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JP5625328B2 - 非水電解質二次電池用集電体およびこれを用いた負極 - Google Patents

非水電解質二次電池用集電体およびこれを用いた負極 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質二次電池用集電体およびこれを用いた負極、特に、リチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池に適した銅多孔質焼結体を用いた集電体および負極に関するものである。
近年、非水電解質二次電池、中でもリチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池が、電気自動車、ハイブリッド型自動車等にも用いられるようになり、そのような用途拡大に伴って、電池における電極集電体に、高容量化、高出力化、高信頼性等への対応が要求されている。
一般的に、リチウムイオン二次電池は、正極活物質として、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)及びこれらの固溶体であるLi(Co1−xNi)O、又はスピネル型構造を有するLiMn等のリチウム遷移金属酸化物を、負極活物質として、黒鉛等の炭素材料を用い、また、液体の有機化合物からなる溶媒とリチウム化合物からなる溶質とを非水電解質として用いている。
このリチウムイオン二次電池は、充電時には、正極活物質であるリチウム遷移金属酸化物中のリチウム原子(Li)が、リチウムイオン(Li)となって負極の炭素層間に挿入される(インターカレーション)。一方、放電時には、リチウムイオン(Li)が、炭素層間から離脱(デインターカレーション)して正極に移動し、元の正極活物質に挿入される。このリチウムイオンの挿入脱離により充放電反応が進行している。
このようなリチウムイオン二次電池は、それぞれ、正極・負極集電体としての金属箔の上に、正極・負極活物質を塗布して、正極・負極を作製し、これらを捲回あるいは積層して構成されている。従来、リチウムイオン二次電池は、主に、携帯電話、ノートパソコン等のポータブル機器の電源として用いられてきた。しかしながら、上述のように、近年、電気自動車、ハイブリッド型自動車等にも用いられるようになり、そのような用途拡大に伴って、リチウムイオン二次電池に、高容量化、高出力化、高信頼性等への対応が要求されている。
ここで、リチウムイオン二次電池の高容量化のために、正極・負極の面積を大きくすると、電極を巻回または積層するときに、小型電池の場合と比べて、製造工程が煩雑化し、製造効率が大きく低下するという問題がある。この結果、電池製造自体が困難となり、さらに、大型電池特有の異常時の大電流への安全対策も必要となる。
そこで、リチウムイオン二次電池の高容量化、サイクル寿命の長期化を目的として、集電体に金属多孔体を用いるリチウムイオン二次電池が提案されている(特許文献1)。しかしながら、上記リチウムイオン二次電池では、炭素系材料を代表とする負極活物質の容量がサイクル寿命等により減少する場合に、負極活物質の層間に挿入できなくなったリチウムが、負極近傍でデンドライトを形成し、電池が内部短絡を起こす可能性があることがわかった。
特開2008−10316号公報
本発明は、リチウムイオン二次電池をはじめとする非水二次電池の負極活物質の容量減少に由来するリチウムのデンドライト形成による電池短絡を抑制するための、非水電解質二次電池用集電体およびこれを用いた負極を提供することを目的とする。
本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した非水電解質二次電池用集電体およびこれを用いた非水電解質二次電池用負極、非水電解質二次電池に関する。
(1)銅多孔質焼結体を備える集電体であって、前記銅多孔質焼結体が、平均粒子径が0.5〜500μmの銅粉を用いて焼結され、全体気孔率が70〜99%であり、三次元網目構造の金属骨格を有し、かつ前記金属骨格間に空孔を有し、さらに前記銅多孔質焼結体の金属骨格の端部の片面または両面に、絶縁体が形成されているか、あるいは前記銅多孔質焼結体の金属骨格の片面または両面に、高分子ゲル電解質または固体電解質が形成されていることを特徴とする、非水電解質二次電池用集電体。
