JP5681093B2 - 多層硬質皮膜 - Google Patents
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Description
また、特許文献4、5に記載されているSiC層には、硬さおよび耐酸化性に優れているものの、基材との密着性が低いという欠点があるとされている。そのため、部材の長寿命化を図ることができないという問題がある。
ここで、「基材」は、治具、工具、機械部品(モールド、ダイおよびパンチを含む)のような摺動部材や切削工具の基材と定義される。また、「部材」は、積層硬質皮膜で被覆された基材と定義される。
このようにすると、切削工具や摺動部材の耐摩耗性と耐酸化性を確実に向上させることができる。その結果、これらの長寿命化を図ることができる。
このようにすると、多層硬質皮膜としての耐摩耗性と耐酸化性をより確実に向上させることができる。その結果、部材の長寿命化をさらに図ることができる。
本発明は、部材の表面に形成される多層硬質皮膜であり、その第1実施形態を図1に示す。図1は、例えば、切削工具や摺動部材などの部材10の断面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る多層硬質皮膜1は、基材2の表面上にA層11とB層12を複数回、好ましくは交互に積層している。
なお、B層12が、前記した選択肢から2種類からなる場合としては、組成に関する組み合わせがSiCNとTiBNの場合、SiCNとTiBCNの場合、TiBNとBCNの場合、TiBCNとBCNの場合、BCNとSiCNの場合を挙げることができる。多層硬質皮膜1を構成するB層12が2種類のB層12を含む場合、SiCN、TiBCN、およびBCNのうちの2種類でそれぞれ形成することができ、多層硬質皮膜1を構成するB層12は、例えば、SiCNのB層12とTiBNのB層12とすることもできる。
なお、A層11とB層12の繰り返し回数は、例えば、5回以上とすればよいが、15回以上や263回以上などとすることもできる。
また、A層11とB層12の繰り返し形態は、A/B/A/Bとするほかに、A/B1/A/B2/A/B3というように、組成の異なるB層12を積層することも可能であり、またA/B1’/B2’/B3’/Aというように、規定のB層12の膜厚範囲内でB層12の組成を切り換えることも可能である。
図2は、例えば、切削工具や摺動部材などの部材20の断面図である。第2実施形態に係る多層硬質皮膜は、図2に示すように、基材2の表面と多層積層皮膜1の間、好ましくは基材2の表面と、最下層となるA層11の間に下地層13を形成している。
なお、基材2の回転は、チャンバー103内において回転自在に設けられたステージ105に取り付けることよって行うことができる。
真空アーク蒸発源101は、カソード放電型のアークイオンプレーティング蒸発源であれば好適に用いることができる。
スパッタリング蒸発源102は、アンバランスドマグネトロンスパッタリング蒸発源とも呼ばれており、例えば、神戸製鋼所製UBMS202を好適に用いることができる。
なお、図3では、真空アーク蒸発源101とスパッタリング蒸発源102を2つ備えた成膜装置100を示しているが、これらをそれぞれ3つ備え、かつ交互に配置したものであってもよい。
例えば、一方の真空アーク蒸発源101には、Ti0.8Si0.2、Ti0.95Si0.05、Ti0.9Si0.1、Ti0.7Si0.3、Ti0.6Si0.4およびTi0.8Si0.2B0.1のいずれかからなるターゲットが取り付けられる。
また、例えば、他方の真空アーク蒸発源101には、Ti0.5Al0.5、Ti、Ti0.9Al0.1、Ti0.1Al0.9、Al0.5Cr0.5、Ti0.2Cr0.2Al0.6、Ti0.5Al0.47Si0.03、Al0.45Cr0.5Si0.05、Ti0.2Cr0.2Al0.55Si0.05、Nb0.5Al0.5、Hf0.7Al0.3および(Ti0.5Al0.5)Cのいずれかからなるターゲットが取り付けられる。
先ず、洗浄した基材を装置に導入した後、チャンバー内を1×10-3Pa以下に減圧し、500℃まで基材を加熱した。その後、Ar(アルゴン)イオンを用いたスパッタクリーニングを実施した。次いで、N2ガスを導入してチャンバー内を4Paにした。
下地層は、N2ガス存在下(No.62においてはさらに少量のCH4ガスを導入して)で150Aの電流値でアーク放電を行って形成した。
そして、チャンバー内にArと窒素を流量比1:1で導入して(No.15〜17においてはさらに少量のCH4ガスを導入して)チャンバー内を4Paとした後、ステージに取り付けた基材を回転させつつアーク放電を短時間実施してA層を薄く形成するとともに、スパッタ放電を2kWで行ってB層を薄く形成した。
なお、A層とB層の形成にあたっては、基板の回転速度を1〜10rpm程度まで変化させたり、各蒸発源への投入電力を変化させたりして、繰り返し回数や各層の厚みを制御した。
<ドライ旋削の条件>
被削材 :AISI 316
切削速度 :180m/分
送り :0.14mm/刃
深さ切り込み:4.5mm
潤滑 :ドライ
特に、No.49〜66、68〜71、73は、基材の表面上に下地層を形成したので、硬さと工具寿命がさらに良い結果となった。中でも、No.49〜51、53、55〜66、68〜71、73は、M1-yAly(BaCbNcOd)[ただし、0.05≦y≦0.8、0≦a≦0.2、0≦b≦0.4、0.5≦c≦1、0≦d≦0.2、Mは4A族元素、5A族元素、6A族元素およびSi、Yから選ばれる1種以上の元素]からなる下地層であったので、硬さと工具寿命がさらにより良い結果となった。
