以下、本発明の実施の形態によるシート後処理装置の一例について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態によるシート後処理装置とともに用いられる画像形成装置の構成を概略的に示す図である。
画像形成装置10にはシート後処理装置(フィニッシャ)500が接続されている。フィニッシャ500は画像形成装置10におけるシート搬送方向の下流側に配置される。画像形成装置10は原稿上の画像を読み取るイメージリーダ200とプリンタ300とを有している。
イメージリーダ200上には原稿給送装置100が搭載されている。原稿給送装置100は、原稿トレイに上向き(読み取り面を上側とした状態)にセットされた原稿を先頭頁から順に1枚ずつ図中左方向に給紙する。原稿は湾曲したパスを介してプラテンガラス102上に送られて、流し読み取り位置を経て左から右に搬送される。そして、原稿は排紙トレイ112に排出される。
原稿が流し読み取り位置を通過する際、原稿上の画像は流し読み取り位置に対応する位置に配置されたスキャナユニット104によって読み取られる。当該読み取り手法は、一般に原稿流し読みと呼ばれる。
具体的には、原稿が流し読み取り位置を通過する際に、原稿の読取り面がスキャナユニット104のランプ103で照射され、読取り面からの反射光がミラー105、106、および107を介してレンズ108に導かれる。そして、レンズ108を通過した光はイメージセンサ109の撮像面に結像する。
このように、原稿が流し読み取り位置を左から右に通過するように原稿を搬送することによって、原稿の搬送方向に対して直交する方向を主走査方向とし、搬送方向を副走査方向とする原稿読み取りが行われる。つまり、原稿が流し読み取り位置を通過する際に、主走査方向に原稿上の画像を1ライン毎にイメージセンサ109で読み取りつつ、原稿を副走査方向に搬送することによって原稿上の画像全体の読み取りが行われる。そして、光学的に読み取られた画像はイメージセンサ109によって電気信号(画像信号)に変換される。
イメージセンサ109から出力された画像信号は、後述する画像信号制御部922(図2)において所定の処理が施された後に、プリンタ300の露光制御部110にビデオ信号として入力される。
なお、原稿給送装置100によって原稿をプラテンガラス102に搬送し、原稿をプラテンガラス102上の所定位置に停止させる。そして、スキャナユニット104を図中左から右に走査させて原稿を読み取るようにしてもよい。この読取り手法は所謂原稿固定読みと呼ばれる。
原稿給送装置100を用いることなく原稿の読取りを行う場合には、ユーザは原稿給送装置100を持ち上げてプラテンガラス102上に原稿を載置する。そして、スキャナユニット104を図中左から右に走査させて原稿の読み取りを行う。つまり、原稿給送装置100を用いることなく原稿の読み取りを行う場合には、原稿固定読みが行われる。
露光制御部110は、ビデオ信号に基づいてレーザ光を変調して出力する。当該レーザ光はポリゴンミラー110aによって偏向走査されつつ感光ドラム111に照射される。これによって、感光ドラム111にはビデオ信号に応じた静電潜像が形成される。ここで、露光制御部110は、後述するように、原稿固定読みの際には、正しい画像(鏡像でない画像)が形成されるようにレーザ光を出力する。感光ドラム111上の静電潜像は、現像器113によって現像されトナー像として可視化される。
レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、カセット114、カセット115、手差給紙部125、又は両面搬送パス124からシートが給紙され、このシートは感光ドラム111と転写部116とによって規定された転写位置に搬送される。そして、感光ドラム111に形成されたトナー像は転写部116によってシートに転写される。
その後、シートは定着部117に搬送され、定着部117においてシートは熱圧されて、シートにトナー像を定着させる。そして、定着部117を通過したシートはフラッパ121および排出ローラ118を経てプリンタ300からフィニッシャ500に排出される。
ここで、シートをその画像形成面が下向きになる状態(フェイスダウン)で排出する際には、定着部117を通過したシートをフラッパ121の切り替え動作によって一旦反転パス122に導く。そして、シートの後端がフラッパ121を通過した後、シートをスイッチバックさせて排出ローラ118によってプリンタ300からシート排出する。以下、この排紙形態を反転排紙と呼ぶ。
この反転排紙は、原稿給送装置100を用いて原稿上の画像を読取る場合又はコンピュータ904(図2)から出力された画像データに応じて画像形成を行う場合などのように先頭頁から順に画像形成する場合に用いられる。反転排紙では排紙後のシート順序は正しい頁順となる。
さらに、シートの両面に画像形成を行う両面印刷が設定されている場合には、フラッパ121の切り替え動作によってシートを反転パス122に導いた後、シートを両面搬送パス124に搬送する。そして、両面搬送パス124に導かれたシートを上述したタイミングで転写位置に再度給紙する。
前述のように、プリンタ300から排出されたシートはフィニッシャ500に送られて、フィニッシャ500はシートに対して後述するように綴じ処理などの後処理を行う。
図2は、図1に示す画像形成装置10およびフィニッシャ500を制御するコントローラの構成の一例を示すブロック図である。
コントローラはCPU回路部900を備えている。CPU回路部900は、CPU901、ROM902、およびRAM903を有している。そして、CPU901はアドレスバスおよびデータバース(ともに図示せず)によってROM902およびRAM904に接続されている。
ROM902には制御プログラムが格納され、CPU901は制御プログラムに応じて画像形成装置10およびフィニッシャ500の制御を行う。つまり、CPU901は制御プログラムに応じて原稿給送装置制御部911、イメージリーダ制御部921、画像信号制御部922、プリンタ制御部931、操作表示装置制御部941、およびフィニッシャ制御部951を総括的に制御する。RAM903には、制御データが一時的に保存され、さらに、RAM903は制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
原稿給送装置制御部911は、原稿給送装置100をCPU901の制御下で駆動制御する。イメージリーダ制御部921は、スキャナユニット104およびイメージセンサ109などに対する駆動制御を行って、イメージセンサ109から出力された画像信号(アナログ信号)を画像信号制御部922に転送する。
