JP5609105B2 - ラニチジン含有被覆粒子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1].合成ヒドロタルサイト、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水燐酸カルシウム、ゼオライト及びスメクタイトから選ばれる担持体に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥して得られた、ラニチジンが上記担持体内部に担持されたラニチジン担持粒子の表面が、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000及びポリエチレングリコール20000から選ばれるポリエチレングリコールで被覆されたラニチジン含有被覆粒子。
[2].ポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール6000である[1]記載のラニチジン含有被覆粒子。
[3].担持体が、合成ヒドロタルサイト、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水燐酸カルシウム及びゼオライトから選ばれる担持体である[1]又は[2]記載のラニチジン含有被覆粒子。
[4].ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液が、ラニチジン塩酸塩の溶液又は分散液であって、担持体の割合が、ラニチジン塩酸塩1質量部に対し1〜5質量部であり、ポリエチレングリコールの割合が、ラニチジン担持粒子1質量部に対し0.5〜2質量部である[1]〜[3]のいずれかに記載のラニチジン含有被覆粒子。
[5].[1]〜[4]のいずれかに記載のラニチジン含有被覆粒子を含む粒状医薬製剤。
[6].下記(1)〜(4)の工程を含む[1]記載のラニチジン含有被覆粒子の製造方法。
(1)担持体にラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥して担持体内部にラニチジンを担持させたラニチジン担持粒子を得る工程
(2)得られたラニチジン担持粒子と、ポリエチレングリコールとを、粉体混合する工程
(3)得られた粉体混合物を、流動又は攪拌状態にて加温する加温処理工程
(4)加温処理工程後、流動又は攪拌状態にて冷却する冷却処理工程
本発明のラニチジン含有被覆粒子は、ラニチジンが担持体内部に担持されたラニチジン担持粒子の表面が、融点45℃以上のポリエチレングリコールで被覆されたものである。以下、I.ラニチジン担持粒子、II.ラニチジン含有被覆粒子、III.粒状医薬製剤の順に説明する。
[ラニチジン]
ラニチジンとしては、ラニチジン及びその薬学的に許容される塩が利用できる。具体的にはラニチジン塩酸塩が好ましく、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。ラニチジン含有被覆粒子に対するラニチジン含有量は、ラニチジン塩酸塩量として5〜20質量%が好ましい。また、粒状医薬製剤に対するラニチジン含有量は、ラニチジン塩酸塩として通常治療で用いられる摂取範囲となるように適宜選定される。例えば、1日摂取量が50〜300mg程度、好ましくは150〜300mgとなるように適宜選定される。
ラニチジンを担持する担持体としては、担持体内部にラニチジンを担持できるものであれば特に限定されないが、水難溶性又は水不溶性の多孔質体(粒子)、繊維同士の絡みの間にラニチジンを担持できる繊維粒子、層状粘土鉱物等が挙げられる。多孔質体としては、合成ヒドロタルサイト、含水二酸化ケイ素(無水ケイ酸)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水燐酸カルシウム、ゼオライト等が挙げられ、繊維粒子としては、結晶セルロース等が挙げられ、層状粘土鉱物としてはスメクタイトが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、水難溶性又は水不溶性の多孔質体が好ましく、ラニチジン塩酸塩の安定化効果の点から、合成ヒドロタルサイトが好ましい。なお、本発明において、水難溶性とは、水1000mL中の溶解量が1g未満であるものをいう。
