JP5587961B2 - ショックアブソーバー - Google Patents
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しかしながら、この構成によれば、断面コ字状のシール部材をピストンに的確に取付けるため、ピストンをシール部材の内周面側の形状に対応するように精度の良い加工等を行なう必要があり、加工作業が面倒となる欠点を有している。
また、ショックアブソーバーのサスペンションとしての作動時には、ピストンを固定するピストンロッドがシリンダ内の中心軸に沿って上,下動作するのであるが、シール部材がピストンの外周及び両端面側に密着状態で一体となるように固定されているため、懸架荷重や制動荷重による曲げ入力によってピストンロッドの中心軸が上記シリンダの中心軸に対し傾斜成分を有して上下動することがあり、このときピストンに取付けられたシール部材とシリンダの内面との間でかじりが生じたり、シール部材とピストンとの間にストレスを生じさせてシール部材がピストンから外れたりする虞があり、長寿命化が図れなかった。
また、上記課題を解決するためのショックアブソーバーの他の構成として、フランジ部は、外周側が、溝底より一定距離離間したので、インナーチューブとシートパイプとの間の移動に余裕を与えることができ、シートパイプの長手方向の移動をスムーズに行なえる。
また、上記課題を解決するためのショックアブソーバーの他の構成として、フランジ部は、外周側が、溝底を向く断面U字体より成るので、フランジ部がU字体で2層化されることによりフランジ部自体の強度を向上できる。
また、上記課題を解決するためのショックアブソーバーの他の構成として、フランジ部は、外周側が溝底を向くように折曲された一枚の折曲板よりなるので、フランジ部をより構造が簡単な一枚の折曲板より形成することで、加工が容易となる。
また、上記課題を解決するためのショックアブソーバーの他の構成として、ピストンリングの筒部の上部側と上側の折曲片とに窓を形成したので、この窓を介してオイルを流通させることができる。
また、上記課題を解決するためのショックアブソーバーの他の構成として、上記フランジ部は、上記ピストンリングの上,下の折曲片のいずれかとの間にギャップを有するので、ギャップによりフランジ部とピストンリングとの間にオイルを流通させることが可能となって減衰力を得るための流路とすることができる。
本実施形態のショックアブソーバー1は、円筒状でかつ所定長さのシートパイプ2と、このシートパイプ2が下部側に同軸に嵌挿されるインナーチューブ3と、上記シートパイプ2に取付けられ、外周面が上記インナーチューブ3の内周面に摺接するピストンリング4と、上記シートパイプ2を押圧するスプリング5と、スプリングシート6とを有している。
例えば、上記分断部Aは、筒部4Aの中心軸に対し傾斜した状態で筒部4A,両折曲片4B,4Cを分断する切れ目として形成される。この分断部Aは、後述のシートパイプ2に形成されるフランジ部15をピストンリング4の折曲片4B,4C間の溝に嵌合するときに、筒部4A,折曲片4B,4Cを拡開して、フランジ部15への嵌合を容易にするとともに、上記分断部Aによるリング形状の膨縮によってインナーチューブ3の内周面への密着を安定させている。このピストンリング4は、例えば、金属や樹脂などにより構成される。
この場合、上記シートパイプ2の上端側には、その一部の板厚を外方向に変形して、上記折曲片4B,4Cの間の溝底4D方向に突出するフランジ部15が形成されている。このフランジ部15は、ピストンリング4の折曲片4B,4Cと筒部4Aとで形成される凹部で外周が包囲され、インナーチューブ3の内周面を軸線方向に沿うように摺動するピストン部を形成する。シートパイプ2は、円筒状の筒体であって、フランジ部15が形成される端部とは逆側の端部が、アウターチューブ7の底部に当接するようにアウターチューブ7の閉塞端を貫通するボルト34によってアウターチューブ7と同軸に固定されている。このシートパイプ2の外周面には、延長方向に所定距離離間して板厚方向に貫通する上,下のオイル流通孔36,37が形成されており、このオイル流通孔36,37を介してオイルKを流通させることで、インナーチューブの内周面側においてロックカラー32、シートパイプ2の外周面及び上記ピストンリング4で区画される上油室R1、アウターチューブ7の内周面側において、ロックカラー32、シートパイプ2の外周面で区画される下油室R2とが形成され、両油室R1,R2の容積を変化させて減衰力を得る構成である。
なお、フランジ部15は、U字状に限定されず、外周15A側が溝底4Dを向くように折曲された一枚の折曲板より形成しても良い。
上記フランジ部15は、外周15A側が溝底4Dより一定距離離間しており、溝底4Dと外周15Aとの隙間δのために、インナーチューブ3に対し、シートパイプ2に多少の傾斜が生じても、この傾斜に基づくシートパイプ2の横方向のズレにより、この傾斜を吸収できるので、シートパイプ2の長手方向の移動をスムーズに行なうことができる。
このようにスプリングシート6を介してシートパイプ2のフランジ部15にスプリング5を着座させることにより、スプリング5がピストンリング4に直接接触しないので、フランジ部15に対するピストンリング4の移動を確保することができる。
