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JP5714507B2 - Mimoアンテナ装置及び無線通信装置 - Google Patents

Mimoアンテナ装置及び無線通信装置 Download PDF

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Description

本発明は、主として携帯電話機などの移動体通信用のアンテナ装置と、それを備えた無線通信装置に関する。
携帯電話機等の移動体通信無線装置の小型化、薄型化が急速に進んでいる。また、携帯無線通信装置は、従来の電話機として使用されるのみならず、電子メールの送受信やWWW(ワールドワイドウェブ)によるウェブページの閲覧などを行うデータ端末機に変貌を遂げている。取り扱う情報も従来の音声や文字情報から写真や動画像へと大容量化を遂げており、通信品質のさらなる向上が求められている。また、携帯無線通信装置は、電話としての音声通話、ウェブページの閲覧のためのデータ通信、テレビジョン放送の視聴など、さまざまなアプリケーションに対処することが求められている。このような状況にあって、それぞれのアプリケーションに係る無線通信を行うために、幅広い周波数で動作できるアンテナ装置が必要である。
従来、広い周波数帯域をカバーしかつ共振周波数を調整するアンテナ装置として、例えば、特許文献1記載のように、アンテナ素子部にスリットを設けて共振周波数を調整するアンテナ装置や、特許文献2記載のように、スリットにトラップ回路を設けたノッチアンテナがあった。
特許文献1のアンテナ装置は、板状放射素子(放射板)とそれに平行に対向する接地板を含み、さらに、放射板の縁端部の略中央に位置して高周波信号を供給する給電部と、給電部の近傍で放射板と接地板とを短絡する短絡部と、放射板上において給電部と略対向する縁端部にスリット部を設けることによりそれぞれ形成された2つの共振器とを含んで構成される。このスリット部の形状や寸法を調整することにより、又はスリット部にリアクタンス素子や導体板を装荷することにより、2つの共振器間の結合度が最適化される。こうして、適切な特性を有する小型・低背化アンテナが得られる。
特許文献2のノッチアンテナは、低い通信周波数帯で共振すべき時には、トラップ回路の位置においてスリットを高周波的に開状態とすることができると共に、高い通信周波数帯で共振すべき時には、トラップ回路の位置においてスリットを高周波的に閉状態にすることができ、かくして共振すべき通信周波数帯に応じてノッチアンテナの共振長を適宜変更することができる。
また、特許文献3のアンテナ装置は、基板と、基板上に位置した平板型で製造された複数のアンテナ素子と、基板上において複数のアンテナ素子の間に位置し、所定の接地部に接地される少なくとも1つのアイソレーション素子とを含んで構成される。アンテナ素子の間に製造されたアイソレーション素子を用いてアンテナ素子間の相互干渉を防止することで、放射パターンの歪曲を防止する効果がある。また、アイソレーション素子を接地面に接地することで、寄生アンテナとして動作するようにし、出力の利得を上げられる効果がある。また、基板上に積層されたメタル膜を所定の形態にエッチングするだけで、アイソレーション素子及びアンテナ素子を製造できるので、製造方法が容易になり、基板上のメタル膜がアイソレーション素子を構成するようになり、ほぼ2次元に近い平板構造に製造できる効果がある。
国際出願の国際公開WO2002/075853号。 特開2004−32303号公報。 特開2007−97167号公報。
最近になって、通信容量を増大させて高速通信を実現するために、複数のチャンネルの無線信号を空間分割多重により同時に送受信するMIMO(Multi−Input Multi−Output)技術を採用したアンテナ装置が登場している。MIMO通信を実行するアンテナ装置は、大きな通信容量を得るために、アンテナ素子間の干渉を防止して高いアイソレーションを実現することにより、互いに低相関である複数の無線信号の送受信を同時に実行する必要がある。
また、MIMO通信では、例えば高速通信を行うために広い無線周波数帯域を使用することが必要とされる。例えば、無線LANや3GPPのLTEでは、動作帯域として20MHz以上の周波数帯域が使用され、第4世代携帯電話であるIMT−Advancedでは、100MHzもの周波数帯域を使用することが規定されている。また、MIMO無線通信は、主に2GHz帯の無線周波数が使用されるが、アメリカにおける700MHz帯の使用や、日本において現在携帯電話で使用されている800MHz帯の使用の可能性も高い。700MHz帯では波長がおよそ40cmにも達するので、アンテナサイズも大きくなることが容易にわかる。さらに、MIMO通信装置では2つ以上のアンテナを設ける必要があるので、既存のアンテナをそのまま使用すると、2倍以上の体積を有することになる。しかしながら、携帯電話機は小型であることが望まれるので、MIMOアンテナにはサイズ削減が今以上に望まれる。また、周波数が低くなると波長が長くなるので、アンテナ間の電気的距離(波長に対する距離)が近くなり、従って、アンテナ間の結合が強くなり、実質的に放射される電波の電力が小さくなるといった課題があった。このため、高いアイソレーションを有する小型アレーアンテナが強く望まれている。