本発明の担持粒子は、上記担持体内部にラニチジンを担持させたものであり、例えば、担持体に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥することにより得ることができる。含浸の方法としては、担持体に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を噴霧する方法が挙げられる。ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液の溶媒としては、水、エタノール、水−エタノール混合溶液等が挙げられる。噴霧後又は噴霧乾燥後に、結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん又はゼラチン等の分散液を別途噴霧してさらに造粒してもよい。結合剤の中でも、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。溶液又は分散液中のラニチジン塩酸塩の濃度は10〜75質量%が好ましく、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルファ化でんぷん又はゼラチン等の溶液又は分散液中の濃度は1〜20質量%が好ましい。
本発明のラニチジン含有被覆粒子は、上記ラニチジン担持粒子の表面が、融点45℃以上のポリエチレングリコールで被覆されたものである。
融点45℃以上のポリエチレングリコールは上記ラニチジン担持粒子を被覆するものである。このような特定のポリエチレングリコールで被覆することにより、担持体内部の水溶性のラニチジン溶出性を維持したままで、ラニチジンの苦味マスキング効果が向上する。被覆剤として油脂成分等を用いた場合には溶出性が悪くなる。本発明においては、融点45℃以上のポリエチレングリコールであり、常温で固体のポリエチレングリコールで粉末(好適には平均粒径D50は20〜200μm)が好ましい。融点45℃以上のポリエチレングリコールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール4000(融点53〜57℃)、ポリエチレングリコール6000(融点56〜61℃)、ポリエチレングリコール20000(融点56〜64℃)等が挙げられる。中でも、ポリエチレングリコール6000が好ましい。なお、ポリエチレングリコール6000等は日本薬局法に基づくものであり、融点は示差走査熱量計を用いて測定された値である。
本発明のラニチジン含有被覆粒子は、上記ラニチジン担持粒子の表面が、融点45℃以上のポリエチレングリコールで被覆されたものであり、例えば、下記工程により得ることができる。
(1)担持体にラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥して担持体内部にラニチジンを担持させたラニチジン担持粒子を得る工程
(2)得られたラニチジン担持粒子と、融点45℃以上のポリエチレングリコールとを、粉体混合する工程
(3)得られた粉体混合物を、流動又は攪拌状態にて加温する加温処理工程
(4)加温処理工程後、流動又は攪拌状態にて冷却する冷却処理工程
以下、(1)の工程は上記ラニチジン担持粒子で説明したとおりであり、以下(2)〜(4)について詳述する。
本工程は、ラニチジン担持粒子と被覆物となるポリエチレングリコールとを、粉体状態で均一に混合し、粉体混合物を得る工程である。混合は、ラニチジン担持粒子と、粉体のポリエチレングリコールとを、該ポリエチレングリコールの融点以下で混合する。このように、両者を粒子又は粉体状態で混合せず、ポリエチレングリコール水溶液等の溶液を用いた場合、ラニチジンが溶媒に溶解し被覆膜表面に出てくるため、苦味マスキング効果が不十分となる。また融点を超えた温度で溶融した状態のポリエチレングリコールを、ラニチジン担持粒子と混合すると、局在化が起こりラニチジン担持粒子の被覆が不十分となりやすく、充分なマスキング効果を得るためにポリエチレングリコール量が多く必要となり、結果としてラニチジンの溶出遅延が起こるおそれがある。
本工程は、粉体状態で均一に混合された粉体混合物を、流動又は攪拌させて均一性を保ちながら、加温してポリエチレングリコールを溶融させ、これをラニチジン担持粒子表面に付着させて被覆する工程である。粉体状態で均一に混合した後、加温することで、溶融したポリエチレングリコールがラニチジン担持粒子表面に均一に付着し、被覆する。
本発明の冷却処理工程は、ポリエチレングリコールを固化できれば特に限定されず、その冷却速度も特に限定されない。「冷却処理温度」は粉温であり、流動層造粒機等の流動気体が加温されるタイプの機械を使用する場合は、粉温を直接測定するか、あるいは排気温度を粉温とみなすことができる。本発明の冷却処理工程は単に熱源を切るだけでも可能である。冷却処理工程終了温度としては、ポリエチレングリコールが固化していれば良く、具体的には30℃以下が好ましい。
