自車両周辺の視界の状況を推定する。ここではまずワイパーの作動状態を参照し、ワイパーが作動して降雨や降雪等で視界が不良と判断された場合にはステップS1450へ進み、そうでない場合にはステップS1430へ進む。
ステップS1430において、演算処理部3は、デフロスタの作動状態を参照し、デフロスタが作動して視界が不良と判断された場合にはステップS1450へ進み、そうでない場合にはステップS1440へ進む。
ステップS1440において、演算処理部3は、フォグランプの作動状態を参照し、フォグランプが点灯して霧などの影響で視界が不良と判断された場合にはステップS1450へ進み、そうでない場合にはステップS1460へ進む。
ステップS1450では、ステップS1420〜S1440において自車両周辺の視界が不良であると判断されると、演算処理部3が視界不良を示す変数を「1」に設定する。
一方、ステップS1460では、ステップS1420〜S1440において自車両周辺の視界が不良でないと判断されると、演算処理部3が視界不良を示す変数を「0」に設定する。
こうして視界不良を示す変数が設定されると、演算処理部3は視界推定処理を終了する。
[運転支援の実施設定処理]
図20は、運転支援の実施設定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図20に示すように、演算処理部3は、ステップS1470において、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の各処理の結果を参照し、いずれか一つでも処理結果を示す変数に「1」が設定されている場合には、ステップS1480に進んでドライバへの運転支援のタイミングや内容を通常よりも早め、かつ強めに変更する必要があると判断して運転支援の実施を設定する。
一方、ステップS1470において覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の各処理の結果を参照していずれの処理結果を示す変数にも「1」が設定されていない場合には、ステップS1490に進んでドライバへの運転支援のタイミングや内容を変更する必要がないと判断して運転支援の実施を設定しない。
こうして運転支援の実施の有無が設定されると、演算処理部3は運転支援の実施設定処理を終了する。
[右折挙動判定処理]
図21、図22は、右折挙動判定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図5、図6に示す第1の実施形態の右折挙動判定処理と同一の処理については同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
図21、図22に示すように、ステップS10からステップS180までの処理が行われると、演算処理部3はステップS185において図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照し、右折角度積算値と自車速度の閾値を設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、右折角度積算値の閾値を通常の設定よりも小さい値に設定して右折の初期段階から運転支援の実施が可能となる設定にする。また、自車速度の閾値については通常の設定よりも大きい値に設定し、比較的自車速度が高い状況でも運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値を変更しない。
そして、ステップS190において、演算処理部3は、右折角度積算値がステップS185で設定された所定の積算値を下回っているか否かを判断し、且つ、自車両の速度がステップS185で設定された所定速度よりも低いか否かを判断する。そして、これらの条件が共に満たされる場合には、自車両が右折状態であり、且つ、車速が停止あるいは極低速であるような右折待ち状態であると判断することができるので、ステップS200に処理を進める。そうでない場合にはステップS210に処理を進める。
ステップS200において、演算処理部3は、自車両が右折状態であることが認識されているので、運転支援実施を許可し、右折時の衝突防止のための対象車両判定処理(図7参照)に移行する。
ステップS210において、演算処理部3は、自車両が右折状態で無いか、或いは右折状態であっても車速が高い場合(車両を停止させることなく右折するような場合)であるので、運転支援実施を許可しない。即ち、後述する右折時の注意喚起処理を実施しないと判断して、本処理を終了する。
こうして、自車両が右折に関連する特定挙動を行っているか否かの判断が終了する。
[右折挙動の対象車両判定処理]
本実施形態に係る運転支援装置による右折挙動の場合の対象車両判定処理は、図7に示す第1の実施形態の対象車両判定処理と同一なので説明は省略する。
[右折挙動の注意喚起実施処理]
図23は、右折挙動における注意喚起実施処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図8に示す第1の実施形態の注意喚起実施処理と同一の処理については同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
