JP5840483B2 - 可逆熱変色性固形筆記体の製造方法 - Google Patents
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Description
前記可逆熱変色性固形筆記体は、色材として可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、結合材とを含有してなり、前記可逆熱変色性組成物は加熱により消色し、冷却により発色する熱変色挙動を示す。
前記可逆熱変色性固形筆記体の製造工程において、成型時に加熱を要する場合は、マイクロカプセル顔料中の可逆熱変色性組成物が消色する温度以上に加熱すると消色するため成型後の固形筆記体中に含まれるは可逆熱変色性組成物は無色の状態を呈する。
前記可逆熱変色性固形筆記体は、発色温度が環境温度を超える系にあっては自然放置することにより可逆熱変色性組成物が発色状態になり、発色温度が環境温度を未満の系にあっては冷却することによって可逆熱変色性組成物が発色状態になるため、筆記が可能になるものの、自然放置は時間がかかるため生産性を満足させ難く、冷却には装置が必要であると共に、冷却後の製品には結露が発生し易く、結露を乾燥させる手間を要したり、乾燥時に熱が加わると再度可逆熱変色性組成物が消色するといった不具合を生じることがある。
更には、溶剤を含んでなり、温度t4未満の温度で加温処理して結合材を結着させて成型した後、温度t4未満の温度で乾燥させて溶剤を除去すること、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度t4が50℃以上であり、且つ、温度t2が5℃以下であること、色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色すること等を要件とする。
図2において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全に消色した状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色し始める温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色し始める温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全に発色した状態に達する温度t1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が大きい程、変色前後の各状態の保持が容易である。
ここで、t4とt3の差、或いは、t2とt1の差(Δt)が変色の鋭敏性を示す尺度である。
ここで、発色状態が常温域(25℃前後)で保持でき、且つ、筆跡の摩擦による変色性を容易とするために何故完全消色温度(t4)が50℃以上、且つ、発色開始温度(t2)が5℃以下であるかを説明すると、発色状態から消色開始温度(t3)を経て完全消色温度(t4)に達しない状態で加温を止めると、再び第一の状態に復する現象を生じること、及び、消色状態から発色開始温度(t2)を経て完全発色温度(t1)に達しない状態で冷却を中止しても発色を生じた状態が維持されることから、完全消色温度(t4)が常温域を越える50℃以上であれば、発色状態は通常の使用状態において維持されることになり、発色開始温度(t2)が常温域を下回る5℃以下の温度であれば消色状態は通常の使用において維持される。
更に、摩擦により筆跡を消去する場合、完全消色温度(t4)が95℃以下であれば、筆記面に形成された筆跡上を摩擦部材による数回の摩擦による摩擦熱で十分に変色させることができる。
完全消色温度(t4)が95℃を越える温度の場合、摩擦部材による摩擦で得られる摩擦熱が完全消色温度に達し難くなるため、容易に変色し難くなり、摩擦回数が増加したり、或いは、荷重をかけ過ぎて摩擦する傾向にあるため、筆記面を傷めてしまう虞がある。
よって、前記温度設定は筆記面に発色状態の筆跡を形成してその状態を保持し、加熱により変色(消色)してその状態を保持する可逆熱変色性固形筆記体には重要な要件であり、利便性と実用性を満足させることができる。
前述の完全消色温度(t4)の温度設定において、発色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより高い温度であることが好ましく、しかも、摩擦による摩擦熱が完全消色温度(t4)を越えるようにするためには低い温度であることが好ましい。
よって、完全消色温度(t4)は50〜95℃、好ましくは55〜90℃、より好ましくは60〜80℃である。
更に、前述の発色開始温度(t2)の温度設定において、消色状態が通常の使用状態において維持されるためにはより低い温度であることが好ましく、0℃以下が好適であり、−5℃以下がより好適である。
なお、筆記体に分散された状態の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を予め発色状態にするためには冷却手段としては汎用の冷凍庫にて冷却することが好ましいが、冷凍庫の冷却能力を考慮すると、−50℃迄が限度であり、完全発色温度(t1)は−50℃〜5℃、好ましくは−50℃〜0℃、より好ましくは−50℃〜−5℃である。
本発明においてヒステリシス幅(ΔH)は40℃乃至100℃の範囲であり、好ましくは50乃至100℃、更に好ましくは60乃至100℃である。
前記(イ)成分である電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジフェニルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、
3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアミノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、
2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン、
3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、
4,5,6,7−テトラクロロ−3−[4−(ジメチルアミノ)−2−メチルフェニル]−3−(1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル)−1(3H)−イソベンゾフラノン、
3′,6′−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
3′,6′−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9′−〔9H〕キサンテン]−3−オン、
4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン等を挙げることができる。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2−エチルヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を得ることのできる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等を挙げることができる。
また、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を挙げることができる。
前記式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
前記化合物としては、こはく酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2−フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
