JP5786608B2 - 積層フィルム - Google Patents
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Description
近年、食品包装用分野で用いられているフィルムには、例えば、レトルト食品包装体に用いられるフィルムには、耐熱性、剛性、耐ブロッキング性、ヒートシール強度を兼ね備え、熱処理後の外観の良好なフィルムが求められている。
すなわち、本発明は、少なくとも基材層とシール層とで構成され、
前記基材層は、プロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))50〜84重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜60重量%であるエチレン−プロピレン共重合体成分(成分(B))50〜16重量%とからなるプロピレン系共重合体(重合体(I))(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)60〜85重量%、
およびエチレンに由来する構造単位と、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、密度が910〜950kg/m3であるエチレン−α−オレフィン系共重合体(重合体(II))40〜15重量%を含有し(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)、
前記シール層は、前記重合体(I)85〜95重量%、
および前記重合体(II)15〜5重量%を含有し(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)、
前記基材層に含有される前記重合体(II)の重量割合が前記シール層に含有される前記重合体(II)の重量割合より多い(但し、シール層、基材層ともに重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)ことを特徴とする積層フィルム(但し、基材層に含有される重合体(I)とシール層に含有される重合体(I)とは、同一組成であっても異なる組成であってもよく、基材層に含有される重合体(II)とシール層に含有される重合体(II)とは、同一組成であっても異なる組成であってもよい。)に係るものである。
本発明の積層フィルムは、使用時はシール層が内側となるように袋状に形成されることが好ましい。
また、成分(B)は、エチレンに由来する構造単位の他に、プロピレンに由来する構造単位を有し、プロピレンに由来する構造単位の含有量としては、80〜40重量%であり、好ましくは、75〜50重量%である(但し、エチレンに由来する構造単位の含有量とプロピレンに由来する構造単位の含有量との合計の重量を100重量%とする。)。
重合体(I)の重合方法としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの不活性溶剤中で重合する方法、液状のプロピレンやエチレン中で重合する方法、気体であるプロピレンやエチレン中に触媒を添加し、気相状態で重合する方法、またはこれらを組み合わせて重合する方法が挙げられる。
重合体(I)の製造方法として、好ましくは、生産性の観点から、実質的に不活性溶剤の不存在下に、第一工程で成分(A)を製造し、次いで、第二工程で気相中プロピレンとエチレンとを重合して、成分(B)を製造する方法である。
重合体(I)の成分(A)および成分(B)の、エチレン含量の調整方法としては、重合時の各工程で水素ガスや金属化合物などの分子量調節剤およびエチレンを適切な量を加える方法、重合時の温度・圧力などを調節する方法が挙げられる。
重合体(I)の成分(A)および成分(B)の割合は、重合体(I)の製造時の重合時間、重合槽の大きさ、重合槽中の重合体の保持量、重合温度、重合圧力などにより制御することができる。必要に応じて、ポリプロピレンの残留溶媒や製造時に副生する超低分子量のオリゴマー等を除去するために、ポリプロピレンが融解する温度以下の温度で乾燥を行ってもよい。乾燥方法としては、例えば、特開昭55−75410号、特許第2565753号公報に記載された方法等が挙げられる。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、粘着剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、メルトフローレート調整剤等が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられ、1分子中にフェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。
その他の樹脂としては、オレフィン系樹脂、エチレンとα−オレフィンの共重合体であるエラストマー等が挙げられ、これらは不均一系触媒で製造されたものであっても、均一系触媒(例えば、メタロセン触媒等)で製造されたものであっても良い。さらに、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体やスチレン−イソプレン−スチレン共重合体を水添したスチレン系共重合体ゴム等のエラストマーが挙げられる。
バリヤー性フィルムとしては、例えば、延伸ナイロンフィルム、アルミニウム箔、ポリ塩化ビニリデンフィルム等が挙げられ、厚みが5〜20μmであることが好ましい。
転写性フィルムとしては、ナイロンフィルム、ポリプロピレン二軸延伸フィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられ、厚みが10〜20μmであることが好ましい。
本発明の積層フィルムとその他のフィルムを複合する方法としては、例えば、ドライラミネート法や押出ラミネート法等が挙げられる。
本発明の積層フィルムの用途としては、好ましくは重量物包装用途である。
(1)重合体(I)の成分(A)および成分(B)の含有量(単位:重量%)
重合体(I)の成分(A)および成分(B)の重合時の物質収支から、成分(A)の含有量(PA)、成分(B)の含有量(PB)を求めた。
(2)重合体(I)のエチレン−プロピレン共重合体部(成分(B))に含有されるエチレン由来の構造単位の含有量(単位:重量%)