低い周波数帯で近くに配置されたアンテナ間のアイソレーションを高くするためには、従来技術としては、アンテナ素子のサイズを大きくしたり、アンテナ素子間の距離を大きくしたり、アイソレーションを高くするための大きな電磁結合調整手段を付加したりすることが知られているが、これらの技術のいずれもアンテナ装置のサイズを大きくするものである。携帯電話機内でアンテナ装置を実装できる容積は年々小さくなっているので、小型のアンテナ装置を用いながら低い周波数帯でアイソレーションを高くする必要がある。
特許文献1及び2の構成では、共振周波数を変えることができるものの給電部が1つだけであるので、MIMO通信、ダイバーシチ方式を用いた通信、またアダプティブアレーに利用できないという課題を有していた。
また、特許文献3の構成では、複数の給電部を有しているのでMIMO通信、ダイバーシチ方式を用いた通信、またアダプティブアレーに利用できるものの、低い周波数で高いアイソレーションを実現できないことに加えて、アンテナ素子の間隔をλ/2とする必要があり、アンテナ装置のサイズが大きくなるという課題を有していた。
本発明の目的は、以上の問題点を解決し、簡単かつ小型の構成でありながら、低い周波数帯において低結合なアレーアンテナを提供し、互いに低相関である複数の無線信号の送受信を同時に実行することができるアンテナ装置、及びそのようなアンテナ装置を備えた無線通信装置を提供することにある。
本発明の第1の態様に係るアンテナ装置によれば、
板状のアンテナ素子上の所定の各位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の給電点を備えたアンテナ装置において、
上記アンテナ素子は、上記第1及び第2の給電点にそれぞれ対応した第1及び第2のアンテナ部として同時に動作するように、上記第1及び第2の給電点を介してそれぞれ同時に励振され、
上記アンテナ装置はさらに、
上記アンテナ素子の外周の所定区間にわたって接続された延長導体と、
上記アンテナ素子上において上記第1及び第2の給電点間の部分を横切るように、上記アンテナ素子から上記延長導体にわたって延在し、上記延長導体に開放端を有するスリットとを備えたことを特徴とする。
本発明の第2の態様に係るアンテナ装置によれば、
板状のアンテナ素子上の所定の各位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の給電点を備えたアンテナ装置において、
上記アンテナ素子は、上記第1及び第2の給電点にそれぞれ対応した第1及び第2のアンテナ部として同時に動作するように、上記第1及び第2の給電点を介してそれぞれ同時に励振され、
上記アンテナ装置はさらに、
上記アンテナ素子の外周の所定区間にわたって接続された延長導体と、
上記アンテナ素子上において上記第1及び第2の給電点間の部分を横切るように、上記アンテナ素子から上記延長導体にわたって延在するスロットとを備えたことを特徴とする。
上記アンテナ装置において、上記アンテナ素子は、接地導体上に設けられ、少なくとも1つの接続導体を介して上記接地導体に接続されたことを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る無線通信装置によれば、複数の無線信号を送受信する無線通信装置において、第1又は第2の態様に係るアンテナ装置を備えたことを特徴とする。
以上説明したように、本発明に係るアンテナ装置及びそれを用いた無線通信装置によれば、小型サイズを維持しつつ、低い動作周波数においてアンテナ素子を共振させるとともに、給電点間のアイソレーションを高く確保することができ、所望の動作周波数において低結合で動作するMIMOアンテナ装置を実現することができる。特に、スリットをその開放端の側に延長するようにアンテナ素子に延長導体を接続することで、アンテナ素子の共振周波数をさらに低下させる。スリットは、アンテナ素子の2つの給電点間のアイソレーションを高くする役目を果たすので、これにより、アンテナ装置の共振周波数のみならず、アイソレーションの高くなる周波数の低下も図れるという利点がある。さらに、スリットをその短絡端の側に延長するようにアンテナ素子に延長導体を接続することで、アイソレーションの高くなる周波数のみの低下を図ることができる。すなわち、この構成により、高いアイソレーションとなる周波数の調整が可能となるという利点がある。以上の構成は、アンテナ装置の小型化に繋がる。給電点間の干渉を防止して高いアイソレーションを実現することにより、複数のアンテナ部のそれぞれを高効率にする。