(2)上記(1)記載の集電体と、前記集電体の銅多孔質焼結体の空孔内に活物質および結合剤を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極。
(3)活物質が、炭素材料である、上記(2)記載の非水電解質二次電池用負極
(4)上記(2)または(3)記載の非水電解質二次電池用負極を含む、非水電解質二次電池。
本発明(1)によれば、三次元網目構造の金属骨格を有する銅多孔質焼結体の空孔内に負極活物質を含有させることにより、負極活物質近傍でリチウムのデンドライトが発生しても、銅多孔質焼結体の金属骨格内にデンドライトが保持されることにより電池短絡が抑制され、さらに銅多孔質集電体に形成された、絶縁体、高分子ゲル電解質または固体電解質により、リチウムのデンドライトによる電池短絡が抑制される、2段階での電池短絡に対する抑制が可能な非常に高信頼性の非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明(2)によれば、高信頼性の非水電解質二次電池用電池を容易に得ることができる。
銅多孔質焼結体の形状を示す斜視図である。 本発明の集電体の断面図の一例である。 実施例、従来例で作製したコインセルの断面図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量基準の%である。
〔非水電解質二次電池用集電体〕
本発明の非水電解質二次電池用集電体は、銅多孔質焼結体を備える集電体であって、前記銅多孔質焼結体が、三次元網目構造の金属骨格を有し、かつ前記金属骨格間に空孔を有し、さらに前記銅多孔質焼結体の片面または両面に、絶縁体、高分子ゲル電解質または固体電解質が形成されていることを特徴とする。
銅多孔質焼結体が、三次元網目構造の金属骨格を有し、かつ前記金属骨格間に空孔を有する。より詳しくは、銅多孔質焼結体は、三次元網目構造の金属骨格により、空孔を形成する。また、金属骨格自体も、高気孔率であるという特徴を有する。図1に、銅多孔質焼結体の形状を示す斜視図を示す。
銅多孔質焼結体の金属骨格は、所望の銅多孔質焼結体強度、空孔径および空孔率を得るために、金属骨格径(金属骨格を形成する各金属骨の最も細い部分の太さ)が5〜100μmであることが好ましい。また、この金属骨格は、孔径0.1〜3μmの骨格内空孔を有するものが好ましい。ここで、金属骨格径および骨格内空孔の空孔径は、骨格表面および骨格断面の走査電子顕微鏡写真により測定する。
また、金属骨格間の空孔(以下、骨格間空孔という)は、活物質、Liイオン導電性物質等を含ませやすくする観点、および電解液との良好な導電性確保の観点から、連通していることが好ましい。
骨格間空孔の空孔径は、所望量の活物質を充填させる観点から、20〜500μmであることが好ましい。なお、圧延後には、骨格間空孔の空孔径は、銅多孔質焼結体の長手方向が長い楕円形状となり、長手方向の空孔径は、30〜600μmであると好ましく、厚さ方向の空孔径は、10〜200μmであると好ましい。ここで、空孔径は、試料の表面および断面の走査電子顕微鏡写真により測定する。
銅多孔質焼結体の全体気孔率は、所望量の活物質を充填させる観点から、70〜99%であることが好ましく、80〜97%であると、より好ましい。なお、圧延後の空孔率は、10〜60%であると好ましく、15〜40%であると、より好ましい。ここで、気孔率は、銅多孔質焼結体の寸法、質量、および密度から算出する。
銅多孔質焼結体の厚さは、非水電解質二次電池のエネルギー密度向上の観点から、圧延前で0.05〜5mmであると好ましく、0.1〜3mmであると、より好ましい。銅多孔質焼結体の厚さは、圧延後では0.03〜3mmであると好ましく、0.8〜2.5mmであると、より好ましい。
銅多孔質焼結体の幅は、一般的には、非水電解質二次電池の形状から決定されるが、複数個分の幅で銅多孔質焼結体を作製した後、活物質を含有し、圧延した後、スリット等により1個分の幅とすることもできる。
銅多孔質焼結体は、通常、ロール状で作製されるので、銅多孔質焼結体の長さは、通常、多数個分の長さで作製され、活物質を含有し、圧延した後、カット等により1個分の長さとされる。
