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JP5590229B2 - シャシ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自身の前方部に配設された単一の前輪とその前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配設された左輪および右輪とを有する車両に関し、特に、そのような車両に用いられるシャシ構造に関する。
従来から、下記特許文献1に記載されているような、単一の前輪と、それの後方に設けられた左輪,右輪とを有する車両が検討されている。また、近年では、下記特許文献2に記載されたような車両、つまり、3つの車輪に加えて左輪,右輪の後方に設けられた単一の後輪を有する車両も検討されている。
特開2006−130985号公報 中国授権公告号CN1304237C
上述のような車両(以下、「車輪特殊配置車両」という場合がある)は、左右2つの前輪,左右2つの後輪を有する通常の車両(以下、「車輪四隅配置車両」という場合がある)とは異なることから、車輪特殊配置車両に用いられるシャシの構造は、車輪四隅配置車両に用いられるシャシの構造とは、当然に異なる。その車輪特殊配置車両用のシャシ構造には、充分な改良の余地が残されており、何らかの改良を施すことにより、車輪特殊配置車両の実用性を向上させることが可能である。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、車輪特殊配置車両の実用性を向上させるためのシャシ構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、第1発明の車輪特殊配置車両用のシャシ構造は、(1−A)前輪、右輪、および左輪に囲まれた当該シャシ構造の中央部から、それぞれ、前輪と右輪との間,前輪と左輪との間に向かって延び、一方の先端が前輪の右側に位置するとともに他方の先端が前輪の左側に位置し、前輪を挟むように配設された1対の前方斜骨と、(1−B)それぞれ、中央部から後輪と前記右輪との間,後輪と左輪との間に向かって延び、一方の先端が後輪の右側に位置するとともに他方の先端が後輪の左側に位置し、後輪を挟むように配設された1対の後方斜骨とを含んで構成される。また、第2の発明のシャシ構造は、(2−A)上記1対の前方斜骨と、(2−B)中央部から前輪の上方に向かって延びるように配設された前方中央骨と、(2−C)前方中央骨の先端部と1対の前方斜骨の各々の先端部とに渡され、それら前方中央骨と1対の前方斜骨の各々とを連結する連結骨とを含んで構成される。
本発明のシャシ構造が用いられる車両は、右前方あるいは左前方において他の車両や障害物等と衝突した場合であっても、前方斜骨によって、車室空間の変形を抑制することが可能であり、乗員の安全を確保することが可能である。また、第1発明のシャシ構造が用いられる車両は、後方斜骨によって、右後方あるいは左後方における衝突時に、車室空間の変形を抑制することが可能である。さらに、第2発明のシャシ構造が用いられる車両は、前方中央骨と連結骨とによって、車両前方の強度を向上させることができる。そのような利点を有するため、車輪特殊配置車両に、本発明のシャシ構造を用いることで、車輪特殊配置車両の実用性を向上させることが可能である。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項,(10)項,(11)項を合わせたものが請求項1に相当し、その請求項1に(2)項の発明特定事項を付加したものが請求項2に、請求項1または請求項2に(3)項の発明特定事項を付加したものが請求項7に、請求項7に(4)項の発明特定事項を付加したものが請求項8に、請求項7または請求項8に(5)項の発明特定事項を付加したものが請求項9に、請求項1,請求項2,請求項7ないし請求項9のいずれか1つに(12)項の発明特定事項を付加したものが請求項11に、請求項1,請求項2,請求項7ないし請求項9のいずれか1つに(13)項の発明特定事項を付加したものが請求項12に、請求項11に(7)項の発明特定事項を付加したものが請求項13に、請求項11または請求項13に、(8)項の発明特定事項を付加したものが請求項14に、請求項11,請求項13,請求項14のいずれか1つに(9)項の発明特定事項を付加したものが請求項15に、それぞれ相当する。また、(1)項,(3)項,(4)項を合わせたものが請求項16に相当する。
(1)自身の前方部の車幅方向における中央に配置された単一の前輪とその前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪とを有する車両に用いられ、それら前輪、右輪、および左輪を保持するためのシャシ構造であって、
