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JP5701742B2 - 遮光膜形成用チタンブラック分散組成物、それを含有する感放射線性組成物、遮光膜の製造方法、及び固体撮像素子 - Google Patents

遮光膜形成用チタンブラック分散組成物、それを含有する感放射線性組成物、遮光膜の製造方法、及び固体撮像素子 Download PDF

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Description

本発明は、遮光膜形成用チタンブラック分散組成物、それを含有する感放射線性組成物、遮光膜の製造方法、及び固体撮像素子に関する。
デジタルカメラ等には、高解像度の撮像ユニットが搭載されている。このような撮像ユニットは、一般に、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの固体撮像素子を備えている。固体撮像素子(以下、「イメージセンサ」とも言う。)では、多くの光電変換素子が配列された受光部の周縁に、オプティカルブラック領域(暗電流計測領域)周辺回路が配置されており、電荷の転送、暗電流の計測、信号の増幅などが行われている。この部位に光が入射するとノイズが発生し、イメージセンサの画質が低下する。これらの問題を防止するためにこの領域の光入射側には遮光部(ブラックマトリクス)が設けられている。
ブラックマトリクスは、遮光性の黒色色材を分散させた感放射線性組成物と、重合性化合物、光重合開始剤、その他の成分とを含有して感放射線性組成物とし、これを用いてフォトリソ法などによりパターン形成することで製造されている。
固体撮像素子用のブラックマトリクスを形成するための組成物としては、カーボンブラックやチタンブラック等の黒色色材を含有する感放射線性組成物が知られている。
従来、遮光性のブラックマトリクスとしては、専らカーボンブラックが多用されてきたが、カーボンブラックで遮光性を高めようとすると、カーボンブラックの充填量を高めることが必要となる。このため遮光材であるカーボンブラックの濃度の高い分散組成物、あるいは感放射線性組成物が遮光層のパターン成形に必要となる。しかしながら高い遮光性を得るためにカーボンブラックの含有量を増やすと、カーボンブラックの分散性が困難になり、またパターン成形性が悪化するといったような問題も発生していた。
高い遮光性が得られ、薄膜でも高い遮光性を得られる黒色色材としてチタンブラックを用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)が、チタンブラックは比重が大きいため、分散することが難しく、分散しても時間が経つとチタンブラックが沈降してしまうなど、分散性、分散安定性の向上が望まれている。
チタンブラックが有する高い遮光性を得るため、チタンブラック粒子を表面処理することも種々提案されている(例えば、特許文献2、3参照。)が、これらの技術を用いても分散性が不十分であり、さらに良好な分散安定性のあるチタンブラック分散組成物の出現が待ち望まれていた。
また一方、感放射線性組成物層は遮光性であるため、フォトリソ法でパターン成形するときの紫外線等の露光光が感放射線性組成物層を透過しにくく、パターン成形性が不良となりやすく、遮光膜周辺部の現像残渣が発生しやすく、感度が低いという問題があった。
このように、遮光性の高いブラックマトリクスの品質要求に応えるため、遮光性の高いチタンブラック分散組成物が待ち望まれている。
さらに、近年では、イメージセンサの高解像度化に伴い、ノイズとなる光の侵入を抑制するための遮光膜の性能が重要となってきている。イメージセンサの遮光膜の形成に際しては、配線などを形成した後、凹凸のある基板上に均一な膜厚の遮光膜を形成する必要があるが、表面に凹凸のある基板では従来汎用のスピンコート塗布法は適用し得ないため、塗布が困難である。また、スプレー塗布などの通常の塗布法を適用した場合においても、凸部は薄く、凹部は厚くなる傾向にあった。このため、感放射線性組成物を、局所的な塗布が可能なインクジェット塗布法に適用することが示唆されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2007−115921号公報 特開2002−285007号公報 特開2007−302836号公報 特開2010−224282号公報
しかしながら、特許文献4には、具体的なインクジェット記録方法については開示されておらず、従来の感放射線性組成物では、インクジェット塗布に対する適性が十分ではなく、凹凸のある基板に対して均一な遮光膜を形成することは困難であった。このため、インクジェット記録装置により必要とされる領域に局所的に正確に塗布しうるとともに、凹凸のある基板に均一な塗布が可能な黒色の感放射線性組成物が望まれていた。
本発明は、上記従来の状況に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、固体撮像素子が備える遮光膜の形成に用いられ、インクジェット塗布法で塗布され、凹凸のある基板においても均一な遮光膜の形成が可能な、固体撮像素子の遮光膜形成用の感放射線性組成物に好適なチタンブラック分散組成物及び該チタンブラック分散組成物を含有してなるインクジェット記録装置で塗布しうる感放射線性組成物を提供することにある。
また、本発明の更なる目的は、凹凸のある基板においても均一な膜厚の遮光膜を備えた固体撮像素子を提供することにある。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> ( (A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を含有し、前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積が55m /g〜120m/gの範囲であり、前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体がSi原子を含み、該被分散体中のSi原子とTi原子との含有比が0.20〜0.45の範囲であり、且つ、前記(B)分散剤が、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である、インクジェット法による塗布に用いられる、固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。
> 前記グラフト共重合体が、下記一般式(1)〜一般式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を含む<>に記載のチタンブラック分散組成物。

