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JP5780197B2 - 電圧変換装置 - Google Patents

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JP5780197B2 JP2012087182A JP2012087182A JP5780197B2 JP 5780197 B2 JP5780197 B2 JP 5780197B2 JP 2012087182 A JP2012087182 A JP 2012087182A JP 2012087182 A JP2012087182 A JP 2012087182A JP 5780197 B2 JP5780197 B2 JP 5780197B2
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Description

本発明は、例えば車両等に搭載される電圧変換装置の技術分野に関する。
近年、環境に配慮した車両として、蓄電装置(たとえば二次電池やキャパシタ等)を搭載し、蓄電装置に蓄えられた電力から生じる駆動力を用いて走行する電動車両が注目されている。この電動車両には、たとえば電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池車などが含まれる。
これらの電動車両においては、発進時や加速時に蓄電装置から電力を受けて走行のための駆動力を発生するとともに、制動時に回生制動によって発電を行なって蓄電装置に電気エネルギを蓄えるためのモータジェネレータを備える場合がある。このように、走行状態に応じてモータジェネレータを制御するために、電動車両にはインバータが搭載される。
このような車両においては、車両状態によって変動するインバータが利用する電力を安定的に供給するために、蓄電装置とインバータとの間に電圧変換装置(コンバータ)が備えられる場合がある。このコンバータにより、インバータの入力電圧を蓄電装置の出力電圧より高くして、モータの高出力化ができるとともに、同一出力時のモータ電流を低減することで、インバータ及びモータの小型化、低コスト化を図ることができる。
コンバータには、入力電圧(即ち、変換前の電圧)及び出力電圧(即ち、変換後の電圧)、並びにリアクトルを流れる電流を検出するセンサが設けられており、これらセンサで検出したパラメータに応じてコンバータの動作が制御される。例えば特許文献1では、入力電圧及び出力電圧、並びにリアクトル電流を用いてゲート駆動信号を生成するという技術が提案されている。
特開2007−221920号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている技術のように、比較的多くのセンサをコンバータに設けようとする場合、例えばセンサの数量が多くなる分、製造コストが増大してしまう。また、各センサから出力される多くの信号を扱うことが求められるため、システム構成も複雑化してしまう。従って、上述した特許文献1に記載されている電圧変換装置には、入力電圧及び出力電圧、並びにリアクトル電流に基づいて好適な制御を実現できる一方で、センサ数の増加に起因した様々な不都合が発生してしまうという技術的問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、入力電圧及び出力電圧を比較的簡単な構成で検出することが可能な電圧変換装置を提供することを課題とする。
本発明の電圧変換装置は上記課題を解決するために、リアクトルと、前記リアクトルに夫々直列に接続される第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、前記リアクトルに流れるリアクトル電流を検出する電流検出手段と、前記リアクトル電流の変化率を算出する変化率算出手段と、前記リアクトル電流の変化率及び前記リアクトルのインダクタンスを用いて、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子に入力される入力電圧、並びに前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子から出力される出力電圧のうち、いずれか一方の電圧を推定する電圧推定手段とを備え、前記電流検出手段は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の各々の切替えタイミングを規定するキャリア信号の山を含む第1所定範囲のタイミングで前記リアクトル電流を複数回検出し、前記変化率算出手段は、前記第1所定範囲のタイミングで検出された複数の値から前記リアクトル電流の変化率を算出し、前記電圧推定手段は、前記リアクトル電流の変化率及び前記リアクトルのインダクタンスを用いて前記入力電圧を推定する
本発明に係る電圧変換装置は、例えば車両に搭載されるコンバータであり、リアクトルに夫々直列に接続される第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子を備えている。第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタ、或いは電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。
なお、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々には、例えばダイオードが並列に接続されており、それぞれ第1アーム及び第2アームを形成している。即ち、第1スイッチング素子は第1アームを形成しており、そのスイッチング動作によって、第1アームにおける駆動のオンオフを切替えることができる。同様に、第2スイッチング素子は第2アームを形成しており、そのスイッチング動作によって、第2アームにおける駆動のオンオフを切替えることができる。