複数の給電点を同時に用いて通信するためには、動作させようとする所定の周波数においてアンテナ素子が共振し、かつ、給電点間のアイソレーションが高くなければならない。本発明によれば、アンテナ素子を低い動作周波数で共振させ、動作周波数において2つの給電点間のアイソレーションを高くすることができ、MIMO無線信号の送受信を実行可能な小型の無線通信装置を提供することができる。
本発明によれば、アンテナ素子数は1つのままでありながら、当該アンテナ素子を複数のアンテナ部として動作させることができ、それとともに、低い周波数帯において、複数のアンテナ部の間のアイソレーションを確保することができる。アイソレーションを確保してMIMOアンテナ装置の複数のアンテナ部を互いに低結合にすることにより、各アンテナ部を用いて、互いに低相関である複数の無線信号の送受信を同時に実行することができる。
本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置101及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。 図1のアンテナ装置101の実施例を示す正面図である。 図1のアンテナ装置101の実施例を示す側面図である。 図2a及び図2bのアンテナ装置101に係る反射係数のパラメータS11の周波数特性を示すグラフである。 図2a及び図2bのアンテナ装置101に係る通過係数のパラメータS21の周波数特性を示すグラフである。 図2a及び図2bのアンテナ装置101に係るスミスチャートである。 本発明の第1の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置201を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置301を示す側面図である。 本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係るアンテナ装置401及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置501及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。 図9のアンテナ装置501の実施例を示す正面図である。 図9のアンテナ装置501の実施例を示す側面図である。 図9のアンテナ装置501の実施例を示す上面図である。 図9のアンテナ装置501上の電流経路を示す図である。 図10a〜図10cのアンテナ装置501に係る反射係数のパラメータS11の周波数特性を示すグラフである。 図10a〜図10cのアンテナ装置501に係る通過係数のパラメータS21の周波数特性を示すグラフである。 図10a〜図10cのアンテナ装置501に係るスミスチャートである。 本発明の第2の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置601を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置701を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態の第3の変形例に係るアンテナ装置801を示す側面図である。 本発明の第2の実施形態の第4の変形例に係るアンテナ装置901を示す側面図である。 本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置1001及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置1101及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態の第1の変形例に係るアンテナ装置1201及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態の第2の変形例に係るアンテナ装置1301及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。 本発明の第4の実施形態の第3の変形例に係るアンテナ装置1401及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
第1の実施形態.