上記銅多孔質焼結体の片面または両面に形成される絶縁体としては、非水電解質に溶解しないことが必要であり、活物質の結合剤として使用されるものや、セパレーターとして使用されるもの等が挙げられる。活物質の結合剤として好適な材料は、後述する。セパレーター材料として、好適な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体等の熱可塑性樹脂、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、それらの共重合体、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスまたはそれらの混合物等の合成ワックス、カルナバワックス等の天然ワックスあるいはそれらの誘導体又はそれらの混合物が挙げられる。
体電解質が形成されていることを特徴とする。
上記銅多孔質焼結体の片面または両面に形成される高分子ゲル電解質としては、特に限定されないが、イオン伝導性を有する電解質用高分子に電解液を含んだもの、イオン伝導性を持たない電解質用高分子の骨格中に同様の電解液を保持させたもの等が挙げられる。ここで、イオン伝導性を有する電解質用高分子としては、後述する高分子系の固体電解質等が用いられる。
また、イオン伝導性を持たない電解質用高分子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVDF−HFP)共重合体、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のゲル化ポリマーを形成するモノマーが使用できる。ただし、これらに限定されるわけではない。なお、PAN、PMMA等は、どちらかといえばイオン伝導性がほとんどない部類に入るものであるため、上記イオン伝導性を有する電解質用高分子とすることもできるが、ここでは高分子ゲル電解質に用いられるイオン伝導性を持たない電解質用高分子として例示した。
高分子ゲル電解質に含まれる電解液としては、上記の電解質塩を含み、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等のエーテル類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル等のニトリル類;プロピオン酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;酢酸メチル、蟻酸メチルの中から選ばれる少なくともから少なくとも1種以上を混合した、非プロトン性溶媒等の有機溶媒(可塑剤)を用いたもの等が挙げられる。
高分子ゲル電解質中の電解質用高分子(ホストポリマー)と電解液との比率(質量比)は、使用目的等に応じて決定すればよいが、2:98〜90:10の範囲である。これにより、電極活物質層の外周部からの電解質の染み出しについても、絶縁層や絶縁処理部を設けることで効果的にシールすることができる。
上記銅多孔質焼結体の片面または両面に形成される固体電解質としては、イオン伝導性を有するものであれば特に限定されない。例えば、無機系の固体電解質であれば、チオリシコンやLiSiO−LiBOやLiX−LiO−M(X=I,Br,Cl;M=B,Si,P等、m,nは1〜5の数である)等のリチウムイオン導電性ガラス等が挙げられ、高分子系の固体電解質であれば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、これらの共重合体等が挙げられる。ポリアルキレンオキシド系高分子は、電解質塩をよく溶解し、また、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度が発現する。ここで、電解質塩としては、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSON等の有機酸陰イオン塩等が挙げられる。
図2に、本発明の集電体の断面図の一例を示す。銅多孔質焼結体1の表面に絶縁体2が形成されている。銅多孔質焼結体1の表面に、絶縁体が形成される場合には、図2に示すように、銅多孔質焼結体1の金属骨格の端部(外表面)に絶縁体2が形成されていて、空孔部には形成されていないことが好ましい。なお、銅多孔質焼結体の空孔の一部を絶縁体が覆っているとリチウムのデンドライトによる電池短絡をより確実に抑制する観点から好ましいが、全部を覆うとLiイオンの移動を妨げるため好ましくない。