本発明に係る電圧変換装置の動作時には、例えば第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々のオンオフを切替えるゲート信号が夫々生成される。具体的には、例えば第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のデューティ比率に対応するデューティ指令信号、及び第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子のスイッチング周波数に対応するキャリア信号が互いに比較されることでゲート信号が生成される。生成されたゲート信号は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子に供給され、これにより電圧変換装置の第1アーム及び第2アームの駆動が制御されることになる。
ここで、電圧変換装置の制御(具体的には、例えば上述したデューティ指令信号の生成等)には、リアクトルに流れるリアクトル電流、電圧変換装置の入力電圧(即ち、変換前の電圧)及び出力電圧(即ち、変換後の電圧)等の各種パラメータが用いられる。これらパラメータは、それぞれ専用のセンサ等を設けることで検出できるが、センサ数が増加するとコストの増大やシステムの複雑化を招いてしまうおそれがある。これに対し、本発明に係る電圧変換装置では、後述するように、専用のセンサを設けずに入力電圧及び出力電圧の一方が推定される。
本発明に係る電圧変換装置では、入力電圧又は出力電圧を推定する際に、先ず電流検出手段によって、リアクトルに流れるリアクトル電流が検出される。電流検出手段は、例えば電流センサとして構成されている。電流センサは、瞬間的な電流の変化率を算出するために、高速で電流を検出可能なものであることが好ましい。
リアクトル電流が検出されると、変化率算出手段によって、リアクトル電流の変化率が算出される。リアクトル電流の変化率は、例えばリアクトル電流を相異なる複数のタイミングで検出し、検出された複数のリアクトル電流の差分を算出することで求められる。
リアクトル電流の変化率が算出されると、電圧推定手段によって、リアクトル電流の変化率及び既知であるリアクトルのインダクタンスから電圧変換装置の入力電圧又は出力電圧が推定される。なお、入力電圧は、上述したリアクトル電流の変化率及びリアクトルのインダクタンスのみで推定することができるが、出力電圧は、リアクトル電流の変化率及びリアクトルのインダクタンスに加えて入力電圧を用いて推定される。
以上説明したように、本発明の電圧変換装置によれば、専用の電圧センサを設けずとも入力電圧又は出力電圧を推定することができる。よって、電圧センサの数が増えてしまうことに起因するコストの増大やシステムの複雑化を防止することができる。
本発明に係る電圧変換装置の一態様では、前記電流検出手段は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の各々の切替えタイミングを規定するキャリア信号の山を含む第1所定範囲のタイミングで前記リアクトル電流を複数回検出し、前記変化率算出手段は、前記第1所定範囲のタイミングで検出された複数の値から前記リアクトル電流の変化率を算出し、前記電圧推定手段は、前記リアクトル電流の変化率及び前記リアクトルのインダクタンスを用いて前記入力電圧を推定する。
この態様によれば、電流検出手段では、キャリア信号の山を含む第1所定範囲のタイミングでリアクトル電流が複数回検出される。なお、ここでの「第1所定範囲」は、リアクトル電流の変化率を算出するための適切な期間として設定されるものであり、比較的短い期間(より具体的には、少なくとも第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の切替えに応じて周期的に上下するリアクトル電流の山及び谷を跨がないような期間)として設定されている。
キャリア信号は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々をスイッチングするためのゲート信号の生成に用いられる信号である。具体的には、キャリア信号とデューティ指令信号とが比較されることでゲート信号が生成される。このため、キャリア信号の山は、リアクトル電流の上昇期間(即ち、リアクトル電流の谷から山の間)の概ね中間地点に対応している。よって、キャリア信号の山を含む第1所定範囲でリアクトル電流を複数回検出すれば、変化率算出手段において、好適にリアクトル電流の変化率(正確には、上昇率)を算出することができる。言い換えれば、リアクトル電流の山及び谷を跨ぐようなタイミングでリアクトル電流が検出されてしまうことで、算出されるリアクトル電流の変化率が不適切な値となってしまうことを防止できる。
上述したようにリアクトルの上昇率を算出すれば、電圧推定手段において、リアクトル電流の変化率及びリアクトルのインダクタンスから正確に入力電圧を推定することができる。即ち、入力電圧専用のセンサを設けずとも、入力電圧の値を知ることができる。
本発明に係る電圧変換装置の他の態様では、前記入力電圧を検出する入力電圧検出手段を備え、前記電流検出手段は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の各々の切替えタイミングを規定するキャリア信号の谷を含む第2所定範囲のタイミングで前記リアクトル電流を複数回検出し、前記変化率算出手段は、前記第2所定範囲のタイミングで検出された複数の値から前記リアクトル電流の変化率を算出し、前記電圧推定手段は、該リアクトル電流の変化率、前記リアクトルのインダクタンス及び前記入力電圧を用いて前記出力電圧を推定する。
この態様によれば、入力電圧検出手段によって入力電圧が検出される。このため電流推定手段では、残る一方の出力電圧を推定することになる。
