JP5779896B2 - 記録装置、および、記録装置の制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記課題に鑑み、記録ヘッドが記録媒体に乗り上げることに起因する不具合を防止し、高い記録品質を保持できるようにすることを目的とする。
また、上記記録装置において、前記記録制御手段は、前記記録ヘッドを移動させるコマンドを実行して、前記記録ヘッドの移動可能範囲内で予め設定された特定の位置に前記記録ヘッドを移動させる制御を実行可能であり、前記特定の位置は、前記特定の位置と前記記録媒体の端との間の距離が前記加速区間より長くなる位置に設定され、前記コマンドを実行してから前記特定の位置を前記移動開始位置として前記記録動作を開始する際には、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更することを特徴とする。
また、上記記録装置において、前記記録制御手段は、前記記録媒体が冊子形態である場合に、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更することを特徴とする。
また、上記記録装置において、前記記録制御手段は、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更して前記記録ヘッドを移動させて記録を行い、前記記録ヘッドの移動方向を逆に切り替えた後に、前記目標速度を変更前の前記設定値に戻すことを特徴とする。
また、上記記録装置において、前記記録制御手段は、前記移動開始位置から前記記録媒体の端位置までの長さが、前記目標速度が設定可能な最高速度である場合の前記加速区間の長さ以上の場合に、前記記録ヘッドの移動速度の上限を変更することを特徴とする。
また、本発明は、記録ヘッドと、前記記録ヘッドを往復移動させるヘッド移動手段とを備えた記録装置を制御するための制御方法であって、前記記録ヘッドの移動範囲内にある記録媒体に対し、前記記録ヘッドを移動させながら記録を行い、前記記録媒体から外れた移動開始位置にある前記記録ヘッドを前記記録媒体の端を越えて前記記録媒体上に移動させて記録を行う場合に、前記記録ヘッドを目標速度まで加速して移動させる制御を行い、前記目標速度の設定値がしきい値より高速であって、前記移動開始位置と前記記録媒体の端との間の距離が、前記記録ヘッドを前記目標速度まで加速するための加速区間の長さより長い場合に、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更すること、を特徴とする。
また、本発明は、記録ヘッドと、前記記録ヘッドを往復移動させるヘッド移動手段と、前記記録ヘッドの移動範囲内にある記録媒体に対し、前記記録ヘッドを移動させながら記録を行う記録制御手段と、を備え、前記記録制御手段は、記録開始時に前記記録ヘッドが前記記録媒体から外れた位置にある場合に、前記記録ヘッドを前記記録媒体の端を越えて前記記録媒体上の記録開始位置まで移動させ、この移動中の記録ヘッドの移動速度の上限を、移動開始位置に基づいて、設定された上限の速度より低い速度に変更することを特徴とする。
本発明によれば、記録ヘッドが記録媒体の端を越えて移動する際に、移動開始位置に基づいて記録ヘッドの移動速度の上限を低くするので、記録ヘッドの移動速度が速すぎるために生じる不具合を確実に防止できる。また、記録ヘッドの移動開始位置により、例えば記録媒体の端を越えるときの記録ヘッドの移動速度が高速に達しないと予測される場合には、記録ヘッドの移動速度の上限を変更しない。このため、記録ヘッドの移動速度の上限を変更する頻度を抑えることができる。これにより、記録ヘッドの移動速度に起因する不具合の発生を防止し、かつ、記録ヘッドの移動速度の上限値を変更する頻度を抑えてスループットの低下を防ぐことができる。
本発明によれば、記録動作以外の動作により、例えば移動可能範囲の端等の所定位置まで記録ヘッドを移動させてから記録を開始する際のように、記録媒体の端を越えるときの記録ヘッドの移動速度が高速に達する可能性がある場合に、記録ヘッドの移動速度を抑えることができる。これにより、記録ヘッドの移動速度に起因する不具合が発生しやすい状況に限って、記録ヘッドの移動速度を抑え、不具合の発生を防止できる。
本発明によれば、記録ヘッドが記録媒体の端を越える際の移動速度が高速になる可能性が高い場合に移動速度の上限の速度を抑えるので、記録ヘッドの移動速度に起因する不具合の発生を防止し、かつ、記録ヘッドの移動速度の上限値を変更する頻度を抑えてスループットの低下を防ぐことができる。