画像信号制御部922は画像信号をデジタル信号に変換した後、各種処理を施して画像データとする。そして、画像信号制御部922は画像データをビデオ信号に変換してプリンタ制御部931に送る。
図示のように、画像信号制御部922には外部インタフェース(I/F)904を介してコンピュータ905が接続されている。コンピュータ905から外部I/F904を介してデジタル画像信号を受信すると、画像信号制御部922はデジタル画像信号に対して各種処理を施して画像データとする。そして、画像信号制御部922は画像データをビデオ信号に変換してプリンタ制御部931に送る。なお、画像信号制御部922による処理はCPU901の制御下で行われる。
プリンタ制御部931はビデオ信号に基づいて露光制御部110およびプリンタ300を制御して、前述のように画像形成制御とシート搬送制御とを行う。
フィニッシャ制御部951は、図1に示すフィニッシャ500に搭載される。フィニッシャ制御部951はCPU901と通信してフィニッシャ500の駆動制御を行う。なお、フィニッシャ制御部951における制御については後述する。
操作表示装置制御部941は、CPU901の制御下で操作表示装置400(図1)を制御する。図1に示すように、画像形成装置10には操作表示装置400が取り付けられている。操作表示装置400は、画像形成に係る各種機能を設定する複数のキーと設定状態を示す情報を表示する表示部などを備えている。
操作表示装置制御部941はキーの操作に応じたキー信号をCPU901に送る。また、操作表示装置制御部941はCPU901から送られる表示制御信号に応じて当該表示制御信号が示す情報を操作表示装置400に表示する。
図3は、図1に示す画像形成装置10に備えられた操作表示装置400の構成を示す図である。
図3において、操作表示装置400はスタートキー402およびストップキー403を備えている。スタートキー402は画像形成を開始する際に操作される。ストップキー403は画像形成を中断する際に操作される。
さらに、操作表示装置400は置数設定などを行うテンキー404〜412および414、IDキー413、クリアキー(C)415、リセットキー(Reset)416、および各種の設定を行うユーザモードキー417などを備えている。
また、操作表示装置400は表示部420を有し、この表示部420の表面にはタッチパネルが配置され、これによって、表示部420の画面上にソフトキーが形成される。
図示のフィニッシャ500は、後処理モードとしてノンソート、ソート、ステイプルソート(綴じモード)、および製本モードなどの処理モードを有している。当該処理モードの設定は、操作表示装置400の操作によって行われる。例えば、後処理モードを設定する際には、図3に示す初期画面において、ソフトキーである「仕上げ」を選択すると、メニュー選択画面が表示部420に表示される。そして、このメニュー選択画面を用いて後処理モードの設定が行われる。
図4は、図1に示すフィニッシャ500の構成の一例を示す図である。
前述のように、フィニッシャ500は画像形成装置10から排出されたシートを順次に取り込む。そして、フィニッシャ500は複数のシートについて後処理を行う。この後処理には、例えば、複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、束ねたシート束の後端をステイプルで綴じるステイプル処理およびソート処理などがある。
フィニッシャ500は、入口ローラ対502を有し、この入口ローラ対502によって画像形成装置10から排出されたシートを内部に取り込む。この時、片面画像形成のシートであれば、シートは画像形成面が下向きで画像形成装置10から排出される。両面画像形成のシートであれば、シートは表面の画像が下向きで画像形成装置10から排出される。入口ローラ対502によって内部に取り込まれたシートは、搬送ローラ対503および504によってバッファローラ505に搬送される。入口ローラ対502と搬送ローラ対503との間には搬送センサ531が配置されており、搬送センサ531によってシートの通過が検出される。
バッファローラ505は、搬送ローラ対503および504によって搬送されたシートを、その外周に所定枚数積層して巻き付け可能なローラである。バッファローラ505の外周には押下コロ512、513、および514が配置され、シートは押下コロ512、513、および514によってバッファローラ505に巻き付けられる。そして、バッファローラ505に巻き付けられたシートはバッファローラ505の回転方向に搬送される。
押下コロ513および514の間には切換フラッパ511が配置され、押下コロ514下流側には切換フラッパ510が配置されている。切換フラッパ511は、バッファローラ505に巻き付けられたシートをバッファローラ505から剥離してノンソートパス521又はソートパス522に選択的に導くためのフラッパである。
切換フラッパ510はシートをソートパス522又はバッファパス523に選択的に導くためのフラッパである。ソートパス522にシートを導く際には、切換フラッパ510はバッファローラ505に巻き付けられたシートをバッファローラ505から剥離してソートパス522に導く。バッファパス523にシートを導く際には、切換フラッパ523はバッファローラ505にシートが巻き付けられた状態でシートをバッファパス523に導く。
シートをノンソートパス521に導く際には、切換フラッパ511を動作させる。そして、ノンソートパス521に導かれたシートは、搬送ローラ対509によってサンプルトレイ701に排紙される。ノンソートパス521の途中には、シートの通過を検知かるための搬送センサ533が配置されている。シートをバッファパス523に導く際には、切換フラッパ510および511をともに動作させない。これによって、シートはバッファローラ505に巻き付けられた状態でバッファパス523に送られる。バッファパス523の途中には、バッファパス523のシートを検出するための搬送センサ532が配置されている。
シートをソートパス522に導く際には、切換フラッパ511を動作させず、かつ切換フラッパ510を動作させる。これによって、切換フラッパ510によってバッファローラ505からシートが剥離されて、シートはソートパス522に導かれる。
ソートパス522に導かれたシートは、搬送ローラ対506および507によって処理トレイ(中間トレイ)に順次排出されて、束状に積載される。処理トレイ630上の束状のシート(シート束)は、搬送ローラ対507と同期して駆動されるローレットベルト661およびパドル660によって、シート搬送方向後端側に引き戻される。引き戻されたシート束はシート搬送方向後端側(引き戻し方向下流側)でストッパ(ストッパ部材)631に突き当たって停止する。
