JP5644328B2 - 中空糸膜モジュールおよび中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents
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Description
1.中空糸膜が内蔵された放射線照射されてなる中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜内表面側である第1通液空間に連通する第1注入口および第1排出口があり、中空糸膜外表面側である第2通液空間に連通する第2注入口および第2排出口が設けられており、以下の要件を満たすことを特徴とする中空糸膜モジュール。
1)中空糸膜の少なくとも内表面側に親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子が存在する。
2)抱液率が10〜350重量%である。
3)第2通液空間を閉栓した状態で、第1通液空間の第1流入口から第1排出口に100mL/minで純水を流した時、T/Ti=0.75以上1.2以下である。
(T=中空糸膜内表面を純水が実際に通過した時間(min)、Ti=中空糸膜内表面を純水が理想的に通過する時間(min))
2.前記中空糸膜において、透水性が170mL/hr/m2/mmHg以上300mL/hr/m2/mmHg以下であり、牛血(Ht=30、TP=6.0)を前記第1通液空間に流速200mL/minで1時間灌流させた後の透水性保持率が60%以上80%以下であることを特徴とする前記1に記載の中空糸膜モジュール。
(Ht=ヘマトクリット、TP=全タンパク質量)
3.前記親水性ユニットがビニルピロリドンおよび/またはエチレングリコールであり、前記疎水性ユニットが酢酸ビニルおよび/またはビニルカプロラクタムであることを特徴とする前記1または2に記載の中空糸膜モジュール。
4.前記親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子が内表面側のみに存在することを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
5.前記中空糸膜がポリスルホン系高分子と、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールからなることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
6.中空糸膜をモジュールケースに内蔵して、中空糸膜内面である第1通液空間に液体を満たす充填工程、気体を用いて前記液体を抜き出すブロー工程を経た後、不活性ガスを封入してから放射線照射を行う工程を有する中空糸膜モジュールの製造方法において、以下の要件を満たすことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
1)中空糸膜の少なくとも内表面側に親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子が存在する。
2)抱液率が10〜350重量%である。
3)前記気体を用いて液体を抜き出す方向と前記不活性ガスを封入する方向が同一である。
7.前記親水性ユニットがビニルピロリドンおよび/またはエチレングリコールであり、前記疎水性ユニットが酢酸ビニルおよび/またはビニルカプロラクタムであることを特徴とする前記6に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
8.前記液体が親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子の溶液であることを特徴とする前記6または7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
9.前記充填工程において、第1通液空間から第2通液空間へ向けて圧力差を設けることを特徴とする前記8に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
10.前記ブロー工程において用いる気体の液体含有率が20℃、1気圧で0.5体積%以上5体積%以下であることを特徴とする前記6〜9のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
p=(ww−wd)×c/wd (式1)
(p=中空糸膜2の抱液率(重量%)、ww=中空糸膜2の湿潤状態での重量(g)、wd=中空糸膜2の乾燥状態での重量(g)、c=湿潤液中の水分含有率(%))
ここでいう湿潤状態での重量とは、中空糸膜モジュールから中空糸膜2を取り出した直後に湿潤液を含む状態で測定した重量である。また、乾燥状態での重量とは、中空糸膜2を1mmHg以下、40℃で減圧乾燥を行い、24時間ごとの重量測定を行った時、24時間前の測定結果に対する重量変化が1%以下になった時の重量である。
Ti=Vi/100 (式2)
(Vi=中空糸膜2の内側空間11、つまり中空糸膜内表面の流路体積(mL))
また、泡抜け性試験を行うことにより算出された中空糸膜内表面を実際に通過した時間(T)は、
T=Ttotal−(Th+Td+To−Tw) (式3) で表される。
(Ttotal=泡抜け性試験に要した時間(min)、Th=注入側ヘッダー7および排出側ヘッダー8を純水が通過するのに要する時間(min)、Td=中空糸膜2 1本あたりの膜厚部分を純水が通過するのに要する時間(min)、To=第2通液空間を純水が通過するのに要する時間(min)、Tw=中空糸膜モジュール内の水分が占める体積を純水が通過するのに要する時間(min))
