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JP5704008B2 - スタビライザーバー取付用ブッシュ - Google Patents

スタビライザーバー取付用ブッシュ Download PDF

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JP5704008B2 JP2011166247A JP2011166247A JP5704008B2 JP 5704008 B2 JP5704008 B2 JP 5704008B2 JP 2011166247 A JP2011166247 A JP 2011166247A JP 2011166247 A JP2011166247 A JP 2011166247A JP 5704008 B2 JP5704008 B2 JP 5704008B2
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Description

本発明は、車両のスタビライザーバーを車体に取り付けるために使用されるスタビライザーバー取付用ブッシュに関する。
例えば図9に示すように、自動車等の車両における両輪のサスペンション装置間を、平面視で略コ字状のスタビライザーバー1で連結したスタビライザーが知られている。このようなスタビライザーは、スタビライザーバー1のねじりを利用することで、車両のロール角を抑制し、車両の操作安定性を向上させている。このスタビライザーバー1は、その中間部分にて車体下部に取り付けられるが、上述のようにねじれる必要があることから、ゴム材等の弾性部材で形成されたブッシュ2に挿通され、このブッシュ2をブラケット3で車体下部に取り付けることで車体への取り付けが行われる。
ブッシュ2によるスタビライザーバー1の支持方法には、圧着方法や、接着方法等がある。圧着方法は、ブッシュ2にブラケット3を被せてブッシュ2を締め付け、この締付力にてブッシュ2がスタビライザーバー1を圧接し把持する。接着方法は、スタビライザーバー1とブッシュ2とを接着して支持する。
またブッシュ2には、単純に弾性部材のみにて作製されるものや、より締付力を増すために図10に示すように金属板4を埋設したもの(例えば特許文献1〜3)等の形態がある。したがって、ブッシュ2を介してスタビライザーバー1を車体へ取り付ける方法には、上述の支持方法と各ブッシュ形態とを適宜、組み合わせたものが存在する。
特開2009−073366号公報 特開2009−083643号公報 特開2000−046110号公報
上述のように、スタビライザーバー1の車体への取り付け方法には、幾つかの組み合わせが存在するが、例えば、弾性部材のブッシュ2を用いて上述の圧着方法でスタビライザーバー1を支持する方法には、以下のような問題がある。
即ち、上述のようにスタビライザーバー1には、ねじりが発生するが、スタビライザーバー1に対するブッシュ2の圧着力が不十分な場合には、ねじり発生時におけるスタビライザーバー1の周方向への回転に対してブッシュ2の追従が不十分となる。その結果、スタビライザーバー1とブッシュ2との摩擦によって、いわゆるスティックスリップ音と呼ばれる異音が発生するという問題がある。
この異音発生を抑制するためには、スタビライザーバー1に対するブッシュ2の締付力増加が有効である。その方法として、例えば、ブッシュ2において、スタビライザーバー1が挿通される穴の内径を、スタビライザーバーの外径に対してより小さくする、あるいは金属板4を埋設したブッシュ2を用いるといった方法が考えられる。
しかしながら、これらの小内径及び金属板付の各ブッシュは、スタビライザーバー1の車体への組み付けを難しくする、及びスタビライザーバー1への均等な締め付けが難しくなるという新たな問題を発生させる。つまり、小内径のブッシュでは、ブッシュへ2のブラケット3の取り付けが難しくなる。一般的にブッシュは、図10に示すように、ブッシュ2に形成した装着用切込み2aからブッシュ2を開いてスタビライザーバー1へ装着する。よって、金属板4を含むブッシュでは、金属板4の剛性からブッシュ2の開動作が容易ではなく、スタビライザーバー1へのブッシュ2の装着自体が難しい。さらに、大きく開動作が行われた場合には、金属板4が変形する、あるいは金属板4に加工硬化が生じる。その結果、スタビライザーバー1の周面に対して均一な締付力が作用しなくなり、再び異音の発生を招来するという懸念もある。尚、金属板4に代えて樹脂製等の剛性を有する板を用いた場合であっても、大きな開動作が行われた場合には、曲げ疲労によって破断、亀裂、及び変形が発生するおそれがある。
