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JP5648143B1 - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】胴回り開口部を構成する長手方向の端部と吸収性コアとの間の位置にポケット状の空間を確実に形成しながらも、当該端部の立ち上がりを抑制する。【解決手段】長手方向の端部は、胴回り開口部HBを構成するとともに、幅方向の収縮力を付与すべく胴回り弾性部71材が設けられている。端部よりも長手方向の内側の部分には、吸収性コア11が存在しているとともに、胴回り弾性部材及び吸収性コアの両者が存在しない部分は非存在部分1kbnとされている。幅方向の所定位置にはシート状の立体ギャザー形成部41が長手方向に沿って設けられている。立体ギャザー形成部は、起立不能な基端部41kと、肌側に起立可能な起立部41sとを幅方向に並んで有し、起立部が肌側に起立する。起立部のうちの長手方向の端部には、当該端部を本体部1kに伏せた状態に固定する固定部が形成されているとともに、最も内側の部分は非存在部分に位置している。【選択図】図6

Description

本発明は、尿等の排泄液を吸収する使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
従来、尿等の排泄液を吸収する吸収性物品として使い捨ておむつ1’が使用されている。図1Aは、同おむつ1’の概略平面図である。また、図1B及び図1Cは、それぞれ、図1A中のB−B断面図及びC−C断面図である。図1Aに示すように、おむつ1’の本体部1k’は、長手方向と幅方向と厚さ方向とを有したシート状をなしている。また、同本体部1k’は、液体を吸収する吸収性コア11’と、同コア11’を厚さ方向の肌側から覆うトップシート21’と、同コア11’を厚さ方向の非肌側から覆うバックシート31’と、を有している。更に、図1Aの展開状態においては、本体部1k’は、腹側部1ka’と股下部1km’と背側部1kb’とを、この順番で長手方向に並んで有している。そして、腹側部1ka’、股下部1km’、及び背側部1kb’をそれぞれ着用者の腹側、股間、及び背側にあてがいながら、腹側部1ka’と背側部1kb’とを幅方向の各端部で連結すれば、胴回り開口部と一対の脚回り開口部とが形成されて、おむつ1’は着用者に装着される。
特許文献1には、かかるおむつ1’の一例として、尿便漏れを効果的に防止可能なおむつ1’が開示されている。
詳しくは、先ず、脚回り開口部からの尿便漏れを防ぐ目的で、幅方向の両側の各位置には、それぞれトップシート21’上に起立する一対の立体ギャザー41g’,41g’が設けられている。すなわち、図1A及び図1Cに示すように、幅方向の上記各位置には、シート状の立体ギャザー形成部41’,41’が長手方向に沿って設けられている。そして、各立体ギャザー形成部41’は、それぞれ、起立不能な基端部41k’と、同基端部41k’を支点として厚さ方向の肌側に起立可能な起立部41s’とを幅方向に並んで有しているとともに、同起立部41s’には、糸ゴム45’により長手方向の収縮力が付与されている。よって、かかる収縮力に基づいて同起立部41s’が長手方向に収縮することにより、図1Cに示すように当該起立部41s’が厚さ方向の肌側に起立して立体ギャザー41g’として機能する。
また、胴回り開口部からの尿便漏れを防ぐ目的で、図1Aに示すように、本体部1k’において胴回り開口部を構成する長手方向の背側の端部1kbeL’には、幅方向の収縮力を付与すべく胴回り弾性部材71’,71’…として幅方向に沿った複数の糸ゴム71’,71’…が設けられている。
更に、かかる胴回り開口部での尿便漏れ防止能力をより高める目的で、このおむつ1’では、図2Aの概略断面図に示すように、背側の端部1kbeL’と吸収性コア11’との間の位置Pz’で本体部1k’を断面視略Z字形状に屈曲させていて、これにより、同位置Pz’にポケット状の空間SP’を形成している。詳しくは、次の通りである。
先ず、図1Aに示すように、本体部1k’の上記位置Pz’には、吸収性コア11’及び胴回り弾性部材71’,71’…の両者とも存在しない部分1kbn’(以下、非存在部分1kbn’とも言う)が位置していて、故に、当該位置Pz’は、曲げ剛性の低い位置となっている。また、背側の端部1kbeL’には、図1A及び図1Bに示すように立体ギャザー41g’の起立部41s’における長手方向の端部41seL’を本体部1k’のトップシート21’に伏せた状態に固定する固定部42b’がホットメルト接着剤で形成されている。そのため、図2Aに示すように、かかる固定部42b’を介して上記の背側の端部1kbeL’には、起立部41s’の収縮力が長手方向の内側を向いた引っ張り力F’の形態で入力される。すなわち、背側の端部1kbeL’は長手方向の内側へ引っ張られるが、そうすると、曲げ剛性の低い上記非存在部分1kbn’が選択的且つ優先的に断面視略Z字形状に屈曲して、これにより同部分1kbn’にポケット状の空間SP’が形成される。そして、かかるポケット状の空間SP’でもって、背側へと流れる尿便を効果的に堰き止めることができる。
特開2001−61888号
しかしながら、この構成の場合には、胴回り弾性部材71’,71’…の存在に起因して背側の端部1kbeL’の曲げ剛性が高まっているとともに、図2Aに示すように、当該背側の端部1kbeL’には、上記の固定部42b’のうちで長手方向の最も内側の部分42bp’も位置している。そして、かかる最も内側の部分42bp’には、上記の内側を向いた引っ張り力F’が集中して入力される。そのため、この引っ張り力F’に基づいて、当該背側の端部1kbeL’は、図2Aのような長手方向に沿った姿勢から、図2Bのような厚さ方向に沿った姿勢へと立ち上がってしまう。
そして、仮にこの立ち上がり状態のまま、上方から着用者の臀部等が降りてきて着座等してしまうと、高い曲げ剛性の背側の端部1kbeL’が、縁部1kbeLe’等において着用者の肌に当たってしまい、着用者に不快な思いをさせてしまう恐れがある。
また、立ち上がった当該背側の端部1kbeL’が臀部などで下方に押し込まれる際に、同端部1kbeL’が座屈などして複雑に折れ曲がると、皺やめくれを生じ得るが、かかる皺やめくれは、尿便漏れの新たな経路となり得て、その結果、胴回り開口部からの尿便漏れの防止性能を落としてしまう恐れがある。
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸収性物品の本体部において胴回り開口部を構成する長手方向の端部と吸収性コアとの間の位置にポケット状の空間を確実に形成しながらも、当該端部の立ち上がりを抑制することにある。
上記目的を達成するための主たる発明は、
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有する本体部が、液体を吸収する吸収性コアと、前記吸収性コアを前記厚さ方向の肌側から覆うトップシートと、前記吸収性コアを前記厚さ方向の非肌側から覆うバックシートとを、有する吸収性物品であって、
前記本体部における前記長手方向の端部は、胴回り開口部を構成するとともに、前記端部に対して前記幅方向の収縮力を付与すべく前記端部には前記幅方向に沿って胴回り弾性部材が設けられており、
前記本体部において前記端部よりも前記長手方向の内側の部分には、前記吸収性コアが存在しているとともに、前記本体部において前記端部と前記吸収性コアとの間の部分は、前記胴回り弾性部材及び前記吸収性コアの両者が存在しない非存在部分とされており、
前記幅方向の所定位置には、シート状の立体ギャザー形成部が前記長手方向に沿って設けられており、
前記立体ギャザー形成部は、起立不能な基端部と、前記基端部を支点として前記厚さ方向の肌側に起立可能な起立部とを前記幅方向に並んで有し、前記起立部に作用する前記長手方向の収縮力に基づいて前記起立部が前記長手方向に収縮することによって、前記起立部が前記厚さ方向の肌側に起立し、
前記起立部のうちの前記長手方向の端部には、当該端部を前記本体部に伏せた状態に固定する固定部が形成されているとともに、当該固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分に位置しており、
前記起立部の前記収縮力は、前記長手方向に沿って前記起立部に設けられた弾性部材から付与されており、
前記固定部は、前記非存在部分と前記本体部の前記端部とに跨がって延在し、
前記弾性部材のうちで前記本体部の前記端部に位置する部分では、前記長手方向の収縮力が生じておらず、
前記起立部のうちの前記長手方向の端部には、当該端部を前記本体部に伏せた状態に固定するための、前記固定部よりも幅方向の寸法が小さい補助固定部が、前記幅方向における前記固定部と前記基端部との間の位置に形成されており、当該補助固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分に位置していることを特徴とする吸収性物品である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、吸収性物品の本体部において胴回り開口部を構成する長手方向の端部と吸収性コアとの間の位置にポケット状の空間を確実に形成しながらも、当該端部の立ち上がりを抑制可能となる。