図5は、図4に示す処理トレイ630における処理を示す図である。そして、図5(a)は処理トレイ630を上側からみた図であり、図5(b)は処理トレイ630に備えられた整合ローラ665a又は665bがシートから離間した状態を示す図である。また、図5(c)は処理トレイ630に備えられた整合ローラ665a又は665bがシートに当接した状態を示す図である。
処理トレイ630上には、一対の整合部材(整合板ともいう)641aおよび641bが配置されている。これら整合部材641aおよび641bは、図中実線矢印で示すシートPの搬送方向に交差する方向(例えば、直交する方向)に移動する。整合部材641aおよび641b(第1の整合部材および第2の整合部材)の移動によって、処理トレイ630(シート積載部)に積載されたシートPに対して整合処理が行われる。そして、整合処理を行った後、必要に応じてステイプル処理などがシート束に施され、排出ローラ680aおよび680bによってシート束はスタックトレイ700に排出される。
つまり、整合部材641a(第1の整合部材)はシートの搬送方向に交差する方向に移動可能に処理トレイ630に配置され、シート搬送方向に沿うシートの二辺の一方である第1のシート辺に押し当てられる。
また、整合部材641b(第2の整合部材)はシートの搬送方向に交差する方向に移動可能に処理トレイ630に配置され、シート搬送方向に沿うシートの二辺の他方である第2のシート辺に押し当てられる。
図5(a)において、処理トレイ630には、整合ローラ665aおよび665b(押圧手段)が配置されている。これら整合ローラ665aおよび665bはシートが処理トレイ630に積載された際、シート搬送方向下流側において図中左下隅および右下隅に位置する。
図5(b)に示すように、これら整合ローラ665aおよび665bはアーム部665cに支持され、整合ローラ665aおよび665bはシート搬送方向に対してその回転軸(図示せず)が交差する方向に延びている。アーム部665cは第1および第2のアーム665dおよび665eを備えており、第1および第2のアーム665dおよび665eはピン部材(図示せず)などでリンクされている。
第2のアーム665eは第1のアーム665dに対して回動可能となっており、第2のアーム665eを駆動させて、整合ローラ665a(665b)をシートPに対して離間又は当接させる(図5(b)および図5(c)参照)。
上記のように、アーム部665cの駆動によって整合ローラ665aおよび665bは処理トレイ630上のシートPに対して当接又は離間する。そして、後述するようにして、整合モードに応じて整合ローラ665aおよび665bを選択的にシートPに対して当接又は離間させ、整合ローラ665aおよび665bの駆動によってシートPを搬送方向に対して整合させる。
再び図4を参照して、排出ローラ680bは揺動ガイド650に支持され、揺動ガイド650の駆動に応じて排出ローラ680bは揺動して処理トレイ630上の最上位置のシートに当接する。排出ローラ680bが処理トレイ630上の最上位置のシートに当接した状態にある場合には、排出ローラ680bは排出ローラ680aと協働して処理トレイ630上のシート束をスタックトレイ700に向けて排出する。
処理トレイ630の下側には出没トレイ670が配置され、処理トレイ630にシートを積載する際には、出没トレイ670を処理トレイ630に形成されたスリット(図示せず)から上方に突出させる。これによって搬送ローラ対507で搬送されたシートPの垂れ下がりおよび戻り不良などを防止するとともに、処理トレイ630上のシートの整列を向上させる。
スタックトレイ700は、昇降可能に配置され、紙面検知センサ540(図6)によって、スタックトレイ700又はスタックトレイ700に排出されたシート束の最上面が検出される。そして、紙面検知センサ540の検知結果に応じてトレイ昇降モータが駆動されて、上記の最上面が所定の位置となるように制御が行われる。なお、サンプルトレイ701は、スタックトレイ700のように昇降可能ではなく、図4に示す位置に固定されている。
ステイプル処理(綴じ処理)は、ステイプラ601によって行われる。ステイプル処理の際には、処理トレイ630に積載されたシート束はシート搬送方向の後端側で綴じられる。
図5において、ステイプラ601は、処理トレイ630の一辺に沿って搬送方向に直交する方向に移動可能であり、後述するように、ステイプラ601はホームポジションからユーザが設定した綴じ位置に移動する。
例えば、ユーザがコーナー綴じにおいて左上又は右下を選択すると、図5において符号”A”で示す位置にステイプラ601が移動する。また、コーナー綴じにおいて左下又は右上を選択すると、ステイプラ601は符号”D”で示す位置に移動する。そして、ダブル綴じを選択した場合には、ステイプラ601は符号”B”および”C”で示す位置に順次移動してステイプル処理を行う。
図6は、図4に示すフィニッシャ500を制御するフィニッシャ制御部951を説明するためのブロック図である。
フィニッシャ制御部951は、CPU952、ROM953、およびRAM954を備えている。フィニッシャ制御部951は通信IC(図示せず)によって画像形成装置10に備えられたCPU回路部900とジョブ情報およびシート受け渡し通知などの通信を行う。そして、CPU952はデータCPU回路部900の指示に基づいて、ROM953に格納された各種プログラムを実行してフィニッシャ500の駆動制御を行う。
フィニッシャ500には、入口モータM1、バッファモータM2、排紙モータM3、ソレノイドS1およびS2、および搬送センサ531〜534が備えられている。さらに、フィニッシャ500には、束排紙モータM4、前整合モータM5、後整合モータM6、パドルモータM7、揺動モータM8、ステイプルモータM9、ステイプラ移動モータM10、出没トレイモータM11、トレイ昇降モータM12、紙面検知センサ540、前整合ローラモータM13、後整合ローラモータM14、前整合ローラ離間モータM15、奥整合ローラ離間モータM16が備えられている。そして、これらモータおよびセンサはCPU952に接続され、CPU952はセンサによる検知結果に応じてモータを制御する。
図6において、入口モータM1は入口ローラ対502と搬送ローラ対503および504とを駆動する。バッファモータM2はバッファローラ505を駆動する。ソレノイドS1は切換フラッパ511を駆動する。ソレノイドS2は切換フラッパ510を駆動する。
