JP5517914B2 - 遠心圧縮機のスクロール構造 - Google Patents
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Description
図5は、遠心圧縮機におけるコンプレッサインペラの回転軸心上半分の要部拡大断面図を示している。
遠心圧縮機のコンプレッサ1は、主に回転するハブ31及びその外周面に取付けられた多数の遠心羽根32で構成されているコンプレッサインペラ3を回転駆動源とシャフトで連結したタービンロータ2と、それを収納すると共に、流体の流路を形成するコンプレッサハウジング11とで構成されている。
コンプレッサハウジング11は、コンプレッサインペラ3の外周側に略ドーナツ状を成して、コンプレッサインペラ3から吐出される気流を減速させることによって、静圧を回復させるディフューザ部13、その外周側に、断面積が周方向に向かい渦巻状に拡大するように形成され、気流を減速、昇圧するスクロール12及び出口管(図示省略)が設けられている。
図6は、スクロール終点(図6の360°)を0基準にして、図6において時計回りに60°の位置から30°毎に位置を決めた半径Rの分布は一定になっている。
図7(A)には、横軸に周方向毎の角度位置を示し、縦軸にスクロール12のコンプレッサ回転軸中心L1からスクロール図芯Pまでの半径Rを示し、半径Rの分布は一定になっていることを示している。
また、図7(B)は、図6において時計回りに60°の位置を基準にしたスクロール12の周方向位置毎(30°毎)における各断面を積層して表示した断層図で、スクロール図芯Pの半径R方向の変化を表わしたものである。
特許文献1は、流体ガスを動翼に供給して動力を得るタービンの動翼の回転軸周りに渦巻状に形成された流路を備えたスクロール部の外縁は、半径Rが一定に形成された円弧部と、該円弧部の終点からスクロール部の終点に向かって半径Rが漸減したものである。
また、遠心圧縮機はコンプレッサインペラ3で加速された流れを減速させることで静圧を得る。
図7に示すような従来技術では気流の減速はディフューザ部13によって行われており、スクロールでは減速させていない。減速しない分はスクロール12内での損失となり、遠心圧縮機としての高い効率、高い圧力は得られなかった。
一方スクロール12で減速させようとするとスクロール壁と流体との間に発生する境界層が厚くなり、静圧回復が十分に得られない。
但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図5に示すように、本発明のスクロールは、流体の流路として、コンプレッサインペラ3の外周側に略ドーナツ状を成して、コンプレッサインペラ3から吐出される気流を減速させることによって、静圧を回復させるディフューザ部13、その外周側に、断面積が周方向に向かい渦巻状に拡大するように形成され、気流を減速、昇圧するスクロール12及び出口管(図示省略)が設けられている。
図1は、スクロール12を平面視したもので、実線は第1実施形態の形状を示し、破線は従来例の形状を示す。
スクロール構造は、スクロール12のラジアル方向の断面は略円形をしており、該断面の面積はスクロール終点Zを0基準として、時計回りに60°の位置からスクロール終点Zまでの間、渦巻状に漸次拡大している。
また、図1の時計回りに60°の位置は、スクロールの巻き始め位置に略一致する部位である。
そして、スクロール12の回転軸中心L1と、スクロール12を形成し、周方向に連なる各部位の断面中心であるスクロール図芯Pとの距離、半径Rが漸次変化している。
その変化の仕方は、図2(A)に示すとおり、時計回りに60°の位置からスクロール終点Zまでの間30°毎(目盛りは60°毎に記載)に部位のスクロール図芯Pの半径を示したものである。
そして、略60°の位置から略210°の間はスクロール図芯Pの半径が増大した半径増大円弧部Eとなっており、略210°より下流側からスクロール終点Z(360°)までのスクロール図芯Pの半径が減少した半径減少円弧部Fとなっている。
尚、破線は従来例を示し、Rが一定になっているのに対し、実線は実施形態1を示している。
図2(B)はスクロール12を時計回りに略60°の位置からスクロール終点Zまでの間30°毎部位の断面を積層した図であり、スクロール図芯Pの変化が容易に読取れる。
R×Cu=一定 ・・・・・・・(1)
R;スクロール図芯Pの半径 Cu;周方向流速(スクロール巻き方向)
従って、スクロール図芯Pの半径Rを60°から210°の間を漸次増大した半径増大円弧部において、ディフューザ部13から吐出された気流は減速される。