本発明によれば、記録ヘッドの移動速度の上限が高速に設定されている場合に、記録媒体の端を越える際の移動速度を抑えるので、記録ヘッドの移動速度に起因する不具合の発生を防止し、かつ、記録ヘッドの移動速度の上限値を変更する頻度を抑えてスループットの低下を防ぐことができる。
本発明によれば、記録ヘッドの移動開始位置から記録媒体の端までの距離が長く、記録媒体の端を越えるまでに記録ヘッドが十分に加速され、高速で記録媒体の端を越える可能性がある場合に、記録ヘッドの移動速度を抑えることができる。これにより、記録ヘッドの移動速度に起因する不具合の発生を防止し、かつ、記録ヘッドの移動速度の上限値を変更する頻度を抑えてスループットの低下を防ぐことができる。
本発明によれば、記録ヘッドが記録媒体の端を越えて移動する際に、移動開始位置に基づいて記録ヘッドの移動速度の上限を低くするので、記録ヘッドの移動速度が速すぎるために生じる不具合を確実に防止できる。また、記録ヘッドの移動開始位置により、例えば記録媒体の端を越えるときの記録ヘッドの移動速度が高速に達しないと予測される場合には、記録ヘッドの移動速度の上限を変更しない。このため、記録ヘッドの移動速度の上限を変更する頻度を抑えることができる。これにより、記録ヘッドの移動速度に起因する不具合の発生を防止し、かつ、記録ヘッドの移動速度の上限値を変更する頻度を抑えてスループットの低下を防ぐことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態に係る記録装置としてのプリンター10の外観を示す斜視図である。本実施形態のプリンター10は、複数の記録ワイヤーを備えた記録ヘッド18(図2および図3参照)を具備したドットインパクトプリンターであり、この記録ヘッド18から、インクリボンを介して記録ワイヤーを記録媒体へ向けて打ち出すことにより、記録媒体の記録面にドットを形成し、文字、画像、記号等を記録する。プリンター10により記録される画像等は1行または複数行からなり、行毎に記録される。
プリンター10には外部の機器としてホストコンピューター68(図7)が接続され、プリンター10は、ホストコンピューター68から入力される各種コマンド及びデータに基づいて、行単位、またはページ単位で記録(印刷)を実行する。
本実施の形態においては、プリンター10により、上記のカットシートまたは通帳である記録媒体100に画像を記録する場合について説明する。
図2および図3に示すように、プリンター本体11は、左サイドフレーム16および右サイドフレーム17を含む本体フレームを有し、この本体フレームに、記録ヘッド18およびキャリッジ19を含んで構成される記録機構部20、記録ヘッド18に対向するプラテン21、第1搬送ローラー22および第2搬送ローラー23を備えた第1搬送機構部24、第3搬送ローラー25および第4搬送ローラー26を備えた第2搬送機構部27、記録媒体100が有する磁気ストライプ101の磁気情報の読取/書込を行う磁気ヘッド34を備えた磁気データ読書部29、および、磁気情報の読取/書込時に記録媒体100の浮き上がりを上から押えるシート押え部30を設けた構成となっている。
また、左サイドフレーム16および右サイドフレーム17には、記録媒体100の搬送経路Cの天井面を構成するとともに、後述する第2搬送ローラー23、第4搬送ローラー26を支持するフロントフレーム45及びリアフレーム46が固定される。
磁気ヘッド34は、サイドフレーム16,17間に平行に架け渡された二本の磁気ヘッドガイドに沿って、磁気モーター38(図7)により往復駆動される。この磁気ヘッド34は、記録媒体100として用いられる通帳が有する磁気ストライプ101(図1)に対し、各種の情報を磁気的に記録し、情報の読取を行う。
キャリッジ19には記録ヘッド18が搭載され、キャリッジ19と一体となって、記録媒体100の記録面上を主走査方向に沿って移動する。
記録ヘッド18の直下には主走査方向に沿ってプラテン21が配置され、このプラテン21は下方から付勢バネ40(図3)によって付勢されつつ弾性支持されており、この弾性力により記録ヘッド18から突出する記録ワイヤーの突出力を受け止める。
