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JP5733083B2 - 画像処理装置、画像処理システム - Google Patents

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Description

本発明は、第一の画像出力機器が原稿画像データを出力した第一の出力結果の色調を、第二の画像出力機手段が前記原稿画像データを出力した第二の出力結果において再現する画像処理装置に関する。
印刷機やディスプレイなどの画像出力機器では、原稿の画素値に従って印刷されていることが要求される。このため、原稿の画素値と、例えば測色機が印刷物から計測した画素値を比較して、画像出力機器のカラープロファイルを更新する作業が行われることがある。カラープロファイルの更新時には、画像出力機器が、画素値が既知のカラーチャートを出力し、そのカラーチャートをスキャナなどの測色機で測色して、両者を比較し比較結果に基づき画像出力機器のカラープロファイルを更新する方法が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
このような作業には大きく次の2つのパターンが考えられる。印刷機を例にして説明する。
a) 標準のカラーチャートに色調を合わせるパターン
標準として規定されたカラーチャートを画像出力機器により印刷し、カラーチャートを構成する各カラーパッチを測色機により測色して、画像出力機器等が、得られた測色値と期待される値との差が所定の範囲に収まるように画像出力機器のプリンタ・プロファイルを更新する。
b)基準の画像出力機器に色調を合わせるパターン
一例として、プルーファ(色調の校正機又は校正機と同等の出力物が得られる印刷機)の出力の色調を、画像出力機器の出力の色調に一致させるケースが挙げられる。この場合、カラーチャートをプルーファと画像出力機器とによりそれぞれ印刷し、ユーザは印刷された2つのカラーチャートの各カラーパッチを測色計により測色する。ユーザは、得られた測色値の差が所定の範囲に収まるようにプルーファのプリンタ・プロファイルを更新する。
しかしながら、従来のカラープロファイルの更新方法は、基準のカラーチャートの印刷物が得られない状況下では遂行できないという問題があった。これは、上述したようにある画像出力機器の出力の色調を別の画像出力機器の色調に合わせる場合、双方が同じカラーチャートを出力する必要があるためである。しかし、現実には、基準となる画像出力機器がカラーチャートを出力できないケースや基準となる画像出力機器がカラーチャートを印刷した印刷物を、カラープロファイルを更新する側の画像出力機器が入手できないケースがある。
このケースの一例としては、印刷業者が顧客から印刷業務を受注した際に、顧客のプリンタの出力結果に色調を合わせるように要求されるケースが挙げられる。顧客側でカラーマネージメントが適切に行われていれば、印刷業者はこの様な条件下でも顧客の要求に応えることは可能である。しかしながら、顧客がカラーマネージメントに精通していないケースも少なくない。カラーマネージメントが適切に行われている例としては、画像出力機器のキャリブレーションが定期的に行われていることや、画像データの色がICC(インターナショナル・カラー・コンソーシアム )プロファイルなど標準化された仕組みに基づいて管理されている場合が挙げられる。
カラーチャートが利用できず、また、顧客側でカラーマネージメントが適切に行われていない状況下では、印刷業者は手作業により色合わせを行わなければならない。この作業は試行錯誤で行うため、多大な時間を要すると共に、作業者の経験と勘に依存することから熟練が必要とされる。さらに、色合わせの結果は逐次印刷して確認するため、大量の紙を浪費し、印刷業者が損失を被っている(廃棄される紙は「損紙」と呼ばれる)。
本発明は、上記課題に鑑み、カラーチャートを用いずに2つの印刷物の色調ズレを、校正することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
本発明は、第一の画像出力機手段が原稿画像データを出力した第一の出力結果の色調を、第二の画像出力機手段が前記原稿画像データを出力した第二の出力結果において再現する画像処理装置であって、読み取り装置が前記第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと前記原稿画像データの位置を合わせる第一の幾何学変換パラメータを推定し、読み取り装置が前記第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データと前記原稿画像データの位置を合わせる第二の幾何学変換パラメータを推定する幾何学変換パラメータ推定手段と、前記第一の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第一の色成分値対応付けデータ、及び、前記第二の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第二の色成分値対応付けデータをそれぞれ生成する色成分値対応付け手段と、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの画素値が同程度になる前記原稿画像データの画素値の組から、色調を変換するための色調変換パラメータを生成する色調変換パラメータ決定手段と、前記色調変換パラメータにより前記原稿画像データの画素値を変換する色調変換手段と、を有し、前記色成分値対応付け手段は、前記第一及び第二の幾何学変換パラメータを用いて、前記原稿画像データと前記第一の出力画像データの対応する位置に存在する画素または画素群、及び、前記原稿画像データと前記第二の出力画像データの対応する位置に存在する画素または画素群を検出し、前記色成分値対応付け手段は、対応する位置に存在する画素または画素群の画素値から前記第一の色成分値対応付けデータ及び前記第二の色成分値対応付けデータを生成する、ことを特徴とする。
カラーチャートを用いずに2つの印刷物の色調ズレを、校正することができる画像処理装置を提供することができる。
画素値aとbの関係を模式的に説明する図の一例である。 色調変換特性を模式的に説明する図の一例である。 色調変換パラメータ生成システムの構成図の一例である。 色調変換パラメータの生成の概念図の一例である 色調変換パラメータ生成システムのハードウェア構成図の一例である。 コンピュータのハードウェア構成図の一例である。 色調変換パラメータ生成システムを一台のMFPで実現した場合の、MFPのハードウェア構成図の一例である。 色調変換パラメータ生成システム又はMFPの機能ブロック図の一例である。 画像読み取り部が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、色調再現特性推定部等が色調再現特性データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。 幾何学変換パラメータの推定について説明する図の一例である。 分割数や分割幅を予め決定するケースを説明する図の一例である。 原稿画像データの階調の削減を説明する図の一例である。 色調変換パラメータ生成システム又はMFPが色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。 色調変換の変換前後で画像データが変化しない色調変換パラメータの一例を示す図である。 色調変換パラメータ生成システムの構成図の一例である(実施例2)。 色調変換パラメータ生成システム又はMFPが色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である(実施例2)。 色調変換パラメータ生成システム又はMFPが色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である(実施例3)。 画像読み取り部が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、色調再現特性推定部等が色調再現特性データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。 色調変換パラメータ生成システム又はMFPが色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である(実施例4)。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
まず、
第一の画像出力機器の色調再現特性をP1(x)、
第二の画像出力機器の色調再現特性をP2(x)、
画像読取装置の色調再現特性をS(x)、
と定義する。ここで"x"は色又は画素値である。種々の色空間の存在を考慮すると画素値=色とはならないが、同じ色空間内では画素値=色となるので、厳密には区別していない。
第一の色調再現特性はS(P1(x))、
第二の色調再現特性はS(P2(x))、
と表すことができる。
P1(x)は、第一の画像出力機器が画素値xを印刷した場合の色であり、S(P1(x))は画像読取装置が色P1(x)を読み取った場合の階調である。P2(x)は、第二の画像出力機器が画素値xを印刷した場合の色であり、S(P2(x))は画像読取装置が色P2(x)を読み取った場合の階調である。
第一の画像出力機器が印刷する画素値xと、第二の画像出力機器が印刷する画素値xとが同じ場合、色調再現特性P(x)が互いに異なるので、S(P1(x))=S(P2(x))とはならない。一方、第一の画像出力機器が印刷する画素値と、第二の画像出力機器が印刷する画素値が同じでない場合でも、印刷対象の画像データ(後述する原稿画像データ)には、S(P1(a))=S(P2(b))となる色(a,b)の組み合わせが存在することが期待できる(S(P1(a))とS(P2(b))は完全に一致しなくてもよい)。
本実施形態の画像処理装置は、S(P1(a))=S(P2(b))なる組合せ(a, b)を1つ以上求める。すなわち、第二の画像出力機器が、画素値bを印刷してS(P2(b)が得られるのであるから、aをbとみなす変換を行うことで第二の画像出力機器が画素値aを印刷する際に、実際には画素値bを印刷するので、第二の画像出力機器は第一の画像出力機器と同じ色調で印刷することができる。
図1は、画素値aとbの関係を模式的に説明する図の一例である。第一の画像出力機器と第二の画像出力機器は、共に同じ画像データを印刷する。この画像データを原稿画像データという。
第一の画像出力機器は画素値aを印刷するとスキャナで読み取った際にsの階調となる第一の出力物を印刷する。第二の画像出力機器は画素値bを印刷するとスキャナで読み取った際にSの階調となる第二の出力物を印刷する。第二の画像出力機器の色調再現特定を第一の画像出力機器にあわせる場合、第二の画像出力機器は画素値aがsになるように(読み取った際にsとなるように)印刷するべきであることが分かる。したがって、第二の画像出力機器は原稿画像データの画素値aをbにて置き換える。この色変換を行うことで、第二の画像出力機器は第一の画像出力機器と同等の色調にて印刷することが可能になる。
概念説明図を用いて色調再現特性についてさらに説明する。なお、ここでは画像出力機器としてプリンタを、画像読取装置としてスキャナを例として用いることとする。