本発明の粒状医薬製剤は、上記ラニチジン含有被覆粒子を含むものであり、上記ラニチジン含有被覆粒子のみで、あるいは他の有効成分や添加剤と混合して得ることができる。 ラニチジン含有被覆粒子の粒状医薬製剤に対する含有量は、上記ラニチジン塩酸塩の服用量となるように、1〜100質量%の範囲で適宜選定される。粒状医薬製剤は、胃腸薬、特に、胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎又は胃炎治療剤として好適である。剤型は特に限定されないが、散剤、細粒剤、顆粒剤等の経口投与形態の製剤に調製することができる。配合は特に限定されず、公知の混合法、乾式造粒法を用いることができる。
日局精製水にラニチジン塩酸塩を入れてよく撹拌して溶解させ、30質量%のラニチジン塩酸塩水溶液を得た。次に、流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に、合成ヒドロタルサイト(協和化学製アルカマックSN:平均粒径240μm)250gを入れ、これに、給気温度80℃、風量0.6Nm3/min.の熱風を供給し、上記で調製した30質量%ラニチジン塩酸塩水溶液を10g/min.の速度で噴霧して、表1のA欄に記載の30質量%ラニチジン塩酸塩水溶液量になるように含浸を行った。この時の排気温度は30〜35℃であった。その後、給気80℃、風量0.6Nm3/min.で20分間乾燥し(20分間乾燥後の排気温度は50℃以上)、平均粒径240μmのラニチジン担持粒子Aを得た。得られたラニチジン担持粒子Aの組成を表1に併記する。
日局精製水にラニチジン塩酸塩入れてよく撹拌して溶解させ、30質量%のラニチジン塩酸塩水溶液を得た。次に、流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に、合成ヒドロタルサイト(協和化学製アルカマックSN)250gを入れ、これに、給気温度80℃、風量0.6Nm3/min.の熱風を供給し、上記で調製した30質量%ラニチジン塩酸塩水溶液を10g/min.の速度で噴霧して、表1のB欄に記載の30質量%ラニチジン塩酸塩水溶液量になるように含浸を行った。この時の排気温度は30〜35℃であった。その後、給気80℃で15分間乾燥した後、続けて7質量%のヒドロキシプロピルセルロース(商品名HPC−L:日本曹達(株))水溶液を給気温度80℃、風量0.6Nm3/min.の熱風を供給し、15g/min.の速度で噴霧した。この時の排気温度は30〜35℃であった。その後、給気80℃、風量0.6Nm3/min.で20分間乾燥し(20分間乾燥後の排気温度は50℃以上)、平均粒径320μmのラニチジン担持粒子Bを得た。得られたラニチジン担持粒子Bの組成を表1に併記する。
流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に、表2に示すラニチジン担持粒子A,B及びポリエチレングリコール6000(融点58℃)を入れ、これを給気温度25℃、1.0Nm3の風量で1分間流動し混合した。続いて、給気の温度を80℃になるまで毎分10℃の速度で上昇させた。80℃に到達後その状態で3分間流動させた。このときの排気温度は39〜58℃(3分後)であった。その後、ヒーター電源を切り、給気を自然冷却した。排気温度が30℃になったところで流動を停止し、ラニチジン含有被覆粒子を得た。得られたラニチジン含有被覆粒子について、下記評価を行った。結果を表中に併記する。なお、上記加温処理前後の平均粒径は、セイシン企業製ロボットシフターRPS−95を用いて、篩い上質量累積を求め、試料質量に対する篩い上質量50%位置の目開きとして算出した。平均粒径の変化が50μm以下を許容とした。
粒子1gを用いて第1液による日局溶出試験を行い、1分後のラニチジン塩酸塩の溶出量を液体クロマトグラフィーを用いて定量し、粒子中のラニチジン塩酸塩量に対する溶出率として算出した。
健常な成人男子3名、女子2名で粒子1gを口に入れた初期の苦味について、下記5段階で評価を行い、結果を平均値で示す。3点以上を許容とした。
5:苦味を感じない
4:わずかに苦味を感じる
3:やや苦味を感じる
2:かなり苦味を感じる
1:非常に苦味を感じる
なお、苦味マスキング試験は、ラニチジン塩酸塩の含有量が実施例及び比較例の範囲内であれば、量による差はみられない。