また、キャリッジ19には、リボンカートリッジ39から引き出されたインクリボンが、記録ヘッド18の前方に位置するよう配置される。記録ヘッド18は、主走査方向に走行される間に記録ワイヤーを突出させて、インクリボンを介して記録媒体100の記録面に打ち当て、インクリボンのインクを、プラテン21と記録ヘッド18との間に搬送される記録媒体100に付着させて、この記録媒体100に文字を含む画像を記録する。
従って、記録媒体100に記録ヘッド18が記録する場合、ギャップローラー41により記録ヘッド18の先端面と記録媒体100の記録面との距離(ギャップ)が適正な大きさに保たれる。記録を行っている間に記録媒体100の厚みが変化しても、付勢バネ40により弾性支持されたプラテン21が上下に変位して厚みの差が吸収され、ギャップが適正な大きさに保たれる。
図3に示すように、整列板54のフロント側には複数の整列センサー52が配設される。整列センサー52は、例えば、搬送経路Cを挟んで対向配置された発光部(LED等)と受光部(フォトトランジスター等)とにより記録媒体100の有無を検出する透過型光センサーである。これら複数の整列センサー52は主走査方向に所定間隔で並べて配置され、複数の整列センサー52の検出状態に基づき、記録媒体100の先端が整列センサー52に沿って整っているかどうか、すなわち記録媒体100の整列が成功したか否かを判別できる。また、記録媒体100の整列が完了した時点で記録媒体100の先端は整列板54の位置にあるから、整列センサー52により整列完了を検出してからの搬送モーター36の動作ステップ数等に基づいて、記録媒体100の搬送方向における位置を求めることができる。
さらに、プリンター10の第2搬送ローラー23のフロント側には挿入センサー53(図7)が配設されている。挿入センサー53は、例えば搬送経路Cを挟んで対向配置された発光部(LED等)と受光部(フォトトランジスター等)とにより構成される透過型光センサーであり、手差口15から手差し挿入された記録媒体100を検出する。
図4に示すように、プラテン21の上には、細長い樹脂フィルム製のシートガイド60が主走査方向に延設されている。
図6に示すように、シートガイド60は、フロント側の辺がガイド支持部70により支持され、反対側の辺はプラテン21の上面に接する。記録媒体100が手差口15から挿入され搬送経路Cを記録ヘッド18に向けて搬送されると、記録媒体100の記録面にシートガイド60が接し、このシートガイド60の上にギャップローラー41が当接する。
また、ギャップローラー41は、記録ヘッド18が記録ワイヤーを突出する面よりもフロント側に位置し、フロント側から伸びるシートガイド60にギャップローラー41の周面の一部が乗っていて、キャリッジ19の走査時にはギャップローラー41がシートガイド60上を往復移動する。
右サイドフレーム17には、ガイド支持部70に隣接する押えレバー76が設けられる。押えレバー76は、右サイドフレーム17に回動自在に支持された回動軸78と、この回動軸78からガイド支持部70側へ突出する押え突起79と、押え突起79とは反対側の略上方に突出するカム当接部77とを備えて構成される。押えレバー76は、押えバネ(図示略)によって、図5および図6中の左回り方向に付勢される。押えレバー76の押え突起79は、ガイド支持部70のバネ受け板73の上に乗った状態で係合している。
キャリッジ19が右サイドフレーム17側の端に設定されたシートガイド跳ね上げ位置に移動すると、ギャップローラー41はシートガイド60の端から離脱し、シートガイド60への押圧力が解除されるとともに、キャリッジ19がシートガイド跳ね上げ位置に移動することで、キャリッジ19の右サイドフレーム17側の側面に形成されたカム斜面19Aが、カム当接部77に当接する。カム当接部77は、カム斜面19Aの接近に伴って、上記押えバネ(図示略)の付勢力に抗して下方に押し下げられ、押えレバー76が図中右回りに回転する。これに伴い、押えレバー76の押え突起79がバネ受け板73に加えていた押圧力が解け、代わって付勢バネ75の付勢力によってバネ受け板73が押し上げられる。そして、ガイド支持部70が図中左回りに回転し、度当たり部73Aが前方シート案内32に当たって停止する。
このため、キャリッジ19がシートガイド跳ね上げ位置にある間、ガイド支持部70は、バネ受け板73が上に、度当たり部73Aが下に位置した状態を保つ。すなわち、シートガイド60は、プラテン21から離れて上方に跳ね上げられている。