排紙モータM3は搬送ローラ対506および507を駆動する。パドルモータM7はパドル660を駆動する。前整合モータM5および後整合モータM6はそれぞれ整合部材641aおよび641bをシート搬送方向に対して直交する方向に駆動する。前整合ローラモータM13および後整合ローラモータM14はそれぞれ整合ローラ665aおよび665bを駆動する。そして、前整合ローラ離間モータM15と奥整合ローラ離間モータM16はそれぞれ整合ローラ665aおよび665bのアーム部を駆動する。
束排紙モータM4は排出ローラ対680を駆動し、揺動モータM8は揺動ガイド650を駆動する。出没トレイ670は出没トレイモータM11によって駆動され、スタックトレイ700は、トレイ昇降モータM12によって駆動される。そして、このトレイ昇降モータM12は紙面検知センサ540の検知結果に応じて駆動制御される。
ステイプラ601はステイプルモータM9によって駆動されて綴じ処理を行う。さらに、ステイプラ601はステイプラ移動モータM10によって処理トレイ630の一辺に沿って搬送方向に直交する方向に駆動される。
続いて、ソートモードの際のフィニッシャ500における処理について説明する。
図7は、図3に示す操作表示装置400に表示される画面を示す図である。そして、図7(a)は仕上げメニュー選択画面を示す図であり、図7(b)はステイプル設定画面においてコーナー綴じが選択された状態を示す図である。また、図7(c)はステイプル設定画面においてダブル綴じが選択された状態を示す図である。
いま、ユーザが操作表示装置400に表示された初期画面(図3)において「仕上げ」を選択すると、図7(a)に示す仕上げメニュー選択画面が表示部420に表示される。仕上げメニュー選択画面において、「ソート」を選択した状態でOKボタンを押し下げると、CPU回路部900はソートモードを設定する。
ソートモードが設定された後、印刷ジョブが投入されると、CPU901はフィニッシャ制御部951のCPU952に、シートサイズおよびソートモード設定情報などの印刷ジョブ情報を通知する。以下、1セット(部)が3枚のシートで構成される成果物が複数部数印刷される場合について説明する。
図8は、図4に示すフィニッシャ500においてソートモードが設定された際の処理を説明するための図である。そして、図8(a)は処理トレイ630にシートが搬送されるまで過程を示す図であり、図8(b)は整合処理を示す図である。また、図8(c)はスタックトレイ700にシート束が排出された状態を示す図である。
ソートモードが設定されると、画像形成装置10からフィニッシャ500にシートPが排出される際、CPU回路部900のCPU901は、フィニッシャ制御部951のCPU952にシートPの受け渡しを開始することを通知する。
シートPの受け渡し開始の通知を受け取ると、CPU952は入口モータM1およびバッファモータM2を駆動して、入口ローラ対502、搬送ローラ対503および504、およびバッファローラ505を回転駆動する。これによって、画像形成装置10から排出されたシートPはフィニッシャ500に取り込まれて搬送される。
切換フラッパ510および511は、図8(a)に示す位置に停止しており、シートP1はソートパス522に導かれる。ソートパス522に導かれたシートP1は搬送ローラ対506および507によって処理トレイ630に排出される。
CPU952は、搬送センサ534によってシートP1の後端を検知してから内蔵タイマーによって予め規定された時間の経過によりシートP1が所定の距離だけ搬送されると、処理トレイ630にシートP1が排出されたとする。処理トレイ630に排出されたシートP1は、自重によって処理トレイ630をストッパ631に向かって移動する。このシートP1の移動はパドル660およびローレットベルト661などの助勢部材で助勢される。
シートP1の後端がストッパ631に当接してシートP1が停止すると、整合部材641によってシートP1の整合が行われる。同様にして、順次シートP2およびP3についても処理トレイ630に積載される。
シートP1〜P3(シート束)が処理トレイ630に積載されると、CPU952は揺動モータM8を駆動して揺動ガイド650を下降させる。これによって、CPU952は排出ローラ680aおよび680bによってシート束を挟持して束排出動作を行って、シート束Pをスタックトレイ700に排出する。1セットのシート束は画像形成面を下向きにして先頭ページを最下面としてページ順に積まれた束となって、順次次の1セットがスタックトレイ700に積載される(図8(c)参照)。
上述の例では、1セットを構成するシートが3枚である場合について説明したが、ソートモードの際には、処理トレイ630に積載されたシートが所定の枚数(以下中間積載可能枚数という)Nに達すると、CPU952はシート束の排出を行う。例えば、中間積載可能枚数N=5であると、1セットのシート枚数が10枚である場合には、5枚のシートが処理トレイ630に積載される毎にシート束としてスタックトレイ700に排出される。よって、1セットのシートを排出するまでに2回の束排出動作が行われることになる。
続いて、1部目のシート束Pを取り込んで排出するまでの間における2部目のシートの処置について説明する。
図9は、図4に示すフィニッシャ500において1部目のシート束Pを取り込んで排出するまでの間における2部目のシートの処置を示す図である。そして、図9(a)は1枚目のシートをバッファローラ505に巻き付けた状態を示す図であり、図9(b)は2枚目のシートとバッファローラ505に巻き付けた1枚目のシートとの重ね合わせ開始の状態を示す図である。また、図9(c)は3枚目のシートとバッファローラ505に巻き付けた1枚目、2枚目のシートとの重ね合わせ開始の状態を示す図であり、図9(d)はシート束をソートパス522に搬送した状態を示す図である。
1部目のシート束Pが処理トレイ630に積載された後、画像形成装置10から排出された次束、つまり、2部目のシート束における最初のページのシートP1が切換フラッパ510の動作によってバッファローラ505に巻き付けられる(図9(a)参照)。そして、CPU952はシートP1が搬送センサ532から所定の距離だけ搬送されると、バッファローラ505を停止する。
次ページのシートP2の先端が搬送センサ531から所定の距離進むと、CPU952はバッファローラ505を駆動して、次のシートP2をシートP1との重ね合わせを開始する(図9(b)参照)。そして、CPU952は切換フラッパ510によってシートP1およびP2を再度バッファパス523に搬送して、前述のようにして、後続するシートP3と重ね合わせを開始する(図9(c)参照)。