図2(a)(b)は、色調変換特性を模式的に説明する図の一例である。第一の画像出力機器の色調再現特性は、第一の画像出力機器が入力された原稿画像データのある色をどの階調に割り当てるか、と換言することができる。したがって、図2(a)のように、横軸に画像データの色を、縦軸に印刷物の階調を採れば、色調再現性は図2(a)の実線のように表すことができる。
なお、破線は原稿画像データの色と印刷物の階調が等しくなる仮想的な色調再現性を表している。破線と実線を比較すると、図2(a)では原稿画像データの暗い部分が明るい部分よりも多く印刷物の階調に割り当てられることになる。
第二の画像出力機器の色調再現特性についても、第一の画像出力機器とほぼ同様であり、図2(b)の実線のように表すことができる。図2(b)においても原稿画像データの暗い部分が明るい部分よりも多く印刷物の階調に割り当てられるが、図2(a)と比較すると図2(b)の方が原稿画像データの明るい部分が暗い部分よりも多く印刷物の階調に割り当てられる。
これに対し、画像読取装置の色調再現特性は、入力された印刷物の画像データのある階調が、どの色に割り当てられるか、と換言することができる。したがって、横軸に印刷物の階調を、縦軸に読み取られる画像データの色を採れば、図2(c)の実線のように表すことができる。図2(c)では、画像データにおいて、印刷物の暗い部分と明るい部分により多くの画素値が割り当てられ、中間部分の画素値が圧縮されることが分かる。
プリンタ・プロファイルやスキャナ・プロファイルが提供されれば、上記色調再現特性を知ることができる。提供されなくても、プリンタでカラーチャートを印刷し、印刷結果を測色計により測色することによりプリンタ・プロファイルを求めることができる。スキャナ・プロファイルについても、カラーチャートを読み取り、測色値と照らし合わせることにより求めることができる。
本実施形態では、画像出力機器のうち少なくとも一方は、プリンタ・プロファイルが提供されず、カラーチャートを印刷することもできない状況で、色調再現特性の推定を行うことを可能にする。
図3は、色調変換パラメータ生成システム600の構成図の一例を示す。色調変換パラメータの生成の概略を詳細に説明する。第一と第二の画像出力機器間の色調を合わせるために原稿画像データに色調変換をかける流れを説明する。機器や画像データを以下のように定義する。
・第一の画像出力機器:プリンタ (「基準プリンタ」と呼ぶ)
・第二の画像出力機器:プリンタ (「ユーザプリンタ」と呼ぶ)
・画像読取装置 :スキャナ
また、以降で使用する用語を以下のように定義する。
・基準プリンタ:第一の画像出力機器に対応し、色調が合わせられる目標となるプリンタ
・ユーザプリンタ:第二の画像出力機器に対応し、基準プリンタ400に色調を合わせたいプリンタ
・スキャナ:画像読取装置に対応
・原稿画像データ:プリンタが印刷物を出力する際に用いる画像データ
・基準印刷物: 原稿画像データを基準プリンタ400で出力した、色調合わせの目標とされる印刷物
・基準画像データ:基準印刷物を画像読取装置で読み取って得られる画像データ
・ユーザ印刷物:原稿画像データをユーザプリンタ200で出力した、基準印刷物に色調を合わせたい印刷物
・ユーザ画像データ:ユーザ印刷物を画像読取装置で読み取って得られる画像データ
本実施形態では、基準印刷物とユーザ印刷物とを用い、ユーザプリンタ200に与える原稿画像データに色調変換を行うことによって、基準印刷物の色調と同等の色調のユーザ印刷物が得られるようにする。
色調変換を行う装置は、第二の画像出力機器でもスキャナ300でもよいし、これらとは別体のコンピュータ100でもよい。本実施形態では、コンピュータ100が色調変換パラメータを生成するものとして説明する。色調変換パラメータの生成手順は以下のようになる。
(1)第一の色調再現特性の推定
まず、基準プリンタ400とスキャナ300を併せた(基準プリンタだけの色調変換特性を取り出すことは困難なため)基準色調再現特性S(P1(x))を以下の手順で推定する。
(1-1) 基準印刷物をスキャナ300により読み取り基準画像データを得る
(1-2) 原稿画像データと基準画像データとの位置、傾き、大きさを合わせる
(1-3) 原稿画像データと基準画像データの対応する位置にある画素の色を対応付けて記憶する
(1-4) 画素値の対応付けから原稿画像データのある画素値が基準画像データのどの色に対応付くかを求める
(2)第二の色調再現特性の推定
次に、ユーザプリンタ200とスキャナ300を併せたユーザ色調再現特性S(P2(x))を以下の手順で推定する。
(2-1) 原稿画像データをユーザプリンタ200で出力し、ユーザ印刷物を得る
(2-2) ユーザ印刷物をスキャナ300により読み取りユーザ画像データを得る
(2-3) 原稿画像データとユーザ画像データとの位置、傾き、大きさを合わせる
(2-4) 原稿画像データとユーザ画像データとの対応する位置にある画素の色を対応付けて記憶する
(2-5) 画素値の対応付けから原稿画像データのある画素値がユーザ画像データのどの色に対応付くかを求める
(3)色調変換パラメータの推定
基準色調再現特性とユーザ色調再現特性から色調変換パラメータを求める。
(3-1) 基準色調再現特性から、原稿画像データの色aが対応付く基準画像データの色s= S(Pa(a))を得る
(3-2) ユーザ色調再現特性から、ユーザ画像データの色s=S(P2(b))が対応付く原稿画像データの色bを得る
(3-3) 基準画像データの色sに対応付く原稿画像データの色aと、ユーザ画像データの同じ色sに対応付く原稿画像データの色bとを対応付ける (i.e. S(P1(a))=s=S(P2(b))なる組合せ(a, b)を求める)
(3-4) 対応付く原稿画像データの二つの色(a, b)から色調変換パラメータを導出する
(4)原稿画像データの色調変換
最後に、色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換を施し、原稿画像データを更新する。
(1)〜(4)を行うと、ユーザプリンタ200が原稿画像データに色調変換を施して印刷するユーザデータは、基準画像データとほぼ同じ色調になる。1回だけではユーザ画像データが基準画像データとほぼ同じ色調にならない場合、(1)〜(4)までの手順を、基準画像データとユーザ画像データの色調の差が所定の範囲に収まるようになるまで繰り返し行ってもよい。その場合には、ユーザプリンタ200の色調再現特性を推定する際に用いる原稿画像データとして色調変換後の原稿画像データを用いる。
図4は、(1)〜(3)までの手順の概念図の一例である。図4は、
・第一象限に図2(a)を、
・第二象限に図2(c)の左右を反転させたものを、
・第三象限に図2(c)を180度回転させたものを、
・第四象限に図2(b)の上下を反転させたものを、
それぞれ配置して構成されている。
上記の手順(1)から(3)までの手順を、図3と対応付けると、
・手順(1)で基準色調再現特性を推定する過程が、第一象限と第二象限を求めることに、
・手順(2)でユーザ色調再現特性を推定する過程が、第三象限と第四象限を求めることに、
・手順(3)で色調変換パラメータを推定する過程が、S(P1(a))=S(P2(b))なる組合せ(a, b)を図中の矢印に従って求めていくことに、それぞれ相当する。
なお、上記手順(1)と(2)ではプリンタとスキャナ300の特性を併せて推定しているが、図3では便宜上各々の特性を分けて図示している。
〔構成例〕
図3に示した色調変換パラメータ生成システム600は、ネットワーク500を介して接続された、コンピュータ100、ユーザプリンタ200、及び、スキャナ300を有する。ユーザプリンタ200の代わりにオフセット印刷機やグラビア印刷機などを用いてもよく、また、スキャナ300の変わりに分光測色器やカメラを用いてもよい。基準プリンタ400は、色調変換パラメータ生成システム600のユーザ側に存在しないことを想定しているためネットワークに接続されていないが、接続されていてもよい。色調変換パラメータ生成システム600のユーザは、基準プリンタ400が基準画像データを出力した基準印刷物をすでに取得しているか、取得することができる。
ネットワークは、社内LAN、広域LAN(WAN)、IP−VNP(Virtual Private Network)、インターネットVPN、又は、インターネットなどである。これらが組み合わされたネットワーク等、コンピュータ100、ユーザプリンタ200、及び、スキャナ300が通信可能であればよい。一部に電話回線を含んでいてもよく、また、有線接続か無線接続は問わない。
なお、同じ一台のプリンタで過去と現在の色調を合わせる場合など、基準プリンタ400とユーザプリンタ200はそれぞれ異なる装置である必要はない。また、基準プリンタ400及びユーザプリンタ200は、プリンタ機能を有していれば、スキャナ機能、FAX機能及びコピー機能の1つ以上を有していてもよい。同様に、スキャナ300は、スキャナ機能を有していれば、プリンタ機能、FAX機能及びコピー機能の1つ以上を有していてもよい。複数の機能を有する装置はMFP(Multifunction Peripheral)と称されることがある。
また、コンピュータ100は、基準プリンタ400が基準印刷物の出力に使用した原稿画像データ、基準印刷物をスキャナ300が読み取った基準画像データ、及び、ユーザプリンタ200が原稿画像データを出力したユーザ印刷物をスキャナ300が読み取ったユーザ画像データ、の3つの画像データから色調変換パラメータを推定する。原稿画像データは、ユーザプリンタ200が予め記憶しておいてもよいし、基準プリンタ400から取得してもよい。コンピュータ100、ユーザプリンタ200、及び、スキャナ300は一台のMFPに搭載することもできる。
図5は、色調変換パラメータ生成システム600のハードウェア構成図の一例を示す。色調変換パラメータ生成システム600は、画像入力部601、画像出力部602、画像記憶部603、画像解析部604、パラメータ記憶部605、及び、画像処理部606を有する。
画像入力部601は、画像出力機器により出力された画像を入力するものであり、図3ではスキャナ300が相当する。画像記憶部603は、画像入力部601が入力を受け付けた画像データを記憶するものであり、図3ではコンピュータ100が相当する。画像解析部604は、基準画像データ、ユーザ画像データ、及び、原稿画像データを解析して色調変換パラメータを生成するもので、図3ではコンピュータ100が相当する。パラメータ記憶部605は、画像を解析して得られた色調変換パラメータを記憶するもので、図3ではコンピュータ100が相当する。画像処理部606は、得られた色調変換パラメータに基づいて画像データを色調変換するもので、図3ではユーザプリンタ200が相当する。画像出力部602は、色調変換された画像を出力するもので、図3ではユーザプリンタ200が相当する。
図6は、コンピュータ100のハードウェア構成図の一例を示す。コンピュータ100はそれぞれバスで相互に接続されているCPU101、RAM102、ROM103、記憶媒体装着部104、通信装置105、入力装置106、描画制御部107、及び、HDD108を有する。CPU101は、OS(Operating System)やプログラムをHDD108から読み出して実行することで種々の機能を提供すると共に、色調変換パラメータの生成処理を行う。
