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JP5868764B2 - パワーステアリング装置 - Google Patents

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JP5868764B2 JP2012082914A JP2012082914A JP5868764B2 JP 5868764 B2 JP5868764 B2 JP 5868764B2 JP 2012082914 A JP2012082914 A JP 2012082914A JP 2012082914 A JP2012082914 A JP 2012082914A JP 5868764 B2 JP5868764 B2 JP 5868764B2
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Description

本発明は、パワーステアリング装置に関する。
パワーステアリング装置である例えば電動パワーステアリング装置は、入力軸に連結されるピニオン軸と、ピニオン軸のピニオンと噛み合うラックを備えるラック軸とを備え、ラック軸に連係する被操舵部に、電動モータの出力トルクをアシスト力として付与している。このとき、ステアリングホイールからの操舵力はトルクセンサで検出され、このトルクセンサからのトルク信号と車からの車速信号とに基づく電流が電動モータに供給される。
公報記載の従来技術として、例えば特許文献1には、ラック軸を収容するギヤボックスに、モータと連係するとともに外周にアシストピニオンギヤを備えたアシスト軸を収容する凹部を形成し、この凹部底面に設けたバネ部材とアシストピニオンギヤ端部との間に軸受を保持する一方、ギヤケースに設けた軸受によりアシスト軸の段差部を押さえ込むようにして、アシスト軸が、バネ部材のバネ力により、軸受を介してギヤボックス内に保持されるようにした電動パワーステアリング装置が記載されている。
特開平10−236322号公報
ところで、電動パワーステアリング装置において、ピニオン軸をハウジングに保持する保持部材が例えば損傷などしてピニオン軸の保持が解除されると、ピニオン軸がハウジング内において移動可能な状態となる可能性がある。このような場合、例えばピニオン軸の接触によってハウジングが損傷したり、ピニオン軸が他の部材と噛み合ってピニオン軸が回転できなくなったりするおそれがある。
本発明は、かかる技術的課題を解決するためになされたものであって、ピニオン軸の保持が解除された状態でもピニオン軸の回転を維持させることを目的とする。
上記の目的を達成する本発明は、被操舵部に連結するラック軸に操舵部からの操舵力を伝達する伝達部と、操舵部における操舵に基づいてラック軸に操舵補助力を付与する操舵補助部とを備えたパワーステアリング装置であって、操舵補助部は、ラック軸のラックに接続するピニオンを有するピニオン軸と、ウォームギヤを回転駆動させる駆動部と、ピニオン軸に設けられ、駆動部のウォームギヤに接続して駆動部の駆動力を受けてピニオン軸を回転させるウォームホイールと、少なくともピニオン軸の端部側を覆うように設けられるカバー部材と、ピニオン軸とカバー部材との対向部に設けられ、ピニオン軸がカバー部材に向けて移動した際にピニオン軸の端部とカバー部材との間に挟まれた状態でピニオン軸の回転を許容する回転許容部と、を備え、回転許容部は、ピニオン軸の端部に設けられてカバー部材との間に隙間を形成しピニオン軸が移動した際にピニオン軸の回転を許容する回転許容部材、または、カバー部材に設けられてピニオン軸の端部との間に隙間を形成しピニオン軸が移動した際にピニオン軸の回転を許容する回転許容部材を有していることを特徴とするパワーステアリング装置である。
た、回転許容部材は、ピニオン軸の端部またはカバー部材との間に、ウォームホイールとウォームギヤとが回転可能に噛み合う許容範囲内で設定された距離の隙間を形成することを特徴とすることができる。
そして、操舵補助部は、少なくともピニオン軸を保持するハウジングと、ピニオン軸を回転可能に保持する軸受部と、ピニオン軸に取り付けられて軸受部をハウジングに固定することで、ハウジングにピニオン軸を保持させる固定部材と、をさらに備え、回転許容部は、固定部材による固定が解除された際に、ピニオン軸の端部とカバー部材との間でピニオン軸の回転を許容することを特徴とすることができる。
本発明によれば、ピニオン軸の保持が解除された状態でもピニオン軸の回転を維持させることが可能となる。