本態様では特に、電流検出手段では、キャリア信号の谷を含む第1所定範囲のタイミングでリアクトル電流が複数回検出される。なお、ここでの「第2所定範囲」は、リアクトル電流の変化率を算出するための適切な期間として設定されるものであり、比較的短い期間(より具体的には、少なくとも第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の切替えに応じて周期的に上下するリアクトル電流の山及び谷を跨がないような期間)として設定されている。
キャリア信号は、第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子の各々をスイッチングするためのゲート信号の生成に用いられる信号である。具体的には、キャリア信号とデューティ指令信号とが比較されることでゲート信号が生成される。このため、キャリア信号の谷は、リアクトル電流の下降期間(即ち、リアクトル電流の山から谷の間)の概ね中間地点に対応している。よって、キャリア信号の谷を含む第2所定範囲でリアクトル電流を複数回検出すれば、変化率算出手段において、好適にリアクトル電流の変化率(正確には、下降率)を算出することができる。言い換えれば、リアクトル電流の山及び谷を跨ぐようなタイミングでリアクトル電流が検出されてしまうことで、算出されるリアクトル電流の変化率が不適切な値となってしまうことを防止できる。
上述したようにリアクトルの下降率を算出すれば、電圧推定手段において、リアクトル電流の変化率、リアクトルのインダクタンス及び入力電圧から正確に出力電圧を推定することができる。即ち、出力電圧専用のセンサを設けずとも、出力電圧の値を知ることができる。
なお、入力電圧検出手段に代えて出力電圧検出手段を備えるようにすれば(即ち、入力電圧に代えて出力電圧を検出できるようにすれば)、電力推定手段において入力電圧を推定することもできる。即ち、上述したように算出されたリアクトル電流の変化率、リアクトルのインダクタンス及び出力電圧から入力電圧を推定することができる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
第1実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。 第1実施形態に係るECUの構成を示すブロック図である。 入力電圧推定回路の構成を示す回路図である。 第1実施形態に係るILのサンプリングタイミングを示すタイミングチャートである。 第2実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。 第2実施形態に係るECUの構成を示すブロック図である。 出力電圧推定回路の構成を示す回路図である。 第2実施形態に係るILのサンプリングタイミングを示すタイミングチャートである。
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
先ず、第1実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、第1実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。
図1において、本実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両100は、エンジン40及びモータジェネレータMG1及びMG2を動力源とするハイブリッド車両として構成されている。但し、車両100の構成はこれに限定されるものではなく、蓄電装置からの電力によって走行可能な車両(例えば、電気自動車や燃料電池自動車)等にも適用可能である。
また、本実施形態では、電圧変換装置が車両100に搭載される構成について説明するが、車両以外でも交流電動機により駆動される機器であれば適用が可能である。
車両100は、直流電圧発生部20と、負荷装置45と、平滑コンデンサC2と、ECU30とを備えて構成されている。
直流電圧発生部20は、蓄電装置28と、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
蓄電装置28は、例えばニッケル水素又はリチウムイオン等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置を含んで構成される。
システムリレーSR1は、蓄電装置28の正極端子及び電力線PL1の間に接続され、システムリレーSR2は、蓄電装置28の負極端子及び接地線NLの間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、ECU30からの信号SEにより制御され、蓄電装置28からコンバータ12への電力の供給と遮断とを切替える。
コンバータ12は、本発明の「電圧変換装置」の一例であり、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
スイッチング素子Q1及びQ2は、本発明の「第1スイッチング素子」及び「第2スイッチング素子」の一例であり、電力線PL2及び接地線NLの間に直列に接続される。スイッチング素子Q1及びQ2は、ECU30からのスイッチング制御信号PWCによって制御される。
スイッチング素子Q1及びQ2には、例えばIGBT、電力用MOSトランジスタあるいは、電力用バイポーラトランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2が配置される。
リアクトルL1は、スイッチング素子Q1及びQ2の接続ノードと電力線PL1の間に設けられる。また、平滑コンデンサC2は、電力線PL2及び接地線NLの間に接続される。リアクトルを流れる電流であるリアクトル電流ILは、電流センサ18によって検出され、ECU30へと出力される。ここでの電流センサ18は、本発明の「電流検出手段」の一例である。