前記前輪、前記右輪、および前記左輪に囲まれた当該シャシ構造の中央部から、それぞれ、前記前輪と前記右輪との間,前記前輪と前記左輪との間に向かって延び、一方の先端が前記前輪の右側に位置するとともに他方の先端が前記前輪の左側に位置し、前記前輪を挟むように配設された1対の前方斜骨を含んで構成されたシャシ構造。
本項に記載のシャシ構造が用いられる車両は、上述した車輪特殊配置車両であり、その車両は、上記前輪,左輪,右輪のみを有する三輪車両であってもよく、さらに、左輪,右輪の後方に配置された単一の後輪を有する車両(以下、「車輪菱形配置車両」という場合がある)であってもよい。なお、本項に記載のシャシ構造は、車両のシャシの骨格となるシャシフレームを含んで構成されるものである。つまり、本項に記載のシャシ構造は、シャシフレームとボディとが別々に構成された車両、いわゆるセパレートフレーム型の車両のシャシ構造に限定されるのではなく、シャシフレームがボディと一体的に形成された車両、いわゆるフレームレスボディ型(モノコックボディ型)の車両のシャシ構造をも含む。
まず、左右2つの前輪,左右2つの後輪を有する車輪四隅配置車両が、それの前方において、他の車両と衝突する場合や、障害物に衝突する場合を考える。車両の真正面,右前方,左前方のいずれの方向において衝突する場合であっても、車輪四隅配置車両は、前方部の左右の隅に車輪がそれぞれ配置されているため、それら前輪を保持するためのシャシ構造等によって車室空間の変形が抑えられ、乗員の安全が確保されるように構成されている。それに対して、車輪特殊配置車両は、前輪が車両の前方部の車幅方向における中央に配置されているため、車両の左前方や右前方において衝突する場合、いわゆるオフセット衝突する場合における乗員の安全確保が問題となる。さらに言えば、車輪特殊配置車両においては、上記のような車輪配置から、車体の右前方および左前方を丸みを帯びた形状とすることが検討されている。車輪特殊配置車両において、車体がそのような形状とされた場合には、オフセット衝突時における衝撃吸収するためのストローク量が短く、乗員の安全確保が特に問題となる。
本項に記載のシャシ構造は、自身の中央部から右斜め前方に延びる骨と、左斜め前方に延びる骨とを含んで構成されている。そのような構成から、本項に記載のシャシ構造によれば、車両がオフセット衝突する場合に、上記前方斜骨によって車室空間の変形を抑制することが可能である。つまり、本項に記載のシャシ構造が用いられた車輪特殊配置車両は、オフセット衝突時の乗員の安全を確保することが可能となり、実用性の高いものとなる。
本項に記載の「1対の前方斜骨」は、上記のように配設されて当該シャシ構造の骨格の一部を構成するものであればよい。つまり、1対の前方斜骨の各々が、1つの部材,部品として独立している必要はなく、一体的に形成されていてもよい。また、1対の前方斜骨の各々が、当該シャシ構造が備える他の骨と一体的に構成されていてもよい。さらに、当該シャシ構造が上記のフレームレスボディ型の車両に用いられる場合には、1対の前方斜骨の各々が、ボディと一体的に構成されていてもよい。
ちなみに、以下に詳しく説明するが、当該シャシ構造は、1対の前方斜骨の他に、種々の骨を有している。当該シャシ構造において、それら種々の骨も、1対の前方斜骨と同様に、1つの部材,部品として独立している必要はなく、他の骨と一体的に構成されていてもよく、また、ボディと一体的に構成されていてもよい。
(2)前記1対の前方斜骨の各々が、
それら各々の先端が、当該シャシ構造が用いられる車両に形成される車室空間より前方に位置するように配設された(1)項に記載のシャシ構造。
本項に記載の態様においては、前方斜骨がある程度変形してからでなければ、車室空間が変形しないため、本項の態様は、乗員の安全性を確保するために好適なものとなる。例えば、当該シャシ構造が用いられる車両が、シャシ構造の中央部の右側と左側との各々に座席が設けられるように構成されている場合、本項の態様においては、1対の前方斜骨の各々が、中央部から乗員のつま先より前方まで延びるように配設されることになる。
(3)当該シャシ構造が、前記中央部から前記前輪の上方に向かって延びるように配設された前方中央骨を有する(1)項または(2)項に記載のシャシ構造。
本項に記載の態様においては、中央部から前方に向かって延びる骨が増やされるため、車両前方の強度を向上させることができ、車両前方の衝突に対する乗員の安全性を向上させることが可能である。
(4)当該シャシ構造が、
前記前方中央骨の先端部と前記1対の前方斜骨の各々の先端部とに渡され、それら前方中央骨と1対の前方斜骨の各々とを連結する連結骨を有する(3)項に記載のシャシ構造。