ただし、中空糸膜モジュールがある程度以上の水分を抱液していれば、純水は中空糸膜厚部分でシーリングされ、第2通液空間には流れ出ない。そのため、中空糸膜内表面を実際に通過した時間(T)は、
T=Ttotal−(Th+Td−Tw) (式3’)とし得る。
すなわち、中空糸膜内表面を実際に通過した時間(T)は下記(式4)あるいは(式4’)に変換することができる。
T=Ttotal―{(Vh+Vd+Vo−Vw)}/100 (式4)
T=Ttotal―{(Vh+Vd−Vw)}/100 (式4’)
(Vh=注入側ヘッダー7および排出側ヘッダー8の体積(cm3)、Vd=中空糸膜2 1本あたりの膜厚部分の体積(cm3)、Vo=第2通液空間の体積(cm3)、Vw=水分の占める体積(cm3))
具体的に、Viは下記(式5)、Vdは下記(式6)、Voは下記(式7)、Vwは(式8)となる。
Vi=(Di/2)2×π×L×N (式5)
Vd={(Do/2)2−(Di/2)2}×π×L×N×G (式6)
Vo=Vc−(Di/2)2×π×L×N−Vx (式7)
Vw=ww−wd (式8)
(Di=中空糸膜内径(cm)、Do=中空糸膜外径(cm)、L=中空糸膜有効長(cm)、N=中空糸膜モジュール中の中空糸膜本数(本)、Vc=ケース1の体積(cm3)、Vx=例えば中空糸膜を覆うカバリング糸などが占める体積(cm3)、ww=中空糸膜2の湿潤状態での重量(g)、wd=中空糸膜2の乾燥状態での重量(g)、G=中空糸膜厚部分の空隙率)
なお、(式6)に中空糸膜がポリスルホン系高分子と、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールからなる場合、中空糸膜厚部分の空隙率(G)はおおよそ0.85としてよい。
UFRSratio=(UFRS1/UFRS0)×100 (式9)
(UFRSratio=透水性保持率(%)、UFRS1=中空糸膜モジュールを牛血で1時間灌流させた後の透水性(mL/hr/m2/mmHg)、UFRS0=中空糸膜モジュールの透水性(mL/hr/m2/mmHg))
UFRSratioの値が80%を超えるような中空糸膜モジュールは透水性が変化しにくい。すなわち、生理食塩水を用いて返血を行う際に中空糸膜内表面側である第1通液空間から中空糸膜外表面側である第2通液空間に向けて、膜厚み部分を通って赤血球以外の液体成分が流れやすくなる。したがって、第1通液空間内の血液が濃縮されて粘度が上昇し、赤血球が残存することで、残血が発生しやすくなると考えられる。また、UFRSratioの値が60%未満の場合は、血液成分に含まれる赤血球やタンパク質などによる目詰まりが起こりやすく透水性の値が減少しやすい中空糸膜モジュールである。特に、中空糸膜モジュールが人工腎臓などの血液浄化用中空糸膜モジュールの場合は、一般的に4時間程度血液を灌流させるため、UFRS1より更に透水性が減少することも考えられる。かかる場合は、残血は発生しにくくなるものの、中空糸膜内表面側である第1通液空間から中空糸膜外表面側である第2通液空間への物質移動が制限されるため、性能悪化を引き起こし、好ましくない。
1.中空糸膜モジュールの作製
ポリスルホン(アモコ社 Udel−P3500)16部、ポリビニルピロリドン(インターナショナルスペシャルプロダクツ社;以下ISP社と略す)K30 3部、ポリビニルピロリドン(ISP社K90)3部をジメチルアセトアミド77部、水1部を加熱溶解し、製膜原液とした。
2.測定方法
(1)中空糸膜内表面および膜全体の高分子存在量(重量%)の測定
中空糸膜内表面の高分子存在量(重量%)測定には、X線電子分光法を用いた。装置、条件は以下の通り。
励起X線:monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6eV)
X線径:0.15mm
光電子脱出角度:90 °(試料表面に対する検出器の傾き)
測定深さ:約10nm
中空糸膜2を超純水で充分に洗浄した後、室温、0.5Torrにて10時間乾燥させた。その後、片刃で半円筒状にそぎ切り、中空糸膜内表面を測定に供した。
電気炉温度:熱分解部分(800℃)、触媒部分(900℃)
メイン酸素流量:200mL/min
酸素流量:200mL/min
アルゴン流量:400mL/min
中空糸膜2を上記分析装置内に導入して、熱分解および酸化させ、生成した一酸化窒素を化学発光法により測定した。次いで予めピリジン標準液で作成した検量線により定量した。
(2)溶出量の測定
25kGyでγ線照射した中空糸膜モジュールをプライミング洗浄した後、超純水で灌流した。プライミング方法としては、以下の通りである。まず、第1注入口3を下にした状態で、純水を満たした血液回路(H−102―KTS 東レ株式会社)に接続した。また、別の血液回路を第1排出口4に接続した。純水を流量100mL/minで、第1注入口3から第1排出口4に7分間流した後、血液回路の第1注入口3側と第1排出口4側にそれぞれ鉗子をつけた。その後、第1排出口4側にある第2注入口5を下にした状態で、それぞれカプラーを用いて血液回路に接続した。純水を流量 500mL/minで、第2注入口5から第2排出口6に5分間流した後、血液回路の第2注入口5側と第2排出口6側にそれぞれ鉗子をつけた。その後、再度、第1注入口3を下にし、血液回路の第1注入口3側と第1排出口4側の鉗子を外した状態で、純水を流量100mL/minで第1注入口3から第1排出口4に3分間流した。この後、37℃に加温した状態の4Lの純水を用いて、第1注入口3を上にした状態で、第1注入口3から第1排出口4に流量200mL/minで、4時間灌流した。
(3)酸素濃度の測定
