JP5888145B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
上記インクジェット方式の画像形成装置としては、記録媒体のほぼ全幅に渡ってノズルを備えるライン型のインクジェットヘッドユニットを各色彩毎に記録媒体の搬送路に沿って並べて配置し、搬送される記録媒体上にエネルギー線硬化型インクを吐出して画像を形成し、搬送路下流側に設けたエネルギー線照射装置により、記録媒体上に記録されたインクを硬化させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この吐出不良を防止するためには、画像形成とは別に定期的にヘッドユニットのノズル口からインクを吐出(以下、これを吐き捨てという)することが効果的である。
だが、吐き捨てを実施には以下のような問題があった。つまり、複数あるヘッドは、その配置に応じてエネルギー線照射の影響が異なるため吐出不良の発生頻度が異なっている。一方、複数のヘッドは一律に吐き捨てを実施しており、エネルギー線照射の影響の違いは考慮されていなかった。このため、一部のヘッドについては、吐き捨てが不充分となって吐出不良防止が不充分であったり、また、別のヘッドでは吐出不良頻度が少ないにもかからず過剰な吐き捨てが実施されてインクの浪費が生じたりするという問題が生じていた。
なお、「前記エネルギー線照射手段に最も近接するヘッド機構が他のヘッド機構よりも吐出頻度又は吐出総量が多くなる」とは、全ヘッド機構の中で、吐出頻度又は吐出総量が最も多いヘッド機構が複数存在し、エネルギー線照射手段に最も近接するヘッド機構がその中の一つである場合を含む意味である。例えば、エネルギー線照射手段に一番近いヘッド機構と五番目に近いヘッド機構の二つが同じ吐出頻度又は吐出総量であって、他の全てのヘッド機構よりも吐出頻度又は吐出総量が多い場合がこれに相当する。
また、「前記エネルギー線照射手段に最も近接するヘッド機構が他のヘッド機構よりも吐出頻度又は吐出総量が多くなる」とは、エネルギー線照射手段に最も近接するヘッド機構以外の一部又は全部のヘッド機構については、ノズルの保守のための吐出動作を行わない場合を含む意味である。
なお、「交換条件」とは制御部で監視可能なものであれば良く、例えば、画像形成の記録枚数の積算値、メンテナンス時のインク吐出回数、インク吐出量の積算値などが一例として挙げられる。
そして、エネルギー線照射手段に最も近接するヘッド機構については、他のヘッド機構よりも吐出頻度又は吐出総量が多くなるように、ノズルの保守のための吐出動作を実行する。
これにより、エネルギー線の漏れ光を最も浴びる可能性が高いヘッド機構に対して、ノズル周辺のインクの固化による吐出不良を効果的に防止することが可能となる。
また、このように、吐出不良の発生の可能性の高低に応じて、各ヘッド機構の保守のための吐出動作におけるインクの吐出頻度や吐出総量を増減調整するので、必要性の低いヘッド機構については、過度にインク吐出を行う事がなくなるため、ヘッド機構全体としてのインク消費量の低減を図ることが可能となる。
さらに、画像形成時にノズルの保守のための吐出を並行して行うことができるので、特に、連続的に画像形成を行う場合であっても、保守作業による遅れの発生を回避又は低減することが可能となる。
また、これにより、インク吸収体の交換や清掃などのメンテナンスの作業負担を軽減することが可能となる。
以下、本発明の第一の実施形態である画像形成装置1について、図面を用いて詳細に説明する。なお、実施形態は本発明の一例であり、これに限定されるものではない。
画像形成装置1は、給紙部10、画像形成部20、排紙部30及び制御部40(図7参照)を備えている。画像形成装置1は、制御部40の制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送し、画像形成部20で記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成された記録媒体Pを排紙部30に排紙する。
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレー11と、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する搬送部12とを有する。
給紙トレー11は、定型サイズにカットされた複数の記録媒体Pを重ねた状態で載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、給紙トレー11に載置された記録媒体Pの量に応じて上下動するよう設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体Pが搬送部12により搬送される位置で保持される。
搬送部12は、内側が複数(例えば、2本)のローラ121、122により担持された輪状のベルト123を駆動してベルト123上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、給紙トレー11上に載置された最上の記録媒体Pをベルト123上に受け渡す供給部を有する。搬送部12は、供給部によりベルト123上に受け渡された記録媒体Pをベルト123に沿わせるように搬送する。
画像形成部20は、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持する搬送装置としての画像形成ドラム50、給紙部10の搬送部12により搬送された記録媒体を画像形成ドラム50に受け渡す受け渡しユニット22、画像形成ドラム50に担持された記録媒体Pを加熱する媒体加熱手段としての第一ヒーター91、画像形成ドラム50に担持された記録媒体Pにインクを吐出して画像を形成する複数のヘッド機構としてのヘッドユニット70、ヘッドユニット70のメンテナンスを行うメンテナンス装置60(図4〜図6参照)、記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させるためのエネルギー線を照射するエネルギー線照射手段としての照射部93、照射部93の照射を受けた記録媒体Pを画像形成ドラム50から受け取り、排紙部30への搬送を行う搬送機構96、記録媒体Pを介さずに直接的に画像形成ドラム50の外周面を加熱するドラム加熱手段としての第二ヒーター94等を有している。
図2は、画像形成ドラム50の斜視図である。
画像形成ドラム50は、その外周面上で記録媒体Pを担持するための爪部51及び吸気部52を備え、所定の搬送方向F(図1における反時計方向)に回転を行うドラム回転モーター53(図7参照)が併設されている。
画像形成ドラム50は、その外周面を三等分した三つの記録媒体Pの保持領域を有している。つまり、画像形成ドラム50は、全体で三枚の記録媒体Pを保持することが可能となっている。
爪部51は記録媒体Pの三つの保持領域の境界位置、つまり、画像形成ドラム50の回転軸を中心として120°間隔で設けられており、これら三つの爪部51は、いずれも、円筒状の画像形成ドラム50の外周面上において幅方向X(搬送方向Fに直交する方向)に沿って一列に並んで設けられた複数の爪から構成されている。
画像形成ドラム50は、その回転により各爪部51が受け渡しユニット22から画像形成ドラム50への記録媒体Pの受け渡しが行われる供給位置(爪部51と後述する受け渡しユニット22の爪部223とが最も近接する位置)と画像形成ドラム50から搬送機構96への排紙位置(爪部51と後述する搬送機構96の爪部962とが最も近接する位置)とに到達したときに、それぞれの爪部51を構成する複数の爪が解放状態となるように開き動作を付与する図示しないカム機構を内蔵している。
即ち、供給位置に到達すると、各爪部51は各爪が開いた状態となって記録媒体Pを受け渡しユニット22から受け取る。そして、この供給位置を離れる際には各爪が閉じて記録媒体Pの端部を挟持し、搬送を開始する。
また、排紙位置に到達すると、各爪部51は各爪が開いた状態となって搬送していた記録媒体Pを解放する。そして、この排紙位置を離れる際には各爪が閉じて、当該保持領域は空の状態で下流側へ搬送される。