〔一般式(1)〜一般式(4)中、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。R及びRはそれぞれ独立に、直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキレン基を表し、Rは水素原子又は1価の有機基を表す。n、m、p、及びqはそれぞれ1〜500の整数を表す。一般式(1)及び一般式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。一般式(3)において、pが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。一般式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。〕
> 前記グラフト共重合体が、前記一般式(1)〜一般式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を、該グラフト共重合体の総質量に対し、10質量%〜90質量%の範囲で含む<>に記載のチタンブラック分散組成物。
前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積が55m /g〜84m /gの範囲である<1>〜<3>のいずれか1項に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。
<5> 前記(A)チタンブラック粒子の90%以上が粒径が15nm〜30nmの範囲にある粒子である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。
<6> <1>〜<5>のいずれか1項に記載のチタンブラック分散組成物、(D)重合性化合物、及び(E)光重合開始剤を含有し、撮像素子部を有するシリコン基板上に設けられインクジェットで塗布される遮光膜形成用の感放射線性組成物。
<7> 25℃における粘度が2mPa・s〜50mPa・sの範囲にある<6>に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用感放射線性組成物。
<8> 25℃における粘度が21mPa・s〜25mPa・sの範囲にある<6>又は<7>に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用感放射線性組成物。
> <6>〜<8>のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を硬化して得られた固体撮像素子用遮光膜。
10> <>に記載の固体撮像素子用遮光膜を備えた固体撮像素子。
11> <6>〜<8>のいずれか1項に記載の感放射線性組成物をインクジェット記録装置を用いてシリコン基板上に塗布して感放射線性組成物層を形成する工程と、前記感放射線性組成物層をパターン状に露光する工程と、露光後の前記感放射線性組成物層を現像してパターンを形成する工程と、を有する遮光膜の製造方法。
本発明によれば、固体撮像素子が備える遮光膜の形成に用いられ、インクジェット塗布法で塗布され、凹凸のある基板においても均一な遮光膜の形成が可能な、固体撮像素子の遮光膜形成用の感放射線性組成物に好適なチタンブラック分散組成物及び該チタンブラック分散組成物を含有してなるインクジェット記録装置で塗布しうる感放射線性組成物が提供される。
また、本発明によれば、凹凸のある基板においても均一な膜厚の遮光膜を備えた固体撮像素子を提供することができる。
ウエハレベルレンズアレイの一例を示す平面図である。 図1に示すA−A線断面図である。 基板にレンズとなる成形材料を供給している状態を示す図である。 図4A〜図4Cは、基板にレンズを型で成形する手順を示す図である。 図5A〜図5Cは、レンズが成形された基板にパターン状の遮光膜を形成する工程を示す概略図である。 本発明の一例に係る固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。 本発明の一例に係る固体撮像素子の概略断面図である。 基板における塗布均一性の評価領域を示す概略図である。
以下、本発明の遮光膜形成用のチタンブラック分散組成物、それを含有する感放射線性組成物について詳細に説明する。
また、本発明の遮光膜形成用のチタンブラック分散組成物は固体撮像素子のみならず、固体撮像素子の一形態であるウエハレベルレンズ用の遮光膜にも好適である。ここで「ウエハレベルレンズ」は、撮像ユニットに備えられるレンズであって、基板上に存在する個々のレンズと該レンズの周縁部に設けられた遮光膜とからなるものを意味する。また、該ウエハレベルレンズからなる群を「ウエハレベルレンズアレイ」と称する。
<遮光膜形成用のチタンブラック分散組成物、及びそれを含有する感放射線性組成物>
本発明の遮光膜形成用のチタンブラック分散組成物(以下、単に「分散組成物」とも称する。)は、(A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を含有し、前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積が20m/g〜120m/gの範囲であり、且つ前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体がSi原子を含み、該被分散体中のSi原子とTi原子との含有比が0.01〜0.45の範囲であり、インクジェット法による塗布に用いられる、遮光膜形成用感放射線性組成物に好適な分散組成物の好ましい態様の一つである、BET比表面積が55m /g〜120m /gの範囲にあり、該被分散体中のSi原子とTi原子との含有比が0.20〜0.45の範囲であり、且つ、前記(B)分散剤が、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である分散組成物である。
また、本発明の遮光膜形成用感放射線性組成物(以下、単に「感放射線性組成物」とも称する。)は、本発明のチタンブラック分散組成物、(D)光重合性化合物、及び(E)光重合開始剤を含有し、インクジェット法により塗布される感放射線性組成物である。
即ち、本発明の感放射線性組成物は、本発明のチタンブラック分散組成物を構成する、(A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を含有し、前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積が20m/g〜120m/gの範囲であり、且つ前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体がSi原子を含み、該被分散体中のSi原子とTi原子との含有比が0.01〜0.45の範囲である感放射線性組成物の好ましい態様の一つである、BET比表面積が55m /g〜120m /gの範囲にあり、該被分散体中のSi原子とTi原子との含有比が0.20〜0.45の範囲であり、前記(B)分散剤が、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である感放射線性組成物である。
本発明のチタンブラック分散組成物はチタンブラックを含有する遮光性に優れた硬化膜を形成するための、インクジェット吐出適性に優れた感放射線性組成物に好適に使用される。本発明のチタンブラック分散組成物を含有する感放射線性組成物は、固体撮像素子における遮光膜、例えば、裏面遮光膜やウエハレベルレンズにおける遮光膜の形成に好適に用いられるが、さらに、所謂MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)と総称される、機械要素部品、センサー、アクチュエータ、電子回路を一つの基板、例えば、シリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板などの基板上に集積化したデバイスにおける遮光膜形成用途など、インクジェット法により、遮光性に優れた、高解像度の遮光膜を形成するための各種用途にも適用することができる。
以下、本発明のチタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物に含有される各成分について、固体撮像素子の遮光膜を形成する感放射線性組成物を例に挙げて順次説明する。
以下、本発明のチタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物に含有される各成分について順次説明する。
〔(A)チタンブラック粒子〕
本発明のチタンブラック分散組成物は、(A)チタンブラック粒子を含有する。該チタンブラック粒子は、分散組成物中において被分散体として含有されるものであり、本発明においては(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積が55/g〜120m/gの範囲であり、且つ前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体がSi原子を含み、該被分散体中のSi原子とTi原子との含有比が0.20〜0.45の範囲であることを要する。
ここで、本発明における「チタンブラック粒子を含む被分散体」は、チタンブラック粒子が一次粒子の状態であるもの、凝集体(二次粒子)の状態であるものの双方を包含する。
本発明における被分散体のBET比表面積は、以下のようにして測定した値である。
本発明のチタンブラック分散組成物を任意の基板上に塗布し、乾燥した後遮光膜を設け、得られた遮光膜を基板から削り取り、得られた粉体を電気炉にて酸素雰囲気中で600℃にて3時間処理することにより分散剤等の有機成分を熱分解除去する。カンタクローム社製Autosurb1MPを使用し、得られた粉体1gをマントルヒーターにて200℃で12時間予備乾燥し、雰囲気ガスとしてNを使用しBET3点法により比表面積を測定する。
本発明における被分散体のBET比表面積は、20m/g〜120m/gの範囲のうち最適な態様である55m /g〜120m /gの範囲である。BET比表面積は、30m/g〜90m/gの範囲が好ましく、55m/g〜84m/gの範囲がより好ましい。
BET比表面積が、この範囲よりも小さければ大きい粒子の沈降を生じてしまい、大きければ分散剤が不足して分散不安定になる。
また、本発明における被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)は、0.01〜0.45の範囲のうち最適な態様である0.20〜0.45の範囲である。被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)は、0.05〜0.41の範囲であることが好ましい。この範囲であると、被分散体を使用したチタンブラック分散組成物の製造が容易であり、分散安定性が向上するために、例えば、インクジェット記録装置内に保存した場合でも粒子の沈降や凝集に起因するインクジェット吐出性の低下が抑制されるために、経時後でもインクジェット塗布法による均一な塗膜の形成が可能となり、高い遮光能を有する遮光膜が形成される。
被分散体のBET比表面積を20m/g〜120m/gの範囲のうち最適な態様である55m /g〜120m /gの範囲にし、かつ、被分散体のSi/Tiを0.01〜0.45の範囲のうち最適な態様である0.20〜0.45の範囲とするためには、以下のような手段を用いることができる。
例えば、酸化チタンとシリカ粒子とを、例えば、酸化チタン100gに対しシリカ粒子を12.5gの比で混合し、分散機を用いて分散することにより分散組成物を得て、この分散組成物を高温(例えば、850〜1000℃)にて還元処理することにより、チタンブラック粒子を主成分とし、SiとTiとを含有する被分散体を得ることができる。このときすでに還元処理済みのチタンブラックにシリカ粒子を混合するだけでは本発明の効果を奏するSiとTiとを含有する被分散体を得ることができない。
また、例えば、特開2008−266045公報の段落番号〔0005〕(6)及び同段落番号〔0016〕〜〔0021〕に記載の方法に類似の方法により作製することができる。
本発明の感放射線性組成物は、本発明のチタンブラック分散組成物に由来する(A)チタンブラック粒子からなる被分散体を含有する。該感放射線性組成物及びこれを硬化して得られた硬化膜(遮光膜)中に含有される(A)チタンブラック粒子を含む被分散体についても、その被分散体のBET比表面積は55/g〜120m/gの範囲であり、また、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が0.20〜0.45の範囲であり、その好ましい範囲についても、上述と同様である。
本発明においては、(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積は20m/g〜120m/gの範囲のうち最適な態様である55m /g〜120m /gの範囲であり、また、被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が0.01〜0.45の範囲のうち最適な態様である0.20〜0.45の範囲であることで、この被分散体を含む本発明の感放射線性組成物の保存安定性が良好であるために、インクジェット塗布適性が向上する。従って、該感放射線性組成物を用いて遮光膜をインクジェット塗布法により形成した際に、被塗布面に凹凸があった場合でも均一な遮光膜が形成される。
また、上記のような被分散体は小粒径となる傾向があり(例えば、粒径が30nm以下)、さらにインクジェット記録方法による吐出性が向上する。また、この被分散体のSi原子が含まれる成分が増すことにより、被分散体と分散剤との相互作用が大きくなり、パターン成形した上面の現像液耐性が向上することによってパターン上面の表面荒れが低減するという利点をも有するものと推測している。
また、チタンブラック粒子は、紫外から赤外までの広範囲に亘る波長領域の光に対する遮光性に優れることから、本発明のチタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物を用いて形成された遮光膜は優れた遮光性を発揮する。
本発明のチタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物に含有される被分散体について、BET比表面積を20m/g〜120m/gの範囲のうち最適な態様である55m /g〜120m /gの範囲か否かを判断するには、前記した比表面積の測定方法を使用し、得られた比表面積が55/g〜120m/gの範囲か否かで判断すればよい。
また被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が0.01〜0.45の範囲のうち最適な態様である0.20〜0.45の範囲であるか否かを判断するには、下記に示す方法(1−1)又は方法(1−2)を用いる。
<方法(1−1)>
チタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物を、酸素雰囲気中で加熱処理し、(A)チタンブラック粒子を含む被分散体を取り出した。
チタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物を、20mg秤量し、ここに、HF 0.1mL、HNO(10%aq.) 1mL、HSO(5%aq.) 1mL、及びHCL(3%aq.) 1mLを添加し、マイクロウェーブ溶解を液温180℃で行う。
その後、この混合液に、HOを100mLになるまで加え、これをICP−OES(Attom、商品名:SII社製)に供し、元素分析を行う。得られた結果より、Si/Tiの質量比を算出する。
<方法(1−2)>
チタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物を、小型ロータリーキルン(株式会社モトヤマ製)を用いて酸素雰囲気中で700℃に加熱し、30分間保持した後に冷却し、粉体を2g得て、得られた粉体を厚さ0.2mmのタングステン板上にのせ、これを、電子線加熱機構を具備した真空チャンバ内に設置し、真空度を10−5Torr以下として電子線加熱により1000℃で30秒加熱処理する。加熱処理した粉体について、電界放出型走査電子顕微鏡S−4800(商品名、日立テクノロジーズ社製)及び、エネルギー分散型蛍光X線検出器 INCA Energy PentaFETx3(商品名、Oxford社製)を用いて、Si原子量、Ti原子量を求め、Si/Ti比を算出する。
また、本発明の感放射線性組成物を硬化して得られた硬化膜(遮光膜)に含有される被分散体について、その被分散体中のSi原子とTi原子との含有比(Si/Ti)が0.20〜0.45であるか否かを判断するには、下記に示す方法(2)を用いる。
<方法(2)>
遮光膜が形成された基板を割ることで、遮光膜の断面を作製し、この断面についてエネルギー分散型蛍光X線分析装置により、遮光膜表面におけるSi原子量とTi原子量を得ることができる。これらの量比を、遮光膜中のSi/Tiとして評価する。
この際のエネルギー分散型蛍光X線分析としては、前記の走査型電子顕微鏡として日立ハイテクノロジー社製S−4800(商品名)、及び、エネルギー分散型蛍光X線検出器としてOxford社製INCA Energy PentaFETx3(商品名)を同様に用いることができる。
以下、(A)チタンブラック粒子について、更に詳細に説明する。
本発明において(A)チタンブラック粒子とは、チタン原子を有する黒色粒子であり、好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等の黒色粒子である。
チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、粒子表面を修飾することが可能である。粒子表面の修飾としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等で被覆処理が可能であり、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質での処理も可能である。先に述べたSi/Ti比はケイ素を含む表面処理により変動する場合もあるため、ケイ素化合物を含む表面処理においては、先に述べた添加量を調整する必要がある。
(A)チタンブラック粒子の市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、13M−T(商品名:以上、三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)、MT−01、MT−10EX、MT−05、MT−100TV、MT−100Z、MT−150EX、MT−150W(商品名:テイカ製)などが挙げられる。
(A)チタンブラック粒子の製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報に記載の方法)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを、水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報に記載の方法)、二酸化チタン又は水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報に記載の方法)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報に記載の方法)などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に適用される(A)チタンブラック粒子としては、個々の粒子の一次粒径及び平均一次粒径のいずれもが小さいものであることが好ましい。
インクジェット塗布適性の観点からは、インクジェット記録装置のノズル詰まりを抑制する観点から、分散組成物に用いられるチタンブラック粒子は粒径が小さい方が好ましい。この粒径としては平均一次粒子径が小さい場合でも、大粒径の粒子が混在する場合には、当該粒子の存在に起因してノズル詰まりや吐出安定性の低下が懸念されるために、本発明において用いられるチタンブラック粒子からなる被分散体においては、90%以上が、粒径が15nm〜30nmの範囲にあるチタンブラック粒子を用いることが好ましい。
本発明における被分散体の粒径とは、被分散体の粒子直径を意味し、粒子直径とは、粒子の外表面の投影面積と等しい面積をもつ円の直径である。粒子の投影面積は、電子顕微鏡写真での撮影により得られた面積を測定し、撮影倍率を補正することにより得られる。
本発明の感放射線性組成物は、本発明のチタンブラック分散組成物に由来するチタンブラック粒子からなる被分散体を含有する。該感放射線性組成物及びこれを硬化して得られた硬化膜(遮光膜)中に含有されるチタンブラック粒子からなる被分散体についても、その90%以上が15nm〜30nmの粒径を有するものであることが好ましい。
本発明においては、チタンブラック粒子からなる被分散体の90%以上が15nm〜30nmの粒径を有することで、本発明の感放射線性組成物を用いてインクジェット塗布法により遮光膜を形成する際に、インクジェット塗布時のノズル詰まりに起因する吐出不良が抑制される。また、遮光膜の形成領域外における感放射線性組成物由来の残渣物が低減されるという利点をも有する。なお、残渣物は、チタンブラック粒子、樹脂成分等の感放射線性組成物に由来する成分を含むものである。
残渣物が低減される理由は未だ明確ではないが、粒径の小さい被分散体が、遮光膜の形成における未硬化の感放射線性組成物(特に、チタンブラック粒子)の除去性向上に寄与するためと推測している。
本発明のチタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物に含有される被分散体について、その90%が30nm以下の粒径を有するか否かを判断するには、下記に示す方法(1)を用いる。
また、本発明の感放射線性組成物を硬化して得られた硬化膜(遮光膜)に含有される被分散体について、その90%が15nm〜30nmの粒径を有するか否かを判断するには、下記に示す方法(2)を用いる。
<方法(1)>
チタンブラック分散組成物又は感放射線性組成物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAとも略称する。)により500倍に希釈し、カーボン薄膜上に滴下、乾燥させて投下型電子顕微鏡を用いて形態観察写真を撮影する。得られた写真から、粒子400個について外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、度数分布を評価する。
<方法(2)>
製膜された基板の断面を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、S−3400N(商品名))及びエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製Genesis(商品名))により、形態観察写真及びTiとSiの元素マップを撮影する。得られた写真から、Ti元素が検出されている粒子400個について外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、度数分布を評価する。
以下、チタンブラック粒子について、更に詳細に説明する。
本発明においてチタンブラック粒子とは、チタン原子を有する黒色粒子であり、好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等の黒色粒子である。
チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、粒子表面を修飾することが可能である。粒子表面の修飾としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等で被覆処理が可能であり、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質での処理も可能である。
チタンブラック粒子の市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、13M−T(商品名:以上、三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
チタンブラック粒子の製造方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気で加熱し還元する方法(特開昭49−5432号公報に記載の方法)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを、水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57−205322号公報に記載の方法)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60−65069号公報、特開昭61−201610号公報に記載の方法)、二酸化チタン又は水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61−201610号公報に記載の方法)などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明に適用されるチタンブラック粒子としては、一次粒径の小さいものであることが好ましい。
本発明のチタンブラック分散組成物及び感放射線性組成物は、(A)チタンブラック粒子を1種のみを含有するものであってもよく、2種以上を含有してもよい。
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、(A)チタンブラック粒子と共に、分散性、着色性等を調整する目的で、Cu、Fe、Mn、V、Ni等の複合酸化物、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、アニリンブラック等からなる黒色顔料を、1種又は2種以上を組み合わせて、被分散体として併用してもよい。
この場合、全被分散体中の50質量%以上をチタンブラック粒子からなる被分散体が占めることが好ましい。
また、後述するように、遮光性の調整等を目的として、本発明の効果を損なわない限りにおいて、(A)チタンブラック粒子と共に、他の着色剤(有機顔料や染料など)を所望により併用してもよい。
チタンブラック分散組成物中の(A)チタンブラック粒子の含有量は、分散組成物の全固形分に対し、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることが更に好ましい。
また、感放射線性組成物中の(A)チタンブラック粒子の含有量は、感放射線性組成物の全固形分に対し、2.5質量%〜30質量%であることが好ましく、5質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
ここで分散組成物中の全固形分、及び感放射線性組成物中の全固形分とは、それぞれ分散物または感放射線性組成物に含まれる全質量から有機溶媒を除いた質量のことをいう。
本発明においては、チタンブラック粒子を含む被分散体はSi原子を含み、該被分散体中のSi原子とTi原子との質量換算による含有比(Si/Ti)が質量換算で0.20〜0.45の範囲であることを要する。
以下、被分散体にSi原子を導入する際に用いられる材料について述べる。被分散体にSi原子を導入する際には、シリカなどのSi含有物質を用いればよい。
本発明に用いうるシリカとしては、沈降シリカ、フュームドシリカ、コロイダルシリカ、合成シリカなどを挙げることができ、これらを適宜選択して使用すればよい。
シリカは市販品としても入手可能であり、例えば、新日鉄マテリアルズ製、HS−101、HS−102、HS−103、HS−104、HS−105、HS−106、HS−107、HS−201、HS−202、HS−203、HS−204、HS−205、HS−301、HS−302、HS−303、HS−304、HS−305(商品名);宇部日東化成製、ハイプレシカSS、ハイプレシカTS、ハイプレシカBS、ハイプレシカSP、ハイプレシカFQ(商品名);キャボット製、CAB−O−SIL(登録商標)LM−150、CAB−O−SIL(登録商標)LM−150、CAB−O−SIL(登録商標)S−17Dなどを用いることができる。
さらに、シリカ粒子の粒径が本発明による遮光膜を形成した際に膜厚と同程度の粒径であると遮光性の低下を引き起こすため、シリカ粒子として微粒子タイプのシリカを用いることが好ましい。微粒子タイプのシリカの例としては、例えば、AEROSIL(登録商標)90、AEROSIL(登録商標)130、AEROSIL(登録商標)150、AEROSIL(登録商標)200、AEROSIL(登録商標)300、AEROSIL(登録商標)380、AEROSIL(登録商標)OX 50、AEROSIL(登録商標)EG 50、AEROSIL(登録商標)TT 600、AEROSIL(登録商標)200 SP、AEROSIL(登録商標)300 SP、AEROPERL(登録商標)300/30、AEROSIL(登録商標)R 972、AEROSIL(登録商標)R 974、AEROSIL(登録商標)R 104、AEROSIL(登録商標)R 106、AEROSIL(登録商標)R 202、AEROSIL(登録商標)R 805、AEROSIL(登録商標)R 812、AEROSIL(登録商標)R 812 S、AEROSIL(登録商標)R 816、AEROSIL(登録商標)R 7200、AEROSIL(登録商標)R 8200、AEROSIL(登録商標)R 9200、AEROSIL(登録商標)MOX 80、AEROSIL(登録商標)MOX 170、AEROSIL(登録商標)COK 84、AEROSIL(登録商標)RY 50、AEROSIL(登録商標)NY 50、AEROSIL(登録商標)RY 200、AEROSIL(登録商標)RY 200、AEROSIL(登録商標)RX 50、AEROSIL(登録商標)NAX 50、AEROSIL(登録商標)RX 200、AEROSIL(登録商標)RX 300、AEROSIL(登録商標)R 504、AEROPERL(登録商標)300/30、VP AEROPERL(登録商標)P 25/20M05;触媒化成製S6、MA1004(商品名、以下同様)、MA1006、MA1010、MA1013、MX030W、MX050W、MX100W、KE−E30、KE−E40、KE−E50、KE−E70、KE−E150、KE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100、KE−P150、KE−P250;新日鉄マテリアルズ製HS−101(商品名、以下同様)、HS−102、HS−103、HS−104、HS−105、HS−106、HS−107、HS−201、HS−202、HS−203、HS−204、HS−205、HS−301、HS−302、HS−303、HS−304、及びHS−305;宇部日東化成製、ハイプレシカSS(商品名、以下同様)、ハイプレシカTS、ハイプレシカBS、ハイプレシカSP、及びハイプレシカFQ;キャボット製、CAB−O−SIL(登録商標、以下同様)LM−150、CAB−O−SIL LM−150、及びCAB−O−SIL S−17Dなどを用いることができるがこれらに限定されない。
〔(B)分散剤〕
本発明のチタンブラック分散組成物及び感放射線性組成物は(B)分散剤を含有する。
本発明における(B)分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、及び顔料誘導体等を挙げることができる。
本発明における(B)分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、及びブロック型高分子に分類することができる。
本発明においては、(B)分散剤の好ましい態様である、以下に詳述する、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体を含有する。
本発明における(B)分散剤は、チタンブラック粒子及び所望により併用する顔料等の被分散体の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、本発明における(B)分散剤は被分散体の表面を改質することで、分散樹脂の吸着を促進させる効果を有する。
本発明に用いうる(B)分散剤の具体例としては、BYK Chemie社製「Disperbyk−101(商品名、ポリアミドアミン燐酸塩)、107(商品名、カルボン酸エステル)、110(商品名、酸基を含む共重合物)、130(商品名、ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170、180、190(商品名、高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(商品名、高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050、4010、4165(商品名、ポリウレタン系)、EFKA4330、4340(商品名、ブロック共重合体)、4400、4402(商品名、変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(商品名、高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(商品名、脂肪酸ポリエステル)、6745(商品名、フタロシアニン誘導体)、6750(商品名、アゾ顔料誘導体)」、味の素ファインテクノ(株)製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学(株)製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(商品名、アクリル系共重合体)」、楠本化成(株)製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(商品名、脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王(株)製「デモールRN、N(商品名、ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、デモールMS、C、SN−B(商品名、芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(商品名、高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(商品名、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(商品名、アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(商品名、末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカルズ社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(商品名、ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。また、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000Eなどの両性分散剤も挙げられる。
これらの(B)分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)分散剤の酸価は、5.0mgKOH/g以上200mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲であり、更に好ましくは60mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の範囲である。
(B)分散剤の酸価が200mgKOH/g以下であれば、遮光膜を形成する際の現像時におけるパターン剥離がより効果的に抑えられる。また、(B)分散剤の酸価が5.0mgKOH/g以上であればアルカリ現像性がより良好となる。また、(B)分散剤の酸価が60mgKOH/g以上であれば、(A)チタンブラック粒子の沈降をより抑制でき、粗大粒子数をより少なくすることができ、チタンブラック分散物又は感放射線性組成物の経時安定性をより向上できる。
本発明において、(B)分散剤の酸価は、例えば、分散剤中における酸基の平均含有量から算出することができる。また、(B)分散剤の構成成分として含まれうる酸基を含有するモノマー単位の含有量を変化させることで所望の酸価を有する樹脂を得ることができる。
本発明における(B)分散剤の重量平均分子量は、遮光膜を形成する際において、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、10,000以上300,000以下であることが好ましく、15,000以上200,000以下であることがより好ましく、20,000以上100,000以下であることが更に好ましく、25,000以上50,000以下であることが特に好ましい。
なお、(B)分散剤の重量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
(グラフト共重合体:特定樹脂A)
本発明においては、(B)分散剤として、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体(以下、「特定樹脂A」ともいう)を用いる。(B)分散剤としてグラフト共重合体を用いることで、分散性及び保存安定性をより向上させることができる。
グラフト共重合体としては、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有する。この場合のグラフト鎖とは、共重合体の主鎖の根元から、主鎖から枝分かれしている基の末端までを示す。
この特定樹脂Aは、チタンブラック粒子に分散性を付与しうる分散樹脂であり、優れた分散性と、グラフト鎖による溶媒との親和性を有するために、チタンブラック粒子の分散性、及び経時後の分散安定性(経時安定性)に優れる。また、感放射線性組成物としたとき、グラフト鎖の存在により重合性化合物又はその他の併用可能な樹脂などとの親和性を有するので、アルカリ現像で残渣を生じにくくなる。
また、この特定樹脂Aに、更に、カルボン酸基などのアルカリ可溶性の部分構造を導入することで、アルカリ現像によるパターン形成のために現像性を付与する樹脂としての機能をも付与することができる。
従って、前記グラフト共重合体に、アルカリ可溶性の部分構造を導入することで、本発明のチタンブラック分散組成物は、チタンブラック粒子の分散に不可欠の分散樹脂自体がアルカリ可溶性を有することになる。このようなチタンブラック分散物を含有する感放射線性組成物は、露光部の遮光性に優れたものとなり、且つ、未露光部のアルカリ現像性が向上される。
グラフト鎖が長くなると立体反発効果が高くなり分散性は向上するが、一方グラフト鎖が長すぎるとチタンブラックへの吸着力が低下して分散性は低下してしまう。このため、本発明で使用されるグラフト共重合体としては、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が40〜10000であることが好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が50〜2000であることがより好ましく、グラフト鎖1本あたりの水素原子を除いた原子数が60〜500であることが更に好ましい。
グラフト鎖のポリマー構造の例としては、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエーテルなどが挙げられる。グラフト鎖としては、グラフト部位と溶媒との相互作用性を向上させ、それにより分散性を高めるために、ポリ(メタ)アクリル、ポリエステル、又はポリエーテルを有するグラフト鎖であることが好ましく、ポリエステル又はポリエーテルを有するグラフト鎖であることがより好ましい。
このようなポリマー構造をグラフト鎖として有するマクロモノマーの構造としては、ポリマー主鎖部と反応可能な置換基を有し、且つ本発明の要件を満たしていれば、特に限定されないが、好ましくは、反応性二重結合性基を有するマクロモノマーを好適に使用することができる。
特定樹脂Aの合成に好適に用いられる市販のマクロモノマーとしては、AA−6(商品名、(商品名、東亜合成(株))、AA−10(商品名、東亜合成(株)製)、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6(東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、AW−6(商品名、東亜合成(株)製)、AA−714(商品名、東亜合成(株)製)、AY−707(商品名、東亜合成(株)製)、AY−714(商品名、東亜合成(株)製)、AK−5(商品名、東亜合成(株)製)、AK−30(商品名、東亜合成(株)製)、AK−32(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPP−100(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−500(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−800(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPP−1000(商品名、日油(株)製)、ブレンマー55−PET−800(日油(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−400(商品名、日油(株)製)、ブレンマーPSE−1300(商品名、日油(株)製)、ブレンマー43PAPE−600B(商品名、日油(株)製)、などが用いられる。このなかでも、好ましくは、AA−6(東亜合成(株)製)、AA−10(商品名、東亜合成(株))、AB−6(商品名、東亜合成(株)製)、AS−6商品名、東亜合成(株))、AN−6(商品名、東亜合成(株)製)、ブレンマーPME−4000(商品名、日油(株)製)などが用いられる。
特定樹脂Aにおけるグラフト部位としては、少なくとも前記一般式(1)、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)〔以下、適宜、それぞれを、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)と称することがある〕のいずれかで表される構造単位を含むことが好ましく、少なくとも、下記式(1A)、下記式(2A)、下記式(3A)、下記式(3B)、及び前記(4)のいずれかで表される構造単位を含むことがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、W、W、W及びWはそれぞれ独立に酸素原子或いはNHを表し、特に酸素原子が好ましい。
式(1)〜式(4)において、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。X、X、X、X、及びXとしては、合成上の制約の観点からは、好ましくはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1から12のアルキル基であり、それぞれ独立に水素原子又はメチル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(1)〜式(4)において、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に、2価の連結基を表し、該連結基は特に構造上制約されない。Y、Y、Y、又はYで表される2価の連結基として、具体的には、下記の(Y−1)〜(Y−21)の連結基などが例として挙げられる。下記に示した構造において、A、Bはそれぞれ、式(1)〜式(4)における左末端基及び右末端基との結合部位を意味する。下記に示した構造のうち、合成の簡便性から、(Y−2)又は(Y−13)であることがより好ましい。
式(1)〜式(4)において、Z、Z、Z、及びZは、それぞれ独立に1価の有機基を表す。該有機基の構造は、特に限定されないが、具体的には、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、及びアミノ基などが挙げられる。これらの中でも、Z、Z、Z、及びZで表される有機基としては、特に分散性向上の観点から、立体反発効果を有するものが好ましく、Z〜Zで表される有機基としては、それぞれ独立に炭素数5から24のアルキル基又は炭素数5から24のアルコキシ基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐アルキル基を有するアルコキシ基或いは炭素数5から24の環状アルキル基を有するアルコキシ基が好ましい。また、Zで表される有機基としては、各々独立に炭素数5から24のアルキル基が好ましく、その中でも、特に各々独立に炭素数5から24の分岐アルキル基或いは炭素数5から24の環状アルキル基が好ましい。
式(1)〜式(4)において、n、m、p、及びqは、それぞれ1から500の整数である。
式(3)において、pが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。
また、式(1)及び式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。式(1)及び式(2)におけるj及びkは、分散安定性、現像性の観点から、4〜6の整数が好ましく、5が最も好ましい。
式(3)中、Rは分岐若しくは直鎖のアルキレン基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、炭素数2又は3のアルキレン基であることがより好ましい。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。Rとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、更に好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。該Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。
式(4)中、Rは水素原子又は1価の有機基を表し、この1価の有機基としては特に構造上限定はされない。Rとして好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基が挙げられ、更に好ましくは、水素原子、又はアルキル基である。該Rがアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基、炭素数3〜20の分岐状アルキル基、又は炭素数5〜20の環状アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖状アルキル基がより好ましく、炭素数1〜6の直鎖状アルキル基が特に好ましい。
特定樹脂Aにおいて、式(1)〜式(4)で表される構造単位は、質量換算で、特定樹脂Aの総質量に対し10%〜90%の範囲で含まれることが好ましく、30%〜70%の範囲で含まれることがより好ましい。式(1)〜式(4)で表される構造単位が、この範囲内で含まれるとチタンブラック粒子の分散性が高く、遮光膜を形成する際の現像性が良好である。
また、特定樹脂Aにおいては、2種以上の構造が異なるグラフト部位を含有することができる。
前記式(1)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(1A)で表される構造単位であることがより好ましい。
また、前記式(2)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(2A)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(1A)中、X、Y、Z及びnは、前記式(1)におけるX、Y、Z及びnと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2A)中、X、Y、Z及びmは、前記式(2)におけるX、Y、Z及びmと同義であり、好ましい範囲も同様である。
また、前記式(3)で表される構造単位としては、分散安定性、現像性の観点から、下記式(3A)又は式(3B)で表される構造単位であることがより好ましい。
式(3A)又は(3B)中、X、Y、Z及びpは、前記式(3)におけるX、Y、Z及びpと同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(5A)中、X、Y、Z及びrは、前記式(5)におけるX、Y、Z及びrと同義であり、好ましい範囲も同様である。
特定樹脂Aには、グラフト部位以外にチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基を導入することができる。
このチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基としては、例えば、酸基、塩基性基、配位性基、反応性を有する官能基等があげられ、特定樹脂Aには、酸基を有する構造単位、塩基性基を有する構造単位、配位性基を有する構造単位、反応性を有する構造単位を用いて導入される。
チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基である酸基としては、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、フェノール性水酸基などがあり、特に好ましいものは、チタンブラック粒子への吸着力が良好で、且つ、その分散性が高いカルボン酸基である。特定樹脂Aには、これらの酸基を1種或いは2種以上有してもよい。
また、このような酸基を導入することで、特定樹脂Aのアルカリ現像性を向上させるという利点をも有する。
特定樹脂Aに共重合成分として導入されうる酸基を有する構造単位の好適な含有量は、0.1モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、アルカリ現像による画像強度のダメージ抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基である塩基性基としては、例えば、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、N原子を含むヘテロ環、アミド基などがあり、特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で、且つ、その分散性が高い第3級アミノ基である。特定樹脂Aには、これらの塩基性基を1種或いは1種以上導入することができる。
特定樹脂Aに共重合成分として導入される場合、塩基性基を有する構造単位の好適な含有量は、特定樹脂Aにおける全構造単位に対し、0.01モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、0.01モル%以上30モル%以下である。
チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基である配位性基、及び反応性を有する官能基としては、例えば、アセチルアセトキシ基、トリアルコキシシリル基、イソシアネート基、酸無水物、酸塩化物などが挙げられる。特に好ましいものは、顔料への吸着力が良好で分散性が高いアセチルアセトキシ基である。特定樹脂Aには、これらの基を1種あるいは1種以上有してもよい。
特定樹脂Aの共重合成分として導入されうる配位性基を有する構造単位又は反応性を有する構造単位の好適な含有量は、特定樹脂Aの全構造単位に対し、0.5モル%以上50モル%以下であり、特に好ましくは、現像性阻害抑制という観点から、1モル%以上30モル%以下である。
本発明における特定樹脂Aが、グラフト部位以外に、チタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基を有する場合、上述したような、各種のチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基を含有していればよく、これらの官能基がどのように導入されているかは特に限定はされないが、下記一般式(i)〜一般式(iii)のいずれかで表される単量体から得られる構造単位の少なくとも1種を用いて導入されていることが好ましい。