本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置の全体構成図である。 本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置の伝達機構部を説明する構成図である。 本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置のアシスト部を説明する構成図である。 図1に示す矢印IV側からみたアシスト部の上面図である。 本実施形態の回転許容部の作用を説明するための図である。 変形例1の回転許容部について説明するための図である。 変形例2の回転許容部について説明するための図である。 変形例3の回転許容部について説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔パワーステアリング装置の全体構成〕
図1は、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1の全体構成図である。図2は、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1の伝達機構部Aを説明する構成図であり、図1に示すII−II断面である。図3は、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1のアシスト部Bを説明する構成図であり、図1に示すIII−III断面である。図4は、図1に示す矢印IV側からみたアシスト部Bの上面図である。
図1に示すように、本実施形態が適用される電動パワーステアリング装置1は、いわゆるダブルピニオン型のパワーステアリング装置である。電動パワーステアリング装置1は、操舵部材(ステアリングホイール)からの操舵力をラック軸24に伝達する伝達機構部Aと、駆動部30からの操舵補助力をラック軸24に伝達してラック軸24の移動をアシストするアシスト部Bとを有する。
例えば車体フレーム(不図示)等に固定されるギヤハウジング10は、図1に示すように、伝達機構部Aを構成するハンドル側ギヤハウジング10Aと、アシスト部Bを構成するアシスト側ギヤハウジング10Bとを有する。ハンドル側ギヤハウジング10Aとアシスト側ギヤハウジング10Bとは、ラック軸24まわりで連結されてギヤハウジング10を構成する。
ハンドル側ギヤハウジング10Aは、入力軸21と、出力軸であるハンドル側ピニオン軸23(図2参照)とを回転可能に支持している。入力軸21は、ステアリングホイール(不図示)に連結されたアッパーシャフト(不図示)と連結している。
一方、アシスト側ギヤハウジング10Bは、アシスト側ピニオン軸33(図3参照)を回転可能に支持している。ラック軸24の両端部には左右のタイロッド48A,48Bが連結されている。このタイロッド48A,48Bはナックルアーム(不図示)を介して被操舵部である例えばタイヤ(不図示)に連結されている。ラック軸24はハンドル側ギヤハウジング10Aの第1ハウジング11(図2参照)とアシスト側ギヤハウジング10Bの第1ハウジング17(図3参照)とに設けられた軸受(不図示)によって、図1の左右方向に摺動性を良好に保った状態で支持されている。
〔伝達機構部Aの構成〕
図2に示すように、伝達部の一例としての伝達機構部Aのハンドル側ギヤハウジング10Aは、第1ハウジング11と第2ハウジング12とに分割され、これらが組み付けられてハウジングを形成している。そして、組み付けられる第1ハウジング11と第2ハウジング12とを固定する固定部材として、ハウジング固定ボルト13を有している。ハウジング固定ボルト13は、後述するように、例えば、軸方向に直交する方向の2点に、一直線上または一定の角度を有して設けられ、軸方向(図2では上から下のS方向)に向けて、第1ハウジング11と第2ハウジング12との締め付けを行っている。図2では、2点のうちの1点のハウジング固定ボルト13を示している。
伝達機構部Aは、図2に示すように、ステアリングホイール(不図示)に連結される入力軸21を有している。また、この入力軸21にトーションバー22を介して連結されるハンドル側ピニオン軸(出力軸)23を、入力軸21と同軸上に有している。
さらに、ハンドル側ピニオン軸23はピニオン23Aを有しており、このピニオン23Aをラック軸24のハンドル側ラック24Aに噛み合わせている。これにより、ラック軸24は、ステアリングホイールに加えた操舵トルクに従って直線運動が可能となり、図1に示すギヤハウジング10の左右方向に移動する。
入力軸21はハンドル側ギヤハウジング10Aの第2ハウジング12に設けられた軸受21Jにより保持され、ハンドル側ピニオン軸23はハンドル側ギヤハウジング10Aの第1ハウジング11に設けられた軸受23J、23Kにより保持される。