酸素濃度は、酸素濃度計(飯島電子工業株式会社RO−102)を用いて第1注入口3、第1排出口4、第2注入口5及び第2排出口6をゴム栓で密閉して測定した。該酸素濃度計は、シリンジと測定センサーが一体化した型であり、針先から酸素濃度計内部に送り込まれた気体の酸素濃度を測定できる。酸素濃度計の校正は、酸素濃度21%の気体をセンサー部に3回送り込んで行った。校正は、測定ごとに行った。第1排出口4に取り付けた栓に酸素濃度計の針を差し込み、排出側ヘッダー8中の気体をセンサー部に3回送り込んだ。酸素濃度計の値が1分間内に0.1%変化しない安定した状態にて値を読み取り、モジュールの酸素濃度とした。酸素濃度の値については、2.0体積%以下、好ましくは1.3体積%以下、より好ましくは1.0体積%以下である。
(4)泡抜け性試験
中空糸膜モジュールは、一度通液したものは第1通液空間内におけるエアロックなどの状態が変化するため、泡抜け性試験専用のものを用意した。なお、中空糸膜モジュールは放射線照射しない状態のものを使用した。血液回路(H−102―KTS 東レ株式会社)に純水を満たし、これを第1注入口3に接続した。また、別の血液回路を第1排出口4に接続した。第1注入口3を下に、第1排出口4を上にして、中空糸膜モジュールをクランプで固定した。第1注入口3に接続した血液回路のチャンバーの液面と、中空糸膜モジュールの中央の高さを合わせた。第2注入口5および第2排出口6を栓で閉じた。血液ポンプ(LF−300 MEDTECH)を用いて、100ml/minの流量で20℃の純水を第1注入口3から第1排出口4に流し、中空糸膜モジュールに通液した。通液中は、中空糸膜モジュールは静置状態として、振動やポンプ以外の水圧変化を与えないようにした。また、試験の途中、通液を停止することはなかった。純水が第1排出口4に出てきた時間を測定し、Ttotalとした。
(5)残血評価
残血評価に用いた牛血は、凝固しないように6.5体積%のACD−A液(テルモ社 コード番号TP−A05ACD)を添加した牛血をヘマトクリット(Ht)値=30(%)、全タンパク質量(TP)=6.0(g/dL)となるように、赤血球および生理食塩水を用いて調整したものを使用した。また、調整牛血および使用する生理食塩水は37℃に加温した状態のものを使用した。
(6)牛血灌流
牛血灌流に用いた牛血は、凝固しないように6.5体積%のACD−A液(テルモ社 コード番号TP−A05ACD)を添加した牛血をヘマトクリット(Ht)値=30(%)、全タンパク質量(TP)=6.0(g/dL)となるように、赤血球および生理食塩水を用いて調整したものを使用した。また、調整牛血および使用する生理食塩水は37℃のものを使用した。
(7)透水性(UFRS)の測定
第1通液空間および第2通液空間を生理食塩水で満たした後、第1注入口3から第1排出口4に血液ポンプ(LF−300 MEDTECH)を用いて生理食塩水を流し、第1排出口4側の流量が200mL/minとなるように調節する。第2注入口5を開栓し、第1通液空間側の圧力調整バルブにより第1排出口4側の流量(QBo)と第2注入口5側の流量(QDi)を1:9となるよう調整した後、それぞれの流量と第1注入口3の圧力および第1排出口4の圧力を測定した。下記(式10)および(式11)により、透水性(UFRS)を算出した。
Pave=(PBi+PBo)/2 (式10)
(Pave=第1通液空間の平均膜圧(mmHg)、PBi=第1注入口3の圧力、PBo=第1排出口4の圧力)
UFRS=QDi/Pave/A (式11)
(UFRS=中空糸膜モジュールの透水性(mL/hr/m2/mmHg)、QDi=第2注入口5側の流量(mL/hr)、A=中空糸膜モジュールの膜面積(m2))
(実施例1)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(7/3)共重合体(BASF社製、“LUVISKOL”(登録商標)VA73W)の100ppm水溶液を25℃にて中空糸膜モジュールの第1注入口3から第1排出口4に500mL通液し、次に第1注入口3から第2注入口5に500mL通液することで、中空糸膜2の内表面に“LUVISKOL”(登録商標)VA73Wを集積させた。その後、100kPaの圧縮空気で第2注入口5から第1注入口3へ充填液を押しだし、次に液体成分が入らないように第1注入口3から第1排出口4の方向に充填液を1.4L(Normal)/minの流量の空気で30秒間ブローした後、20L(Normal)/minの流量の空気で5秒間ブローを行い、抱液率を測定した。その後、窒素ガスを第1通液空間、第2通液空間それぞれに18L(Normal)/minの流量で15秒間ずつ封入した。空気ブローの方向と窒素ガスの封入方向は同方向とした。該モジュール内の酸素濃度を測定した後、泡抜け性試験を行った。
また、同様の条件で作成した別の該モジュールを25kGyでγ線照射した。γ線照射後、溶出量測定と残血試験をそれぞれ別のγ線照射した該モジュールで行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、泡抜け性も良く、コントロール並に維持されていることがわかった。また、残血量も少なかった。
(実施例2)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、泡抜け性も良く、コントロール並に維持されていることがわかった。また、溶出量および残血量も少なかった。また、透水性(灌流前後)およびβ2−ミクログロブリン クリアランスについて測定を行った。