RAM102はCPU101がプログラムを実行する際に必要なデータを一時保管する作業メモリ(主記憶メモリ)になり、ROM103はBIOS(Basic Input Output System)やOSを起動するためのプログラム、静的なデータが記憶されている。
記憶媒体装着部104には記憶媒体110が着脱可能であり、記憶媒体110に記録されたデータを読み込み、HDD108に記憶させる。また、記憶媒体装着部104は、HDD108に記憶されたデータを記憶媒体110に書き込むこともできる。記憶媒体110は例えば、USDメモリ、SDカード等である。プログラム111は、記憶媒体110に記憶された状態や不図示のサーバからダウンロードすることで配布される。
入力装置106は、キーボードやマウス、トラックボールなどであり、コンピュータ100へのユーザの様々な操作指示を受け付ける。
HDD108は、SSD等の不揮発メモリでもよく、OS、プログラム、画像データなどの各種のデータが記憶されている。
通信装置105は、インターネットなどのネットワーク301に接続するためのNIC(Network Interface Card)であり、例えば、イーサネット(登録商標)カードである。
描画制御部107は、CPU101がプログラム111を実行してグラフィックメモリに書き込んだ描画コマンドを解釈して、画面を生成しディスプレイ109に描画する。
図7は、色調変換パラメータ生成システム600を一台のMFPで実現した場合の、MFP700のハードウェア構成図の一例を示す。MFP700は、コントローラ30、操作部31、ファックス制御ユニット32、プロッタ33、スキャナ34、及び、その他ハードウェアリソース35を有する。コントローラ30は、CPU11,MEM−P12,NB(ノースブリッジ)13、ASIC16,MEM−C14,HDD15(Hard Disk Drive)、及び、PCIバスを介してNB13と接続された周辺機器17を有する。
コントローラ30において、ASIC16にはMEM−C14、HDD15、及び、NB13が接続されると共に、NB13にはCPU11とMEM−P12が接続されている。NB13はCPUチップセットの1つであり、CPU11,MEM−P12,ASIC16,及び、周辺機器を接続するためのブリッジである。
ASIC16は、画像処理用途向けのICであり各種の画像処理を行う。ASIC16は、AGP、HDD15、及び、MEM−C14をそれぞれ接続するブリッジの役割も果たす。CPU11は、MFP700の全体制御を行うと共にMFP700に実装されている各種アプリケーションを起動して実行させる。
MEM−P12は、MFP700のシステムが使用するシステムメモリであり、MEM−C14は、画像処理中の画像データのバッファとして用いられるローカルメモリである。
HDD15は、大容量のストレージであり、SSD(Solid State Drive)などを用いてもよい。HDD15には、OS、各種のアプリケーション、フォントデータ等が記憶される。また、HDD15には色調変換パラメータの生成処理を行うプログラム23が記憶されている。プログラム23は、記憶媒体18に記憶された状態や不図示のサーバを介して配布される。
周辺機器17は、シリアルバス、NIC、USBホスト、IEEE802.11a/b/g/n、IEEE1394、及び、メモリカードI/Fである。シリアルバスには、例えばセントロニクスケーブルが接続される。NICはネットワークを介した通信を制御する。USBホストにはUSBケーブルを介して機器が接続される。IEEE802.11a/b/g/nはこれらの規格に従った無線LAN用のインタフェースであり、無線LANによる通信を制御する。IEEE1394は、高速なシリアル通信を制御するインタフェースである。メモリカードI/Fには各種のメモリカードが装着され、データの読み書きを行う。メモリカードは、例えば、SDカード、マルチメディアカード、xDカード等である。
操作部31は、ハード的なキーボードと液晶などの表示手段とを有する。操作部31は、ユーザからの入力操作の受け付け、ユーザに向けた各種の画面の表示をおこなう。操作部31はタッチパネルを搭載しており、表示したソフトキーからユーザ操作を受け付けることもできる。
ファックス制御ユニット32は、NCU(Network Control Unit)を介して公衆通信網に接続し、例えばG3、G4規格のファクシミリに対応した通信手順(通信プロトコル)等に従いファクシミリの送受信を行う。ファックス制御ユニット32は、画像データにデータ圧縮や変調等の信号処理を施して送信すると共に、相手先から受信した画像データにデータの伸長やエラー訂正等を施し画像データを復元する。
プロッタ33は、例えば、電子写真方式による白黒プロッタ又はカラープロッタであり、印刷対象データやスキャナ34が読み取った画像データに基づき、1ページ毎の画像を形成し、用紙に転写する。例えば、レーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、感光ドラム等に形成したトナー画像を用紙に転写し、定着装置により熱と圧力により定着して出力する。また、インク液滴を塗布する形態で印刷してもよい。
スキャナ34は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に走査して、その反射光をA/D変換して公知の画像処理を施し所定の解像度のデジタルデータに変換し画像データを生成する。
図7のMFPでは、図3の画像入力部601はスキャナ34が相当し、画像出力部602はプロッタ33が相当し、画像記憶部603はHDD15が相当し、画像解析部604はCPU11が相当し、パラメータ記憶部605はHDD15が相当し、画像処理部606はASIC16が相当する。
図8は、色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700の機能ブロック図の一例である。色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700は、画像読み取り部41、幾何学変換パラメータ推定部42、画素値対応付け部43、色成分値対応付け部44、色調再現特性推定部45、色調変換パラメータ決定部46、及び、色調変換部47、を有する。
画像読み取り部41は原稿画像データの出力結果である基準印刷物及びユーザ印刷物を読み取り、基準画像データ及びユーザ画像データを生成する。
幾何学変換パラメータ推定部42は原稿画像データと基準画像データ、原稿画像データとユーザ画像データのそれぞれの幾何学変換パラメータを推定する。
画素値対応付け部43は、幾何学変換パラメータを用いて、原稿画像データの画素に対応する位置の基準画像データの画素を検出し、それらの画素値を対応付けて画素値対応付けデータを作成する。同様に、幾何学変換パラメータを用いて、原稿画像データの画素に対応する位置のユーザ画像データの画素を検出し、それらの画素値を対応付けて画素値対応付けデータを作成する。
色成分値対応付け部44は画素値対応付けデータから、原稿画像データの各色成分の値と基準画像データの各色成分の対応する値を求め、また、原稿画像データの各色成分の値とユーザ画像データの各色成分の対応する値を求め、それらの色成分の値を対応付けて色成分値対応付けデータを作成する。
色調再現特性推定部45は、色成分値対応付けデータを用いて、色調再現特性データを推定する。
色調変換パラメータ決定部46は、色調再現特性データを用いて、色調変換パラメータを決定する。
色調変換部47は、色調変換パラメータを用いて、原稿画像データに色調変換を施す。
〔処理手順〕
図9は、画像読み取り部41が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、色調再現特性推定部45等が色調再現特性データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。なお、以下では、基準印刷物とユーザ印刷物を並列に説明するが、実際には順番に処理されることが多い。
画像読み取り部41は、基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、基準画像データとユーザ画像データを生成する(S101)。
幾何学変換パラメータ推定部42は、原稿画像データと基準画像データ、及び、原稿画像データとユーザ画像データの位置を合わせる (S102)。
2つの画像データの位置合わせを行うに先立って、幾何学変換パラメータ推定部42は、原稿画像データを基準とした時の基準画像データ(又はユーザ画像データ)の幾何学変換パラメータを求める。幾何学変換パラメータの例としては、変位量、回転角又は変倍率がある。幾何学パラメータの推定には公知の技術を用いればよい。その例としては、マーカーを用いる方法や、マーカーを用いないパターンマッチング法や位相限定相関法などが挙げられる。
a) マーカーを用いる方法
「トンボ」と呼ばれるマーカーを原稿画像データの四隅や各辺の中央に配置したうえで出力し、基準画像データとユーザ印刷物を読み取った際に、このトンボマーカの位置のずれを用いて、変位量や回転角、変倍率を求める。
図10(a)はトンボマーカの一例を示す図である。1枚の記録紙に画像データと4つ〜6つのトンボが形成されている。原稿画像データとユーザ画像データとで、トンボと画像データの相対的位置が同じであるとすると、同じ位置の2つのトンボの位置ずれを比較することで、幾何学変換パラメータを求めることができる。なお、例えば紙端からのトンボのおよその位置は既知なので、紙端から所定範囲にトンボの検出処理を施せばトンボの位置を検出できる。
図10(b)はトンボマーカの位置のずれについて説明する図の一例である。Pn(nは1以上の整数)は原稿画像データのトンボマーカの特徴点の位置を、qnは基準画像データのトンボマーカの特徴点の位置を、それぞれ示す。位置ずれがなければP1とq1、P2とq2、P3とq3…の点どうしの位置が一致するはずなので、公知の手法により点どうしの対応関係を求めることで、幾何学変換パラメータが得られる。ここで、2つの画像のうち一方の画像に例えばアフィン変換を行うことで2つの点パターンをマッチングさせることが知られている。したがって、幾何学変換パラメータを求めるには、2つの点パターンの各位置が最も近似する最適なアフィンパラメータを探し出せばよい。例えば、P1〜P6にアフィン変換するためのアフィンパラメータの評価関数を定め、評価関数が最小になるときのアフィンパラメータを幾何学変換パラメータとする。
b) パターンマッチング法を用いる方法
変位量のみを推定する方法の一例としては、テンプレートマッチング法が挙げられる。テンプレートマッチング法は一方の画像をテンプレートとし、位置を少しずつずらしながら他方の画像と一致度を求め、最も一致度の高くなる位置を検出するものである。幾何学変換が変位だけに限定できない場合には、回転角を推定する方法(ハフ変換など)や変倍量を推定する方法(マルチスケール解析など)と組み合わせて利用する必要がある。
テンプレートマッチングを応用したブロックマッチング法では、一方の画像をブロックに分割し、ブロックごとに他方の画像と最も一致度の高くなる位置を検出することにより変位量を求めることができる。ブロックマッチング法では、ブロックごとの変位量から回転角や変倍率を推定することも可能である。
c) 位相限定相関法を用いる方法