なお、この画像形成ドラム50では、三つの記録媒体Pの保持領域に対応して、ドラムの中空内部が三つに区画されており、各保持領域の吸気部52毎に個別且つ選択的に吸引力を付与することを可能とする吸気回路54(図7参照)を備えている。これにより、記録媒体Pを保持していない保持領域に対しては吸引力を付与しないように操作することができ、内部を区画しない場合のように、記録媒体Pを保持していない保持領域における吸気部52による吸引力低下を防止することが可能となっている。
受け渡しユニット22は、給紙部10の搬送部12と画像形成ドラム50との間に介在する位置に設けられる。受け渡しユニット22は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持する渡し爪部221と、渡し爪部221に担持された記録媒体Pを受け取り、前述した供給位置で画像形成ドラム50に渡す動作を行う円筒状の受け渡しドラム222とを有している。
受け渡しドラム222は、画像形成ドラム50と同様に記録媒体Pの一端部を挟持する爪部223を一つ備えており、受け渡しドラム222の爪部223が渡し爪部221と近接対向した状態となる渡し位置及び画像形成ドラム50の各爪部51と近接対向した状態供給位置にある時に、爪部223を構成する複数の爪をそれぞれ開かせて記録媒体Pの受け取り又は受け渡しを行わせるカム機構が受け渡しドラム222に内蔵されている。
また、受け渡しドラム222は、図示しない歯車機構により、画像形成ドラム50が記録媒体Pの保持領域一つ分(120°)回転すると、受け渡しドラム222が逆方向に一回転を行うように連動が図られている。
第一ヒーター91は、例えば、赤外線照射を行う非接触型のハロゲンランプ等からなるランプヒーターであり、ランプヒーターからの照射光を一様に画像形成ドラム50の外周面に対する垂直方向となるように反射する反射板を有しており、効率良く画像形成ドラム50の外周面上を照射して加熱する。
この第一ヒーター91は、画像形成ドラム50の外周面における前述した供給位置よりも搬送方向下流側であって、各ヘッドユニット70よりも搬送方向上流側に位置している。つまり、この第一ヒーター91は、画像形成ドラム50の外周面上の画像形成前の記録媒体Pを加熱するために設けられている。
制御部40は、温度センサー92による検知温度に基づいて、画像形成ドラム50に担持されて第一ヒーター91の近傍を通過した記録媒体Pが所定の温度となるよう第一ヒーター91の動作を制御する。
図3は、ヘッドユニット70の内部構成を示す図である。図3(A)は、ヘッドユニット70を側方から見た場合の内部構成の概略図である。図3(B)は、ヘッドユニット70を上方から見た場合の内部構成の概略図である。なお、ここでいう上方とは、画像形成ドラム50の外周面と対向するヘッドユニット70の一面(下面)側をヘッドユニット70の下方としている。また、側方から見た場合とは、ヘッドユニット70の上下方向及びX方向に沿うヘッドユニット70の一側面を正面としてヘッドユニット70を見た場合を示す。
ヘッドユニット70は、画像形成ドラム50による記録媒体Pの搬送方向Fに沿って四つ並んでおり、各ヘッドユニット70は、搬送方向上流側からマゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、イエロー(Y)の順番で並んでいる。なお、これらの各色彩は、互いに異なる分光吸収特性を有しており、各色彩のヘッドユニット70の中で、最も下流側で最も照射部93に近いヘッドユニット70については、これら四つの色彩の中で最も視覚濃度が低い分校吸収特性を有する色彩であるイエローのインクの吐出を行うようになっている。
ヘッドユニット70は、画像形成ドラム50に対して所定の距離を置いて画像形成ドラム50の外周面に沿うよう配置される。
また、図3(A)、(B)に示すように、ヘッドユニット70は、複数の記録ヘッド71と、各記録ヘッド71に供給するインクを貯留するインクタンク72と、インクタンク72から各記録ヘッド71に通じる図示しないインク経路において吐出前のインクを加熱により温度調節するインク加熱手段としてのインクヒーター73とを有している。
インクヒーター73は、供給されるインクの温度を検出する温度センサーが併設されており、供給されるインク温度を監視しつつ、適正な温度となるようにインクヒーター73は制御部40により出力制御が行われる。
また、図4に示すように、ヘッドユニット70のX方向の幅は、画像形成ドラム50により担持、搬送される記録媒体PのX方向の幅よりも広い幅(例えば、画像形成ドラム50の幅より小さいがこれに近い幅)に設定されており、ヘッドユニット70は画像形成時は固定された状態で画像形成ドラム50の記録媒体Pに対して搬送方向と直交する方向における画像記録領域の最大幅以上となるようインクを吐出して画像形成を行う。即ち、画像形成装置1は、ワンパス方式のインクジェット記録装置であり、ヘッドユニット70は、X方向に沿って並んで配置された複数の記録ヘッド71による複数のノズル711が、画像形成の際に記録ヘッド71と記録媒体Pとが相対的に移動する方向に直交する方向(X方向)について、記録媒体P上に形成される画像の最大幅以上となるよう設けられる。
なお本実施態様では、複数の記録ヘッド71を記録媒体の搬送方向と直交するX方向に配列させて画像の最大幅以上となるように構成しているが、単一の記録ヘッドにより画像の最大幅以上となるように構成するものであっても良い。
メンテナンス装置60は、図4に示すように、ヘッドユニット70のメンテナンスを行うものであり、画像形成ドラム50に対してその幅方向Xに沿って隣接して配設されている。
このメンテナンス装置60は、図5に示すように、インク受け部61と、インク掻き取り部材62と、インク吸い取り部63とを備えている。
各ヘッドユニット70は図示しない支持機構により幅方向Xに沿ってスライド移動可能に支持されており、画像形成ドラム50の外周面に対向する位置からメンテナンス装置60側に手動操作によりスライド移動させることが可能である。
一方、メンテナンス装置60は、画像形成ドラム50と同心であって当該画像形成ドラム50の外径にほぼ等しい円弧に沿って回動させる図示しない支持機構に支持されており、当該支持機構が有する駆動モーターにより各ヘッドユニット70の対向位置に搬送可能となっている。
そして、各ヘッドユニット70は、メンテナンス装置60が対向位置にあるときに、画像形成ドラム50から幅方向Xの片側に向かってスライド移動させると、まず、その下面がインク受け部61に対向する状態となり、さらにスライド移動させると、インク掻き取り部材62の上方を通過して、ヘッドユニット70の下面がインク吸い取り部63と対向する状態となる。
なお、このインク掻き取り部材62とヘッドユニット70の下面との隙間距離は0より大きく2[mm]以下であることが好ましく、1[mm]以下であることがより好ましい。
また、ヘッドユニット70の下面に対するインク掻き取り部材62の角度は、90度よりも掻き取り方向の逆方向に0〜20度ほど傾けることが望ましい。
また、図6(B)に示すように、インク掻き取り部材62は、金属製の矩形板をヘッドユニット70の下面側に突出するよう屈曲させることで形成されている。インク掻き取り部材62に用いられる金属材料は、例えばステンレス等、インクにより侵食されない性質を有することが好ましい。
さらに、インク掻き取り部材62には、当該インク掻き取り部材62を加熱するヒーター64と、インク掻き取り部材62の温度を測定する温度センサー65とが設けられている。制御部40は、温度センサー65でインク掻き取り部材62がインクを低粘度に保つ温度を維持するよう、ヒーター64を制御している。
照射部93は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、当該蛍光管の発光により紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部93は、画像形成ドラム50の外周面の近傍であって、画像形成ドラム50の回転による記録媒体Pの搬送方向Fについて各ヘッドユニット70の下流側に位置するよう設けられる。照射部93は、画像形成ドラム50に担持されてインクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射して当該エネルギー線の作用により記録媒体P上のインクを硬化させる。