図23に示すように、ステップS755において、演算処理部3は図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照して自車速度の閾値を設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、自車速の閾値を通常の設定よりも大きい値に設定して比較的車速が高い状況でも運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値を変更しない。
そして、ステップS760では、演算処理部3は自車両の速度がステップS755で設定された所定値を下回っているか否かを判定する。自車両の速度が所定値を下回っている場合には、自車両が右折の状態にあると判断し、注意喚起情報を提供する必要性があると判断し、ステップS770に処理を進める。他方、自車両の速度が所定値を上回る場合には、注意喚起情報を提供する必要性は無いと判断して、本処理を終了する。
ステップS770において、演算処理部3は、対象車フラグが1であるか否かを判断する。そして、対象車フラグが1である場合にはステップS780に処理を進め、そうでない場合には、本処理を終了する。
ステップS780において、演算処理部3は、各対象車両のうち、TTCの値が最小となる対象車両を特定し、このときの到達時間TTCを、最小値を示す最短到達時間TTC_initとする。
ステップS785において、演算処理部3は図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照して閾値時間TTC_minを設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、閾値時間TTC_minを通常の設定よりも大きい値に設定して比較的早い段階(対象車両が自車両から離れた状態)で運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値時間TTC_minを変更しない。
ステップS790において、演算処理部3は、ステップS780の処理で求めた最短到達時間TTC_initが、ステップS785で設定された閾値時間TTC_min以下であるか否かを判定する。そして、閾値時間TTC_min以下である場合には、ステップS810に処理を進め、そうでない場合には本処理を終了する。
ステップS810において、演算処理部3は、前方からの接近車両に関する注意喚起情報の提供が必要であると判断し、前方からの接近車両の存在を知らせるために、自車両のドライバに注意喚起情報を提供するための音声データ及びアイコンデータを情報提供部4に出力する。このとき、音声データとアイコンデータは、図20の処理結果に応じて変更可能なものとする。例えば、図20の処理結果で通常よりも早めに運転支援が必要であると判断された場合には、音声データの再生ボリュームを通常よりも大きくしたり、表示アイコンの点滅周期を短くしたりするなどしてドライバが気付き易くなるような考慮をした設定とする。
ステップS820において、情報提供部4は、ステップS810の処理で出力された音声データ、及び表示アイコンに基づいて、ドライバへ運転支援のための注意喚起情報の提供を実施する。こうして、自車両が右折する際に、対向車線の前方より接近する他車両が存在する場合には、この他車両の存在が自車両のドライバに対して報知されるのである。
ステップS825において、演算処理部3は、ドライバの覚醒度を推定する材料として注意喚起情報の提供が実施されてからドライバが反応するまでの時間を計測する。反応時間の計測方法としては、例えば注意喚起情報を提供した時点からドライバのブレーキペダル操作が発生するまでの所要時間を計測することが考えられる。
こうして注意喚起情報が提供されると、右折挙動の注意喚起実施処理を終了する。
[左折挙動判定処理]
図24、図25は、左折挙動判定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図9、図10に示す第2の実施形態の左折挙動判定処理と同一の処理については同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
図24、図25に示すように、ステップS220からステップS390までの処理が行われると、演算処理部3はステップS395において図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照し、左折角度積算値と自車速度の閾値を設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、左折角度積算値の閾値を通常の設定よりも小さい値に設定し、左折の初期段階から運転支援の実施が可能となる設定とする。また、自車速度の閾値については通常の設定よりも大きい値に設定し、比較的車速が高い状況でも運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値を変更しない。