スクロール12の巻き始め位置(60°近傍)から210°の間はスクロール12の壁面と流体(気流)との摩擦によって発生する境界層厚さが薄いため減速させることで静圧回復の促進を図ることができる。
増速されると境界層厚さの肥大を防ぐので流速が確保される。
境界層厚さは気流を減速させることにより、流れに沿って成長するため、気流の流量が少なくなる。
そのため、ある一定の範囲(本実施形態では略60°から210°)だけ減速させるようにしてある。
巻き始め位置(60°近傍)から210°の位置は遠心圧縮機の要求性能により高い圧力又は高い空気量の選択により、前後させることで容易に可能となる。
尚、210°を大きく越えた部位まで半径Rを増大させると静圧は上昇するが、気流の流量抵抗は大きくなり、210°より前にすると静圧の上昇が低くなる。
210°の位置は、エンジン用遠心圧縮機要求性能に対して圧力及び、空気量において、バランスの取れた位置である。
静圧を回復させるには流体速度を減少させる必要があるが、流体速度を減少させるとスクロール壁と流体とに境界層が発生し、流通抵抗が大きくなり、流体の流量損失がおおきくなる。従って、境界を210°近傍とすることで、210°までの範囲の間に回復させ、それ以降を半径減少円弧部とすることで、流体の流速を速めて境界層の発生を小さくして、静圧を圧損なくコンプレッサ性能を得ることができる。
図3及び、図4(A),(B)に基づいて、本発明の第2実施形態に係る遠心圧縮機のスクロール構造について説明する。
尚、第1実施形態と同じものは同一の符号を付して説明は省略する。
図3は、スクロール12を平面視したもので、実線は第2実施形態の形状を示し、破線は従来例の形状を示す。
そして、スクロール12の回転軸中心L1と、スクロール12を形成し、周方向に連なる各部位の断面中心であるスクロール図芯Pとの距離、半径Rが漸次変化(増大)している。
さらに、260°から300°の範囲の半径を一定にして、円弧の変化を緩和する円弧緩和部Gが形成され、300°からスクロール終点Z(360°)までのスクロール図芯Pの半径Rが減少した半径減少円弧部となっている。
その半径Rの変化は、図4(A)に示すとおり、時計回りに60°の位置からスクロール終点Zまでの間30°毎(目盛りは60°毎に記載)に部位のスクロール図芯Pの半径を示したものである。
図4(B)はスクロール12を時計回りに60°の位置からスクロール終点Zまでの間30°毎部位の断面を積層した図であり、スクロール図芯Pの変化が容易に読取れる。
尚、本実施形態では、円弧緩和部Gのスクロール図芯半径を一定にしたが、図4(A)において円弧状K(破線部)にするとより気流の乱れが抑制できる。
また、円弧緩和部を260°〜300°の範囲とすることで、260°の範囲までの間に回復させ、境界部分の変化を滑らかにして、流体の乱れを抑制して、それ以降を半径減少円弧部とすることで、流体の流速を速めて境界層の発生を小さくして、静圧を圧損なくコンプレッサ性能を得ることができる。
2 タービンロータ
3 コンプレッサインペラ
11 コンプレッサハウジング
12 スクロール
13 ディフューザ部
15 空気通路
E 半径増大円弧部
F 半径減少円弧部
G 円弧緩和部
L1 コンプレッサ回転軸中心
P スクロール図芯
R 半径
Claims (4)
- 遠心圧縮機のコンプレッサインペラの下流側に配設されたディフューザ部から吐出されたガス又は空気等の流体の流路を形成する遠心圧縮機のスクロール構造において、
前記スクロールを形成し、周方向に連なる各断面形状のスクロール図芯からコンプレッサ回転軸中心までの半径が、前記スクロールの巻き始めからスクロールの周方向の任意の角度まで漸増する半径増大円弧部と、前記スクロールの終点に向かって漸減する半径減少円弧部とを備えたことを特徴とする遠心圧縮機のスクロール構造。 - 前記半径増大円弧部と前記半径減少円弧部との境界部を、前記スクロール終点を0基準として210度近傍としたことを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記半径増大円弧部と前記半径減少円弧部との間に円弧の変化を緩和する円弧緩和部を備えたことを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
- 前記円弧緩和部は前記スクロールの終点を0基準として、略260°〜300°の範囲としたことを特徴とする請求項3記載の遠心圧縮機のスクロール構造。
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