重合体(I)の全体のIRスペクトル測定を行い、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている(ii)ブロック共重合体に関する方法に従って求め、下式(1)により成分(B)のエチレン含量を求めた。
EB=(ET−EA×PA)/PB 式(1)
(ただし、ET、EAおよびEBは、それぞれ重合体(I)の全体、成分(A)および成分(B)におけるエチレン含有量を表し、PAおよびPBは成分(A)および成分(B)の含有量を示す。)
(3)メルトフローレート(MFR、単位:g/10分)
重合体(I)のメルトフローレートはJIS K7210に従って、温度230℃、荷重21.18Nで測定した。重合体(II)のメルトフローレートは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nで測定した。
(4)密度(単位:kg/m3)
重合体(II)の密度は、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定した。なお、試料には、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った。
(5)分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、下記の条件により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、Mw/Mnを求めた。クロマトグラム上のベースラインは、試料溶出ピークが出現するよりも十分に保持時間が短い安定した水平な領域の点と、溶媒溶出ピークが観測されたよりも十分に保持時間が長い安定した水平な領域の点とを結んでできる直線とした。
装置:Waters製Waters150C
分離カラム:TOSOH TSK−GEL GMH6−HT
測定温度:140℃
キャリア:オルトジクロロベンゼン
流量:1.0mL/分
注入量:500μL
検出器:示差屈折
分子量標準物質:標準ポリスチレン
(6)ヒートシール強度(単位:N/15mm巾)
東洋テスター工業(株)製ヒートシーラーを使用し次の条件でシールし、シール片を15mm巾に切り、剥離角90°でオリエンテック製テンシロンを用いて測定した。
シールバー:平面両面加熱
シール温度:200℃
シール圧力:1.0kg/cm2
シール時間:1.0sec
(7)耐ブロッキング性(単位:N/12cm2)
150mm×30mmの積層フィルム(製膜方向と長辺方向が一致するように採取した。)を用いて、積層フィルムのシール層同士を重ね合わせ、40mm×30mmの範囲に500gの荷重をかけて80℃で24時間状態調整を行った。その後、23℃、湿度50%の雰囲気下に30分以上放置し、東洋精機製引張試験機を用いて200mm/分の速度で剥離を行い、試料の剥離に要する強度を測定した。
(8)落袋強度評価
積層フィルムと厚み7μmのアルミ箔と厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムを、積層フィルムの基材層側とアルミ箔が接するようにドライラミネート法により貼り合わせた複合フィルムを用いて、西部機械(株)製スタンディングパウチ製袋機で積層フィルム面が内側になるように三包袋を作成した。得られた三包袋に水200gを充填した後、シールして密封した。この充填袋を5℃の環境下で1昼夜状態保持後に2袋重ねて高さ1.2mより10回落下させて、下の充填袋の残存個数/10袋を数えた。
(9)ゆず肌評価
ALP製小型レトルト滅菌器を使用し、120℃条件下で30分レトルト処理を行い、レトルト処理後の包装袋の表面層の凸凹状態(ゆず肌)を以下の基準による5段階法で目視判定した。
1・・・ゆず肌は全く発生していない。
2・・・ゆず肌がわずかに発生しているが、実用には全くの問題がない。
3・・・若干のゆず肌が観察され、実用には若干の問題がある。
4・・・ゆず肌がやや観察され、実用には問題がある。
5・・・ゆず肌がかなり観察され、実用に耐えられない。
[プロピレン共重合体]
チーグラー・ナッタ型触媒を用いて第一工程で気相中でプロピレン単独重合体部分(成分(A))を重合し、次いで第二工程を気相中でプロピレンとエチレンとの共重合体部分(成分(B))を重合した。得られた共重合体は、成分(A)の含有量が78重量%、成分(B)の含有量が22重量%、成分(B)に含有されるエチレン由来の構造単位の含有量が31重量%であった。
上記の共重合体粉末100部に水酸化カルシウム0.01重量%、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社社製イルガノックス1010(商品名)0.2重量%、チバスペシャリティーケミカルズ株式会社製商品名イルガノックス168(商品名)0.05重量%、林化成株式会社製ミクロンホワイト5000S(商品名)およびメルトフローレート調整剤として2,5−ジメチル−2,5ジ(ターシャリーブチルパーオキシ)ヘキサン適量をヘンシェルミキサーで混合した後、溶融押出を行ってペレット化した。得られたペレットの230℃で測定したメルトフローレートは3g/10分であった。以下、PP1と称する。
エチレン−ヘキセン−1共重合体である住友化学株式会社製のスミカセンE FV405(商品名)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは3.8であり、密度は924kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。以下、PE1と称する。
エチレン−ブテン−1共重合体である三井化学株式会社製のタフマー A4085(商品名)を用いた。190℃で測定したメルトフローレートは3.6であり、密度は885kg/m3、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であった。以下、PE2と称する。