なお、紫外線を発する蛍光管は低圧水銀ランプに限らず、数百[Pa]〜1メガ[Pa]程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオード等が挙げられるが、紫外線をより高照度で照射可能であって省電力な光源(例えば、発光ダイオード等)であることが望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線に応じて置換される。
搬送機構96は、画像形成ドラム50から記録媒体Pを受け取る排紙ドラム961と、二つのスプロケット963,964と、その間に掛け渡されたタイミングベルト965とを備えている。
タイミングベルト965は、排紙ドラム961から排紙部30までの間に配設され、この間の記録媒体Pの搬送を行う。
また、排紙ドラム961は、図示しない歯車機構により、画像形成ドラム50が記録媒体Pの保持領域一つ分(120°)回転すると、排紙ドラム961が逆方向に一回転を行うように連動が図られている。
第二ヒーター94は、例えば、赤外線照射を行う非接触型のハロゲンランプ等からなるランプヒーターであり、第一ヒーター91と同様に反射板を有し、効率良く画像形成ドラム50の外周面上を照射して加熱する。
この第二ヒーター94は、上述した排紙位置から搬送方向Fに向かって供給位置に至るまでの間に設けられているので、画像形成ドラム50の外周面上において記録媒体Pが存在することがない領域で、画像形成ドラム50の外周面を直接的に加熱することができるようになっている。
また、第二ヒーター94の近傍であって搬送方向下流側には温度センサー95が設けられている。この温度センサー95も熱電対やサーミスタなどの接触型の温度検出素子を使用しても良いが、サーモパイルのような非接触式の温度検出素子がより好ましい。
制御部40は、温度センサー95による検知温度に基づいて、第二ヒーター94の近傍を通過した画像形成ドラム50の外周面が所定の温度となるよう第二ヒーター94の動作を制御する。
排紙部30は、搬送機構96により画像形成部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレー31等を有し、画像形成後の記録媒体Pがユーザーにより取り出されるまで格納する。
ここで、画像形成装置1による画像形成に用いられるインクについて説明する。
本発明で使用するインクはエネルギー線(活性光線)が照射されることで硬化する活性光線硬化型インクである。また、このインクは、当該インクの温度によってゲル又は固体と、液体とに相変化する性質を有している。
この活性光線硬化型インクは、ゲル化剤を1質量%以上10質量%未満含有しており、温度により可逆的にゾルゲル相転移することを特徴とする。本発明でいうゾルゲル相転移とは、高温では流動性を持つ溶液状態であるが、ゲル化温度以下に冷却することで液全体がゲル化し流動性を失った状態に変化し、逆に低温で流動性を失った状態であるが、ゾル化温度以上に加熱することで、流動性を持つ液体状態に戻る現象を指す。
前記ゾルゲル相転移する活性光線硬化型インクは、高温では液体状態であるため、記録ヘッドによる吐出が可能となる。この高温状態の活性光線硬化型インクを用いて記録すると、インク滴が記録媒体に着弾した後、温度差により自然冷却されることで速やかにインクが固化し、結果として隣り合うドット同士の合一を防いで画質劣化を防止できる。しかし、インク滴の固化力が強い場合には、ドット同士が孤立することで画像部に凹凸が生じ、極端な光沢低下や不自然なキラキラ感といった、光沢不均質感を招く場合があった。発明者らが鋭意検討した結果、インク滴の固化力、インクのゲル化温度、および記録媒体の温度を以下の範囲にすることで、インク滴同士の合一を防止して画質劣化を防ぐことができ、さらに最も自然な光沢感が得られることを見出した。すなわち、ゲル化剤を0.1質量%以上10質量%未満含有したインクの25℃における粘度が102mPa・s以上105mPa・s未満であるインクを用い、かつ該ゲル化剤によるインクのゲル化温度(Tgel)と記録媒体の表面温度(Ts)の差を5℃以上15℃以下に制御して印字することで、インク液滴合一の防止による高画質と自然な光沢感の両立が可能となる。なおこの場合、媒体の調温範囲は42℃以上、48℃以下に相当する。
本発明に記載の活性光線硬化型インクを用いて、インクのゲル化温度(Tgel)と記録媒体の表面温度(Ts)の差を5℃以上、15℃以下に調温することで、画質劣化がなく、文字などの細線の尖鋭性に優れ、自然な光沢感を持った画像を形成することが可能となるが、記録媒体の温度を5℃以上、10℃以下の範囲に調温することでより優れた画像を形成することが可能となる。
[インク:ゲル化剤]
本発明でいうゲル化とは、ラメラ構造、非共有結合や水素結合により形成される高分子網目、物理的な凝集状態によって形成される高分子網目、微粒子の凝集構造などの相互作用、析出した微結晶の相互作用などにより、物質が独立した運動を失って集合した構造を指しており、急激な粘度上昇や弾性増加を伴って固化した、または半固化した、または増粘した状態のことを指す。
一般に、ゲルには、加熱により流動性のある溶液(ゾルと呼ばれる場合もある)となり、冷却すると元のゲルに戻る熱可逆性ゲルと、一旦ゲル化してしまえば加熱しても、ふたたび溶液には戻らない熱不可逆性ゲルがある。本発明に係るオイルゲル化剤によって形成されるゲルは、ヘッド内の目詰まり防止の観点からは、熱可逆性ゲルであることが好ましい。
本発明の活性光線硬化型インクにおいては、インクのゲル化温度(相転移温度)が、40℃以上、100℃未満であることが好ましく、より好ましくは45℃以上、70℃以下である。夏場環境での気温を考慮すると、インクの相転移温度が40℃以上であれば、記録ヘッドからインク液滴を吐出する際に、印字環境温度に影響されることなく安定した出射性を得ることができ、また90℃未満であれば、画像形成装置1を過度の高温に加熱する必要がなく、画像形成装置1の記録ヘッド71やインク供給系の部材への負荷を低減することができる。
本発明において、インクのゲル化温度の測定方法は、例えば、各種レオメータ(例えばコーンプレートを使用したストレス制御型レオメータ、PhysicaMCRシリーズ、Anton Paar社製)を用いて、ゾル状態にある高温のインクを低剪断速度で温度変化をさせながら得られる粘度曲線、動的粘弾性の温度変化を測定することで得られる粘弾性曲線から求めることができる。また、ガラス管に封じ込めた小鉄片を膨張計の中にいれ、温度変化に対してインク液中を自然落下しなくなった時点を相転移点とする方法(J.Polym.Sci.,21,57(1956))、インク上にアルミニウム製シリンダーを置き、ゲル温度を変化させた時に、アルミニウム製シリンダーが自然落下する温度を、ゲル化温度として測定する方法(日本レオロジー学会誌 Vol.17,86(1989))が挙げられる。また、簡便な方法としては、ヒートプレート上にゲル状の試験片を置き、ヒートプレートを加熱していき、試験片の形状が崩れる温度を測定し、これをゲル化温度として求めることができる。なお、使用するゲル化剤の種類、ゲル化剤の添加量、活性光線硬化型モノマーの種類を変えることで、インクのゲル化温度(相転移温度)は調整可能である。
本発明に係るインクで用いられるゲル化剤は、高分子化合物であっても、低分子化合物であってもよいが、インクジェット射出性の観点から低分子化合物が好ましい。
本発明で好ましく用いられる高分子化合物の具体例としては、ステアリン酸イヌリンなどの脂肪酸イヌリンや、パルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリンなどの脂肪酸デキストリン(レオパールシリーズとして千葉製粉より入手可能)や、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ベヘン酸エイコサン二酸ポリグリセリル(ノムコートシリーズとして日清オイリオより入手可能)などが挙げられる。