また、ギャップローラー41は、上記のようにプラテン21または記録媒体100の記録面上のシートガイド60に接しながら回転するローラーであって、空転を避けるため、その周面には摩擦係数が比較的高くなるようゴム等が配されている。この摩擦により、ギャップローラー41が記録媒体100に接した状態で記録媒体100を搬送することは難しくなっているが、記録媒体100とギャップローラー41との間にシートガイド60が介在することにより、記録媒体100とギャップローラー41との摩擦が減殺され、図中A方向に容易に搬送可能となる。さらに、シートガイド60は、記録媒体100として綴じ目を有する冊子や通帳等、高さ(厚み)が変化する段差のあるものを用いた場合に、主走査方向に移動するギャップローラー41が段差をスムーズに乗り越えられるようにする作用をも有する。
記録媒体100を行送りまたは記録媒体100の排出のために図中B方向に記録媒体100を搬送する際には、キャリッジ19を上記シートガイド跳ね上げ位置に移動させることで、シートガイド60が跳ね上げられる。このため、シートガイド60は記録媒体100から離れ、搬送の障害にならない。
図7に示すように、プリンター10は、CPU61、CPU61により実行されるプログラムおよびデータを一時的に記憶するRAM63、CPU61により実行される制御プログラム等を記憶する記憶手段としてのフラッシュメモリー64を備え、これらの各部はバス62を介して相互に接続される。また、バス62にはゲートアレイ(G/A)65が接続され、このゲートアレイ65には、記録ヘッド18、整列センサー52、挿入センサー53、媒体幅検出センサー55、およびモータードライバー66が接続される。ゲートアレイ65は、整列センサー52、挿入センサー53および媒体幅検出センサー55の出力電圧値を取得して、CPU61に出力する。また、ゲートアレイ65は、CPU61の制御のもとに記録ヘッド18を駆動して、記録ヘッド18が備える記録ワイヤー(図示略)の突出動作を行わせる。さらに、ゲートアレイ65は、CPU61の制御のもと、モータードライバー66を制御することにより、キャリッジ駆動モーター35、搬送モーター36、整列モーター37、および磁気モーター38の各モーターを駆動させる。
インターフェース67には、プリンター10外部のホストコンピューター68が接続される。ホストコンピューター68は、オペレーターの操作に従って、CPU61との間で各種情報を送受信する。この情報には、記録ヘッド18による記録の開始を指示する記録開始位置指定コマンド、記録コマンド、搬送コマンド、排出コマンド等の各種コマンド、記録媒体100に記録する文字や画像のデータ等が含まれる。ここで、記録開始位置指定コマンドには、記録媒体100のサイズ、記録媒体100の上端、下端、左端、右端の各端部から記録領域までの距離、記録領域における行数、1行あたりの桁数等が含まれる。なお、バス62に、入力操作を受け付ける操作部や動作結果等を表示する表示部を接続してもよい。
上述のように、プリンター10は手差口15(図1)から挿入された記録媒体100の傾きを整列板54により補正する機能を有する。このため、プリンター10で使用可能な記録媒体100の幅は、手差口15の幅より小さければ特に制限されない。従って、キャリッジ19の走査範囲Waにおける記録媒体100の位置は制限されず、例えば図8(A)、(B)に示すようにキャリッジ19の走査範囲Waのどちらの端からも離れた位置で搬送されることもある。CPU61は、キャリッジ19を走査しながら媒体幅検出センサー55の検出値を取得し、この検出値が変化した位置を求めることで、記録媒体100の両側の端位置Peを検出する。記録媒体100には、通常、両端から所定の端マージンをとった記録領域105が設定される。
また、CPU61は、ホストコンピューター68から送信された記録開始位置指定コマンドに基づき、記録媒体100における記録領域105の両側の端位置Psの位置を取得する。プリンター10はキャリッジ19を往復走査しながら、一方向の走査を指す1パスで1行を記録するラインプリンターである。このため、記録領域105は行ごと(パスごと)に指定可能である。
一方、走査範囲Waの右サイドフレーム17側の端には、上述したシートガイド跳ね上げ位置Pbがある。上記のように、記録媒体100の搬送時にはシートガイド60を跳ね上げる場合があるが、その都度、キャリッジ19はシートガイド跳ね上げ位置Pbに移動する。また、シートガイド跳ね上げ位置Pbから少し中央寄りには、幅検出開始位置Pdが設定されている。CPU61が媒体幅検出センサー55により記録媒体100の端位置Peを検出する場合、キャリッジ19を幅検出開始位置Pdから移動させる。