基材層として、プロピレン共重合体(PP1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE1)20重量%をペレットブレンドした混合物100重量%に対して、住友化学株式会社製のスミライザーGS(商品名)(2,4―ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート:以下、化合物Aと称する。)0.05重量%、住友化学株式会社製のスミライザーGP(商品名)(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン:以下、化合物Bと称する)0.05重量%を加えた混合物を用い、シール層として、プロピレン共重合体(PP1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE1)10重量%をペレットブレンドした混合物100重量%に対して、化合物Aを0.05重量%、化合物Bを0.05重量%とを加えた混合物を用いた。これらの混合物を濾過精度40μmの金属フィルターを使用した3台の押出機のうち2台で基材層に用いる混合物を、1台でシール層に用いる混合物を溶融混練し、フィードブロック型のTダイ(ダイ幅1250mm、リップ開度1.5mm)に導入して、シール層比が17%、基材層比が83%となるようにダイ温度240℃で溶融押出を行った。
押し出された溶融膜を、50m/分で回転する冷却温度40℃のチルロールで冷却固化させ、厚さ70μmの積層フィルムを得た。この積層フィルムを用いてフィルムのブロッキング性を測定した。
続いて、得られた積層フィルムと、厚み7μmのアルミ箔および厚み12μmのポリエチレンテレフタラートフィルムをドライラミネート法で積層し、複合フィルムを得た。この複合フィルムを用いて積層フィルムのヒートシール強度を測定した。
さらにこの複合フィルムの15cm×18cmの包装袋を作成し、内容物として水200gを封入して積層フィルムのシール層同士をヒートシールして包装袋を得た。この包装袋を用いて落袋強度の評価を行った。また、市販のレトルト食品である大塚食品(株)製「ボンカレーゴールド 辛口」(商品名)を内容物として同様に封入した包装袋を用いてゆず肌評価を行った。その結果を表2に示す。
シール層比を10%、基材層比を90%とした以外は実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性、ヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層としてプロピレン共重合体(PP1)70重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE1)30重量%を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性、ヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
シール層としてプロピレン共重合体(PP1)100重量%を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性、ヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
シール層としてプロピレン共重合体(PP1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE2)10重量%を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性、ヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層としてプロピレン共重合体(PP1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE2)20重量%を用い、シール層としてプロピレン共重合体(PP1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE2)10重量%を用いた以外は実施例1と同様の方法によって、積層フィルムのブロッキング性、ヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層とシール層ともにプロピレン共重合体(PP1)90重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE1)10重量%として単層フィルムとした以外は実施例1と同様の方法によって、単層フィルムのブロッキング性、ヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
基材層とシール層ともにプロピレン共重合体(PP1)80重量%とエチレン−α−オレフィン共重合体(PE1)20重量%として単層フィルムとした以外は実施例1と同様の方法によって、単層フィルムのブロッキング性、ヒートシール強度を測定し、落袋強度評価とゆず肌評価を行った。
Claims (2)
- 少なくとも基材層とシール層とで構成され、
前記基材層は、プロピレンに由来する構造単位を主要な構造単位とする重合体成分(成分(A))50〜84重量%と、エチレンに由来する構造単位の含有量が20〜60重量%であるエチレン−プロピレン共重合体成分(成分(B))50〜16重量%とからなるプロピレン系共重合体(重合体(I))(但し、成分(A)と成分(B)との合計の重量を100重量%とする。)60〜85重量%、
およびエチレンに由来する構造単位と、炭素数4〜20のα−オレフィンに由来する構造単位とを有し、密度が910〜950kg/m3 であり、分子量分布が1以上3未満であるエチレン−α−オレフィン系共重合体(重合体(II))40〜15重量%を含有し(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)、
前記シール層は、前記重合体(I)85〜95重量%、
および前記重合体(II)15〜5重量%を含有し(但し、重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)、
前記基材層に含有される前記重合体(II)の重量割合が前記シール層に含有される前記重合体(II)の重量割合より多い(但し、シール層、基材層ともに重合体(I)と重合体(II)との合計の重量を100重量%とする。)ことを特徴とする積層フィルム(但し、基材層に含有される重合体(I)とシール層に含有される重合体(I)とは、同一組成であっても異なる組成であってもよく、基材層に含有される重合体(II)とシール層に含有される重合体(II)とは、同一組成であっても異なる組成であってもよい。)。 - シール層の厚み比率が積層フィルム全体の厚みに対して、5〜20%であることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
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