また、ハンドル側ギヤハウジング10Aの第1ハウジング11内には、ラック軸24のハンドル側ラック24Aをハンドル側ピニオン軸23のピニオン23Aに押付けるとともに、ラック軸24を摺動自在に支持するラックガイド25が取り付けられる。このラックガイド25は、第1ハウジング11のシリンダ部14に挿入される。
シリンダ部14は、このラック軸24を挟んでハンドル側ピニオン軸23と相対する部分に設けられている。ラックガイド25は、シリンダ部14に埋込ネジ形式により固定されるキャップ25Aを有し、ラック軸24をハンドル側ラック24Aの反対側から押圧するばね25Bを備えている。キャップ25Aが第1ハウジング11のシリンダ部14に締め付けられることで、ばね25Bがラック軸24を押圧し、ハンドル側ラック24Aはピニオン23Aと良好な噛み合いを維持している。
さらに、伝達機構部Aは、入力軸21とハンドル側ピニオン軸(出力軸)23との相対回転角度を検出し、検出した相対回転角度に基づいて操舵トルクを検出するトルク検出装置40とを備えている。そして、トルク検出装置40は、操舵トルクの検出結果を不図示のECU(Electronic Control Unit)に送る。そして、ECUは、トルク検出装置40から取得した操作トルクの検出結果に基づいて、アシスト部Bの電動モータ30M(後述する図4参照)を駆動制御する。
〔アシスト部Bの構成〕
操舵補助部の一例としてのアシスト部Bは、図3に示すように、アシスト側ギヤハウジング10Bと、アシスト側ピニオン軸33と、アシスト側ピニオン軸33に接続するウォームホイール34と、アシスト側ピニオン軸33とラック軸24との接続を案内するラックガイド38と、アシスト側ピニオン軸33が軸方向の移動した場合においてアシスト側ピニオン軸33の回転を許容する回転許容部50とを有している。さらに、アシスト部Bは、図4に示すように、ウォームホイール34を回転駆動する駆動部30を備えている。
アシスト側ギヤハウジング10Bは、図3に示すように、第1ハウジング17と第2ハウジング18とに分割され、これらが組み付けられてハウジングを形成している。さらに、第2ハウジング18には、カバー部材19が組み付けられる。第1ハウジング17と第2ハウジング18とは、それぞれ内側に筒状の空間を有する部材である。そして、第1ハウジング17は、主にアシスト側ピニオン軸33とラック軸24との接続部分におけるハウジングを形成する。また、第2ハウジング18は、主にアシスト側ピニオン軸33とウォームホイール34との接続部分におけるハウジングを形成する。
第1ハウジング17は、第2ハウジング18との嵌め合い箇所を構成する嵌合い部17Jを有している。また、第2ハウジング18は、第1ハウジング17との嵌め合い箇所を構成する嵌合い部18Jを有している。そして、本実施形態では、嵌合い部18Jの外径は、嵌合い部17Jの内径よりも若干大きく形成されている。そして、第1ハウジング17と第2ハウジング18とは、シール部材Sを間に挟んだ状態で、嵌合い部17Jに嵌合い部18Jが挿入されて嵌め合わされる。そして、第1ハウジング17と第2ハウジング18とは、固定ボルトBLによって固定される。
また、カバー部材19は、第1ハウジング17の嵌合い部17Jとは反対側の端部に形成される開口を覆うように設けられる。カバー部材19は、図3に示すように、固定ボルト20によって第2ハウジング18に固定される。
アシスト側ピニオン軸33は、車両に搭載された状態で、鉛直方向に対して交差配置される。本実施形態では、アシスト側ピニオン軸33が車両の前後方向に沿うように、概ね水平方向に横置きされる(図1参照)。
アシスト側ピニオン軸33は、図3に示すように、ピニオン33Pを有している。そして、アシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pがラック軸24のアシスト側ラック24Bに接続する。なお、本実施形態のアシスト部Bでは、アシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pとラック軸24のアシスト側ラック24Bの双方又は少なくとも一方を、それらの歯すじがそれらの中心軸に斜交する斜歯歯車としている。なお、本実施形態のアシスト側ピニオン軸33は金属製である。
また、アシスト側ピニオン軸33には、ウォームホイール34が設けられる。そして、アシスト側ピニオン軸33は、ウォームホイール34を介して駆動部30から回転駆動力を受けて回転する。
アシスト側ピニオン軸33は、一端側が第1ハウジング17に設けられる第1軸受33Jに保持され、他端側が第2ハウジング18に設けられる第2軸受33K保持される。