また、銅多孔質焼結体の表面に、高分子ゲル電解質または固体電解質が形成されているときには、図2に示すように、銅多孔質焼結体1の金属骨格の端部に形成されていると、Liイオンの移動し易さの観点から好ましいが、高分子ゲル電解質または固体電解質が、銅多孔質焼結体の空孔の一部または全部を覆っているとリチウムのデンドライトによる電池短絡をより確実に抑制する観点から好ましい。なお、絶縁体、高分子ゲル電解質または固体電解質を銅多孔質集電体の片面または両面のいずれに形成するかは、非水二次電池の構造により、適宜選択することができる。なお、絶縁体、高分子ゲル電解質または固体電解質の厚さは、電池短絡をより確実に抑制する観点から、5〜100μmが好ましい。
〔非水電解質二次電池用電極〕
本発明の非水電解質二次電池用電極は、上記集電体と、上記集電体の銅多孔質焼結体の空孔内に活物質および結合剤を含むことを特徴とする。
銅多孔質焼結体の空孔内に含有される活物質としては、炭素材料が好ましく、石油系コークス;人造黒鉛、天然黒鉛等のグラファイト;グラファイト化メソフェーズ小球体等の炭素質材料が好ましい。この活物質は、平均粒子径が2〜20μmの粉末であると、非水電解質二次電池の高出力化の観点から好ましい。ここで、平均粒子径は、レーザー回折法によって測定する。
銅多孔質焼結体の空孔に含有される結合剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、SBR、ポリイミド等が挙げられるが、これらに限定されない。
銅多孔質焼結体100質量部に対して、活物質を100〜800質量部含むと、非水電解質二次電池のエネルギー密度向上の観点から好ましく、250〜750質量部含むとより好ましい。ここで、活物質の定量分析は、ICP法で行う。
銅多孔質焼結体100質量部に対して、結合剤を2〜80質量部含むと、銅多孔質焼結体の空孔内に活物質を適切に保持し、活物質の欠落を防止する観点から好ましい。
また、銅多孔質焼結体の空孔内には導電助剤を含有させてもよく、導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等を挙げることができるが、これらに限定されない。
銅多孔質焼結体100質量部に対して、導電助剤を1〜100質量部含むと、非水電解質二次電池の高出力化、および活物質の欠落を防止する観点から好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用電極を使用するときの非水電解質としては、上述した電解液が挙げられるが、通常の二次電池で用いられるものであればよく、特に限定されない。
〔非水電解質二次電池用集電体の製造方法〕
銅多孔質焼結体の製造方法は、公知であり、例えば、以下のようにして製造することができる。原料として、炭素数5〜8の非水溶性炭化水素系有機溶剤:0.05〜10質量%;界面活性剤:0.05〜5質量%;水溶性樹脂結合剤:0.5〜20質量%;平均粒径:0.5〜500μmの銅粉:5〜80質量%;必要に応じて、多価アルコール、油脂、エーテル、およびエステルのうちの1種または2種以上からなる可塑剤:0.1〜15質量%;水:残部、からなる配合組成を有する混合物を、公知のプラネタリーミキサー、ボールミル、ヘンシェルミキサー等を用いて、作製する。この混合物を、例えば、公知のドクターブレード法やスリップキャスト法などの方法で所定形状の成形体に成形した後、この成形体を5℃以上の温度に保持すると、水よりも大きい蒸気圧を有する非水溶性炭化水素系有機溶剤が気化し、ガスとなって成形体から蒸発するので、成形体内に、微細で整寸された気泡が多数発生した多孔質成形体が、形成される。この多孔質成形体は、水溶性樹脂結合剤によってハンドリング可能な強度をもち、また可塑剤によって可塑性も具備する。この多孔質成形体を、水素を含む還元雰囲気中、850〜1050℃で5〜30分間焼結すると、三次元網目構造の金属骨格を有し、かつ前記金属骨格間に空孔を有する銅多孔質焼結体が得られる。