本項に記載の態様は、前輪中央骨の先端部と前方斜骨の各々の先端とが、連結骨によって連結されているため、車両前方の強度をさらに向上させることが可能である。特に、前輪中央骨,前方斜骨の各々の曲げ強度が上昇するため、それら前方斜骨の延びる方向と交差する方向における衝突に対しても、車両の変形が抑えられ、乗員の安全を確保することが可能である。
(5)前記前輪が、転舵輪とされており、
その前輪の転舵軸が、前記前方中央骨の先端部に保持されるように構成された(3)項または(4)項に記載のシャシ構造。
先に述べた前輪中央骨は、前輪の上方に向かって延びるように配設されるため、前輪を保持するものとして好適である。本項に記載のシャシ構造は、前輪中央骨の先端部が前輪の上方に位置するように構成され、その前輪中央骨が、先端部において、転舵輪とされた前輪の転舵軸を保持するように構成されている。
(6)当該シャシ構造が、前記中央部に前後方向に延びる状態で配設された背骨を含んで構成され、
前記1対の前方斜骨の各々が、それら各々の後端部において前記背骨の前端部に固定され、その背骨の前端部から延び出すように配設された(1)項ないし(5)項のいずれか1つに記載のシャシ構造。
本項に記載のシャシ構造においては、上記「背骨」が、シャシの骨格の中心となる。そして、本項に記載のシャシ構造は、そのシャシの骨格の中心となる部分が、車両の車幅方向の中央を前後方向に延びる状態で配設されている。本項の態様によれば、左右輪のサスペンション装置を設置するためのスペースを確保することが可能であり、サスペンション装置の設計の自由度を高めることが可能である。例えば、車幅の小さい車両であっても、左右輪のサスペンション装置を設置するために、比較的広いスペースを確保することが可能であり、本項の態様は、そのような車幅の小さい車両に、特に有効である。
また、本項に記載のシャシ構造においては、上記背骨の重量は比較的大きなものとなるが、車両の重心に比較的近い位置に配設されるため、車両のヨーやロールの際の慣性モーメントを小さくすることができる。したがって、本項の態様によれば、車両の走行時の安定性や、運動性能を向上させることが可能である。
例えば、当該シャシ構造が用いられる車両が、シャシ構造の中央部の右側と左側との各々に座席が設けられるように構成されている場合、それら2つの座席の間に背骨を通すように配設することが可能である。そのことにより、例えば、フロアの高さを高くせずに背骨の高さを高くすることが可能である。換言すれば、背骨の高さを高くしてもフロアを高くする必要がないのである。
(7)当該シャシ構造が、床板を含んで構成され、
前記背骨が、前記床板から上方に突出した状態で配設された(6)項に記載のシャシ構造。
本項に記載のシャシ構造は、背骨の上面がフロアより上方に位置している。つまり、本項の態様によれば、背骨の上にフロアを設けた場合に比較して、車体の重心位置を低くすることが可能である。また、背骨の左右の各々に座席を設ければ、座席の高さも低くなり、乗降性に優れた車両が実現する。
(8)前記1対の前方斜骨の各々と前記背骨とが、一平面内に位置するように配設された(6)項または(7)項に記載のシャシ構造。
本項に記載の態様は、1対の前方斜骨の高さが背骨と同じ高さとされている。そのため、車両の前方における衝突の際に、1対の前方斜骨の各々を後方から支持することが可能である。つまり、本項に記載のシャシ構造を用いれば、車両の前後方向の強度がより高められ、乗員の安全性をより向上させることが可能である。
また、本項の態様と、先に述べた背骨がフロアより上方に突出して配設された態様とあわせた場合、当該シャシ構造が用いられる車両が比較的小さな車両であっても、フロアの高さを高くすることなく、シャシの骨格の高さを高くすることが可能である。つまり、そのような構成のシャシ構造を用いた小型車両は、シャシの骨格の高さを、一般的な大きさの車両のバンパ等の高さと合わせることが可能となり、乗員の安全性に優れた車両となる。
(9)前記背骨が、上方から見た場合において四角形の枠状に形成されたものである(6)項ないし(8)項のいずれか1つに記載のシャシ構造。
本項に記載の態様においては、車両に搭載するバッテリや補機等を、枠状に形成された背骨の内側に配設することが可能となり、それら背骨の内側に配設したものを車両衝突時に確実に保護することが可能である。また、本項の態様によれば、種々の機器を車体の重心位置の近くに配設することが可能であるため、車両のヨーやロールの際の慣性モーメントを小さくすることができる。
(10)当該シャシ構造が用いられる車両が、前記左輪および前記右輪よりも後方に配置された単一の後輪をさらに有するものである(1)項ないし(9)項のいずれか1つに記載のシャシ構造。