上述のようにして、シートP1〜P3が重ね合わせられると、CPU952は切換フラッパ510を動作させて3枚のシート束Pとしてソートパス522に搬送する(図9(d)参照)。この時点では、処理トレイ630に積載されたシート束Pの束排出動作は終了しており、処理トレイ630に新たなシート束の排出が可能な状態となっている。よって、2部目のシート束はソートパス522をとおって処理トレイ630に排出される。
2部目において、4枚目以降のシートがある場合には、1部目と同様にシートはソートパス522を通って処理トレイ630に排出される。3部目のシート束については、2部目のシート束と同様にして処置されて、設定部数のシート束がスタックトレイ700に積載されることになる。
続いて、ステイプルモードの際のフィニッシャ500における処理について説明する。
いま、ユーザが操作表示装置400に表示された初期画面(図3)において「仕上げ」を選択すると、図7(a)に示す仕上げメニュー選択画面が表示部420に表示される。仕上げメニュー選択画面において、「ステイプル」を押し下げると、CPU回路部900は表示部420に図7(b)又は図7(c)に示すステイプル設定画面を表示する。
ユーザはステイプル設定画面によってコーナー綴じ又はダブル綴じなどの綴じモードを選択することができる。図7(b)はステイプル設定画面においてコーナー綴じモードが選択された状態を示しており、コーナー綴じモードでは、シートの4隅のいずれか一箇所にステイプル処理が行われる。よって、ユーザはステイプル設定画面において、「左上」、「左下」、「右上」、および「右下」から1つを選択する。図示の例では、「左上」が選択されている。
図7(c)はステイプル設定画面においてダブル綴じモードが選択された状態を示しており、ダブル綴じモードでは、シートのいずれかの一辺に沿って当該一辺の2箇所にステイプル処理が行われる。よって、ユーザは、一辺として「右」および「左」から1つを選択する。図示の例では、「左」が選択されている。
ところで、フィニッシャ500においては、シートの搬送方向後端にのみ綴じ処理を行うことができる。このため、CPUコントローラ部900は綴じモードおよび綴じ位置に応じて画像形成の際に画像の天地方向の向きを切り替える。
例えば、ステイプル処理においてコーナー綴じモードが選択されて、綴じ位置が「左上」又は「左下」であると、CPUコントローラ部900は読取った画像(入力画像)をそのままの状態で出力する(図1において画像形成装置10の奥側が画像の天側となる)。
そして、綴じ位置が「左上」であると、ステイプラ601は図5に符号”D”で示す位置に移動して綴じ処理を行う。綴じ位置が「左下」であると、ステイプラ601は図5に符号”A”ので示す位置に移動して綴じ処理を行う。
コーナー綴じモードが選択された、綴じ位置が「右上」又は「右下」であると、CPUコントローラ部900は入力画像に対して天地を180°回転させる。そして、綴じ位置が「右上」であると、ステイプラ601は図5に符号”A”で示す位置に移動して綴じ処理を行う。綴じ位置が「右下」であると、ステイプラ601は図5に符号”D”で示す位置に移動して綴じ処理を行う。
同様にして、ステイプル処理においてダブル綴じモードが選択された際に、綴じ位置が「左」であると、CPUコントローラ部900は入力画像をそのままの状態で出力する。綴じ位置が「右」であると、CPUコントローラ部900は入力画像を180°回転させる。そして、ステイプラ601はそれぞれ図5に符号”B”および”C”で示す位置に移動して綴じ処理を行う。
図10は、図4に示すフィニッシャ500においてステイプルモードが設定された際の処理を説明するための図である。そして、図10(a)は一部目のシートが処理トレイ630に排出された状態を示す図であり、図10(b)は一部目のシート束に対するステイプル処理を行っている状態を示す図である。また、図10(c)はステイプル処理された一部目のシート束の排出を開始する状態を示す図であり、図10(d)は一部目のシート束を排出した状態を示す図である。
いま、ユーザがステイプルモードを設定すると、ソートモードと同様にして、CPU回路部900のCPU901は、フィニッシャ制御部951のCPU952にステイプルモードが選択されたことを通知する。これによって、CPU952はフィニッシャ500を制御して、前述したソートモードと同様にしてシートを順次処理トレイ630に積載する(図10(a)参照)。
続いて、1つの冊子を構成する全てのシートが処理トレイ630に積載され、整合部材641aおよび641bによる整合処理を行った後、CPU952はステイプルモータM9を駆動して、前述したようにして、ステイプラ601によってシート束を綴じる(図10(b))。これによって、図10(c)に示すように、搬送方向後端側でシート束Pはステイプル針Hによって綴じられる。
ステイプラ601による綴じ処理が完了すると、CPU952は揺動モータM8を駆動して揺動ガイド650を下降させる(図10(c))。これによって、排出ローラ680aおよび680bによってシート束Pが挟持されてシート束の排出が行われる。そして、シート束Pはスタックトレイ700に排出される(図10(d))。
前述したように、画像形成装置10からフィニッシャ500に搬送されるシートには、そのサイズが同一であっても、坪量又は表面性(コート紙など)が異なるシートが存在することがある。そして、このようなシートはその種類によって、定着処理における伸縮量が異なることが知られている。
一方、サイズの称呼値が同一であっても、メーカー又は銘柄によっては、実際の称呼値と異なるサイズのシートが存在することがある。加えて、同一銘柄のシート同士においても、ロット毎又はシート毎にサイズのばらつきがある。
図11は、ステイプル処理を行った際にシートのサイズにばらつきがある場合の綴じ状態を示す図である。そして、図11(a)はダブル綴じを示す図であり、図11(b)はコーナー綴じを示す図である。
前述したステイプルモードの際に、シート束に異なる種類のシートが混在する場合には、例えば、A4サイズのシートといっても実際のサイズが異なると、整合板641aおよび641bによる整合処理のみでは精度よく整合することが困難である。
その結果、図11(a)および(b)に示すように、シートが精度よく整合されていない状態でステイプル処理がおこなわれてしまう。図11(a)に示す例では、サイズの小さい方のシートが僅かに回転してずれてしまい、図11(b)に示す例では、ステイプル針がサイズの小さい方のシートから外れている。
