JP5505919B2 - 蓄熱材マイクロカプセルの製造方法及び蓄熱材マイクロカプセル - Google Patents
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Description
一方、相転移に伴う潜熱を利用する潜熱蓄熱材は、熱容量が大きく熱搬送システムの熱効率を大きく向上できる利点がある。潜熱蓄熱材としては、融点及び凝固点を有するものであれば利用可能であるが、物理化学的に安定で且つ潜熱が大きいものが望ましく、代表的な潜熱蓄熱材として、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等の無機化合物の水和物、パラフィンワックス、高級脂肪酸、高級アルコール等の有機化合物等がある。
このメラミン樹脂皮膜は、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合により得られ、機械的強度、耐熱性に優れるといった特徴を有するが、一方で、この方法では、メラミンの反応率を上げる為にメラミンの2倍以上のモル数のホルムアルデヒドが添加されるため、人体に有害なホルムアルデヒドが残留する可能性があるという問題点があった。
これに対して、加圧密閉容器を用いて蓄熱材の融点以上の高温下において、蓄熱材を水中に分散する方法も報告されている(例えば、特許文献2参照。)が、装置が高価になるという問題点があった。
撹拌速度150rpm以上の混合条件下で、上記バインダー(A)と上記蓄熱材(C)の混合物の析出温度以下に冷却速度1〜50℃/hrで冷却し、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)を含む粒子を析出させ、
上記バインダー(A)と上記硬化剤(B)の合計量に対する上記蓄熱材(C)の混合比〔(C)/(A+B)〕が重量換算で95/5〜50/50であるように添加され、上記バインダー(A)のカルボキシル基と反応するエポキシ基を一分子中に平均して2個以上有する硬化剤(B)と、上記バインダー(A)中のカルボキシル基とを反応させる、ことを特徴とする。
また、本発明の蓄熱材マイクロカプセルの第2の製造方法は、エポキシ基を1分子中に平均して2個以上有し、溶解性パラメータ値が6.5〜9.0であるビニル系共重合体からなるバインダー(A)と、融点が40〜150℃であり、且つ、炭素数10〜20の脂肪族炭化水素、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、炭素数10以上の高級脂肪酸、炭素数10以上の高級脂肪酸のエステル、炭素数10以上の高級アルコール及び炭素数10以上の高級アルコールのエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)とが、該蓄熱材(C)の融点より50℃低い温度から融点未満までの温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度(100gの溶媒に溶解する溶質のグラム数)がそれぞれ100g以上であり、且つ、芳香族系有機溶剤及び/又は脂肪族系有機溶剤を含有して成り、且つ、アルキル基の炭素数が4以上のn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール及びイソペンタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルキルアルコール類、アルキル基の炭素数が4以上のメチルイソブチルケトン及びn−アミルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のケトン類、アルキル基の炭素数が4以上の酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル及びプロピオン酸ブチルからなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールジエチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコールエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の芳香族炭化水素類、エクソンアロマティックナフサNO.2を含有する混合炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン及びn−オクタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素類、アイソパーC、アイソパーE、エクソールDSP100/140、エクソールD30及びIPソルベント1016からなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素を含有する混合炭化水素類、並びにシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンからなる群より選ばれた少なくとも1種の環状脂肪族炭化水素類からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む有機溶剤(D1)と、該蓄熱材(C)の融点未満の温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度がそれぞれ10g以下であり、且つ、炭素数3以下のメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルコール及び/又はエチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の多価アルコールを含む有機溶剤(D2)とを含み、該有機溶剤(D1)と該有機溶剤(D2)の混合比(D1/D2)が重量換算で10/90〜80/20である混合有機溶剤(D)に、該蓄熱材(C)の融点より低い温度で溶解している該バインダー(A)と硬化剤(B)と該脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)の合計濃度が5〜70質量%である有機溶剤溶液を、