高い精度で変位量や回転角、変倍率を求める方法の例として、位相限定相関法(POC、Phase Only Correlation)や回転不変位相限定相関法(RIPOC、Rotation Invariant Phase Only Correlation)がある。位相限定相関法は、画像に対して離散フーリエ変換をかけて得られる位相画像を用い、比較対象の二枚の画像から得られる二つの位相画像の相関が最も高くなる位置を検出することにより、変位量を求める手法である。また、回転不変位相限定相関法は、上記位相画像を対数極座標変換することにより、回転角と変倍率を変換された位相画像上での変位量として検出できるようにしたものである。
以上により幾何学変換パラメータが求まったら、幾何学変換パラメータ推定部42は基準画像データ(又はユーザ画像データ)に幾何学変換を実行する。変換に際してサブピクセル精度の移動や何らかの回転、実数値での変倍などにより変換前後の画素が一対一で対応付かないようなケースでは、適宜画素補間手法を用いて画素値を導出すればよい。画素補間手法の例としては、バイリニア法、バイキュービック法などが挙げられる。
なお、幾何学変換は必須ではなく、次ステップにおいて原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)において同じ位置の画素を取得する際に、幾何学変換パラメータを用いて座標変換を行い、同じ位置か否かを判断することによって代替してもよい。後者を換言すれば、各画像の原点を基準とする座標系では異なる座標値を保持していても、幾何学変換の結果、同じ座標値となる画素を「同じ位置の画素」と見なすことになる。
原稿画像データを出力して得られた印刷物には画像の周囲に余白が存在するケースが存在する。この様なケースでは、幾何学変換の変位量に余白部分の高さや幅が含まれるため余白部分を参照することはないが、出力画像データにおいて余白部分を排除するように必要な領域を切り出し、各画像における原点の位置を一致させてもよい。
次に、画素値対応付け部43は、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)との同じ位置の画素値を対応付ける (S103)。すなわち、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)の位置合わせが完了したら、二つの画像データにおいて対応する画素の画素値を取得し、これらを対応付けて画素値対応付けデータを作成する。なお、画像データを幾何学変換して位置合わせを行う場合には、「対応する画素」とは「同じ位置にある画素」である。一方、画像データを幾何学変換しない場合には、座標変換によって同じ座標値となる位置を「同じ位置」とし、その位置に存在する画素を「対応する画素」と見なす。
画素値を対応付けて記録する方法の例としては、リスト形式で記録する方法や、マトリックス形式で記録する方法がある。原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)が両方ともRGB画像で各色成分が256階調であるケースを想定して説明する。
a) リスト形式で記録する方法
色成分値のリストへの記録は次の手順で行う。
a-1)リストを3枚用意する
a-2)原稿画像データのある座標を選択する
a-3) a-2で選択された原稿画像データの画素のR成分値と、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の対応する画素のR成分値とを対応づけてR成分用のリストに追加する
a-4)同様に、G成分値はG成分用のリストに、B成分値はB成分用のリストに、それぞれ追加する
a-5)これを原稿画像データの全ての座標について繰り返す
これらのリストは必要に応じて昇順や降順に並び替えてもよい。
b) マトリクス形式で記録する方法
色成分値の対応関係のマトリクスへの投票は次の手順で行う。ここでは原稿画像データの値を縦軸に、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の値を横軸に採るものとする。
b-1)256行256列のマトリクスを3枚用意する
b-2)原稿画像データのある座標を選択する
b-3)R成分用のマトリクスにおいて、原稿画像データのa-2)で選択された画素のR成分値の行、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の対応する画素のR成分値の列とが交差する場所に一票投票する
b-4)同様に、G成分値の対応関係をG成分用のマトリクスに、B成分値の対応関係をB成分用のマトリクスに、それぞれ投票する
b-5)これを原稿画像の全ての座標について繰り返す
具体的には、原稿画像データのある座標の画素の画素値がRGBの順に(128, 130, 132)で、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の対応する画素の画素値が(132, 130, 126)であれば、上記3枚のマトリクスのうちR成分に対応するマトリクスを選び、その128行132列に一票を投じるという具合である。同様に、G成分に対応するマトリクスの130行130列に一票を、B成分に対応するマトリクスの132行126列に一票を、それぞれ投じる。なお、原稿画像データの値と基準画像データ(又はユーザ画像データ)の値のどちらを縦軸に割り当て、どちらを横軸に割り当てるかは必要に応じて決定すればよい。
リスト形式で記録する方法でも、マトリクス形式で記録する方法でも、処理を簡略化するために、原稿画像データの全ての座標について繰り返すのではなく、特定の範囲に限定したり、所定の刻み幅で座標を移動したりしてもよい。
次に、色成分値対応付け部44は、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)で対応する色成分の値を対応付ける (S104)。すなわち、画素値対応付けデータを用いて、原稿画像データのある色成分値と基準画像データ(又はユーザ画像データ)のどの色成分値とが対応付くかを求め、色成分値対応付けデータを作成する。
ステップS102と同様に原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)が両方ともRGB画像で各色成分が256階調であるケースを例に説明する。
a) 画素値対応付けデータがリスト形式である場合
画素値対応付けデータがリストとして記録されている場合には、次の手順で行う。
a-1)原稿画像データのある色成分のある値を選択する
a-2)a-1で選択された色成分に対応するリストを取得する
a-3)a-2で得られたリストから、a-1)で選択された値に対応するレコードを全て取得する
a-4)a-3で取得された全レコードの基準画像データ(又はユーザ画像データ)の色成分値を合成する
a-5)a-1で選択された原稿画像データの色成分値と、a-4)で合成された値とを対応付けて色成分値対応付けデータとして記録する。
a-6)これを各色成分の各値について繰り返す
ステップa-3)において取得されたレコードが一つのみであれば、色成分値対応付け部44はa-4)において、取得されたレコードの値をそのまま利用する。a-3)において取得されたレコードが複数あれば、基準画像データ(又はユーザ画像データ)側の値を合成して一つの値にした上で利用する。複数の値を合成する方法の例としては、平均値を採用する方法、最頻値を採用する方法、中央値を採用する方法が挙げられる。
b) 画素値対応付けデータがマトリクス形式である場合
画素値対応付けデータがマトリクスとして記録されている場合には、次の手順で行う。
b-1) 原稿画像データのある色成分のある値を選択する
b-2) b-1で選択された色成分に対応するマトリクスを取得する
b-3) b-2で得られたマトリクスから、b-1で選択された値に対応する行を抽出する
b-4) b-3で抽出された行において投票されている列の値を合成する
b-5) 選択された原稿画像データの色成分値と、b-4で合成された値とを対応付けて色成分値対応付けデータとして記録する
b-6)これを各色成分の各値について繰り返す
b-4において抽出された行で投票が一つの列のみに存在する場合には、その列番号を合成された値として採用する。b-4)において投票が複数の列に存在する場合には、合成して一つの値にした上で利用する。複数の値を合成する方法の例は、a)と同様である。但し、投票数は列番号の出現回数として使用する。
仮に原稿画像データにおいて使用されていない色成分値が存在した場合には、その旨が判別できるように記録しておくことが望ましい。(ここで記録した情報は次ステップで利用することができる)
次に、色調再現特性推定部45は色調変換特性を推定する (S105)。色成分値対応付けデータのデータ系列を用いて色調変換特性を推定する。色調変換特性は色成分値対応付けデータをそのまま利用してもよいし、色成分値対応付けデータを加工して利用してもよい。データを加工する目的は、極端な値の変動の抑制や、特性曲線の安定性向上である。
色成分値対応付けデータを加工して利用する方法の例としては、次のようなものが挙げられる。
a) 移動平均をかける
データ系列において注目するデータとその前後のデータとを加重平均する方法である。前後のデータの参照範囲はデータ系列の値に対する滑らかさの要求に応じて決定すればよい。より滑らかにするためには参照範囲を広く取る必要がある。また、加重平均に用いる重みは全てのデータに対して一定であってもよいし、注目するデータからの距離に反比例させてもよい。
移動平均をかける前に、データ系列を昇順か降順に並び替える必要がある。また、原稿画像データにおいて使用されていない色成分値が存在すると、並べ替えた際にデータ系列の要素が欠落するが、この欠落した要素が他のデータに影響を与えないように加重平均から除外する必要がある。要素が欠落しているか否かは、データが連続しているかどうかを確認したり、前ステップで記録した使用されていない色成分値の情報を利用したりすることにより把握できる。
b) 直線や曲線で近似する
データ系列を一次関数、二次関数、スプライン関数、指数関数などを用いて近似する方法である。
c) 階調数を削減した上で直線や曲線で補間や近似する
色成分値対応付けデータのデータ系列の階調数を削減する方法としては、次のような例が考えられる。
ア) 階調の値域を等間隔で分割し、これにより統合される各階調のデータを合成する
分割数や分割幅は予め決定しておいてもよいし、動的に決定してもよい。
ア−1)分割数や分割幅を予め決定するケース
図11(a)は、分割数や分割幅を予め決定するケースを説明する図の一例である。図11(a)では、0〜255までの256階調を、予め与えられた分割数4で等間隔に分割した例である。0〜63、64〜127、128〜191、192〜255という4つの領域に分割することにより、それぞれ64階調が1つの階調に削減される(1つの変換特性に統合される)ことになる。なお、分割数でなく分割幅を与えても同じ効果が得られる。
ア−2)分割数や分割幅を動的に決定するケース
等間隔に分割するケースで、分割数や分割幅を動的に決定する方法の例としては、画素数に比例させる方法がある。例えば、画素数を経験的に決められた所定の数で割った値を分割数とする、などの決定方法が考えられる。
イ−1) 階調の値域を不等間隔で分割し、これにより統合される各階調のデータを合成する
各階調に対応する画素値対応付けデータにおける投票数を用いて、合成される階調の得票数が、所定の数となるように分割幅を適応的に決定する。