車両走行時の動作は、路面の凹凸により、シートパイプ2とインナーチューブ3との間に介在するスプリング5が伸縮して、シートパイプ2のピストンリング4が、フランジ部15とともにインナーチューブ3の内周面を上下に移動することで減衰力を得る構成である。このような伸縮運動において、インナーチューブ3には、上,下の軸受8;9を支点とした微細な撓み(曲がり)が生じることになる。このインナーチューブ3の撓みは、インナーチューブ3の軸線がシートパイプ2の軸線に対して傾斜やズレを生じることを意味するが、シートパイプ2のフランジ部15とピストンリング4との間に隙間δが設定されていることで、この傾斜やズレが隙間δで吸収されることになる。
また、フランジ部15は、シートパイプ2の一部の板厚を外方向に膨出することにより形成できるので、製造が容易となり、かつ高精度な製造が可能となる。
図3は、本発明によるショックアブソーバー1の他の実施形態を説明するための要部斜視図であり、図4(a),(b)はその動作説明図である。
各図において、ピストンリング4は、筒部4Aと、この筒部4Aのスプリング5とは反対側端部よりシートパイプ2方向に折曲された下側の折曲片4Cと、上記溝底4Dのスプリング5側の外周縁より所定間隔を保持して突出する複数の突出片20を形成している。本実施形態では突出片20を4本としているが、突出片20の数量はこれに限定されず、ピストンリング4の円周方向に沿って均等な間隔をもって適宜形成すると良い。
この突出片20の先端側には、内方向に直角に折曲された爪部20Aを形成し、この爪部20Aにフランジ部15の上側の端面15Bが当接するように構成し、突出片20の間隔により形成された窓Mを介してショックアブソーバー内に注入されたオイルKを流通可能としている。この爪部20Aは、上記実施形態における折曲片4Bに相当する。
また、ピストンリング4の爪部20Aとフランジ部15の上側の端面15Bとの間にギャップRを形成している。
また、ショックアブソーバーの圧縮時には、図4(b)に示すように、インナーチューブ3がシートパイプ2側に移動することにより、ピストンリング4の爪部20Aがフランジ部15の上側の端面15Bと接触することで、同図の矢印で示すようにオイルKが突出片20の間の窓Mから流れて、伸長時の減衰力とは異なる減衰力を圧縮時に発生させることができる。
つまり、ピストンリング4がギャップR分フランジ部15に対して移動した後も、爪部20A間の窓Mでオイル流路を確保することで、圧縮時のオイルKの流れる流路を形成できる。また、このピストンリング4の移動によって、フランジ部15の周りを流れるオイルKの流れを制御するチェックバルブとしての機能を付与することができる。
また、本発明のショックアブソーバーを自動二輪車のフロントフォークに適用する場合、上記実施形態では、ショックアブソーバーにスプリング5を含むものとして説明したが、スプリング5をショックアブソーバーとは別に設けるようにしても良い。すなわち、本発明のショックアブソーバーからスプリング5を除外して減衰機能構成のショックアブソーバーとし、このショックアブソーバーを左右いずれか一方のフロントフォークに適用する。この場合、スプリングシート6は不要となる。また、他方のフロントフォークとして、スプリングによる懸架機能構成のフロントフォークを用いて自動二輪車のフロントサスペンションを構成しても良い。
4 ピストンリング、5 スプリング、6 スプリングシート、15 フランジ部、
δ 隙間。
Claims (6)
- シートパイプと、このシートパイプが同軸に嵌挿されるインナーチューブと、上記シートパイプに取付けられ、外周面が上記インナーチューブの内周面に摺接するピストンリングとを備えたショックアブソーバーにおいて、
上記ピストンリングを筒部と、この筒部の両端よりシートパイプ方向に折曲された上,下の折曲片とより形成し、
上記シートパイプの一部を外方向に変形して上記折曲片の間の溝底方向に突出するフランジ部を形成したことを特徴とするショックアブソーバー。 - 上記フランジ部は、外周側が、溝底より一定距離離間したことを特徴とする請求項1記載のショックアブソーバー。
- 上記フランジ部は、外周側が、溝底を向く断面U字体より成ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のショックアブソーバー。
- 上記フランジ部は、外周側が溝底を向くように折曲された一枚の折曲板よりなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のショックアブソーバー。
- 上記ピストンリングの筒部の上部側と上側の折曲片とに窓を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか記載のショックアブソーバー。
- 上記フランジ部は、上記ピストンリングの上,下の折曲片のいずれかとの間にギャップを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか記載のショックアブソーバー。
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