JP5521790B2 - ハーフブリッジ形電力変換装置 - Google Patents
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Description
一般に、ハーフブリッジ形DC/DCコンバータは2つの直流電源を必要とする。図11に示した回路例では、直流電源1に等容量の第1分圧コンデンサ2と第2分圧コンデンサ3との直列接続回路を接続して、直流電源1の電圧(2Vdc)を2分の1に分圧して2つの電圧信号Vdcを形成するための直流電源として構成されている。この第1分圧コンデンサ2と第2分圧コンデンサ3との直列接続回路には、同じNチャネル半導体からなる第1スイッチング素子4と第2スイッチング素子5との直列接続アームが並列に接続されている。第1スイッチング素子4のゲートには、ゲート信号を生成するためのゲート駆動用増幅回路(GA:Gate Amplifier)6が接続され、第2スイッチング素子5のゲートには、ゲート駆動用増幅回路(GA)7が接続されている。これらのゲート駆動用増幅回路6およびゲート駆動用増幅回路7は、それぞれゲート駆動パルス信号G1,G2を受けている。
図12は、ゲートパルス生成回路によるゲート駆動パルス信号の生成ロジックを示す信号波形図である。
図11に示すハーフブリッジ形DC/DCコンバータには、図13(A),(B)に示すゲート駆動パルス信号G1,G2がゲート駆動用増幅回路6,7に入力され、第1スイッチング素子4および第2スイッチング素子5を交互にオン/オフするゲート信号を生成する。このとき、絶縁トランス8の1次巻線には、同図(C)に示すような矩形波交流電圧の電圧信号Vt1が印加され、その結果、同図(D)に示す1次電流It1が流れる。絶縁トランス8の2次巻線はセンタタップ巻線構造を有しており、そのセンタ端子が負荷回路13のマイナス線となり、その両端子からそれぞれ同図(E),(F)に示す電圧信号Vt2,Vt3が整流回路9に供給されている。
Tpo1=Tpo2=Tpo3 …(2)
通常では、第1、第2スイッチング素子4,5の確実なオン/オフ動作のためには、電圧オン時間、オフ時間に50%程度の余裕を持たせて設定される。そこで、各巻線の最小導通時間Tpw1m,Tpw2m,Tpw3m、および最小非導通時間Tpo1m,Tpo2m,Tpo3mのいずれも1.5[μsec]とする。また、絶縁トランス8の2次側で整流される整流電圧Vdのパルス幅Tpw(図13(G)参照)についても、以下の関係が成り立つ。
ここでは、図11に示すハーフブリッジ形DC/DCコンバータが上述した回路常数に設定されているとして、出力電圧Vo=50V(一定)に制御するために必要なフィルタリアクトル11のインダクタンス値Lfを縦軸に、出力電流Ioを横軸に示す。絶縁トランス8の1次側に電圧信号Vdc=350V(最大)を印加し、整流電圧Vdのパルス幅Tpwを1.5[μsec](最小値)とする制限をかけて、出力電流Ioを100%から1%まで減らした場合に必要なインダクタンス値Lfを示している。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、直流電源電圧が大きくなって整流電圧のパルス幅制限にかかるまでに出力電流値が小さくなる場合でも、安定して出力電圧の一定値制御が可能なハーフブリッジ形電力変換装置を提供することにある。
図2は、本発明のハーフブリッジ形DC/DCコンバータの動作原理を説明する等価回路図である。ここでは、絶縁トランス8の2次巻線82,83と絶縁トランス8の2次側の回路成分とが、絶縁トランス8の1次側の換算値に置き換えられた等価回路を示している。
Voe=n・Vo …(5)
また、整流電流Idの1次側等価換算値Ideは、次式(6)のように計算される。