そして、ステップS400において、演算処理部3は、左折角度積算値がステップS395で設定された所定の積算値を下回っているか否かを判断し、且つ、自車両の速度がステップS395で設定された所定速度よりも低いか否かを判断する。そして、これらの条件が共に満たされる場合には、自車両が左折状態であり、且つ、車速が停止あるいは極低速であるような左折待ち状態であると判断することができるので、ステップS410に処理を進める。そうでない場合にはステップS420に処理を進める。
ステップS410において、演算処理部3は、自車両が左折状態であることが認識されているので、運転支援実施を許可し、左折時の衝突防止のための対象車両判定処理(図11参照)に移行する。
ステップS420において、演算処理部3は、自車両が左折状態で無いか、或いは左折状態であっても車速が高い場合(車両を停止させることなく左折するような場合)であるので、運転支援実施を許可しない。即ち、後述する左折時の注意喚起実施処理を実施しないと判断して、本処理を終了する。
こうして、自車両が左折に関連する特定挙動を行っているか否かの判断が終了する。
[左折挙動の対象車両判定処理]
本実施形態に係る運転支援装置による左折挙動の場合の対象車両判定処理は、図11に示す第2の実施形態の対象車両判定処理と同一なので説明は省略する。
[左折挙動の注意喚起実施処理]
図26は、左折挙動の注意喚起実施処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図12に示す第2の実施形態の注意喚起実施処理と同一の処理については同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
図26に示すように、ステップS1105において、演算処理部3は図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照して自車速度の閾値を設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、自車速の閾値を通常の設定よりも大きい値に設定して比較的車速が高い状況でも運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値を変更しない。
そして、ステップS1110では、演算処理部3は自車両の速度がステップS1105で設定された所定値を下回っているか否かを判定する。自車両の速度が所定値を下回っている場合には、自車両が左折の状態にあると判断し、注意喚起情報を提供する必要性があると判断し、ステップS1120に処理を進める。他方、自車両の速度が所定値を上回る場合には、注意喚起情報を提供する必要性は無いと判断して、本処理を終了する。
ステップS1120において、演算処理部3は、対象車フラグが1であるか否かを判断する。そして、対象車フラグが1である場合(注意喚起の対象となる他車両が存在する場合)にはステップS1130に処理を進め、そうでない場合には、本処理を終了する。
ステップS1130において、演算処理部3は、各対象車両のうち、TTCの値が最小となる対象車両を特定し、このときの到達時間TTCを、最小値を示す最短到達時間TTC_initとする。
ステップS1135において、演算処理部3は図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照して閾値時間TTC_minを設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、閾値時間TTC_minを通常の設定よりも大きい値に設定して比較的早い段階(対象車両が自車両から離れた状態)で運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値時間TTC_minを変更しない。
ステップS1140において、演算処理部3は、ステップS1130の処理で求めた最短到達時間TTC_initが、ステップS1135で設定された閾値時間TTC_min以下であるか否かを判定する。そして、閾値時間TTC_min以下である場合には、ステップS1150に処理を進め、そうでない場合には本処理を終了する。
ステップS1150において、演算処理部3は、後方からの接近車両に関する注意喚起情報の提供が必要であると判断し、後方からの接近車両の存在を知らせるために、自車両のドライバに注意喚起情報を提供するための音声データ及びアイコンデータを情報提供部4に出力する。このとき、音声データとアイコンデータは、図20の処理結果に応じて変更可能なものとする。例えば、図20の処理結果で通常よりも早めに運転支援が必要であると判断された場合には、音声データの再生ボリュームを通常よりも大きくしたり、表示アイコンの点滅周期を短くしたりするなどしてドライバが気付き易くなるような考慮をした設定とする。
ステップS1160において、情報提供部4は、ステップS1150の処理で出力された音声データ、及び表示アイコンに基づいて、ドライバへ運転支援のための注意喚起情報の提供を実施する。即ち、アイコンデータを画面に表示し、且つ音声を再生する。こうして、自車両が左折する際に、自車両の後方より接近する他車両が存在する場合には、この他車両の存在が自車両のドライバに対して報知されるのである。
ステップS1165において、演算処理部3は、ドライバの覚醒度を推定する材料として注意喚起情報の提供が実施されてからドライバが反応するまでの時間を計測する。反応時間の計測方法としては、例えば注意喚起情報を提供した時点からドライバのブレーキペダル操作が発生するまでの所要時間を計測することが考えられる。