本発明で好ましく用いられる低分子化合物の具体例としては、例えば特開2005−126507号や特開2005−255821号や特開2010−111790号の各公報に記載の低分子オイルゲル化剤や、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド、N−2エチルヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミドなどのアミド化合物(味の素ファインテクノより入手可能)や、1,3:2,4−ビス−O−ベンジリデン−D−グルシトール(ゲルオールD 新日本理化より入手可能)などのジベンジリデンソルビトール類や、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの石油系ワックスや、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、ホホバ固体ロウ、ホホバエステルなどの植物系ワックスや、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウなどの動物系ワックスや、モンタンワックス、水素化ワックスなどの鉱物系ワックスや、硬化ヒマシ油または硬化ヒマシ油誘導体や、モンタンワックス誘導体,パラフィンワックス誘導体,マイクロクリスタリンワックス誘導体またはポリエチレンワックス誘導体などの変性ワックスや、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸や、ステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ルなどの高級アルコ−ルや、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシステアリン酸や、12−ヒドロキシステアリン酸誘導体や、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノ−ル酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド(例えば、ニッカアマイドシリーズ 日本化成社製や、ITOWAXシリーズ 伊藤製油社製や、FATTYAMIDシリーズ 花王社製)や、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-オレイルパルミチン酸アミドなどのN−置換脂肪酸アミドや、N,N´−エチレンビスステアリルアミド、N,N′−エチレンビス12−ヒドロキシステアリルアミド、N,N′−キシリレンビスステアリルアミドなどの特殊脂肪酸アミドや、ドデシルアミン、テトラデシルアミンまたはオクタデシルアミンなどの高級アミンや、ステアリルステアリン酸、オレイルパルミチン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル、エチレングリコ−ル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル化合物(例えばEMALLEXシリーズ 日本エマルジョン社製や、リケマールシリーズ 理研ビタミン社製や、ポエムシリーズ 理研ビタミン社製)や、ショ糖ステアリン酸、ショ糖パルミチン酸などのショ糖脂肪酸エステル(例えばリョートーシュガーエステルシリーズ 三菱化学フーズ社製)や、ポリエチレンワックス、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体ワックスなどの合成ワックスや、重合性ワックス(UNILINシリーズ Baker−Petrolite社製)や、ダイマー酸、ダイマージオール(PRIPORシリーズ CRODA社製)などが挙げられる。また、上記のゲル化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
本発明のインクにおいては、ゲル化剤、色材と共に、活性光線で硬化する活性光線硬化型組成物を含有することを特徴とする。
本発明に用いられる活性光線硬化型組成物(以下、光重合性化合物ともいう)について説明する。
本発明でいう活性光線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や、取り扱いが容易で、工業的にもその利用が普及している紫外線または電子線が好ましい。本発明では特に紫外線が好ましい。
本発明において、活性光線の照射により架橋または重合する光重合性化合物としては、特に制限なく用いることができるが、中でも光カチオン重合性化合物または光ラジカル重合性化合物を用いることが好ましい。
光カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−55507号、特開2001−310938号、特開2001−310937号、特開2001−220526号の各公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
本発明においては、インク硬化の際の記録媒体の収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することが好ましい。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロヘキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することにより得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
本発明で用いることのできるオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になること、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなることがある。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
本発明で好ましく用いることのできるオキセタン環を有する化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0089)に記載されている、一般式(1)で表される化合物、同じく同号公報の段落番号(0092)に記載されている、一般式(2)、段落番号(0107)の一般式(7)、段落番号(0109)の一般式(8)、段落番号(0166)の一般式(9)等で表される化合物を挙げることができる。
具体的には、同号公報の段落番号(0104)〜(0119)に記載されている例示化合物1〜6及び段落番号(0121)に記載されている化合物を挙げることができる。
次いで、ラジカル重合性化合物について説明する。
光ラジカル重合性モノマーとしては、各種公知のラジカル重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料と、カチオン重合系の光硬化性樹脂が知られており、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も例えば、特開平6−43633号公報、特開平8−324137公報等に公開されている。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
本発明のラジカル重合性化合物としては、公知のあらゆる(メタ)アクリレートモノマー及び/またはオリゴマーを用いることができる。本発明でいう「および/または」は、モノマーであっても、オリゴマーであっても良く、更に両方を含んでも良いことを意味する。また、以下に述べる事項に関しても同様である。
更に、これらの中でも、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが特に好ましい。