ここでは、図14の特性図と同様、出力電圧Vo=50V一定に制御するために必要な挿入リアクトル21のインダクタンス値Lacを縦軸に、出力電流Ioを横軸に示している。そして、絶縁トランス8の1次側に電圧信号Vdc=350V(最大)を印加し、整流電圧Vdのパルス幅Tpwを1.5[μsec](最小値)とする制限をかけて、出力電流Ioを100%から1%まで減らした場合に、必要な挿入リアクトル21のインダクタンス値Lacを示している。
図4は、本発明の実施の形態に係るハーフブリッジ形DC/DCコンバータを示す主回路構成図、図5は、図4のハーフブリッジ形DC/DCコンバータの制御ブロックを示す図である。なお、図4、図5のそれぞれの構成要素について、図11と対応するものに同じ符号を付して、それらの詳細な説明は省略する。
小出力電流検出回路23は、2つのコンパレータ231,232と論理否定ゲート233とJKフリップフロップ234から構成されている。ここで、コンパレータ231,232には、それぞれ異なる基準信号(Iom+ΔI),(Iom−ΔI)、および変流器22からの出力電流検出信号Io1が供給されている。一方のコンパレータ231は、その出力端子がJKフリップフロップ234のJ入力端子と接続されている。他方のコンパレータ232の出力端子は、論理否定ゲート233を介してJKフリップフロップ234のK入力端子と接続されている。
Iom=0.1×20=2[A]
ΔI=0.05×2=0.1[A]
図7は、図5のゲート信号制御回路の一例を示すブロック図である。
図8は、図4のハーフブリッジ形DC/DCコンバータが最小パルス幅で整流電圧を生成して動作する際の信号波形を示す図である。また、図9は、図4のハーフブリッジ形DC/DCコンバータが最大パルス幅で整流電圧を生成して動作する際の信号波形を示す図である。
この(7)式よりn<2.64となるが、ここでは絶縁トランス8の巻線ドロップ、トランス損失等を考慮して、n=2.4とする。フィルタコンデンサ12のキャパシタンスCfの値は、Vdc=350[V]、Tpw=12.5/2(=6.25[μsec])、Io=20[A]の時、Voのリップル率が1%以下となるよう、フィルタコンデンサ12のキャパシタンスCfの値を設計する。
さらに、Vdc=350V、Io=20Aのとき、整流電流Idの変化幅(ΔId)が20Aとなるようにフィルタリアクトル11のインダクタンス値Lfを設計する。
ここでは、Vo=50Vで一定制御をするに当たって、最も厳しい電源電圧条件となるVdc=350V(最大)の場合について、上述した回路常数を用いて出力電圧Voのパルス幅Tpwが1.5μsec(最小)、出力電圧Voが50V、負荷回路13を最大出力電流20A(100%)のときの抵抗値(=50V/20A=2.5Ω)より大きくして、出力電流Ioを100%から1%まで減らした場合の一定制御が可能となる範囲を示している。
すなわち、図10に示す特性であれば、出力電流Ioが100%から10%までの範囲(Io=20A−2.0A)で第1、第2スイッチング素子4,5がスイッチングし、出力電流Ioが10%以下で1%(Io=0.2A)まで変化する場合には、リアクトル追加回路20の第3スイッチング素子4aと第4スイッチング素子5aがスイッチングして絶縁トランス8の1次側に挿入リアクトル21が挿入される。
第3スイッチング素子4aおよび第4スイッチング素子5aの最大電流は、出力電流Ioが10%であるので、Io=20A(100%)のときの第1スイッチング素子4および第2スイッチング素子5の電流より大幅に小さくなる。実際は、Io=20[A]とIo=2[A]の場合では、絶縁トランス8の電圧パルス幅が異なるため、実効値計算で第3スイッチング素子4aと第4スイッチング素子5aに流れる電流値は第1、第2スイッチング素子4,5の電流値の15%にすぎない。
図11の従来装置では、Vdc=350[V]、n:1=2.4:1、Cf=300[μF]として、出力電流Ioが100%から1%(Io=20A〜0.2A)の負荷変動がある場合に、Vo=50[V]に制御するためのフィルタリアクトル11の必要インダクタンス値Lfは、図14に示す特性図から500[μH]となる。
2π×192×14/200×150×50=0.021