前記可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル化する方法としては、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態の他、非円形断面の形態であってもよい。
ここで、可逆熱変色性組成物とマイクロカプセル壁膜の質量比は7:1〜1:1、好ましくは6:1〜1:1の範囲を満たす。
可逆熱変色性組成物の壁膜に対する比率が前記範囲より大になると、壁膜の厚みが肉薄となり過ぎ、圧力や熱に対する耐性の低下を生じ易く、壁膜の可逆熱変色性組成物に対する比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を生じ易くなる。
前記マイクロカプセルは平均粒子径が30μmを越えると分散安定性に欠けることがあり、また、平均粒子径が0.1μm未満では高濃度の発色性を示し難くなる。
粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を体積基準で算出する。
前記結合材としては、ワックスや樹脂が用いられ、ワックスとしては、ポリアルキレンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カスターワックス、蜜ろう、木ろう等が挙げられる。
前記樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニリデン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、マレイン酸重合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体、テルペン、ポリアクリルアマイド、ロジンエステル等が挙げられる。
前記体質材としては、色鉛筆芯やシャープペンシル用芯に用いられるタルク、マイカ、カオリン、クレー、沈降性硫酸バリウム、炭酸カルシウム、窒化ホウ素、チタン酸カリウムウィスカー等が用いられ、強度の向上や書き味を調整する目的で配合される。
ヒンダードアミン系化合物を以下に例示する。
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートとの混合物、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとの混合エステル化物、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、
N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、
N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペレジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、
ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ})、
コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、
コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの重合物とN,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス−
(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミンとの1対1の反応生成物、
ジブチルアミン・1,3−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、
デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル(1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシド)とオクタンとの反応生成物、
シクロヘキサンと過酸化N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの反応生成物と2−アミノエタノールとの反応生成物等を例示することができる。
なお、前記ヒンダードアミン系光安定剤として、下記一般式(7)で示される化合物が好適に用いられる。
前記ヒンダードアミン系光安定剤の分子量が1000以下であることにより結合材との相溶性に富み、ブリードアウトし難くなるため、経時後も明瞭な筆跡を形成することができる。
なお、前記ヒンダードアミン系光安定剤の融点が120℃以下であると製造時に過度の熱を加えることなく可逆熱変色性固形筆記体を製造することができるため、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料や各種添加剤が劣化することを防止できる。
また、前記可逆熱変色性固形筆記体が鉛筆芯やシャープペンシル用芯の場合、固形筆記体全量中、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を10乃至60質量%、好ましくは20乃至50質量%、結合材を10乃至40質量%、体質材10乃至70質量%、好ましくは20乃至60質量%含有させることが好ましい。
前記ショ糖脂肪酸エステルやデキストリン脂肪酸エステルは、比較的低融点であるため、筆記時に軟化して擦過抵抗を吸収すると推測され、筆記抵抗を低減し発熱が抑制される。
前記ショ糖脂肪酸エステルとしては、炭素数12〜22の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好適であり、より好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸がより好適である。
具体的には、三菱化学フーズ(株)製:リョートーシュガーエステルシリーズ、第一工業製薬(株)製:シュガーワックスシリーズ等を例示できる。
前記デキストリン脂肪酸エステルとしては、炭素数14〜18の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好適であり、より好ましくは、パルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸がより好適である。
具体的には、千葉製粉(株)製:レオパールシリーズ等を例示できる。
前記吸熱相変化化合物は、可逆熱変色性組成物とは非相溶の状態で存在させて、可逆熱変色性組成物を加熱した際に生じる熱エネルギーを吸熱し、消色開始温度に達しても消色を開始することなく発色状態を維持することができる。よって、筆記する際に生じる摩擦熱によって筆跡が消色することを防止することができる。
前記吸熱相変化化合物は、可逆熱変色性組成物の(ハ)成分よりも融点の低い化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、可逆熱変色性組成物の(ハ)成分と同様の化合物を内包したマイクロカプセルを用いることができる。
よって、前記製造方法により得られる可逆熱変色性固形筆記体中の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は有色状態を維持するため、再発色させる従来の製造方法と比較して生産性を満足させることができる。
また、有色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、結合材と、必要により各種添加剤と、溶剤を必要とする場合、完全消色温度t4未満の温度で加温処理して結合材を結着させて成型した後、温度t4未満の温度で乾燥させて溶剤を除去することにより可逆熱変色性固形筆記体を製造する。