撹拌速度150rpm以上の混合条件下で、上記バインダー(A)と上記蓄熱材(C)の混合物の析出温度以下に冷却速度1〜50℃/hrで冷却し、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)を含む粒子を析出させ、
上記バインダー(A)と上記硬化剤(B)の合計量に対する上記蓄熱材(C)の混合比〔(C)/(A+B)〕が重量換算で95/5〜50/50であるように添加され、上記バインダー(A)のエポキシ基と反応するカルボキシル基を一分子中に平均して2個以上有する硬化剤(B)と、上記バインダー(A)中のエポキシ基とを反応させる、ことを特徴とする。
撹拌速度150rpm以上の混合条件下で、上記バインダー(A)と上記蓄熱材(C)の混合物の析出温度以下に冷却速度1〜50℃/hrで冷却し、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)を含む粒子を析出させ、
上記バインダー(A)と上記硬化剤(B)の合計量に対する上記蓄熱材(C)の混合比〔(C)/(A+B)〕が重量換算で95/5〜50/50であるように添加され、上記バインダー(A)のカルボキシル基と反応するエポキシ基を一分子中に平均して2個以上有する硬化剤(B)と、上記バインダー(A)中のカルボキシル基とを反応させることで、又はエポキシ基を1分子中に平均して2個以上有し、溶解性パラメータ値が6.5〜9.0であるビニル系共重合体からなるバインダー(A)と、融点が40〜150℃であり、且つ、炭素数10〜20の脂肪族炭化水素、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、炭素数10以上の高級脂肪酸、炭素数10以上の高級脂肪酸のエステル、炭素数10以上の高級アルコール及び炭素数10以上の高級アルコールのエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)とが、該蓄熱材(C)の融点より50℃低い温度から融点未満までの温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度(100gの溶媒に溶解する溶質のグラム数)がそれぞれ100g以上であり、且つ、芳香族系有機溶剤及び/又は脂肪族系有機溶剤を含有して成り、且つ、アルキル基の炭素数が4以上のn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール及びイソペンタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルキルアルコール類、アルキル基の炭素数が4以上のメチルイソブチルケトン及びn−アミルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のケトン類、アルキル基の炭素数が4以上の酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル及びプロピオン酸ブチルからなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールジエチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコールエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の芳香族炭化水素類、エクソンアロマティックナフサNO.2を含有する混合炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン及びn−オクタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素類、アイソパーC、アイソパーE、エクソールDSP100/140、エクソールD30及びIPソルベント1016からなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素を含有する混合炭化水素類、並びにシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンからなる群より選ばれた少なくとも1種の環状脂肪族炭化水素類からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む有機溶剤(D1)と、該蓄熱材(C)の融点未満の温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度がそれぞれ10g以下であり、且つ、炭素数3以下のメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルコール及び/又はエチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の多価アルコールを含む有機溶剤(D2)とを含み、該有機溶剤(D1)と該有機溶剤(D2)の混合比(D1/D2)が重量換算で10/90〜80/20である混合有機溶剤(D)に、該蓄熱材(C)の融点より低い温度で溶解している該バインダー(A)と硬化剤(B)と該脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)の合計濃度が5〜70質量%である有機溶剤溶液を、