また本発明においては、重合性化合物として各種ビニルエーテル化合物とマレイミド化合物を併用して用いることも可能である。マレイミド化合物としては、例えば、N−メチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N,N′−メチレンビスマレイミド、ポリプロピレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、テトラエチレングリコール−ビス(3−マレイミドプロピル)エーテル、ビス(2−マレイミドエチル)カーボネート、N,N′−(4,4′−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N′−2,4−トリレンビスマレイミド、あるいは、また特開平11−124403号公報に開示されているマレイミドカルボン酸と種々のポリオール類とのエステル化合物である多官能マレイミド化合物などが挙げられるが、この限りではない。
上記カチオン重合性化合物及びラジカル重合性化合物の添加量は好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
次いで、本発明のインクについて、上記項目を除いた各構成要素について説明する。
[インクの構成要素:色材]
本発明のインクにおいては、インクを構成する色材としては、染料あるいは顔料を制限なく用いることができるが、インク成分に対し良好な分散安定性を有し、かつ耐候性に優れた顔料を用いることが好ましい。顔料としては、特に限定されるわけではないが、本発明には、例えば、カラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が使用できる。
赤或いはマゼンタ顔料としては、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257、Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88、Pigment Orange 13、16、20、36、
青又はシアン顔料としては、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60、
緑顔料としては、Pigment Green 7、26、36、50、
黄顔料としては、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94,95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193、
黒顔料としては、Pigment Black 7、28、26などが目的に応じて使用できる。
Yellow 401、402、403、404、405、406、416、424、KET Orange 501、KET Red 301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、336、337、338、346、KET Blue 101、102、103、104、105、106、111、118、124、KET Green 201(大日本インキ化学製)、Colortex Yellow 301、314、315、316、P−624、314、U10GN、U3GN、UNN、UA−414、U263、Finecol Yellow T−13、T−05、Pigment Yellow1705、Colortex Orange 202、Colortex Red101、103、115、116、D3B、P−625、102、H−1024、105C、UFN、UCN、UBN、U3BN、URN、UGN、UG276、U456、U457、105C、USN、Colortex Maroon601、Colortex BrownB610N、Colortex Violet600、Pigment Red 122、Colortex Blue516、517、518、519、A818、P−908、510、Colortex Green402、403、Colortex Black 702、U905(山陽色素製)、Lionol Yellow1405G、Lionol Blue FG7330、FG7350、FG7400G、FG7405G、ES、ESP−S(東洋インキ製)、Toner
Magenta E02、Permanent RubinF6B、Toner Yellow HG、Permanent Yellow GG−02、Hostapeam BlueB2G(ヘキストインダストリ製)、Novoperm P−HG、Hostaperm Pink E、Hostaperm Blue B2G(クラリアント製)、カーボンブラック#2600、#2400、#2350、#2200、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#850、MCF88、#750、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA77、#52、#50、#47、#45、#45L、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#44、CF9(三菱化学製)などが挙げられる。
また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。更には、下記のものが挙げられる。
顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。
また、Efka CHEMICALS社製「エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。
更には、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;ゼネカ社製「ソルスパーズ5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000、32000」;日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」等が挙げられる。
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定する。この粒径管理によって、記録ヘッドのノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。
MS Magenta VP、MS Magenta HM−1450、MS Magenta HSo−147(以上、三井東圧社製)、AIZENSOT Red−1、AIZEN SOT Red−2、AIZEN SOTRed−3、AIZEN SOT Pink−1、SPIRON Red GEH SPECIAL(以上、保土谷化学社製)、RESOLIN Red FB 200%、MACROLEX Red Violet R、MACROLEX ROT5B(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Red B、KAYASET Red 130、KAYASET Red 802(以上、日本化薬社製)、PHLOXIN、ROSE BENGAL、ACID Red(以上、ダイワ化成社製)、HSR−31、DIARESIN Red K(以上、三菱化成社製)、Oil Red(BASFジャパン社製)。
MS Cyan HM−1238、MS Cyan HSo−16、Cyan HSo−144、MS Cyan VPG(以上、三井東圧社製)、AIZEN SOT Blue−4(保土谷化学社製)、RESOLIN BR.Blue BGLN 200%、MACROLEX Blue RR、CERES Blue GN、SIRIUS SUPRATURQ.Blue Z−BGL、SIRIUS SUPRA TURQ.Blue FB−LL 330%(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Blue FR、KAYASET Blue N、KAYASET Blue 814、Turq.Blue GL−5 200、Light Blue BGL−5 200(以上、日本化薬社製)、DAIWA Blue 7000、Oleosol Fast Blue GL(以上、ダイワ化成社製)、DIARESIN Blue P(三菱化成社製)、SUDAN Blue 670、NEOPEN Blue 808、ZAPON Blue 806(以上、BASFジャパン社製)。