このように、弾性部材のブッシュにてスタビライザーバーを把持する場合、異音発生抑制と、スタビライザーバーへのブッシュの組み付け性改善とは相反するという問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、異音発生抑制と組付け性改善との両立を図ることが可能な、スタビライザーバー取付用ブッシュを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様におけるスタビライザーバー取付用ブッシュは、断面C字状の与圧板の少なくとも径方向内面を筒状の弾性体に取り付け、スタビライザーバーの直径に対して、これを嵌合支持する前記弾性体の貫通穴の径を小さくし、前記弾性体が前記与圧板の閉じ方向への変位と共に径方向に圧縮荷重を受けて潰れることで、スタビライザーバーに対し締付力を作用させるスタビライザーバー取付用ブッシュにおいて、該ブッシュの前記貫通穴へスタビライザーバーを装填する切込みを備え、この切込みと前記貫通穴との接点に位置する接点部分に面取り部を軸方向全長に設け、前記切込みに対向する貫通穴の内面部位から前記面取り部の外側端までの、スタビライザーバーの直径方向における寸法を前記スタビライザーバーの直径よりも短く設定したことを特徴とする。
また、前記与圧板は、前記弾性体内に埋設され、当該ブッシュを径方向外側から圧縮するブラケットをさらに備えてもよい。
また、前記面取り部は、前記外側端と、この外側端を起点とした仕上げ面とを元に形成され、仕上げ面は、前記切込みを通り貫通穴へ装填されるスタビライザーバーの周面の移動軌跡に一致する位置か、あるいは前記移動軌跡から離れた位置に設定することができる。
また、前記仕上げ面は、前記移動軌跡に一致する位置と、前記外側端から貫通穴への接線に一致する位置との間の位置に設定してもよい。
本発明の一態様におけるスタビライザーバー取付用ブッシュによれば、ブッシュの切込みにおける貫通穴の内面部分に面取り部を備え、この面取り部の直径方向における長さをスタビライザーバーの直径よりも小さく設定した。このように構成したことで、異音発生抑制のためにブッシュの貫通穴をより小さくして締付力の増加を図ったブッシュであっても、ブッシュにスタビライザーバーを装填するときの、ブッシュの開放角度を従来に比べて低減することができる。したがって、本発明の一態様におけるスタビライザーバー取付用ブッシュによれば、異音発生抑制を図るとともに、ブッシュとスタビライザーバーとの組み付け性の改善をも図ることが可能となる。また、ブッシュ開放角度の低減により、与圧板の変形を抑制することもでき、新たな異音発生の招来も抑制することができる。さらにまた、上述のように、ブッシュは面取り部を有するが、その長さはスタビライザーバーの直径よりも短く設定したことから、ブッシュへのスタビライザーバーの装填完了時点では、面取り部は完全に潰れ、ブッシュの貫通穴とスタビライザーバーの外周面との間には、一切、隙間は発生しない。よって、組み付け後において、異物が貫通穴に浸入することはなく、異物に起因する異音の発生も防止することができる。
また、与圧板は、少なくとも径方向内面をブッシュに接して取り付けるように構成したことから、与圧板の直径を大きく取ることができ、締付力の周方向均質化を図りつつ、組み付け時の与圧板の開放角度を抑制でき、また面取り部寸法の確保が可能である。
また、与圧板の少なくとも径方向内面をブッシュに接して取り付ける構成によれば、例えば、ブッシュの外面に与圧板を取り付けることも可能である。よって、スタビライザーバーを装填したブッシュを車体等に取り付けるための部材として与圧板を用いることも可能である。
一方、与圧板の径方向内面のみならず外面もブッシュに接する、つまりブッシュに与圧板を埋設した構成では、与圧板とブラケットとの間にブッシュの一部が介在することから、与圧板とブラケットとの間での異音発生を防止することができる。
また、面取り部の仕上げ面を、スタビライザーバーの周面の移動軌跡に一致する位置に設定することで、切込みから開くブッシュの開角度を最小限にすることができる。
また、面取り部の仕上げ面を、前記移動軌跡に一致する位置と、外側端から貫通穴への接線に一致する位置との間に設定することで、スタビライザーバーの把持状態において面取り部を効果的に潰して締め付け力を発生させることができる。
本発明の一実施形態におけるスタビライザーバー取付用ブッシュの正面図である。 図1に示すブッシュのB部の拡大図である。 図1に示すブッシュのA−A部における断面図である。 図1に示すブッシュへスタビライザーバーを装填する状態を示す図である。 図1に示すブッシュの側面を傾斜面とした理由を説明するための図である。 図1に示すブッシュを車体へ取り付けるためのブラケットの斜視図である。 図1に示すブッシュが車体へ取り付けられた状態を示す斜視図である。 図1に示すブッシュの変形例における断面図である。 従来のブッシュを含むスタビライザー部分の斜視図である。 従来のブッシュを示す図である。