図1Aは比較例の使い捨ておむつ1’の概略平面図であり、図1B及び図1Cは、それぞれ図1A中のB−B断面図及びC−C断面図である。 図2Aは、背側への尿便漏れを堰き止めるべく、比較例のおむつ1’の本体部1k’に形成されるポケット状の空間SP’の説明図であり、図2Bは、同おむつ1’の問題点の説明図である。 第1実施形態に係る吸収性物品としての使い捨ておむつ1の展開状態の概略平面図である。 図4A、図4B、及び図4Cは、それぞれ、図3中のA−A断面図、B−B断面図、及びC−C断面図である。 装着状態のおむつ1の概略斜視図である。 おむつ1の背側部1bを拡大して示す概略平面図である。 立体ギャザー41gの収縮力に基づいて本体部1kにポケット状の空間SPが形成される様子を示す概略断面図である。 おむつ1の背側部1bを拡大して示す概略平面図である。 おむつ1の背側部1bを拡大して示す概略平面図である。 第2実施形態に係る使い捨ておむつ1の展開状態の概略平面図である。 図11A、図11B、及び図11Cは、それぞれ、図10中のA−A断面図、B−B断面図、及びC−C断面図である。 第2実施形態のおむつ1の背側部1bを拡大して示す概略平面図である。 第2実施形態のおむつ1の背側部1bを拡大して示す概略平面図である。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
長手方向と幅方向と厚さ方向とを有する本体部が、液体を吸収する吸収性コアと、前記吸収性コアを前記厚さ方向の肌側から覆うトップシートと、前記吸収性コアを前記厚さ方向の非肌側から覆うバックシートとを、有する吸収性物品であって、
前記本体部における前記長手方向の端部は、胴回り開口部を構成するとともに、前記端部に対して前記幅方向の収縮力を付与すべく前記端部には前記幅方向に沿って胴回り弾性部材が設けられており、
前記本体部において前記端部よりも前記長手方向の内側の部分には、前記吸収性コアが存在しているとともに、前記本体部において前記端部と前記吸収性コアとの間の部分は、前記胴回り弾性部材及び前記吸収性コアの両者が存在しない非存在部分とされており、
前記幅方向の所定位置には、シート状の立体ギャザー形成部が前記長手方向に沿って設けられており、
前記立体ギャザー形成部は、起立不能な基端部と、前記基端部を支点として前記厚さ方向の肌側に起立可能な起立部とを前記幅方向に並んで有し、前記起立部に作用する前記長手方向の収縮力に基づいて前記起立部が前記長手方向に収縮することによって、前記起立部が前記厚さ方向の肌側に起立し、
前記起立部のうちの前記長手方向の端部には、当該端部を前記本体部に伏せた状態に固定する固定部が形成されているとともに、当該固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分に位置していることを特徴とする吸収性物品である。
このような吸収性物品によれば、本体部における長手方向の端部と吸収性コアとの間の位置にポケット状の空間を確実に形成しながらも、当該端部の立ち上がりを抑制可能となる。詳しくは次の通りである。
先ず、上記固定部のうちで長手方向の最も内側の部分には、起立部の収縮力が、長手方向の内側を向いた引っ張り力の形態で集中して入力される。そして、これにより、当該部分を介して本体部は長手方向の内側に引っ張られるが、ここで、当該部分は、本体部のうちで上記の胴回り弾性部材及び吸収性コアが存在しない部分たる非存在部分に位置していて、かかる非存在部分の曲げ剛性は低くなっている。よって、本体部は、当該非存在部分において速やかに断面視略Z字形状に屈曲し得て、その結果、同部分にポケット状の空間を確実に形成することができる。
また、上記の端部は、胴回り弾性部材が設けられているために、高剛性となっているが、上記の非存在部分は、かかる端部よりも長手方向の内側に位置している。そして、更に、上記固定部のうちで長手方向の最も内側の部分は、上記の非存在部分に位置しているので、上記の長手方向の内側を向いた引っ張り力は、上記の最も内側の部分を介して専ら非存在部分に入力される。そして、これにより、同引っ張り力は、非存在部分よりも長手方向の外側に隣接して位置する高剛性の上記端部には概ね入力されず、つまり当該高剛性の上記端部は概ね引っ張られず、その結果、当該端部の立ち上がりを抑制することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分における前記長手方向の中央位置よりも内側に位置しているのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、上記固定部のうちで長手方向の最も内側の部分は、非存在部分における長手方向の中央位置よりも内側に位置している。よって、上記の内側を向いた引っ張り力を上記端部から更に離れた位置に入力することができて、その結果、同端部の立ち上がりを有効に抑制することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記起立部の前記収縮力は、前記長手方向に沿って前記起立部に設けられた弾性部材から付与されており、
前記固定部は、前記非存在部分と前記本体部の前記端部とに跨がって延在し、
前記弾性部材のうちで前記本体部の前記端部に位置する部分では、前記長手方向の収縮力が生じていないのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、上記弾性部材のうちで本体部の上記端部に位置する部分では、長手方向の収縮力が生じていない。よって、上記の内側を向いた引っ張り力の上記端部への入力をより有効に抑制可能となって、その結果、上記端部の立ち上がりをより有効に抑制することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記弾性部材のうちで前記非存在部分に位置する部分では、前記長手方向の収縮力が生じていないのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、上記弾性部材のうちで上記非存在部分に位置する部分では、長手方向の収縮力が生じていない。よって、上記の内側を向いた引っ張り力の上記端部への入力をより一層有効に抑制可能となって、その結果、上記端部の立ち上がりをより一層有効に抑制することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、液透過性のコアラップシートによって被覆されているとともに、前記コアラップシートは、前記吸収性コアよりも前記長手方向の外側に飛び出しており、
前記固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分のうちの前記コアラップシートが存在しない部分に位置しているのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、上記固定部のうちで長手方向の最も内側の部分は、非存在部分のうちのコアラップシートが存在しない部分に位置しているが、かかる部分は、コアラップシートが存在しない分だけ更に曲げ剛性が低くなっている。そのため、上記の内側を向いた引っ張り力の同部分への入力に基づいて、より速やかに本体部は非存在部分において断面視略Z字形状に屈曲し得て、その結果、同部分にポケット状の空間をより確実に形成することができる。
かかる吸収性物品であって、
前記立体ギャザー形成部は、前記トップシートにおける前記幅方向の各端部を覆って前記厚さ方向の肌側からそれぞれ設けられた立体ギャザーシートであり、
前記立体ギャザーシートのうちの前記幅方向の所定部分が前記トップシートに固定されることによって、前記所定部分は、起立不能な前記基端部とされているとともに、前記立体ギャザーシートのうちで前記基端部と前記幅方向に隣接する部分が、前記基端部を支点として前記厚さ方向の肌側に起立可能な前記起立部とされているのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、立体ギャザー形成部は、立体ギャザーシートで形成されているので、立体ギャザーシートの材料の選定によって、立体ギャザー形成部を立体ギャザーの形成に適した材料で構成することができる。そして、これにより、脚回り開口部からの幅方向の尿便漏れをより有効に防ぐことができる。
かかる吸収性物品であって、
前記トップシートにおける前記幅方向の各端部が、それぞれ前記幅方向の内側に折り返されることによって、前記各端部が前記起立部とされているのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、トップシートにおける幅方向の各端部が、起立部となっている。よって、別途立体ギャザー形成部用の専用シートを設けずに済んで、コスト削減を図れる。
かかる吸収性物品であって、
前記立体ギャザー形成部に係る前記基端部を第1基端部とし、前記起立部を第1起立部とし、前記固定部を第1固定部とした場合に、
前記第1起立部よりも前記幅方向の外側に第2起立部が位置するように第2立体ギャザー形成部が設けられており、
前記第2起立部は、前記幅方向に並ぶ起立不能な第2基端部を支点として前記厚さ方向の肌側に起立可能に設けられており、
前記第2起立部に作用する前記長手方向の収縮力に基づいて前記第2起立部が前記長手方向に収縮することによって、前記第2起立部が前記厚さ方向の肌側に起立し、
前記第2起立部のうちの前記長手方向の端部には、当該端部を前記本体部に伏せた状態に固定する第2固定部が形成されているとともに、当該第2固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記第1固定部のうちで前記最も内側の部分よりも前記長手方向の内側に位置しているのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、吸収性物品に外力が作用しない自然状態において、ポケット状の空間の平面視の形状、すなわち、厚さ方向の肌側から見た場合のポケット状の空間の形状を、略円弧形に作り込むことができる。そして、一般に略円弧形でなる臀部へのフィット性を良好にして、尿便漏れをより有効に防止可能となる。なお、ポケット状の空間の形状を略円弧形に作り込み可能な理由については、次の通りである。