一般式(i)〜一般式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、又は炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。
、R、及びRは、より好ましくは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数が1〜3のアルキル基であり、最も好ましくは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基である。R及びRは、それぞれ水素原子であることが特に好ましい。
一般式(i)中のXは、酸素原子(−O−)又はイミノ基(−NH−)を表し、酸素原子であることが好ましい。
また、一般式(ii)中のYは、メチン基又は窒素原子を表す。
また、一般式(i)〜一般式(ii)中のLは、単結合又は2価の連結基を表す。該2価の連結基の例としては、2価の脂肪族基(例えば、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基、及び置換アルキニレン基)、2価の芳香族基(例えば、アリーレン基、及び置換アリーレン基)、2価の複素環基及びそれらと酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、イミノ基(−NH−)、置換イミノ結合(−NR31−、ここでR31は脂肪族基、芳香族基又は複素環基)又はカルボニル結合(−CO−)のうちの一つ以上との組合せ等が挙げられる。
前記2価の脂肪族基は、環状構造又は分岐構造を有していてもよい。前記脂肪族基の炭素原子数は、1〜20が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。脂肪族基は不飽和脂肪族基よりも飽和脂肪族基の方が好ましい。また、脂肪族基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、芳香族基及び複素環基が挙げられる。
前記2価の芳香族基の炭素原子数は、6〜20が好ましく、6〜15が更に好ましく、6〜10が最も好ましい。また、前記芳香族基は置換基を有していてもよい。置換基の例は、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
前記2価の複素環基は、複素環として5員環又は6員環を有することが好ましい。複素環に他の複素環、脂肪族環または芳香族環のうち1つ以上が縮合していてもよい。また、複素環基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、オキソ基(=O)、チオキソ基(=S)、イミノ基(=NH)、置換イミノ基(=N−R32、ここでR32は脂肪族基、芳香族基または複素環基)、脂肪族基、芳香族基及び複素環基を挙げられる。
Lは、単結合、アルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であることが好ましい。オキシアルキレン構造は、オキシエチレン構造又はオキシプロピレン構造であることがより好ましい。また、Lはオキシアルキレン構造を2以上繰り返して含むポリオキシアルキレン構造を含んでいてもよい。ポリオキシアルキレン構造としてはポリオキシエチレン構造又はポリオキシプロピレン構造が好ましい。ポリオキシエチレン構造は、−(OCHCH−で表され、nは、2以上の整数が好ましく、2〜10の整数であることがより好ましい。
一般式(i)〜一般式(iii)中、Zは、グラフト部位以外にチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基を表し、カルボン酸基、第三級アミノ基であることが好ましく、カルボン酸基であることがより好ましい。
一般式(iii)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素等)、炭素原子数が1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−Z、又は−L−Zを表す。ここでL及びZは、上記におけるL及びZと同義であり、好ましい例も同様である。
、R、及びRとしては、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数が1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
本発明においては、一般式(i)で表される単量体として、R、R、及びRがそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基又はオキシアルキレン構造を含む2価の連結基であって、Xが酸素原子又はイミノ基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
また、一般式(ii)で表される単量体として、Rが水素原子又はメチル基であって、Lがアルキレン基であって、Zがカルボン酸基であって、Yがメチン基である化合物が好ましい。
更に、一般式(iii)で表される単量体として、R、R、及びRがそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、Lが単結合又はアルキレン基であって、Zがカルボン酸基である化合物が好ましい。
以下に、一般式(i)〜一般式(iii)で表される単量体(化合物)の代表的な例を示す。
該単量体の例としては、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物(例えば、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)とコハク酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とテトラヒドロキシフタル酸無水物の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物と無水トリメリット酸の反応物、分子内に付加重合性二重結合と水酸基を有する化合物とピロメリット酸無水物の反応物、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、アクリル酸オリゴマー、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、4−ビニル安息香酸、ビニルフェノール、4−ヒドロキシフェニルメタクリルアミドなどが挙げられる。
特定樹脂A中における酸性基を有する単量体などのチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基の含有量は、チタンブラック粒子との相互作用、分散安定性、及び現像液への浸透性の観点から、特定樹脂Aに対して0.05質量%〜90質量%が好ましく、1.0質量%〜80質量%がより好ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましい。
更に、本発明のチタンブラック分散組成物に含まれる特定樹脂Aは、画像強度などの諸性能を向上する目的で、本発明の効果を損なわない限りにおいて、前記グラフト部位(グラフト鎖を有する構造単位)及びチタンブラック粒子と相互作用を形成しうる官能基を有する構造単位に加えて、更に種々の機能を有する他の構造単位、例えば、分散組成物に用いられる(C)有機溶媒との親和性を有する官能基などを有する構造単位を共重合成分として含むことができる。
特定樹脂Aに共重合可能な共重合成分としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン類、アクリロニトリル類、メタクリロニトリル類などから選ばれるラジカル重合性化合物が挙げられる。
これらを1種或いは2種以上用いることができ、特定樹脂A中、これら共重合成分の好適に使用される含有量は、0モル%以上90モル%以下であり、特に好ましくは、0モル%以上60モル%以下である。含有量が前記の範囲において十分なパターン形成性が維持される。
特定樹脂Aを合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
このような特定樹脂Aの具体例としては、以下の例示化合物1〜例示化合物54が挙げられる。なお、各構成単位(主鎖部分)の添数字は質量%である。















(両性共重合体:特定樹脂B)
また、本発明における(B)分散剤としては、下記に示す両性の共重合体も好ましい態様である。即ち、(b−1)アミノ基及び含窒素へテロ環基から選択された少なくとも一つの基を有するモノマー、(b−2)カルボキシル基を有するモノマー、及び(b−3)重量平均分子量が1,000以上50,000以下のマクロモノマーの共重合体(以下、適宜「特定樹脂B」と称する。)も好ましい態様として挙げられる。
以下に、特定樹脂Bを詳述する。
特定樹脂Bは、原料物質として、(b−1)アミノ基及び含窒素へテロ環基から選択された少なくとも一つの基を有するモノマー、(b−2)カルボン酸基を有するモノマー、(b−3)重量平均分子量が1,000以上50,000以下のマクロモノマー、及び必要に応じて任意の他のモノマーを用い、これらを共重合することにより製造されるものである。
以下、特定樹脂Bを得るための原料物質である、(b−1)アミノ基及び含窒素へテロ環基から選択された少なくとも一つの基を有するモノマー、(b−2)カルボキシル基を有するモノマー、及び(b−3)重量平均分子量が1,000以上50,000以下のマクロモノマーについて説明する。
<(b−1)アミノ基及び含窒素へテロ環基から選択された少なくとも一つの基を有するモノマー>
(b−1)アミノ基及び含窒素へテロ環基から選択された少なくとも一つの基を有するモノマー(以下、適宜、「モノマー(b−1)」と称する。)は、アミノ基及び含窒素へテロ環基から選択された少なくとも一つの基を有し、且つ分子量が50以上1,000以下のモノマーである。
モノマー(b−1)が有するアミノ基としては、1級、2級及び3級のアミノ基が挙げられ、分散安定性の観点からは、2級又は3級のアミノ基であることが好ましく、3級のアミノ基であることがより好ましい。該アミノ基としては、炭素数1〜10の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、又は炭素数6〜15のアリール基を有するアミノ基が好ましく、炭素数1〜5の直鎖若しくは分岐状のアルキル基を有するアミノ基が最も好ましい。該アミノ基の具体例としては、−NHMe、−NHEt、−NHPr、−NHiPr、−NHBu、−NH(tert-Bu)、−NMe、−NEt、−NPr、−NPh、モルホリノ基等が挙げられる。(ここで、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Prはプロピル基を表し、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表す。)
モノマー(b−1)が有する含窒素へテロ環基は、環構造内に少なくとも一つの窒素原子を有する環状置換基であり、該環構造は、飽和環であっても、不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよく、無置換であっても置換基を有していてもよい。また、モノマー(b−1)に由来する含窒素へテロ環基は、特定樹脂Bにおいて、側鎖構造中に含まれていても、主鎖構造中に含まれていてもよいが、分散性及び分散安定性の観点からは、側鎖構造中に含まれることがより好ましい。
含窒素へテロ環基の具体例としては、例えば、ピロリジン、ピロリン、テトラヒドロピリジン、ピペラジン、ホモピペラジン、ピペリジン、トリアジン、モルホリン、ヘキサメチレンテトラミン、ジアザビシクロウンデセン、デカヒドロキノリン、ジアザビシクロオクタン、ピロリジノン、δ−バレロラクタム、スクシンイミド、グルタルイミド、イミダゾリドン、テトラヒドロピリミドン、ウラゾール、ジヒドロウラシル、バルビツール酸、インドール、カルバゾール、ジュロリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、オキシンドール、フェナンスリジノン、イサチン、フタルイミド、ジイミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、ジイミノベンズイソインドリン、ナフタルイミド、キナゾリンジオン、ピロール、ポルフィリン、ポルフィリン金属錯体、フタロシアニン、フタロシアニン金属錯体、ナフタロシアニン、ナフタロシアニン金属錯体、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、イソキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、チアジアゾール、チアトリアゾール、イミノスチルベン、アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、アザベンズイミダゾール、アンスラニル、ベンズイソキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、トリアゾールピリミジン、トリアゾールピリジン、プリン、キサンチン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリミドン、ウラシル、ピラジン、キノリン、アクリジン、シンノリン、ベンゾシンノリン、キノキサリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナジン、フェナンスロリン、ペリミジン、アクリドン等の含窒素ヘテロ環基を挙げることができ、これらは無置換であっても置換基を有していてもよい。
含窒素へテロ環基のより好ましい例としては、インドール、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、オキシンドール、フェナンスリジノン、イサチン、フタルイミド、ジイミノイソインドリン、イミノイソインドリノン、ジイミノベンズイソインドリン、ナフタルイミド、キナゾリンジオン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、イソキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、チアジアゾール、チアトリアゾール、イミノスチルベン、アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、アザベンズイミダゾール、アンスラニル、ベンズイソキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、トリアゾールピリミジン、トリアゾールピリジン、プリン、キサンチン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリミドン、ウラシル、ピラジン、キノリン、アクリジン、シンノリン、ベンゾシンノリン、キノキサリン、キナゾリン、キノキサリン、フェナジン、フェナンスロリン、アクリドンが挙げられる。
モノマー(b−1)が有する含窒素へテロ環基が有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基などが挙げられる。
含窒素へテロ環基が有してもよい置換基について、以下にさらに詳細に説明する。
該置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖又は分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチルが挙げられ、多環構造のシクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が特に好ましい。)、
アルケニル基(直鎖又は分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルが挙げられ、多環構造のシクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)やトリシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が特に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子及び硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ)、
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
アルキル又はアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換又は無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記のいずれかの基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
モノマー(b−1)としては、分散安定性、現像性及び耐光性の観点から、アミノ基、ピリジニル基、イミダゾイル基、フタルイミド基、ナフタルイミド基、ベンズイミダゾール基、又はアクリドン基を有するモノマーであることが好ましく、アミノ基又はナフタルイミド基を有するモノマーであることが更に好ましい。
モノマー(b−1)としては、アミノ基及び含窒素へテロ環基から選択された少なくとも一つの基を有し、且つ分子量が50以上1,000以下の公知のモノマーを使用することができる。該モノマーとしては、重合性の観点からは、アクリル系モノマー又はスチレン系モノマーであることが好ましく、下記一般式(K)で表されるアクリル系エステルモノマー、又は下記一般式(L)で表されるスチレン系モノマーであることが最も好ましい。このようなモノマーを用いることにより、特定樹脂Bは、側鎖部分にハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と強く相互作用することができるアミノ基又は含窒素へテロ環基を有することができるため、顔料分散液及び着色硬化性組成物の分散安定性及び耐光性が向上する。
一般式(K)中、Rは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。Bは、酸素原子、−N(R)−を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、又はアリール基を表す。Cは、二価の連結基を表す。Aは、アミノ基又は含窒素へテロ環基を表す。
一般式(K)におけるRとしては、特に水素原子及びメチル基が好ましい。
Cで表される二価の連結基としては、炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルキレンアミノカルボニル基、炭素数5〜10のシクロアルキレン基、及び炭素数6〜10のアリーレン基が好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基、及び炭素数2〜10のアルキレンアミノカルボニル基が最も好ましい。
で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキルが挙げられ、特に炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。Aで表されるアミノ基又は含窒素ヘテロ環基としては、モノマー(b−1)が有するアミノ基又はヘテロ環基として前記したものと同義であり、好ましい範囲も同一である。
一般式(L)中、Aは、アミノ基又は含窒素へテロ環基を表す。Aで表されるアミノ基又はヘテロ環基は、モノマー(b−1)が有するアミノ基又はヘテロ環基として前記したものと同義であり、好ましい範囲も同一である。
モノマー(b−1)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、モノマー(b−1)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、具体例(M−1)〜(M−23)、(M−31)〜(M−50)中、Rは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。