本発明の実施形態であるスタビライザーバー取付用ブッシュについて、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
本実施形態におけるスタビライザーバー取付用のブッシュは、一構成例として、弾性材料にてなる筒状体であり、その軸方向の全長にわたり延在する貫通穴を有し、この貫通穴の内周上の一箇所とこの筒状体の外壁面との間で貫通穴の直径方向に沿って延在するとともに軸方向全長にわたって延在する切込みを有し、この切込みを通して上記貫通穴へ装填される棒状のスタビライザーバーを把持するブッシュであって、断面C字形状で軸方向に延在し、少なくとも径方向内面を当該ブッシュに接して取り付けられる与圧板を備え、上記貫通穴の内径は、上記スタビライザーバーの直径よりも小さく、スタビライザーバーの装填による上記与圧板からの締め付けと貫通穴の潰れとによって、当該ブッシュは圧接によりスタビライザーバーを把持し、上記貫通穴の内面と上記切込みとの接点部分において、上記軸方向の全長にわたり上記切込みに形成された面取り部をさらに備え、この面取り部の上記直径方向における長さは、上記与圧板よりも内側における当該ブッシュの潰れ量よりも小さい、ことを特徴とする。
このようなブッシュは、図7に示すように、また従来と同様に、被支持部材の一例に相当するスタビライザーバー210を装填した状態でブラケット211へ嵌められて締め付けられる。そして、ブッシュを装着したブラケット211は、例えばサスクロス等の車体下部部材212へ取り付けられる。このような取り付け状態では、ブラケット211による締め付けによって、ブッシュは、ねじりが発生するスタビライザーバー210を締め付けて把持する。
このようなブッシュについて、より詳しく以下に説明する。
図1には、本実施形態におけるスタビライザーバー取付用のブッシュ101が示されている。ブッシュ101は、ゴム材等の弾性部材にてなる部材であって、スタビライザーバー210のねじれに対して追従すべく、例えば高級脂肪酸アミド、パラフィン、シリコーンオイル等の潤滑剤を塗布した場合よりも大きな摩擦力及び粘弾性を有する材料から形成される部材である。例えば、天然ゴムを主体としてカーボンブラック等の各種添加剤や、他の合成ゴムを適宜添加した材質からブッシュ101は形成可能である。ここで天然ゴムは、動的疲労しにくく、特に、他の汎用ゴム例えばBR(ブタジエンゴム)や、SBR(スチレンブタジエンゴム)等と比べて粘着力が高く、つまり滑り難く、被支持部材を非接着で、かつ非潤滑で支持する部材に適している。勿論、合成ゴムや弾性を有するエラストマーを主体としも良いことは言うまでもない。
このようなブッシュ101は、本実施形態では逆U字型の断面形状を有し、その中央には、当該ブッシュ101の軸方向(図1の紙面貫通方向)191においてブッシュ101を貫通する円形の貫通穴110を形成した筒状体である。この貫通穴110には、図7に示すように、スタビライザーバー210が装填される。このとき、ブッシュ101がスタビライザーバー210を締め付けて把持するように、貫通穴110の内径φAは、スタビライザーバー210の外径φB(図4)よりも小さく設計される。例えば一実施例において、貫通穴110の内径φAは18mmであり、スタビライザーバー210の外径φBは21mmである。また、一実施例としてブッシュ101の幅Wは、約50mmである。
このように貫通穴内径をスタビライザーバー外径よりも小さくすることで、スタビライザーバー210の装填後、ブラケット211にてブッシュ101を締め付けたときには、弾性部材のブッシュ101は、スタビライザーバー210における主に周面近傍領域にて、圧縮され潰れる。その結果、ブッシュ101は、強固にスタビライザーバー210を把持し、これにより、いわゆるスティックスリップ音の異音発生を抑制することが可能となる。
また、貫通穴110に装填されたスタビライザーバー210の周面210aに対してブッシュ101から締付力を均等に作用させるため、ブッシュ101は、与圧板130を有する。与圧板130は、以下に説明する切込み120に対応して、周囲の一箇所で分断された断面C字形状の部材であり、軸方向191へ延在する金属製の板材である。
このような与圧板130は、本実施形態では図3に示すように、貫通穴110及びスタビライザーバー210の直径方向192において貫通穴110の内周面110aからできるだけ離れた位置にて、ブッシュ101に埋設されている。このように埋設する構成では、後述の理由により、与圧板130は、内周面110aとブッシュ101の外壁面1011との間のブッシュ肉厚の半分よりも外壁面1011側に配置されるのが好ましい。本実施形態では、与圧板130は、図示するようにブッシュ101の外壁面1011の内側近傍部分に埋設されている。
