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JP4131975B2 - 防振装置の取付構造 - Google Patents

防振装置の取付構造 Download PDF

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Description

本発明は、自動車のスタビライザーブッシュやリアサスペンションブッシュその他の各種のゴムブッシュとして使用される防振装置の取付構造に関するものである。
自動車の防振装置の一種であるスタビライザーブッシュやリヤサスペンションブッシュ等のゴムブッシュは、一般に厚肉筒状をなすゴム弾性体よりなり、その内孔部に車両のスタビライザーバー等のバー部材を挿通して保持した状態で使用されるものである。
かかるゴムブッシュよりなる防振装置は、スタビライザーバー等のバー部材が貫通する内孔部を有する厚肉筒状のゴム弾性体よりなるブッシュ本体と、該ブッシュ本体を外方より保持するブラケット金具とからなる。ブラケット金具は、例えば車体への取付側とこれに締結される側とに分割形成された一対のブラケット金具部材よりなり、前記ブッシュ本体の内孔部にバー部材を挿通した状態で、前記両ブラケット金具部材の締結により前記ブッシュ本体を締め付けた状態でバー部材に固定状態に取り付けられる。前記ブッシュ本体は、スタビライザーバー等のバー部材に対する装着のために、一部に縦方向のカット部が形成されて拡開可能に形成されるか、あるいは縦方向に2分するように分割形成される。
ところで、前記ブッシュ本体は、両ブラケット金具部材の締結によって前記バー部材に対し摩擦力で固定されるのが一般的であるが、例えば自動車のスタビライザーバーでの使用においては、車両の急発進や急停止、旋回等によって生じる前記バー部材の揺動やねじれ運動等により、前記バー部材とブッシュ本体との間でスリップや位置ずれを生じるおそれがあり、操縦安定性が損なわれる虞がある。
例えば、下記の特許文献1には、ゴム弾性体よりなるブッシュ本体を分割形の保持体と閉塞体により構成して、ブラケット金具の締め付けによりスタビライダーバーに対して摩擦連結することが示されているが、ブラケット金具に加硫接着された前記保持体に対して前記閉塞体を揺動閉鎖する構造のために、ブッシュ本体の圧縮量を大きくするのには限度があり、スリップや軸方向の位置ずれ防止の効果は充分には得られない。
また、下記の特許文献2には、ブラケット金具をかしめることで、ブッシュ本体を強く締め付けるようにしたものが示されているが、この場合、取付の際にブラケット金具のかしめ加工を必要とし、取付作業が面倒になる。
また、下記の特許文献3や4に例示するように、スタビライザーバー等のバー部材に対してゴム弾性体よりなるブッシュ本体を接着することが提案されている。しかし、特許文献3の場合は、熱硬化性樹脂を使用するものであって、スタビライザバーの塗装工程での高温熱処理を利用するもの、また、特許文献4の場合は、加熱処理により追加加硫が可能な添加剤を含む接着剤を使用するものであり、いずれも加熱処理の工程を必要とする上、前記の接着の際に、ゴム弾性体よりなるブッシュ本体自体が加熱されることで、特性が変化する虞もある。
殊に、前記のように接着する場合は、接着時の圧力不足による接着界面の剥離等の問題を生じさせないようにするために、全面にわたって接着に必要な面圧を確保する必要があるが、ゴム弾性体を過度に圧縮した状態で接着すると、接着部に160〜180℃の高熱が発生することもあって、ゴム弾性体の特性が変化し、ゴム劣化が早くなる、と言った問題がある。
なお、スリップによる異音の発生を防止するために、例えば、下記の特許文献5−6のように、前記ブッシュ本体に自己潤滑性のゴム材料を使用したり、あるいは内孔部にテフロン(登録商標)製布等の織布を貼付して、バー部材との間の滑りをよくするこも提案されているが、この場合は、横滑りや抜け出し防止の効果の点では不利であり、何らかの抜け出し防止の手段を併用する必要があり、また滑りがよいために操縦安定性を損なうという問題がある。
:特開平11−192828号公報 :特開2001−271860号公報 :特開2001−270315号公報 :特開2000−142068号公報 :特開2001−182767号公報 :特開2001−221284号公報
本発明は、上記の問題を解決するためになしたものであり、ゴム弾性体よりなるブッシュ本体に対してブラケット金具の締め付けのみによって充分な圧縮力を付与でき、接着しなくても、スタビライザーバー等のバー部材に対しスリップや位置ずれが生じないように確実に取付固定でき、その耐久性を高めることができる防振装置の取付構造を提供するものである。