具体例(M−1)〜(M−23)、(M−31)〜(M−50)のうちでも、Rが水素原子又はメチル基である具体例(M−1)〜(M−6)、(M−9)〜(M−16)、(M−21)〜(M−23)、(M−37)、(M−40)、(M−47)、(M−48)、(M−49)が好ましく、特に具体例(M−1)、(M−2)、(M−11)、(M−12)、(M−37)、(M−47)、又は(M−48)が、分散組成物の分散安定性、及び分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像性の観点から特に好ましい。
<(b−2)カルボキシル基を有するモノマー>
(b−2)カルボキシル基を有するモノマーは、(以下、適宜、「モノマー(b−2)」と称する。)は、少なくとも1つのカルボキシル基を有し、且つ分子量が50以上500以下のモノマーである。
モノマー(b−2)としては、少なくとも1つのカルボキシル基を有し、且つ分子量が50以上500以下の公知のモノマーを使用することができるが、重合性の観点からは、アクリル系モノマー又はスチレン系モノマーであることが好ましく、(メタ)アクリル系エステルモノマー及び(メタ)アクリル系アミドモノマーが最も好ましい。
モノマー(b−2)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
以下、モノマー(b−2)の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、具体例(M−24)〜(M−30)、(M−51)及び(M−52)中、Rは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシメチル基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。


具体例(M−24)〜(M−30)、(M−51)、(M−52)のうちでも、Rが水素原子又はメチル基である具体例(M−24)及び(M−29)が、分散組成物の分散安定性、及び分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、特にRが水素原子又はメチル基である(M−24)が最も好ましい。
<(b−3)重量平均分子量が1,000以上50,000以下のマクロモノマー>
(b−3)重量平均分子量が1,000以上50,000以下のマクロモノマー(以下、適宜、「マクロモノマー(b−3)」と称する。)は、当該重量平均分子量を有し、且つ末端に重合性基を有するオリゴマー又はポリマーである。
マクロモノマー(b−3)の重量平均分子量は、1,000以上50,000以下であり、1,000以上20,000以下であることが好ましく、2,000以上10,000以下であることがさらに好ましく、2,000以上5,000以下であることが最も好ましい。マクロモノマー(b−3)の重量平均分子量がこの範囲にあることにより、分散組成物の分散性、分散安定性、及び分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像が向上する。
なお、本明細書おける重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定されたポリスチレン換算値である。
マクロモノマー(b−3)としては、公知のマクロモノマーを用いることできる。
マクロモノマー(b−3)の例としては、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーが挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性且つ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、分散組成物の分散性、分散安定性、及び分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像性、耐光性の観点から特に好ましく、更に、下記一般式(M)で表されるポリエステル系マクロモノマーが最も好ましい。

一般式(M)中、R1Aは水素原子又はメチル基を表す。R2Aはアルキレン基を表す。R3Aはアルキル基を表す。nは5〜100の整数を表す。
2Aとしては、特に炭素数5〜20の直鎖又は分岐のアルキレン基が好ましく、−(CH−が最も好ましい。R3Aとしては、炭素数5〜20の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。nとしては、5〜30の整数が好ましく、10〜20の整数が最も好ましい。
マクロモノマー(b−3)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
特定樹脂Bは、モノマー(b−1)に由来する繰り返し単位を、特定樹脂Bの全質量に対して、10〜50質量%含有することが好ましく、15〜45質量%含有することがさらに好ましく、20〜40質量%含有することが最も好ましい。モノマー(b−1)に由来する繰り返し単位の含有量がこの範囲にあることにより、分散組成物の分散性及び分散安定性と、分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像液耐性とがさらに向上する。
特定樹脂Bが有するモノマー(b−1)に由来する繰り返し単位は、アミノ基を必須に含有することが、分散性及び分散安定性の観点から好ましい。
特定樹脂Bが有するモノマー(b−1)に由来する繰り返し単位は、分散性及び分散安定性の更なる向上に観点からは、アミノ基及び含窒素へテロ環基の双方を含有することがより好ましく、該含窒素へテロ環基を特定樹脂Bの側鎖構造中に含有することがさらに好ましい。
特定樹脂Bが有するモノマー(b−1)に由来する繰り返し単位におけるアミノ基と含窒素へテロ環基との含有比率(アミノ基:含窒素ヘテロ環基、質量比)は、100:0〜5:95が好ましく、100:0〜10:90がさらに好ましく、100:0〜15:85が最も好ましい。
特定樹脂Bの酸価は、5.0mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましく、10mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがさらに好ましく、60mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが最も好ましい。特定樹脂Bの酸価がこの範囲にあることにより、分散組成液の分散性及び分散安定性と、分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像性が向上する。特定樹脂Bの酸価は、塩基滴定により測定することができる。
モノマー(b−2)に由来する繰り返し単位は、特定樹脂Bの酸価が、上記の範囲となるように、特定樹脂B中に含まれることが好ましい。
特定樹脂Bは、マクロモノマー(b−3)に由来する繰り返し単位を、特定樹脂Bの全質量に対して、15〜90質量%含有することが好ましく、25〜80質量%含有することがさらに好ましく、35〜60質量%含有することが最も好ましい。マクロモノマー(b−3)に由来する繰り返し単位の含有量がこの範囲にあることにより、分散組成物の分散性及び分散安定性と、分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像性とがさらに向上する。
特定樹脂Bの具体例としては、後述する実施例において、合成例と共に示した樹脂(J−1)〜(J−9)、(J−12)〜(J−20)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
特定樹脂Bは、GPC法によるポリスチレン換算値として、重量平均分子量が10,000以上300,000以下であることが好ましく、15,000以上200,000以下であることがさらに好ましく、20,000以上100,000以下であることが最も好ましい。特定樹脂Bの重量平均分子量がこの範囲により、分散組成液の分散性及び分散安定性と、分散組成物を用いた感放射線性組成物が示す現像性とがさらに向上する。
特定樹脂Bにおけるモノマー(b−1)に由来する繰り返し単位、モノマー(b−2)に由来する繰り返し単位、及びマクロモノマー(b−3)に由来する繰り返し単位の含有比(b−1:b−2:b−3、質量比)としては、10〜50:2〜30:30〜80が好ましく、20〜50:5〜20:40〜70がより好ましく、20〜40:8〜20:40〜60が更に好ましい。
特定樹脂Bは、硬化性を示すものであってもよい。
特定樹脂Bの硬化性を向上させるためには、更に重合性基を導入してもよい。重合性基の導入方法としては、例えば、特定樹脂Bが有するカルボキシル基とエポキシ基を含有する(メタ)アクリレート(例えば、メタクリル酸グリシジル等)を反応させる方法、特定樹脂Bが有するヒドロキシル基とイソシアネート基を含有する(メタ)アクリレート又は重合性基を含有する環状酸無水物とを反応させる方法、等の公知の方法を用いることができる。
特定樹脂Bが重合性を有する場合、重合性基を有する繰り返し単位は、特定樹脂Bの全質量に対し、5〜50質量%含有されることが好ましく、10〜40質量%含有されることがより好ましい。
特定樹脂Bは、溶剤への溶解性や塗布性を向上させるため、前記以外の繰り返し単位を含有してもよい。そのような繰り返し単位の例としては、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸アラルキル、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、スチレン等に由来する繰り返し単位が挙げられる。
特定樹脂Bは、原料物質として、モノマー(b−1)、モノマー(b−2)、マクロモノマー(b−3)、及び必要に応じて任意の他のモノマーを用い、ラジカル重合で製造することが好ましい。ラジカル重合法で特定樹脂Bを製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、常法と同様である。
本発明の分散組成物は、特定樹脂Bの含有により分散性及び分散安定性に優れるため、チタンブラック粒子を含む被分散体を高濃度に含有させることが可能である。
本発明の分散組成物における(B)分散剤の含有量は、前記被分散体の総質量に対して、1〜80質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、30〜40質量%が更に好ましい。(B)分散剤の含有量がこの範囲にあることにより、分散組成物における被分散体の高濃度化を十分に達成できる。このため、例えば、本発明の分散組成物を含有する感放射線性組成物を固体撮像素子の遮光膜形成用途に用いた場合に薄膜化による解像力向上が可能となる。(B)分散剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよいが、少なくとも水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である分散剤を含有する
本発明のチタンブラック分散物における(B)分散剤の含有量としては、被分散体(チタンブラック粒子からなる被分散体及び他の着色剤等からなる被分散体を含む)の全固形分に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
また、本発明の感放射線性組成物における(B)分散剤の含有量としては、被分散体(チタンブラック粒子からなる被分散体及び他の着色剤等からなる被分散体を含む)の全固形分に対して、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。
〔(C)有機溶媒〕
本発明のチタンブラック分散組成物及び感放射線性組成物は、(C)有機溶媒を含有する。
(C)有機溶媒の例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例えば、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例えば、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
有機溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機溶媒を2種以上組みあわせて用いる場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である
チタンブラック分散組成物に含まれる(C)有機溶媒の量としては、該分散組成物の全量に対し、10質量%〜80質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましく、30質量%〜65質量%であることが更に好ましい。
また、感放射線性組成物に含まれる(C)有機溶媒の量としては、感放射線性組成物の全量に対し、10質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜75質量%であることが更に好ましい。
〔(D)重合性化合物〕
本発明の感放射線性組成物は、(D)重合性化合物を含有する。
(D)重合性化合物としては、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
より具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号〔0095〕〜〔0108〕に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、市販品として、例えば、NKエステル CB−1、SA、A−SA(新中村化学工業株式会社製)などの単官能(メタ)アクリレートなども本発明における重合性化合物として用いることができる。
また、前記重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010-160418、特開2010-129825、特許4364216等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
上記のほか、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。


前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の各々において、複数存在するRの少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH、又は、−OC(=O)C(CH)=CHで表される基を表す。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
中でも、重合性化合物としては、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。以下に好ましい重合性化合物の態様を示す。
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入してもよい。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
本発明において、酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、 特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜40mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜30mg−KOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
また、重合性モノマーとして、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体を含有することも好ましい態様である。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記一般式(Z−1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
一般式(Z−1)中、6個のRは全てが下記一般式(Z−2)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記一般式(Z−2)で表される基であり、残余が下記一般式(Z−3)で表される基である。
一般式(Z−2)中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合位置を示す。

一般式(Z−3)中、R1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、本発明における特定モノマーとしては、下記一般式(Z−4)又は(Z−5)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。

前記一般式(Z−4)及び(Z−5)中、Eは、各々独立に、−((CH)yCHO)−、又は−((CH)yCH(CH)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
前記一般式(Z−4)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、mは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、nは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(Z−4)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
前記一般式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)中の−((CH)yCHO)−又は−((CH)yCH(CH)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物の重合性化合物中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)又は(ii)で表される化合物を合成することができる。
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。


一般式(Z−4)、(Z−5)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた硬化性組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600、エポキシエステル80MF(共栄社化学社製)などが挙げられる。
重合性化合物としては、同一分子内に2個以上のメルカプト(SH)基を有する多官能チオール化合物も好適である。特に、下記一般式(I)で表すものが好ましい。
(式中、Rはアルキル基、R2は炭素以外の原子を含んでもよいn価の脂肪族基、R0はアルキル基を表し水素原子であることはない。nは2〜4を表す。)
即ち、Rで表されるアルキル基は、メルカプト基とR(アルキル基)とを置換基として有する。
上記一般式(I)で表される多官能チオール化合物を具体的に例示するならば、下記の構造式を有する1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン〔式(II)〕、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジアン-2,4,6(1H,3H5H)-トリオン〔式(III)〕、及びペンタエリスリトール テトラキス(3-メルカプトブチレート)〔式(IV)〕等が挙げられる。これらの多官能チオールは1種または複数組み合わせて使用することが可能である。
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色硬化性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、4官能以上のものが好ましく、さらに5官能以上のものが好ましい。更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することが、感放射線性組成物の現像性を調節することができ、優れたパターン形成能が得られるという点で好ましい。
また、感放射線性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料)、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
本発明の感放射線性組成物中における重合性化合物の含有量は、感放射線性組成物中の固形分に対して1質量%〜40質量%が好ましく、3.0質量%〜30質量%がさらに好ましく、5.0質量%〜20質量%が特に好ましい。
〔(E)光重合開始剤〕
本発明の感放射線性組成物は、(E)光重合開始剤を含有する。
本発明における(E)光重合開始剤(以下、単に「重合開始剤」ということがある。)としては、以下に述べる光重合開始剤として知られているものを用いることができる。
本発明における光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
本発明における(E)光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、オキシム化合物が好ましい。
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物、などが挙げられる。
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
また、上記以外の重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフラノイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもチバジャパン社製)を用いることができる。
重合開始剤として、より好ましくはオキシム系化合物が挙げられる。オキシム系開始剤の具体例としては、特開2001−233842号記載の化合物、特開2000−80068号記載の化合物、特開2006−342166号記載の化合物を用いることができる。
本発明で重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.15
6−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE OXE−01(BASF社製)、IRGACURE OXE−02(BASF社製)も好適に用いられる。
また上記記載以外のオキシムエステル化合物として、カルバゾールN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物などを用いてもよい。
好ましくはさらに、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
最も好ましくは、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム系重合開始剤としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。

(式(OX−1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
前記式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及び、nは、それぞれ、後述する式(OX−2)におけるY、X、及び、nと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、式(OX−1)におけるAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
前記式(OX−1)中、Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
式(OX−1)においては、前記式(OX−1)中のArとそれに隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
オキシム化合物は、下記式(OX−2)で表される化合物であることが好ましい。

(式(OX−2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(OX−2)におけるR、A、及びArは、前記式(OX−1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
前記式(OX−2)中、Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
これらの中でも、式(OX−2)におけるXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
前記式(OX−2)中、Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(OX−2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。

中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。

さらにオキシム化合物は、下記式(OX−3)で表される化合物であることが好ましい。

(式(OX−3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(OX−3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(OX−2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
以下好適に用いられるオキシム化合物の具体例(C−4)〜(C−14)を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。


オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
本発明に用いられる重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の感放射線性組成物に用いられる(E)重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましい。
特に、本発明の感放射線性組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには(E)重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが最も好ましい。
本発明の感放射線性組成物に含有される(E)重合開始剤の含有量は、感放射線性組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上30質量%以下、更に好ましくは1質量%以上20質量%以下である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
〔(F)その他の添加剤〕
本発明の感放射線性組成物には、本発明のチタンブラック分散組成物、(D)光重合性化合物、及び(E)光重合開始剤に加え、目的に応じて、種々の添加剤を使用することができる。
(F−1)バインダーポリマー
本発明の感放射線性組成物においては、皮膜特性向上などの目的で、必要に応じて、更に(F−1)バインダーポリマーを含むことができる。
(F−1)バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーを用いることが好ましい。このような「線状有機ポリマー」としては、公知のものを任意に使用できる。好ましくは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能とするために、水或いは弱アルカリ水に可溶性又は膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。
線状有機ポリマーは、皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水、或いは有機溶媒からなる現像液(現像剤)に応じて選択使用される。
例えば、水可溶性有機ポリマーを用いると水現像が可能になる。このような線状有機ポリマーの例としては、側鎖にカルボン酸基を有するラジカル重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号に記載されているもの、すなわち、カルボキシル基を有するモノマーを単独或いは共重合させた樹脂、酸無水物を有するモノマーを単独或いは共重合させ酸無水物ユニットを加水分解若しくはハーフエステル化若しくはハーフアミド化させた樹脂、エポキシ樹脂を不飽和モノカルボン酸及び酸無水物で変性させたエポキシアクリレート等が挙げられる。カルボキシル基を有するモノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4−カルボキシルスチレン等があげられ、酸無水物を有するモノマーの例としては、無水マレイン酸等が挙げられる。
また、同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体も例として挙げられる。この他に水酸基を有する重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号、特願平10−116232号等に記載される酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、低露光適性の点で有利である。
また、欧州特許第993966号、欧州特許第1204000号、特開2001−318463号等の各公報に記載の酸基を有するアセタール変性ポリビニルアルコール系バインダーポリマーは、膜強度、現像性のバランスに優れており、好適である。
更に、この他に水溶性線状有機ポリマーとして、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また、硬化皮膜の強度を上げるために、アルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。
特に、これらの中でも、〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体、及び〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
本発明の感放射線性組成物に使用される(F−1)バインダーポリマーの重量平均分子量は、現像時のパターン剥離抑制と現像性の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、1,500〜250,000であることがより好ましく、2,000〜200,000であることが更に好ましく、2,500〜100,000であることが特に好ましい。(F−1)バインダーポリマーの数平均分子量については、好ましくは1000以上であり、更に好ましくは1500〜25万の範囲である。(F−1)バインダーポリマーの多分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、1以上が好ましく、更に好ましくは1.1〜10の範囲である。
ここで、(F−1)バインダーポリマーの重量平均分子量は、例えば、GPCによって測定することができる。
これらの(F−1)バインダーポリマーは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよい。
本発明で用いうる(F−1)バインダーポリマーは、従来公知の方法により合成できる。合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上混合して用いられる。
また、(F−1)バインダーポリマーを合成する際に用いられるラジカル重合開始剤としては、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤等公知の化合物が挙げられる。
本発明において、(F−1)バインダーポリマーとして、側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂を用いることで、特に露光部の硬化性と未露光部のアルカリ現像性の双方を向上させることができる。
側鎖に二重結合を有するアルカリ可溶性樹脂は、その構造その中に、樹脂がアルカリ可溶となるための酸基と、少なくとも1つの不飽和二重結合を有することで、非画像部除去性などの諸性能を向上させる。このような構造を有する樹脂は、特開2003−262958号公報に詳細に記載され、ここに記載の樹脂を本発明におけるバインダーポリマーとして使用することができる。
本発明の感放射線性組成物におけるバインダーポリマーの含有量は、組成物の全固形分中に対して、0.1質量%〜7.0質量%であることが好ましく、遮光膜の剥がれ抑制と現像残渣抑制の両立の観点からは、0.3質量%〜6.0質量%であることがより好ましく、1.0〜5.0質量%であることがさらに好ましい。
(F−2)着色剤
本発明の感放射線性組成物には、所望の遮光性を発現させるべく、公知の有機顔料や染料などの無機顔料以外の(F−2)着色剤を併用することが可能である。
併用することができる(F−2)着色剤としては、有機顔料では、例えば、特開2008−224982号公報段落番号〔0030〕〜〔0044〕に記載の顔料や、C.I.Pigment Green 58、C.I.Pigment Blue 79のCl置換基をOHに変更したものなどが挙げられ、これらの中でも、好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明に適用しうる(F−2)着色剤は、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11、24、108、109、110、138、139、150、151、154、167、180、185、
C.I.Pigment Orange 36、38、62、64、
C.I.Pigment Red 122、150、171、175、177、209、224、242、254、255、
C.I.Pigment Violet 19、23、29、32、
C.I.Pigment Blue 15:1、15:3、15:6、16、22、60、66、
C.I.Pigment Green 7、36、37、58、
C.I.Pigment Black 1、7
また、(F−2)着色剤として使用可能な染料の例としては、特に制限はなく、公知の染料を適宜選択して使用できる。例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特登2592207号、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報、特開平8−211599号公報、特開平4−249549号公報、特開平10−123316号公報、特開平11−302283号公報、特開平7−286107号公報、特開2001−4823号公報、特開平8−15522号公報、特開平8−29771号公報、特開平8−146215号公報、特開平11−343437号公報、特開平8−62416号公報、特開2002−14220号公報、特開2002−14221号公報、特開2002−14222号公報、特開2002−14223号公報、特開平8−302224号公報、特開平8−73758号公報、特開平8−179120号公報、特開平8−151531号公報等に記載の色素が挙げられる。
染料が有する化学構造としては、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の化学構造が挙げられる。
本発明の感放射線性組成物における(F−2)着色剤としては、該組成物が必須に含有する(A)チタンブラック粒子と組み合わせた場合に、硬化性と遮光性を両立しうるという観点から、オレンジ顔料、赤色顔料、及び、バイオレット顔料からなる群より選択される1種以上の有機顔料が好ましく、最も好ましくは赤色顔料との組み合わせである。
本発明における(A)チタンブラック粒子と組み合わせて用いられるオレンジ顔料、赤色顔料、及びバイオレット顔料としては、例えば、前記で例示した「C.I.Pigment Orange」、「C.I.Pigment Red」、「C.I.Pigment Violet」に属する各種顔料を、目的とする遮光性に応じて適宜選択すればよい。遮光性向上の観点からは、C.I.Pigment Violet 29、C.I.Pigment Orange 36,38,62,64、C.I.Pigment Red 177,254、255などが好ましい。
(F−3)増感剤
本発明の感放射線性組成物には、(E)光重合開始剤のラジカル発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、(F−3)増感剤を含有していてもよい。
(F−3)増感剤としては、用いられる(E)光重合開始剤を、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものが好ましい。
(F−3)増感剤の好ましい例としては、特開2008−214395号公報の段落番号〔0085〕〜〔0098〕に記載された化合物を挙げることができる。
(F−3)増感剤の含有量は、感度と保存安定性の観点から、感放射線性組成物の全固形分に対し、0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、1〜20質量%の範囲内であることがより好ましく、2〜15質量%の範囲内であることが更に好ましい。
(F−4)重合禁止剤
本発明の感放射線性組成物には、該組成物の製造中或いは保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の(F−4)重合禁止剤を添加することが望ましい。
(F−4)重合禁止剤としては、公知の熱重合防止剤を用いることができ、具体的には、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられ、なかでも、p−メトキシフェノールが好ましい。
(F−4)熱重合防止剤の含有量は、感放射線性組成物の全固形分に対し、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
また、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で塗布膜の表面に高級脂肪酸誘導体等を偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(F−5)密着向上剤
本発明の感放射線性組成物には、支持体などの硬質表面との密着性を向上させるために、(F−5)密着向上剤を添加することができる。
(F−5)密着向上剤としては、シラン系カップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
シラン系カップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、が好ましく、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
(F−5)密着向上剤の含有量は、感放射線性組成物の全固形分中0.5質量%30質量%であることが好ましく、0.7質量%〜20質量%であることがより好ましい。
(F−6)界面活性剤
本発明の感放射線性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の感放射線性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する感放射線性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、感放射線性組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株))、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、本発明の感放射線性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
(F−7)その他の添加剤
更に、感放射線性組成物は、増感色素や開始剤の活性放射線に対する感度を一層向上させる、或いは酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制する等の目的で共増感剤を含有してもよい。また、硬化皮膜の物性を改良するために、希釈剤、可塑剤、感脂化剤等の公知の添加剤を必要に応じて加えてもよい。
〔チタンブラック分散組成物の調製〕
本発明のチタンブラック分散組成物の調製態様は、特に制限されないが、例えば、(A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を、攪拌機、ホモジナイザー、高圧乳化装置、湿式粉砕機、湿式分散機、等を用いて分散処理を行なうことにより調製することができるが、その方法はこれらに限定されない。
分散処理は、2回以上の分散処理(多段分散)により行ってもよい。
〔感放射線性組成物の調製〕
本発明の感放射線性組成物の調製態様についても特に特に制限されないが、例えば、本発明のチタンブラック分散組成物、(D)重合性化合物、(E)光重合開始剤、及び、所望により併用される各種の添加剤を混合し、調製することができる。
上記のようにして調製された感放射線性組成物は、好ましくは孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することもできる。
本発明の感放射線性組成物は、インクジェットで塗布されるため、インクジェット記録装置に適用するのに好適な物性を有することが好ましい。
即ち、本発明の感放射線性組成物をインクジェット記録方法に用いる場合には、吐出性(吐出性)を考慮し、吐出時の温度でのインク粘度が100mPa・s以下であることが好ましく、50mPa・s以下であることがより好ましく、前記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。
なお、25℃(室温)での感放射線性組成物の粘度は、0.5mPa・s以上200mPa・s以下、好ましくは1mPa・s以上100mPa・s以下であり、より好ましくは2mPa・s以上50mPa・s以下である。室温での粘度を高く設定することにより、凹凸のある基板に適用した場合でも、感放射線性組成物の液だれが防止され、その結果として均一な遮光膜の形成が可能となる。25℃での粘度が200mPa・sより大きいときには、感放射線性組成物の搬送(装置内での液の輸送状態)に問題が生じる場合がある。
本発明の感放射線性組成物の表面張力は、好ましくは20mN/m〜40mN/m、より好ましくは23mN/m〜35mN/mである。シリコン基板や金属配線表面に適用する場合、液だれ抑制の観点から20mN/m以上が好ましく、と基板等との密着性、親和性の観点から35mN/m以下が好ましい。
〔遮光膜の形成〕
次に、本発明における遮光膜及びその製造方法について説明する。
本発明における遮光膜は、シリコン基板などの所定の上に、本発明の感放射線性組成物を用いて形成されることを特徴とする。本発明の好適な態様である固体撮像素子用の遮光膜を形成する場合には、固体撮像素子を構成するシリコン基板上に形成される。
シリコン基板は予め一方の面に撮像素子を形成したものでも、遮光膜形成後に撮像素子を形成してもよい。
また、着色画素を備えるカラーフィルタ用途においては遮光膜形成後に着色画素を形成してもよいし、遮光膜の形成前に着色画素を形成してもよい。
遮光膜の膜厚としては特に限定はないが、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、乾燥後の膜厚で、0.2μm〜15μmの範囲が好ましく、0.5μm〜10μmの範囲がより好ましく、0.9μm〜8.0μmの範囲が更に好ましい。
パターン形成後の遮光膜のサイズ(一辺の長さ)としては、本発明による効果をより効果的に得る観点からは、0.2μm〜100000μmの範囲が好ましく、1μm〜80000μmの範囲がより好ましく、5μm〜50000μmの範囲が更に好ましい。
<遮光膜の製造方法>
本発明における遮光膜の好ましい製造方法は、本発明における感放射線性組成物をインクジェット記録装置を用いてシリコン基板などの遮光膜を形成しようとする基板上に塗布して感放射線性組成物層を形成する工程(以下、適宜「感放射線性組成物層形成工程」と略称する。)と、前記感放射線性組成物層をパターン状に露光する工程(以下、適宜「露光工程」と略称する。)と、露光後の前記感放射線性組成物層を現像してパターンを形成する工程(以下、適宜「現像工程」と略称する。)と、を有することを特徴とする。
以下、本発明における遮光膜の製造方法における各工程について説明する。
〔感放射線性組成物層形成工程〕
まず、感放射線性組成物層形成工程で用いられる基板について説明する。
本発明の感放射線性組成物を用いて遮光膜を形成する際に用いられる基板としては、例えば、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコン基板、ガラス基板、プラスチック基板等が挙げられる。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層及び/又は耐溶剤性層を有していることが好ましい。
本発明の感放射線性組成物層形成工程においては、感放射線性組成物はインクジェット記録装置を用いて基板に吐出される。
感放射線性組成物層形成工程においては、上記感放射線性組成物を40℃〜80℃に加熱して、粘度を30mPa・s以下とした後、吐出することが好ましく、この方法を用いることにより高い吐出安定性を実現することができる。
チタンブラック粒子、多官能モノマー、バインダーポリマーを含有する本発明の感放射線性組成物では、概して一般に用いられるインクジェット用インクよりも粘度が高くなる傾向にあり、このため、吐出時の温度変動による粘度変動幅が大きい。感放射線性組成物の粘度変動は、そのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に対して大きな影響を与え、これにより均一な吐出性が損なわれる可能性があるため、吐出時の感放射線性組成物の温度はできるだけ一定に保つことが必要である。温度の制御幅は設定温度±5℃とすることが好ましく、設定温度±2℃とすることがより好ましく、設定温度±1℃とすることが特に好ましい。
感放射線性組成物層形成工程において、インクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置には、インク組成物温度の安定化手段を備えることが一つの特徴であり、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル吐出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールの方法としては、特に制約はないが、例えば、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク組成物流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、あるいは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
本発明に用いられるインクジェット記録装置としては、特に制限はなく、市販のインクジェット記録装置が使用できる。即ち、本発明においては、市販のインクジェット記録装置を用いて感放射線性組成物を基板に適用することができる。また、例えば、特開2010−230698号に記載される如き、2次元的に配列された複数のノズルと、感放射線性組成物の吐出対象である基板であって、該基板と、インクジェットヘッドとを相対移動させる移動手段とを有するインクジェット記録装置を使用してもよい。
前記好ましい吐出条件によれば、本発明の感放射線性組成物は加温、降温を繰り返すことになるが、本発明の感放射線性組成物は、チタンブラック粒子の分散安定性に優れ、粒子の凝集や沈降が抑制されるために、このような温度条件下で保存された場合でも、チタンブラック竜藍の分散性の低下が抑制され、長期間にわたり均一塗布が可能となり、且つ、顔料の凝集に起因する吐出性の低下も抑制されるという利点をも有する。
基板上に感放射線性組成物による塗布膜を形成する際、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗布膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.2μm〜15μmの範囲が好ましい。
感放射線性組成物層形成工程において、通常は、塗布後にプリベーク処理を施す。必要によっては、プリベーク前に真空処理を施すこともできる。
真空乾燥の条件は、真空度が、通常、0.1torr(13.3Pa)〜1.0torr(133.3Pa)、好ましくは0.2torr(26.7Pa)〜0.5torr(66.7Pa)程度である。
また、プリベーク処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて50℃〜140℃の温度範囲で、好ましくは70℃〜110℃程度であり、10秒〜300秒の条件にて行うことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
〔露光工程〕
露光工程では、前述のようにして形成された感放射線性組成物からなる感放射線性組成物層に対し、所定のマスクパターンを介して露光を行う。露光の際に使用される放射線としては、g線、h線、i線、j線等の紫外線が好ましい。
特に、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。
〔現像工程〕
現像工程では、露光後の感放射線性組成物層の未露光部(未硬化部)を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間としては20秒〜90秒である。現像液としては、未硬化部における感放射線性組成物の塗布膜を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。具体的には、種々の有機溶媒の組合せやアルカリ性の水溶液を用いることができる。
現像に用いられる有機溶媒としては、本発明における感放射線性組成物を調製する際に使用できる既述の(C)有機溶媒が挙げられる。
また、アルカリ性の水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。
好ましくは有機アルカリ性の水溶液である。アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤等を適量添加することもできる。
現像方式は、パドル方式、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像ムラを防ぐこともできる。また、基板を傾斜させて現像することもできる。
〔後硬化工程〕
上記した現像によりパターンを形成する工程の後に、さらに、得られたパターンをより硬化させる後硬化工程を実施することが好ましい。後硬化工程は、加熱及び/又は露光(紫外線照射)によって行うが、得られたパターンをさらに硬化させ、着色画素形成のパターン形成工程でのパターンの溶解等を防止したり、パターン形成された遮光膜の画素の耐溶剤性を向上したりすることができる。後硬化工程は、紫外線照射によることが好ましい。
加熱処理(後加熱、ポストベーク)による後硬化工程は、余剰の現像液を洗浄除去するリンス処理を経て、乾燥を施した後に施される。リンス処理は、通常は純水で行うが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
リンス処理後、水切り、乾燥をした後に、通常、約200℃〜250℃の加熱処理を行う。この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行うことができる。加熱処理時間は、30秒〜30000秒が好ましく、更に好ましくは、60秒〜1000秒である。
露光(後露光)による後硬化工程(紫外線照射工程)は、g線、h線、i線、KrF、ArF、紫外光、電子線、X線等により行うことができるが、g線、h線、i線、UV光が好ましく、特に、紫外光が好ましい。現像工程後のパターンに、前露光工程における露光量の10倍以上の照射光量の紫外光を照射することが望ましい。紫外光の照射光量は、前露光工程の露光量の12倍以上200倍以下が好ましく、15倍以上100倍以下がより好ましい。光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ等を使用することができる。
後硬化工程においては、後露光と後加熱は、併用してもよく、この場合はどちらを先に行ってもよいが、後加熱に先立って、後露光を実施することが好ましい。後露光で硬化を促進させることにより、後加熱過程で見られるパターンの熱ダレやすそ引きによる形状の変形を抑止するためである。
このようにして得られた遮光膜を有するシリコン基板上に色分解用の着色画素が形成され、固体撮像素子として用いられる。着色画素は、複数の色相の画素で構成されるが、前記パターン形成工程(及び必要に応じて後硬化工程)を所望の色数に合わせて繰り返すことにより、所望数の色相に構成された色分解用のカラーフィルタを作製することができる。
<固体撮像素子>
本発明における固体撮像素子は、既述の本発明の感放射線性組成物により形成された遮光膜(ブラックマトリクス)と、必要により他の色(3色あるいは4色)の画素からなるパターン状皮膜と、を有するカラーフィルタを備えて構成される。
本発明における固体撮像素子は、周辺部における遮光能の低下が抑制され、しかも得られたパターンの残渣が低減され、しかもパターンの直線性が良好なので、ノイズを低減でき、色再現性を向上させることができる。
本発明における固体撮像素子の構成としては、前述の遮光膜(ブラックマトリクス)が備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる受光素子を有し、基板の受光素子形成面の反対側の面に本発明に係るブラックマトリックスが備えられた構成等が挙げられる。
<固体撮像素子用ウエハレベルレンズ>
本発明の黒色感放射線性組成物は、ウエハレベルレンズ用の遮光膜としても有用である。ウエハレベルレンズは、基板上に存在するレンズの周縁部に、本発明の黒色感放射線性組成物を硬化して得られた遮光膜を有する。
以下、ウエハレベルレンズについて説明する。
図1は、複数のウエハレベルレンズを有するウエハレベルレンズアレイの構成の一例を示す平面図である。図1中、10は基板であり、該基板10上にレンズ12が設けられている。複数のレンズ12は、基板10に対して1次元又は2次元に配列されている。
図2は、図1に示すA−A線断面図である。
図2に示すように、ウエハレベルレンズアレイは、基板10と、該基板10に配列された複数のレンズ12とを備えている。複数のレンズ12の間には、レンズ以外の箇所からの光透過を防止する遮光膜14が設けられている。ウエハレベルレンズは、基板10上に存在する一つのレンズ12とその周縁部に設けられた遮光膜14により構成される。本発明の感放射線性組成物は、この遮光膜14の形成に用いられる。
以下、図1のように、複数のレンズ12が、基板10に対して2次元に配列されているウエハレベルレンズアレイの構成を例に説明する。
レンズ12は、一般的には、基板10と同じ材料から構成され、該基板10上に一体的に成形されるか、或いは、別の構造体として成形され、基板上に固定化されたものである。ここでは、一例を挙げたが、ウエハレベルレンズは、この態様に限定されず、多層構造をとるもの、ダイシングによりレンズモジュールに分離されたものなど種々の態様をとり得る。
レンズ12を形成する材料の他の例としては、ガラスを挙げることができる。ガラスは種類が豊富であり、高屈折率を有するものを選択できるので、大きなパワーを持たせたいレンズの素材に好適である。また、ガラスは耐熱性に優れ、撮像ユニット等へのリフロー実装に耐えるという利点をも有する。
レンズ12を形成する他の材料としては、樹脂が挙げられる。樹脂は加工性に優れており、型等を用いてレンズ面を簡易且つ安価に形成するのに適している。
ウエハレベルレンズの形成には、エネルギー硬化性の樹脂を用いることが好ましい。該エネルギー硬化性の樹脂は、熱により硬化する樹脂、あるいは活性エネルギー線の照射(例えば、熱、紫外線、電子線照射)により硬化する樹脂のいずれであってもよい。
撮像ユニットのリフロー実装を考慮すると、軟化点が例えば200℃以上といった、軟化点の比較的高い樹脂が好ましく、軟化点が250℃以上の樹脂がより好ましい。
以下、レンズ材料として好適な樹脂について説明する。
紫外線硬化性樹脂の例としては、紫外線硬化性シリコン樹脂、紫外線硬化性エポキシ樹脂、アクリル樹脂等を例示することができる。エポキシ樹脂は、線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のエポキシ樹脂であってもよい。
熱硬化性樹脂の例としては、熱硬化性シリコン樹脂、熱硬化性エポキシ樹脂、熱硬化性フェノール樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等を例示できる。例えば、シリコン樹脂は、線膨張係数が30〜160[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.55のシリコン樹脂であってもよい。エポキシ樹脂は線膨張係数が40〜80[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のエポキシ樹脂であってもよい。
フェノール樹脂は、線膨張係数が30〜70[10−6/K]で、屈折率が1.50〜1.70のフェノール樹脂であってもよい。アクリル樹脂は、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.60、好ましくは1.50〜1.60のアクリル樹脂であってもよい。
これらの熱硬化性樹脂としては、市販品を用いることができ、具体的には、例えば、富士高分子工業株式会社製SMX−7852・SMX−7877(商品名)、株式会社東芝製IVSM−4500(商品名)、東レ・ダウコーニング社製SR−7010(商品名)、等を例示することができる。
熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等を例示することができる。ポリカーボネートは、線膨張係数が60〜70[10−6/K]で、屈折率が1.40〜1.70、好ましくは1.50〜1.65のものを用いることができる。ポリサルフォン樹脂は、線膨張係数が15〜60[10−6/K]で、屈折率が1.63のものを用いることができる。ポリエーテルサルフォン樹脂は、線膨張係数が20〜60[10−6/K]で、屈折率が1.65のものを用いることができる。
なお、一般に、光学ガラスの線膨張係数は20℃で4.9〜14.3[10−6/K]であり、屈折率は波長589.3nmで1.4〜2.1である。また、石英ガラスの線膨張係数は0.1〜0.5[10−6/K]であり、屈折率は約1.45である。
レンズの形成に適用される硬化性の樹脂組成物は、モールド形状の転写適性等、成形性の観点から、硬化前には適度な流動性を有していることが好ましい。具体的には、常温で液体であり、粘度が1000〜50000mPa・s程度の硬化性樹脂組成物が好ましい。
一方、レンズの形成に適用される硬化性の樹脂組成物は、硬化後にはリフロー工程を通しても熱変形しない程度の耐熱性を有していることが好ましい。かかる観点から、硬化物のガラス転移温度は200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。樹脂組成物にこのような高い耐熱性を付与するためには、分子レベルで運動性を束縛することが必要であり、有効な手段の例としては、(1)単位体積あたりの架橋密度を上げる手段、(2)剛直な環構造を有する樹脂を利用する手段(例えばシクロヘキサン、ノルボルナン、テトラシクロドデカン等の脂環構造、ベンゼン、ナフタレン等の芳香環構造、9,9’−ビフェニルフルオレン等のカルド構造、スピロビインダン等のスピロ構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平9−137043号公報、同10−67970号公報、特開2003−55316号公報、同2007−334018号公報、同2007−238883号公報等に記載の樹脂)、(3)無機微粒子など高Tgの物質を均一に分散させる手段(例えば特開平5−209027号公報、同10−298265号公報等に記載)等が挙げられる。これらの手段は複数併用してもよく、流動性、収縮率、屈折率特性など他の特性を損なわない範囲で耐熱性を調整することが好ましい。
形状転写精度の観点からは、硬化反応による体積収縮率が小さい樹脂組成物が好ましい。樹脂組成物の硬化収縮率としては、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが特に好ましい。
硬化収縮率の低い樹脂組成物の例としては、例えば、(1)高分子量の硬化剤(プレポリマ−など)を含む樹脂組成物(例えば特開2001−19740号公報、同2004−302293号公報、同2007−211247号公報等に記載、高分子量硬化剤の数平均分子量は200〜100,000の範囲であることが好ましく、より好ましくは500〜50,000の範囲であり、特に好ましくは1,000〜20,000の場合である。また該硬化剤の数平均分子量/硬化反応性基の数で計算される値が、50〜10,000の範囲にあることが好ましく、100〜5,000の範囲にあることがより好ましく、200〜3,000の範囲にあることが特に好ましい。)、(2)非反応性物質(有機/無機微粒子,非反応性樹脂等)を含む樹脂組成物(例えば特開平6−298883号公報、同2001−247793号公報、同2006−225434号公報等に記載)、(3)低収縮架橋反応性基を含む樹脂組成物(例えば、開環重合性基(例えばエポキシ基(例えば、特開2004−210932号公報等に記載)、オキセタニル基(例えば、特開平8−134405号公報等に記載)、エピスルフィド基(例えば、特開2002−105110号公報等に記載)、環状カーボネート基(例えば、特開平7−62065号公報等に記載)等)、エン/チオール硬化基(例えば、特開2003−20334号公報等に記載)、ヒドロシリル化硬化基(例えば、特開2005−15666号公報等に記載)等)、(4)剛直骨格樹脂(フルオレン、アダマンタン、イソホロン等)を含む樹脂組成物(例えば、特開平9−137043号公報等に記載)、(5)重合性基の異なる2種類のモノマーを含み相互貫入網目構造(いわゆるIPN構造)が形成される樹脂組成物(例えば、特開2006−131868号公報等に記載)、(6)膨張性物質を含む樹脂組成物(例えば、特開2004−2719号公報、特開2008−238417号公報等に記載)等を挙げることができ、本発明において好適に利用することができる。また上記した複数の硬化収縮低減手段を併用すること(例えば、開環重合性基を含有するプレポリマーと微粒子を含む樹脂組成物など)が物性最適化の観点からは好ましい。
ウエハレベルレンズの形成には、高−低2種類以上のアッベ数の異なる樹脂組成物の使用が望ましい。
高アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が50以上であることが好ましく、より好ましくは55以上であり特に好ましくは60以上である。屈折率(nd)は1.52以上であることが好ましく、より好ましくは1.55以上であり、特に好ましくは1.57以上である。
このような樹脂組成物に含有される樹脂としては、脂肪族の樹脂が好ましく、特に脂環構造を有する樹脂(例えば、シクロヘキサン、ノルボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の環構造を有する樹脂、具体的には例えば、特開平10−152551号公報、特開2002−212500号公報、同2003−20334号公報、同2004−210932号公報、同2006−199790号公報、同2007−2144号公報、同2007−284650号公報、同2008−105999号公報等に記載の樹脂)が好ましい。
低アッべ数側の樹脂は、アッベ数(νd)が30以下であることが好ましく、より好ましくは25以下であり特に好ましくは20以下である。屈折率(nd)は1.60以上であることが好ましく、より好ましくは1.63以上であり、特に好ましくは1.65以上である。
このような樹脂としては芳香族構造を有する樹脂が好ましく、例えば9,9’‐ジアリールフルオレン、ナフタレン、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール等の構造を含む樹脂(具体的には例えば、特開昭60−38411号公報、特開平10−67977号公報、特開2002−47335号公報、同2003−238884号公報、同2004−83855号公報、同2005−325331号公報、同2007−238883号公報、国際公開2006/095610号公報、特許第2537540号公報等に記載の樹脂等)が好ましい。
また、ウエハレベルレンズの形成に使用される樹脂として、屈折率を高める目的やアッベ数を調整する目的のために、無機微粒子をマトリックス中に分散させてなる有機無機複合材料を含有することも好ましい態様である。無機微粒子の例としては、酸化物微粒子、硫化物微粒子、セレン化物微粒子、テルル化物微粒子が挙げられる。より具体的な例としては、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
より具体的には、例えば、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、硫化亜鉛等の微粒子を挙げることができる。
特に上記のごとき高アッべ数の樹脂中には、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂中には、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。
無機微粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、複数の成分による複合物であってもよい。また、無機微粒子には光触媒活性低減、吸水率低減などの種々の目的から、異種金属をドープしたり、表面層をシリカ、アルミナ等異種金属酸化物で被覆したり、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、有機酸(カルボン酸類、スルホン酸類、リン酸類、ホスホン酸類等)または有機酸基を持つ分散剤などで無機微粒子の表面を修飾してもよい。
無機微粒子の数平均粒子サイズは、小さすぎると物質の特性が変化する場合がある。また、樹脂マトリックスと無機微粒子の屈折率差が大きい場合には、無機微粒子の数平均粒子サイズが大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となる。このため、無機微粒子の数平均粒子サイズは通常1nm〜1000nm程度とすればよいが、小さすぎると物質の特性が変化する場合があり、大きすぎるとレイリー散乱の影響が顕著となるため、1nm〜15nmが好ましく、2nm〜10nmが更に好ましく、3nm〜7nmが特に好ましい。また、無機微粒子の粒子サイズ分布は狭いほど望ましい。このような単分散粒子の定義の仕方はさまざまであるが、例えば、特開2006−160992号に記載されるような数値規定範囲が好ましい粒径分布範囲に当てはまる。
ここで、上述の数平均1次粒子サイズは、例えば、XRD(X線回折)、X線小角散乱 Small angle X-ray scattering (SAXS)、X線散漫散乱 X-ray diffuse scattering (XDS)、斜入射X線散乱 Grazing incidence small angle X-ray scattering (GI-SAXS)、走査型電子顕微鏡(SEM)、或いは、透過型電子顕微鏡(TEM)などで測定することができる。
無機微粒子の屈折率としては、22℃、589.3nmの波長において、1.90〜3.00であることが好ましく、1.90〜2.70であることが更に好ましく、2.00〜2.70であることが特に好ましい。
無機微粒子の樹脂に対する含有量は、透明性と高屈折率化の観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%〜70質量%が更に好ましく、30質量%〜60質量%が特に好ましい。
有機無機複合材料に用いられる、マトリックスとなる樹脂としては、ウエハレベルレンズの材料として前記した紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂がいずれも使用できる。また、特開2007−93893号に記載された屈折率1.60より大きい樹脂、特開2007−211164号に記載された疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体、特開2007−238929号、特願2008−12645号、同2008−208427号、同2008−229629号、同2008−219952号に記載された高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂、特願2008−197054号、同2008−198878号に記載された熱可塑性樹脂等を挙げることができる。
有機無機複合材料には、必要に応じて、可塑剤、分散剤等の添加剤を加えることができる。
ここで、マトリックスである樹脂と無機微粒子との好ましい組み合わせとしては以下のようなものがある。
即ち、上記のごとき高アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化ランタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましく、低アッベ数の樹脂をマトリックスとした場合には、無機微粒子として、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の微粒子を分散させることが好ましい。
樹脂組成物に微粒子を均一に分散させるためには、例えばマトリックスを形成する樹脂モノマーとの反応性を有する官能基を含む分散剤(例えば特開2007−238884号公報実施例等に記載)、疎水性セグメント及び親水性セグメントで構成されるブロック共重合体(例えば特開2007−211164号公報に記載)、あるいは高分子末端または側鎖に無機微粒子と任意の化学結合を形成しうる官能基を有する樹脂(例えば特開2007−238929号公報、特開2007−238930号公報等に記載)等を適宜用いて微粒子を分散させることが望ましい。
また、ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物には、シリコン系、フッ素系、長鎖アルキル基含有化合物等の公知の離型剤やヒンダードフェノール等の酸化防止剤等の添加剤を適宜含有してもよい。
ウエハレベルレンズの形成に用いられる樹脂組成物は、必要に応じて硬化触媒又は開始剤を含有することができる。その具体例としては、特開2005−92099号公報段落番号〔0065〕〜〔0066〕等に記載の熱又は活性エネルギー線の作用により硬化反応(ラジカル重合或いはイオン重合)を促進する化合物を挙げることができる。これらの硬化反応促進剤の添加量は、触媒や開始剤の種類、或いは硬化反応性部位の違いなどによって異なり一概に規定することはできないが、一般的には樹脂組成物の全固形分に対して0.1〜15質量%程度であることが好ましく、0.5〜5質量%程度であることがより好ましい。
ウエハレベルレンズの作製に用いる樹脂組成物は、上記成分を適宜配合して製造することができる。この際、液状の低分子モノマー(反応性希釈剤)等に他の成分を溶解することができる場合には別途溶剤を添加する必要はないが、このケースに当てはまらない場合には溶剤を用いて各構成成分を溶解することにより樹脂組成物を製造することができる。該樹脂組成物に使用できる溶剤としては、組成物が沈殿することなく、均一に溶解または分散されるものであれば特に制限はなく適宜選択することができ、その具体例としては、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール等)、芳香族炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、水等を挙げることができる。樹脂組成物が溶剤を含む場合には該組成物を基板及び/又は型の上にキャストし溶剤を乾燥させた後にモールド形状転写操作を行うことが好ましい。
基板10は、レンズ12の成形材料と同じものを用いることができる。また、基板10が可視光に対して透明なガラスなどの材料からなるものであれば、レンズ12の成形材料とは異なる材料により形成されていてもよい。この場合には、基板10を形成する材料としては、レンズ12を形成する材料と線膨張係数が同じか又は極めて近い材料であることが好ましい。レンズ12を形成する材料と基板10を形成する材料との線膨張係数が互いに同じか近似する場合には、撮像ユニットへのウエハレベルレンズのリフロー実装において、線膨張率が異なることで生じる加熱時のレンズ12の歪みや割れを抑制しうる。
なお、図1及び2中に図示してはいないが、基板10の光入射側の面には、赤外線フィルタ(IRフィルタ)が形成されていてよい。
〔ウエハレベルレンズの形成〕
以下、ウエハレベルレンズの形成について、ウエハレベルレンズアレイの形成例により具体的に説明する。
−レンズの形成−
図3は、基板10に成形材料である樹脂(図3中にMと記載)を供給している状態を示す図である。図3に示すように、基板10のレンズを成形する部位にディスペンサ50を用いて成形材料Mを滴下する。ここでは、供給する1つの部位には、1つのレンズ12に相当する量の成形材料Mが供給される。
基板10に成形材料Mを供給した後、図4Aに示すように、レンズを成形するための型60を配置する。型60には、レンズ12の形状を転写するための凹部62が、所望のレンズ12の数に応じて設けられている。
図4Bに示すように、型60を基板1上の成形材料Mに押し付け、成形材料Mを凹部の形状に倣って変形させる。そして、型60を成形材料Mに押し付けた状態で、成形材料Mが熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂の場合には型の外側から熱又は紫外線を照射することで、成形材料Mを硬化させる。
成形材料Mを硬化させた後、図4Cに示すように、型60から基板1及びレンズ12を離型する。
図5Aから図5Cは、レンズが成形された基板に遮光膜を設ける工程を示す概略断面図である。
−遮光膜の形成方法−
次に、レンズ12の周縁部に遮光膜14を形成する方法について説明する。
遮光膜14の形成方法は、基板10上に、本発明の感放射線性組成物を塗布して遮光性塗布層14Aを形成する遮光性塗布層形成工程と、該遮光性塗布層14Aを、マスク16を介してパターン露光する露光工程と、露光後の遮光性塗布層14Aを現像して未硬化部を除去し、パターン状の遮光膜14を形成する現像工程とを含む。
遮光膜の形成は、レンズ12を作製する前でも、レンズ12を作製した後でも任意に行うことができる。
<固体撮像素子用裏面遮光膜>
本発明の黒色感放射線性組成物は、表面(オモテ面)に撮像素子部を有するシリコン基板の裏面(撮像素子部を有しない側)に設けられた遮光膜であって、赤外光を遮光する遮光膜を形成する用途(即ち、固体撮像素子の基体であるシリコン基板の裏面側から入射される赤外光を遮光するための遮光膜を形成する用途)の形成にも有用である。
固体撮像素子の中でも、後述する一実施形態に係る固体撮像素子の構造は、前記裏面側から入射される赤外光を遮光する必要性、及び、金属電極上の現像残渣を低減する必要性が強い構造である。
このため、赤外遮光能が良好でインクジェット塗布性に優れる本発明の感放射線性組成物は、後述する一実施形態に係る固体撮像素子の遮光膜の形成に特に好適である。
上記裏面遮光膜の膜厚としては、特に限定はなく、本発明による効果をより効果的に得る観点から、0.1μm〜10μmが好ましく、0.3μm〜5.0μmがより好ましく、0.5μm〜3.0μmが特に好ましい。また、遮光膜のパターンサイズとしては、特に限定はなく、本発明による効果をより効果的に得る観点から、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、300μm以下が特に好ましい。下限については、1μmが望ましい。
また、本発明に係る裏面遮光膜の分光特性としては特に限定はないが、赤外遮光能をより向上させる観点、可視域と赤外域との遮光能のバランスの観点等から、波長1200nmにおける光学濃度(OD1200)と波長365nmにおける光学濃度(OD365)との比〔OD1200/OD365〕が、0.5以上3以下であることが好ましい。
光学濃度(OD)は、(株)島津製作所製UV-3600を用い、得られた膜の透過率測定を行ない、得られた透過率(%T)を下記式Bにより変換しOD値とする。
OD値=−Log(%T/100) … 式B
(遮光膜の製造方法)
固体撮像素子用裏面遮光膜の製造方法は、一方の面に撮像素子部を有するシリコン基板の他方の面に既述の本発明の感放射線性組成物をインクジェット法により付与して感放射線性組成物層を形成する工程と、前記感放射線性組成物層をパターン状に露光する工程と、露光後の前記感放射線性組成物層を現像してパターンを形成する工程と、有するもので、塗布対象が変わる他は、前記黒色感放射線性組成物からなる尾パターン形成と同様にして形成される。
次に、固体撮像素子の一方の面に撮像素子部を有するシリコン基板の他方の面に、前記本発明の黒色感放射線性組成物からなる遮光膜を有する態様について説明する。
当該固体撮像素子は、本発明の感放射線性組成物を用いて形成された遮光膜を備えるため、撮像素子部が設けられた面の反対側の面からシリコン基板(固体撮像素子の基体)に入射される赤外光によるノイズや、残渣物によるノイズが低減される。
この裏面遮光膜が導入される固体撮像素子の構造は、シリコン基板の一方の面に撮像素子部(詳しくは、複数の撮像素子が例えばマトリクス状に配列されて構成された撮像素子部)が設けられ、該シリコン基板の他方の面に前記本発明の遮光膜が設けられた構造であれば特に限定はない。
また、前記オモテ面に設けられる撮像素子は、CCDであってもCMOSであってもよい。
なかでも、特開2009−99591号公報や特開2009−158863号公報に記載されているような、撮像素子部が形成された面の反対側の面に、実装基板(以下、「回路基板」ともいう)との接続用の金属電極を有する固体撮像素子の構造が好適である。
即ち、このような固体撮像素子の好適な一実施形態は、一方の面(以下、「第1の主面」ともいう)に撮像素子部を有するシリコン基板と、前記シリコン基板の他方の面(以下、「第2の主面」ともいう)に設けられ、前記撮像素子部と電気的に接続された金属電極と、前記シリコン基板の前記金属電極が設けられた面に設けられ、前記金属電極の少なくとも1部が露出するようにパターニングされた前記本発明の黒色感放射線性組成物から形成された遮光膜と、を有する固体撮像素子である。
下記固体撮像素子の一実施形態では、ハンダボール等の接続材料を介して実装基板(以下、回路基板ともいう)に接続されるものである。
上記一実施形態の固体撮像素子と前記回路基板との接続は、前記固体撮像素子と前記回路基板とを、前記金属電極と回路基板上の接続用電極とが対向する向きに配置し、接続材料により前記金属電極と前記接続用電極とを接続することにより行われる(例えば、後述する図1及び図2参照)。
このような裏面側の金属電極により回路基板と接続される固体撮像素子を用いた場合、金属電極の厚みや接続材料(例えば、ハンダボール60)の大きさに起因して、固体撮像素子と回路基板との間に隙間(例えば、図1中の隙間S)が生じやすく、この隙間からシリコン基板に対し赤外光が入射されやすい。
また、例えば後述するカメラモジュール200の場合、遮光兼電磁シールド44が設けられているものの、ハンダボール60の体積バラツキ等の影響で、加工精度上、遮光兼電磁シールド44と回路基板70との間の隙間Sを完全に無くすことは極めて困難である。
更に、裏面に金属電極を有する固体撮像素子は、該金属電極と、回路基板との接続ための接続材料と、の接続性が要求される構造である。
従って、このような構造においては、本発明の効果(残渣物低減の効果及び残渣物によるノイズ低減の効果)がより効果的に奏される。
前記一実施形態では、更に、前記遮光膜の下層側(シリコン基板に近い側)であって前記金属電極の上層側(シリコン基板から離れた側)に、ソルダーレジスト層等の保護絶縁層を有していてもよい。
即ち、前記一実施形態は、前記金属電極が形成された第2の主面上に設けられ、前記金属電極の少なくとも1部を露出するようにパターニングされた保護絶縁層を有し、前記遮光膜が、前記保護絶縁層を覆うようにして設けられ、かつ、前記金属電極の少なくとも1部を露出するようにパターニングされた形態であってもよい。
なお、前記一実施形態において「電気的に接続された」とは、直接的に接続されている形態に限られず、周辺回路等を介して間接的に接続されている状態も含む。
以下、前記一実施形態の具体例について、図6及び図7を参照しながら説明するが本発明は以下の具体例によって限定されることはない。
なお、図6及び図7にわたり、共通する部分には共通する符号を付す。
また、説明に際し、「上」、「上方」及び「上側」は、シリコン基板10からみて遠い側を指し、「下」、「下方」及び「下側」は、はシリコン基板10に近い側を指す。
図6は、前記一実施形態の具体例に係る固体撮像素子を備えたカメラモジュールの構成を示す概略断面図である。
図6に示すカメラモジュール200は、実装基板である回路基板70に接続部材であるハンダボール60を介して接続されている。
詳細には、カメラモジュール200は、シリコン基板の第1の主面に撮像素子部を備えた固体撮像素子基板100と、固体撮像素子基板100の第1の主面側上方に配置されるガラス基板30(光透過性基板)と、ガラス基板30の上方に配置される赤外線カットフィルタ42と、ガラス基板30及び赤外線カットフィルタ42の上方に配置され内部空間に撮像レンズ40を有するレンズホルダー50と、固体撮像素子基板100及びガラス基板30の周囲を囲うように配置された遮光兼電磁シールド44と、を備えて構成されている。各部材は、接着剤20、41、43、45により接着されている。
カメラモジュール200では、外部からの入射光hνが、撮像レンズ40、赤外線カットフィルタ42、ガラス基板30を順次透過した後、固体撮像素子基板100の撮像素子部に到達するようになっている。
また、カメラモジュール200は、固体撮像素子基板100の第2の主面側で、ハンダボール60(接続材料)を介して回路基板70に接続されている。
図7は、図6中の固体撮像素子基板100を拡大した断面図である。
固体撮像素子基板100は、基体であるシリコン基板10、撮像素子12、層間絶縁膜13、ベース層14、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B、オーバーコート16、マイクロレンズ17、遮光膜18、絶縁膜22、金属電極23、ソルダーレジスト層24、内部電極26、及び素子面電極27を備えて構成されている。ここで遮光膜18が前記本発明の感放射線性組成物により形成された遮光膜である。
但し、ソルダーレジスト層24は省略されていてもよい。
まず、固体撮像素子基板100の第1の主面側の構成を中心に説明する。
図7に示すように、固体撮像素子基板100の基体であるシリコン基板10の第1の主面側に、CCDやCMOS等の撮像素子12が2次元に複数配列された撮像素子部が設けられている。
撮像素子部における撮像素子12上には層間絶縁膜13が形成されており、層間絶縁膜13上にはベース層14が形成されている。更にベース層14上には、撮像素子12に対応するように、赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15B(以下、これらをまとめて「カラーフィルタ15」ということがある)がそれぞれ配置されている。
赤色のカラーフィルタ15R、緑色のカラーフィルタ15G、青色のカラーフィルタ15Bの境界部、及び撮像素子部の周辺には、図示しない遮光膜が設けられていてもよい。この遮光膜は、例えば、公知のブラックのカラーレジストを用いて作製できる。
カラーフィルタ15上にはオーバーコート16が形成され、オーバーコート16上には撮像素子12(カラーフィルタ15)に対応するようにマイクロレンズ17が形成されている。
また、第1の主面側の撮像素子部の周辺は、周辺回路(不図示)及び内部電極26が設けられており、内部電極26は、周辺回路を介して撮像素子12と電気的に接続されている。
さらに、内部電極26上には、層間絶縁膜13を介して素子面電極27が形成されている。内部電極26と素子面電極27間の層間絶縁膜13内には、これら電極間を電気的に接続するコンタクトプラグ(不図示)が形成されている。素子面電極27は、コンタクトプラグ、内部電極26を介して電圧の印加及び信号の読み出しなどに使用される。
素子面電極27上には、ベース層14が形成されている。ベース層14上にはオーバーコート16が形成されている。素子面電極27上に形成されたベース層14及びオーバーコート16が開口されて、パッド開口部が形成され、素子面電極27の一部が露出している。
以上が固体撮像素子基板100の第1の主面側の構成である。
固体撮像素子基板100の第1の主面側において、撮像素子部の周辺には接着剤20が設けられ、この接着剤20を介し、固体撮像素子基板100とガラス基板30とが接着される。
また、シリコン基板10は、該シリコン基板10を貫通する貫通孔を有しており、貫通孔内には、金属電極23の一部である貫通電極が備えられている。この貫通電極により、撮像素子部と回路基板70とが電気的に接続されている。
次に、固体撮像素子基板100の第2の主面側の構成を中心に説明する。
該第2の主面側には、第2の主面上から貫通孔の内壁にわたり絶縁膜22が形成されている。
絶縁膜22上には、シリコン基板10の第2の主面上の領域から貫通孔の内部に至るようにパターニングされた金属電極23が設けられている。金属電極23は、固体撮像素子基板100中の撮像素子部と回路基板70との接続用の電極である。
前記貫通電極は、この金属電極23のうち、貫通孔の内部に形成された部分である。貫通電極は、シリコン基板10及び層間絶縁膜の一部を貫通して内部電極26の下側に至り、該内部電極26に電気的に接続されている。
更に、第2の主面側には、金属電極23が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部を露出する開口部を有するソルダーレジスト層24(保護絶縁膜)が設けられている。
更に、第2の主面側には、ソルダーレジスト層24が形成された第2の主面上を覆い、かつ、該金属電極23上の1部が露出する開口部を有する遮光膜18が設けられている。
この遮光膜18として、前述の本発明の遮光膜を用いる。
これにより、第2の主面側(裏面側)からシリコン基板10に入射する赤外光を遮光できる。更に、遮光膜18の開口部(金属電極23が露出されている部分)では、現像残渣が抑制される。このため、金属電極23とハンダボール60との接続性、ひいては撮像素子12から構成される撮像素子部と回路基板70との接続性も良好に維持される。
なお、図7では、遮光膜18は、金属電極23の1部を覆い、残りの部分を露出させるようにパターニングされているが、金属電極23の全部を露出させるようにパターニングされていてもよい(ソルダーレジスト層24のパターニングについても同様である)。
また、ソルダーレジスト層24は省略されていてもよく、金属電極23が形成された第2の主面上に、遮光膜18が直接形成されていてもよい。
露出された金属電極23上には、接続部材としてのハンダボール60が設けられ、このハンダボール60を介し、固体撮像素子基板100の金属電極23と、回路基板70の不図示の接続用電極と、が電気的に接続される。
以上、固体撮像素子基板100の構成について説明したが、固体撮像素子基板100のうち遮光膜18以外の各部は、特開2009−158863号公報中段落0033〜0068に記載の方法や、特開2009−99591号公報中段落0036〜0065に記載の方法など、公知の方法により形成できる。
遮光膜18の形成は、既述の本発明の遮光膜の製造方法によって形成できる。
層間絶縁膜13、カラーフィルタ15、オーバーコート16及びベース層14、マイクロレンズ17、ソルダーレジスト層24、ハンダボール60及び金属電極23などは、公知の方法により形成され、また、シリコン基板10としては特に限定されないが、基板裏面を削ることによって薄くしたシリコン基板を用いることができる。基板の厚さは限定されないが、例えば、厚み20μm〜200μm(好ましくは30μm〜150μm)のシリコンウエハを用いる。
シリコン基板10の貫通孔は、例えば、フォトリソグラフィー及びRIE(Reactive Ion Etching)により形成すればよい。
以上、前記一実施形態の具体例である固体撮像素子基板100について図6及び図7を参照して説明したが、前記一実施形態は図1及び図2の形態に限られず、裏面側に金属電極及び遮光膜を有する構成であれば、その構成に特に限定はない。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。また、室温は25℃を指す。
−チタンブラックの作製−
粒径10nmの酸化チタンMT−10EX(商品名:テイカ製)を100g、BET比表面積300m/gのシリカ粒子AEROSIL(登録商標)300 SP(エボニック製)を15g、及びDisperbyk190(商品名:ビックケミー社製)を100g秤量し、イオン電気交換水71gを加えてKURABO製MAZERSTAR KK−400Wを使用して、公転回転数1360rpm、自転回転数1047rpmにて60分間処理することにより均一な混合物水溶液を得た。この水溶液を石英容器に充填し、小型ロータリーキルン(株式会社モトヤマ製)を用いて酸素雰囲気中で910℃に加熱した後、窒素で雰囲気を置換し、同温度でアンモニアガスを100mL/minで5時間流し、得られた粉体を乳鉢で粉砕し、粉末状の比表面積74m/gのチタンブラックAを得た。
また,同様にしてシリカ粒子の添加量を12.5g、10g、30g、および25gとすることにより、それぞれチタンブラックB、チタンブラックC、チタンブラックD、及びチタンブラックFを得た。
<分散剤の合成>
500mL三口フラスコに、ε−カプロラクトン600.0g、2−エチル−1−ヘキサノール22.8gを導入し、窒素を吹き込みながら、攪拌溶解した。モノブチル錫オキシド0.1gを加え、100℃に加熱した。8時間後、ガスクロマトグラフィーにて原料が消失したのを確認後、80℃まで冷却した。2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを添加した後、2−メタクリロイロキシエチルイソシアネート27.2gを添加した。5時間後、H−NMRにて原料が消失したのを確認後、室温まで冷却し、固体状の前駆体M1〔下記構造〕を200g得た。M1であることは、H−NMR、IR、質量分析により確認した。