図1は、本発明の第1の実施形態に係るアンテナ装置101及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置101は、異なる2つの給電点106a,107aを備えた長方形形状のアンテナ素子102を備え、給電点106aを介してアンテナ素子102を第1のアンテナ部として励振させると同時に、給電点107aを介してアンテナ素子102を第2のアンテナ部として励振させることにより、単一のアンテナ素子102を2つのアンテナ部として動作させる。
通常、単一のアンテナ素子に複数の給電ポート(又は給電点)を設けた場合、給電ポート間のアイソレーションを確保することができず、異なるアンテナ部間の電磁結合が高くなるので、信号間の相関が高くなってしまう。従って、例えば受信時には、各給電ポートから同一の受信信号が出力される。このような場合、ダイバーシチやMIMOの良好な特性を得ることができない。本実施形態では、アンテナ素子102の給電点106a,107a間にスリット105を備え、スリット105の長さによってアンテナ素子102の共振周波数を調整するとともに、さらに、給電点106a,107a間にアイソレーションを確保できる周波数を調整する。本実施形態ではさらに、アンテナ装置の共振長さを増大させるために、アンテナ素子102に接続された延長導体121a,121b(以下、総称して符号「121」を用いる。)を備え、スリット105を、アンテナ素子102から延長導体121にわたって延在するように設け、延長導体121にスリットの開放端を備えたことを特徴とする。
図1において、アンテナ装置101は、長方形形状の導体板にてなるアンテナ素子102と、長方形形状の導体板にてなる接地面としての接地導体103とを備え、アンテナ素子102と接地導体103とは、互いに重なり合うように、所定距離だけ離隔して平行に設けられる。アンテナ素子102上において、互いに所定距離を離隔して給電点106a,107aが設けられる。さらに、アンテナ素子102上で、給電点106a,107aとは異なる所定の接続点において、アンテナ素子102を接地導体103にそれぞれ機械的かつ電気的に接続する直線状の接続導体104a,104bが設けられる。本実施形態では、アンテナ素子102の一辺と接地導体103の一辺とが互いに近接して設けられ、接続導体104a,104bはこれらの辺を接続する位置に設けられるが、接続導体104a,104bの位置はこれに限定されるものではない。アンテナ素子102の外周の所定区間(図1の例では、接続導体104a,104bが接続された辺に対向する辺)にわたって、長方形形状の導体板にてなる延長導体121(すなわち延長導体121a,121b)が機械的かつ電気的に接続される。アンテナ素子102上において給電点106a,107a間の部分を横切るように、アンテナ素子102から延長導体121にわたって延在するスリット105が設けられる(延長導体121において、スリット105は延長導体121a,121bの間を通る。)。スリット105は、アンテナ素子102上に短絡端を有し、延長導体121上に開放端を有する。本実施形態のアンテナ装置101では、アンテナ素子102に延長導体121を接続したことにより、アンテナ装置101の共振長さが増大され、さらに、スリット105が、その開放端の側に延長される。
給電点106a,107aにはそれぞれ、接地導体103の裏側から接地導体103を貫通して給電線F1,F3が接続される。給電線F1,F3は、例えば、50Ωの特性インピーダンスを有する同軸ケーブルであり、その内部導体である信号線F1a,F3aはそれぞれ給電点106a,107aに接続され、その外部導体である信号線F1b,F3bはそれぞれ接続点106b,107bにおいて接地導体103に接続される。給電点106a及び接続点106bは、アンテナ装置101の一方の給電ポートとして働き、給電点107a及び接続点107bは、アンテナ装置101のもう1つの給電ポートとして働く。さらに、給電線F1,F3はそれぞれ、インピーダンス整合回路(以下、整合回路という。)111,112にそれぞれ接続され、整合回路111,112は給電線F2,F4を介してMIMO通信回路113にそれぞれ接続される。給電線F2,F4もまた、例えば、50Ωの特性インピーダンスを有する同軸ケーブルにてそれぞれ構成される。MIMO通信回路113は、MIMO通信方式に係る複数のチャンネル(本実施形態では2チャンネル)の無線信号をアンテナ素子102により送受信させる。
図1に示すように、アンテナ装置101は、板状逆F型アンテナ装置として構成される。