撹拌速度150rpm以上の混合条件下で、上記バインダー(A)と上記蓄熱材(C)の混合物の析出温度以下に冷却速度1〜50℃/hrで冷却し、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)を含む粒子を析出させ、
上記バインダー(A)と上記硬化剤(B)の合計量に対する上記蓄熱材(C)の混合比〔(C)/(A+B)〕が重量換算で95/5〜50/50であるように添加され、上記バインダー(A)のエポキシ基と反応するカルボキシル基を一分子中に平均して2個以上有する硬化剤(B)と、上記バインダー(A)中のエポキシ基とを反応させることで、蓄熱材マイクロカプセルを製造する。
まず、1分子中に平均して2個以上の官能基を有するバインダー(A)について説明する。
上記バインダー(A)としては、ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等、各種樹脂が使用できる。特に、得られる蓄熱材マイクロカプセルが、耐熱性、耐水性、機械的強度を良好にすることから、また耐久性に優れるようにすることからは、ビニル系共重合体を使用するのが好ましい。
なお、上記バインダー(A)は、2種以上の官能基を有していても良い。また、バインダー(A)は1種の樹脂のみからなるものでも、2種以上の樹脂のブレンド物であっても良い。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC−8220
カラム ; 東ソー株式会社製 ガードカラムHXL−H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理; 東ソー株式会社製 SC−8010
測定条件 ; カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ; ポリスチレン
試料 ; 樹脂固形分換算で0.4%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
ここで、上記バインダー(A)の溶解性パラメータは、以下の方法で求めることができる。
δ=〔(Vmh)(1/2)・δmh+(Vmd)(1/2)・δmd〕/〔(Vmh)(1/2)+(Vmd)(1/2)〕
ここで、
Vmh=(Vh・Vt)/(φh・Vt+φht・Vh)、
Vmd=(Vd・Vt)/(φd・Vt+φdt・Vd)
δmh=φh・δh+φht・δt、
δmd=φd・δd+φdt・δt
φh,φht;滴定溶剤にヘキサンを使用したときの、濁点における、ヘキサン,THFの体積分率
φd,φdt;滴定溶剤に脱イオン水を使用したときの、濁点における、脱イオン水,THFの体積分率
〔φh=vh/(vh+10)、φht=10/(vh+10)、φd=vd/(vd+10)、φdt=10/(vd+10)〕〔但し、10はTHFの使用容量(10ml)である。〕
δh,δd,δt;ヘキサン,脱イオン水,THFの溶解性パラメータ値
Vh,Vd,Vt;ヘキサン,脱イオン水,THFの分子容(ml/mol)
これら脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)の中でも、融点が40〜150℃であるものは、上記バインダー(A)と脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)を含む粒子の析出温度の制御を容易に行うことができることから好ましい。更に、パラフィンワックスとマイクロクリスタリンワックスは、いずれも蓄熱容量が高く蓄熱材としての性能に優れ、安全性が高く、使用目的に応じた融点のものが容易に入手できることから特に好ましい。
なお、析出した粒子(E)は、上記バインダー(A)と脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)の混合物を含んでなる粒子であるが、その混合状態は、必ずしも均一である必要はなく、例えば表面側の上記バインダー(A)の含有率が高い傾斜構造の粒子である場合には、より機械的強度に優れる蓄熱材マイクロカプセル得られることになるため、好ましい。
1)上記バインダー(A)と上記脂肪族系炭化水素蓄熱材(C)が溶解した有機溶剤溶液(I)に、予め硬化剤(B)を加えて混合しておき、有機溶剤溶液(I)を冷却してバインダー(A)と硬化剤(B)と脂肪族系炭化水素蓄熱材(C)を含む粒子を析出させた後、バインダー(A)と硬化剤(B)を反応させる方法、
2)有機溶剤溶液(I)を冷却してバインダー(A)と脂肪族系炭化水素蓄熱材(C)を含む粒子を析出させた後、硬化剤(B)を加えてバインダー(A)と反応させる方法、
等があり、いずれの方法も使用できる。
また、予め上記バインダー(A)と脂肪族系炭化水素蓄熱材(C)が溶解した有機溶剤溶液(I)に、硬化剤(B)の一部を加えて混合しておき、有機溶剤溶液(I)を冷却してバインダー(A)と硬化剤(B)の一部と脂肪族系炭化水素蓄熱材(C)を含む粒子を析出させた後に、残りの硬化剤(B)を加えて、バインダー(A)と硬化剤(B)を反応させてもよい。
この際の、バインダー(A)と硬化剤(B)の反応条件は、バインダー(A)と硬化剤(B)が十分に反応する条件であればよく、特に限定されるものではないが、反応温度は粒子の析出温度より15℃低い温度〜析出温度未満の範囲で、反応時間は通常1〜40時間、好ましくは5〜20時間の範囲である。