(実施例3)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用いて、20L(Normal)/minの流量の空気で5秒間ブローを行なわなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、泡抜け性も良く、コントロール並に維持されていることがわかった。また、残血量も少なかった。
(実施例4)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(5/5)共重合体(BASF社製、“LUVISKOL”(登録商標)VA55I)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、泡抜け性も良く、コントロール並に維持されていることがわかった。また、残血量も少なかった。
(実施例5)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用いてブロー後、抱液率が150重量%になるように減圧乾燥を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、泡抜け性も良く、コントロール並に維持されていることがわかった。また、溶出量および残血量も少なかった。
(比較例1)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用いてブロー後、抱液率が5重量%になるように減圧乾燥を行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、コントロール並に維持されていることがわかった。また、残血量も少なかったが、泡抜け性が悪く、溶出量は多くなった。抱液率が高かったため、ヒドロキシラジカルの発生量が少なくなり、BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64が中空糸膜表面に固定化される量が減ったためと考えられる。
(比較例2)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用い、第1通液空間の空気ブロー流量を0.1L(Normal)/min、窒素ブロー流量を5L(Normal)/minにして、抱液率が482重量%になるように行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、泡抜け性は良く、コントロール並に維持されていることがわかったが、モジュール内の酸素濃度が高く、残血量も多くなった。抱液率が高いため、モジュール内酸素濃度が低くならず、BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64が分解して、中空糸膜表面に固定化される量が減ったためと考えられる。
(比較例3)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用い、第1通液空間の空気ブロー流量を20L(Normal)/minにした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度が高く、残血量も多く、泡抜け性も悪かった。第1通液空間の空気ブロー流量が高かったため、エアロックが大量に発生したと考えられる。
(比較例4)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用い、第1通液空間の空気ブロー時に液体が入るように行った以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度が高く、残血量も多く、泡抜け性も悪かった。第1通液空間の空気ブロー時に液体が入ったため、エアロックが大量に発生したと考えられる。
(比較例5)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用い、第1通液空間の空気ブロー方向と窒素ガスの封入方向を逆方向とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、コントロール並に維持されていることがわかったが、残血量も多く、泡抜け性も悪かった。第1通液空間の空気ブロー方向と窒素ガスの封入方向を逆方向としたため、エアロックが大量に発生したと考えられる。
(比較例6)
ビニルピロリドン/酢酸ビニル(6/4)共重合体(BASF社製、“KOLLIDON”(登録商標)VA64)を用い、第1通液空間の空気ブロー流量を20L(Normal)/min、窒素ブロー流量を30L(Normal)/minにして、さらにブロー方向と窒素ガスの封入方向を逆方向とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度が高く、残血量も多く、泡抜け性も悪かった。第1通液空間の空気ブロー流量と窒素ガスの封入流量が高いうえに、空気ブロー方向と窒素ガスの封入方向を逆方向としたため、エアロックが大量に発生したと考えられる。
(比較例7)
ポリビニルピロリドンK90を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、泡抜け性も良く、コントロール並に維持されていることがわかったが、残血量が多かった。中空糸膜表面の親水性と疎水性のバランスが悪かったために、エアロックの発生はある程度抑制されたが、発生したエアロックの解消されやすさが悪かったためと考えられる。
(比較例8)
水を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの各結果は表1の通りであった。すなわち、モジュール内の酸素濃度は低く、泡抜け性も良かったが、残血量が多かった。中空糸膜表面の親水性と疎水性のバランスが悪かったために、エアロックの発生はある程度抑制されたが、発生したエアロックの解消されやすさが悪かったためと考えられる。