ラニチジン塩酸塩63gと合成ヒドロタルサイト(協和化学製アルカマックSN)250gを流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に入れ、7質量%のヒドロキシプロピルセルロース(商品名HPC−L:日本曹達(株))水溶液243gを給気温度80℃、0.6Nm3の風量で20g/min.の速度で噴霧して造粒を行った。この時の排気温度は30〜35℃であった。これを給気80℃で15分間乾燥し、平均粒径340μmのラニチジン粒子を得た。次に流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)を用い、ラニチジン粒子330gにポリエチレングリコール6000(協和化学工業(株)製マクロゴール6000)を330g入れ、これを給気温度25℃、0.6Nm3の風量で流動し混合した。続いて、給気の温度を80℃になるまで毎分5〜15℃の速度で上昇させた。80℃に到達後その状態で3分間流動させた。このときの排気温度は39℃であった。その後、ヒーター電源を切り、給気を自然冷却した。排気温度が30℃になったところで流動を停止し、平均粒径360μmのラニチジン含有被覆粒子を得た。なお、得られた粒子は、合成ヒドロタルサイト内部にラニチジンが担持されていないものであった。
ラニチジン塩酸塩63gと合成ヒドロタルサイト(協和化学製アルカマックSN)250g及びポリエチレングリコール6000(協和化学工業(株)製マクロゴール6000)313gを流動層造粒機マルチプレックスMP−01(パウレック社製)に入れ、これを給気温度80℃、0.6Nm3の風量で流動し混合した。続いて、7質量%のヒドロキシプロピルセルロース(商品名HPC−L:日本曹達(株))水溶液246gを給気温度80℃で、20g/min.の速度で噴霧して造粒を行った。この時の排気温度は30〜35℃であった。これを給気80℃で15分間乾燥し、平均粒径650μmのラニチジン含有被覆粒子を得た。得られた粒子は、合成ヒドロタルサイト内部にラニチジンが担持されておらず、7質量%のヒドロキシプロピルセルロースをポリエチレングリコール存在下で噴霧しているため、ラニチジンが溶けて、ラニチジンが粒子表面にも存在していた。
Claims (6)
- 合成ヒドロタルサイト、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水燐酸カルシウム、ゼオライト及びスメクタイトから選ばれる担持体に、ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥して得られた、ラニチジンが上記担持体内部に担持されたラニチジン担持粒子の表面が、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000及びポリエチレングリコール20000から選ばれるポリエチレングリコールで被覆されたラニチジン含有被覆粒子。
- ポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール6000である請求項1記載のラニチジン含有被覆粒子。
- 担持体が、合成ヒドロタルサイト、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水燐酸カルシウム及びゼオライトから選ばれる担持体である請求項1又は2記載のラニチジン含有被覆粒子。
- ラニチジン又はその塩の溶液又は分散液が、ラニチジン塩酸塩の溶液又は分散液であって、担持体の割合が、ラニチジン塩酸塩1質量部に対し1〜5質量部であり、ポリエチレングリコールの割合が、ラニチジン担持粒子1質量部に対し0.5〜2質量部である請求項1〜3のいずれか1項記載のラニチジン含有被覆粒子。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のラニチジン含有被覆粒子を含む粒状医薬製剤。
- 下記(1)〜(4)の工程を含む請求項1記載のラニチジン含有被覆粒子の製造方法。
(1)担持体にラニチジン又はその塩の溶液又は分散液を含浸させ、乾燥して担持体内部にラニチジンを担持させたラニチジン担持粒子を得る工程
(2)得られたラニチジン担持粒子と、ポリエチレングリコールとを、粉体混合する工程
(3)得られた粉体混合物を、流動又は攪拌状態にて加温する加温処理工程
(4)加温処理工程後、流動又は攪拌状態にて冷却する冷却処理工程
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