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JP5560298B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体を前後方向に区画するダッシュボードロアパネルが設けられ、ダッシュボードロアパネルのフットレスト部を車室側から覆うとともに、フットレスト部を補強する補強板が設けられる車体前部構造に関する。
車体前部構造には、車室前方で車幅方向に延びるダッシュパネルと、車室の前部側方で上下方向に延びるフロントピラーと、フロントピラーの下端から車両後方に延びるサイドシルと、ダッシュパネルに設けられ車幅方向に延びるダッシュクロスメンバと、ダッシュクロスメンバにフロントピラー及びサイドシルを連結するガセット部材を設けたものがある。
この車体前部構造によれば、フロントピラーとサイドシルとをガセット部材で連結したので、フロア前方の角部の剛性を向上することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
また、車体前部構造には、車両におけるエンジンルームと車室との間を区画するダッシュパネルと、ダッシュパネルの下部で車室側に設けられ、ダッシュパネルとの間に空間を確保するブラケットと、ブラケットの車室側に設けられたカーペットと、このカーペットの裏面に設けられたフットレスト本体からなり、前面荷重がダッシュパネル作用したときに、カーペット及びフットレスト本体を車室側に移動できるようにしたものがある。
この車体前部構造によれば、前面衝突が発生した場合に、カーペット及びフットレスト本体を車室側に移動することができ、乗員の足首にかかる負荷を軽減することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
特許第4438416号公報 特許第3997425号公報
特許文献1の車体前部構造では、フロア前方の角部の剛性を向上することができるものの、フロア前方の角部から車幅方向内方のフットレストが設けられるダッシュボードロアのフットレスト部に作用するナローオフセット衝突荷重をサイドシルインナに効果的に伝達することはできない。なお、ナローオフセット衝突とは、一般的に、真正面からの衝突より、左右どちらかに大きくズレ、フロントサイドフレームの車幅方向外方に前突荷重が作用する衝突をいう。
特許文献2の車体前部構造では、ダッシュパネル(ダッシュボードロアパネル)とフットレスト本体(フットレスト)との間に空間を持たせ、前面衝突が発生した場合にも乗員の足首にかかる負荷を軽減することはできるものの、ダッシュパネルがブラケットに当接するまでは、ダッシュパネルの変形を許容するものであるため、フットレストが位置するダッシュボードロアパネルのフットレスト部の変形を低減できるものではない。すなわち、フットレスト部の強度を積極的に高めることはできない。
本発明は、ダッシュボードロアパネルのフットレスト部に作用するナローオフセット衝突荷重をサイドシルインナに伝達することができるとともに、ダッシュボードロアパネルのフットレスト部の変形を低減することができる車体前部構造を提供することを課題とする。
また、サイドシルインナの倒れ込みを低減することができる車体前部構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車体を前後方向に区画するダッシュボードロアパネルと、このダッシュボードロアパネルの前方からダッシュボードロアパネルの下部を経由して車体前後方向に延ばされたフロントサイドフレームと、ダッシュボードロアパネルの下部にてフロントサイドフレームから車幅外方に延ばされたアウトリガーと、このアウトリガーの車幅外方から車体後方に延ばされたサイドシルと、フロントサイドフレームの車幅内方にてサイドシルに沿わせて車体後方に延ばしたフロアフレームを備えた車体前部構造において、ダッシュボードロアパネルに、乗員の足置き位置となるフットレスト部が形成され、フットレスト部に、ダッシュボードロアパネルに結合されフットレスト部を車室側から覆うとともに、フットレスト部を補強する補強板が配置され、補強板に、サイドシルのサイドシルインナの側面に結合されるフランジが形成され、補強板は、フロアフレームと結合することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