前記前駆体M1を30.0gと、NKエステル CB−1(β−Methacryloyl Oxyethyl Hydrogen Phthalate)を70.0gと、ドデシルメルカプタン2.3gと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート233.3gとを、窒素置換した三口フラスコに導入し、攪拌機(新東科学(株):スリーワンモータ)にて攪拌し、窒素をフラスコ内に流しながら加熱して75℃まで昇温した。これに、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル(和光純薬(株)製の「V−601」)0.2gを加え、75℃にて2時間加熱攪拌を行なった。2時間後、さらにV−601を0.2g加えて3時間、加熱攪拌の後、下記構造の分散剤1の30%溶液を得た。
分散剤1は例示化合物12の組成比を変更したものである。
分散剤1の組成比、酸価、及び重量平均分子量(Mw)は、以下の通りである。
なお、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で算出した値である。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムをTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)として測定した。
・組成比: x=33(質量%)、y=67(質量%)
・酸価 : 85mgKOH/g
・Mw : 35,000
[実施例1]
<チタンブラック分散組成物の調製>
下記組成1に示す成分を、攪拌機(IKA社製EUROSTAR)を使用して、15分間混合し、分散混合物を得た。
(組成1)
・(A)チタンブラックA(粉体) ・・・25部
・(B)分散剤1の30質量%PGMEA溶液 ・・・49.9部
・(C)有機溶媒:PGMEA ・・・15部
・(C)有機溶媒:酢酸ブチル ・・・10部
・(F−4)重合禁止剤:p−メトキシフェノール ・・・0.1部
得られた分散混合物に対し、シンマルエンタープライゼス社製ビーズミルNPMならびに循環式の配管および投入タンクを使用し,下記条件にて分散処理を行って、チタンブラック分散組成物Aを2000g得た。
<分散条件>
・ビーズ径:φ0.05mm
・ビーズ充填率:60体積%
・ミル周速:10m/sec
・分散処理する混合液量:5000g
・循環流量(ポンプ供給量):30kg/hour
・処理液温度:25℃〜30℃
・冷却水:水道水
・処理時間 30パス
さらに、組成1において使用したチタンブラックAを、先に作製したチタンブラックB、チタンブラックC、チタンブラックD、市販品である三菱マテリアル製13M−T、及びチタンブラックFに換えたほかは前記チタンブラック分散液Aの調製と同様にして、それぞれチタンブラック分散液B、チタンブラック分散液C、チタンブラック分散液D、チタンブラック分散液E及びチタンブラック分散液Fを得た。
<チタンブラック分散組成物の評価>
得られたチタンブラック分散組成物の各々を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて500倍希釈し、カーボン薄膜上に滴下、乾燥させて、TEM(株)日立ハイテクノロジーズ製)により、各分散物中に含まれる粒子(被分散体)の形態観察写真を撮影した。得られた写真から、粒子400個について外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、度数分布を評価した。
また、各分散液に含有されるチタンブラック粒子(被分散体)の15nm〜30nmの粒子の割合については、TEM写真より粒子像を400個サンプリングして、外表面の投影面積を求め、この面積に相当する円の直径を算出し、400個中の各粒径のうち、15nm〜30nmの粒子数をカウントし、その割合を求めた。結果を表1に示す。
<黒色感放射線性組成物の調製>
下記組成2の成分を攪拌機で混合して、黒色感放射線性組成物Aを調製した。
(組成2)
・チタンブラック分散組成物A ・・・49.9部
・(F−1)バインダーポリマー:ベンジルメタアクリレート(BzMA)/メタアクリル酸(MAA)共重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液
(BzMA/MAA=60/40〔モル比〕、Mw:30,000、固形分40質量%) ・・15.0部
・(D)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA、日本化薬株式会社製) ・・・3.0部
・(E)光重合開始剤:下記構造の化合物 ・・・3.0部
・(C)有機溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・10部
・(C)有機溶媒:エチル−3−エトキシプロピオネート ・・10部
・(F−4)重合禁止剤:p−メトキシフェノール ・・・0.1部
[実施例2〜3、比較例1〜3]
<黒色感放射線性組成物の調製>
実施例1のチタンブラック分散組成物の調製におけるチタンブラック分散物Aを、チタンブラック分散物B、チタンブラック分散物C、チタンブラック分散物D、チタンブラック分散物E(三菱マテリアル製13M−Tを含有)、及び、チタンブラックFにそれぞれ変更した以外は実施例1の黒色感放射線性組成物の調製と同様にして、黒色感放射線性組成物B(実施例2)、黒色感放射線性組成物C(実施例3)、黒色感放射線性組成物D(比較例1)、黒色感放射線性組成物E(比較例2)、および黒色感放射線性組成物F(比較例3)を得た。
各実施例、および比較例に用いた黒色感放射線性組成物の種類を表1に示す。
〔遮光能、粘度、表面張力、および分散安定性の評価〕
実施例1、2、3及び比較例1、2、3にて得られた感放射線性組成物を2Lのプラスティックス容器中に室温にて6ヶ月静置保管し、静置保管前後の分散組成物をガラス基板上にスピンコーターにて乾燥後の厚さが3.0μmとなるように塗布し遮光膜を作製した。得られた遮光膜の吸光度を島津製作所製分光器UV3600により550nmの波長における吸光度をそれぞれ測定した。静置保管前後の吸光度の比から下記式により求めた100分率によって、分散安定性(下記表1に「経時安定性」と記載)を評価した。また、波長550nmにおける吸光度によって遮光能を評価した。東機産業製E型粘度計でTVE35L形粘度計により粘度を測定した。全ての組成物は粘度10mPa〜50mPsであり、インクジェット塗布適性を有することを確認した。表面張力は、協和界面化学DY−700を使用して測定した。結果を表1に示す。
分散安定性(経時安定性)(%)=
〔1−(静置後の550nmにおける吸光度/静置前の550nmにおける吸光度)〕×100
基板としてガラス基板の代わりにシリコン基板を用い、塗布液として各黒色感放射線性組成物を用いる以外は、分散安定性の評価と同様にして遮光膜を形成して、得られた感放射線性組成物層を、i線ステッパーを用い、100mJ/cm、200mJ/cm、300mJ/cm、400mJ/cm、および500mJ/cmの各露光量にてラインアンドスペースが10μm/10μmとなるマスクを使用してパターン露光した。
次に、露光後の感放射線性組成物層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.3%水溶液を用い、室温にて60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、さらに純水にて水洗した後にホットプレート上にて200℃で5分間硬化処理を行い、パターン成形した遮光膜を得た。
〔BET比表面積の測定〕
前記分散安定性の評価に用いた静置保管前の実施例1〜3、及び比較例1〜3の各黒色感放射線性組成物によって得られた遮光膜中における被分散体の比表面積(m/g)を、以下のようにして測定した。
遮光膜を、スパチュラを用いて基板から削り取り、得られた粉体を電気炉にてO雰囲気中で600℃にて3時間処理することにより分散剤等の有機成分を熱分解除去した。カンタクローム社製Autosurb1MPを使用し、得られた粉体1gをマントルヒーターにて200℃で12時間予備乾燥し、雰囲気ガスとしてNを使用し、BET3点法により比表面積を測定した。結果を表1に示す。
〔Si/Ti比〕
また、前記分散安定性の評価に用いた静置保管前の実施例1〜3、及び比較例1〜3の各黒色感放射線性組成物によって得られた遮光膜中におけるSi/Tiを、以下のように測定した。
遮光膜を、スパチュラを用いて基板から削り取り、得られた黒色粉体を電気炉にてO雰囲気中で600℃にて3時間処理することにより分散剤等の有機成分を熱分解除去した。得られた粉体をパーキンエルマー社製X線光電子分析装置PHI 5400MCによりSi原子の2p結合、およびTi原子の2p結合起因のピークよりそれぞれSi原子およびTi原子のatm%を測定、これにより、Si/Ti(=Si原子atm%/Ti原子atm%)を得た。結果を表1に示す。
表1から、実施例1〜3の分散組成物を使用して作成した遮光膜は、比較例の分散組成物から得られた遮光膜に比べて、遮光能が優れるものであり、また分散組成物の経時安定性が良好であることがわかる。
〔インクジェットプリンター適性評価〕
表1に示すインクジェット用感放射線性組成物を用いて、インクジェットプリンタPM900C(セイコーエプソン社製)により、記録媒体(ガラス基板)に対して、Duty10〜100%で印字した。吐出性を目視で判断したところ、いずれも問題はなかった。
(インクジェットプリンターによる吐出性の評価)
実施例1〜3比較例1〜3の黒色感放射線性組成物を用いて、また、上記と同様の方法により、24時間後、48時間後、及び72時間後に10cm×10cmのガラス基板全面に塗布した。図8に示す破線で囲んだ領域、即ち、遮光膜を形成した基板の9カ所において、島津製作所製分光器UV3600により吸光度を測定し、領域内での濃度のムラを算出した。濃度のムラが小さいものを、吐出安定性良好であり目詰まりなしと判断し、濃度のムラが大きいものを、吐出安定性不良であり、目詰まりがあるものと判断した。濃度のムラは10%以下で実用上問題のないレベルであると判断する。
結果を下記表2に示す。
上記実施例1、2、及び3、比較例1、2及び3の評価結果から、チタンブラック粒子からなる被分散体のBET比表面積が20〜120m/g、Si/Ti比が0.01〜0.45であることで、インクジェット吐出時の目詰まりが抑制されることがわかった。
〔ウエハレベルレンズ用遮光膜の評価〕
上記で得られた実施例1〜3、比較例1〜3の黒色感放射線性組成物を、基板であるガラスウエハ(Corning 1737、Corning社製)にスピンコート法で塗布し、その後ホットプレート上で、120℃で2分加熱して黒色感放射線性組成物塗布層を得た。
また、基板の上に、下記組成3の硬化性樹脂組成物を用いて硬化性樹脂層を形成し、レンズ形状を持つ石英モールドで形状を該硬化性樹脂層に転写して、高圧水銀ランプにより400mJ/cmの露光量で該硬化性樹脂層を硬化させることにより、ウエハレベルレンズを複数有するウエハレベルレンズアレイを作製した。
(組成3)
・N−ビニルピロリドン ・・・35部
・エポキシアクリレート
(エポキシエステル80MF、共栄社化学(株)製) ・・・40部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート ・・・20部
・イルガキュア907(BASFジャパン製) ・・・5部
(塗布均一性の評価)
ガラス基板及び上記の組成3を用いて作製したウエハレベルレンズアレイにおけるウエハレベルレンズ基板上に、インクジェットプリンタPM900C(セイコーエプソン社製)によりDuty100%にて、実施例1、実施例2及び比較例3で得た黒色感放射線性組成物を膜厚が3.0umとなるように塗布した。
塗布後に膜厚を実測し、平滑なガラス基板上の膜厚とウエハレベルレンズによる段差上の膜厚の差異を計測し、平滑なガラス基板上の膜厚に対するウエハレベルレンズによる段差上の膜厚が90%を超えるものを塗布性良好とし、85%以上90%以下を塗布可能なレベル、85%未満を塗布性不良とした。結果を表3に示す。なお、表3には「塗布性」と記載する。
〔比較例4〕
実施例1におけるチタンブラック分散物Aを、下記カーボンブラック分散物(表3中には、CBと記載)に代えた以外は同様にして黒色感放射線性組成物CBを調し、同様にして塗布性を評価した。
<カーボンブラック分散物(CB)の調
前記チタンブラック分散物Aの調製に用いたチタンブラックAに代えて、カーボンブラック(カーボンブラックMA−100R(三菱化成工業(株)製))を等量用いた他は、チタンブラック分散物AIと同様にしてカーボンブラック分散物CBを得た。
〔参考例1、比較例5〕
実施例1の黒色感放射線性組成物A、及び、比較例4で用いた黒色感放射線性組成物CBを、それぞれスピンコートにより膜厚が3.0μmとなるように塗布し、実施例1と同様にして塗布性を評価した。結果を表3に示す。
表3に記載のように、本発明の黒色感放射線性組成物によれば、インクジェットによる塗布法により、平滑な基板においても局面のような凹凸を有する面においても、均一な遮光膜の形成が可能であることが分かる。
なお、本発明の黒色感放射線性組成物を用いることにより、固体撮像素子の裏面遮光膜を形成する場合においても同様の効果が得られる。
また、本発明の黒色の感放射線性組成物A、B、C、および実施例1〜3の感放射線性組成物を、MEMSにおける遮光用途に用いたところ、良好なデバイスが得られた。

