JP5666364B2 - 時計用デテント脱進機、および機械式時計 - Google Patents
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Description
以下、各デテント脱進機の基本的構成について説明する。
同図に示すように、スプリングデテント脱進機300は、ガンギ車301と、回転軸であるテン真302を中心に自由振動するテンプ303と、デテントレバー304とを備えている。テンプ303は、ガンギ車301の歯部301aと接触可能な振り石305、およびデテントレバー304に取り付けられている片作動バネ309と接触可能な外し石306を有している。
ガンギ車301が1歯分回転する間に、デテントレバー304に復帰バネ307の付勢力が作用し、デテントレバー304が原位置に戻る。これにより、ガンギ車301の歯部301aに止め石308が再び接触する。すなわち、ガンギ車301とデテントレバー304とが係合し、ガンギ車301の回転が停止される。
そして、この動作が繰り返し行われることにより、機械式時計の輪列が一定速度で駆動する。
同図に示すように、ピボットデテント脱進機400は、ガンギ車301と、テン真302を中心に自由振動するテンプ403と、デテントレバー404とを備えている。ここで、ピボットデテント脱進機400とスプリングデテント脱進機300との相違点は、デテントレバーを原位置に復帰させる付勢手段が異なる点にある。
このように構成することで、作動中の片作動バネの先端位置の変動を抑え、確実に外し石と片作動バネを接触させることができる。よって、ガンギ車を確実に正常動作させることができる。
このように構成することで、作動中の片作動バネの先端位置の変動を外し石の振動方向に垂直な方向に対して規制し、確実に外し石と片作動バネを接触させることができる。よって、ガンギ車を確実に正常動作させることができる。
このように構成することで、作動中の片作動バネの先端位置の変動を作動レバーの長手方向に対して規制し、確実に外し石と片作動バネを接触させることができる。よって、ガンギ車を確実に正常動作させることができる。
このように構成することで、作動中の片作動バネの先端位置の変動を抑え確実に外し石と片作動バネを接触させることができる。よって、ガンギ車を確実に正常動作させることができる。
このように構成することで、作動中の片作動バネの先端位置の変動を抑え確実に外し石と片作動バネを接触させることができ、ガンギ車を確実に正常動作させることができる機械式時計を提供できる。
(機械式時計)
次に、この発明の第一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
図1は、機械式時計のムーブメントを裏蓋側からみた平面図である。
同図に示すように、機械式時計100は、ムーブメント101を備えている。ムーブメント101は、このムーブメント101の基板を構成する地板102を有している。地板102には巻真案内孔103が形成されており、ここに巻真104が回転可能に組み込まれている。
一方、ムーブメント101の表側(図1における紙面手前側)には、表輪列105を構成する四番車106、三番車107、二番車108、および香箱車110が配置されていると共に、表輪列105の回転を制御するデテント脱進機1が配置されている。
二番車108は、香箱車110の不図示の香箱歯車に噛合う二番カナと、二番歯車(何れも不図示)とを有している。二番車108が回転すると、三番車107が回転するように構成されている。
四番車106は、三番車107の三番歯車に噛合う不図示の四番カナと、四番歯車(何れも不図示)とを有している。四番車106が回転することによりデテント脱進機1が駆動する。このデテント脱進機1が駆動することにより、四番車106が1分間に1回転するように制御されると共に、二番車108が1時間に1回転するように制御される。
図2は、デテント脱進機の平面図であり、図3は、デテント脱進機の斜視図である。
図1、図2、図3に示すように、デテント脱進機1は、四番車106が回転することにより回転するガンギ車2と、ガンギ車2の歯部2aと接触可能な止め石6を有するデテント7と、ガンギ車2の歯部2aと接触可能な振り石3、およびデテント7と接触可能な外し石4を有するテンプ5とを備えている。
外し石4は、デテント7に設けられている後述の片作動バネ24と接触可能になっている。デテント7の円板状部分は、地板102に固定されており、外し石4によって作動するようになっている。
図4は、デテントの平面図であり、図8(a)は、デテント7の先端部58の拡大図である。また、図8(b)は、同図(a)中の円Aで示す部分の拡大図である。
図2、図4、図8に示すように、デテント7は、地板102に固定されている円板状のデテント固定部21と、デテント固定部21に復帰バネ22を介して支持されている作動レバー23と、外し石4と接触可能な片作動バネ24とが一体成形されたものである。
ここで、一体成形を行う方法として、電鋳加工によりデテント7を形成したり、フォトリソグラフィーのような光学的な手法を取り入れたLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)プロセスによりデテント7を形成したりすることが可能である。