負荷装置45は、インバータ23と、モータジェネレータMG1,MG2と、エンジン40と、動力分割機構41と、駆動輪42とを含む。また、インバータ23は、モータジェネレータMG1を駆動するためのインバータ14と、モータジェネレータMG2を駆動するためのインバータ22とを含む。なお、図1のようにインバータ及びモータジェネレータを2組備えることは必須ではなく、たとえばインバータ14とモータジェネレータMG1、あるいはインバータ22とモータジェネレータMG2のいずれか1組のみを備える構成としてもよい。
モータジェネレータMG1,MG2は、インバータ23から供給される交流電力を受けて車両推進のための回転駆動力を発生する。また、モータジェネレータMG1,MG2は、外部から回転力を受け、ECU30からの回生トルク指令によって交流電力を発電するとともに回生制動力を車両100に発生する。
また、モータジェネレータMG1,MG2は、動力分割機構41を介してエンジン40にも連結される。そして、エンジン40の発生する駆動力とモータジェネレータMG1,MG2の発生する駆動力とが最適な比率となるように制御される。また、モータジェネレータMG1,MG2のいずれか一方を専ら電動機として機能させ、他方のモータジェネレータを専ら発電機として機能させてもよい。なお、本実施形態においては、モータジェネレータMG1をエンジン40により駆動される発電機として機能させ、モータジェネレータMG2を駆動輪42を駆動する電動機として機能させるものとする。
動力分割機構41には、エンジン40の動力を、駆動輪42とモータジェネレータMG1との両方に振り分けるために、例えば遊星歯車機構(プラネタリギヤ)が使用される。
インバータ14は、コンバータ12から昇圧された電圧を受けて、たとえばエンジン40を始動させるためにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、エンジン40から伝達される機械的動力によってモータジェネレータMG1で発電された回生電力をコンバータ12に出力する。このときコンバータ12は、降圧回路として動作するようにECU30によって制御される。
インバータ14は、電力線PL2及び接地線NLの間に並列に設けられ、U相上下アーム15と、V相上下アーム16と、W相上下アーム17を含んで構成される。各相上下アームは、電力線PL2及び接地線NLの間に直列接続されたスイッチング素子から構成される。たとえば、U相上下アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4から成り、V相上下アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6から成り、W相上下アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8から成る。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続される。スイッチング素子Q3〜Q8は、ECU30からのスイッチング制御信号PWIによって制御される。
例えばモータジェネレータMG1は、3相の永久磁石型同期電動機であり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続される。さらに、各相コイルの他端は、各相上下アーム15〜17のスイッチング素子の接続ノードと接続される。
インバータ22は、コンバータ12に対してインバータ14と並列的に接続される。
インバータ22は駆動輪42を駆動するモータジェネレータMG2に対してコンバータ12の出力する直流電圧を三相交流に変換して出力する。またインバータ22は、回生制動に伴い、モータジェネレータMG2において発電された回生電力をコンバータ12に出力する。このときコンバータ12は降圧回路として動作するようにECU30によって制御される。インバータ22の内部の構成は、図示しないがインバータ14と同様であり、詳細な説明については省略する。
コンバータ12は、基本的には、各スイッチング周期内でスイッチング素子Q1及びQ2が相補的かつ交互にオンオフするように制御される。コンバータ12は、昇圧動作時には、蓄電装置28から供給された直流電圧VLを直流電圧VH(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)に昇圧する。この昇圧動作は、スイッチング素子Q2のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q1及び逆並列ダイオードD1を介して、電力線PL2へ供給することにより行われる。
なお、本実施形態では特に、昇圧後の直流電圧VHが、電圧センサ13において検出され、ECU30に出力される構成となっている。一方で、昇圧前の直流電圧VLに対応する電圧センサは設けられていない。直流電圧VLは、後述するように、ECU30においてリアクトル電流IL等を用いて推定される。ちなみに、直流電流VLは、本実施形態の「入力電圧」の一例であり、直流電圧VHは、本発明の「出力電圧」の一例である。以下では、直流電圧VLのことを入力電圧VL、直流電圧VHのことを出力電圧VHと称することがある。
コンバータ12は、降圧動作時には、直流電圧VHを直流電圧VLに降圧する。この降圧動作は、スイッチング素子Q1のオン期間にリアクトルL1に蓄積された電磁エネルギを、スイッチング素子Q2及び逆並列ダイオードD2を介して、接地線NLへ供給することにより行われる。
これらの昇圧動作及び降圧動作における電圧変換比(VH及びVLの比)は、上記スイッチング周期におけるスイッチング素子Q1,Q2のオン期間比(デューティ比)により制御される。なお、スイッチング素子Q1及びQ2をオン及びオフにそれぞれ固定すれば、VH=VL(電圧変換比=1.0)とすることもできる。
平滑コンデンサC2は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ23へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC2の両端の電圧、すなわち、システム電圧である出力電圧VHを検出し、その検出値をECU30へ出力する。