アンテナ素子102にスリット105を設けることによる効果は、以下の通りである。アンテナ素子102の共振周波数とアイソレーションを確保できる周波数(以下、アイソレーション周波数という。)とは、スリット105の長さに依存して変化するので、スリット105の長さはこれらの周波数を調整するように決定される。詳しくは、スリット105を設けることにより、アンテナ素子102自体の共振周波数は低下する。さらに、スリット105は、スリット105の長さに応じて共振器として動作する。スリット105はアンテナ素子102自体と電磁的に結合するので、アンテナ素子102の共振周波数は、スリット105を持たない場合と比較して、スリット105の共振条件の周波数に従って変化している。スリット105を設けることにより、アンテナ素子102の共振周波数が変化するとともに、所定の周波数において給電ポート間のアイソレーションを高くすることができる。スリット105を設けたことによりアイソレーションを高く確保できる周波数は、一般には、アンテナ素子102の共振周波数とは一致しない。従って、本実施形態では、アンテナ素子102の動作周波数(すなわち所望信号を送受信する周波数)を、スリット105により変化された共振周波数からアイソレーション周波数にシフトさせるために、各給電ポートとMIMO通信回路113との間に整合回路111,112を設けている。整合回路111を設けたことにより、MIMO通信回路113側の端子(すなわち給電線F2に接続された側の端子)において、当該端子からアンテナ素子102をみたときのインピーダンスは、当該端子からMIMO通信回路113を見たときのインピーダンス(すなわち給電線F2の50Ωの特性インピーダンス)に一致する。同様に、整合回路112を設けたことにより、MIMO通信回路113側の端子(すなわち給電線F4に接続された側の端子)において、当該端子からアンテナ素子102をみたときのインピーダンスは、当該端子からMIMO通信回路113を見たときのインピーダンス(すなわち給電線F4の50Ωの特性インピーダンス)に一致する。整合回路111,112を設けることは、共振周波数とアイソレーション周波数との両方に影響するが、主に、共振周波数を変化させるように寄与する。
アンテナ素子102に延長導体121を接続する効果は、以下のとおりである。アンテナ装置101の共振長さは、アンテナ素子102に延長導体121を接続したことにより増大する。すなわち、アンテナ装置101の動作周波数が低くなる。これにより、同じ動作周波数のアンテナ装置101を設計する場合に、アンテナサイズの削減を達成できるという利点がある。さらに、スリット105の長さを増大できるので、アイソレーション周波数を低くできるという効果もある。これにより、携帯電話機等の小型無線端末のような、アンテナサイズが制限され、その削減が強く求められる場合に、本発明のアンテナ装置は、最大外形寸法を維持しつつ、動作周波数とアイソレーション周波数との双方を低くできるという効果がある。
図2aは、図1のアンテナ装置101の実施例を示す正面図であり、図2bはその側面図を示す。アンテナ素子102の横方向の中央に、幅1mmのスリット105を設けた。アンテナ装置101の動作特性は、延長導体121におけるスリット105の延長部分の長さa(すなわち延長導体121の長さ)に依存して変化する。従って、延長導体121の効果を検証するために、延長部分の長さaを変化させたときの共振周波数及びアイソレーション周波数を調べた。図3は、図2a及び図2bのアンテナ装置101に係る反射係数のパラメータS11の周波数特性を示すグラフであり、図4は、図2a及び図2bのアンテナ装置101に係る通過係数のパラメータS21の周波数特性を示すグラフである。図5は、図2a及び図2bのアンテナ装置101に係るスミスチャートである。延長部分の長さa=0,2,4mmに変化させた。図3〜図5によれば、延長部分の長さaを大きくしていくと、共振周波数(S11の極小点)とアイソレーション周波数(S21の極小点)が低い周波数に移っていることが観測される。この場合、100MHzから200MHzの周波数変化を実現できた。
アンテナ素子102及び接地導体103は、長方形形状に限定されず、所望の放射特性及び無線通信装置の筐体に応じて任意の形状を有してもよい。また、アンテナ素子102を接地導体103上に誘電体で支持してもよい。アンテナ素子102と接地導体103は、2つの接続導体104a,104bによって接続されることに限定されず、少なくとも1つの接続導体によって接続されてもよい。また、アンテナ素子102と接地導体103を複数の接続導体104a,104bによって接続することに代えて、単一の導体板によって接続してもよい。
図6及び図7は、本発明の第1の実施形態の第1及び第2の変形例に係るアンテナ装置201,301を示す側面図である。延長導体121は、アンテナ装置の寸法を増大させないために、好ましくは、アンテナ素子102から接地導体103の方向に向かって折り曲げられる。折り曲げる方向は、図2bに示すようにアンテナ素子102に対して垂直方向だけに限定されず、図6及び図7に示すような方向であってもよい。図8は、本発明の第1の実施形態の第3の変形例に係るアンテナ装置401及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置は、逆F型アンテナ装置に限定されず、接続導体104a,104bを持たない板状逆L型アンテナ装置として構成されてもよい。
以上説明したように、第1の実施形態のアンテナ装置は、アンテナ素子102に接続された延長導体121と、アンテナ素子102から延長導体121にわたって延在するスリット105とを備えたことにより、アンテナ装置の動作周波数とアイソレーション周波数とを低くすることができ、アンテナサイズの削減を達成することができる。
第2の実施形態.