、フランジに、サイドシルインナとダッシュボードロアパネルとの結合部近傍に上下方向に延ばされたビード形状を備えたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、補強板に、ダッシュボードロアパネルに向けて凹ませた複数の凹形状部が形成され、ダッシュボードロアパネルに凹形状部を溶接結合することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、補強板が、アウトリガーと結合することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、ダッシュボードロアパネルの前方に左右のホイールハウスが設けられ、ダッシュボードロアパネルに、ホイールハウスの後部が構成されるホイールハウス部が形成され、補強板を、ホイールハウス部まで延長したことを特徴とする。
請求項6に係る発明は、ダッシュボードロアパネルに、ダッシュボードロアパネルを車室側から覆うダッシュロアカーペットを備え、ダッシュロアカーペットに、ダッシュロアカーペットと一体的に形成されるとともに車室に突出させたフットレストが形成され、フットレストのダッシュボードロアパネル側には凹部空間が形成され、補強板は、フットレストの凹部空間に配置されていることを特徴とする。
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車体前部構造に、車体を前後方向に区画するダッシュボードロアパネルと、このダッシュボードロアパネルの前方からダッシュボードロアパネルの下部を経由して車体前後方向に延ばされたフロントサイドフレームと、ダッシュボードロアパネルの下部にてフロントサイドフレームから車幅外方に延ばされたアウトリガーと、このアウトリガーの車幅外方から車体後方に延ばされたサイドシルと、フロントサイドフレームの車幅内方にてサイドシルに沿わせて車体後方に延ばしたフロアフレームを備えた。ダッシュボードロアパネルに、乗員の足置き位置となるフットレスト部が形成される。
車両の衝突実験などでは正面衝突を想定したものが多かったが、実際の衝突事故の場合は真正面からの衝突より、左右どちらかに大きくズレ、フロントサイドフレームの車幅方向外方に前突荷重が作用する衝突が多いことが判明した。このような衝突をナローオフセット衝突という。正面衝突は車の前面全てで衝撃を吸収するが、ナローオフセット衝突ではフロントサイドフレームに衝突荷重が作用しないので、エネルギー吸収ができないため、車のダメージがより大きくなる。従って、このナローオフセット衝突を想定して車体の強度や衝撃吸収の設計をすることが求められている。
そこで、フットレスト部に、ダッシュボードロアパネルに結合されフットレスト部を車室側から覆うとともに、フットレスト部を補強する補強板が配置され、補強板に、サイドシルのサイドシルインナの側面に結合されるフランジが形成されたので、ダッシュボードロアパネルのフットレスト部に作用するナローオフセット衝突荷重をサイドシルインナに伝達することができる。この結果、ダッシュボードロアパネルのフットレスト部の変形を低減することができる。
また本発明では、補強板がフロアフレームと結合したので、ダッシュボードロアパネルのフットレスト部廻りの強度及び剛性を一層向上することができる。
請求項2に係る発明では、フランジに、サイドシルインナとダッシュボードロアパネルとの結合部近傍に上下方向に延ばされたビード形状を備えたので、結合部近傍を補強することができ、結合部近傍の強度を高めることができる。この結果サイドシルインナの倒れ込みを低減することができる。
請求項3に係る発明では、補強板に、ダッシュボードロアパネルに向けて凹ませた複数の凹形状部が形成され、ダッシュボードロアパネルに凹形状部を溶接結合したので、補強板は、ダッシュボードロアパネルとの間に閉断面を形成することができ、さらにフットレスト部の強度を高めることができる。この結果、ナローオフセット衝突荷重の吸収量を増すことができるとともに、さらにダッシュボードロアパネルの変形を低減することができる。
請求項4に係る発明では、補強板がアウトリガーと結合したので、ナローオフセット衝突荷重は、先ずサイドシルインナに伝達され、次いでアウトリガー及び補強板によりダッシュボードロアパネルに荷重伝達される。これにより、サイドシルインナの変形による荷重吸収を見込めるので、ダッシュボードロアパネルに作用する荷重の低減を図ることができる。