インバータ14は、モータジェネレータMG1のトルク指令値が正(TR1>0)の場合には、平滑コンデンサC2から直流電圧が供給されるとECU30からのスイッチング制御信号PWI1に応答した、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するようにモータジェネレータMG1を駆動する。また、インバータ14は、モータジェネレータMG1のトルク指令値が零の場合(TR1=0)には、スイッチング制御信号PWI1に応答したスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるようにモータジェネレータMG1を駆動する。これにより、モータジェネレータMG1は、トルク指令値TR1によって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
更に、車両100の回生制動時には、モータジェネレータMG1のトルク指令値TR1は負に設定される(TR1<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング制御信号PWI1に応答したスイッチング動作により、モータジェネレータMG1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)を、平滑コンデンサC2を介してコンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、電動車両を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
インバータ22についても同様に、モータジェネレータMG2のトルク指令値に対応したECU30からのスイッチング制御信号PWI2を受け、スイッチング制御信号PWI2応答したスイッチング動作によって、直流電圧を交流電圧に変換して所定のトルクになるようにモータジェネレータMG2を駆動する。
電流センサ24,25は、モータジェネレータMG1,MG2に流れるモータ電流MCRT1,MCRT2を検出し、その検出したモータ電流をECU30へ出力する。なお、U相,V相,W相の各相の電流の瞬時値の和はゼロであるので、図1に示すように電流センサ24,25は2相分のモータ電流を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)26,27は、モータジェネレータMG1,MG2の回転角θ1,θ2を検出し、その検出した回転角θ1,θ2をECU30へ送出する。ECU30では、回転角θ1,θ2に基づきモータジェネレータMG1,MG2の回転速度MRN1,MRN2及び角速度ω1,ω2(rad/s)を算出できる。なお、回転角センサ26,27については、回転角θ1,θ2をECU30にてモータ電圧や電流から直接演算することによって、配置しないようにしてもよい。
ECU30は、CPU(Central Processing Unit)、記憶装置及び入出力バッファを含み、車両100の各機器を制御する。なお、ECU30の行う制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
代表的な機能として、ECU30は、入力されたトルク指令値TR1,TR2、電圧センサ13によって検出されたシステム電圧VH及び電流センサ24,25からのモータ電流MCRT1,MCRT2、回転角センサ26,27からの回転角θ1,θ2等に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2がトルク指令値TR1,TR2に従ったトルクを出力するように、コンバータ12及びインバータ23の動作を制御する。すなわち、コンバータ12及びインバータ23を上記のように制御するためのスイッチング制御信号PWC,PWI1,PWI2を生成して、コンバータ12及びインバータ23へそれぞれ出力する。
コンバータ12の昇圧動作時には、ECU30は、システム電圧VHをフィードバック制御し、システム電圧VHが電圧指令値に一致するようにスイッチング制御信号PWCを生成する。
また、ECU30は、車両100が回生制動モードに入ると、モータジェネレータMG1,MG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換するようにスイッチング制御信号PWI1、PWI2を生成してインバータ23へ出力する。これにより、インバータ23は、モータジェネレータMG1,MG2で発電された交流電圧を直流電圧に変換してコンバータ12へ供給する。
さらに、ECU30は、車両100が回生制動モードに入ると、インバータ23から供給された直流電圧を降圧するようにスイッチング制御信号PWCを生成し、コンバータ12へ出力する。これにより、モータジェネレータMG1,MG2が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、さらに降圧されて蓄電装置28に供給される。
ここで、上述したECUの具体的な構成について、図2を参照して説明する。ここに図2は、第1実施形態に係るECUの構成を示すブロック図である。なお、図2では、説明の便宜上、ECU30に備えられる各部位のうち本実施形態に関連の深いもののみを示し、その他の詳細な部位については適宜図示を省略している。
図2において、ECU30は、入力電圧推定回路310と、電圧制御部320と、電流制御部330と、ゲート信号出力回路340と、キャリア信号出力部350とを備えて構成されている。
入力電圧推定回路310は、入力されるリアクトル電流IL(即ち、電流センサ18で検出された電流値)と、予め記憶されたリアクトルL1のインダクタンス値とに基づいて、昇圧前の入力電圧VLを推定する。推定された入力電圧VLは、電圧制御部320に出力される。