本項に記載のシャシ構造は、先に述べた車輪菱形配置車両に用いられている。
(11)当該シャシ構造が、
それぞれ、前記中央部から前記後輪と前記右輪との間,前記後輪と前記左輪との間に向かって延び、一方の先端が前記後輪の右側に位置するとともに他方の先端が前記後輪の左側に位置し、前記後輪を挟むように配設された1対の後方斜骨を含んで構成された(10)項に記載のシャシ構造。
本項に記載の態様は、車輪菱形配置車両において、車両の前方側と同様に、車両の後方側にも、前方斜骨と同様の斜骨が配設されている。つまり、本項の態様によれば、車両後方のオフセット衝突時において、車室空間の変形を抑え、乗員の安全を確保することが可能となる。
なお、本項に記載のシャシ構造には、車両前方部に設けられた前輪中央骨と同様に、後輪に対応して、中央部から後輪の上方に向かって延びる後輪中央骨を配設することも可能である。さらに、当該シャシ構造が後輪中央骨を有する構成とされた場合には、その後輪中央骨に対して、前輪中央骨に関する態様に記載の特徴を付加することも可能である。具体的に言えば、1対の後方斜骨の各々の先端部と後輪中央骨の先端部とを連結するように構成することが可能である。また、後輪中央骨の先端部において、後輪が保持されるように構成することが可能である。
(12)当該シャシ構造が、前記中央部に前後方向に延びる状態で配設された背骨を含んで構成され、
前記1対の前方斜骨の各々が、それら各々の後端部において前記背骨の前端部に固定され、その背骨の前端部から延び出すように配設されるとともに、前記1対の後方斜骨の各々が、それら各々の前端部において前記背骨の後端部に固定され、その背骨の後端部から延び出すように配設された(11)項に記載のシャシ構造。
本項に記載のシャシ構造は、シャシの骨格が、背骨と、その背骨から左前方および右前方,左後方および右後方に延びる斜骨を主体として構成されている。本項の態様には、先に述べた背骨に関する態様を付加することが可能である。つまり、本項の態様は、背骨が床板から上方に突出した状態で配設された構成とすることが可能であり、また、本項の態様は、1対の前方斜骨および1対の後方斜骨が、背骨と一平面内に位置するように配設された構成とすることが可能である。さらに、本項の態様は、背骨を、四角形の枠状に形成されたものとすることが可能である。
なお、当該シャシ構造が、背骨が床板から上方に突出した状態で配設され、かつ、1対の前方斜骨および1対の後方斜骨が、背骨と一平面内に位置するように配設された構成とされた場合、背骨,右側の前方斜骨,および右側の後方斜骨で囲まれた部分と、背骨,左側の前方斜骨,および左側の後方斜骨で囲まれた部分とに、座席を設けるように構成することが可能である。
(13)前記1対の後方斜骨の各々の前端部と、前記1対の前方斜骨の各々の後端部とが、前記中央部に集まるようにして、互いに固定された(11)項に記載のシャシ構造。
本項に記載のシャシ構造は、シャシの骨格が概してX形状に形成されている。本項に記載の態様は、1対の前方斜骨と1対の後方斜骨とが、その他の部材,部品等を介さずに連結されているため、比較的簡便な構成のシャシ構造となる。なお、本項に記載のシャシ構造は、1対の前方斜骨および1対の後方斜骨が、床板から上方に突出した状態で配設された構成とすることが可能である。そのような構成とすれば、車体の重心位置を低くすることが可能である。また、右側の前方斜骨と右側の後方斜骨との間,左側の前方斜骨と左側の後方斜骨との間の各々に座席を設ければ、座席の高さも低くなり、乗降性に優れた車両が実現する。
(14)当該シャシ構造が用いられる車両が、
前記中央部の右側と左側との各々に、座席が設けられるものである(1)項ないし(13)項のいずれか1つに記載のシャシ構造。
本項に記載の態様は、車両に設けられる座席の位置に限定が加えられている。当該シャシ構造は、車輪に囲まれた箇所に骨格の一部(中央部)が存在するため、本項の態様には、中央部がフロアより上方に突出するように構成されたシャシ構造が望ましい。
請求可能発明の第1実施例であるシャシ構造が用いられた車両の概略側面図である。 図1に示す車両の概略平面図である。 図1に示す車両のシャシを示す斜視図である。 図1に示す車両のシャシを示す平面図である。 図1に示す車両のシャシを示す側面図である。 図1に示す車両のシャシを示す正面図である。 第1実施例の変形例であるシャシ構造を示す平面図である。 請求可能発明の第2実施例であるシャシ構造を示す平面図である。
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、いくつかの実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