本発明は、バー部材が貫通する内孔部を有するゴム弾性体よりなるブッシュ本体と、前記ブッシュ本体を外周より保持するブラケット金具とからなり、前記バー部材に嵌合されて取付けられる防振装置の取付構造であって、前記ブッシュ本体とブラケット金具とがそれぞれ縦方向に2分割され、前記ブッシュ本体を構成する一対の分割ゴム体は、それぞれ前記ブラケット金具の分割体である締結可能な一対の半部材の内周面に加硫接着され、該両分割ゴム体の内周部に、それぞれ前記バー部材の外径に相応する内径の半割形内筒が加硫接着されるとともに、該両半割形内筒による内孔部周面が前記両半部材の内周面に対し互いの対向側に偏心して形成されてなり、前記両分割ゴム体により前記バー部材を挟んで前記ブラケット金具の両半部材が対接状態に締結されることにより、前記両分割ゴム体がそれぞれ対向方向に圧縮されるとともに、前記両半割形内筒による内孔部周面が前記バー部材の外周面に対し圧着されてなることを特徴とする。
この取付構造によれば、前記両分割ゴム体は、それぞれ両半割形内筒による内孔部周面が前記ブラケット金具の両半部材の内周面に対し互いの対向側に偏心して形成されて、両分割ゴム体の対向方向のゴム厚が大きくなって締め代も大きくなっているため、前記ブラケット金具の両半部材が対接状態に締結されることにより、前記両分割ゴム体がそれぞれ対向方向に大きく圧縮され、この圧縮力で前記両半割形内筒に内方向きの力が付与されることになり、その結果、前記半割形内筒による内孔部周面が前記バー部材の外周面に対し強く圧着されることになる。
特に、前記両半割形内筒は、前記バー部材の外径に相応する内径をなしているために、該バー部材の外周に嵌合して、かつ前記のように外周部の分割ゴム体の圧縮によって内方向きの力が全面に作用することでバー部材の外周に同じように圧接でき、該半割形内筒による内孔部周面が全周にわたって強く圧着され、大きい摩擦力を得ることができる。それゆえ、該防振装置をバー部材に対してスリップや位置ずれを生じさせる虞なく安定性よく取付固定できる。また、前記のように、ブッシュ本体に大きな圧縮力を付与することができるため、浮きや剥離等のおそれもなく、予備的な圧縮を付与できることもあって、ブッシュ本体の耐久性を向上できる。
前記の防振装置の取付構造において、前記両半割形内筒の内面にゴム膜層が設けられており、該両半割形内筒が前記ゴム膜層を介して前記バー部材の外周面に圧着されてなるものが好ましい。これにより、前記半割形内筒による内孔部周面を、金属製のバー部材の外周面に対し弾力的に圧着できるとともに、バー部材の外周面との間の摩擦力を一層高めることができ、防振装置をバー部材に対してさらに安定性よく取付固定できる。
前記の防振装置の取付構造において、前記両分割ゴム体の分割端面が、それぞれ内孔部側ほど対向側に突出するように傾斜したものとされ、前記ブラケット金具の両半部材の締結により圧縮変形して互いに対接せしめられてなるものが好ましい。これにより、分割ゴム体の分割端面同士が隙間なく密着して一体化するとともに、前記の圧縮変形によって前記半割形内筒の分割端の部分において内方向きの力が作用することになり、そのため前記半割形内筒による内孔部周面を全周にわたって略均等にバー部材に圧着させることができる。
前記両半割形内筒による内孔部周面の偏心量が、1.5〜5.0mmであるのが好ましく、前記偏心量が前記範囲より小さくなると、分割ゴム体に充分な圧縮量や締め付け力が得られず、また前記範囲を越えると、取付け時のボルト等の締め付け量が多くなるので、実施上は前記範囲が好ましい。
上記したように本発明の防振装置の取付構造によれば、ブラケット金具の両半部材の締結のみによりゴム弾性体よりなるブッシュ本体に充分に大きい圧縮量を付与でき、これが、両分割ゴム体の内周に設けた半割形内筒を介して圧着する構造と相まって、スタビライザーバー等のバー部材に対し全周にわたって強く圧着できて、接着しなくても、該バー部材に対しスリップや軸方向の位置ずれが生じないように確実に取付固定できる。そのため、耐久性を高めることができるとともに、異音の発生を防止でき、また操縦安定性も良好に保持できる。
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1は本発明の防振装置のバー部材への取付前の分離状態の正面図、図2は同上の縦断面図、図3は同防振装置のバー部材への取付途中の断面図、図4はブラケット金具の半部材同士を完全に締結した取付状態の断面図である。