先ず、既述のように、第1固定部のうちで長手方向の最も内側の部分及び第2固定部のうちで長手方向の最も内側の部分の両者が、それぞれポケット状の空間の形成に寄与する部分であるが、ここで、前者の部分は、後者の部分よりも長手方向の外側且つ幅方向の内側に位置しており、これにより、これら両者は、略円弧形の曲線上に乗ることができる。よって、前者の部分及び後者の部分が、それぞれの位置で本体部を断面視略Z字形状に屈曲することによって、ポケット状の空間の形状を平面視で略円弧形に作り込むことができる。
かかる吸収性物品であって、
前記第2起立部に作用する前記収縮力の大きさは、前記第1起立部に作用する前記収縮力の大きさよりも大きいのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第2固定部には、第1固定部に入力される長手方向の内側を向いた引っ張り力よりも大きな引っ張り力が入力される。そして、これにより、第2固定部は、第1固定部よりも長手方向の内側へと大きく引っ張られるが、ここで、かかる第2固定部と第1固定部とを、ポケット状の空間の形成に寄与する部分たる長手方向の最も内側の部分の位置で比較した場合に、前者の部分の方が後者の部分よりも幅方向の外側且つ長手方向の内側に位置している。よって、上記の引っ張り力の大小関係は、ポケット状の空間における幅方向の中央部分がより長手方向の外側に突出した略円弧形状になるように促すこととなり、その結果、同関係は、ポケット状の空間を臀部の形状に沿わせることに有効に寄与する。
かかる吸収性物品であって、
前記吸収性コアにおける前記長手方向の端縁部の形状は、前記幅方向の中央側の部分の方が前記幅方向の端側の部分よりも前記長手方向の外側へ突出した湾曲形状であるのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、厚さ方向の肌側から見た場合のポケット状の空間の形状を、上記の湾曲形状に作り込むことができる。一方、かかる湾曲形状は、一般に略円弧形でなる臀部の形状に沿っている形状でもある。よって、かかるポケット状の空間を臀部に沿わせることができて、臀部へのフィット性の良化を通して、尿便漏れをより有効に防止可能となる。なお、ポケット状の空間の形状を上記の湾曲弧形に作り込み可能な理由については、次の通りである。
先ず、吸収性コアの剛性は高い。そのため、上記の長手方向の内側を向いた引っ張り力で引っ張られた際に、非存在部分は、吸収性コアにおける長手方向の端縁部と隣接する位置において当該端縁部に沿って屈曲し易い。また、かかる端縁部の形状は、幅方向の中央側の部分の方が幅方向の端側の部分よりも長手方向の外側に突出した湾曲形状である。よって、非存在部分は、当該湾曲形状に沿って速やかに屈曲して、これにより、ポケット状の空間を同湾曲形状に作り込むことができる。
かかる吸収性物品であって、
前記固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分を介して、前記起立部の収縮力が前記非存在部分に入力されることにより、前記非存在部分は前記長手方向に屈曲して前記非存在部分にポケット状の空間が形成されており、
前記ポケット状の空間に、別の吸収性物品の長手方向の端部を差し込んで保持するのが望ましい。
このような吸収性物品によれば、上記のポケット状の空間に別の吸収性物品の長手方向の端部を差し込んで保持する。そのため、別の吸収性物品を上記トップシートの肌側に載置する際に、位置決めをし易くなる。また、当該別の吸収性物品の長手方向の端部が、ポケット状の空間に差し込まれるので、着用者の身体の下に吸収性物品を敷き込む際に、トップシートの肌側に載置された上記別の吸収性物品の上記端部が着用者の肌に当たらない。よって、当該端部が起こし得る着用者の肌トラブルも有効に防ぐことができる。
===第1実施形態===
図3は、第1実施形態に係る吸収性物品としての大人用の使い捨ておむつ1の展開状態の概略平面図である。また、図4A、図4B、及び図4Cは、それぞれ、図3中のA−A断面図、B−B断面図、及びC−C断面図である。なお、図4A乃至図4Cでは、紙面の都合上、幅方向の片側のみを示している。また、図5は、装着状態のおむつ1の概略斜視図であり、図6は、おむつ1の背側部1bを拡大して示す概略平面図である。
図3に示すように、このおむつ1は、ファスニングテープ61を用いて着用者に装着される展開型おむつ1である。そして、同図3のような展開状態のおむつ1は、互いに直交する三方向として長手方向と幅方向と厚さ方向とを有している。ここで、長手方向に関しては、腹側部1aと股下部1mと背側部1bとをこの順番で並んで有していて、図5の装着状態では、腹側部1aは不図示の着用者の腹側を覆い、股下部1mは、同着用者の股間を覆い、背側部1bは同着用者の背側を覆う。
なお、図3の展開状態においては、腹側部1aと背側部1bとは、それぞれ股下部1mよりも幅方向の両側に飛び出していて、これにより、厚さ方向から見たおむつ1の外形形状は平面視略砂時計形状をなしている。以下では、腹側部1aにおいて幅方向の両側に飛び出した各部分1asf,1asfのことを「腹側サイドフラップ1asf」とも言い、背側部1bにおいて幅方向の両側に飛び出した各部分1bsf,1bsfのことを「背側サイドフラップ1bsf」とも言う。また、同じく以下では、厚さ方向の一方側のことを「肌側」とも言い、他方側のことを「非肌側」とも言う。ちなみに、図3の概略平面図は、展開状態のおむつ1を肌側から見たものである。
ここで、同図3に示すように、各背側サイドフラップ1bsfにおける幅方向の外端部には、それぞれファスニングテープ61が幅方向に突出して設けられている。そして、腹側部1aの非肌側面に設けられたターゲットテープ65(図3、図4C)に各ファスニングテープ61,61を係止することによって、図5に示すように、胴回り開口部HBと一対の脚回り開口部HL,HLとが形成されて、おむつ1は着用者に装着される。
かかるおむつ1は、図3及び図4Bに示すように、シート状の本体部1kを有する。本体部1kは、尿等の排泄液を吸収する吸収性コア11と、吸収性コア11を厚さ方向の肌側から覆うトップシート21と、同コア11を非肌側から覆う防漏シート31と、同コア11を防漏シート30よりも非肌側から覆っておむつ1の外装をなす外装シート31と、を有する。そして、この本体部1kに対して、更に、立体ギャザー41gを形成するための立体ギャザーシート41、ファスニングテープ61、ターゲットテープ65、胴回り弾性部材71、及び脚回り弾性部材81などが設けられて、上述のおむつ1が完成されている。
なお、上記の本体部1kの長手方向、幅方向、及び厚さ方向は、それぞれ、前述のおむつ1の長手方向、幅方向、及び厚さ方向と同じ方向を向いている。そのため、以下の説明では、これらの方向については、特におむつ1と本体部1kとで区別せずに使用することにする。
以下、図3、図4A〜図4C、図5、及び図6等を参照しながら、おむつ1の各構成11,21,30,31,41,61,71,81について説明する。
吸収性コア11は、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や高吸収性ポリマー(SAP)等の液体吸収性粒状物を、所定形状の一例としての平面視略砂時計形状に成形したものである。そして、この例では、図4Bに示すように、かかる吸収性コア11は、厚さ方向の肌側及び非肌側の両側からそれぞれ液透過性のコアラップシート12,12によって被覆されている。コアラップシート12に好適な材料としては、ティッシュペーパーや不織布等を例示できる。但し、これらのコアラップシート12,12は無くても良い。
トップシート21は、既述のように吸収性コア11を肌側から覆う柔軟且つ液透過性の矩形シートである。そして、この例では、上述のように吸収性コア11の肌側面がコアラップシート12で被覆されていることから、トップシート21は、このコアラップシート12を肌側から覆いつつ同シート12にホットメルト接着剤等で固定されている(図4B)。また、吸収性コア11の肌側面の概ね全域を覆うべく、トップシート21は、幅方向については吸収性コア11と概ね同じ大きさを有し、長手方向については吸収性コア11の両側から飛び出すような大きさを有しており、この例では、長手方向については、おむつ1の全長に亘って設けられている(図3)。かかるトップシート21に好適な材料としては、エアスルー不織布等の適宜な不織布を例示できて、ここではエアスルー不織布が使用されているが、液透過性と柔軟性とを有していれば、何等これに限ない。
防漏シート30は、既述のように吸収性コア11を非肌側から覆う柔軟且つ液不透過性の矩形シートである(図4B、図3)。そして、この例では、上述のように吸収性コア11の非肌側面がコアラップシート12で被覆されていることから、防漏シート30は、このコアラップシート12を非肌側から覆いつつ同シート12にホットメルト接着剤等で固定されている。また、吸収性コア11の非肌側面の全域を覆うべく、防漏シート30は、吸収性コア11から幅方向の両側及び長手方向の両側に飛び出すような平面寸法を有し、この例では、長手方向については、おむつ1の全長に亘って設けられている(図3)。そして、防漏シート30のうちで吸収性コア11及びコアラップシート12,12から長手方向又は幅方向に飛び出す部分については、前述のトップシート21又は後述の立体ギャザーシート41,41にホットメルト接着剤等で固定されている。かかる防漏シート30に好適な材料としては、ポリエチレンフィルム等の樹脂フィルムを例示できて、ここではポリエチレンフィルムが使用されているが、液不透過性と柔軟性とを有していれば、何等これに限らない。