<シャシ構造が用いられる車両の構成>
図1に、請求可能発明の第1実施例であるシャシ構造が用いられた車両を示す。本車両は、次世代コミュータとして期待されている小型車両であり、車輪を菱形状に配置した車両である。つまり、本車両は、自身の前方部に配置された前輪12Fと、その前輪12Fの後方において自身の左部,右部にそれぞれ配置された左輪12ML,右輪12MRと、それら左輪12ML,右輪12MRの後方に配置された後輪12Rとを有している。当該車両の平面視を示す図2から解るように、前輪12F,後輪12Rは、車幅方向における中央に配置されている。なお、以下の説明において、前輪12F,後輪12Rの区別を要しない場合には、車輪12と総称し、左輪14ML,右輪14MRの区別を要しない場合には、車輪14と総称することとする。前輪12F,後輪12R,左輪14ML,右輪14MRに関係する構成要素,パラメータ等についても、車輪12,14と同様に、車輪位置を示す添え字として、前輪,左輪,右輪,後輪の各々に対応するものにF,ML,MR,Rを付す場合がある。
本車両では、前輪12F,後輪12Rが転舵輪とされており、左輪14ML,右輪14MRは転舵輪とはされていない。また、左輪14ML,右輪14MRが駆動輪(車両を駆動するために回転駆動される車輪)とされてはいるものの、前輪12F,後輪12Rは、駆動輪とはされていない。さらに、前輪12F,左輪14ML,右輪14MR,後輪12Rが、つまり、すべての車輪が制動輪(車両を制動するために回転が制動される車輪)とされている。
図2に示すように、本車両には、1対のシート20,22が設けられており、車両の右側のシート20が運転席とされ、左側のシート22が助手席とされている。また、本車両には、運転者が当該車両を操作するための操作部材として、3つの操作部材が、運転席であるシート20に対応して設けられている。その1つが、車両に旋回動作を行わせるためのステアリング操作部材であるステアリングホイール30であり、もう1つが、車両を加速させるためのアクセル操作部材であるアクセルペダル32,さらにもう1つが、車両を減速させるためのブレーキ操作部材であるブレーキペダル34である。
また、本車両は、上記4つの車輪12,14を保持するためのシャシフレーム40にボディ42が乗せられた構造とされている。そのシャシフレーム40を含む本車両のシャシについて、図3ないし図6をも参照しつつ、詳しく説明する。図3は、シャシの斜視図であり、図4は、シャシの平面図であり、図5は、シャシの側面図であり、図6は、シャシの正面図である。
上記シャシフレーム40は、本車両の骨格であり、本実施例のシャシ構造の主体となるものである。そのシャシフレーム40は、車幅方向の中央において車両の前後方向に延びる状態で配設される背骨としてのセンタフレーム50と、そのセンタフレーム50より前方に配設されるフロントフレーム52と、センタフレーム50の後方に配設されるリアフレーム54とを含んで構成される。
フロントフレーム52は、それぞれが、センタフレーム50の前端に固定され、前輪12Fと右輪14MRとの間,前輪12Fと左輪14MLとの間に向かって延びる1対の前方斜骨60を含んで構成される。それら1対の前方斜骨60の各々は、右側のものの先端が前輪12Fの右側に位置し、左側のものの先端が前輪12Fの左側に位置しており、前輪12Fを挟むように配設されている。
また、フロントフレーム52は、センタフレーム50の前端から前輪12Fの上方に向かって延びる前輪中央骨62を含んで構成される。その前輪中央骨62は、それの先端部が、1対の前方斜骨60の各々の先端部と1対の連結メンバ64によって連結されている。詳しく言えば、1対の連結メンバ64は、概して車幅方向に延び、前輪中央骨62の先端部と、1対の前方斜骨60の各々の先端部との間に渡されており、前輪中央骨62と1対の前方斜骨60の各々とを連結するものとなっている。
上記の前輪中央骨62の先端部には、前輪12Fが保持されている。具体的には、前輪12Fは、1対の液圧式のショックアブソーバ66によって、左右から挟持され、それら1対のショックアブソーバ66の各々の下端部に回転可能に保持されている。それら1対のショックアブソーバ66の各々の上端部は、車幅方向に延びる支持板66に固定されており、支持板68は、1対のショックアブソーバ66の上端部を繋ぐものとなっている。支持板68には、転舵軸70が固定的に付設されており、その転舵軸70が、前輪中央骨62の先端に設けられた軸受部72に回転可能に保持されている。