こうして注意喚起情報が提供されると、左折挙動の注意喚起実施処理を終了する。
[右折、左折挙動判定処理]
本実施形態に係る右折、左折挙動判定処理は、図21、図22で説明した右折挙動判定処理及び図24、図25で説明した左折挙動判定処理と同様であるので説明を省略する。
[右折、左折挙動の対象車両判定処理]
本実施形態に係る運転支援装置による右折、左折挙動の場合の対象車両判定処理は、図13に示す第3の実施形態の対象車両判定処理と同一なので説明は省略する。
[右折、左折挙動の注意喚起実施処理]
図27は、右折、左折挙動における注意喚起実施処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。ただし、図14に示す第3の実施形態の注意喚起実施処理と同一の処理については同一の番号を付して詳細な説明は省略する。
図27に示すように、ステップS1205において、演算処理部3は図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照して自車速度の閾値を設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、自車速の閾値を通常の設定よりも大きい値に設定して比較的車速が高い状況でも運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値を変更しない。
そして、ステップS1210では、演算処理部3は自車両の速度がステップS1205で設定された所定値を下回っているか否かを判定する。自車両の速度が所定値を下回っている場合には、自車両が左折、或いは右折の状態にあると判断し、注意喚起情報を提供する必要性があると判断し、ステップS1220に処理を進める。他方、自車両の速度が所定値を上回る場合には、注意喚起情報を提供する必要性は無いと判断して、本処理を終了する。
ステップS1220において、演算処理部3は、対象車フラグが1であるか否かを判断する。そして、対象車フラグが1である場合(注意喚起の対象となる他車両が存在する場合)にはステップS1230に処理を進め、そうでない場合には、本処理を終了する。
ステップS1230において、演算処理部3は、各対象車両のうち、TTCの値が最小となる対象車両を特定し、このときの到達時間TTCを、最小値を示す最短到達時間TTC_initとする。
ステップS1235において、演算処理部3は図20に記載した運転支援の実施設定処理の結果を参照して閾値時間TTC_minを設定する。具体的に説明すると、覚醒度推定処理、重点支援エリア判定処理及び視界推定処理の結果から図20の処理結果で運転支援の実施が設定されている場合には、演算処理部3は通常よりも早めにドライバへ注意喚起する必要があると判断し、閾値時間TTC_minを通常の設定よりも大きい値に設定して比較的早い段階(対象車両が自車両から離れた状態)で運転支援が実施可能となる設定にする。一方、図20の処理結果で運転支援の実施が設定されていない場合には、演算処理部3は予め設定されている閾値時間TTC_minを変更しない。
ステップS1240において、演算処理部3は、ステップS1230の処理で求めた最短到達時間TTC_initが、ステップS1235で設定された閾値時間TTC_min以下であるか否かを判定する。そして、閾値時間TTC_min以下である場合には、ステップS1250に処理を進め、そうでない場合には本処理を終了する。
ステップS1250において、演算処理部3は、左側或いは右側からの接近車両に関する注意喚起情報の提供が必要であると判断し、左側或いは右側からの接近車両の存在を知らせるために、自車両のドライバに注意喚起情報を提供するための音声データ及びアイコンデータを情報提供部4に出力する。このとき、音声データとアイコンデータは、図20の処理結果に応じて変更可能なものとする。例えば、図20の処理結果で通常よりも早めに運転支援が必要であると判断された場合には、音声データの再生ボリュームを通常よりも大きくしたり、表示アイコンの点滅周期を短くしたりするなどしてドライバが気付き易くなるような考慮をした設定とする。
ステップS1260において、情報提供部4は、ステップS1250の処理で出力された音声データ、及び表示アイコンに基づいて、ドライバへ運転支援のための注意喚起情報の提供を実施する。即ち、アイコンデータを画面に表示し、且つ音声を再生する。こうして、自車両が突き当たりの交差点を左折或いは右折する際に、自車両の左右方向より接近する他車両が存在する場合には、この他車両の存在が自車両のドライバに対して報知されるのである。
ステップS1265において、演算処理部3は、ドライバの覚醒度を推定する材料として注意喚起情報の提供が実施されてからドライバが反応するまでの時間を計測する。反応時間の計測方法としては、例えば注意喚起情報を提供した時点からドライバのブレーキペダル操作が発生するまでの所要時間を計測することが考えられる。
こうして注意喚起情報が提供されると、右折、左折挙動の注意喚起実施処理を終了する。