ここで、2つのピン挿通孔26a,26bのうちの一方のピン挿通孔26bは、各部品の製作誤差を吸収できるように長円形状に形成されている。
片作動バネ24は、平面視略6字状に形成されたものであって、作動レバー23の基端部から延出する円弧部31と、円弧部31の先端からレバー先端部58に向かって延出する直線部32とにより構成されている。そして、直線部32が作動レバー23に対する接離方向に沿って弾性変形するようになっている。
また、舌片部32cは、この先端が作動レバー23を構成するレバー先端部58から僅かに突出するように延出形成されている。この舌片部32cの先端部58から突出した部位に、テンプ5の外し石4が接触するようになっている。
また、凹部27の幅は、作動レバー23をガンギ車2に対して接離方向に沿う変位を許容可能に設定されているため、作動レバー23をガンギ車2の接離方向に沿って十分変位させることができる。
また、ストッパアーム41は、固定ピン43を中心にして回転可能に設けられており、これによってストッパピン42の位置が調整できるようになっている。このストッパピン42の位置を調整することにより、作動レバー23の移動規制位置が、ガンギ車2の歯部2aに止め石6が接触可能、かつアーム部28の長手方向が直線L1上となる位置に設定される。
次に、図2、図5〜図7に基づいて、デテント脱進機1の動作について説明する。
図5〜図7は、デテント脱進機の動作説明図である。
図2に示すように、デテント7の作動レバー23が直線L1に沿う位置に存在している状態では、ガンギ車2の歯部2aと作動レバー23に設けられている止め石6の接触面6aとが接触し、両者2,6が係合した状態になっている。
ここで、ガンギ車2は表輪列105より回転力が付与されているが、止め石6と係合している状態にあっては、ガンギ車2が停止した状態になっている。
また、大ツバ11が矢印CCW1方向に向かって回転することにより、ガンギ車2が矢印CW1方向に向かって回転し始めるのとほぼ同時に、ガンギ車2の歯部2aに振り石3の接触面3aが接触する(図5における2点鎖線参照)。そして、ガンギ車2の回転力が振り石3を介してテンプ5に伝達される。このとき、テンプ5に矢印CCW1方向に向かって回転力が付与される。
一方、ガンギ車2によって矢印CCW1方向に向かう回転力が付与されたテンプ5は、このテンプ5に設けられているヒゲゼンマイが巻き上げられる。そして、ヒゲゼンマイが所定量巻き上げられると、ヒゲゼンマイの復元力とテンプ5の回転力とが逆転し、大ツバ11の回転方向が矢印CW2方向(図6における時計回り方向)に転じる。
さらに、大ツバ11が矢印CW2方向に向かって回転し、所定角度に達すると、片作動バネ24の舌片部32cから外し石4が離反する。すると、片作動バネ24の復元力により、舌片部32cが作動レバー23側に向かって変位し(図7における矢印Y4参照)、原位置に戻る。
これを繰り返すことにより、テンプ5がテン真9を中心にして自由振動すると共に、デテント7が図2、図5〜図7に示す状態を繰り返す。このため、ガンギ車2が常に一定速度で回転する。
上述のように、デテント7は、地板102にテンプ5の自由振動時における外し石4の先端の軌跡上に片作動バネ24の舌片部32cが位置し、かつ外し石4の軌跡上を避けるように作動レバー23の先端部58が位置するように調整し、固定される。
したがって、外し石4と片作動バネ24とを常に所望の接触状態とし、作動レバー23、および片作動バネ24を適正に動作させることができるので、ガンギ車2を確実に正常動作させることができる。
次に、この発明の第二実施形態を図9に基づいて説明する。なお、第一実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の実施形態についても同様)。
図9は、第二実施形態におけるデテント73の要部平面図である。
また、図9中の(a)は、作動レバー先端部58の拡大図であり、同図(b)は同図(a)中の円Bで示す部分の拡大図である。
この第二実施形態において、機械式時計100は、ムーブメント101を備えている点、ムーブメント101の表側に、表輪列105の回転を制御するデテント脱進機1が配置されている点、デテント脱進機1は、四番車106が回転することにより回転するガンギ車2と、ガンギ車2の歯部2aと接触可能な止め石6を有するデテント73と、ガンギ車2の歯部2aと接触可能な振り石3、およびデテント73と接触可能な外し石4を有するテンプ5とを備えている点、地板102にデテント73が固定されている点、デテント73の作動レバー23が直線L1に沿うように延出されている点等の基本的構成は、前述した第一実施形態と同様であり、本発明の第一実施形態で説明したデテント7と同様に動作可能である(以下の実施形態についても同様)。
したがって、上述の第二実施形態によれば、前述の第一実施形態と同様の効果に加え、片作動ばね24の舌片部32cの位置を作動レバー23の長手方向(図9における上下方向)へも規制することが可能になる。