外装シート31(バックシートに相当)は、既述のように、おむつ1の外装をなすシート31である。そして、おむつ1の外装をなすことから、同外装シート31は、防漏シート30の非肌側面を覆いながら、同面にホットメルト接着剤等で固定されている(図4B)。また、この例では、外装シート31は、おむつ1の外形形状もなしている。そのため、図3に示すように、外装シート31の平面形状は、前述のような略砂時計形状となっており、そして、かかる外装シート31は、防漏シート30から幅方向の両側に飛び出している。そして、当該飛び出した部分は、後述の立体ギャザーシート41,41にホットメルト接着剤等で固定されている(図4A乃至図4C)。かかる外装シート31に好適な材料としては、適宜な不織布を例示できて、ここではSMS(スパンボンドーメルトブローン−スパンボンド)不織布が使用されているが、柔軟性を有していれば、何等これに限らない。また、この外装シート31を、液不透過性のシートで形成した場合には、上述の防漏シート30を省略することもできる。
立体ギャザーシート41,41(立体ギャザー形成部に相当)は、図3及び図4Bに示すように、トップシート21の幅方向の各端部21ew,21ewをそれぞれ肌側から覆うように当該各端部21ew,21ewに対応させて一対で設けられている。そして、各シート41,41は、それぞれトップシート21の肌側面から起立する立体ギャザー41g,41gを長手方向に沿って形成する。すなわち、各立体ギャザーシート41は、トップシート21にホットメルト接着剤等で固定されて起立不能な基端部41kと、同基端部41kを支点として厚さ方向の肌側に起立可能な起立部41sと、を幅方向に並んで有している。そして、起立部41sの幅方向の先端部41sewには、長手方向に沿った立体ギャザー用弾性部材45として、例えば940DTEXの1本の糸ゴム45が長手方向に自然長の2倍の伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されている。そのため、起立部41sには長手方向に収縮力が付与されており、かかる収縮力に基づいて起立部41sが長手方向に収縮することによって、起立部41sが複数の襞を形成しながら厚さ方向の肌側に起立して、立体ギャザー41gとして機能する(図4B)。
なお、立体ギャザー用弾性部材45の収縮力の大きさは、例えば次のように設定される。先ず、立体ギャザー用弾性部材45を設ける前の時点の起立部41sの長手方向の全長寸法、すなわち上述の襞が無い状態での長手方向の全長寸法のことを、100%の基準長さと定義する。そして、立体ギャザー用弾性部材45が設けられて長手方向に収縮した襞状の起立部41sを長手方向に93%まで伸長した際に、同弾性部材45に0.5N〜2Nの収縮力が生じるように、上述の起立部41sへ固定する際の同弾性部材45の伸長状態が決定される。例えば、この例では、940DTEXの1本の糸ゴム45を用いている。そのため、当該1本の糸ゴム45の長手方向の伸長状態を自然長の2倍に設定して起立部41sに固定することにより、93%伸長時の同糸ゴム45の収縮力の大きさを0.5N〜2Nに収めている。
また、図3、図4A、及び図4Cに示すように、起立部41sのうちの長手方向の各端部41seLa,41seLbには、それぞれ当該各端部41seLa,41seLbを本体部1kのトップシート21に伏せた状態に固定する固定部42a,42bが長手方向に沿った帯状に形成されている。すなわち、各端部41seLa,41seLbにおいて固定部42a,42bに対応する部分とトップシート21との間には、固定部42a,42bとしてホットメルト接着剤が長手方向に沿った帯状に設けられており、当該接着剤によって、上記各端部41seLa,41seLbはそれぞれトップシート21に伏せられた状態に固定されている。そして、各端部41seLa,41seLbの固定部42a,42bのうちで特に背側部1bに位置する方の固定部42bが、本第1実施形態に対してなされた工夫に関係しているが、これについては後述する。
かかる立体ギャザーシート41に好適な材料としては、適宜な不織布を例示できて、ここではSMS不織布が使用されているが、柔軟性を有していれば、何等これに限らない。
また、立体ギャザーシート41は、図3、図4A乃至図4Cに示すように、幅方向の外側の方へ、外装シート31の外端縁31ew,31ewとほぼ同位置まで延在していて、かかる外端縁31ew或いはその近傍位置で外装シート31とホットメルト接着剤等で接着一体化されている。そして、これにより、かかる立体ギャザーシート41と外装シート31とが互いに共同して、腹側部1a及び背側部1bでは、それぞれ前述の腹側サイドフラップ1asf,1asf及び背側サイドフラップ1bsf,1bsfが形成されている。一方、股下部1mでも、同様に、上記の外端縁31ew或いはその近傍位置で立体ギャザーシート41と外装シート31とがホットメルト接着剤等で接着一体化されていて、これにより、外端縁31ewから幅方向の内側の所定範囲に亘ってレッグフラップ1mf,1mfが形成されている。
各レッグフラップ1mf,1mfは、それぞれ、装着状態において脚回り開口部HLとなる部分であり、つまり着用者の脚回りを覆う部分である。そして、各レッグフラップ1mfを長手方向に収縮させてレッグギャザーを形成すべく、各レッグフラップ1mfには、それぞれ脚回り弾性部材81,81として長手方向に沿った複数の糸ゴム81,81が長手方向に伸長状態でホットメルト接着剤等により固定されている。よって、当該脚回り弾性部材81,81の伸長状態が緩和されると、レッグフラップ1mfは長手方向に収縮して複数の襞が形成されて当該襞がレッグギャザーとなる。
ファスニングテープ61,61は、図3及び図4Aに示すように、一対の背側サイドフラップ1bsf,1bsfにおける幅方向の外端部にそれぞれ設けられている。各ファスニングテープ61は、それぞれ柔軟な略矩形シートをテープ基材61aとし、このテープ基材61aの幅方向の一端部が背側サイドフラップ1bsfの外端部に固定され、他端部が背側サイドフラップ1bsfの外端部よりも幅方向の外側に突出している。そして、かかる他端部では、長手方向の2カ所の部分で更に幅方向の外側に突出していて、当該2カ所の各突出部61ap,61apの肌側面には、それぞれ面ファスナーのオス材61mが一つずつ固定されており、また、オス材61mの肌側面には、複数の係止用突起(不図示)が設けられている。よって、オス材61mの係止用突起が腹側部1aのターゲットテープ65の非肌側面に引っ掛かることにより、同ターゲットテープ65にファスニングテープ61が係止される。かかるオス材61mには、面ファスナーとして周知なものを適用できて、例えば、係止用突起が釣り針状のものやT字状のもの等を適宜使用することができる。また、テープ基材61aに好適な材料としては、不織布等の柔軟なシート材を例示できて、この例では、不織布が使用されているが、何等これに限らない。
ターゲットテープ65は、図3及び図4Cに示すように、腹側部1aの非肌側面たる外装シート31の非肌側面に設けられている。この例では、同テープ65は幅方向に長い略矩形状であり、そして、外装シート31との間で、互いの幅方向の中央位置を合わせつつ、ホットメルト接着剤等によって同テープ65は外装シート31に固定されている。かかるターゲットテープ65に好適な材料としては、エアスルー不織布等を例示できるが、何等これに限らない。
胴回り弾性部材71は、図6に示すように、背側部1bにおける胴回り開口部HBを幅方向に伸縮可能にすべく、前述のおむつ1の本体部1kにおける長手方向の背側の端部1kbeLに対して、幅方向の収縮力を付与する部材である。そして、この例では、同端部1kbeLには、胴回り弾性部材71,71…として、幅方向に沿う複数の糸ゴム71,71…が長手方向に並んで設けられている。詳しくは、複数の一例として5本の940DTEXの糸ゴム71,71…が、それぞれ幅方向に沿って延在して配されているとともに、各糸ゴム71,71…は、幅方向に例えば自然長の2倍の伸長状態で、本体部1kをなすトップシート21と防漏シート30との間に介挿されつつこれら両シート21,30のうちの少なくとも一方のシート21(30)にホットメルト接着剤等で固定されている。よって、伸長状態が緩和されて自然状態にされれば、本体部1kにおける背側の端部1kbeLは幅方向に収縮して、複数の襞が形成された状態となる。そして、これにより、かかる襞が伸びきるまでは、各糸ゴム71は速やかに幅方向に伸長することができて、その結果、胴回り開口部HBは幅方向に伸縮可能とされている。
なお、以下では、かかる本体部1kにおける背側の端部1kbeLのことを、「胴回り弾性部材配置対象部分1kbeL」と言う。ここで、かかる胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLをより正確に表現すると、「本体部1kにおいて長手方向の最も内側に位置する胴回り弾性部材71の配置位置を起端として、そこから長手方向の外側に位置する部分1kbeL」と言うことができる。
かかる胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの長手方向の寸法は、図6のようなおむつ1の展開状態において例えば20mm〜40mmの範囲から選択され、また、同部分1kbeLに設けられる各胴回り弾性部材71,71…の幅方向の寸法は、同じく展開状態において例えば180mm〜220mmから選択される。