第2軸受33Kの内輪は、アシスト側ピニオン軸33のハブ33Hとロックナット36とに挟まれるようにして、アシスト側ピニオン軸33の外周に取り付けられる。また、第2軸受33Kの外輪は、第2ハウジング18に形成される保持部18HとサークリップCとの間に挟まれるようにして第2ハウジング18に固定される。
一方、第1軸受33Jの外輪は第1ハウジング17に圧入され、アシスト側ピニオン軸33の一端部は第1軸受33Jの内輪に隙間嵌めされている。
そして、アシスト側ピニオン軸33は、第1ハウジング17に圧入される第1軸受33Jに保持されることで、第1ハウジング17側に向けた方向の移動が制限される。
また、アシスト側ピニオン軸33は、埋込ネジ形式によりアシスト側ピニオン軸33に固定されるロックナット36によって、第2軸受33Kを挟んで第2ハウジング18の保持部18Hに突き当てられる。これによって、アシスト側ピニオン軸33は、第2ハウジング18側に向けた方向の移動が制限される。
以上のようにして、アシスト側ピニオン軸33は、アシスト側ギヤハウジング10Bにおいて、回転可能に保持されるとともに、軸方向には移動しないように取り付けられる。
ウォームホイール34は、アシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pが形成される側とは逆側の端部に設けられる。ウォームホイール34の回転軸は、アシスト側ピニオン軸33と同軸になるように形成される。そして、図4に示すように、ウォームホイール34は、駆動部30のウォームギヤ32(後述)と噛み合う。なお、本実施形態のウォームホイール34は、この金属製のアシスト側ピニオン軸33のハブ33Hに一体成形された樹脂成形体で構成される。
ラックガイド38は、第1ハウジング17のシリンダ部17Aに設けられる。ラックガイド38は、ラック軸24を挟んでアシスト側ピニオン軸33と相対する部分に設けられている。そして、ラックガイド38は、シリンダ部17Aに埋込ネジ形式により固定されるキャップ38Aを有し、ラック軸24をアシスト側ラック24Bの反対側から押圧するばね38Bを備えている。キャップ38Aが第1ハウジング17のシリンダ部17Aに締め付けられることで、ばね38Bがラック軸24を押圧し、アシスト側ラック24Bはピニオン33Pと良好な噛み合いを維持している。
そして、ラックガイド38は、ラック軸24のアシスト側ラック24Bをアシスト側ピニオン軸33のピニオン33Pに押付けるとともに、ラック軸24を摺動自在に支持する。
駆動部30は、図4に示すように、電動モータ30Mと、電動モータ30Mを囲うモータケース31と、電動モータ30Mの駆動軸に連結するウォームギヤ32とを有している。モータケース31は、第2ハウジング18に接続されている。電動モータ30Mは、トルク検出装置40(図2参照)の検出結果に応じて不図示のECUによって駆動制御される。そして、ウォームギヤ32は、ウォームホイール34に接続し、電動モータ30Mの出力トルクをウォームホイール34に伝達する。
回転許容部50は、図3に示すように、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材19との間に設けられる。そして、回転許容部50は、後述するようにアシスト側ピニオン軸33がカバー部材19側に移動した際に、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材19との間に挟まれた状態にてアシスト側ピニオン軸33の回転を許容する。
本実施形態が適用される回転許容部50は、スラスト軸受51と、軸受保持部55とを備えて構成される。スラスト軸受51は、軸方向に力を受けながら回転する部材である。本実施形態では、図3に示すように、円筒形状の第1回転輪521および第2回転輪522と、第1回転輪521と第2回転輪522との間に放射状に配置される複数のコロ53とを有している。
軸受保持部55は、アシスト側ピニオン軸33の端部にてカバー部材19側に向けて突出する。そして、軸受保持部55は、円柱形状を有するとともに、外径がスラスト軸受51の第1回転輪521の内径よりも若干大きく形成される。そして、軸受保持部55には第1回転輪521が圧入されて、軸受保持部55は、スラスト軸受51を保持する。
また、図4に示すように、円柱形状の軸受保持部55の中心は、アシスト側ピニオン軸33の軸心と同軸上に形成している。これによって、軸受保持部55に保持されるスラスト軸受51の回転軸と、アシスト側ピニオン軸33の軸心に対して同軸上に位置するように設けられる。
そして、図3に示すように、スラスト軸受51は、カバー部材19に対して予め定められた距離L(カバー部材19の端面と第2回転輪522の端部面との距離)の隙間を形成する。この距離Lは、後述するようにアシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側に移動した場合に、ウォームギヤ32とウォームホイール34とが回転可能となる許容範囲内で設定される。