このような現象を回避するため、図4に示すフィニッシャ500には、整合モードとして、通常の整合モード(ノーマル整合モード)の他に、処理トレイ630の手前側を基準に整合するモード(前側整合モード)および奥側を基準に整合するモード(奥側整合モード)が備えられている。ここで、前側とは、図4において紙面からフィニッシャ500を見て手前側をいい、奥側とは、図4において紙面からフィニッシャ見て奥側をいう。つまり、図5に示す例では、整合部材641a側が前側であり、整合部材641b側が奥側である。また、ノーマル整合モードとは、整合ローラ665aおよび665bを使用せずに整合部材641aおよび641bにより整合を行うモードである。
フィニッシャ制御部951は、印刷ジョブ開始の際にCPU回路部900から送信されたジョブ情報に含まれるシート種類および後処理モード情報(ステイプルモード情報)に応じて、前述の整合モードを切り替える。例えば、コーナー綴じモードでは、CPU952は綴じる側のコーナーを構成するシート二辺が整合される整合モードを選択する。また、ダブル綴じでは、CPU952は仕上がり束の「地」側が整合される整合モードを選択する。
図12は、図4に示すフィニッシャ500においてシート種類および後処理モード情報に応じて整合処理を行った場合の綴じ状態を示す図である。図12では、片面画像形成のシートを画像が形成されている面側から見た状態を示している。そして、図12(a)はコーナー綴じの第1の例を示す図であり、図12(b)はコーナー綴じの第2の例を示す図である。図12(c)はコーナー綴じの第3の例を示す図であり、図12(d)はコーナー綴じの第4の例を示す図である。また、図12(e)はダブル綴じの第1の例を示す図であり、図12(f)はダブル綴じの第2の例を示す図である。
図12(a)では、左上でコーナー綴じを行っており、この場合には、整合モードとして奥側整合モードが選択される。図12(b)では、左下でコーナー綴じを行っており、この場合には、整合モードとして前側整合モードが選択される。図12(c)では、右上でコーナー綴じを行っており、この場合には、整合モードとして前側整合モードが選択される。図12(d)では、右下でコーナー綴じを行っており、この場合には、整合モードとして奥側整合モードが選択される。
図12(e)では、左でダブル綴じを行っており、この場合には、整合モードとして前側整合モードが選択される。図12(f)では、右でダブル綴じを行っており、この場合には、整合モードとして奥側整合モードが選択される。
なお、図12(a)、(b)、(e)の様に左側にステイプルが行われる場合、左側がフィニッシャ500内で搬送方向の後端側となるように画像形成される。図12(c)、(d)、(f)の様に右側にステイプルが行われる場合、右側がフィニッシャ500内で搬送方向の後端側となるように画像形成される。
ここで、図6に示すフィニッシャ制御部951による整合モードの設定処理について説明する。
図13は、図6に示すフィニッシャ制御部951による整合モードの設定処理について説明するためのフローチャートである。また、図14は、図6に示すROM953に格納された整合方向取得テーブルの一例を示す図である。なお、図13に示すフローチャートに係る処理はCPU952が実行する。
印刷ジョブを開始する際、CPU901からフィニッシャ制御部951にジョブ情報が送信される。当該ジョブ情報には、少なくともコーナー綴じおよびダブル綴じのいずれであるかを示す後処理モード(ステイプルモード)、コーナー綴じにおける綴じ位置又はダブル綴じにおける綴じ位置を示す後処理位置、そして、シートのサイズ、坪量、形状、すき目、表面性、シートの製造メーカ、および製造ロットなどのシート種類情報が含まれる。なお、「形状」とはノーマル紙、プレパンチ紙、又はインデックス紙などを示し、「表面性」は表面コートの有無を示す。なお、シート種類情報は、必ずしも上述したすべての情報が含まれていなくてもよく、必要な情報は任意に設定可能である。
CPU952はジョブ情報を取得すると、当該ジョブ情報をRAM954に保存する(S1001)。そして、CPU952はジョブ情報に基づいて処理トレイ630に排出されるシートに複数種類のシートが混在しているか否かを判定する(S1002)。複数種類のシートが混在していないと(S1002において、NO)、CPU952は整合モードをノーマル整合モードに設定して、RAM954に保存する(S1005)。そして、CPU952は整合モード設定処理を終了する。なお、複数種類のシートが混在していない状況とは、シート種類情報のすべてが一致している状況である。
そして、CPU952はRAM954からジョブ情報の後処理モードおよび後処理位置を得て、図14に示す整合方向取得テーブルを参照してシートの整合方向を得る(S1003)。
図14に示す整合方向取得テーブルは予めROM953に格納されており、後処理モードと後処理位置とに対応してステイプラ601の待機位置および整合方向(整合位置)が規定されている。ここで、整合方向とは図12で説明した前側整合モード又は奥側整合モードのいずれかを示すものである。図14に示す整合方向取得テーブルを参照すれば、CPU952は後処理モードおよび後処理位置に応じてステイプル処理する際のステイプラ601の位置(待機位置)および整合モードを知ることができる。なお、整合方向取得テーブルの待機位置において、符号”A”〜”D”はそれぞれ図5に示すステイプラ601の位置”A”〜”D”を示すものである。
続いて、CPU952は整合方向が前側であるか奥側であるかを決定する決定処理を行う(S1004)。整合方向が前側であると(S1004において、前側)、CPU952は整合モードを前側整合モードに設定して(S1006)、整合モード設定処理を終了する。
一方、整合方向が奥側であると(S1004において、奥側)、CPU952は整合モードを奥側整合モードに設定して(S1007)、整合モード設定処理を終了する。なお、このようにして設定された整合モードはRAM954に保存される。
続いて、図6に示すフィニッシャ制御部951によるステイプル処理について説明する。
図15は、図6に示すフィニッシャ制御部951によるステイプル処理について説明するためのフローチャートである。なお、図15に示すフローチャートによる処理はCPU952によって行われる。
図16は、図5に示す処理トレイ630におけるステイプル処理を示す図である。そして、図16(a)は処理トレイ630にシートが積載された状態を示す図であり、図16(b)は整合処理を示す図である。また、図16(c)はステイプル処理後の排紙を示す図である。