図9は、本発明の第2の実施形態に係るアンテナ装置501及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。第1の実施形態では、アンテナ素子102に延長導体121を接続したことにより、スリット105をその開放端の側に延長していたが、第2の実施形態では、アンテナ素子102に延長導体122を接続したことにより、スリットをその短絡端の側に延長する。
図9において、アンテナ装置501は、第1の実施形態の場合と同様のアンテナ素子102、接地導体103及び給電点106a,107aを備える。アンテナ素子102の外周の所定区間(図9では上辺)にわたって、長方形形状の導体板にてなる延長導体122が機械的かつ電気的に接続される。さらに、アンテナ素子102上で、延長導体122と給電点106a,107aとの間の所定の接続点において、アンテナ素子102を接地導体103にそれぞれ機械的かつ電気的に接続する直線状の接続導体104a,104bが設けられる。アンテナ素子102上において、接続導体104a,104bの各接続点間の部分を横切り、給電点106a,107a間の部分を横切るように、延長導体122からアンテナ素子102にわたって延在するスリット105が設けられる。スリット105は、延長導体122上に短絡端を有し、アンテナ素子102上に開放端を有する。本実施形態のアンテナ装置501では、アンテナ素子102に延長導体122を接続したことにより、スリット105が、その短絡端の側に延長される。
アンテナ素子102に延長導体122を接続する効果は、以下のとおりである。図11は、図9のアンテナ装置501上の電流経路を示す図である。図9のように接続導体104a,104b及びスリット105を設けたことにより、給電点106a,107aから接続導体104a,104bへのインピーダンスは、給電点106a,107aからスリット105の短絡端へのインピーダンスよりも低くなるので、アンテナ素子102上の電流は、スリット105の短絡端に向かってではなく、接続導体104a,104bを介して接地導体103に向かって流れる。このため、アンテナ装置501の入力インピーダンス及び共振長さは、延長導体122を設けたことによっては大きく変化せず、共振周波数の設計に大きく影響を与えることはない。一方、スリット105は延長導体122まで延在し、延長導体122におけるスリット105の延長部分は、アイソレーション周波数を低くするように寄与する。言い換えると、アンテナ素子102に延長導体122を接続することにより、アイソレーション周波数のみを変更でき、延長導体122におけるスリット105の延長部分の長さを調整することにより、アイソレーション周波数を微調整することができる。
図10aは、図9のアンテナ装置501の実施例を示す正面図であり、図10bはその側面図を示し、図10cはその上面図を示す。アンテナ素子102の横方向の中央に、幅1mmのスリット105を設けた。アンテナ装置501の動作特性は、延長導体122におけるスリット105の延長部分の長さbに依存して変化する。従って、延長導体122の効果を検証するために、延長部分の長さbを変化させたときの共振周波数及びアイソレーション周波数を調べた。図12は、図10a〜図10cのアンテナ装置501に係る反射係数のパラメータS11の周波数特性を示すグラフであり、図13は、図10a〜図10cのアンテナ装置501に係る通過係数のパラメータS21の周波数特性を示すグラフである。延長部分の長さb=0,2,4mmに変化させた。図12〜図13によれば、延長部分の長さbを大きくしていくと、共振周波数(S11)はほとんど変化しないが、アイソレーション周波数(S21の極小点)が低い周波数に移っていることが観測される。この場合、100MHzから200MHzの周波数変化を実現できた。図14は、図10a〜図10cのアンテナ装置501に係るスミスチャートである。図14によれば、延長部分の長さbが変化しても、インピーダンスが実質的に変化しないことがわかる。