なお、スラスト軸受51とカバー部材19とが予め接触するように構成すると、スラスト軸受51とカバー部材19との間における摩擦によるロストルクが発生し、操舵感覚を悪化させるおそれがある。そこで、本実施形態の電動パワーステアリング装置1では、カバー部材19とスラスト軸受51との間に隙間を形成することで操舵感覚の向上を図っている。
図5は、本実施形態の回転許容部50の作用を説明するための図である。
アシスト部Bにおいて、例えばロックナット36の破損などによって、アシスト側ピニオン軸33の保持が解除される可能性がある。この場合、本実施形態では、図5に示すように、ロックナット36による第2ハウジング18に対するアシスト側ピニオン軸33の固定が解除される。そして、アシスト側ピニオン軸33は、アシスト側ギヤハウジング10Bにおいて移動可能な状態になる。このようにロックナット36が外れた状態にて、例えばラック軸24を介してアシスト側ピニオン軸33に大きな力がかかることで、アシスト側ピニオン軸33が移動しようする。
ここで、本実施形態のアシスト部Bでは、アシスト側ピニオン軸33のラック軸24側の端部は、アシスト側ギヤハウジング10Bの第1ハウジング17の内側において第1軸受33Jを介して保持される。そのため、本実施形態では、アシスト側ピニオン軸33は、第1ハウジング17側へとは移動しにくい。
一方で、アシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側の端部において、アシスト側ピニオン軸33への移動を妨げるものはない。そうすると、アシスト側ピニオン軸33は、カバー部材19側に向けて移動することになる。そして、アシスト側ピニオン軸33が移動することで、アシスト側ピニオン軸33に固定されるウォームホイール34は、ウォームギヤ32に対する位置関係がずれることになる。ここで、ウォームホイール34とウォームギヤ32とは、中心軸に対して歯が斜めに形成される斜歯歯車になっている。従って、ウォームホイール34とウォームギヤ32との相対位置が一定量以上ずれてしまうと、ウォームホイール34とウォームギヤ32とは回転し難くなる。その結果として、アシスト側ピニオン軸33が回転できなくなる可能性が高くなる。
これに対して、本実施形態のアシスト部Bでは、アシスト側ピニオン軸33とカバー部材19との間に回転許容部50を設けている。そして、図5に示すように、スラスト軸受51は、アシスト側ピニオン軸33が移動したときに、アシスト側ピニオン軸33に接触して、アシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側への一定量以上の移動を制限する。そして、スラスト軸受51は、ウォームホイール34とウォームギヤ32との相対位置のずれを、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能な範囲内に抑える。
さらに、スラスト軸受51は、アシスト側ピニオン軸33に形成される軸受保持部55に第1回転輪521が保持され、カバー部材19に第2回転輪522が接触した状態となる。そして、スラスト軸受51は、コロ53によって軸方向に力を受けた状態で回転可能であるため、アシスト側ピニオン軸33が回転可能な状態が維持される。
(変形例1の回転許容部50の構成)
続いて、変形例1の回転許容部50について説明する。なお、以下の説明において、上述した実施形態と同様の部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図6は、変形例1の回転許容部50について説明するための図である。
図6に示すように、変形例1の回転許容部50は、スラスト軸受51と、軸受保持部56とを有する。変形例1の回転許容部50では、スラスト軸受51を保持する軸受保持部56がカバー部材19に設けられる。
軸受保持部56は、カバー部材19からアシスト側ピニオン軸33に向けて突出する円柱形状の突起である。そして、円柱形状を有する軸受保持部56の外径は、スラスト軸受51の第1回転輪521のよりも大きい。そして、軸受保持部56は、第1回転輪521が圧入されてスラスト軸受51を保持する。
また、スラスト軸受51は、アシスト側ピニオン軸33の軸心と同軸上に位置するように設けられる。さらに、スラスト軸受51は、アシスト側ピニオン軸33の端部面に対して予め定められた距離L(アシスト側ピニオン軸33の端部面と第2回転輪522の端部面との距離)の隙間を形成する。この距離Lは、上述したようにアシスト側ピニオン軸33がカバー部材19側に移動した場合に、ウォームギヤ32とウォームホイール34とが回転可能となる許容範囲内で設定される長さである。