なお、転舵軸68は、軸受部70から上方に延びだしており、その延びだした部分を転舵装置74Fが回転させることで、前輪12Fは、転舵されるようになっている。この転舵装置74Fは、電磁モータを有し、その電磁モータの作動が制御されることで、前輪12Fを任意の転舵角で転舵するように構成されている。また、前輪12Fは、図示を省略するストッパによって左右ともに90°以上転舵されないようになっている。
フロントフレーム52は、さらに、車幅方向に延びるフロントクロスメンバ80と、前後方向に延びる1対のフロントサイドメンバ82と、車両のバンパの後方に位置することになるバンパリインフォースメント84とを含んで構成される。フロントクロスメンバ80は、センタフレーム50の前端部に、そのセンタフレーム50を貫通し、車幅方向に延びる状態で固定されている。1対のフロントサイドメンバ82の一方は、後端が、フロントクロスメンバ80の右端に固定され、前端部において右側の前方斜骨60の先端に固定されている。また、1対のフロントサイドメンバ82の他方は、後端が、フロントクロスメンバ80の左端に固定され、前端部において左側の前方斜骨60の先端に固定されている。さらに、それら1対のフロントサイドメンバ82の各々の前端には、平面視において概して円弧状に形成されたバンパリインフォースメント84が固定されている。
リアフレーム54は、上記のフロントフレーム52の一部と同様に構成されている。詳しく言えば、そのリアフレーム54は、フロントフレーム52を構成する1対の前方斜骨60および前輪中央骨62と類似の、1対の後方斜骨90および後輪中央骨92を含んで構成される。1対の後方斜骨90は、それぞれが、センタフレーム50の後端に固定され、後輪12Rと右輪14MRとの間,後輪12Rと左輪14MLとの間に向かって延びるように配設される。そして、1対の後方斜骨90の各々は、それら右側のものの先端が後輪12Rの右側に位置し、左側のものの先端が後輪12Rの左側に位置しており、後輪12Rを挟むように配設されている。また、後輪中央骨92は、センタフレーム50の後端から後輪12Rの上方に向かって延びるように配設されている。その後輪中央骨92は、それの先端部が、1対の後方斜骨90の各々の先端部と1対の連結メンバ94によって連結されている。なお、後輪12Rは、前輪中央骨62に前輪12Fが保持される構成と同様の構成によって、上記の後輪中央骨92の先端部に保持されており、後輪12Rに対応して設けられた転舵装置74Rによって転舵されるようになっている。
また、リアフレーム54は、車幅方向に延びるリアクロスメンバ96をも含んで構成される。そのリアクロスメンバ96は、センタフレーム50の後端部に、そのセンタフレーム50を貫通し、車幅方向に延びる状態で固定されている。
シャシフレーム40は、いわゆるプラットフォーム型のものであり、上記のセンタフレーム50,フロントフレーム52,リアフレーム54の他に、車室の下面を区画する床板であるフロアパン100をも含んで構成されている。そのフロアパン100は、センタフレーム50の右側と左側とにおいて、フロントクロスメンバ80およびリアクロスメンバ96の上面に固定されている。センタフレーム50,1対の前方斜骨60,1対の後方斜骨90は、上下方向の長さが同じ長さに形成されたものであり、同じ高さに配設されている。つまり、図3や図5から分かるように、それらセンタフレーム50,1対の前方斜骨60,1対の後方斜骨90は、フロアパン100から上方に突出した状態となっている。そして、図4から分かるように、フロアパン100の上面には、センタフレーム50の右側と左側との各々に、シート20,22が配設されている。また、本車両には、アクセルペダル32とブレーキペダル34との前方に車室空間の前端が区画されることになるが、その車室空間より前方に、1対の前方斜骨60の各々の先端が位置するように、それら1対の前方斜骨60の各々は配設されている。
<シャシ構造の効果>
以上のような構成とされた本シャシ構造が用いられる車両は、車輪菱形配置車両であり、車両の四隅に車輪が配置された一般的な車両に比較して、車両の斜め前方および斜め後方における衝突、いわゆるオフセット衝突が問題となる。また、本シャシ構造が用いられる車両は、図2に示したように、車両の四隅が丸みを帯びた形状とされ、オフセット衝突時における衝撃吸収するためのストローク量が短いため、そのオフセット衝突が、特に問題となる。上述のような構成とされた本シャシ構造が用いられる車両は、前輪12Fと左右輪14の各々との間には、1対の前方斜骨60が配設され、後輪12Rと左右輪14の各々との間には、1対の後方斜骨90が配設されているため、オフセット衝突した場合であっても、それら1対の前方斜骨60,1対の後方斜骨90によって、車両の変形を抑制することが可能であり、乗員の安全を確保することが可能となっている。