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入口を備えた反応容器に、n−ブタノール560部を入れ、80℃にまで昇温した。これに、スチレン150部、メチルメタクリレート100部、ステアリルメタクリレート650部、アクリル酸70部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン30部、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート10部及びn−ブタノール100部からなる混合物を、4時間に亘って滴下した。滴下終了後も、同温度に、更に10時間保持して重合反応を続行し、反応を完結せしめることによって、バインダー(A−1)の溶液(A’−1)を得た。
得られたバインダー(A−1)は、数平均分子量35,000、溶解性パラメータ7.9、溶液(A’−1)の固形分濃度は60.2%であった。
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入口を備えた反応容器に、トルエン560部を入れ、80℃にまで昇温した。これに、スチレン150部、n−ブチルメタクリレート300部、2−エチルヘキシルアクリレート400部、グリシジルメタクリレート150部、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート20部及びトルエン100部からなる混合物を、4時間に亘って滴下した。滴下終了後も、同温度に、更に10時間保持して重合反応を続行し、反応を完結せしめることによって、バインダー(A−2)の溶液(A’−2)を得た。
得られたバインダー(A−2)は、数平均分子量25,000、溶解性パラメータ8.6、溶液(A’−2)の固形分濃度は60.3%であった。
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素導入口を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール1100部を入れ、80℃にまで昇温した。これに、スチレン300部、n−ブチルメタクリレート350部、メタクリル酸350部、tert−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート70部及びイソプロピルアルコール100部からなる混合物を、6時間に亘って滴下した。滴下終了後も、同温度に、更に10時間保持して重合反応を続行し、反応を完結せしめることによって、カルボキシル基を含有する硬化剤(B−1)の溶液(B’−1)を得た。
得られた硬化剤(B−1)は、数平均分子量3,800、溶液(B’−1)の固形分濃度は47.0%であった。
タービン翼を備えた撹拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、蓄熱材として「FNP−0090」〔日本精鑞(株)製パラフィンワックス、融点90℃)2000部、バインダー(A−1)の溶液(A′−1)800部、n−ブタノール2200部、トルエン1700部、エチレングリコール1300部及び硬化剤(B)としてγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン10部を仕込み、攪拌しながら昇温した。85℃において、蓄熱材が完全に溶解したことを確認した。同温度で加熱を止め、300rpmで撹拌しながら5℃/hrの冷却速度で徐冷したところ、80℃で粒子の析出が認められた。かくして得られた粒子分散液に、硬化触媒として「ジブチル錫ジラウレート」0.8部を加え、300rpmで撹拌しながら75℃で10時間反応させることによって、蓄熱材マイクロカプセル(P−1)の分散液(S−1)を得た。
分散液(S−1)の固形分濃度は18.5%、蓄熱材マイクロカプセル(P−1)の体積平均粒子径は25μmであった。なお、体積平均粒子径は、日機装(株)製粒度分布測定装置「マイクロトラックHRA(X−100)」を用いて測定した値である(以下、同様。)。
得られた蓄熱材マイクロカプセル(P−1)の分散液(S−1)11000部に、ジメチルエタノールアミン30部を加えて撹拌し、バインダー(A−1)の酸基を中和した。更に75℃、0.1kPaで減圧蒸留してn−ブタノールとトルエンを除去した後、イオン交換水とエチレングリコールを加えて撹拌することにより、分散媒組成がイオン交換水/エチレングリコール=5/5(重量比)で、固形分濃度が30.0%の蓄熱材マイクロカプセル分散液を調製した。得られた蓄熱材マイクロカプセル分散液を、ラジエータ等の放熱系を含む冷却水循環回路内を電動ポンプを用いて、最大流量12L/min、配管最細部(コア部)流速0.3m/s、冷媒温度は最大95℃の条件で循環させた結果、蓄熱材マイクロカプセルの破損は認められなかった。
タービン翼を備えた撹拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、蓄熱材として「Hi−Mic−1090」〔日本精鑞(株)製マイクロクリスタリンワックス、融点88℃〕2000部、バインダー(A−2)の溶液(A’−2)640部、トルエン1200部及びイソプロピルアルコール4000部を仕込み、攪拌しながら昇温した。83℃において、蓄熱材が完全に溶解したことを確認した。同温度で加熱を止め、400rpmで撹拌しながら5℃/hrの冷却速度で徐冷したところ、80℃で粒子の析出が認められた。液温を79℃に維持しながら、硬化剤(B−1)の溶液(B’−1)352部を投入し、液温79℃で12時間維持してバインダー(A−2)と硬化剤(B−1)を反応せしめることによって、蓄熱材マイクロカプセル(P−2)の分散液(S−2)を得た。
得られた分散液(S−2)の固形分濃度は31.0%であった。
得られた蓄熱材マイクロカプセル(P−2)の体積平均粒子径は35μm、不揮発分は99.2%であった。