以上のように構成される変形例1の回転許容部50を有するアシスト部Bにおいて、アシスト側ピニオン軸33が移動したときには、スラスト軸受51がアシスト側ピニオン軸33の端部に接触して、アシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側への一定量以上の移動を制限する。そして、スラスト軸受51は、ウォームホイール34とウォームギヤ32との相対位置のずれを、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能な範囲内に抑える。
さらに、スラスト軸受51は、カバー部材19に形成される軸受保持部56に第1回転輪521が保持され、アシスト側ピニオン軸33に第2回転輪522が接触した状態となる。そして、スラスト軸受51は、コロ53によって軸方向に力を受けた状態で回転可能であるため、アシスト側ピニオン軸33が回転可能な状態が維持される。
(変形例2の回転許容部50の構成)
図7は、変形例2の回転許容部50について説明するための図である。
変形例2の回転許容部50は、すべり軸受けであるすべり軸受61と、すべり軸受61を保持する軸受保持部65とを有している。
すべり軸受61は、多数の孔を有する焼結金属などを母材とし、その母材に潤滑油を含ませたものである。本実施形態のすべり軸受61は円筒形状を有している。そして、すべり軸受61は、内周面621と、円環状の端部面622とを備えて構成される。
軸受保持部65は、図7に示すように、アシスト側ピニオン軸33の端部にてカバー部材19側に向けて突出する。そして、軸受保持部65は、円柱形状を有するとともに、外径がすべり軸受61の内周面621の内径よりも若干大きく形成される。そして、軸受保持部65は、内周面621が圧入されてすべり軸受61を保持する。
また、軸受保持部65は、軸方向においてすべり軸受61よりも短くなるように形成されている。そして、軸受保持部65は、すべり軸受61を保持した状態にて、すべり軸受61から突出しないよう構成されている。
また、すべり軸受61は、カバー部材19に対して予め定められた距離L(カバー部材19の端面と端部面622との距離)の隙間を形成する。この距離Lは、上述したようにアシスト側ピニオン軸33がカバー部材19側に移動した場合に、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能となる許容範囲内で設定される長さである。
また、すべり軸受61の軸心は、アシスト側ピニオン軸33の軸心と同軸上に位置するように設けられる。これによって、変形例2の回転許容部50では、の回転するアシスト側ピニオン軸33がすべり軸受61に接触した状態において、軸受保持部65とすべり軸受61の内周面621との間においても滑りを生じさせ、アシスト側ピニオン軸33が回転し易くなるように構成している。
以上のように構成される変形例2の回転許容部50を有するアシスト部Bにおいて、アシスト側ピニオン軸33が移動したときには、すべり軸受61がカバー部材19に接触することで、アシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側への一定量以上の移動を制限する。そして、すべり軸受61は、ウォームホイール34とウォームギヤ32との相対位置のずれを、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能な範囲内に抑える。
さらに、すべり軸受61は、カバー部材19に端部面622が接触した状態となる。そして、すべり軸受61は、軸方向に力を受けた状態で回転可能であるため、アシスト側ピニオン軸33が回転可能な状態が維持される。
(変形例3の回転許容部50の構成)
図8は、変形例3の回転許容部50について説明するための図である。
図8に示すように、変形例3の回転許容部50は、すべり軸受61と、軸受保持部66とを有する。変形例3の回転許容部50では、すべり軸受61を保持する軸受保持部66がカバー部材19に設けられる。
軸受保持部66は、カバー部材19からアシスト側ピニオン軸33に向けて突出する円柱状の突起である。そして、円柱状の軸受保持部66の外径は、すべり軸受61の内周面621よりも若干大きく形成される。そして、軸受保持部56は、内周面621が圧入されてすべり軸受61を保持する。
また、軸受保持部66は、軸方向においてすべり軸受61よりも短くなるように形成されている。そして、軸受保持部66は、すべり軸受61を保持した状態にて、すべり軸受61から突出しないよう構成されている。