MS Yellow HSm−41、Yellow KX−7、Yellow EX−27(三井東圧)、AIZEN SOT Yellow−1、AIZEN SOT YelloW−3、AIZEN SOT Yellow−6(以上、保土谷化学社製)、MACROLEX Yellow 6G、MACROLEX FLUOR.Yellow 10GN(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Yellow SF−G、KAYASET Yellow2G、KAYASET Yellow A−G、KAYASET Yellow E−G(以上、日本化薬社製)、DAIWA Yellow 330HB(ダイワ化成社製)、HSY−68(三菱化成社製)、SUDAN Yellow 146、NEOPEN Yellow 075(以上、BASFジャパン社製)。
MS Black VPC(三井東圧社製)、AIZEN SOT Black−1、AIZEN SOT Black−5(以上、保土谷化学社製)、RESORIN Black GSN 200%、RESOLIN BlackBS(以上、バイエルジャパン社製)、KAYASET Black A−N(日本化薬社製)、DAIWA Black MSC(ダイワ化成社製)、HSB−202(三菱化成社製)、NEPTUNE Black X60、NEOPEN Black X58(以上、BASFジャパン社製)等である。
本発明のインクにおいて、活性光線として紫外線等を用いる場合には、少なくとも1種の光重合開始剤を含有することが好ましい。だたし、活性光線として電子線を用いる場合には、多くの場合、光重合開始剤を必要としない。
光重合開始剤は、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。
また、ラジカル重合開始剤としては、特公昭59−1281号、特公昭61−9621号、及び特開昭60−60104号等の各公報記載のトリアジン誘導体、特開昭59−1504号及び特開昭61−243807号等の各公報に記載の有機過酸化物、特公昭43−23684号、特公昭44−6413号、特公昭44−6413号及び特公昭47−1604号等の各公報並びに米国特許第3,567,453号明細書に記載のジアゾニウム化合物、米国特許第2,848,328号、同第2,852,379号及び同2,940,853号各明細書に記載の有機アジド化合物、特公昭36−22062号、特公昭37−13109号、特公昭38−18015号、特公昭45−9610号等の各公報に記載のオルト−キノンジアジド類、特公昭55−39162号、特開昭59−14023号等の各公報及び「マクロモレキュルス(Macromolecules)、第10巻、第1307頁(1977年)に記載の各種オニウム化合物、特開昭59−142205号公報に記載のアゾ化合物、特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許第109,851号、ヨーロッパ特許第126,712号等の各明細書、「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス」(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)に記載の金属アレン錯体、特許第2711491号及び特許第2803454号明細書に記載の(オキソ)スルホニウム有機ホウ素錯体、特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン類、「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordination Chemistry Review)」、第84巻、第85〜第277頁(1988年)及び特開平2−182701号公報に記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体、特開平3−209477号公報に記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、四臭化炭素や特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物等が挙げられる。これらの重合開始剤はラジカル重合可能なエチレン不飽和結合を有する化合物100質量部に対して0.01から10質量部の範囲で含有されるのが好ましい。
また、本発明のインクにおいては、光重合開始剤として、光酸発生剤も用いることができる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0132)に記載されている化合物を挙げることができる。
第2に挙げられる、スルホン酸を発生するスルホン化物の具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0136)に記載されている化合物を挙げることができる。
第2に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、その具体的な化合物としては、特開2005−255821号公報の段落番号(0138)に記載されている化合物を挙げることができる。
第3に、特開2005−255821号公報の段落番号(0140)に記載されている鉄アレン錯体を挙げることができる。
本発明に係る活性光線硬化型インクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などが挙げられる。
なお、以下のインク組成物において用いられる顔料分散体は、ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製)5部と、HD−N(1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート:新中村化学社製)80部とをステンレスビーカーに入れ加熱撹拌溶解し、これを室温まで冷却した後、カーボンブラック(#56:三菱化学社製)15部を加えて、0.5mmのジルコニアビーズとともにガラスビンに入れ密栓し、ペイントシェーカーにて10時間分散処理してから、ジルコニアビーズを除去したものである。
図7は画像形成装置1の主制御構成を示すブロック図である。図示のように、画像形成装置1の制御部40には、画像形成部20に記録媒体Pを搬送する搬送部12と、画像形成ドラム50を回転させるドラム回転モーター53と、各ドラム222,50,961の吸気を行う吸気回路54と、各ヘッド71に供給されるインクを加熱するインクヒーター73と、画像形成ドラム50の外周面上で画像形成前の記録媒体Pを加熱する第一ヒーター91と、当該第一ヒーター91により加熱された記録媒体Pの温度を検出する温度センサー92と、記録媒体Pに形成されたインク画像にUV光線を照射する照射部93と、記録媒体Pを介することなく画像形成ドラム50の外周面上を直接的に加熱する第二ヒーター94と、当該第二ヒーター94に加熱された画像形成ドラム50の外周面の温度を検出する温度センサー95と、各記録ヘッド71を駆動させるヘッド駆動回路74と、インク吸い取り部63のヒーター633と、インク吸い取り部63の温度を検出する温度センサー634と、インク掻き取り部材62のヒーター64と、インク掻き取り部材62の温度を検出する温度センサー65と、画像形成ドラム50の回転軸回りの角度を検出するエンコーダー531と、メンテナンス装置60のインク受け部61に対するインク吐出位置に何れかのヘッドユニット70が引き出されたことを検出するリミットスイッチ43と、画像形成装置1の各種の情報の表示及び動作指示等の入力を行う操作パネル44とが電気的に接続されている。
また、制御部40には、上位装置としてのホストコンピューターからインターフェイス回路41を介して入力された形成画像データを記憶する画像メモリ回路42が併設されている。制御部40のCPUは、画像メモリ回路42に格納された画像のデータやプログラムに基づいて演算を行い、この演算結果に基づいて各構成要素に制御信号を送信する。
この画像形成装置1では、制御部40が画像形成を行った記録媒体Pの枚数を積算し、規定枚数Nを超えると、メンテナンスの実施の報知が行われる。
以下、これを前提とする画像形成時の動作について図8のフローチャートに基づいて説明する。