図8(C)はリボン交換位置Pcを移動開始位置とした場合のキャリッジ19の速度の変化を示、図8(D)はリボン交換位置Pcの中央寄りの位置を移動開始位置とした場合の速度の変化を示す。
図8(C)の例では、CPU61の制御によりキャリッジ駆動モーター35に通電開始されてからキャリッジ19は加速区間Taで徐々に加速され、記録媒体100の端位置Peを越えるまでに上限の速度すなわち最高速度に達する。最高速度とは、キャリッジ19を加速する目標速度と言い換えることができる。
これに対し、図8(D)の例ではキャリッジ19の移動を開始してから加速区間Taが過ぎる前に記録媒体100の端位置Peに達する。このため、キャリッジ19が端位置Peを越えるときの速度は最高速度より低速である。
図9は、プリンター10の動作を示す説明図であり、(A)はキャリッジ19の走査範囲と記録媒体100の位置関係を示す断面図、(B)はキャリッジ19の移動速度の変化を示す図表である。
プリンター10は、CPU61の制御によりキャリッジ19を移動させる際に、移動開始位置がホームポジションPaまたはリボン交換位置Pcである場合には、設定されているキャリッジ19の最高速度Vhを、より低速の速度Vdに変更して、キャリッジ駆動モーター35を駆動する。移動開始位置が走査範囲Waの端部でなければ、記録媒体100の端位置Peまでに最高速度Vhへの加速区間Taが終了する可能性が低いため、文字抜けを回避できる。キャリッジ19を逆方向に移動させるパスにおいても同様であり、シートガイド跳ね上げ位置Pbまたは幅検出開始位置Pdを移動開始位置とした場合、キャリッジ19が端位置Peに達するまでに、キャリッジ19の速度が最高速度Vhに達している可能性は高い。
この図10に示す動作は、CPU61によって、フラッシュメモリー64に記憶された制御プログラムを読み出して実行することにより、実現される。この図10に示す動作の実行時、CPU61は記録制御手段として機能する。
プリンター10のCPU61は、挿入センサー53によって手差口15から記録媒体100が挿入されたことを検出すると(ステップS11)、整列モーター37によって整列板54を搬送経路Cに進出させて、搬送モーター36により第1搬送機構部24を駆動し、記録媒体100を整列させる(ステップS12)。CPU61は、整列センサー52の検出値に基づいて整列が完了したことを検出すると、ホストコンピューター68から送信された記録位置指定コマンドを受信し(ステップS13)、このコマンドにより指定された記録開始位置まで記録媒体100を搬送する(ステップS14)。
キャリッジ19の移動開始位置が特定の位置でなければ(ステップS27;No)、CPU61はステップS19に移行して記録を実行する。また、キャリッジ19の移動開始位置が特定の位置Pa、Pb、Pc、Pdである場合は(ステップS27;Yes)、CPU61は、キャリッジ19の最高速度を予め設定された低速側の速度に変更して、キャリッジ19を移動開始位置まで移動させ(ステップS28)、ステップS20に移行する。ここで、キャリッジ19の移動速度の上限(最高速度)を変更した後は、その1パスにおいては変更された移動速度の上限が維持されるが、次以後のパス、すなわちキャリッジ19の走査方向を逆に切り替えた後では、移動速度の上限は予め設定されている速度に戻される。これにより、キャリッジ19の移動速度の上限を抑えるパスが最小限に止まるので、スループットの低下を防止できる。
図11は、第2の実施形態に係るプリンター10の動作を示す説明図であり、(A)はキャリッジ19の走査範囲と記録媒体100の位置関係を示す断面図、(B)はキャリッジ19の移動速度の変化を示す図表である。
また、図12はプリンター10の動作を示すフローチャートである。
本第2の実施形態において、プリンター10の機械的構成および図7に示す制御系の各ブロックは上記第1の実施形態と同様であるため、図示及び説明を省略する。
第2の実施形態においては、1パスの記録を実行する前に、キャリッジ19の移動速度の上限がしきい値より高速か否か(ステップS18)、及び、記録媒体100が厚みのある冊子形態であるか否か(ステップS25)を判別し、記録媒体100が冊子形態である場合には、キャリッジ19の移動開始位置を特定する(ステップS31)。