印刷ジョブが開始されると、CPU952は搬送センサ534による検知結果に応じて、前述のように、処理トレイ630にシートが排出されたか否かを監視する(S2001)。シートが排出されていないと(S2001において、NO)、CPU952は他の処理(シート搬送制御など)を行う。
シートが処理トレイ630に排出されると(S2001において、YES)、CPU952はパドルモータM7を駆動してパドル660を回転させる(S2002)。続いて、CPU952は前整合モータM5および後整合モータM6を駆動して、整合部材641aおよび641bによる整合処理を行って(S2003)、シートを処理トレイ630に積載する(図16(a)参照)。
図16(a)に示す例は、後処理モードがコーナー綴じで、後処理位置が右下である場合の処理トレイ630へのシートの積載を示すものである。この際には、前述したように、ステイプラ601は、図5に符号”D”で示す位置(待機位置)に移動する。
続いて、CPU952は、図13で説明したようにして設定した整合モードをRAM952から取得して、当該設定整合モードがいずれの整合モードであるかを判定する(S2004)。
設定整合モードが奥側整合モードであると(S2004において、奥側)、CPU952は奥整合ローラ離間モータM16を駆動して、奥整合ローラ665bをシートPに当接させる(S2005)。さらに、CPU952は奥整合ローラモータM14を駆動する(S2006)。奥整合ローラモータM14の駆動によって、奥整合ローラ665bが回転駆動し、シートを、図16(b)に実線矢印で示す方向(斜め右下向き)に押圧する。
この後、CPU952は奥整合ローラモータM14を停止して、奥整合ローラ離間モータM16を再駆動し、奥整合ローラ665bをシートPから離間させる(S2007)。これにより、シートPは整合部材641b側且つストッパ631側に移動することによりシート搬送方向および搬送方向に交差する方向の整合が行われる。
同様にして、設定整合モードが前側整合モードであると(S2004において、前側)、CPU952は前整合ローラ離間モータM15を駆動して、前整合ローラ665aをシートPに当接させる(S2008)。さらに、CPU952は前整合ローラモータM13を駆動する(S2009)。前整合ローラモータM13の駆動によって、前整合ローラ665aが回転駆動し、シートを斜め左下向きに押圧する。
この後、CPU952は前整合ローラモータM13を停止して、前整合ローラ離間モータM15を再駆動し、奥整合ローラ665aをシートPから離間させる(S2010)。
続いて、CPU952は処理トレイ630に一部目の最終紙が積載されたか否かを判定する(S2011)。なお、設定整合モードがノーマル整合モードであると(S2004において、ノーマル)、CPU952はステップS2011の処理に進む。処理トレイ630に一部目の最終紙が積載されていないと判定すると(S2011において、NO)、CPU952はステップS2001の処理に戻る。
処理トレイ630に一部目の最終紙が積載されたと判定すると(S2011において、YES)、CPU952は、RAM954に保存したジョブ情報を参照して、ステイプルモード指定の有無を判定する(S2012)。ステイプルモード指定があると(S2012において、YES)、CPU952はステイプルモータM9を駆動してステイプラ601によって、処理トレイ630に積載されたシート束Pに対してステイプル処理を行う(S2013)。
続いて、CPU952は揺動モータM8を駆動して揺動ガイド650を下降させる(S2014)。なお、ステイプルモード指定がないと(S2012において、NO)、CPU952はステップS2014の処理に進む。さらに、CPU952は束排紙モータM4を駆動して排出ローラ対680を回転させ、図16(c)に示すように、シート束Pの排出を行い、シート束Pをスタックトレイ700に排出する(S2015)。
その後、CPU952は全ての印刷ジョブが終了したか否かを判定する(S2016)。全ての印刷ジョブが終了していないと(S2016において、NO)、CPU952はステップS2001の処理に戻る。一方、全ての印刷ジョブが終了すると(S2016において、YES)、CPU952は印刷ジョブを終了する。
図15で説明した処理では、整合モードとして、ノーマル整合モード、前側整合モード、奥側整合モードの3つの整合モードを有して、シート束に複数の種類のシートが混在する場合に、前側整合モード又は奥側整合モードのいずれかを選択するようにしたが、前側整合モードおよび奥側整合モードのみを備えて、いずれか一方の整合モードで必ず整合処理をおこなうようにしてもよい。
さらに、上述の例では、基準面(整合部材641a又は641b)にシートを整合させるため、前整合ローラ665a又は奥整合ローラ665bを用いて整合処理を行うようにしたが、ローラの代わりに、例えば、パドル660のような部材を用いるようにしてもよい。又は搬送方向に平行にシートを引き戻すパドル660の方向(角度)を整合モードに応じて変更して、パドル660によって整合処理を行うようにしてもよい。
また、整合板641aおよび641bに直交する方向に回転する1つのローラを用いて、当該ローラを選択的に正逆転させて、基準面となる整合部材にシートを寄せるようにしてもよい。
加えて、上述の例では、後処理モードとしてステイプル処理を例に挙げて説明したが、ソート処理、パンチ処理、糊付け製本処理、テープ製本処理、およびサドル製本処理などにも適用することができる。例えば、ソート処理、パンチ処理、および製本処理においては、冊子の「地」側が基準面となるように整合処理が行われる。
このように、本発明の第1の実施形態では、シートサイズなどのシート種類が異なっていてもシート束の整合処理を精度よく行うことができばかりでなく、仕上がりに応じて基準位置を設定することができる。この結果、1つの冊子(シート束)において、複数種類のシートが混在しても後処理モードに応じて最適な整合処理を行うことができ、整列性の良好な成果物を得ることができる。
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態によるフィニッシャについて説明する。なお、第2の実施形態によるフィニッシャの構成は第1の実施形態によるフィニッシャと同様である。
図17は、本発明の第2の実施形態によるフィニッシャにおいて操作表示装置400に表示される選択画面の一例を示す図である。そして、図17(a)は応用モード選択画面を示す図であり、図17(b)は整合モード選択画面を示す図である。