次に、この発明の第三実施形態を図10に基づいて説明する。
図10は、第三実施形態におけるデテント74の先端部58近傍の要部斜視図である。
同図に示すように、この第三実施形態と第一実施形態との相違点は、以下の点にある。すなわち、第三実施形態のデテント74には、作動レバー23に嵌合突起61を備え、片作動バネ24に嵌合孔38を備える。したがって、上述の第三実施形態によれば、前述の第一実施形態及び第二実施形態と同様の効果に加え、片作動バネ24を外し石4の振動方向に垂直な方向に対しても位置規制可能になる。
次に、この発明の第四実施形態を図11に基づいて説明する。
図11は、第四実施形態におけるデテント75の先端部58近傍の要部斜視図である。
同図に示すように、この第四実施形態と第一実施形態との相違点は、以下の点にある。すなわち、第四実施形態のデテント75には、作動レバー23に、コの字型もしくはC形状の開口部を持った挟持体62を備える。この挟持体の開口部の幅は、片作動バネ24の厚み幅と同じか、もしくはわずかに広くなっている。
したがって、上述の第四実施形態によれば、片作動バネ24を外し石4の振動方向に垂直な方向に対して位置規制可能になる。
次に、この発明の第五実施形態を図12に基づいて説明する。
図12は、第五実施形態におけるデテント76の先端部58近傍の要部斜視図である。
同図に示すように、この第五実施形態と第一実施形態との相違点は、以下の点にある。すなわち、第五実施形態のデテント76には、片作動バネ24の近傍に、コの字型もしくはC形状の開口部を持った挟持体63を備える。この挟持体の開口部の幅は、片作動バネ24の厚み幅と同じか、もしくはわずかに広くなっており、片作動バネ24を外し石4の振動方向に垂直な方向に対して位置規制可能である。
したがって、第五実施形態によれば、前述の第四実施形態と同様の効果を奏することができる。
そして、デテント固定部21や作動レバー23を樹脂成形とし、復帰バネ22や片作動バネ24を金属製の板バネや線バネとする場合、デテント固定部21や作動レバー23に、復帰バネ22、および片作動バネ24をインサート成型する構成としてもよい。
2 ガンギ車
2a 歯部
3 振り石
4 外し石
5 テンプ
6 止め石
7,72〜76 デテント
9 テン真
21 デテント固定部
23 作動レバー
24 片作動バネ
30 先端部(レバー先端部)
32c 舌片部(バネ先端部)
36 規制部凸形状(第一実施形態)
36a 規制部凸形状当接面(第一実施形態)
36b 規制部凸形状非接触面(第一実施形態)
37 第二規制部(第二実施形態)
38 嵌合孔(第三実施形態)
58 先端部(レバー先端部)
58a 規制部当接面(第一実施形態)
60 第一規制部(第二実施形態)
61 嵌合突起(第三実施形態)
62 挟持体(第四実施形態)
63 挟持体(第五実施形態)
100 機械式時計
102 地板
105 表輪列
104 巻真
Claims (8)
- 歯部を有するガンギ車と、
前記ガンギ車に対して接離可能であって、前記ガンギ車に近づいた時には前記ガンギ車の回転を停止させ、前記ガンギ車から離れた時は前記ガンギ車を回転させる作動レバーと、
前記作動レバーに対して接離方向に沿って弾性変形可能な片作動バネと、
前記片作動バネと接触可能な外し石を有し、前記ガンギ車の回転に基づいて正回転および逆回転の振幅を行うテンプとを備え、
前記片作動バネの先端位置を規制する規制部を備えたことを特徴とする時計用デテント脱進機。 - 前記規制部は、前記作動レバーおよび前記片作動バネの少なくともいずれか一方に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記規制部は、前記片作動バネを前記外し石の前記振動方向に垂直な方向に対して規制する挟持体であることを特徴とする請求項2に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記規制部は、前記片作動バネに備えられ、前記片作動バネの位置を前記作動レバーの長手方向に対して規制する形状を備えていることを特徴とする請求項1に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記規制部は、前記作動レバーの前記片作動バネ側に第一規制部と、
前記片作動バネに前記第一規制部に対向して設けられた第二規制部とを備え、
前記第一規制部と前記第二規制部とは互いに嵌合することを特徴とする請求項1に記載の時計用デテント脱進機。 - 前記第一規制部は、凹部であり、前記第二規制部は、凸部であることを特徴とする請求項5に記載の時計用デテント脱進機。
- 前記第一規制部は、嵌合突起であり、前記第二規制部は、嵌合孔であることを特徴とする請求項5に記載の時計用デテント脱進機。
- 請求項1〜請求項7の何れかに記載の時計用デテント脱進機と、
動力源を構成するゼンマイと、
このゼンマイが巻き戻されるときの回転力により回転する表輪列とを備え、
この表輪列の回転を前記時計用デテント脱進機により制御することを特徴とする機械式時計。
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