図15〜図18は、本発明の第2の実施形態の第1〜第4の変形例に係るアンテナ装置601,701,801,901を示す側面図である。延長導体122は、アンテナ装置の寸法を増大させないために、好ましくは、アンテナ素子102から接地導体103の方向に向かって折り曲げられる。折り曲げる方向は、図10bに示すようにアンテナ素子102に対して垂直方向だけに限定されず、図15に示すような方向であってもよい。また、アンテナ素子102における接続導体104a,104bの接続点と、アンテナ素子102に延長導体122が接続された位置とは、図9及び図15のように互いに近接していなくてもよく、スリット105の短絡端が接続導体104a,104bよりも給電点106a,107aから遠隔するような位置にあれば、例えば図16〜図18のような位置であってもよい。
以上説明したように、第2の実施形態のアンテナ装置は、アンテナ素子102に接続された延長導体122と、アンテナ素子102上において、接続導体104a,104bの各接続点間の部分を横切り、給電点106a,107a間の部分を横切るように、アンテナ素子102から延長導体122にわたって延在するスリット105とを備えたことにより、アンテナ装置のサイズを変化させることなく、簡単な構成でありながらアイソレーション周波数のみを調整することが可能になり、MIMOアンテナ装置の設計上の自由度を高くできるという利点がある。本実施形態のアンテナ装置は、特に、アイソレーション周波数のみを低下させるという効果がある。これにより、MIMOアンテナ装置のサイズを小型に維持しつつ、低い周波数においても良好なMIMO無線通信を実現できるという特長がある。
第3の実施形態.
図19は、本発明の第3の実施形態に係るアンテナ装置1001及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のアンテナ装置1001は、第1及び第2の実施形態のアンテナ装置を組み合わせた構成を備えたことを特徴とする。
図19において、アンテナ装置1001は、第1及び第2の実施形態の場合と同様のアンテナ素子102、接地導体103及び給電点106a,107aを備える。アンテナ素子102の外周の所定区間(図19では下辺)にわたって、延長導体121(すなわち延長導体121a,121b)が機械的かつ電気的に接続される。アンテナ素子102の外周の別の区間(図19では上辺)にわたって、延長導体122が機械的かつ電気的に接続される。さらに、アンテナ素子102上で、延長導体122と給電点106a,107aとの間の所定の接続点において、アンテナ素子102を接地導体103にそれぞれ機械的かつ電気的に接続する直線状の接続導体104a,104bが設けられる。アンテナ素子102上において、接続導体104a,104bの各接続点間の部分を横切り、給電点106a,107a間の部分を横切るように、延長導体122からアンテナ素子102を通り延長導体121まで延在するスリット105が設けられる。スリット105は、延長導体122上に短絡端を有し、延長導体121上に開放端を有する。本実施形態のアンテナ装置1001では、アンテナ素子102に延長導体121,122を接続したことにより、スリット105が、その開放端の側及び短絡端の側にそれぞれ延長される。
第1の実施形態のように、接続導体104a,104bよりも給電点106a,107aに近接した側でアンテナ素子102に延長導体121を接続したことにより、アンテナ装置1001の動作周波数を低くすることができ、同じ動作周波数のアンテナ装置を設計する場合には、アンテナサイズの削減を達成できるという利点がある。さらに、第2の実施形態のように、給電点106a,107aよりも接続導体104a,104bに近接した側でアンテナ素子102に延長導体122を接続したにより、延長導体122におけるスリット105の延長部分の長さbによりアイソレーション周波数を調整できるという利点がある。従って、第3の実施形態のアンテナ装置1001によれば、低い動作周波数のときに困難になるアンテナサイズの削減という課題と、波長に対する給電点間距離の近接化により生じるアイソレーションの低下という課題の両方を解決できるという利点がある。
以上説明したように、第3の実施形態のアンテナ装置によれば、単一のアンテナ素子102を2つのアンテナ部として動作させ、簡単な構成でありながら低いアイソレーション周波数で給電点間のアイソレーションを確保することができ、移動体端末に必要不可欠となるMIMOアンテナ装置の小型化を実現することができる。
第4の実施形態.