なお、ここで言う「展開状態」とは、図3に示すように、ターゲットテープ65への各ファスニングテープ61,61の係止を解いて、腹側部1aと股下部1mと背側部1bとが長手方向に並んだ状態にするとともに、立体ギャザー用弾性部材45に基づく起立部41sの収縮、胴回り弾性部材71に基づく胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの収縮、及び一対の脚回り弾性部材81,81に基づく各レックフラップ1mf,1mfの収縮がそれぞれちょうど無くなるまで、長手方向と幅方向との両方向におむつ1を伸ばした状態のことである。
また、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLに設けられた胴回り弾性部材71,71…の収縮力は、例えば次のように設定される(図6)。先ず、胴回り弾性部材71,71…を設ける前の時点の胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの幅方向の全長寸法、すなわち上述の襞が無い状態の幅方向の全長寸法のことを、100%の基準長さと定義とする。そして、胴回り弾性部材71,71…が設けられて幅方向に収縮した弾性部材配置対象部分1kbeLを幅方向に93%まで伸長した際に、同弾性部材71,71…に合計2N〜8Nの収縮力が生じるように、上述の胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLへ固定する際の同弾性部材71,71…の伸長状態が決定される。例えば、この例では、胴回り弾性部材71,71…として940DTEXの5本の糸ゴム71,71…を用いている。そのため、当該5本の糸ゴム71,71…の長手方向の伸長状態を自然長の2倍に設定して胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLに固定することにより、93%伸長時の5本の糸ゴム71,71…の収縮力の大きさの合計値を2N〜8Nに収めている。
以上、おむつ1の各構成要素11,21,30,31,41,61,71,81について説明したが、この第1実施形態では、図2Bの既述の課題、つまり「本体部1kにおける背側の端部1kbeLたる上記胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLと、吸収性コア11との間の位置にポケット状の空間SPを確実に形成しながらも、当該胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの立ち上がりを抑制する」という課題を解決するために、立体ギャザー41gの上記固定部42bに対して工夫をしている。以下、この工夫について説明する。
先ず、本第1実施形態では、図6に示すように、本体部1kのうちで胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLよりも長手方向の内側の部分に、吸収性コア11が存在している。
また、同本体部1kにおいて胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLと吸収性コア11との間の部分1kbn、すなわち、図6においてドット模様で示す部分1kbnは、胴回り弾性部材71,71…及び吸収性コア11の両者が共に存在していない非存在部分1kbnとされている。
更に、同図6に示す背側部1bには、立体ギャザーシート41に係る既述の固定部42bも位置している。すなわち、図3を参照して既述のように、立体ギャザーシート41における起立部41sの長手方向の各端部41seLa,41seLbには、それぞれ、前述の固定部42a,42bが長手方向に沿った帯状に形成されていて、これにより、起立部41sの長手方向の各端部41seLa,41seLbは、本体部1kのトップシート21に伏せた状態に固定されている。そして、これら固定部42a,42bのうちの一方の固定部42bは、背側部1bに位置しているが、ここで、図6に示すように、かかる固定部42bのうちで長手方向の最も内側の部分42bp(以下、最内側部分42bpとも言う)には、起立部41sの収縮力が、長手方向の内側を向いた引っ張り力Fの形態で集中して入力される。よって、当該最内側部分42bpを介して本体部1kは長手方向の内側に引っ張られる。
ここで、この第1実施形態では、当該最内側部分42bpを、本体部1kのうちの上記非存在部分1kbn(図6においてドット模様で示す部分を参照)に位置させている。そして、かかる非存在部分1kbnは、上述のように胴回り弾性部材71,71…及び吸収性コア11が存在しない部分であり、その曲げ剛性は低くなっている。
よって、図7に示すように、上述の引っ張り力Fの入力に基づいて、本体部1kは、当該非存在部分1kbnにおいて速やかに断面視略Z字形状に屈曲して、その結果、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLと吸収性コア11との間の位置にポケット状の空間SPを形成することができる。
また、上記の長手方向の内側を向いた引っ張り力Fは、固定部42bの最内側部分42bpを介して専ら当該非存在部分1kbnに入力される。よって、同引っ張り力Fは、非存在部分1kbnよりも長手方向の外側に隣接して位置する上記胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLには概ね入力されず、その結果として、当該胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの立ち上がりを抑制することができる。
ここで望ましくは、図6の例のように、固定部42bの最内側部分42bpが、非存在部分1kbnにおける長手方向の中央位置C1kbnLよりも内側に位置していると良い。そして、このようになっていれば、前述の長手方向の内側を向いた引っ張り力Fを、上記胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLから更に離れた位置に入力することができて、その結果、同胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの立ち上がりをより有効に抑制することができる。
また、この図6の例では、固定部42bは、起立部41sにおける幅方向の中央位置C41swよりも幅方向の内側の位置に形成されている。そして、これにより、長手方向の背側の端部41seLbにおいて起立部41sを確実に伏せた状態に固定するようにしている。但し、何等これに限るものではなく、場合によっては、固定部42bを、上記の中央位置C41swよりも幅方向の外側に形成しても良い。
更に、この図6の例では、固定部42bを補助する目的で、幅方向における固定部42bと基端部41kとの間の位置に、補助固定部43bを設けている。例えば、複数の一例として二つの補助固定部43b,43bを幅方向に並んで設けている。そして、これにより、固定部42bと基端部41kとの間の位置で生じ得る起立部41sとトップシート21との間の隙間を潰すようにして、起立部41sにおける背側の端部41seLbからの尿漏れを有効に防いでいる。
かかる補助固定部43bも、ホットメルト接着剤で形成されている。すなわち、図4Aに示すように、補助固定部43bとしてのホットメルト接着剤が、起立部41sとトップシート21との間に、長手方向に沿った帯状に介挿されていて、これにより、起立部41sとトップシート21は、幅方向における固定部42bと基端部41kとの間の位置においても固定されている。
なお、この例では、図6に示すように、各補助固定部43b,43bの幅方向の寸法は、固定部42bの幅方向の寸法より小さくされているとともに、補助固定部43bのうちで長手方向の最も内側の部分たる最内側部分43bpの長手方向の位置は、固定部42bの最内側部分42bpと同位置に揃えられている。但し、何等これに限らない。すなわち、補助固定部43bの幅方向の寸法を、固定部42bのそれより大きくしても良いし、小さくしても良い。また、補助固定部43bの最内側部分43bpの長手方向の位置を、固定部42bの最内側部分42bpよりも長手方向の外側に位置させても良いし、逆に内側に位置させても良い。但し、何れの場合についても、望ましくは、図6のように、補助固定部43bの最内側部分43bpを、非存在部分1kbnに位置させていると良く、そのようにしていれば、前述の収縮力に基づく長手方向の内側を向いた引っ張り力Fを、確実に非存在部分1kbnに入力可能となって、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの立ち上がりを確実に抑制することができる。但し、これらの補助固定部43b,43bについては必須構成ではなく、つまり省略しても良い。
また、図8の例のように、固定部42bが、非存在部分1kbnと胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLとに跨がって延在している場合には、望ましくは、立体ギャザー用弾性部材45のうちで弾性部材配置対象部分1kbeLに位置する部分45p1では、長手方向の収縮力が生じないようにすると良い。また、更に望ましくは、同弾性部材45のうちで非存在部分1kbnに位置する部分45p2についても、同じく収縮力が生じないようにすると良く、そして、より一層望ましくは、上記に加えて、同弾性部材45が、固定部42bの最内側部分42bpの位置を起点として長手方向の内側に、収縮力が生じていない部分を有していると良い。