電圧制御部320は、出力電圧VH(即ち、電圧センサ13で検出された昇圧後の電圧値)と、入力電圧推定回路310で推定された入力電圧VLに基づいて電圧偏差を演算し、リアクトル電流指令値ILREFを算出する。算出されたリアクトル電流指令値ILREFは、電流制御部330へと出力される。
電流制御部330は、電圧制御部320から入力されたリアクトル電流指令値ILREFと、検出されたリアクトル電流ILとに基づいて電流偏差を演算し、スイッチング素子Q1,Q2のデューティ指令信号DUTYを算出する。算出されたデューティ指令信号DUTYは、ゲート信号出力回路340に出力される。
ゲート信号出力回路340は、電流制御部330から入力されたデューティ指令信号DUTYと、キャリア信号生成部350において生成されたキャリア信号CRとに基づいて、スイッチング素子Q1,Q2のゲート信号であるPWC1及びPWC2を生成する。
キャリア信号生成部350は、スイッチング制御信号PWC1及びPWC2を生成するために、所定周期のキャリア信号CRを生成する。キャリア信号CRは、ゲート信号出力回路350に出力される。また、キャリア信号CRは、入力電圧推定回路310にも出力される。
以上説明したECU30は、上述した各部位を含んで構成された一体の電子制御ユニットであり、上記各部位に係る動作は、全てECU30によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係る上記部位の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
次に、上述したECU30に含まれる入力電圧推定回路310の具体的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、入力電圧推定回路の構成を示す回路図である。
図3において、入力電圧推定回路310は、ADC(Analog to Digital Converter)311と、サンプリングタイミング発生回路312と、電流変化率算出部313と、入力電圧算出部314とを備えて構成されている。
ADC311は、リアクトル電流ILの値を相異なる複数のタイミングでサンプリングして、電流変化率算出部313へと出力する。ADC311は、サンプリングタイミング発生回路312から入力されるタイミング信号に基づくタイミングでリアクトル電流ILをサンプリングする。
サンプリングタイミング発生回路312は、キャリア信号CRに基づいて、リアクトル電流ILのサンプリングタイミングを示すタイミング信号を生成する。具体的には、サンプリングタイミング発生回路312は、サンプリングタイミングがキャリア信号CRの山を含む所定の範囲内のタイミングとなるようにタイミング信号を生成する。
電流変化率算出部313は、本発明の「変化率算出手段」の一例であり、ADC311において複数のタイミングでサンプリングされたリアクトル電流ILの値から、リアクトル電流ILの時間変化率(言い換えれば、リアクトル電流ILの時間微分値dIL/dT)を算出する。リアクトル電流ILの時間変化率の算出方法については、後に詳述する。
入力電圧算出部314は、本発明の「電圧推定手段」の一例であり、電流変化率算出部313において算出されたリアクトル電流ILの時間変化率を用いて、入力電圧VLを算出(推定)する。なお、入力電圧算出部314には、リアクトルL1のインダクタンス値が予め記憶されている。
以上のように、入力電圧推定回路310は、リアクトル電流L1をキャリア信号CRに基づくタイミングでサンプリングした後、各種演算を行うことで入力電圧VLを推定する。
次に、入力電圧推定回路310において入力電圧VLが推定される際の具体的な動作について、図3に加えて、図4を参照して説明する。ここに図4は、第1実施形態に係るILのサンプリングタイミングを示すタイミングチャートである。
図4において、キャリア信号CRが図に示すような周期の信号として生成され、デューティ指令信号DUTYが約50%で一定であったとする。
この場合、スイッチング素子Q1のゲート信号PWC1は、上昇するキャリア信号CRがデューティ指令信号DUTYと重なるタイミングでHiレベル(即ち、スイッチング素子Q1のオンに対応するレベル)からLoレベル(即ち、スイッチング素子Q1のオフに対応するレベル)となる。一方で、スイッチング素子Q2のゲート信号PWC2は、下降するキャリア信号CRがデューティ指令信号DUTYと重なるタイミングでHiレベルからLoレベルとなる。
なお、ゲート信号PWC1とPWC2とは、同時にHiレベルとならないように(言い換えれば、スイッチングQ1及びQ2が同時にオンとならないように)生成される。また、スイッチングQ1及びQ2の切替えタイミングずれによる短絡を防止するために、デッドタイム(即ち、スイッチングQ1及びQ2の両方をオフとするような期間)が設けられる。
リアクトル電流ILは、ゲート信号PWC1及びPWC2の切替えタイミングに応じて周期的に上下する。ここで特に、本実施形態に係る入力電圧回路310では、キャリア信号の山を含むタイミング(即ち、図中の時刻ta及びtb)においてリアクトル電流ILがサンプリングされる。このようにすれば、リアクトル電流ILを上昇中の2点でサンプリングすることができる。即ち、電流がスイッチング素子Q2側(即ち、下アーム)に流れる場合のリアクトル電流ILをサンプリングすることができる。
ここで、時刻taにおけるリアクトル電流ILのサンプリング値をIa、時刻tbにおけるリアクトル電流ILのサンプリング値をIbとすると、リアクトル電流ILの時間変化率di/dtは、以下の数式(1)で表せる。
di/dt=(Ib−Ia)/(tb−ta) ・・・(1)
即ち、リアクトル電流ILの時間変化率di/dtは、時刻ta及びtbにおける電流の差を時刻ta及びtbの差で割った値として算出できる。
そして、入力電圧VLは、上述したリアクトル電流ILの時間変化率di/dtと、リアクトルL1のインダクタンス値Lを用いて、以下の数式(2)で表せる。
VL=L×di/dt ・・・(2)