図示する実施例は、スタビライザーブッシュとして使用する防振装置Aを対象にした場合を示している。この防振装置Aは、スタビライザーバーとしてのバー部材Bが貫通する内孔部11を有する厚肉円筒状をなすゴム弾性体からなるブッシュ本体10と、該ブッシュ本体10を外方より保持するアルミニウム等の金属材よりなるブラケット金具20とからなる。
前記ブラケット金具20と前記ブッシュ本体10とはそれぞれ縦方向に2分割されている。前記ブラケット金具20は、前記ブッシュ本体10と接する円形の内周面を縦方向に2分するように分割形成された上下一対の分割体である半部材20a,20bよりなり、通常、その一方の半部材が車体への取付側、他方の半部材が前記一方の半部材に対する締結側として形成され、それぞれ両側部の対応個所に締結用孔22a,22bが形成され、ボルト23等の締結手段により締結できるように設けられている。ボルト以外の他の締結手段を利用して締結可能に設けることもできる。
前記ブッシュ本体10は、前記ブラケット金具20の半部材20a,20bに対応して内孔部11を縦方向に2分するように分割形成(半割り)された分割形をなす一対の分割ゴム体10a,10bよりなり、両分割ゴム体10a,10bが、それぞれ加硫成形と同時に、前記両半部材20a,20bの半円形の各内周面21a,21bに加硫接着されて、前記両半部材20a,20bの締結により、両分割ゴム体10a,10bの分割端面12a,12b同士が対接するように設けられている。
そして、前記両分割ゴム体10a,10bの内周部には、それぞれ前記バー部材の外径に相応する略同径の内径を持つ金属等の剛性材よりなる半割形内筒13a,13bが加硫接着されており、該両半割形内筒13a,13bにより内孔部11を形成するように設けられている。すなわち、前記半割形内筒13a,13bによる内面が内孔部周面11a,11bを形成している。図の場合は、前記半割形内筒13a,13bの内面に、摩擦を増すための薄いゴム膜層14a,14bが加硫接着等の手段により設けられており、前記半割形内筒13a,13bが該ゴム膜層14a,14bを介してバー部材Bに対し弾力的に圧接するようになっている。
前記半割形内筒13a,13bとしては、金属以外の剛性材を使用することも可能であるが、強度及び耐久性等の点から金属材よりなるものが好ましく、適度の撓み弾性を有する金属材製のものがさらに好ましい。また、前記ゴム膜層14a,14bの厚みについては、例えば2.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下に設定される。さらに、前記の肉厚を軸方向の全長にわたって同じ肉厚にしておくほか、その軸方向中央部から両端に向かって漸次に厚肉に形成して、その内周面を両端に向かって漸次径小となるように形成しておくこともできる(図示せず)。この場合、締め付けによる面圧が低くなる虞のある両端部においても充分な面圧を確保することができることになる。
さらに、前記両分割ゴム体10a,10bは、その成形上において、前記半割形内筒13a,13bによる内孔部周面11a,11bが、前記両半部材20a,20bの半円形の内周面21a,21bに対して互いの対向側に偏心して、すなわち前記内孔部周面11a,11bの曲率中心が前記両半部材20a,20b同士の対接面よりも互いの対向側に位置するように偏心して形成されており、また両分割ゴム体10a,10bの分割端面12a,12bが内孔部11の側ほど互いの対向側に突出するように傾斜した形状をなしている。これにより、前記分割ゴム体10a,10bは、それぞれ周方向の中央部で前記偏心量に相当する分やや厚肉になっている。
このように形成されることにより、前記バー部材Bを挟んで前記ブラケット金具20の半部材20a,20b同士が対接するように締結されたとき、前記両分割ゴム体10a,10bが対向方向に押圧されて圧縮されるとともに、前記分割端面12a,12b同士が圧縮変形しながら対接し、同時に、前記半割形内筒13a,13bによる前記内孔部周面11a,11bが前記バー部材Bの外周面に対し圧着されるようになっている。特に、前記分割ゴム体10a,10bの他部分より厚肉になっている周方向中央部でその圧縮量が増大せしめられるようになっている。
前記両半部材20a,20bの内周面21a,21bに対する前記内孔部周面11a,11bのそれぞれの偏心量Cは、バー部材の外径、取付状態での圧縮量や締め付け力等に応じて適宜設定できるが、バー部材の外径が30mm前後の場合、その実施上は1.5〜5.0mmの範囲が好ましく、より好ましくは2.0〜4.0mmの範囲である。
また、前記半割形内筒13a,13bは、ブラケット金具20による締め付け時の前記バー部材Bに対する圧着を考慮して、前記締め付け時において、前記両半割形内筒13a,13bの分割端同士の間にごく僅かな隙間を保有して近接するように、周方向寸法を設定しておくのが好ましい。