そして、このようになっていれば、上記の内側を向いた引っ張り力Fの上記胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLへの入力を、より有効に抑制可能となって、その結果、上記胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの立ち上がりをより有効に抑制することができる。
また、望ましくは、図8の例のように、吸収性コア11における長手方向の背側の端縁部11ebの形状が、幅方向の中央側の部分11ebcの方が幅方向の端側の部分11ebe,11ebeよりも長手方向の外側(背側)へ突出した湾曲形状であると良い。
そして、このようになっていれば、厚さ方向の肌側から見た場合のポケット状の空間SPの形状を、上記の湾曲形状に作り込むことができる。すなわち、吸収性コア11の剛性は一般に高いことから、前述の長手方向の内側を向いた引っ張り力Fで非存在部分1kbnが引っ張られた際には、同非存在部分1kbnは、吸収性コア11の上記端縁部11ebと隣接する位置において当該端縁部11ebに沿って屈曲し易い。また、かかる端縁部11ebの形状は、上述したような湾曲形状であることから、非存在部分1kbnは、当該湾曲形状に沿って速やかに屈曲して、これにより、ポケット状の空間SPを上記の湾曲形状に作り込むことができる。一方、この湾曲形状は、一般に略円弧形でなる臀部の形状に沿っている形状でもある。そのため、当該ポケット状の空間SPを臀部に沿わせることができて、その結果、臀部へのフィット性の良化を通して、尿便漏れをより有効に防止可能となる。
ちなみに、このように吸収性コア11の長手方向の背側の端縁部11ebの形状が湾曲している場合には、当該端縁部11ebに隣接する非存在部分1kbnの長手方向の大きさは、幅方向の位置に応じて変化していることになるが、このような場合も含めて、非存在部分1kbnの長手方向の大きさは、次のような範囲に設定されていると良い。すなわち、長手方向の大きさが最も小さい位置P1kbn1(図8の例では、幅方向の中央位置P1kbn1)においては、例えば10mm〜40mmの範囲の任意値とされ、長手方向の大きさが最も大きい位置P1kbn2(図8の例では、吸収性コア11における幅方向の端縁の位置P1kbn2)においては、20mm〜50mmの範囲の任意値とされると良い。そして、このような範囲に設定されていれば、ポケット状の空間SPの大きさを、背側へ流れる尿の堰き止めに適した大きさにすることができる。例えば、上記範囲より大きい場合には、ポケット状の空間SPが潰れやすくなって堰として機能し難くなり、他方、上記範囲よりも小さい場合には、ポケット状の空間SPの厚さ方向の高さが低くなって、この場合も堰として機能し難くなるが、上記範囲に収めていれば、このような機能不全の可能性を摘み取ることができる。
更に、望ましくは、図9の例のように、コアラップシート12が、吸収性コア11よりも長手方向の外側に飛び出している場合には、固定部42bの最内側部分42bpは、非存在部分1kbnのうちでコアラップシート12が存在しない部分に位置していると良い。
そして、このようにしていれば、上記の最内側部分42bpは、コアラップシート12が無いという更に曲げ剛性が低い部分に位置することとなって、これにより、前述の長手方向の内側を向いた引っ張り力Fの同部分42bpへの入力に基づいて、より速やかに本体部1kは非存在部分1kbnにおいて断面視略Z字形状に屈曲し得て、その結果、同部分1kbnにポケット状の空間SPをより確実に形成することができる。
図10は、第2実施形態に係る使い捨ておむつ1の展開状態の概略平面図である。また、図11A、図11B、及び図11Cは、それぞれ、図10中のA−A断面図、B−B断面図、及びC−C断面図である。なお、図11A乃至図11Cでは、紙面の都合上、幅方向の片側のみを示している。また、図12は、おむつ1の背側部1bを拡大して示す概略平面図である。
上述の第1実施形態では、立体ギャザー41gが、吸収性コア11の幅方向の各端部11ew,11ewにそれぞれ一つずつ設けられていたが(図3、図4B)、この第2実施形態では、同コア11の幅方向の各端部11ew,11ewに対して、それぞれ二つの立体ギャザー41g1, 41g2が設けられている点で主に相違する(図10、図11B)。そして、これ以外の点は、概ね上述の第1実施形態と同様である。そのため、以下では、この相違点について主に説明し、第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付して、その説明については省略する。
また、以下の説明では、図10及び図11Bに示すように、吸収性コア11の幅方向の端部11ew毎に設けられた二つの立体ギャザーの41g1,41g2のうちで、幅方向の内側に位置する立体ギャザー41g1のことを「第1立体ギャザー41g1」と言い、この第1立体ギャザー41g1よりも幅方向の外側に位置する立体ギャザー41g2のことを「第2立体ギャザー41g2」と言う。
図11Bに示すように、第1立体ギャザー41g1は、トップシート21aの幅方向の各端部21aew,21aewが、幅方向の内側へ折り返されることによって形成されている。すなわち、かかる端部21aewたる折り返された部分21aewが、第1起立部41s1となっており、また、この折り返しに係る折り線Lの部分が、起立不能な第1基端部41k1となっている。そして、折り返された部分21aewたる第1起立部41s1のうちの幅方向の先端部には、第1立体ギャザー用弾性部材451としての糸ゴム451が長手方向に沿って配されつつ、同方向に伸長状態でホットメルト接着剤等によって固定されている。よって、当該弾性部材451の収縮力に基づいて第1起立部41s1が長手方向に収縮することにより、当該第1起立部41s1が厚さ方向の肌側に起立して、第1立体ギャザー41g1として機能する。
また、図10、図11A、及び図11Cに示すように、かかる第1起立部41s1の長手方向の各端部41s1eLa,41s1eLbには、それぞれ当該各端部41s1eLa,41s1eLbを本体部1kの一部をなすトップシート21aの部分に伏せた状態に固定する第1固定部42a1,42b1が、それぞれ長手方向に沿った帯状に形成されている。すなわち、上記の各端部41s1eLa,41s1eLbにおいて第1固定部42a1,42b1に対応する部分と、トップシート21aのうちで上記の折り線Lよりも幅方向の内側の部分との間には、第1固定部42a1,42b1としてホットメルト接着剤が長手方向に沿った帯状に設けられており、当該接着剤によって、上記各端部41s1eLa,41s1eLbはそれぞれ本体部1kの一部をなすトップシート21aの部分に伏せられた状態に固定されている。
また、第1実施形態にて背側部1bに位置する固定部42bの場合と同様に、この第2実施形態にて背側部1bに位置する第1固定部42b1の場合にあっても、図12に示すように、当該第1固定部42b1における長手方向の最も内側の部分たる最内側部分42b1pは、本体部1kにおいて胴回り弾性部材71及び吸収性コア11が存在しない部分たる非存在部分1kbn(図12においてドット模様で示す部分1kbn)に位置している。
よって、第1起立部41sに係る第1立体ギャザー用弾性部材451の収縮力は、図12に示すように長手方向の内側を向いた引っ張り力Fの形態で、当該最内側部分42bp1を介して非存在部分1kbnに集中して入力されて、これにより、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLには概ね入力されない。そのため、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの立ち上がりを抑制しながら、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLと吸収性コア11との間の位置にポケット状の空間SPを確実に形成することができる。
一方、第2立体ギャザー41g2は、図10及び図11Bに示すように、トップシート21aとは別部材の立体ギャザーシート47(第2立体ギャザー形成部に相当)で形成されている。以下、これを「第2立体ギャザーシート47」と言う。かかる第2立体ギャザーシート47は、上記の第1立体ギャザー41g1に係る第1基端部41k1を幅方向に跨ぐように配されつつ、当該第1基端部41k1を厚さ方向の肌側から覆って設けられている。そして、同第2立体ギャザーシート47は、第1基端部41k1或いはその近傍部分においてトップシート21aにホットメルト接着剤等で固定されていて、これにより、第2立体ギャザーシート47においてトップシート21aに固定された部分が、起立不能な第2基端部41k2となっており、また、第2立体ギャザーシート47のうちで第2基端部41k2よりも幅方向の内側に位置可能な部分が、第2基端部41k2を支点として起立可能な第2起立部41s2となっている。更に、第2起立部41s2のうちの幅方向の先端部には、第2立体ギャザー用弾性部材452としての糸ゴム452が長手方向に沿って配されつつ、同方向に伸長状態でホットメルト接着剤等によって固定されている。よって、第2起立部41s2が長手方向に収縮することにより、当該第2起立部41s2が厚さ方向の肌側に起立して、第2立体ギャザー41g2として機能する。