そして、nが加算された積算枚数cが規定枚数Nを超えたか否かを判定する(ステップS3)。
そして、積算枚数cが規定枚数Nを超えていなければ、n枚分の通常の画像形成を実行する。
そして、照射部93を通過得する際にインクのドットが定着され、各記録媒体Pは、搬送機構96を通じて排紙部30に送られ、排紙される(ステップS5)。
操作パネル44を通じてオペレーターからメンテナンスの実行が入力されると、制御部40は、メンテナンス装置60の支持機構の駆動モーターを駆動し、各ヘッドユニット70に対してメンテナンス作業を行うたびに順番に対向するようにメンテナンス装置60を移動する。この時、ヘッドユニット70とメンテナンス装置60との位置合わせは、メンテナンス装置60の支持機構の駆動モーターに設けられたエンコーダーの出力に基づいて行われる。
四つのヘッドユニット70に対してメンテナンス装置60は一基のみなので、搬送方向Fの上流側のヘッドユニット70から順番にメンテナンスが実行される。
ヘッドユニット70のメンテナンス装置60のインク受け部61側への引出は、手作業で行われるので、ヘッドユニット70がインク受け部61の対向位置まで引き出されたか否かをリミットスイッチ43により検出する(ステップS25)。なおここではメンテナンス装置60の引出しは手作業としているが、制御部40等の指示により自動で引き出す構成で構成しても良い。
そして、ヘッドユニット70のカウント値hを1つ加算する(ステップS31)。
その後は、当該ヘッドユニット70はインク掻き取り部材62でインク掻き取りを行い、インク吸い取り部63で下面のインクの吸引を行った後に画像形成ドラム50の対向位置に戻される。そして、ステップS23に戻って、画像形成ドラム50の回転により次のヘッドユニット70がメンテナンス装置60との隣接位置に位置決めされる。
そして、インク掻き取り部材62でのインク掻き取り、インク吸い取り部63でのインク吸引を行った後に画像形成ドラム50の対向位置に戻されて、メンテナンス作業が終了する。
以上のように、画像形成装置1では、メンテナンス時において、照射部93に最も近接するイエローのヘッドユニット70については、他の三つのヘッドユニット70よりも各ノズル711からのインク吐出量が最も多くなるように吐出を行っている。
これにより、照射部93からの紫外線の漏れ光を最も浴びる可能性が高いイエローのヘッドユニット70に対して、ノズル周辺のインクの固化による吐出不良を効果的に防止することが可能となる。
また、このように、吐出不良の発生の可能性が高いヘッドユニット70について、メンテナンス時のインク吐出量を増量しているので、必要なヘッドユニットのみについて重点的なインク吐出を行い、必要性が低いヘッドユニット70ではインク吐出量を低減できるので、総合的には、インク消費量の節約を実現することが可能である。
また、上記メンテナンス時の吐出動作を、画像形成ドラム50の記録媒体の保持領域外に配置したインク受け部61に行うので、ヘッドユニット70のノズル711の保守のための吐出されたインクによる形成画像の品質への影響を回避することが可能となる。
また、照射部93から離れているイエロー以外のヘッドユニット70については紫外線の漏れ光がほとんど届かないような場合には、インク吐出を行うメンテナンスの実施回数を0としても良い。
第二の実施形態について説明する。この実施形態では、図10に示すように、前述した画像形成装置1の画像形成部20に替えて、新たな画像形成部20Aを備える点が異なっている。
この画像形成部20Aは、メンテナンス時のインク吐出を行うためのインク吸収体21Aを画像形成ドラム50Aに装備する点とメンテナンス装置60を備えていない点のみが前述した画像形成部20と異なっている。
また、これにより制御部40が行うメンテナンス時の制御内容が異なっている。
以下の説明では、第一の実施形態である画像形成装置1と異なる点のみについて説明するものとする。
この画像形成装置1では、インク吸収体21Aを各ヘッドユニット70による吐出可能領域内に設けたので、画像形成動作と画像形成動作との合間でノズルメンテナンスのための吐出を制御部40による制御に従って実施することが可能である。
また、インク吸収体21Aが画像形成ドラム50Aの外周面上に設けられているので、画像形成ドラム50Aの一回転ごと(3枚の記録媒体Pの画像形成実行ごと)にノズルメンテナンスのための吐出を行うことが可能である。また、この画像形成装置1では、記録媒体Pの画像形成を規定枚数Tだけ行うことをインク吸収体21Aの交換条件として定めており、制御部40は、画像形成の積算枚数を記録している。そして、制御部40は、記録媒体Pを規定枚数Tだけ画像形成を行うと、インク吸収体21Aの交換の実行を報知手段によるメッセージ表示等により報知する制御を行うものとする。
上記のことを前提に、画像形成時の動作制御について説明する。
画像形成時には、第二ヒーター94により画像形成ドラム50の外周面が所定の目標温度に加熱され、照射部93はUV照射が開始される。そして、搬送部12から順次記録媒体Pがn枚搬送され、受け渡しユニット22を通じて画像形成ドラム50の各記録媒体の保持領域に順番に記録媒体Pが供給される。画像形成ドラム50上の各記録媒体Pは第一ヒーター91により所定の目標温度に加熱され、各ヘッドユニット70を通過する際には、画像データに従って各々のノズル711から各色彩のインク吐出が行われる。
そして、照射部93を通過得する際にインクのドットが定着され、各記録媒体Pは、搬送機構96を通じて排紙部30に送られ、排紙される。
また、照射部93に最も近接しているイエローのヘッドユニット70は、毎回のノズルメンテナンスのためのインク吐出を、他のヘッドユニット70よりも多い吐出量で実行させる。
また、この通常の画像形成時には、エンコーダー531の出力を監視して、インク吸収体21Aが照射部93のUV照射領域内を通過するときだけ、UV照射光源を消灯するように制御される。つまり、UV照射によりインク吸収体21Aの表面に吐出されたインクの固化を防止し、インク固化により吸収性の低下を防止している。
なお、本実施態様ではUV照射領域内をインク吸収体が通過する時にUV照射光源を消灯するよう制御しているが、インク吸収性の低下に深刻な影響を与えない範囲であれば消灯させずに照度を低下又は照射時間を短くして照射エネルギーを低減させるような構成であっても良い。これによりUV照射領域通過後、通常のUV照射に速やかに移行する事が可能となる。
そして、画像形成ドラム50が最後の1周を行う場合の残りの3枚の記録媒体Pに対する画像形成は吸収体交換モードで実行する(ステップS59)。
この吸収体交換モードによる画像形成の場合には、図12(B)に示すように、イエローのヘッドユニット70及びブラック、シアン、マゼンタのヘッドユニット70の吐出動作については通常の画像形成時と同じ動作だが、照射部93については、インク吸収体21Aが照射部93のUV照射領域内を通過するときでも、UV照射光源を消灯せず、インク吸収体21Aの表面にUV照射を行う。
つまり、インク吸収体21Aは規定枚数のインク吐出が行われ、交換が行われるので、積極的にUV照射を行って、インクのしみ出し等が生じないようにその表面のインクを固化させている。
さらに、上記メンテナンス時の吐出動作を、画像形成ドラム50Aの外周面上の記録媒体の保持領域外に設けたインク吸収体21Aに対して行うので、当該ノズル711の保守のために吐出されたインクによる形成画像の品質への影響を回避することが可能となる。
また、画像形成時において、ノズル711の保守のための吐出動作をインク吸収体21Aに行うと共に当該インク吸収体21Aに対するUV照射を回避するように照射部93を制御する構成としたので、インク吸収体21Aの表面でのインクの固化を防ぎ、ノズル711の保守のために吐出されたインクが予定外の箇所に溢れ出たりすることなく長期にわたってインクを吸収することが可能となる。
また、これにより、インク吸収体21Aの交換や清掃などのメンテナンスの作業負担を軽減することが可能となる。
また、照射部93から離れているイエロー以外のヘッドユニット70については紫外線の漏れ光がほとんど届かないような場合には、ノズルメンテナンスのためのインク吐出は行わないよう制御しても良い。