図11(b)は、0〜255までの256階調を不等間隔で4分割した例である。0から(a-1)、aから(b-1)、bから(c-1)、cから255という四つの領域に分割されるが、それぞれ1つの階調に削減される。なお、階調a、b、cをその階調を挟むどちらの階調に統合するかは任意である。
不等間隔で分割する際に、統合する階調数を決定する方法の例としては、各階調に属する画素数の累積頻度を等間隔で分割する方法や、各階調に属する画素数の頻度のヒストグラムを用いる方法が挙げられる。
i)各階調に属する画素数の累積頻度を用いる方法
各階調に属する画素数の累積頻度を等間隔で区切り、区切り位置に対応する階調で分割する方法である。
図11(c)は0〜255までの256階調を不等間隔で4分割する例である。縦軸の累積頻度の最大値を1.0としたときに、区切り位置として0.25、0.50、0.75となる階調を求めることにより、分割位置を決定する。この例では、累積頻度が0.25となる階調a、0.50となる階調b、0.75となる階調cが求まり、上述した四つの領域が決定できる。このような区切り方によれば、各区分でデータ数が同じなので各変換特性が与えられる画素数を等しくできる。
ii)各階調に属する画素数の頻度分布を用いる方法
図12(a)は、各階調に属する画素数の頻度のヒストグラムを作成し、極小となる階調e、f、gで分割する方法である。このような区切り方によれば、変換特性が切り替わる画素数を小さくできる。
以上のようにして、階調数を削減したら、元の階調数まで戻るように、統合された階調の間を補間したり、統合されたデータを元に直線や曲線で近似したりする。
図12(b)は、削減された階調数を直線近似や曲線近似により元の階調数まで戻す例を示す。丸が統合されたデータ、実線の直線が直線近似の例、実線の曲線が曲線近似の例である。近似に利用する関数は、統合されたデータの傾向に合わせて選択することが望ましい。このように補間したり、直線や曲線で近似したりすることで、推定される変換特性から少ない画素数に起因する特異的な変換を除外できる。
続いて、色調変換パラメータの決定について説明する。
図13は、色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700が色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。
まず、ステップS110の「基準プリンタの色再現特性の推定」、S150の「ユーザプリンタの色調再現特性の推定」は、図9の手順で説明した。なお、S110,S150は1回だけ実行すればよい。仮に複数回実行する場合、S110,S150で使用する原稿画像データはオリジナルのものを用い、色調変換後のものを用いないことに留意する必要がある。
次に、例えばユーザはユーザプリンタ200で原稿画像データを印刷する(S120)。ユーザプリンタ200を用いて原稿画像データを印刷することにより、ユーザ印刷物を得る。ユーザはユーザ印刷物をスキャナ34,300(以下、単にスキャナ300という)を用いて読み取る。
色調変換パラメータ決定部46は、ユーザ印刷物を評価する(S130)。そして、ユーザ印刷物と基準印刷物とを比較してユーザ印刷物の品質を評価する(S140)。
ユーザ印刷物の品質が十分であれば(S140のYes)、処理を終了し、そうでなければ(S140のNo)、次ステップS150に進む。
ユーザ印刷物の品質を評価する方法の例としては、基準印刷物との色差を用いる方法がある。他の例としては、色相差を用いる方法や、各色成分の差の絶対値を用いる方法もある。なお、品質の評価は目視で行ってもよい。
a) 色差を用いる評価方法
色差とは、L*a*b*色空間やL*u*v*色空間における二つの色の距離である。本実施例は画像出力機器としてプリンタを用いていることからL*a*b*色空間を用いて説明する。
L*a*b*色空間の色差ΔE* abは以下の式で定義される。
Figure 0005733083
ここで、(ΔL*, Δa* ,Δb*)はL*a*b*色空間における2色の色度差である。
基準印刷物とユーザ印刷物の色差を求める手順の一例を以下に示す。
(1) 基準印刷物をスキャナ300により読み取り基準画像データを得る
(2)ユーザ印刷物を(1)と同じスキャナ300により読み取りユーザ画像データを得る
(3)基準画像データとユーザ画像データとをスキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間(XYZ色空間など)に変換する
(4)デバイス非依存の色空間に変換された基準画像データとユーザ画像データとをL*a*b*色空間に変換する
(5)上式により画素ごとの色差を求める
基準印刷物とユーザ印刷物とを同じスキャナ300で読み取るとしているが、スキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換できる条件の元で、二つの印刷物を別々のスキャナ300で読み取ってもよい。
スキャナ300を一台のみ使用する場合には、カラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することは必須ではない。色差の値を定量的に評価するケースでは、絶対的な値が重要であるためデバイス非依存の色空間への変換が必要であるが、色差の値を定性的に評価するケースでは相対的な傾向がつかめればよいためデバイス非依存の色空間への変換を省略してもよい。
画素ごとの色差が求まったら、この情報を統計的に分析し、ユーザ印刷物の品質を定量的に評価することができる。分析方法の例としては、色差の平均値、最大値、値の分布、分散などが挙げられる。
品質が十分であるか否かの判断は、
・平均色差が所定の値以内に収まっているか否か、
・最大色差が所定の値以内に収まっているか否か、
・分散が所定の値以内に収まっているか否か、
などの基準で判断することができる。なお、ユーザ印刷物の品質を評価する際には、画像データのコンテンツの輪郭部分を除くことが望ましい。これは、
・後の処理で必要な位置合わせにおいて、輪郭部分を完全に合わせることが困難であること、
・プリンタによって輪郭部分の再現性が異なること (色味やシャープなど)
などの理由から、輪郭部分で大きな色差が出現する可能性があるためである。
輪郭部分の面積は全印刷物の面積のごく一部であるため、目視による全体的な色調の評価に与える影響は限定的である。一方、定量的な評価においては、上述の輪郭部分の大きな色差が外れ値として評価結果の信頼性を低下させる懸念があることから、輪郭部分のデータを無視する方が高い精度の評価結果が期待できる。
輪郭部分を検出する方法の例としては、二値化を用いる方法や、エッジ検出を用いる方法が挙げられる。二値化を用いる方法の一例としては、画像データを所定の閾値で白黒に二値化し、白い領域と黒い領域とが隣接する箇所を輪郭部分として判断する方法がある。エッジ検出を用いる方法の一例としては、画像データからSobel法などを用いてエッジ画像を作成し、これを所定の閾値で二値化して閾値以上の画素を輪郭部分として判断する方法がある。
輪郭部分を除去せずに、上記課題を緩和する方法もある。例えば、画像データを平滑化して輪郭部分を滑らかにし、輪郭部分で出現する色差を低減するというものである。平滑化には、平均化フィルタやローパスフィルタなど従来技術を用いればよい。
b)色相差を用いる評価方法
L*a*b*色空間の色相差ΔH* abは次式で定義される。
Figure 0005733083
ここで、ΔE* abは色差、(ΔL*, Δa* ,Δb*)は2色の色度差、ΔC* abはクロマの差ある。クロマC* abは次式で定義される。
Figure 0005733083
基準印刷物とユーザ印刷物の色相差を求める手順は色差を求める手順と同じであるが、色差ではなく色相差を算出する。また統計的な分析方法や品質の判定方法も同様である。
c)各色成分の差の絶対値を用いる評価方法
所定の色空間において、基準印刷物とユーザ印刷物との各色成分の差の絶対値を取り、評価を行う方法である。RGB色空間を例に取れば、R成分値の絶対値の差、G成分値の絶対値の差、B成分値の絶対値の差を用いる。
基準印刷物とユーザ印刷物の各色成分の差の絶対値を求める手順の一例を以下に示す。
1)基準印刷物をスキャナ300により読み取り基準画像データを得る
2)ユーザ印刷物を1)と同じスキャナ300により読み取りユーザ画像データを得る
3)基準画像データとユーザ画像データとをスキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間(XYZ色空間など)に変換する
4)変換後の色空間において、画素ごとに各色成分値の差の絶対値を求める。
なお、色差のケースと同様に、スキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することは必須ではなく、スキャナ300のデバイス依存の色空間で直接差の絶対値を求めてもよい。また、統計的な分析方法や品質の判定方法は色差のケースと同様である。
次のステップS150のユーザプリンタ200の色調再現特性の推定は図9にてすでに説明した。
次に、色調変換パラメータ決定部46は、色調変換パラメータを求める(S160)。すなわち、基準プリンタ400の色調再現特性データとユーザプリンタ200の色調再現特性データとを組み合わせて色調変換パラメータを求める。色調変換パラメータを求める手順の一例を以下に示す。
(1)原稿画像データのある色成分のある値aを選択する
(2)基準プリンタ400の色調再現特性データから、選択された色成分の値aに対応する基準画像データの値sを取得する
(3)ユーザプリンタ200の色調再現特性データから、上記で取得された基準画像データの値sに対応する原稿画像データの値bを取得する
(4)二つの値(a, b)を対応付けて記録する
(5)これを原稿画像データの各色成分の各値について繰り返す
上記手順で対応付けられた値を直接利用するか、加工して利用することにより色調変換パラメータを求めることができる。
a) 直接利用するケース
対応付けられた値のペアをルック・アップ・テーブル(LUT)として扱い、このテーブルを色調変換パラメータとして利用する。
b)加工して利用するケース
変換特性を推定する際に利用した、移動平均、直線や曲線近似、階調削減などにより加工した上で利用する。加工した結果の値をルック・アップ・テーブル(LUT)として扱い、a)と同様にこのテーブルを色調変換パラメータとして利用する。また、直線や曲線近似をしたケースでは、その関数式の係数を色調変換パラメータとして利用してもよい。また、曲線近似と類するが、色調変換としてガンマ補正を採用する際には、対応付けられた値を用いてガンマ値を求め、このガンマ値を色調変換パラメータとしてもよい。
色調変換パラメータ決定部46は、色調変換パラメータを評価し、妥当か否かを判定する(S170,S180)。
色調変換パラメータを評価し、色調変換パラメータが妥当でなければ(S180のNo)、処理を終了する。
色調変換パラメータを評価し、色調変換パラメータが妥当であれば(S180のYes)、次の処理が実行される。
ステップS140の色調変換パラメータの妥当性を判断する基準の例としては、色調変換において入出力が一致するパラメータからどれだけ離れているかが挙げられる。
この離れ具合を測る尺度の例としては、色調変換をグラフで表したと仮定すれば、
a)入出力の差の絶対値を累積した値