しかしながらこのような埋設形態に限定されず、与圧板130は、少なくとも径方向内面130aがブッシュ101に接して取り付けられる、つまりブッシュ101の外壁面1011に内面130aを接触させて取り付けても良い。また、与圧板130は、本実施形態では金属製であるが、金属製に限定されず、上述の締付作用が可能な剛性を有する材質の部材であれば良い。
また、一実施例として、与圧板130の内面130aの大きさは直径約40mmである。
上述のように貫通穴110の内周面110aから離れた位置に与圧板130を設けることで、直径方向192における与圧板130と貫通穴内周面110aとの間の、ブッシュ101の肉厚を厚くすることができる。上述のように締め付けによりブッシュ101は圧縮され潰れるが、このように肉厚を厚く設定することで、狙いのバネ定数になるよう所定の締め付け力で締め付けたときにその潰れ量を大きくすることができ、ブッシュ101へのスタビライザーバー210の装填作業を従来に比べて容易に行うことが可能となる。また、以下に説明する面取り部を径方向に大きく設けることができるという効果も生じる。
また、ブッシュ101は、ねじりが発生するスタビライザーバー210を締め付け把持するが、上述のように肉厚を厚く設定することで、肉厚が薄い場合に比べて、周方向へ回転しようとするスタビライザーバー210に対するブッシュ101の追従性を高めることができる。したがって、ねじれるスタビライザーバー210に対してブッシュ101がスリップすることが低減し、これにより異音発生を低減することができる。
また本実施形態では、ブッシュ101は、上下を反転させた逆U字形に成形した形状を有するが、これは図7に示すように略Ω型のブラケット211に対応させたものであり、図示の形状に限定するものではない。よって、ブッシュ101の形状は、ブラケット211の形状に対応する。
さらにブッシュ101は、貫通穴110へのスタビライザーバー210を装填するため、当該ブッシュ101を分断する切込み120を有する。この切込み120は、貫通穴110の内周面110aの一箇所と、当該ブッシュ101の外壁面1011との間にて、貫通穴110の直径方向192に沿って延在し、また軸方向191の全長にわたって延在する。切込み120を有することで、貫通穴110へのスタビライザーバー210の装填にあたり、図4に示すように、貫通穴110の略周方向へブッシュ101を開くことができ、貫通穴110を開放可能とする。
尚、本実施形態では図1に示すように、切込み120には、適宜な幅121aを有する隙間121が形成されるが、幅121aの大小は問わない。よって切込み120は、幅121aの寸法がゼロである、単なる切り目であってもよい。
さらにブッシュ101は、当該ブッシュ101における特徴的構成部分の一つである面取り部140を有する。上述したように、貫通穴110へスタビライザーバー210を装填するにあたり、切込み120からブッシュ101を開くが、このときブッシュ101の開角度に最も影響を与える部分は、図4から明らかになるように、スタビライザーバー210の周面210aと干渉する部分、つまり切込み120と貫通穴110の内周面110aとの接点を含む領域に相当する「接点部分」である。したがって、この接点部分をブッシュ101から切除することで、ブッシュ101の開角度を小さくすることができる。即ち、ブッシュ101へのスタビライザーバー210の装填作業を容易にすることが可能となる。面取り部140は、このような切除する接点部分に相当し、図2に示す斜線部分に相当する。また、このような面取り部140は、ブッシュ101の軸方向191の全長にわたり形成されている。このように、面取り部140は、ブッシュ101へのスタビライザーバー210の組み付け性の改善を図ることができる。
一方、スタビライザーバー210の組み付け性の観点のみから考えると、面取り部140は大きい方が好ましいが、異音発生抑制という課題との関係から、面取り部140の大きさには限界が存在する。以下には、面取り部140の大きさの設定について詳しく説明する。
即ち、上述したようにブッシュ101は、スタビライザーバー210を装填後、ブラケット211にて締め付けられることで、スタビライザーバー210の周面210aに対して潰れ、これを把持する。一方、この潰れ量は、ブッシュ101の材質、貫通穴110の内径、締め付け具合、等によって変化する。また、締め付け後においてもスタビライザーバー210の周面210aと面取り部140との間に隙間が残存してしまうことは、その隙間への異物侵入、異音発生等の原因となる。