即ち、入力電圧VLは、リアクトルL1のインダクタンス値Lと、リアクトル電流ILの時間変化率di/dtとの積として算出できる。
このように、リアクトル電流IL及びリアクトルL1のインダクタンス値Lが分かっていれば、確実に入力電圧VLを算出することができる。よって、本実施形態のように、入力電圧VLを検出するための電圧センサが設けられていない場合であっても、入力電圧VLの値を得ることができる。従って、入力電圧VLの値が直接的に検出されない場合であっても、間接的に推定した入力電圧VLを用いてコンバータ12の制御を好適に行うことが可能となる。
以上説明したように、第1実施形態に係る電圧変換装置によれば、入力電圧VL専用の電圧センサを設けずに済む分、コストの増大及び装置構成の複雑化を低減することができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る電圧変換装置について説明する。なお、第2実施形態は、上述した第1実施形態と比べて一部の構成が異なるのみであり、その他の部分については概ね同様である。このため、以下では、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
先ず、第2実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成について、図5を参照して説明する。ここに図5は、第2実施形態に係る電圧変換装置が搭載される車両の全体構成を示す概略図である。
図5において、第2実施形態に係る車両100では、電圧センサ10によって入力電圧VL(即ち、昇圧前の電圧)が検出されている。検出された入力電圧VLは、ECU30へと出力される。
一方で、第1実施形態では設けられていた、出力電圧VH(即ち、昇圧後の電圧)を検出する電圧センサ13(図1参照)は、第2実施形態に係る車両100には設けられていない。よって、ECU30には、出力電圧VHは入力されない。
次に、第2実施形態に係るECUの具体的な構成について、図6を参照して説明する。ここに図6は、第2実施形態に係るECUの構成を示すブロック図である。なお、図6では、説明の便宜上、ECU30に備えられる各部位のうち本実施形態に関連の深いもののみを示し、その他の詳細な部位については適宜図示を省略している。
図6において、ECU30は、出力電圧推定回路360と、電圧制御部320と、電流制御部330と、ゲート信号出力回路340と、キャリア信号出力部350とを備えて構成されている。
出力電圧推定回路360は、入力されるリアクトル電流IL(即ち、電流センサ18で検出された電流値)及び入力電圧VL(即ち、電圧センサ10で検出された電圧値)と、予め記憶されたリアクトルL1のインダクタンス値とに基づいて、昇圧後の直流電圧VHを推定する。推定された直流電圧VHは、電圧制御部320に出力される。
電圧制御部320は、入力電圧VLと、出力電圧推定回路360で推定された直流電圧VHに基づいて電圧偏差を演算し、リアクトル電流指令値ILREFを算出する。算出されたリアクトル電流指令値ILREFは、電流制御部330へと出力される。
電流制御部330、ゲート信号出力回路340及びキャリア信号生成部350は、それぞれ第1実施形態と同様の構成とされている。
次に、上述したECU30に含まれる出力電圧推定回路360の具体的な構成について、図7を参照して説明する。ここに図7は、出力電圧推定回路の構成を示す回路図である。
図7において、出力電圧推定回路360は、ADC361と、サンプリングタイミング発生回路362と、電流変化率算出部363と、出力電圧算出部364とを備えて構成されている。
ADC361は、リアクトル電流ILの値を相異なる複数のタイミングでサンプリングして、電流変化率算出部363へと出力する。ADC361は、サンプリングタイミング発生回路362から入力されるタイミング信号に基づくタイミングでリアクトル電流ILをサンプリングする。
サンプリングタイミング発生回路362は、キャリア信号CRに基づいて、リアクトル電流ILのサンプリングタイミングを示すタイミング信号を生成する。具体的には、サンプリングタイミング発生回路362は、サンプリングタイミングがキャリア信号CRの谷を含む所定の範囲内のタイミングとなるようにタイミング信号を生成する。
電流変化率算出部363は、本発明の「変化率算出手段」の一例であり、ADC361において複数のタイミングでサンプリングされたリアクトル電流ILの値から、リアクトル電流ILの時間変化率(言い換えれば、リアクトル電流ILの時間微分値dIL/dT)を算出する。リアクトル電流ILの時間変化率の算出方法については、後に詳述する。
出力電圧算出部364は、本発明の「電圧推定手段」の一例であり、電流変化率算出部363において算出されたリアクトル電流ILの時間変化率を用いて、出力電圧VHを算出(推定)する。なお、出力電圧算出部364には、リアクトル電流ILの時間変化率に加えて、入力電圧VLが入力される。また、出力電圧算出部364には、リアクトルL1のインダクタンス値が予め記憶されている。
以上のように、出力電圧推定回路360は、リアクトル電流L1をキャリア信号CRに基づくタイミングでサンプリングした後、各種演算を行うことで出力電圧VHを推定する。
次に、出力電圧推定回路360において出力電圧VHが推定される際の具体的な動作について、図7に加えて、図8を参照して説明する。ここに図8は、第2実施形態に係るILのサンプリングタイミングを示すタイミングチャートである。
図8において、リアクトル電流ILは、ゲート信号PWC1及びPWC2の切替えタイミングに応じて周期的に上下する。ここで特に、本実施形態に係る出力電圧回路360では、キャリア信号の谷を含むタイミング(即ち、図中の時刻tc及びtd)においてリアクトル電流ILがサンプリングされる。このようにすれば、リアクトル電流ILを下降中の2点でサンプリングすることができる。即ち、電流がスイッチング素子Q1側(即ち、上アーム)に流れる場合のリアクトル電流ILをサンプリングすることができる。