前記製造方法における可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と結合材の混合工程は特に限定されるものではなく、予め可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と結合材を混合し、完全消色温度t4未満の温度で加温処理してもよいし、結合材を完全消色温度t4未満の温度で加温処理しながら可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を投入、混合してもよいし、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を完全消色温度t4未満の温度で加温処理しながら結合材を投入、混合してもよい。
溶剤については、製造当初から混合してもよいし、製造途中で投入してもよい。また、形成材料中に予め含有されていてもよい。
前記溶剤は、温度t4未満の温度で加温処理して結合材を結着させて成型した後、温度t4未満の温度で乾燥させることにより除去される。
前記加熱具としては、抵抗発熱体を装備した通電加熱変色具、温水等を充填した加熱変色具、ヘアドライヤーの適用が挙げられるが、好ましくは、簡便な方法により変色可能な手段として摩擦部材が用いられる。
前記摩擦部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるゴム、エラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。
なお、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、消しカスが殆ど発生しない前述の摩擦部材が好適に用いられる。
前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)、ポリエステル系樹脂、ポリエステル系エラストマー等が用いられる。
なお、実施例中の部は質量部を示す。
実施例1
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(ジブチルアミノ)−8−(ジペンチルアミノ)−4−メチル−スピロ[5H−[1]ベンゾピラノ[2,3−g]ピリミジン−5,1′(3′H)−イソベンゾフラン]−3−オン1.0部、(ロ)成分として4,4′−(2−エチルヘキサン−1、1−ジイル)ジフェノール3.0部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン5.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t1:−20℃、t2:−10℃、t3:48℃、t4:58℃、ΔH:68℃、平均粒子径:2.3μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、ピンク色から無色に色変化する)を調製した。
なお、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、予め−20℃以下に冷却してピンク色に発色させてなる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、結合材として木ろう60部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕10部を50℃で加熱混合し、クレヨン成形金型に流し込み冷却させて可逆熱変色性固形筆記体(クレヨン)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、ピンク色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡はSEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び可逆熱変色性固形筆記体を用いて文字を書くことができた。
可逆熱変色性固形筆記体の作製
実施例1と同様の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、結合材として木ろう55部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕10部、ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:TINUVIN770DF、BASF社製、融点81〜85℃、分子量480.7)5部を50℃で加熱混合し、クレヨン成形金型に流し込み冷却させて可逆熱変色性固形筆記体(クレヨン)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、ピンク色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡はSEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び可逆熱変色性固形筆記体を用いて文字を書くことができた。
可逆熱変色性固形筆記体の作製
実施例1と同様の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、結合材として木ろう45部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕10部、ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:TINUVIN770DF、BASF社製、融点81〜85℃、分子量480.7)5部、ショ糖脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルP−170、三菱化学フーズ(株)製)10部を50℃で加熱混合し、クレヨン成形金型に流し込み冷却させて可逆熱変色性固形筆記体(クレヨン)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、ピンク色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡はSEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び可逆熱変色性固形筆記体を用いて文字を書くことができた。
更に、前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて重ね塗りしても摩擦熱で筆跡が消去されることなく、色濃度の高い筆跡を形成することができた。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として4,5,6,7−テトラクロロ−3−〔4−(ジエチルアミノ)−2−メチルフェニル〕−3−〔1−エチル−2−メチル−1H−インドール−3−イル〕−1(3H)−イソベンゾフラノン1.5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5.0部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t1:−16℃、t2:−8℃、t3:48℃、t4:58℃、ΔH:65℃、平均粒子径:2.5μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、青色から無色に色変化する)を調製した。
なお、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、予め−16℃以下に冷却して青色に発色させてなる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料33部、結合剤として木ろう15部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕50部、樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体2部を55℃で加熱混合し、押出成形にて鉛筆芯を成形して可逆熱変色性固形筆記体(鉛筆芯)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、青色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び可逆熱変色性固形筆記体を用いて文字を書くことができた。