前記の構成よりなる防振装置Aをスタビライザーバー等のバー部材Bに対して取り付けるには、前記ブッシュ本体10の両分割ゴム体10a,10bにより前記バー部材Bを挟んだ状態で対向させて、前記両半部材20a,20bをボルト23等の締結手段により締結することにより、該分割ゴム体10a,10bを外方より押圧し、その内周部に有する前記半割形内筒13a,13bによる内孔部周面11a,11bを前記バー部材Bの外周面に対し圧着する。
この際、前記両分割ゴム体10a,10bの内孔部周面11a,11bが互いの対向側に偏心して形成され、両分割ゴム体10a,10bの対向方向のゴム厚が大きくなって締め代も大きくなっているため、前記両半部材20a,20bを対接させるように締結することにより、前記両分割ゴム体10a,10bが対向方向(図は上下方向)に大きく圧縮されるとともに、前記分割端面12a,12b同士が内孔部11の側から圧縮変形しながら対接して密着し、同時に、前記の圧縮力で、前記半割形内筒13a,13bに内方向きの力が作用し、その結果、前記半割形内筒13a,13bを介して前記内孔部周面11a,11bが前記バー部材Bの外周面に対し全周にわたって強く圧着され、大きい摩擦力を得ることができる。特に、前記半割形内筒13a,13bの内側面にゴム膜層14a,14bが設けられている場合、該半割形内筒13a,13bが金属よりなるものであっても、バー部材Bとの金属同士の接触を避けて弾力的に圧接でき、前記の圧着部の摩擦力をさらに高めることができる。それゆえ、防振装置Aを、接着することなくバー部材Bに対してスリップや位置ずれを生じさせないように安定性よく取付固定できる。また、取り付けの際に、接着剤の塗布や加熱熱処理を必要としないため、取り付け作業に手数がかからず、しかも、ブッシュ本体10に対し予備的な圧縮を付与できることにもなり、浮きや剥離のおそれがなく、その耐久性を高めることができる。
本発明は、自動車のスタビライザーブッシュやリアサスペンションブッシュその他のゴムブッシュとしてバー部材に取付固定して使用する場合に好適に利用できる。
[図1]本発明の1実施例を示す防振装置のバー部材への取付前の分離状態の正面図である。
[図2]同上の縦断面図である。
[図3]同上の防振装置のバー部材への取付途中の断面図である。
[図4]ブラケット金具の半部材同士を完全に締結した状態の断面図である。
符号の説明
A…防振装置、B…バー部材、C…偏心量、10…ブッシュ本体、10a,10b…分割ゴム体、11…内孔部、11a,11b…内孔部周面、12a,12b…分割端面、13a,13b…半割形内筒、14a,14b…ゴム膜層、20…ブラケット金具、20a,20b…半部材、21a,21b…半部材の内周面、22a,22b…締結用孔、23…ボルト

Claims (4)

  1. バー部材が貫通する内孔部を有するゴム弾性体よりなるブッシュ本体と、前記ブッシュ本体を外周より保持するブラケット金具とからなり、前記バー部材に嵌合されて取付けられる防振装置の取付構造であって、
    前記ブッシュ本体とブラケット金具とがそれぞれ縦方向に2分割され、前記ブッシュ本体を構成する一対の分割ゴム体は、それぞれ前記ブラケット金具の分割体である締結可能な一対の半部材の内周面に加硫接着され、該両分割ゴム体の内周部に、それぞれ前記バー部材の外径に相応する内径の半割形内筒が加硫接着されるとともに、該両半割形内筒による内孔部周面が前記両半部材の内周面に対し互いの対向側に偏心して形成されてなり、
    前記両分割ゴム体により前記バー部材を挟んで前記ブラケット金具の両半部材が対接状態に締結されることにより、前記両分割ゴム体がそれぞれ対向方向に圧縮されるとともに、前記両半割形内筒による内孔部周面が前記バー部材の外周面に対し圧着されてなることを特徴とする防振装置の取付構造。
  2. 前記両半割形内筒の内面にゴム膜層が設けられており、該両半割形内筒が前記ゴム膜層を介して前記バー部材の外周面に圧着されてなる請求項1に記載の防振装置の取付構造。
  3. 前記両分割ゴム体の分割端面が、それぞれ内孔部側ほど対向側に突出するように傾斜したものとされ、前記ブラケット金具の両半部材の締結により圧縮変形して互いに対接せしめられてなる請求項1又は2に記載の防振装置の取付構造。
  4. 前記両半割形内筒による内孔部周面の偏心量が、1.5〜5.0mmである請求項3に記載の防振装置の取付構造。
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