これらのことから、面取り部140における面取り量つまり面取りの大きさは、まず前提として、スタビライザーバー210の周面210aに対するブッシュ101の潰れ量よりも小さくなければならない。面取り部140は、このような前提を満足することで、スタビライザーバー210の組み付け作業性の改善、及び異音発生抑制の両方を満足させることが可能となる。
このような前提下で、面取り部140の設計方法について具体的に説明する。
図2に示すように、切込み120と貫通穴110の内周面110aとの接点142と、切込み120において面取り部140を形成する外側端143との間の直径方向192に沿った長さをCとする。また、直径方向192において切込み120に対向する貫通穴110の内周面110a上の位置を内面部位144とする。
上述の前提から、C<ブッシュ101の潰れ量、の関係となる。尚、ここでは面取り部140を設けることを論じているので、勿論、C>ゼロ、である。よって、面取り部140は、この関係を満たすようにCの寸法を設計すればよい。ここでブッシュ101の潰れ量は、ブッシュ101の材料を適宜選択することで、貫通穴110の内径がスタビライザーバー210の外径まで押し広げられる、つまり潰れる、ことであるから、スタビライザーバー210の外径φBから貫通穴110の内径φAを減算した値に相当する。上述した一実施例の値を参照すると、φBが21mm、φAが18mmであるので、C<3(21−18)mmとなり、一実施例ではCは2mmに設定している。尚、この考え方は、以下の内容に基づいている。つまり、ブッシュ101がスタビライザーバー210を装填し締め込まれたとき、貫通穴110は、その内周面で均等に潰れるのが理想である。しかしながら、貫通穴110には面取り部140を設けるので、実際には、スタビライザーバー210が面取り部140側へ僅かに移動し、貫通穴110は均等に潰れず、面取り部140部分でその多くが潰れることになる。この現実内容に基づいて、C<ブッシュ101の潰れ量、の関係が得られる。
あるいはまた、次の設計手法もある。つまり、本実施形態におけるブッシュ101では切込み120に隙間121が存在する。よって設計、製作時にはゼロを超える幅121aが存在しこのとき真円の貫通穴110を設計するが、最終使用状態では隙間121は潰れて幅121aはゼロになる。この最終使用状態では、貫通穴110は厳密に言えば真円ではなく、上述の外径φBから内径φAの減算値を利用することは設計精度が若干低下する。このような状況の下、より精度の高い面取り部140を設計するために、次の仮想状態を用いる。即ち、スタビライザーバー210を装填せず、単に隙間121の幅121aがゼロになるまでブッシュ101を締め付けた状態を考える。この仮想状態で上述の前提を満足させるためには、外側端143と内面部位144との間の直径方向192における寸法を、スタビライザーバー210の直径φBよりも短くすればよい。このような関係を満たすように面取り部140を設計すればよい。尚、切込み120が隙間121を有しない構成にあっては、上記仮想状態を考える必要はない。
しかしながら実際には、一例として上述したように、外径φB、内径φAは、ともに20mm前後であり、幅121aも1mmであるような場合には、C<ブッシュ101の潰れ量、の関係に従い面取り部140の設計を行ってもほとんど支障は生じない。
以上のようにして面取り部140における外側端143の位置が設定され、この外側端143を起点として、面取り部140を形成する仕上げ面141が以下のように設計される。即ち、スタビライザーバー210を装填するための、ブッシュ101の最小の開状態は、図4に示すように、外側端143がスタビライザーバー210の外面210aに接する状態である。よって、仕上げ面141は、最低限、外面210aの軌跡145(一点鎖線の図示)に配置すればよい。一方、上述のブッシュ101の最小の開状態において、面取り部140が形成されるためには、仕上げ面141は、最大限、外側端143から貫通穴110の内周面110aへの接線146(二点鎖線の図示)に位置することができる。したがって仕上げ面141は、外側端143を起点として、軌跡145と接線146との間の任意の角度内の線にて設計される。
このようにして面取り部140における仕上げ面141が設定され、面取り部140が設計される。
以上のように面取り部140が設計されるで、スタビライザーバー210の組み付け作業性の改善、及び異音発生抑制の両方を満足させることができる。