いま、ユーザが、操作表示装置400(指定手段)において、図3に示す「応用モード」を押し下げると、CPU回路部900は表示部420に、図17(a)に示す応用モード選択画面を表示する。応用モード選択画面において、ユーザが「整合モード」を選択すると、CPU回路部900は表示部420に、図17(b)に示す整合モード選択画面を表示する。
図17(b)に示す整合モード選択画面において、初期状態では「自動判別モード」が選択されている。自動判別モードにおいては、第1の実施形態で説明したステイプル処理が行われる。「ノーマルモード(ノーマル整合モード)」、「前側整合モード」、又は「奥側整合モード」が選択されると、第1の実施形態で説明した後処理モードに応じた整合モードの選択は行われない。つまり、「ノーマルモード」、「前側整合モード」、又は「奥側整合モード」が選択されると、当該選択された整合モードで処理が行われる(ここでは、ユーザが基準となる辺を指定基準辺として指定したことになる)。
なお、整合モード画面で選択された整合モードに係る情報(整合モード情報)は、ジョブ情報ととともに印刷ジョブ開始の際に、CPU901からCPU952に送信される。
続いて、本発明の第2の実施形態によるフィニッシャ500における整合モード選択処理について説明する。
図18は、本発明の第2の実施形態によるフィニッシャ500における整合モード選択処理を説明するためのフローチャートである。
印刷ジョブを開始する際、CPU901からフィニッシャ制御部951にジョブ情報が送信される。当該ジョブ情報には、少なくともコーナー綴じおよびダブル綴じのいずれであるかを示す後処理モード(ステイプルモード)、コーナー綴じにおける綴じ位置又はダブル綴じにおける綴じ位置を示す後処理位置、そして、シートのサイズ、坪量、形状、すき目、および表面性などのシート種類情報が含まれる。そして、CPU952はジョブ情報を取得すると、当該ジョブ情報をRAM954に保存する(S3001)。
続いて、CPU952は、CPU901から整合モード情報を取得して(S3002)、当該整合モード情報をRAM954に保存する。この整合モード情報は、図17(b)に示す整合モード選択画面においてユーザが選択した整合モードを示す。
CPU952はRAM954に保存した整合モード情報を参照して、ユーザが選択した整合モードが自動判別モードであるか否かを判定する(S3003)。ユーザが選択した整合モードが自動判別モードであると(S3003において、YES)、CPU952はジョブ情報に基づいて処理トレイ630に排出されるシート(一束)に複数種類のシートが混在しているか否かを判定する(S3004)。複数種類のシートが混在していないと(S3004において、NO)、CPU952は整合モードをノーマル整合モードに設定して、RAM954に保存する(S3005)。そして、CPU952は整合モード設定処理を終了する。
複数種類のシートが混在していると判定すると(S3004において、YES)、CPU952はRAM954からジョブ情報の後処理モードおよび後処理位置を得て、図14に示す整合方向取得テーブルを参照してシートの整合方向を得る(S3006)。
続いて、CPU952は整合方向が前側であるか奥側であるかを判定する(S3007)。整合方向が前側であると(S3007において、前側)、CPU952は整合モードを前側整合モードに設定して(S3008)、整合モード設定処理を終了する。
一方、整合方向が奥側であると(S3007において、奥側)、CPU952は整合モードを奥側整合モードに設定して(S3009)、整合モード設定処理を終了する。なお、このようにして設定された整合モードはRAM954に保存される。
ユーザが選択した整合モードが自動判別モードでないと(S3003において、NO)、CPU952は当該整合モードがノーマル整合モード、前側整合モード、および奥側整合モードのいずれであるかを判別する(S3010)。ユーザが選択した整合モードがノーマル整合モードであると(S3010において、ノーマル)、CPU952は整合モードをノーマルモードに設定して(S3011)、整合モード設定処理を終了する。
ユーザが選択した整合モードが前側整合モードであると(S3010において、前側)、CPU952は整合モードを前側整合モードに設定して(S3012)、整合モード設定処理を終了する。ユーザが選択した整合モードが奥側整合モードであると(S3010において、奥側)、CPU952は整合モードを奥側整合モードに設定して(S3013)、整合モード設定処理を終了する。なお、このようにして設定された整合モードはRAM954に保存される。
このようにして、整合モードを設定した後、第1の実施形態で説明した図15に応じてステイプル処理が行われる。
なお、第2の実施形態では、「自動判別モード」を選択可能であるが、「自動判別モード」を備えることなく、常にユーザがノーマル整合モード、前側整合モード整合モード、および奥側整合モードのいずれかを選択するようにしてもよい。
このように、本発明の第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、1つの冊子において、複数種類のシートが混在しても後処理モードに応じて最適な整合処理を行うことができ、整列性の良好な成果物を得ることができる。
さらに、第2の実施形態では、ユーザが所望の整合モードを容易に選択することができる。
上述の説明から明らかなように、図5および図6に示す例では、フィニッシャ制御部951、モータ類など、および処理トレイ630が後処理手段として機能する。そして、フィニッシャ制御部951は決定手段および判定手段として機能し、フィニッシャ制御部951およびモータ類などは整合処理手段として機能する。
上述した第1、第2の実施形態では、各シートのシート種類情報のすべてが一致していない場合に、複数種類のシートが混在しているものとしている。しかし、シートの製造精度を信頼できるメーカーのシートであれば、シート種類情報の製造ロットが異なっていても、他の情報が一致していれば、複数種類のシートが混在していないものと判断してもよい。
以上、本発明について実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。
例えば、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法をシート後処理装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、この制御プログラムをシート後処理装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。