次いで、CPU61は、キャリッジ19の移動開始位置から、記録媒体100の端位置Peまでの距離が、設定されている最高速度を適用した場合の加速区間より長いか否かを判別する(ステップS32)。そして、上記の距離が加速区間以下の場合は(ステップS32;No)、CPU61はステップS19に移行し、加速区間よりも長い場合には(ステップS32;Yes)、ステップS28に移行して、キャリッジ19の最高速度を予め設定された低速側の速度に変更して、キャリッジ19を移動開始位置まで移動させ、ステップS20に移行する。
さらに、プリンター10は、1つのホストコンピューター68に接続される形態に限らず、複数のホストコンピューター68に接続されてもよいし、通信ネットワークを介してホストコンピューターに接続される構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、本発明をプリンター10に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、他の機器(複写機等)に組み込まれた記録装置に適用することも可能である。その他、上記実施の形態に係る他の細部構成についても、任意に変更可能であることは勿論である。
Claims (6)
- 記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを往復移動させるヘッド移動手段と、
前記記録ヘッドの移動範囲内にある記録媒体に対し、前記記録ヘッドを移動させて記録を行う記録制御手段と、を備え、
前記記録制御手段は、前記記録媒体から外れた移動開始位置にある前記記録ヘッドを前記記録媒体の端を越えて前記記録媒体上に移動させて記録を行う場合に、前記記録ヘッドを目標速度まで加速して移動させる制御を行い、
前記目標速度の設定値がしきい値より高速であって、前記移動開始位置と前記記録媒体の端との間の距離が、前記記録ヘッドを前記目標速度まで加速するための加速区間の長さより長い場合に、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更すること、
を特徴とする記録装置。 - 前記記録制御手段は、前記記録ヘッドを移動させるコマンドを実行して、前記記録ヘッドの移動可能範囲内で予め設定された特定の位置に前記記録ヘッドを移動させる制御を実行可能であり、
前記特定の位置は、前記特定の位置と前記記録媒体の端との間の距離が前記加速区間より長くなる位置に設定され、
前記コマンドを実行してから前記特定の位置を前記移動開始位置として前記記録動作を開始する際には、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更することを特徴とする請求項1記載の記録装置。 - 前記記録制御手段は、前記記録媒体が冊子形態である場合に、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更することを特徴とする請求項1または2記載の記録装置。
- 前記記録制御手段は、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更して前記記録ヘッドを移動させて記録を行い、前記記録ヘッドの移動方向を逆に切り替えた後に、前記目標速度を変更前の前記設定値に戻すことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
- 前記記録制御手段は、前記移動開始位置から前記記録媒体の端位置までの長さが、前記目標速度が設定可能な最高速度である場合の前記加速区間の長さ以上の場合に、前記記録ヘッドの移動速度の上限を変更することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
- 記録ヘッドと、前記記録ヘッドを往復移動させるヘッド移動手段とを備えた記録装置を制御するための制御方法であって、
前記記録ヘッドの移動範囲内にある記録媒体に対し、前記記録ヘッドを移動させながら記録を行い、前記記録媒体から外れた移動開始位置にある前記記録ヘッドを前記記録媒体の端を越えて前記記録媒体上に移動させて記録を行う場合に、前記記録ヘッドを目標速度まで加速して移動させる制御を行い、前記目標速度の設定値がしきい値より高速であって、前記移動開始位置と前記記録媒体の端との間の距離が、前記記録ヘッドを前記目標速度まで加速するための加速区間の長さより長い場合に、前記目標速度を前記設定値より低い速度に変更すること、
を特徴とする記録装置の制御方法。
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