図20〜図23は、本発明の第4の実施形態に係るアンテナ装置1101,1201,1301,1401及びそれを用いた無線通信装置の概略構成を示すブロック図である。本発明の実施形態に係るアンテナ装置は、第1〜第3の実施形態のようなスリットに代えてスロットを用いて構成されてもよい。
図20のアンテナ装置は、図1のスリット105に代えてスロット132を備え、図1の延長導体121に代えて延長導体131を備える。延長導体131は、スリット105の開放端に代えてスロット132の短絡端を有する。図21のアンテナ装置は、図8のスリット105に代えてスロット132を備え、図8の延長導体121に代えて延長導体131を備える。図22のアンテナ装置は、図9のスリット105に代えてスロット132を備え、図9の延長導体122に代えて延長導体133を備える。アンテナ素子102は、スリット105の開放端に代えてスロット132の短絡端を有する。図23のアンテナ装置は、図19のスリット105に代えてスロット132を備え、図19の延長導体121に代えて延長導体131を備え、図19の延長導体122に代えて延長導体133を備える。延長導体131は、スリット105の開放端に代えてスロット132の短絡端を有する。
図20〜図23のアンテナ装置1101,1201,1301,1401においても、第1〜第3の実施形態と同様に、アイソレーション周波数の低下や、アンテナサイズの削減等の好ましい効果をもたらすことができる。
本発明のアンテナ装置及びそれを用いた無線通信装置によれば、例えば携帯電話機として実装することができ、あるいは無線LAN用の装置として実装することもできる。このアンテナ装置は、例えばMIMO通信を行うための無線通信装置に搭載することができるが、MIMO通信に限らず、複数のアンテナを同時に使用する最大比合成ダイバーシチ、等位相合成ダイバーシチ及びアダプティブアレーといったアレーアンテナ装置や、これらのアレーアンテナ装置のいずれかを用いた無線通信装置に搭載することも可能である。
101,201,301,401,501,601,701,801,901,1001,1101,1201,1301,1401…アンテナ装置、
102…アンテナ素子、
103…接地導体、
104a,104b…接続導体、
105…スリット、
106a,107a…給電点、
106b,107b…接続点、
111,112…インピーダンス整合回路、
113…MIMO通信回路、
121a,121b,122,131,133…延長導体、
132…スロット、
F1,F2,F3,F4…給電線、
F1a,F1b,F3a,F3b…信号線。

Claims (4)

  1. 板状のアンテナ素子上の所定の各位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の給電点を備えたMIMOアンテナ装置において、
    上記アンテナ素子は、上記第1及び第2の給電点にそれぞれ対応した第1及び第2のアンテナ部として同時に動作するように、上記第1及び第2の給電点を介してMIMO通信方式に係る2つの無線信号によりそれぞれ同時に励振され、
    上記MIMOアンテナ装置はさらに、
    上記アンテナ素子の外周の所定区間にわたって接続された延長導体と、
    上記アンテナ素子上において上記第1及び第2の給電点間の部分を横切るように、上記アンテナ素子から上記延長導体にわたって延在し、上記延長導体に開放端を有するスリットとを備えたことを特徴とするMIMOアンテナ装置。
  2. 板状のアンテナ素子上の所定の各位置にそれぞれ設けられた第1及び第2の給電点を備えたMIMOアンテナ装置において、
    上記アンテナ素子は、上記第1及び第2の給電点にそれぞれ対応した第1及び第2のアンテナ部として同時に動作するように、上記第1及び第2の給電点を介してMIMO通信方式に係る2つの無線信号によりそれぞれ同時に励振され、
    上記MIMOアンテナ装置はさらに、
    上記アンテナ素子の外周の所定区間にわたって接続された延長導体と、
    上記アンテナ素子上において上記第1及び第2の給電点間の部分を横切るように、上記アンテナ素子から上記延長導体にわたって延在するスロットとを備えたことを特徴とするMIMOアンテナ装置。
  3. 上記アンテナ素子は、接地導体上に設けられ、少なくとも1つの接続導体を介して上記接地導体に接続されたことを特徴とする請求項1又は2記載のMIMOアンテナ装置。
  4. 複数の無線信号を送受信する無線通信装置において、請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載のMIMOアンテナ装置を備えたことを特徴とする無線通信装置。
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