本シャシ構造は、センタフレーム50が、前方衝突時において1対の前方斜骨60の各々を後方から支持し、後方衝突時において1対の後方斜骨90の各々を前方から支持するように構成されるため、本車両の前後方向の強度が高く、乗員の安全性の向上が図られている。また、センタフレーム50は、車幅方向の中央に配設されているため、本車両においては、左右輪14のサスペンション装置を設置するための広いスペースが確保されており、その左右輪14のサスペンション装置の設計の自由度が高いものとなっている。さらに、センタフレーム50は、比較的大きく、重量も比較的大きなものとなっているが、車体の重心位置近くに配設されているため、車両のヨーやロールの際の慣性モーメントが小さくなっている。つまり、本シャシ構造が用いられた車両は、走行時の安定性や運動性能の優れたものとなっている。
上記センタフレーム50,1対の前方斜骨60,および1対の後方斜骨90が、フロアパン100より上方に突出した状態で配設されている。換言すれば、フロアパン100が、センタフレーム50,1対の前方斜骨60,および1対の後方斜骨90の上面より低い位置に設けられている。そのことにより、フロアパン100をセンタフレーム50,1対の前方斜骨60,および1対の後方斜骨90の上面に設けた場合に比較して、本車両は、車体の重心位置が低くなっている。また、その低くされたフロアパン100にシート20,22が配置されているため、本車両は、乗降性に優れたものとなっている。さらに、本車両は、先にも述べたように小型車両であるが、センタフレーム50,1対の前方斜骨60,および1対の後方斜骨90は、それの地面からの高さが低くされていないため、平均的な大きさの車両のバンパの高さと近い高さに位置している。したがって、本車両は、他の車両との衝突時に、センタフレーム50,1対の前方斜骨60,および1対の後方斜骨90によって、車両の変形を確実に抑制することが可能となっている。
<変形例>
上記実施例のシャシ構造においては、背骨であるセンタフレーム50は、単なる角柱状の部材であったが、本変形例のシャシ構造においては、センタフレーム120が、図7に示すように、平面視において四角形の枠状に形成されている。そして、本車両においては、バッテリや補機等が、そのセンタフレーム120の内側に配設されている。つまり、本変形例のシャシ構造によれば、そのセンタフレーム120の内側に配設されたものを、車両の衝突時に確実に保護することが可能である。また、それら種々の機器が車体の重心位置近くに配設されるため、車両のヨーやロールの際の慣性モーメントがより小さくなっている。
なお、上記実施例および変形例のシャシ構造は、車両の骨格となるシャシフレーム40と、ボディ42とが別々の構成の車両、いわゆるセパレートフレーム型の車両に用いられていたが、シャシーフレームとボディとが一体的に形成された車両、モノコックボディ型等のいわゆるフレームレスボディ型の車両に用いられてもよい。
図8に、第2実施例のシャシ構造が用いられた車両のシャシの平面図を示す。なお、本実施例のシャシ構造の説明においては、第1実施例のシャシ構造と同じ構成要素については、同じ符号を用いて対応するものであることを示し、それらの説明は省略するあるいは簡略に行うものとする。
本実施例のシャシ構造の主体となるシャシフレーム150は、4本の斜骨152,154,156,158を含んで構成される。斜骨152は、車両の中央から前輪12Fと右輪14MRとの間に向かって延び、斜骨154は、車両の中央から前輪12Fと左輪14MLとの間に向かって延び、斜骨156は、車両の中央から後輪12Rと右輪14MRとの間に向かって延び、斜骨158は、車両の中央から後輪12Rと左輪14MLとの間に向かって延びている。それら4本の斜骨152,154,156,158は、車両の中央で固定されている。つまり、本実施例のシャシ構造の骨格は、4本の斜骨152,154,156,158によってX字形状に形成されており、第1実施例のシャシ構造のように、背骨のない構造となっている。そして、車両の前方に向かって延びる2本の斜骨152,154が、1対の前方斜骨として機能し、車両の後方に向かって延びる2本の斜骨156,158が、1対の後方斜骨として機能する。
したがって、本実施例のシャシ構造が用いられた車両は、第1実施例のシャシ構造が用いられた車両と同様に、オフセット衝突した場合であっても、1対の前方斜骨152,154,1対の後方斜骨156,158によって、車両の変形を抑制することが可能であり、乗員の安全を確保することが可能となっている。また、本実施例のシャシ構造は、それら1対の前方斜骨の各々の後端と1対の後方斜骨の各々前端とが直接固定されているため、第1実施例のシャシ構造に比較して、比較的簡便な構成のものとなっている。