b)入出力の差の二乗を累積した値
c)入出力の差の絶対値の最大値
d)グラフの傾きの絶対値の最大値
などが挙げられる。
これらの尺度で計測して得られる評価値が予め決められた所定の範囲内に存在することを以って、色調変換パラメータが妥当であると判断することができる。
色調変換パラメータが妥当か否かを判断するのは、このパラメータで色調変換を実行することに意味があるか否かを判断するためであり、色調変換の収束判定と換言することもできる。このため、ステップS180は必要に応じて省略してもよい。色調変換を実行する意味がない例としては、次のようなものが挙げられる。
a) 色調変換の変換前後で画像データが変化しないケース
図14(a)は、色調変換の変換前後で画像データが変化しない色調変換パラメータの一例を示す図である。図14(a)では、色調変換パラメータをグラフで表したときに、入出力が等しいy=x の線とほぼ一致している。色調変換がガンマ補正であれば、ガンマ値が1.0にほぼ一致するケースである。このような場合、色調変換を実行する意味がない。
b)色調変換の変換前後で画像データが極端に変化するケース
図14(b)(c)は色調変換の変換前後で画像データが極端に変化する色調変換パラメータの一例を示す図である。図14(b)では、色調変換をグラフで表したときに、入出力が等しくなるy=x の線から大幅に離れてしまっている。このような色調変換はユーザ印刷物の色調を大きく変化させるので変換しないことが好ましい。また、図14(c)では、y=x の線に対し、変換線が激しく波打ったり、不連続となったりしている。このような色調変換はユーザ印刷物の色調を不連続に変化させるので変換しないことが好ましい。色調変換がガンマ補正であれば、ガンマ値が0に近い、又は、1よりも非常に大きいケースが前者に相当する。
なお、基本的に図14(c)のように、複数の入力値に対して一つの出力値が対応付くケースや、不連続となる点が存在するケースは望ましくはないものの、程度に応じて許容してもよい。
また、図14(d)のように、色調変換パラメータがy=xに対し所定の範囲内に入っていることから色調変換の変換前後で画像データが極端に変化しないと判定することもできる。すなわち、色調変換パラメータの入力値毎に、出力値が入力値の±d%又は画素値Dに入っているか否かを判定する。
色調変換パラメータが妥当な場合、色調変換部47は、原稿画像データを色調変換する(S190)。色調変換パラメータを用いて、原稿画像データに色調変換を施し、原稿画像データを更新する。
以上で、一連の処理が終了する。色調変換の例としては、先述したガンマ補正やルック・アップ・テーブル(LUT)による変換が挙げられる。
色調変換は、予め定められた所定の回数だけ繰り返し行われる。よって、色調変換の回数が所定の回数に達したら(S200のYes)、処理は終了する。色調変換は1回だけ実行されても、十分な色調変換が実現できると考えらえるが複数回実行することで色合わせの精度を向上できる。
継続する場合(S200のNo)、色合わせ済みの原稿画像データを入力としてユーザプリンタ200から印刷(S110)、同様の処理を行う。なお、次のループで用いる原稿画像データは全て色調変換済みのものである。
図13の手順では、終了条件の判定が3つ設定されているが、これら全てを設定する必要はない。必要に応じて適宜省略してもよいが、何れか1つは少なくとも設定されることが望ましい。
本実施例では、スキャナ300で読み取った際に使用された色空間をそのまま使用しているが、この色空間はデバイス依存の色空間であるため、スキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することが望ましい。デバイス非依存の色空間の例としては、デバイス非依存のRGB色空間、XYZ色空間などが挙げられる。更に、L*a*b*色空間など均等色空間に変換すればなおよい。
出力画像データをL*a*b*色空間に色変換した上で処理を行う際には、原稿画像データもL*a*b*色空間に色変換する必要がある。また、色再現特性の推定、色調変換パラメータの決定、並びに色調変換もL*a*b*色空間で行うことになる。ただし、色調変換後には元の色空間に戻す必要がある。
〔色調変換の他の例〕
(1) TRC(Tone Reproduction Curve)
原稿色に対応する網点濃度を元に、TRCを変換する。
色a→網点濃度A
色b→網点濃度B
色調変換パラメータで、色a→色bならば、網点濃度A→網点濃度Bと変換する。
(2) 画素単位で置き換える (マトリックスやリストをLUTとして使用、事実上これらは不要だが)
最も近い場所にある同じ出力色となる原稿色に置き換える
(3) 差分に変換マトリックを作用させて原稿画像データに反映する
基準画像データとユーザ画像データとの差分を取り、この差分に色調変換パラメータを作用させて原稿画像データに反映することにより色調変換を実現する方法も挙げられる。この場合の色調変換パラメータは、例えば、基準画像データの階調を横軸に、ユーザ画像データの階調を縦軸に取って対応関係をグラフに表したとき、二つの階調が等しくなるy=xの直線からのズレ量を用いることができる。上記差分に色調変換パラメータを作用させる際には、色調変換パラメータを重みとしてズレ量が大きいほど重みも大きくなるように作用させる方法が考えられる。
(4) ICCプロファイルを利用する
ICCプロファイルにおいて、デバイス依存の色空間からPCS(Profile Connection Space)への変換パラメータやルックアップテーブルを、色調変換パラメータを用いて決定する。原稿画像データに入力プロファイルが添付されていればそれを更新すればよいし、添付されていなければ新たに作成して添付してもよい。また、入力プロファイルではなく出力プロファイルを更新してもよい。
上記では、色調変換パラメータを原稿画像データに対して一つのみ推定する前提で記載しているが、原稿画像データをブロックに分割し、ブロックごとに色調変換パラメータを推定して色調変換を行ってもよい。更に、ブロックごとに色調変換を行うと境界で色調が不連続となる場合があるため、これを予防するためにブロックごとに推定された色調変換パラメータを元に、原稿画像データの各画素ないしブロックよりも小さい局所領域ごとに色調変換パラメータを算出して色調変換を行ってもよい。
本実施例では第一の画像出力機器としてディスプレイを、第二の画像出力機器としてプロジェクタを、画像読み取り部としてデジタルカメラを用いる例について説明する。なお、本実施例では二つの画像出力機器は共にユーザの管理下にあるため、カラーチャートを表示するなどしてカラープロファイルを得ることができる。しかし、本実施例の方法を用いることで、カラープロファイルを使わずに色合わせすることができる。
図15は、本実施例の色調変換パラメータ生成システム600の構成図の一例を示す。本実施例の色調変換パラメータ生成システム600は、ネットワークを介して接続された、コンピュータ100、プロジェクタ800、及び、デジタルカメラ900を有する。
図15と図3を比較すると、
a)ディスプレイ109が基準プリンタ400に対応し
b)ディスプレイ109の基準表示画面が基準印刷物に対応し
c)プロジェクタ800がユーザプリンタ200に対応し
d)プロジェクタ800が投影したユーザ表示画面がユーザ印刷物に対応し、
e)デジタルカメラ900がスキャナ300に対応する。
また、実施例1では画像出力機器としてプリンタを採用したため、均等色空間としてL*a*b*色空間を用いたが、実施例2では画像出力機器としてディスプレイ109やプロジェクタ800を採用するため、均等色空間としてL*u*v*色空間を用いる。なお、機能ブロック図は実施例1と同様なので省略する。
図16は、色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700が色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。図16の手順は図13とほぼ同様であり、登場する機器が異なっている。図16において図13と同等の処理は説明を簡略化する。
色調再現特性推定部45などが、ディスプレイ109の色調再現特性を推定する (S310)。すなわち、ディスプレイ109で出力された基準表示画面と、原稿画像データからディスプレイ109の色調再現特性を推定する。
次に、ユーザはプロジェクタ800で原稿画像データを投影する(S320)。プロジェクタ800を用いて原稿画像データを投影することにより、ユーザ表示画面を得る。
次に、色調変換パラメータ決定部46は、ユーザ表示画面を評価する(S330)。すなわち、ユーザ表示画面と基準表示画面とを比較してユーザ表示画面の品質を評価する(S340)。ユーザ表示画面の品質が十分であれば(S340のYes)、処理を終了し、そうでなければ(S340のNo)、次ステップS350に進む。
ユーザ表示画面の品質を評価する方法の例としては、基準表示画面との色差を用いる方法がある。他の例としては、色相差を用いる方法や、各色成分の差の絶対値を用いる方法もある。なお、品質の評価は目視で行ってもよい。品質の評価方法は実施例1とほぼ同じである。
a)色差を用いる評価方法
色差とは、L*a*b*色空間やL*u*v*色空間における二つの色の距離である。本実施例は画像出力機器としてディスプレイやプロジェクタ800を用いていることからL*u*v*色空間を用いて説明する。
L*u*v*色空間の色差ΔE* uvは以下の式で定義される。
Figure 0005733083
ここで、(ΔL*, Δu* ,Δv*)はL*u*v*色空間における2色の色度差である。
基準表示画面とユーザ表示画面の色差を求める手順の一例を以下に示す。
(1)基準表示画面をデジタルカメラ900により読み取り基準画像データを得る
(2)ユーザ表示画面を(1)と同じデジタルカメラ900により読み取りユーザ画像データを得る
(3)基準画像データとユーザ画像データとをデジタルカメラ900のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換する(一般的にはXYZ色空間)
(4)デバイス非依存の色空間に変換された基準画像データとユーザ画像データとをL*u*v*色空間に変換する
(5)上式により画素ごとの色差を求める
基準表示画面とユーザ表示画面を同じデジタルカメラ900で読み取るとしているが、デジタルカメラ900のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換できる条件の元で、二つの表示を別々のデジタルカメラ900で読み取ってもよい。
デジタルカメラ900を一台のみ使用する場合には、カラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することは必須ではない。色差の値を定量的に評価するケースでは、絶対的な値が重要であるためデバイス非依存の色空間への変換が必要であるが、色差の値を定性的に評価するケースでは相対的な傾向がつかめればよいためデバイス非依存の色空間への変換を省略してもよい。
画素ごとの色差が求まったら、この情報を統計的に分析し、ユーザ表示画面の品質を定量的に評価することができる。分析方法の例としては、色差の平均値、最大値、値の分布、分散などが挙げられる。
品質が十分であるか否かの判断は、
・平均色差が所定の値以内に収まっているか否か、
・最大色差が所定の値以内に収まっているか否か、