即ち2%程度の大きさとなり、大幅に小さなリアクトルによって図4のハーフブリッジ形DC/DCコンバータが実現できることがわかる。
2 第1分圧コンデンサ
3 第2分圧コンデンサ
4 第1スイッチング素子
4a 第3スイッチング素子
5 第2スイッチング素子
5a 第4スイッチング素子
6 第1スイッチング素子のゲート駆動用増幅回路
6a 第3スイッチング素子のゲート駆動用増幅回路
7 第2スイッチング素子のゲート駆動用増幅回路
7a 第4スイッチング素子のゲート駆動用増幅回路
8 絶縁トランス
9 整流回路
10 フィルタ回路
11 フィルタリアクトル
12 フィルタコンデンサ
13 負荷回路
14 出力電圧検出回路
15 電圧調整回路
16 ゲートパルス発生回路
20 リアクトル追加回路
21 挿入リアクトル
22 出力電流検出用の変流器
23 小出力電流検出回路
24 ゲート信号制御回路
24a,24b コントロール回路
61 第3スイッチング素子のゲート駆動用増幅回路
71 第4スイッチング素子のゲート駆動用増幅回路
161 電圧制限回路
162 ゲートパルス生成回路
Claims (4)
- 第1分圧コンデンサと第2分圧コンデンサの直列接続回路および第1スイッチング素子と第2スイッチング素子の直列接続回路がそれぞれ直流電源に対して並列に接続され、かつ前記第1、第2分圧コンデンサの接続点と前記第1、第2スイッチング素子の接続点との間に絶縁トランスの1次巻線が接続され、前記第1、第2スイッチング素子を交互にオン/オフ駆動することによって前記絶縁トランスの前記1次巻線に交流電力を供給するとともに、前記絶縁トランスの2次巻線から変圧された交流電圧を出力するハーフブリッジ形電力変換装置において、
前記交流電圧を直流の整流電圧に変換する整流回路と、
前記整流電圧を平滑化して所定の出力電圧を所定の負荷回路に供給するフィルタ回路と、
前記負荷回路への出力電流が所定の電流値以下になったことを検出して、前記絶縁トランスの前記1次巻線に対して直列に挿入されるリアクトル回路と、
を備えたことを特徴とするハーフブリッジ形電力変換装置。 - 前記直流電源に対して前記第1、第2スイッチング素子の直列接続回路と並列に第3スイッチング素子と第4スイッチング素子の直列接続回路が接続され、前記リアクトル回路によって前記第1、第2スイッチング素子の接続点と前記第3、第4スイッチング素子の接続点との間を接続してなるリアクトル追加回路と、
前記第1スイッチング素子および前記第3スイッチング素子のいずれかを選択して第1のゲート駆動信号を出力する第1のゲート駆動信号発生回路と、
前記第2スイッチング素子および前記第4スイッチング素子のいずれかを選択して第2のゲート駆動信号を出力する第2のゲート駆動信号発生回路と、
を備え、
前記負荷回路への出力電流が所定の電流値以下になったとき、前記第1、第2のゲート駆動信号発生回路を切替えて前記第3、第4スイッチング素子にそれぞれ前記第1、第2のゲート駆動信号を出力することを特徴とする請求項1記載のハーフブリッジ形電力変換装置。 - さらに、前記第1のゲート駆動信号発生回路および第2のゲート駆動信号発生回路の出力側にそれぞれ信号切替え手段を設け、
前記負荷回路への出力電流が所定の電流値以上では、前記第1、第2スイッチング素子にそれぞれ前記第1、第2のゲート駆動信号を出力し、かつ前記負荷回路への出力電流が所定の電流値以下では、前記第3、第4スイッチング素子にそれぞれ前記第1、第2のゲート駆動信号を出力することを特徴とする請求項2記載のハーフブリッジ形電力変換装置。 - 前記信号切替え手段は、前記第1、第2のゲート駆動信号の出力方向を切替える場合に、前記負荷回路への出力電流が減少する際の基準電流値と増加する際の基準電流値との間に所定の大きさの電流幅でヒステリシス特性を有することを特徴とする請求項3記載のハーフブリッジ形電力変換装置。
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