得られた蓄熱材マイクロカプセル(P−2)2000部と水酸化カリウム11部を、イオン交換水/エチレングリコール=5/5(重量比)の分散媒4000部に添加し、撹拌して蓄熱材マイクロカプセル分散液を調製した。得られた蓄熱材マイクロカプセル分散液を、ラジエータ等の放熱系を含む冷却水循環回路内を電動ポンプを用いて、最大流量12L/min、配管最細部(コア部)流速0.3m/s、冷媒温度は最大95℃の条件で循環させた結果、蓄熱材マイクロカプセルの破損は認められなかった。
Claims (9)
- カルボキシル基を1分子中に平均して2個以上有し、溶解性パラメータ値が6.5〜9.0であるビニル系共重合体からなるバインダー(A)と、融点が40〜150℃であり、且つ、炭素数10〜20の脂肪族炭化水素、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、炭素数10以上の高級脂肪酸、炭素数10以上の高級脂肪酸のエステル、炭素数10以上の高級アルコール及び炭素数10以上の高級アルコールのエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)とが、該蓄熱材(C)の融点より50℃低い温度から融点未満までの温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度(100gの溶媒に溶解する溶質のグラム数)がそれぞれ100g以上であり、且つ、芳香族系有機溶剤及び/又は脂肪族系有機溶剤を含有して成り、且つ、アルキル基の炭素数が4以上のn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール及びイソペンタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルキルアルコール類、アルキル基の炭素数が4以上のメチルイソブチルケトン及びn−アミルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のケトン類、アルキル基の炭素数が4以上の酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル及びプロピオン酸ブチルからなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールジエチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコールエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の芳香族炭化水素類、エクソンアロマティックナフサNO.2を含有する混合炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン及びn−オクタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素類、アイソパーC、アイソパーE、エクソールDSP100/140、エクソールD30及びIPソルベント1016からなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素を含有する混合炭化水素類、並びにシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンからなる群より選ばれた少なくとも1種の環状脂肪族炭化水素類からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む有機溶剤(D1)と、該蓄熱材(C)の融点未満の温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度がそれぞれ10g以下であり、且つ、炭素数3以下のメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルコール及び/又はエチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の多価アルコールを含む有機溶剤(D2)とを含み、該有機溶剤(D1)と該有機溶剤(D2)の混合比(D1/D2)が重量換算で10/90〜80/20である混合有機溶剤(D)に、該蓄熱材(C)の融点より低い温度で溶解している該バインダー(A)と硬化剤(B)と該脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)の合計濃度が5〜70質量%である有機溶剤溶液を、
撹拌速度150rpm以上の混合条件下で、上記バインダー(A)と上記蓄熱材(C)の混合物の析出温度以下に冷却速度1〜50℃/hrで冷却し、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)を含む粒子を析出させ、
上記バインダー(A)と上記硬化剤(B)の合計量に対する上記蓄熱材(C)の混合比〔(C)/(A+B)〕が重量換算で95/5〜50/50であるように添加され、上記バインダー(A)のカルボキシル基と反応するエポキシ基を一分子中に平均して2個以上有する硬化剤(B)と、上記バインダー(A)中のカルボキシル基とを反応させる、ことを特徴とする蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。 - エポキシ基を1分子中に平均して2個以上有し、溶解性パラメータ値が6.5〜9.0であるビニル系共重合体からなるバインダー(A)と、融点が40〜150℃であり、且つ、炭素数10〜20の脂肪族炭化水素、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、炭素数10以上の高級脂肪酸、炭素数10以上の高級脂肪酸のエステル、炭素数10以上の高級アルコール及び炭素数10以上の高級アルコールのエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)とが、該蓄熱材(C)の融点より50℃低い温度から融点未満までの温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度(100gの溶媒に溶解する溶質のグラム数)がそれぞれ100g以上であり、且つ、芳香族系有機溶剤及び/又は脂肪族系有機溶剤を含有して成り、且つ、アルキル基の炭素数が4以上のn−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール及びイソペンタノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルキルアルコール類、アルキル基の炭素数が4以上のメチルイソブチルケトン及びn−アミルケトンからなる群より選ばれた少なくとも1種のケトン類、アルキル基の炭素数が4以上の酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸ヘキシル及びプロピオン酸ブチルからなる群より選ばれた少なくとも1種のエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル及びプロピレングリコールジエチルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種のグリコールエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の芳香族炭化水素類、エクソンアロマティックナフサNO.2を含有する混合炭化水素類、n−ペンタン、n−ヘキサン及びn−オクタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素類、アイソパーC、アイソパーE、エクソールDSP100/140、エクソールD30及びIPソルベント1016からなる群より選ばれた少なくとも1種の脂肪族炭化水素を含有する混合炭化水素類、並びにシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンからなる群より選ばれた少なくとも1種の環状脂肪族炭化水素類からなる群より選ばれた少なくとも1種を含む有機溶剤(D1)と、該蓄熱材(C)の融点未満の温度域で、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)に対する溶解度がそれぞれ10g以下であり、且つ、炭素数3以下のメタノール、エタノール、n−プロパノール及びイソプロパノールからなる群より選ばれた少なくとも1種のアルコール及び/又はエチレングリコール及びプロピレングリコールからなる群より選ばれた少なくとも1種の多価アルコールを含む有機溶剤(D2)とを含み、該有機溶剤(D1)と該有機溶剤(D2)の混合比(D1/D2)が重量換算で10/90〜80/20である混合有機溶剤(D)に、該蓄熱材(C)の融点より低い温度で溶解している該バインダー(A)と硬化剤(B)と該脂肪族炭化水素系蓄熱材(C)の合計濃度が5〜70質量%である有機溶剤溶液を、
撹拌速度150rpm以上の混合条件下で、上記バインダー(A)と上記蓄熱材(C)の混合物の析出温度以下に冷却速度1〜50℃/hrで冷却し、該バインダー(A)と該蓄熱材(C)を含む粒子を析出させ、
上記バインダー(A)と上記硬化剤(B)の合計量に対する上記蓄熱材(C)の混合比〔(C)/(A+B)〕が重量換算で95/5〜50/50であるように添加され、上記バインダー(A)のエポキシ基と反応するカルボキシル基を一分子中に平均して2個以上有する硬化剤(B)と、上記バインダー(A)中のエポキシ基とを反応させる、ことを特徴とする蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。 - 上記ビニル系共重合体を構成するビニル単量体全量基準で、上記官能基を有するビニル単量体の割合が2〜50質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。
- 上記ビニル系共重合体の数平均分子量が1000〜200000であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。
- 上記有機溶剤溶液の全量基準で、上記バインダー(A)、硬化剤(B)及び蓄熱材(C)の合計濃度が5〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。
- 上記粒子の析出操作の前に予め上記硬化剤(B)を添加する又は上記粒子の析出操作の後に上記硬化剤を添加することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。
- 上記粒子の析出温度より15℃低い温度〜析出温度未満の範囲で、1〜40時間の反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。
- 上記混合有機溶剤(D)を噴霧乾燥法により除去することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の蓄熱材マイクロカプセルの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の蓄熱材マイクロカプセルの製造方法により作製されたことを特徴とするマイクロカプセル。
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