また、すべり軸受61の軸心は、アシスト側ピニオン軸33と同軸上に位置するように設けられる。さらに、すべり軸受61は、アシスト側ピニオン軸33の端部面に対して予め定められた距離L(アシスト側ピニオン軸33の端部面と端部面622との距離)の隙間を形成する。この距離Lは、上述したようにアシスト側ピニオン軸33がカバー部材19側に移動に場合に、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能となる許容範囲内で設定される長さである。
以上のように構成される変形例3の回転許容部50を有するアシスト部Bにおいて、アシスト側ピニオン軸33が移動したときには、すべり軸受61がアシスト側ピニオン軸33の端部に接触することで、アシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側への一定量以上の移動を制限する。そして、すべり軸受61は、ウォームホイール34とウォームギヤ32との相対位置のずれを、ウォームホイール34とウォームギヤ32とが回転可能な範囲内に抑える。
さらに、すべり軸受61は、アシスト側ピニオン軸33の端部に端部面622が接触した状態となる。そして、すべり軸受61は、軸方向に力を受けた状態で回転可能であるため、アシスト側ピニオン軸33が回転可能な状態が維持される。
なお、上述した本実施形態のアシスト部Bにおいては、アシスト側ピニオン軸33に回転許容部50を設ける構成としているが、この態様に限定されるものではない。例えばアシスト側ピニオン軸33よりもウォームホイール34がカバー部材19側に突出するような構造の場合には、ウォームホイール34に回転許容部50を設ける構成を採用してもよい。このように、アシスト側ピニオン軸33の端部として、アシスト側ピニオン軸33のカバー部材19側の端、あるいはアシスト側ピニオン軸33の端に設けられるウォームホイール34に回転許容部50を設けることによって、アシスト側ピニオン軸33の回転を維持させることができる。
1…電動パワーステアリング装置、10…ギヤハウジング、23…ハンドル側ピニオン軸、24…ラック軸、33…アシスト側ピニオン軸、40…回転許容部、51…スラスト軸受、61…すべり軸受、A…伝達機構部、B…アシスト部

Claims (3)

  1. 被操舵部に連結するラック軸に操舵部からの操舵力を伝達する伝達部と、当該操舵部における操舵に基づいて当該ラック軸に操舵補助力を付与する操舵補助部とを備えたパワーステアリング装置であって、
    前記操舵補助部は、
    前記ラック軸のラックに接続するピニオンを有するピニオン軸と、
    ウォームギヤを回転駆動させる駆動部と、
    前記ピニオン軸に設けられ、前記駆動部の前記ウォームギヤに接続して当該駆動部の駆動力を受けて当該ピニオン軸を回転させるウォームホイールと、
    少なくとも前記ピニオン軸の端部側を覆うように設けられるカバー部材と、
    前記ピニオン軸と前記カバー部材との対向部に設けられ、当該ピニオン軸が当該カバー部材に向けて移動した際に当該ピニオン軸の端部と当該カバー部材との間に挟まれた状態で当該ピニオン軸の回転を許容する回転許容部と、を備え、
    前記回転許容部は、前記ピニオン軸の端部に設けられて前記カバー部材との間に隙間を形成し当該ピニオン軸が移動した際に当該ピニオン軸の回転を許容する回転許容部材、または、当該カバー部材に設けられて当該ピニオン軸の端部との間に隙間を形成し当該ピニオン軸が移動した際に当該ピニオン軸の回転を許容する回転許容部材を有していることを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 前記回転許容部材は、前記ピニオン軸の端部または前記カバー部材との間に、前記ウォームホイールと前記ウォームギヤとが回転可能に噛み合う許容範囲内で設定された距離の前記隙間を形成することを特徴とする請求項に記載のパワーステアリング装置。
  3. 前記操舵補助部は、
    少なくとも前記ピニオン軸を保持するハウジングと、
    前記ピニオン軸を回転可能に保持する軸受部と、
    前記ピニオン軸に取り付けられて前記軸受部を当該ハウジングに固定することで、当該ハウジングに前記ピニオン軸を保持させる固定部材と、をさらに備え、
    前記回転許容部は、前記固定部材による固定が解除された際に、前記ピニオン軸の端部と前記カバー部材との間で当該ピニオン軸の回転を許容することを特徴とする請求項1または2に記載のパワーステアリング装置。
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