さらにブッシュ101において、貫通穴110を形成するブッシュ101の側面1012は、以下のように構成される。即ち、スタビライザーバー210の非装填状態において、側面1012には、貫通穴110と同心円状であり、貫通穴110に向かって一様な傾斜角度にて窪んだ傾斜面1012aが形成されている。尚、側面1012の内、傾斜面1012aを除いた部分は平面にてなる。このような傾斜面1012aを設けた理由を以下に説明する。
即ち、図5の(a)に示すように、スタビライザーバー210が非装填の状態において、仮に、ブッシュ101の側面Sを、軸方向191に対して垂直な平面にて形成した場合、図5の(b)に示すように、スタビライザーバー210を装填した状態では、貫通穴110の潰れによって、側面Sは、軸方向191において、ブッシュ101の外側へ凸となる。その結果、側面Sにおけるスタビライザーバー210の周面210aとの接触部S1には、リップ形状部が発生し、異物のかみ込み、それによる異音等が発生する。このような問題の発生を防止するため、本実施形態では、貫通穴110の形成部分に対応して上述の窪ませた傾斜面1012aを形成している。
以上のように構成されたブッシュ101は、当該「発明を実施するための形態」欄の冒頭部分で述べたように、スタビライザーバー210を装填した状態で、ブラケット211を用いて車体下部部材212へ取り付けられ、ブラケット211による締め付けによって、ブッシュは、ねじりが発生するスタビライザーバー210を締め付け把持する。
このように車体に取り付けられたブッシュ101によれば、特に面取り部140を設けたことにより、既に説明したように、異音発生抑制及び組付け性改善の両立を図ることができる。
本実施形態のブッシュ101は、上述したように、与圧板130を埋設した構成を採っており、さらには、ブッシュ101の外壁面1011に与圧板130を取り付けても良い旨を説明した。この、ブッシュ101の外壁面1011に与圧板130を取り付ける構成について、さらに説明を加える。
即ち、ブッシュ101の外壁面1011に与圧板130を取り付ける構成には、次の2つの形態を含んでいる。即ち、一つめとして、ブッシュ101の外壁面1011に対して、例えば接着剤によって与圧板130を取り付け、このような与圧板付きのブッシュ101をブラケット211で車体に取り付ける、という形態である。
二番目としては、図8に示すブッシュ102のように、ブッシュ102は与圧板130を有しない構成である。ここでブッシュ102において、与圧板130を除いたブッシュ102の他の構成部分は、上述したブッシュ101における構成と同一である。このようなブッシュ102に対しては、ブラケット211に与圧板130の機能と、ブッシュ102の締め付け及び車体への取り付けの機能との両方を兼ねさせる。
このような二番目の形態であっても、ブッシュ101を用いた構成の場合と同様に、異音発生抑制及び組付け性改善の両立を図ることが可能である。
本発明は、自動車のスタビライザーバーを車体に取り付けるために使用されるスタビライザーバー取付用ブッシュに適用可能である。
101、102…スタビライザーバー取付用ブッシュ、
110…貫通穴、120…切込み、130…与圧板、140…面取り部、
210…スタビライザーバー、211…ブラケット。

Claims (4)

  1. 断面C字状の与圧板の少なくとも径方向内面を筒状の弾性体に取り付け、スタビライザーバーの直径に対して、これを嵌合支持する前記弾性体の貫通穴の径を小さくし、前記弾性体が前記与圧板の閉じ方向への変位と共に径方向に圧縮荷重を受けて潰れることで、スタビライザーバーに対し締付力を作用させるスタビライザーバー取付用ブッシュにおいて、
    該ブッシュの前記貫通穴へスタビライザーバーを装填する切込みを備え、この切込みと前記貫通穴との接点に位置する接点部分に面取り部を軸方向全長に設け、
    前記切込みに対向する貫通穴の内面部位から前記面取り部の外側端までの、スタビライザーバーの直径方向における寸法を前記スタビライザーバーの直径よりも短く設定した、
    ことを特徴とするスタビライザーバー取付用ブッシュ。
  2. 前記与圧板は、前記弾性体内に埋設され、当該ブッシュを径方向外側から圧縮するブラケットをさらに備えた、請求項1記載のスタビライザーバー取付用ブッシュ。
  3. 前記面取り部は、前記外側端と、この外側端を起点とした仕上げ面とを元に形成され、仕上げ面は、前記切込みを通り貫通穴へ装填されるスタビライザーバーの周面の移動軌跡に一致する位置か、あるいは前記移動軌跡から離れた位置に設定される、請求項1又は2に記載のスタビライザーバー取付用ブッシュ。
  4. 前記仕上げ面は、前記移動軌跡に一致する位置と、前記外側端から貫通穴への接線に一致する位置との間の位置に設定される、請求項3に記載のスタビライザーバー取付用ブッシュ。
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