12F:前輪(転舵輪) 14ML:左輪 14MR:右輪 12R:後輪(転舵輪) 20,22:シート(1対の座席) 40:シャシフレーム 42:ボディ 50:センタフレーム(背骨) 52:フロントフレーム 54:リアフレーム 60:1対の前方斜骨 62:前輪中央骨 64:連結メンバ(連結骨) 70:転舵軸 74:転舵装置 90:1対の後方斜骨 92:後輪中央骨 94:連結メンバ(連結骨) 100:フロアパン(床板) 120:センタフレーム(背骨) 150:シャシフレーム 152,154:斜骨(1対の前方斜骨) 156,158:斜骨(1対の後方斜骨)

Claims (11)

  1. (a)自身の前方部の車幅方向における中央に配置された単一の前輪と(b)その前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪と(c)前記左輪および前記右輪よりも後方に配置された単一の後輪とを有する車両に用いられ、それら前輪、右輪、左輪、および後輪を保持するためのシャシ構造であって、
    前記前輪、前記右輪、前記左輪、および前記後輪に囲まれた当該シャシ構造の中央部から、それぞれ、前記前輪と前記右輪との間,前記前輪と前記左輪との間に向かって延び、一方の先端が前記前輪の右側に位置するとともに他方の先端が前記前輪の左側に位置し、前記前輪を挟むように配設された1対の前方斜骨と、
    それぞれ、前記中央部から前記後輪と前記右輪との間,前記後輪と前記左輪との間に向かって延び、一方の先端が前記後輪の右側に位置するとともに他方の先端が前記後輪の左側に位置し、前記後輪を挟むように配設された1対の後方斜骨と
    を含んで構成されたシャシ構造。
  2. 前記1対の前方斜骨の各々が、
    それら各々の先端が、当該シャシ構造が用いられる車両に形成される車室空間より前方に位置するように配設された請求項1に記載のシャシ構造。
  3. 当該シャシ構造が、前記中央部から前記前輪の上方に向かって延びるように配設された前方中央骨を有する請求項1または請求項2に記載のシャシ構造。
  4. 当該シャシ構造が、
    前記前方中央骨の先端部と前記1対の前方斜骨の各々の先端部とに渡され、それら前方中央骨と1対の前方斜骨の各々とを連結する連結骨を有する請求項7に記載のシャシ構造。
  5. 前記前輪が、転舵輪とされており、
    その前輪の転舵軸が、前記前方中央骨の先端部に保持されるように構成された請求項7または請求項8に記載のシャシ構造。
  6. 当該シャシ構造が、前記中央部に前後方向に延びる状態で配設された背骨を含んで構成され、
    前記1対の前方斜骨の各々が、それら各々の後端部において前記背骨の前端部に固定され、その背骨の前端部から延び出すように配設されるとともに、前記1対の後方斜骨の各々が、それら各々の前端部において前記背骨の後端部に固定され、その背骨の後端部から延び出すように配設された請求項1,請求項2,請求項7ないし請求項9のいずれか1つに記載のシャシ構造。
  7. 前記1対の後方斜骨の各々の前端部と、前記1対の前方斜骨の各々の後端部とが、前記中央部に集まるようにして、互いに固定された請求項1,請求項2,請求項7ないし請求項9のいずれか1つに記載のシャシ構造。
  8. 当該シャシ構造が、床板を含んで構成され、
    前記背骨が、前記床板から上方に突出した状態で配設された請求項11に記載のシャシ構造。
  9. 前記1対の前方斜骨の各々と前記背骨とが、一平面内に位置するように配設された請求項11または請求項13に記載のシャシ構造。
  10. 前記背骨が、上方から見た場合において四角形の枠状に形成されたものである請求項11,請求項13,請求項14のいずれか1つに記載のシャシ構造。
  11. 自身の前方部の車幅方向における中央に配置された単一の前輪とその前輪より後方において自身の左右にそれぞれ配置された左輪および右輪とを有する車両に用いられ、それら前輪、右輪、および左輪を保持するためのシャシ構造であって、
    前記前輪、前記右輪、および前記左輪に囲まれた当該シャシ構造の中央部から、それぞれ、前記前輪と前記右輪との間,前記前輪と前記左輪との間に向かって延び、一方の先端が前記前輪の右側に位置するとともに他方の先端が前記前輪の左側に位置し、前記前輪を挟むように配設された1対の前方斜骨と、
    前記中央部から前記前輪の上方に向かって延びるように配設された前方中央骨と、
    前記前方中央骨の先端部と前記1対の前方斜骨の各々の先端部とに渡され、それら前方中央骨と1対の前方斜骨の各々とを連結する連結骨と
    を含んで構成されたシャシ構造。
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