No.5は、B層を形成せずA層のみであったため、工具寿命が短かった。
No.6は、A層がSiを含有しない(Siの原子比が0)ものであったため、硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.12は、A層中におけるSiの原子比が0.4を超えていたため、硬さが低く、工具寿命が短かった。
No.21は、A層の厚みが100nmを超えていたため、硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.22は、B層の厚みが2nm未満であったため、No.1と比較して工具寿命も短かった。
No.25は、B層の厚みが20nmを超えていたため、硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.29は、B層を形成するTiBN中のNの原子比が0.3未満であり、No.33は、B層を形成するTiBN中のNの原子比が0.6を超えたため、ともに硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.32は、B層を形成するTiBCN中のCの原子比が0.5を超えたため、硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.34は、B層を形成するSiCN中のCの原子比が0.2未満であり、No.36は、B層を形成するSiCN中のCの原子比が0.5を超えたため、ともに硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.37は、B層を形成するSiCN中のNの原子比が0.3未満であり、No.39は、B層を形成するSiCN中のNの原子比が0.5を超えたため、ともに硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.40は、B層を形成するBCN中にCを含有しない(Cの原子比が0)であり、No.42は、B層を形成するBCN中のCの原子比が0.25を超えたため、ともに硬さが低く、工具寿命も短かった。
No.43は、B層を形成するBCN中のNの原子比が0.3未満であり、No.45は、B層を形成するBCN中のNの原子比が0.55を超えたため、ともに硬さが低く、工具寿命も短かった。
また、No.67は、A層とB層の厚みの合計が500nm未満であったため、工具寿命が短かった。
11 A層
12 B層
13 下地層
2 基材
10、20 部材
Claims (8)
- 基材の表面に形成される多層硬質皮膜であって、
Ti1-xSix(BpCqNr)[ただし、0.05≦x≦0.4、p≧0、q≧0、r>0、p+q+r=1]からなり、100nm以下の厚みを有するA層と、
Ti1-a-g-bBaCgNb[ただし、0.2≦a≦0.5、0.3≦b≦0.6、0≦g≦0.5]、Si1-c-dCcNd[ただし、0.2≦c≦0.5、0.3≦d≦0.5]、B1-e-fCeNf[ただし、0.03≦e≦0.25、0.3≦f≦0.55]から選ばれる1種以上からなり、2nm以上20nm以下の厚みを有するB層と、
が複数回積層され、
積層された前記A層と前記B層の厚みの合計が500nm以上であり、かつ、
最下の前記A層が、最下の前記B層と前記表面との間にある
ことを特徴とする多層硬質皮膜。 - 請求項1に記載の多層硬質皮膜であって、
前記A層を形成するターゲットを取り付けた真空アーク蒸発源と、前記B層を形成するターゲットを取り付けたスパッタリング蒸発源と、を同一チャンバー内に備える成膜装置を用い、前記チャンバー内で前記真空アーク蒸発源と前記スパッタリング蒸発源の前を複数回通過するように前記基材を回転させ、前記真空アーク蒸発源と前記スパッタリング蒸発源を同時に放電して前記基材の表面に前記A層と前記B層を複数回積層させたことを特徴とする多層硬質皮膜。 - 請求項1または請求項2に記載の多層硬質皮膜であって、
前記表面上に、
M1-yAly(BaCbNcOd)[ただし、0.05≦y≦0.8、0≦a≦0.2、0≦b≦0.4、0.5≦c≦1、0≦d≦0.2、Mは4A族元素、5A族元素、6A族元素、SiおよびYから選ばれる1種以上の元素]を含んでなる下地層が形成されていることを特徴とする多層硬質皮膜。 - 請求項3に記載の多層硬質皮膜であって、
前記下地層の組成に関する組み合わせが、AlCr(CN)、TiAl(CN)、TiCrAl(CN)、AlCrSi(CN)、TiAlSi(CN)、またはTiCrAlSi(CN)であることを特徴とする多層硬質皮膜。 - 請求項1に記載の多層硬質皮膜であって、
前記基材が切削工具および/または摺動部材であることを特徴とする多層硬質皮膜。 - 請求項1に記載の多層硬質皮膜であって、
前記基材が切削工具であることを特徴とする多層硬質皮膜。 - 請求項1に記載の多層硬質皮膜であって、
前記基材が摺動部材であることを特徴とする多層硬質皮膜。 - 請求項1に記載の多層硬質皮膜であって、
前記A層と前記B層が交互に積層されていることを特徴とする多層硬質皮膜。
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