Claims (11)

  1. (A)チタンブラック粒子、(B)分散剤、及び(C)有機溶媒を含有し、前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積が55m /g〜120m/gの範囲であり、前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体がSi原子を含み、該被分散体中のSi原子とTi原子との含有比が0.20〜0.45の範囲であり、且つ、前記(B)分散剤が、水素原子を除いた原子数が40〜10000の範囲であるグラフト鎖を有するグラフト共重合体である、インクジェット法による塗布に用いられる、固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。
  2. 前記グラフト共重合体が、下記一般式(1)〜一般式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を含む請求項に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。


    〔一般式(1)〜一般式(4)中、X、X、X、X、及びXは、それぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を表し、Y、Y、Y、及びYは、それぞれ独立に2価の連結基を表し、Z、Z、Z、及びZ、は、それぞれ独立に1価の有機基を表す。Rは、直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキレン基を表し、Rは水素原子又は1価の有機基を表す。n、m、p、及びqはそれぞれ1〜500の整数を表す。一般式(1)及び一般式(2)において、j及びkは、それぞれ独立に、2〜8の整数を表す。一般式(3)において、pが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するRは互いに同じであっても異なっていてもよい。一般式(4)において、qが2〜500のとき、グラフト共重合体中に複数存在するX及びRは互いに同じであっても異なっていてもよい。〕
  3. 前記グラフト共重合体が、前記一般式(1)〜一般式(4)で表される構造単位から選択された1種以上の構造単位を、該グラフト共重合体の総質量に対し、10質量%〜90質量%の範囲で含む請求項に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。
  4. 前記(A)チタンブラック粒子を含む被分散体のBET比表面積が55m /g〜84m /gの範囲である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。
  5. 前記(A)チタンブラック粒子の90%以上が、粒径が15nm〜30nmの範囲にある粒子である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用チタンブラック分散組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のチタンブラック分散組成物、(D)重合性化合物、及び(E)光重合開始剤を含有し、インクジェットで塗布される固体撮像素子の遮光膜形成用感放射線性組成物。
  7. 25℃における粘度が2mPa・s〜50mPa・sの範囲にある請求項6に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用感放射線性組成物。
  8. 25℃における粘度が21mPa・s〜25mPa・sの範囲にある請求項6又は請求項7に記載の固体撮像素子の遮光膜形成用感放射線性組成物。
  9. 請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を硬化して得られた固体撮像素子用遮光膜。
  10. 請求項に記載の固体撮像素子用遮光膜を備えた固体撮像素子。
  11. 請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の感放射線性組成物を、インクジェット記録装置を用いてシリコン基板上に塗布して感放射線性組成物層を形成する工程と、前記感放射線性組成物層をパターン状に露光する工程と、露光後の前記感放射線性組成物層を現像してパターンを形成する工程と、を有する遮光膜の製造方法。
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