また、図13の例のように、記録媒体Pの画像形成領域R1の外側に余白が存在する場合には、当該余白にノズルメンテナンスのための吐出を行うインク排出領域R2を設定しても良い。
この場合、記録媒体Pの端部からインク排出領域R2までの長さを正確に定めておくことで、エンコーダー531により、画像形成ドラム50に保持された記録媒体Pにおけるインク排出領域R2を検出することができるので、各ヘッドユニット70との対向位置にインク排出領域R2が到達したときに、各ノズル711から吐出を行うように制御部40がヘッドユニット70を制御することで、ノズルメンテナンスのための吐出を行うことが可能である。
また、この場合も照射部93に最も近接するイエローのヘッドユニット70については他のヘッドユニット70よりもインクの吐出量を多くするか或いは吐出頻度を多くする。
また、メンテナンス時の吐出動作において、照射部93に最も近いヘッドユニット70における吐出量を他のヘッドユニット70よりも多くすることで、メンテナンスの必要性に応じた適切な量で吐出ができ、結果的にインク消費量を低減することが可能である。また、ノズルメンテナンスのためのインク吐出を記録媒体Pの画像形成領域R1外のインク排出領域R2に行うので、当該ノズルの保守のために吐出されたインクによる形成画像の品質への影響を回避することが可能となる。
また、この場合も、ノズルメンテナンスのための吐出の必要性が高いイエローのヘッドユニット70のみについて当該吐出を行うよう制御しても良い。
また、図14の例のように、記録媒体Pの画像形成領域R1の内側にドットDが分散するようにノズルメンテナンスのための吐出を行うことも可能である。
即ち、記録媒体Pに対して画像データによる画像形成を行う場合に、画像データによって吐出が予定されていないノズル711からもノズルメンテナンスのための吐出を行う。
これにより、ノズルメンテナンスのために吐出されたインクにより形成されるドットが含まれることとなるが、当該ノズルメンテナンス以外の画像データに基づき形成された画像に視覚的に影響が生じない。
この場合、各ヘッドユニット70において、全てのノズル711がノズルメンテナンスのための吐出を行うことが望ましいが、画像データによる画像形成において吐出が予定されていないノズル711のみについて、上記ノズルメンテナンスのための吐出を行う用にしても良い。
また、ノズルメンテナンスのための吐出は、ドットDが大きくならないように同一の色彩については、少なくとも互いに近接するノズル711から同時に吐出を行わないように制御する。また、個々のドットDのドット径についても上限を定める等により、より小さく吐出を行うよう制御することが望ましい。
また、この場合も照射部93に最も近接するイエローのヘッドユニット70については他のヘッドユニット70よりもインクの吐出量を多くするか或いは吐出頻度を多くする。
また、メンテナンス時の吐出動作において、照射部93に最も近いヘッドユニット70における吐出量を他のヘッドユニット70よりも多くすることで、メンテナンスの必要性に応じた適切な量で吐出ができ、結果的にインク消費量を低減することが可能である。
また、この場合も、ノズルメンテナンスのための吐出の必要性が高いイエローのヘッドユニット70のみについて当該吐出を行うよう制御しても良い。
なお、画像形成部20における第一及び第二ヒーター91,94は、いずれも赤外線を照射する非接触方式の加熱手段を使用しているが、例えば、いずれか一方或いは双方とも接触式の加熱手段を使用しても良い。
図15は接触式の加熱手段としての加熱ローラ91Aの概略構成を示す断面図である。図示のように、加熱ローラ91Aは、例えばアルミニウム等の金属からなる中空パイプ911Aと、中空パイプ911Aの全周を覆う例えばシリコンゴム等の弾性層912Aと、中空パイプ911Aに内蔵されて、中空パイプ911A及び弾性層912Aを加熱するハロゲンヒータ等の加熱源913Aとを備えている。
弾性層912Aは、熱伝導性の優れた材質であることが望ましい。さらに、弾性層912Aの表面は、滑り性のよい材質(例えばPFAチューブ等)を被膜しておき、耐久性を高めておくことも可能である。
また、記録媒体Pの搬送装置は、上述した画像形成ドラム50のようにドラム式に限らず、例えば、ローラー搬送されるベルト機構に乗せて記録媒体を搬送する構成としても良い。
10 給紙部
20,20A 画像形成部
21A インク吸収体
30 排紙部
40 制御部
50,50A 画像形成ドラム
51 爪部
52 吸気部
60 メンテナンス装置
70 ヘッドユニット
71 記録ヘッド
73 インクヒーター(インク加熱手段)
80 搬送機構
83 排紙ドラム(排紙経路)
84 排紙ベルト機構(排紙経路)
93 照射部(エネルギー線照射手段)
711 ノズル
D ドット
F 搬送方向
P 記録媒体
R1 画像形成領域
R2 インク排出領域
X 幅方向
Claims (7)
- 記録媒体を所定方向に搬送する搬送装置と、
前記搬送装置で搬送される記録媒体の搬送方向と直交する方向における画像記録領域の最大幅以上となるよう、エネルギー線の照射により硬化するインクを吐出する複数のノズルを配列させたヘッド機構と、
前記ヘッド機構によりインクの吐出が行われた前記搬送装置で搬送される記録媒体に前記エネルギー線を照射するエネルギー線照射手段と、
制御部と、を備え、
前記ヘッド機構は前記搬送装置で搬送される記録媒体の搬送方向に並べて複数配列され、前記エネルギー線照射手段は前記搬送方向に沿って前記複数のヘッド機構より下流側に配置されており、前記制御部は、前記複数のヘッド機構を制御して、前記エネルギー線照射手段に最も近接するヘッド機構が他のヘッド機構よりも吐出頻度又は吐出総量が多くなるように、前記ノズルの保守のための吐出動作を実行させることを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御部は、前記複数のヘッド機構を制御して、前記記録媒体の画像形成領域外に前記ノズルの保守のための吐出動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記ノズルの保守のための吐出動作を、前記複数のヘッド機構を制御して、前記記録媒体の画像形成領域内に視覚的に認識できない程度に吐出ドットを分散させて実行することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記複数のヘッド機構には、少なくとも二種以上の異なる分光吸収特性のインクを吐出するヘッド機構を含むものであって、前記エネルギー線照射手段に最も近接する位置に配置されるヘッド機構は、他のヘッド機構よりも一定のインク吐出量における視覚濃度が最も低い分光吸収特性のインクを吐出するヘッド機構であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
- 前記制御部は、前記複数のヘッド機構を制御して、前記搬送装置における記録媒体の保持領域外に前記ノズルの保守のための吐出動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記搬送装置は、前記記録媒体の保持領域外に、記録媒体の搬送と共に移動するインク吸収体を備え、
前記制御部は、前記複数のヘッド機構を制御して、前記インク吸収体に前記ノズルの保守のための吐出動作を実行させ、前記エネルギー線照射手段はエネルギー線が照射される領域内を前記インク吸収体が通過する際にはエネルギー線を照射しないように制御することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。 - 前記インク吸収体は、前記搬送装置に対して交換可能に装備され、
前記制御部は、前記インク吸収体について予め定められた交換条件が満たされると、前記インク吸収体の交換を報知手段を通じて報知すると共に前記エネルギー線照射手段が前記インク吸収体にエネルギー線を照射するように制御することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
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