ここで、注意喚起情報を提供する条件については、前述した第1〜第3の実施形態と同様である。例えば、ブレーキ操作が解除され、その後、車輪速パルスが増加するような場合には、車両が発進を開始したものと判断し、自車両のドライバは前方、後方、左側或いは右側から接近する対象車両の存在に気付いていないものと判断し、注意喚起情報を提供する。
また、第4の実施形態においても、前述した第1〜第3の実施形態と同様に、第1変形例〜第4変形例を採用することが可能である。これらの変形例については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
[第4の実施形態の効果]
上述したように、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、自車両の運転者の覚醒度を推定し、覚醒度が低いと推定したときには注意喚起情報の提供方法を変更するので、覚醒度が低いときには通常よりも早め、且つ強めの注意喚起を実施することができ、これによって通常時は煩わしさを軽減しつつ、低覚醒時は効果的な運転支援を実施することができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、運転開始直後または運転開始からの経過時間が所定時間以上経過した場合に覚醒度が低いと推定するので、新たなデバイスを追加することなく容易に覚醒度を推定することができる。
さらに、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、過去に実施された注意喚起に対する反応時間が所定時間以上を要した場合に覚醒度が低いと推定するので、直近のドライバの状態によって精度良く覚醒度を推定することができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、自車両の運転者によるステアリング操作の滑らかさが低下した場合に覚醒度が低いと推定するので、直近のドライバの運転操作によって精度良く覚醒度を推定することができる。
さらに、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、自車両の運転者の顔面を撮影した画像で瞼の動きから居眠り状態を認識した場合に覚醒度が低いと推定するので、直近のドライバの状態によって精度良く覚醒度を推定することができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、自車両の車線内における位置が顕著に変化した場合に覚醒度が低いと推定するので、直近のドライバの運転操作によって精度良く覚醒度を推定することができる。
さらに、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、予め設定された重点的に支援を実施するエリア内を自車両が走行している場合に注意喚起情報の提供方法を変更するので、重点的に支援を実施するエリア内では通常よりも早め、且つ強めの注意喚起を実施することができ、これによって通常時は煩わしさを軽減しつつ、重点エリア内では効果的な運転支援を実施することができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、事故多発地点を重点的に支援を実施するエリアとして設定したので、事故に遭遇する危険を予め回避することができる。
さらに、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、住宅街を重点的に支援を実施するエリアとして設定したので、子供の飛び出し等の危険を予め回避することができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、スクールゾーンを重点的に支援を実施するエリアとして設定したので、子供の飛び出し等の危険を予め回避することができる。
さらに、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、自車両の運転者の視界を推定し、視界が不良であると推定したときには注意喚起情報の提供方法を変更するので、雨や雪、霧などの影響で視界不良であるときには通常よりも早め、且つ強めの注意喚起を実施することができ、これによって通常時は煩わしさを軽減しつつ、視界不良時は効果的な運転支援を実施することができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、ワイパーが作動している場合に視界が不良であると推定するので、既存の装備の状態を参照することによって簡単に視界不良を推定することができる。
さらに、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、デフロスターが作動している場合に視界が不良であると推定するので、既存の装備の状態を参照することによって簡単に視界不良を推定することができる。
また、本発明の第4の実施形態に係る運転支援装置によれば、フォグランプが点灯している場合に視界が不良であると推定するので、既存の装備の状態を参照することによって簡単に視界不良を推定することができる。
以上、本発明の運転支援装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。