・分散が所定の値以内に収まっているか否か、
などの基準で判断することができる。
なお、ユーザ表示画面の品質を評価する際には、画像データのコンテンツの輪郭部分を除くことが望ましい。これは、
・後述する位置合わせにおいて、輪郭部分を完全に合わせることが困難であること
・ディスプレイによって輪郭部分の再現性が異なること (色味やシャープなど)
などの理由から、輪郭部分で大きな色差が出現する可能性があるためである。輪郭部分の面積は全印刷物の面積のごく一部であるため、目視による全体的な色調の評価に与える影響は限定的である。一方、定量的な評価においては、上述の輪郭部分の大きな色差が外れ値として評価結果の信頼性を低下させる懸念があることから、輪郭部分のデータを無視する方が高い精度の評価結果が期待できる。
a) 色相差を用いる評価方法
L*u*v*色空間の色相差ΔH* uvは次式で定義される。
Figure 0005733083
ここで、ΔE* uvは色差、(ΔL*, Δu* ,Δv*)は2色の色度差、ΔC* uvはクロマの差ある。クロマC* uvは次式で定義される。
Figure 0005733083
基準表示画面とユーザ表示画面の色相差を求める手順は色差を求める手順と同じであるが、色差ではなく色相差を算出する。また統計的な分析方法や品質の判定方法も同様である。
b)各色成分の差の絶対値を用いる評価方法
所定の色空間において、基準表示画面とユーザ表示画面との各色成分の差の絶対値を取り、評価を行う方法である。RGB色空間を例に取れば、R成分値の絶対値の差、G成分値の絶対値の差、B成分値の絶対値の差を用いる。
基準表示画面とユーザ表示画面の差の絶対値を求める手順の一例を以下に示す。
(1)基準表示画面をデジタルカメラ900により読み取り基準画像データを得る
(2)ユーザ表示画面を(1)と同じデジタルカメラ900により読み取りユーザ画像データを得る
(3)基準画像データとユーザ画像データとをデジタルカメラ900のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換する
(4)変換後の色空間において、画素ごとに各色成分値の差の絶対値を求める。
なお、色差のケースと同様に、デジタルカメラ900のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することは必須ではなく、デジタルカメラ900のデバイス依存の色空間で直接差の絶対値を求めてもよい。また、統計的な分析方法や品質の判定方法は色差のケースと同様である。
次に、幾何学変換パラメータ推定部42は、プロジェクタ800の色調再現特性を推定する (S350)。プロジェクタ800で出力されたユーザ表示画面のユーザ画像データと原稿画像データからプロジェクタ800の色調再現特性を推定する。
色調変換パラメータ決定部46は色調変換パラメータを求める(S360)。すなわち、ディスプレイ109の色調再現特性とプロジェクタ800の色調再現特性とを組み合わせて色調変換パラメータを求める。色調変換パラメータを求める手順の一例を以下に示す。
(1)原稿画像データのある色成分のある値を選択する
(2)ディスプレイ109の色調再現特性データから、選択された色成分の値aに対応する基準画像データの値sを取得する
(3)プロジェクタ800の色調再現特性データから、上記で取得されたユーザ画像データの値sに対応する原稿画像データの値bを取得する
(4)二つの値(a, b)を対応付けて記録する
(5)これを原稿画像データの各色成分の各値について繰り返す
上記手順で対応付けられた値を直接利用するか、加工して利用することにより色調変換パラメータを求めることができる。
a)直接利用するケース
対応付けられた値のペアをルック・アップ・テーブル(LUT)として扱い、このテーブルを色調変換パラメータとして利用する。
b)加工して利用するケース
変換特性を推定する際に利用した、移動平均、直線や曲線近似、階調削減などにより加工した上で利用する。加工した結果の値をルック・アップ・テーブル(LUT)として扱い、a)と同様にこのテーブルを色調変換パラメータとして利用してもよいし、直線や曲線近似をしたケースでは、その関数式の係数を色調変換パラメータとして利用してもよい。また、曲線近似と類するが、色調変換としてガンマ補正を採用する際には、対応付けられた値を用いてガンマ値を求め、このガンマ値を色調変換パラメータとしてもよい。
次に、色調変換パラメータ決定部46は、色調変換パラメータを評価する(S370)。色調変換パラメータを評価し、色調変換パラメータが妥当であれば(S380のYes)、次ステップが処理され、妥当でなければ(S380のNo)、処理を終了する。
色調変換パラメータが妥当か否かを判断するのは、このパラメータで色調変換を実行することに意味があるか否かを判断するためである。色調変換の収束判定と換言することもできる。このため、S370は必要に応じて省略してもよい。色調変換を実行する意味がない例は実施例1と同様である
色調変換パラメータが妥当な場合(S380のYes)、色調変換部47は原稿画像データを色調変換する(S390)。すなわち、色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換を施し、原稿画像データを更新する。これによって一連の流れが完了する。
なお、本実施例では、デジタルカメラ900で読み取った際に使用された色空間をそのまま使用しているが、この色空間はデバイス依存の色空間であるため、デジタルカメラ900のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することが望ましい。デバイス非依存の色空間の例としては、デバイス非依存のRGB色空間、XYZ色空間などが挙げられる。更に、L*u*v*色空間など均等色空間に変換すれば尚よい。
出力画像データをL*u*v*色空間に色変換した上で処理を行う際には、原稿画像データもL*u*v*色空間に色変換する必要がある。また、色再現特性の推定、色調変換パラメータの決定、並びに色調変換もL*u*v*色空間で行うことになる。但し、色調変換後には元の色空間に戻す必要がある。
本実施例は、実施例1のように原稿画像データに対して色調変換処理を施すのではなく、原稿画像データが出力される際のCMY又はCMYKへの色分解方法を色調変換パラメータにより変更する色調変換パラメータ生成システム600について説明する。このような方法により、第一の画像出力機器と第二の画像出力機器の出力結果を一致させることができる。
システム構成図、及び、機能ブロック図は実施例1と共通であるため省略する。
図17は、色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700が色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。図13と比較すると、ステップS190の処理「原稿画像データを色調変換する」が、「ユーザプリンタの色分解方法を変更する」ステップ(S192)に置き換わっている。
実施例1と共通するステップの説明は省略し、S192について説明する。
ステップS192において、色調変換部47は、ユーザプリンタ200の色分解方法を変更する (S192)。すなわち、色調変換パラメータを用いてユーザプリンタ200の色分解方法を変更する。
色分解方法の変更には、手法を変えずにパラメータを変える方法と、手法自体を変える方法とがある。前者の一例としては、色分解にルック・アップ・テーブル(LUT)を用いるケースがあり、LUTの内容を色調変換パラメータに応じて変更する方法が挙げられる。具体的には、以下のような流れとなる。
(1)S160で求められた色調変換パラメータから、原稿画像データの色の対応関係(a, b)を取得する
(2)LUTで色bに対応するCMY/CMYK濃度Bを取得する
(3)LUTで色aに対応するCMY/CMYK濃度Aを濃度Bで置き換える
(4)以上を全ての色に対して実行する
色分解のLUTが色成分ごとに独立していれば上記の流れでよいが、LUTが3次元で定義されている場合には、色調変換パラメータもこれに応じた形で求める必要がある。つまり、実施例1では色調変換パラメータは色成分ごとに求めるように記載していたが、上述のケースに対応するためには色の3成分の組合せごとに色の対応関係を求め色調変換パラメータを構築することになる。なお、色調変換パラメータやLUTに欠落した要素が存在した際には、線形補間やキュービック補間など従来技術を用いて適宜データを補間する必要がある。
後者の一例としては、事前に登録された複数の色分解手法の中から、求められた色調変換パラメータに最も適するものを選ぶ方法が挙げられる。具体的には、以下のような流れとなる。
(1)色分解手法を複数用意する
(2)それぞれの色分解手段を特定の色調変換パラメータと対応付けて記録する
(3)S160で求められた色調変換パラメータと、最も類似する色調変換パラメータに対応付けられた色分解手法を採用する
なお、求められた色調変換パラメータと類似する色調変換パラメータを複数求め、類似する色分解手法で色分解した結果を、前記類似度を重みとして合成する方法を採ってもよい。
本実施例は、色調変換パラメータを求める際に、原稿画像データを構成する各色成分ごとに作成するのではなく、原稿画像データの画素単位で作成し、画素単位で独立に色調変換を行う色調変換パラメータ生成システム600について説明する。実施例1では、同じ色の画素が複数存在する原稿画像データを色調変換すると、実施例1では元々同じ色だった画素は、全て別の等しい色に変換される。これに対し、本実施例では元々同じ色だった画素であっても必ずしも等しい色に変換せずに色調変換することができる。
システム構成図、及び、機能ブロック図は実施例1と共通であるため省略する。
図18は、画像読み取り部41が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、色調再現特性推定部等が色調再現特性データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。図19は、色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700が色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。
まず、図18では、図9のS104の処理がS1041に置き換わっている。色成分値対応付け部44は、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)で対応する色を対応付ける (S1041)。すなわち、画素対応付けデータを用いて、画素毎に、原稿画像データの色に、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の対応する画素の色を対応付けて色対応付けデータを作成する。本ステップと前ステップS103とをまとめて実行してもよい。
色調再現特性推定部45は、色対応付けデータを色調再現特性データとして使用する(S1051)。
図19では、図15と比較すると、ステップの処理名は同じだが、S160の「色調変換パラメータ」の求め方、S190の「原稿画像データを色調変換する」の処理が異なっている。