銅多孔質焼結体に、絶縁体、高分子ゲル電解質または固体電解質(以下、「絶縁体等」という)を形成する方法は、絶縁体等のスラリーを調整して、銅多孔質焼結体面に塗工し、成膜後多孔質化するする方法、絶縁体等から予めフイルムを形成し、これを銅多孔質焼結体面にラミネートし、多孔質化する方法、あるいは絶縁体等のフイルムを離型紙等の基材面に形成し、これを銅多孔質焼結体面に網点状に転写する方法、絶縁体等のスラリーを印刷方法によって網点状に印刷する方法等が挙げられるが、銅多孔質焼結体面と絶縁体等との密着性を考慮すれば、絶縁体等のスラリーを塗工し、多孔質化する方法が簡便であり好適である。絶縁体等のスラリーの粘度が低ければ、塗工された薄膜状の絶縁体等のスラリーに、銅多孔質焼結体面を接触させることにより、多孔質化した絶縁体等を形成することができる。なお、銅多孔質焼結体に、固体電解質を形成する場合には、蒸着法等を用いることもできる。
絶縁体等を多孔質化する方法としては、(1)感熱ヘッドやフラシュ露光等を用い、絶縁体等に孔をあけ、多孔質化する方法、(2)溶融転写方式を用い、フイルム上に絶縁体等を形成した後、感熱ヘッド若しくはレーザー光により、フイルム側から絶縁体等を電極板面に網点状に溶融転写させて多孔質化する方法、(3)スクリーン印刷にて絶縁体等のスラリーを銅多孔質焼結体面に網点状に印刷して多孔質層とする方法、(4)グラビアロールを用いて絶縁体等のスラリーを銅多孔質焼結体面に網点状に印刷して多孔質化する方法、等が挙げられるが、上記例示の方法に限定されない。
〔非水電解質二次電池用電極の製造方法〕
活物質、および結合剤、場合により導電助剤を含むスラリーは、例えば、以下のようにして得ることができる。まず、活物質、導電助剤等を均一に混合した後、有機溶媒、結合剤を加えて、スラリーとする。または、導電助剤を有機溶媒に分散した後、活物質、結合助剤を加える、あるいは、結合剤を有機溶媒に溶解、または均一に分散させ、この混合液と活物質粉末、導電助剤を混合してスラリーとする、等の方法があるが、特に限定されない。このとき、用いる装置は、プラネタリーミキサー、ボールミル、ヘンシェルミキサー等の当業者が通常使用するものでよい。ここで、有機溶媒は、次の銅多孔質焼結体を、スラリーに浸漬させる工程で、銅多孔質焼結体にスラリーが容易に浸漬できる粘度、例えば10〜60Pa・s、となるように加えることが好ましい。
上記結合剤を溶解または分散させる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン(以下、THFという)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル等が使用できるが、乾燥により選択的にこの有機溶媒を除去するため、THF、アセトン等の沸点100℃以下の揮発性の有機溶媒、あるいは結合剤の溶解能力が高いN−メチルピロリドンが好ましい。
次に、銅多孔質焼結体の空孔に、活物質のスラリーを充填し、乾燥する。充填させる方法は、銅多孔質焼結体を活物質のスラリーにディッピングする方法、銅多孔質焼結体の上部からスラリーを注ぐ方法等が挙げられ、さらに、2本のロール間を通したり、へらでこすったりして表面に付着した余剰の活物質のスラリーを内部に押し込むことによって、より効果的に銅多孔質焼結体の空孔に活物質を充填することができる。乾燥は、大気中で放置してもよく、乾燥機等を用いてもよい。乾燥後、銅多孔質焼結体と、活物質および結合剤等との質量比を測定し、活物質および結合剤等の質量比が低い場合には、再度、浸漬・乾燥を繰り返し、所望量とすることができる。他方、活物質および結合剤等の質量比が高い場合には、スラリーの粘性を低くして、浸漬・乾燥をやり直し、所望量とすることができる。なお、銅焼結体に、活物質スラリーを浸漬した後、銅多孔質集電体の片面または両面に、絶縁体、高分子ゲル電解質または固体電解質を形成して、負極を製造することもできる。
次に、活物質および結合剤を含む銅多孔質焼結体を圧延し、非水電解質二次電池用電極を得る。圧延により銅多孔質焼結体を所望の厚さまで、圧延することができ、電極体の空隙率を減少させ、電極密度を高めることができる。ここで、電極厚さは、0.03〜3mmであると、好ましい。ここで、プレス等によっても銅多孔質焼結体の密度を高くすることができるが、生産性の観点から圧延が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用電極は、高信頼性の非水電解質二次電池に、非常に有効に利用される。