可逆熱変色性固形筆記体の作製
実施例4と同様の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料33部、結合材として木ろう15部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕38.5部、デキストリン脂肪酸エステル(商品名:リョートーシュガーエステルS−370、三菱化学フーズ(株)製)10部、ヒンダードアミン系光安定剤(商品名:TINUVIN770DF、BASF社製、融点81〜85℃、分子量480.7)1.5部、樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体2部を55℃で加熱混合し、押出成形にて鉛筆芯を成形して可逆熱変色性固形筆記体(鉛筆芯)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、青色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び可逆熱変色性固形筆記体を用いて文字を書くことができた。
更に、前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて重ね塗りしても摩擦熱で筆跡が消去されることなく、色濃度の高い筆跡を形成することができた。
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン5部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン5部、4,4′−(2−メチルプロピリデン)ビスフェノール3.0部、(ハ)成分としてラウリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50部からなる色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(t1:−8℃、t2:−1℃、t3:52℃、t4:65℃、ΔH:63℃、平均粒子径:3.0μm、可逆熱変色性組成物:壁膜=2.6:1.0、黒色から無色に色変化する)を調製した。
なお、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、予め−8℃以下に冷却して黒色に発色させてなる。
前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料35部、結合材として木ろう15部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕48部、樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体2部を60℃で加熱混合し、押出成形にて鉛筆芯を成形して可逆熱変色性固形筆記体(鉛筆芯)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、黒色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び可逆熱変色性固形筆記体を用いて文字を書くことができた。
吸熱性マイクロカプセル(吸熱相変化化合物)の調製
ミリスチルアルコールを内包した吸熱性マイクロカプセルを調製した。
前記吸熱性マイクロカプセルの平均粒子径は5.0μmであり、吸熱ピークは42.6℃であった。
実施例6と同様の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料35部、結合材として木ろう15部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕33部、吸熱性マイクロカプセル15部、樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体2部を60℃で加熱混合し、押出成形にて鉛筆芯を成形して可逆熱変色性固形筆記体(鉛筆芯)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて紙面上に筆記すると、黒色の筆跡を形成することができた。
前記筆跡は、SEBS樹脂からなる摩擦体を用いて摩擦することにより消去でき、再び可逆熱変色性固形筆記体を用いて文字を書くことができた。
更に、前記可逆熱変色性固形筆記体を用いて重ね塗りしても摩擦熱で筆跡が消去されることなく、色濃度の高い筆跡を形成することができた。
実施例1と同様の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料30部、結合材として木ろう60部、体質材としてタルク〔商品名:LMS−200、富士タルク工業株式会社(株)製〕10部を80℃で加熱混合し、クレヨン成形金型に流し込み冷却させて可逆熱変色性固形筆記体(クレヨン)を得た。
前記可逆熱変色性固形筆記体は、製造時に可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が消色するため、面上に筆記しても筆跡を形成することができず、冷却装置を用いて可逆熱変色性固形筆記体を−20℃以下に冷却する必要があった。
t2 可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の発色開始温度
t3 可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の消色開始温度
t4 可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料の完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
Claims (4)
- (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包し、色濃度−温度曲線に関してヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、有色状態から温度が上昇する過程では、温度t3に達すると消色し始め、温度t3より高い温度t4以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、温度t2に達すると着色し始め、温度t2より低い温度t1以下の温度域で完全に着色状態となる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、結合材とを少なくとも含有してなる可逆熱変色性固形筆記体の製造方法であって、有色状態の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いてなり、温度t4未満の温度で加温処理して結合材を結着させて成型することを特徴とする可逆熱変色性固形筆記体の製造方法。
- 溶剤を含んでなり、温度t4未満の温度で加温処理して結合材を結着させて成型した後、温度t4未満の温度で乾燥させて溶剤を除去する請求項1記載の可逆熱変色性固形筆記体の製造方法。
- 前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の温度t4が50℃以上であり、且つ、温度t2が5℃以下である請求項1又は2記載の可逆熱変色性固形筆記体の製造方法。
- 色濃度−温度曲線に関して40℃乃至100℃のヒステリシス幅(ΔH)を示して変色する請求項1乃至3のいずれかに記載の可逆熱変色性固形筆記体の製造方法。
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