(実施例6)
“KOLLIDON”(登録商標)VA64を用い、中空糸膜モジュールへ通液した水溶液の濃度は5ppmにした以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果は表2の通りであった。すなわち、溶出量が比較例7に示すコントロール並に維持されていることがわかった。ただし、β2−ミクログロブリン クリアランスは実施例2と同程度であったが、残血量は多くなった。
(実施例7)
“KOLLIDON”(登録商標)VA64を用い、中空糸膜モジュールへ通液した水溶液の濃度は1000ppmにした以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果は表2の通りであった。すなわち、溶出量が比較例7に示すコントロール並に維持されていることがわかった。ただし、残血量は実施例2と同程度であったが、β2−ミクログロブリン クリアランスが少なくなった。
2 中空糸膜
3 第1注入口
4 第1排出口
5 第2注入口
6 第2排出口
7 注入側ヘッダー
8 排出側ヘッダー
9 封止部
10 中空糸膜の膜圧部分
11 中空糸膜の内側部分
12 中空糸膜の外側部分
13 端面長
Claims (10)
- 中空糸膜が内蔵された放射線照射されてなる中空糸膜モジュールにおいて、中空糸膜内表面側である第1通液空間に連通する第1注入口および第1排出口があり、中空糸膜外表面側である第2通液空間に連通する第2注入口および第2排出口が設けられており、以下の要件を満たすことを特徴とする中空糸膜モジュール。
1)中空糸膜の少なくとも内表面側に親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子が存在する。
2)抱液率が10〜350重量%である。
3)第2通液空間を閉栓した状態で、第1通液空間の第1流入口から第1排出口に100mL/minで純水を流した時、T/Ti=0.75以上1.2以下である。
(T=中空糸膜内表面を純水が実際に通過した時間(min)、Ti=中空糸膜内表面を純水が理想的に通過する時間(min)) - 前記中空糸膜において、透水性が170mL/hr/m2/mmHg以上300mL/hr/m2/mmHg以下であり、牛血(Ht=30、TP=6.0)を前記第1通液空間に流速200mL/minで1時間灌流させた後の透水性保持率が60%以上80%以下であることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
(Ht=ヘマトクリット、TP=全タンパク質量) - 前記親水性ユニットがビニルピロリドンおよび/またはエチレングリコールであり、前記疎水性ユニットが酢酸ビニルおよび/またはビニルカプロラクタムであることを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子が内表面側のみに存在することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
- 前記中空糸膜がポリスルホン系高分子と、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリエチレングリコールからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
- 中空糸膜をモジュールケースに内蔵して、中空糸膜内面である第1通液空間に液体を満たす充填工程、気体を用いて前記液体を抜き出すブロー工程を経た後、不活性ガスを封入してから放射線照射を行う工程を有する中空糸膜モジュールの製造方法において、以下の要件を満たすことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
1)中空糸膜の少なくとも内表面側に親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子が存在する。
2)抱液率が10〜350重量%である。
3)前記気体を用いて液体を抜き出す方向と前記不活性ガスを封入する方向が同一である。
4)第2通液空間を閉栓した状態で、第1通液空間の第1流入口から第1排出口に100mL/minで純水を流した時、T/Ti=0.75以上1.2以下である。
(T=中空糸膜内表面を純水が実際に通過した時間(min)、Ti=中空糸膜内表面を純水が理想的に通過する時間(min)) - 前記親水性ユニットがビニルピロリドンおよび/またはエチレングリコールであり、前記疎水性ユニットが酢酸ビニルおよび/またはビニルカプロラクタムであることを特徴とする請求項6に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記液体が親水性ユニットと疎水性ユニットからなる共重合体高分子の溶液であることを特徴とする請求項6または7に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記充填工程において、第1通液空間から第2通液空間へ向けて圧力差を設けることを特徴とする請求項8に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
- 前記ブロー工程において用いる気体の液体含有率が20℃、1気圧で0.5体積%以上5体積%以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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