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔銅多孔質焼結体の製造〕
まず、平均粒子径:15μmの銅粉末:500gを用意した。バインダー溶液は、バインダー溶液:100質量部に対して、カルボキシメチルセルロースアンモニウム:5質量部、グリセリン:10質量部、ポリエチレングリコール:10質量部、アルキルベタイン:1質量部、残部水の比率で、合計500gで調製した。
銅粉末:50質量部と、バインダー溶液:49質量部と、ヘキサン:1質量部を合計500gで混合して、粘性組成物を調製した。
次に、この粘性組成物を、ドクターブレード法にて剥離剤が塗布されたポリエチレンシート上に引き伸ばして塗布し、温度および湿度を一定時間保持するよう管理して、気泡を整寸化した後、大気乾燥機にて温度70℃で乾燥させた。このときの粘性組成物の塗布厚さは、0.35mmであり、上記温度は35℃、湿度は90分、および保持時間は20分であった。続く乾燥は、70℃で50分間行った。そして、乾燥後の粘性組成物を、ポリエチレンシートから剥がし、直径100mmの円形に切り出して、焼結前成形体を得た。
この焼結前成形体を、ジルコニア敷粉を敷いたアルミナセッターの上に載置して、大気雰囲気中で仮焼成(脱バインダー)を行った後に、加熱焼成し、銅多孔質焼結体を得た。脱バインダーは、600℃で30分間行った。加熱焼成は、窒素水素混合雰囲気中、1000℃で15分間行った。得られた銅多孔質焼結体の厚さは、1.2mmだった。
〔銅多孔質焼結体と絶縁体を備えた集電体1の製造〕
三洋化成工業製ポリエチレンワックス(数平均分子量:4000、軟化点:152℃)を170℃で溶融させた融液に、得られた銅多孔質焼結体の表面(片面)を接触させ、集電体1を製造した。得られた集電体1の厚さは、1.22mmだった。
〔銅多孔質焼結体とポリマー電解質を備えた集電体2の製造〕
フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(エルフアトケム製、Kynar2801:ヘキサフルオロプロピレン12wt%含有品)40gを、ジメチルカーボネート200gに60℃で溶解した後、1M LiPF/EC+PC(1:1(体積比))の非水電解質80gを撹拌混合し、ポリマー電解質スラリーを調整した。ポリマー電解質スラリーに、得られた銅多孔質焼結体の表面(片面)を接触させ、集電体2を製造した。得られた集電体2の厚さは、1.23mmだった。
〔銅多孔質焼結体と固体電解質を備えた集電体3の製造〕
直径:100mm、厚さ:0.03mmで、プロピレンカーボネート電解液を含むポリエチレンオキシドの固体電解質薄板を用意した。得られた銅多孔質焼結体の表面(片面)を、固体電解質薄板の一面に熱圧着し、集電体3を製造した。得られた集電体3の厚さは、1.22mmだった。
〔非水電解質二次電池用電極の製造〕
(実施例1)
活物質として人造黒鉛粉末と、結合剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、質量比90:10で、合計200g混合して負極剤を調製し、この負極剤に溶剤としてN−メチル−2ピロリドン162gを混合して負極活物質スラリーを調製した。
次に、この負極活物質スラリーに、作製した集電体1の絶縁体を形成していない面を10分間浸漬し、取り出して乾燥させた後に、圧延して厚さ0.5mmの実施例1のリチウムイオン電池の負極を作製した。ここで、負極活物質スラリーに、集電体1を浸漬し、乾燥した後、圧延前に、集電体1表面に付着した負極活物質スラリーを拭き取り、ほぼ全量の活物質、導電助剤および結合剤が、集電体1の空孔内に含まれるようにした。なお、浸漬時には、絶縁体に負極活物質スラリーが侵入しないよう留意した。
(実施例2、3)
実施例2は、集電体1の替わりに集電体2を使用した以外は、実施例1と同様にして、実施例3は、集電体1の替わりに集電体3を使用した以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池の負極を作製した。