なお、図11Bに示すように、この第2起立部41s2は、前述の第1実施形態の起立部41sや上記の第1起立部41s1とは異なり、第2基端部41k2或いはその近傍位置を折り返し位置として幅方向の外側に折り返されていて、これにより、幅方向の外側に開いた謂わば外開き状態とされている。そして、図10、図11A、及び図11Cに示すように、この外開き状態に固定すべく、第2起立部41s2における長手方向の各端部41s2eLa,41s2eLbには、それぞれ当該各端部41s2eLa,41s2eLbを本体部1kに伏せて固定する第2固定部42a2,42b2が、長手方向に沿った帯状に形成されている。そして、かかる第2固定部42a2,42b2もホットメルト接着剤で形成されている。
詳しくは、図11A及び図11Cに示すように、幅方向の外側に折り返された第2起立部41s2は、第2立体ギャザーシート47において第2基端部41k2よりも幅方向の外側の部分47pに対向するが、かかる外側の部分47pは、おむつ1の本体部1kにホットメルト接着剤等で固定一体化されていて、謂わば本体部1kの一部のようになっている。そして、この本体部1kの一部のようになった第2立体ギャザーシート47の部分47pに、第2起立部41s2が幅方向の外側に折り返された状態で伏せられている。そして、かかる伏せられた状態の第2起立部41s2と、上記の本体部1kの一部のようになった第2立体ギャザーシート47の部分47pとの間に、第2固定部42a2,42b2としてのホットメルト接着剤が介挿されていて、これにより、これら両者41s2,47pは、長手方向の各端部41s2eLa,41s2eLbにおいて同接着剤により固定されている。
そして、ここで望ましくは、図12に示すように、背側部1bに位置する第2固定部42b2についても、その長手方向の最も内側の部分42b2pたる最内側部分42b2pが、非存在部分1kbn(図12においてドット模様で示す部分を参照)に位置していると良い。
そして、このようになっていれば、第2起立部41s2に係る第2立体ギャザー用弾性部材452の収縮力も、図12に示すように長手方向の内側を向いた引っ張り力F2の形態で、当該最内側部分42bp2を介して非存在部分1kbnに集中して入力されて、これにより、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLには概ね入力されない。そのため、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLの立ち上がりを抑制しながら、胴回り弾性部材配置対象部分1kbeLと吸収性コア11との間の位置へのポケット状の空間SPの形成に有効に寄与することができる。
但し、この第2固定部42b2の最内側部分42b2pについては、非存在部分1kbnに位置していなくても良い。例えば、最内側部分42b2pが、非存在部分1kbnよりも長手方向の内側に位置していても良く、例えば図13の例では、吸収性コア11における背側の端縁部11ebに位置している。そして、かかる端縁部11ebに位置している場合には、最内側部分42b2pは非存在部分1kbnの近傍に位置していることから、非存在部分1kbnへのポケット状の空間SPの形成に有効に寄与することができる。
また、これら第1固定部42b1の最内側部分42b1p及び第2固定部42b2の最内側部分42b2pは、それぞれポケット状の空間SPの形成に寄与するが、ここで、図12の例では、第2固定部42b2の最内側部分42b2pは、第1固定部42b1の最内側部分42b1pよりも長手方向の内側且つ幅方向の外側に位置している。
よって、これら両方の最内側部分42b2p,42b1pは、それぞれ、長手方向の外側に膨出した略円弧形形状の曲線上に乗ることができる。すると、第2固定部42b2の最内側部分42b2p及び第1固定部42b1の最内側部分42b1pが、それぞれの位置でおむつ1の本体部1kを断面視略Z字形状に屈曲することにより、ポケット状の空間SPの形状を平面視で略円弧形に作り込むことができる。そして、その結果、一般に略円弧形でなる臀部へのフィット性を良好にして、尿便漏れをより効果的に防止可能となる。
なお、この略円弧形に作り込む観点に立てば、望ましくは、第2立体ギャザー用弾性部材452から第2起立部41s2に付与される収縮力の大きさが、第1立体ギャザー用弾性部材451から第1起立部41s1に付与される収縮力の大きさよりも大きくなっていると良い。すなわち、第2起立部41s2の93%伸長時において第2立体ギャザー用弾性部材452に生じる収縮力の大きさの方が、第1起立部41s1の93%伸長時において第1立体ギャザー用弾性部材451に生じる収縮力の大きさよりも大きくなっていると良い。
そして、このようになっていれば、図12に示すように、第2固定部42b2の最内側部分42b2pには、第1固定部42b1の最内側部分42b1pに入力される長手方向の内側を向いた引っ張り力Fよりも大きな引っ張り力F2が入力されて、これにより、第2固定部42b2の最内側部分42b2pは、第1固定部42b1の最内側部分42b1pよりも長手方向の内側へと大きく引っ張られて移動する。また、そもそも第2固定部の最内側部分42b2pは、第1固定部の最内側部分42b1pよりも幅方向の外側且つ長手方向の内側に位置している。そのため、上記の引っ張り力F,F2の大小関係(F<F2)によれば、ポケット状の空間SPにおける幅方向の中央部分がより長手方向の外側に突出したような略円弧形状になるように促すこととなって、その結果、当該大小関係は、ポケット状の空間SPを臀部の形状に沿わせることに有効に寄与し得る。
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
上述の実施形態では、図3に示すように、吸収性物品の一例として所謂展開型のおむつ1を例示した。すなわち、ファスニングテープ61を用いて着用者に装着されるタイプのおむつ1を例示したが、何等これに限らない。例えば、所謂パンツ型のおむつ、すなわち、腹側部1aと背側部1bとを幅方向の各端部で分離不能に連結したタイプのおむつに対して上述の工夫を施しても良い。
上述の実施形態では、図3に示すように本体部1kにおける背側の端部1kbeLに胴回り弾性部材71,71…を設けていたために、立体ギャザー41gの起立部41sの長手方向の各端部41seLa,41seLbに形成される固定部42a,42bのうちで、本体部1kにおける背側の端部1kbeLに形成される固定部42bに対して上述の工夫を施していたが、何等これに限らない。例えば、同図3に示す本体部1kにおける腹側の端部1kaeLに胴回り弾性部材を設ける場合には、立体ギャザー41gの起立部41sの長手方向の各端部41seLa,41seLbに形成される固定部42a,42bのうちで、本体部1kにおける腹側の端部1kaeLに形成される固定部42aに対して上述の工夫を施しても良い。
上述の第1実施形態では、立体ギャザー41gの起立部41sに収縮力を作用させる目的で、立体ギャザー用弾性部材45として糸ゴム45を使用していたが、何等これに限らない。例えば、糸ゴム45に代えて、平ゴムや帯状の弾性フィルム、伸縮性を有した不織布等を用いても良い。また、立体ギャザーシート41において起立部41sとなる部分自体に、長手方向に沿った伸縮性が発現したようなシート材を用いた場合には、立体ギャザー用弾性部材45を省略することもできる。なお、このことは、第2実施形態の立体ギャザー用弾性部材451,452についても同様である。
上述の実施形態では、胴回り弾性部材71として糸ゴム71を使用していたが、何等これに限らない。例えば、糸ゴム71に代えて、平ゴムや帯状の弾性フィルム、伸縮性を有した不織布等を用いても良い。また、場合によっては、図11A及び図13に二点鎖線で示すように、胴回り弾性部材71,71…たる糸ゴム71、71…を厚さ方向の肌側及び非肌側の一方側又は両側から覆うように、不織布或いはフィルム等の柔軟なシート状部材73を設けても良い。
上述の第2実施形態では、図11Bに示すように、トップシート21aの幅方向の各端部21aew,21aewを用いて第1立体ギャザー41g1の第1起立部41s1を形成していたが、何等これに限らない。例えば、第1実施形態の立体ギャザー41gの起立部41s又は第2実施形態に係る第2立体ギャザー41g2の第2起立部41s2と同様に、専用の立体ギャザーシートによって第1立体ギャザー41g1の第1起立部41s1を形成しても良い。なお、その場合の第1立体ギャザー41g1の構造は、第1実施形態で説明済みの立体ギャザー41gの構造と同じになるので、その説明については省略する。
また、場合によっては、図11Bの第2実施形態において第2立体ギャザー41g2を省略して第1立体ギャザー41g1のみとしても良い。換言すると、図4Bの第1実施形態において専用の立体ギャザーシート41を用いて立体ギャザー41gの起立部41sを形成することに代えて、トップシート21における幅方向の各端部21ew,21ewを折り返すことで立体ギャザー41gの起立部41sを形成しても良い。
上述の第1実施形態では、立体ギャザー41gの起立部41sの長手方向の各端部41seLa,41seLbに形成される固定部42a,42bをホットメルト接着剤で形成していたが、起立部41sを本体部1kに伏せた状態に固定可能であれば、何等これに限らない。例えば、起立部41sを本体部1kに溶着又は圧着することによって、伏せた状態に固定しても良い。なお、このことは、第2実施形態の各固定部42a1,42a2,42b1,42b2についても同様である。