ここで、時刻tcにおけるリアクトル電流ILのサンプリング値をIc、時刻tdにおけるリアクトル電流ILのサンプリング値をIdとすると、リアクトル電流ILの時間変化率di/dtは、以下の数式(3)で表せる。
di/dt=(Id−Ic)/(td−tc) ・・・(3)
即ち、リアクトル電流ILの時間変化率di/dtは、時刻tc及びtdにおける電流の差を時刻tc及びtdの差で割った値として算出できる。
そして、出力電圧VHは、上述したリアクトル電流ILの時間変化率di/dtと、入力電圧VLと、リアクトルL1のインダクタンス値Lを用いて、以下の数式(4)で表せる。
VH=VL+L×di/dt ・・・(4)
即ち、出力電圧VHは、入力電圧VLに、リアクトルL1のインダクタンス値Lとリアクトル電流ILの時間変化率di/dtとの積を足した値として算出できる。
このように、リアクトル電流IL、入力電圧VL及びリアクトルL1のインダクタンス値Lが分かっていれば、確実に出力電圧VHを算出することができる。よって、本実施形態のように、出力電圧VHを検出するための電圧センサが設けられていない場合であっても、出力電圧VHの値を得ることができる。従って、出力電圧VHの値が直接的に検出されない場合であっても、間接的に推定した出力電圧VHを用いてコンバータ12の制御を好適に行うことが可能となる。
以上説明したように、第2実施形態に係る電圧変換装置によれば、出力電圧VH専用の電圧センサを設けずに済む分、コストの増大及び装置構成の複雑化を低減することができる。
なお、上述した数式(4)の関係からも分かるように、第2実施形態の手法では、入力電圧VLに代えて出力電圧VHが検出されている場合に(即ち、図1で示されるような構成において)、入力電圧VLを推定することが可能である。
具体的には、出力電圧VHが検出されていれば、第1実施形態のように電流がスイッチング素子Q2側に流れている場合のリアクトル電流ILをサンプリングせずとも、電流がスイッチング素子Q1側に流れている場合のリアクトル電流ILをサンプリングすることで入力電圧VLを推定することができる。
この場合、入力電圧VLは、数式(4)を変形した以下の数式(5)を用いて算出できる。
VL=VH−L×di/dt ・・・(5)
即ち、入力電圧VLは、出力電圧VHから、リアクトルL1のインダクタンス値Lとリアクトル電流ILの時間変化率di/dtとの積を差し引いた値として算出できる。
以上のように、出力電圧VHは、第2実施形態の手法でしか推定できないが、入力電圧VLは、第1実施形態及び第2実施形態の両方の手法で推定できる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電圧変換装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…電圧センサ、12…コンバータ、13…電圧センサ、18…電流センサ、20…直流電圧発生部、22,23…インバータ、28…蓄電装置、30…ECU、40…エンジン、41…動力分割機構、42…駆動輪、45…負荷装置、100…車両、310…入力電圧推定回路、311…ADC、312…サンプリングタイミング発生回路、313…電流変化率算出部、314…入力電圧算出部、320…電圧制御部、330…電流制御部、340…ゲート信号出力回路、350…キャリア信号生成部、360…出力電圧推定回路、361…ADC、362…サンプリングタイミング発生回路、363…電流変化率算出部、364…出力電圧算出部、C2…平滑コンデンサ、D1,D2…ダイオード、IL…リアクトル電流、L1…リアクトル、MG1,MG2…モータジェネレータ、PWC…ゲート信号、Q1,Q2…スイッチング素子、SR1,SR2…システムリレー。

Claims (2)

  1. リアクトルと、
    前記リアクトルに夫々直列に接続される第1スイッチング素子及び第2スイッチング素子と、
    前記リアクトルに流れるリアクトル電流を検出する電流検出手段と、
    前記リアクトル電流の変化率を算出する変化率算出手段と、
    前記リアクトル電流の変化率及び前記リアクトルのインダクタンスを用いて、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子に入力される入力電圧、並びに前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子から出力される出力電圧のうち、いずれか一方の電圧を推定する電圧推定手段と
    を備え
    前記電流検出手段は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の各々の切替えタイミングを規定するキャリア信号の山を含む第1所定範囲のタイミングで前記リアクトル電流を複数回検出し、
    前記変化率算出手段は、前記第1所定範囲のタイミングで検出された複数の値から前記リアクトル電流の変化率を算出し、
    前記電圧推定手段は、前記リアクトル電流の変化率及び前記リアクトルのインダクタンスを用いて前記入力電圧を推定する
    ことを特徴とする電圧変換装置。
  2. 前記入力電圧を検出する入力電圧検出手段を備え、
    前記電流検出手段は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子の各々の切替えタイミングを規定するキャリア信号の谷を含む第2所定範囲のタイミングで前記リアクトル電流を複数回検出し、
    前記変化率算出手段は、前記第2所定範囲のタイミングで検出された複数の値から前記リアクトル電流の変化率を算出し、
    前記電圧推定手段は、該リアクトル電流の変化率、前記リアクトルのインダクタンス及び前記入力電圧を用いて前記出力電圧を推定する
    ことを特徴とする請求項に記載の電圧変換装置。
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