(従来例1)
従来例1の負極としては、銅多孔質焼結体をそのまま集電体として用いた以外は、実施例1と同様にして、リチウムイオン電池の負極を作製した。
〔非水電解質二次電池用電極の性能試験〕
(放電容量試験)
非水電解質二次電池の試験セルを作製した。図3に、用いた試験セルの構成の模式図を示す。
活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)粉末と、導電材としてケッチェンブラック(KB)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、質量比80:10:10で、合計200g混合して正極剤を調製し、この正極剤に溶剤としてN−メチル−2ピロリドン162gを混合して、正極活物質スラリーを調製した。この正極活物質スラリーをアルミニウム箔上に塗布、乾燥した後、幅:30mm、長さ:40mmに切断し、正極10とした。これに、アルミニウム製の正極集電タブ10aを溶接した。
負極11として、実施例1〜3および従来例の負極を、それぞれ、幅:30mm、長さ:40mmに切断し、ニッケル製の負極集電タブ11aを溶接した。
また、セパレーター12として、ポリプロピレン微多孔膜(厚さ:20μm)のセパレーター12を幅:32mm、長さ:42mmに切断した。これらを、負極集電タブ11a、負極11、セパレーター12、正極10、正極集電タブ10aの順に重ねて、積層体を作製した。このとき、絶縁体等とセパレーター12が接触するように配置した。
上記積層体が収容可能な大きさに切断された、一対のアルミニウムラミネートフィルム13a、13bの3辺の溶着部13cをヒートシールし、外装体13とした。
不活性雰囲気中で、外装体13の開口部からに上記積層体を挿入し、外装体13内に積層体を収容するとともに、1M LiPF/EC+PC(1:1(体積比))の非水電解質を注液した後、この外装体13の開口部をヒートシールして密閉し、試験セルを作製した。
上記試験セルを、放電レート:2C、放電電圧:4.2〜2.8Vで放電を行った。表1に、これらの結果を示す。
(信頼性試験)
上記試験セルを、充放電レート:2C(CVCC充電で45分)、充放電電圧:2.8〜4.2Vでの条件で、「充電→レスト:15分→放電→レスト:15分」を1サイクルとして、サイクル試験を行った。表1に、200サイクル後の放電容量の結果を示す。また、〔「200サイクル後の放電容量」/「初回の放電容量」〕を容量維持率(単位は「%」)とした。表1に、容量維持率の結果を示す。表1に、これらの結果を示す。
表1からわかるように、実施例1〜3の負極は、初回の放電容量が高く、200サイクル後の容量維持率も92.4〜94.8%と非常に良好であった。これに対して、従来例1の負極は、200サイクル後の容量維持率が85.5%と低い結果であった。
以上のように、本発明の非水電解質二次電池用集電体およびこれを用いた負極により、高信頼性の非水電解質二次電池を製造することができる。
1 銅多孔質焼結体
2 絶縁体
10 正極
10a 正極集電タブ
11 負極
11a 負極集電タブ
12 セパレーター
13 外装体
13a、13b アルミニウムラミネートフィルム
13c 溶着部

Claims (4)

  1. 銅多孔質焼結体を備える集電体であって、前記銅多孔質焼結体が、平均粒子径が0.5〜500μmの銅粉を用いて焼結され、全体気孔率が70〜99%であり、三次元網目構造の金属骨格を有し、かつ前記金属骨格間に空孔を有し、さらに前記銅多孔質焼結体の金属骨格の端部の片面または両面に、絶縁体が形成されているか、あるいは前記銅多孔質焼結体の金属骨格の片面または両面に、高分子ゲル電解質または固体電解質が形成されていることを特徴とする、非水電解質二次電池用集電体。
  2. 請求項1記載の集電体と、前記集電体の銅多孔質焼結体の空孔内に活物質および結合剤を含むことを特徴とする、非水電解質二次電池用負極。
  3. 活物質が、炭素材料である、請求項2記載の非水電解質二次電池用負極
  4. 請求項2または3記載の非水電解質二次電池用負極を含む、非水電解質二次電池。
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