S160において、色調変換パラメータ決定部46は、色調変換パラメータを求める(S160)。すなわち、基準プリンタ400の色調再現特性データとユーザプリンタ200の色調再現特性データとを組み合わせて色調変換パラメータを求める。色調変換パラメータを求める手順の一例を以下に示す。
(1)原稿画像データのある画素を選択する
(2)基準プリンタ400の色調再現特性データから、選択された画素の色aに対応する出力画像データの色sを取得する
(3)ユーザプリンタ200の色調再現特性データから、上記で取得されたユーザ画像データの色sに対応する原稿画像データの色bを取得する
(4)二つの色(a, b)を対応付けて記録する
(5)これを原稿画像データの各画素について繰り返す
上記対応付けは、LUTとして利用する。なお、基準画像データの色に対応するものがユーザ画像データに複数存在するケースがある。そのようなケースでは、選択した画素から最も近いものを採用する、選択した画素からの距離を重みとして合成するなどして値を求めればよい。また、基準画像データの色と対応するものがユーザ画像データに存在しないケースもある。この様なケースでは、基準画像データの色aに近い別の色a'と対応するユーザ画像データの色b'を一つ以上取得して用いればよい。aに対応するbが複数存在するケースと同様に、選択した画素から最も近いものを採用してもよいし、選択画素からの距離を重みとして合成してもよい。
そして、色調変換部47は、画素単位で、原稿画像データを色調変換する(S190)。すなわち、色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換を施し、原稿画像データを更新する。本実施例の色調変換では、原稿画像データの各画素の画素値を、先述したルック・アップ・テーブル(LUT)により変換していく。
本実施例では、画素単位で色調変換パラメータを作成するので、元々同じ色だった画素であっても必ずしも等しい色に変換せずに色調変換することができる。
41 画像読み取り部
42 幾何学変換パラメータ推定部
43 画素値対応付け部
44 色成分値対応付け部
45 色調再現特性推定部
46 色調変換パラメータ決定部
47 色調変換部
100 コンピュータ
200 ユーザプリンタ
300 スキャナ
400 基準プリンタ
500 ネットワーク
600 色調変換パラメータ生成システム
601 画像入力部
602 画像出力部
603 画像記憶部
604 画像解析部
605 パラメータ記憶部
606 画像処理部
700 MFP
800 プロジェクタ
900 デジタルカメラ
特開2009−177790号公報

Claims (10)

  1. 第一の画像出力機手段が原稿画像データを出力した第一の出力結果の色調を、第二の画像出力機手段が前記原稿画像データを出力した第二の出力結果において再現する画像処理装置であって、
    読み取り装置が前記第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと前記原稿画像データの位置を合わせる第一の幾何学変換パラメータを推定し、読み取り装置が前記第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データと前記原稿画像データの位置を合わせる第二の幾何学変換パラメータを推定する幾何学変換パラメータ推定手段と、
    前記第一の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第一の色成分値対応付けデータ、及び、前記第二の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第二の色成分値対応付けデータをそれぞれ生成する色成分値対応付け手段と、
    前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの画素値が同程度になる前記原稿画像データの画素値の組から、色調を変換するための色調変換パラメータを生成する色調変換パラメータ決定手段と、
    前記色調変換パラメータにより前記原稿画像データの画素値を変換する色調変換手段と、を有し、
    前記色成分値対応付け手段は、前記第一及び第二の幾何学変換パラメータを用いて、前記原稿画像データと前記第一の出力画像データの対応する位置に存在する画素または画素群、及び、前記原稿画像データと前記第二の出力画像データの対応する位置に存在する画素または画素群を検出し、
    前記色成分値対応付け手段は、対応する位置に存在する画素または画素群の画素値から前記第一の色成分値対応付けデータ及び前記第二の色成分値対応付けデータを生成する、
    ことを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記色調変換パラメータ決定手段は、前記第一の色成分値対応付けデータにおいて、前記原稿画像データから読み出した任意の画素の画素値に対応付けられた第一画素値を読み出し、
    前記第二の色成分値対応付けデータにおいて前記第一画素値に対応づけられた前記原稿画像データの第二画素値を読み出し、
    前記任意の画素の画素値と前記第二画素値を対応づけて前記組として記録する、
    ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 前記色成分値対応付け手段は、前記原稿画像データ、前記第一の出力画像データ及び前記第二の出力画像データをデバイス非依存の色空間に変換した後、
    前記第一の色成分値対応付けデータ、及び、前記第二の色成分値対応付けデータをそれぞれ生成する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
  4. 前記色調変換パラメータ決定手段は、
    記色調変換パラメータにより変換される前の画素値と後の画素値の差が所定の基準を満たすか否かに基づき、生成した前記色調変換パラメータが妥当か否かを判定する、ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の画像処理装置。
  5. 前記第一の色成分値対応付けデータの前記原稿画像データと前記第一の出力画像データを対応づける第一の対応付けパラメータ、及び、前記第二の色成分値対応付けデータの前記原稿画像データと前記第二の出力画像データを対応づける第二の対応付けパラメータを決定する色調再現特性推定手段を有し、
    前記色調再現特性推定手段は、階調数の削減後の前記原稿画像データと前記第一の出力画像データを対応づける前記第一の対応付けパラメータを決定し、階調数の削減後の前記原稿画像データと前記第二の出力画像データを対応づける前記第二の対応付けパラメータを決定する、ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の画像処理装置。
  6. 前記色調再現特性推定手段は、画素数が均等になるように前記原稿画像データの階調を不等間隔に区切った一区間を1つの階調とみなすことで階調数を削減する、
    ことを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
  7. 前記色調変換パラメータ決定手段が、前記色調変換パラメータが妥当であると判定した場合、
    前記色調変換手段により前記色調変換パラメータを用いて画素値が変換された前記原稿画像データを前記第二の画像出力機手段が出力した第三の出力結果を、読み取り装置が読み取って得られた第三の出力画像データと、前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第三の色成分値対応付けデータを前記色成分値対応付け手段が生成し、
    前記色調変換パラメータ決定手段は、前記原稿画像データから、前記第一の出力画像データと前記第三の出力画像データの画素値が同程度になる画素値の組を抽出して色調を変換するための色調変換パラメータを生成する、
    ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
  8. 前記原稿画像データの画素値を異なる色空間の画素値に変換するルックアップテーブルを有し、
    前記色調変換手段は、前記色調変換パラメータから画素値の前記組を読み出し、
    前記ルックアップテーブルにて前記組のうち前記第二画素値に対応づけられた異なる色空間の第三画素値を読み出し、
    前記ルックアップテーブルにて前記組のうち任意の画素の画素値に対応づけられた異なる色空間の第四画素値を、前記第三画素値で置き換える、
    ことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
  9. 前記色調変換パラメータ決定手段は、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データとの一致度を評価し、
    一致していると評価できる場合、前記色調変換パラメータを生成しない、
    ことを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載の画像処理装置。
  10. 第一の画像出力機手段が第一の出力結果として出力した原稿画像データを、第二の出力結果として出力する第二の画像出力機手段と、前記第一の出力結果及び前記第二の出力結果を読み取る読み取り装置と、前記第二の出力結果の色調を前記第一の出力結果の色調に近づける色調変換パラメータを生成する情報処理装置と、を有する画像処理システムであって、
    読み取り装置が前記第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと前記原稿画像データの位置を合わせる第一の幾何学変換パラメータを推定し、読み取り装置が前記第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データと前記原稿画像データの位置を合わせる第二の幾何学変換パラメータを推定する幾何学変換パラメータ推定手段と、
    前記第一の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第一の色成分値対応付けデータ、及び、前記第二の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第二の色成分値対応付けデータをそれぞれ生成する色成分値対応付け手段と、
    前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの画素値が同程度になる前記原稿画像データの画素値の組から色調を変換するための色調変換パラメータを生成する色調変換パラメータ決定手段と、
    前記色調変換パラメータにより前記原稿画像データの画素値を変換する色調変換手段と、を有し、
    前記色成分値対応付け手段は、前記第一及び第二の幾何学変換パラメータを用いて、前記原稿画像データと前記第一の出力画像データの対応する位置に存在する画素または画素群、及び、前記原稿画像データと前記第二の出力画像データ対応する位置に存在する画素または画素群を検出し、
    前記色成分値対応付け手段は、対応する位置に存在する画素または画素群の画素値から前記第一の色成分値対応付けデータ及び前記第二の色成分値対応付けデータを生成する、
    ことを特徴とする画像処理システム。
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