上述の実施形態では、上記のおむつ1を単独で使用していたが、場合によっては、尿取りバッドなどの別の吸収性物品(不図示)と組み合わせて使用しても良い。そして、その場合には、尿取りバッドを上記のおむつ1のトップシート21の肌側面に載置して使用することになるが、その際には、上記のポケット状の空間SPに尿取りパッドの長手方向の端部を差し込んで保持すると良い。そして、このようにすれば、尿取りパッドを上記トップシート21の肌側に載置する際に、同パッドの位置決めをし易くなる。また、尿取りパッドの上記端部が、ポケット状の空間SPに差し込まれているので、着用者の身体の下におむつ1を敷き込む際に、トップシート21の肌側に載置された上記尿取りパッドの上記端部が着用者の肌に当たらない。よって、当該端部が起こし得る着用者の肌トラブルも有効に防ぐことができる。
ちなみに、尿取りパッドとは、おむつ1の肌側面に載置して使用されるシート状の吸収性物品のことである。詳しくは、同パッドは、液体を吸収する吸収性コアと、同コアを肌側から覆う液透過性のトップシートと、同コアを非肌側から覆う液不透過性のバックシートとを有し、例えば、同コアから四方にはみ出す部分において、トップシートとバックシートとが溶着や接着等で接合されることにより、両シート同士の間にコアが保持されている。そして、同パッドの外形形状は、長手方向と幅方向と厚さ方向とを有した形状をなしている。
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)、
1a 腹側部、1b背側部、1m 股下部、
1asf サイドフラップ、1bsf サイドフラップ、1mf レックフラップ、
1k 本体部、1kaeL 腹側の端部、
1kbeL 弾性部材配置対象部分(背側の端部、端部)、
1kbeLe 縁部、
1kbn 非存在部分、
11 吸収性コア、11ew 端部、
11eb 端縁部、11ebc 部分、11ebe 部分、
12 コアラップシート、
21 トップシート、21ew 端部、
21a トップシート、21aew 端部、
30 防漏シート、
31 外装シート(バックシート)、31ew 外端縁、
41 立体ギャザーシート(立体ギャザー形成部)、
41g 立体ギャザー、41g1 第1立体ギャザー、41g2 第2立体ギャザー、
41k 基端部、41k1 第1基端部、41k2 第2基端部、
41s 起立部、41s1 第1起立部、41s2 第2起立部、
41s1eLa 端部、41s1eLb 端部、
41s2eLa 端部、41s2eLb 端部、
41seLa 端部、41seLb 端部、
41sew 先端部、
42a 固定部、
42b 固定部、42bp 最内側部分、
42a1 第1固定部、
42b1 第1固定部、42b1p 最内側部分、
42a2 第2固定部、
42b2 第2固定部、42b2p 最内側部分、
43b 補助固定部、43bp 最内側部分、
45 糸ゴム(立体ギャザー用弾性部材、弾性部材)、
45p1 部分、45p2 部分、
451 糸ゴム(第1立体ギャザー用弾性部材)、
452 糸ゴム(第2立体ギャザー用弾性部材)、
47 第2立体ギャザーシート(立体ギャザー形成部)、47p 部分、
61 ファスニングテープ、61a テープ基材、61ap 突出部、61m オス材、
65 ターゲットテープ、
71 糸ゴム(胴回り弾性部材)、73 シート状部材、
81 糸ゴム(脚回り弾性部材)、
HB 胴回り開口部、HL 脚回り開口部、
P1kbn1 中央位置、P1kbn2 位置、
Pz 位置、SP ポケット状の空間、
C41sw 中央位置、C1kbnL 中央位置、
L 折り線、
F 引っ張り力、F2 引っ張り力、

Claims (10)

  1. 長手方向と幅方向と厚さ方向とを有する本体部が、液体を吸収する吸収性コアと、前記吸収性コアを前記厚さ方向の肌側から覆うトップシートと、前記吸収性コアを前記厚さ方向の非肌側から覆うバックシートとを、有する吸収性物品であって、
    前記本体部における前記長手方向の端部は、胴回り開口部を構成するとともに、前記端部に対して前記幅方向の収縮力を付与すべく前記端部には前記幅方向に沿って胴回り弾性部材が設けられており、
    前記本体部において前記端部よりも前記長手方向の内側の部分には、前記吸収性コアが存在しているとともに、前記本体部において前記端部と前記吸収性コアとの間の部分は、前記胴回り弾性部材及び前記吸収性コアの両者が存在しない非存在部分とされており、
    前記幅方向の所定位置には、シート状の立体ギャザー形成部が前記長手方向に沿って設けられており、
    前記立体ギャザー形成部は、起立不能な基端部と、前記基端部を支点として前記厚さ方向の肌側に起立可能な起立部とを前記幅方向に並んで有し、前記起立部に作用する前記長手方向の収縮力に基づいて前記起立部が前記長手方向に収縮することによって、前記起立部が前記厚さ方向の肌側に起立し、
    前記起立部のうちの前記長手方向の端部には、当該端部を前記本体部に伏せた状態に固定する固定部が形成されているとともに、当該固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分に位置しており、
    前記起立部の前記収縮力は、前記長手方向に沿って前記起立部に設けられた弾性部材から付与されており、
    前記固定部は、前記非存在部分と前記本体部の前記端部とに跨がって延在し、
    前記弾性部材のうちで前記本体部の前記端部に位置する部分では、前記長手方向の収縮力が生じておらず、
    前記起立部のうちの前記長手方向の端部には、当該端部を前記本体部に伏せた状態に固定するための、前記固定部よりも幅方向の寸法が小さい補助固定部が、前記幅方向における前記固定部と前記基端部との間の位置に形成されており、当該補助固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分に位置していることを特徴とする吸収性物品。
  2. 請求項1に記載の吸収性物品であって、
    前記固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分における前記長手方向の中央位置よりも内側に位置していることを特徴とする吸収性物品。
  3. 請求項1又は2に記載の吸収性物品であって、
    前記弾性部材のうちで前記非存在部分に位置する部分では、前記長手方向の収縮力が生じていないことを特徴とする吸収性物品。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の吸収性物品であって、
    前記吸収性コアは、液透過性のコアラップシートによって被覆されているとともに、前記コアラップシートは、前記吸収性コアよりも前記長手方向の外側に飛び出しており、
    前記固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記非存在部分のうちの前記コアラップシートが存在しない部分に位置していることを特徴とする吸収性物品。
  5. 請求項1乃至4の何れかに記載の吸収性物品であって、
    前記立体ギャザー形成部は、前記トップシートにおける前記幅方向の各端部を覆って前記厚さ方向の肌側からそれぞれ設けられた立体ギャザーシートであり、
    前記立体ギャザーシートのうちの前記幅方向の所定部分が前記トップシートに固定されることによって、前記所定部分は、起立不能な前記基端部とされているとともに、前記立体ギャザーシートのうちで前記基端部と前記幅方向に隣接する部分が、前記基端部を支点として前記厚さ方向の肌側に起立可能な前記起立部とされていることを特徴とする吸収性物品。
  6. 請求項1乃至4の何れかに記載の吸収性物品であって、
    前記トップシートにおける前記幅方向の各端部が、それぞれ前記幅方向の内側に折り返されることによって、前記各端部が前記起立部とされていることを特徴とする吸収性物品。
  7. 請求項1乃至4の何れかに記載の吸収性物品であって、
    前記立体ギャザー形成部に係る前記基端部を第1基端部とし、前記起立部を第1起立部とし、前記固定部を第1固定部とした場合に、
    前記第1起立部よりも前記幅方向の外側に第2起立部が位置するように第2立体ギャザー形成部が設けられており、
    前記第2起立部は、前記幅方向に並ぶ起立不能な第2基端部を支点として前記厚さ方向の肌側に起立可能に設けられており、
    前記第2起立部に作用する前記長手方向の収縮力に基づいて前記第2起立部が前記長手方向に収縮することによって、前記第2起立部が前記厚さ方向の肌側に起立し、
    前記第2起立部のうちの前記長手方向の端部には、当該端部を前記本体部に伏せた状態に固定する第2固定部が形成されているとともに、当該第2固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分は、前記第1固定部のうちで前記最も内側の部分よりも前記長手方向の内側に位置していることを特徴とする吸収性物品。
  8. 請求項7に記載の吸収性物品であって、
    前記第2起立部に作用する前記収縮力の大きさは、前記第1起立部に作用する前記収縮力の大きさよりも大きいことを特徴とする吸収性物品。
  9. 請求項1乃至8の何れかに記載の吸収性物品であって、
    前記吸収性コアにおける前記長手方向の端縁部の形状は、前記幅方向の中央側の部分の方が前記幅方向の端側の部分よりも前記長手方向の外側へ突出した湾曲形状であることを特徴とする吸収性物品。
  10. 請求項1乃至9の何れかに記載の吸収性物品であって、
    前記固定部のうちで前記長手方向の最も内側の部分を介して、前記起立部の収縮力が前記非存在部分に入力されることにより、前記非存在部分は前記長手方向に屈曲して前記非存在部分にポケット状の空間が形成されており、
    前記ポケット状の空間に、別の吸収性物品の長手方向の端部を差し込んで保持することを特徴とする吸収性物品。
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