請求項5に係る発明では、ダッシュボードロアパネルの前方に左右のホイールハウスが設けられ、ダッシュボードロアパネルに、ホイールハウスの後部が構成されるホイールハウス部が形成される。例えば、ホイールハウス部は、室内側に膨出させて湾曲形状にすることにより強度及び剛性を高められている。従って、補強板を、ホイールハウス部まで延長したので、補強板でフットレスト部の支持強度及び剛性の向上を図ることができる。この結果、乗員の脚部を保護する保護能力の向上を図ることができる。
請求項6に係る発明では、ダッシュボードロアパネルに、ダッシュボードロアパネルを車室側から覆うダッシュロアカーペットを備える。
ダッシュロアカーペットに、ダッシュロアカーペットと一体的に形成されるとともに車室に突出させたフットレストが形成され、フットレストのダッシュボードロアパネル側には凹部空間が形成される。
補強板が、フットレストの凹部空間に配置されているので、凹部空間の車体前方の強度及び剛性は確保されている。従って、フットレストを補強する必要はないので、フットレストの衝撃吸収機能を自由に向上させることができる。すなわち、設計の自由度を拡げることができる。
本発明に係る実施例1の車体前部構造を示す斜視図である。 図1に示された車体前部構造の車室内から見た斜視図である。 図2の3部拡大図である。 図3の4−4線断面図である。 図3の5−5線断面図である。 図3に示された車体前部構造の補強板一般面の概念図である。 図3に示された車体前部構造の補強板結合部の概念図である。 図3の8−8線断面図である。 図1に示された車体前部構造のダッシュボードロアパネルを透過して車体底面から見た透視図である。 図1に示された車体前部構造のナローオフセット衝突が発生したときの荷重伝達の様子が示される説明図である。 図1に示された車体前部構造にダッシュインシュ(ダッシュボードロアカバー)が付設された車室の左下部が示される斜視図である。 図11の12−12線断面図である。 図11の13矢視図である。 本発明に係る実施例2の車体前部構造の斜視図である。 図14に示された車体前部構造の補強板の一般面の結合状態を示す概念図である。 図1に示された車体前部構造の補強板の凹み部の結合状態を示す概念図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
本発明に係る車体前部構造は、ダッシュボードロアパネル18のフットレスト部144をサイドシルインナ141の側面141bにフランジ接合し、フットレスト部144を覆う補強板146を配置し、ナローオフセット衝突による荷重からフットレスト部144のダッシュボードロアパネル18及びフロアパネル17の変形を低減するものである。
図1〜図13に示されたように、車両10は、車体11の前部に、車体前後方向に延ばされた左右のフロントサイドフレーム15と、車体11を前後方向に仕切るダッシュボードロアパネル18と、このダッシュボードロアパネル18の側方に設けられる左右のフロントピラー19と、左右のフロントピラー19から車体前後方向に延ばされた左右のアッパメンバ(エプロンリインフォースメント)21と、左右のアッパメンバ21から車体前方に向けて斜め下方に延ばされた左右のロアメンバ22と、ダッシュボードロアパネル18の上部に設けられるダッシュボードアッパパネル31と、ダッシュボードアッパパネル31の上部に設けられるウインドシールドロアサポート32と、このウインドシールドロアサポート32で下端が支持されるウインドシールド(ウインドシールドガラス)24と、ダンパユニット38を支持する左右のダンパハウジング27と、ダンパハウジング27の下方に車輪29を覆う左右のホイールハウス28を備える。
さらに、車両10は、フロントサイドフレーム15から車幅外方に延ばされるアウトリガー26と、アウトリガー26の車幅外方から車体後方に延ばされるサイドシル16と、ダッシュボードロアパネル18の前方から車体前後方向に延ばされるフロントサイドフレーム15と、ダッシュボードロアパネル18から車体後方に延ばされるフロアパネル17を備える。
左右のダンパハウジング27は、ダッシュボードロアパネル18の前方に設けられる。
左右のホイールハウス28は、ダッシュボードロアパネル18のエンジンルーム13側に設けられる。
なお、車両10は、左ハンドルの車両である。
ダッシュボードロアパネル18は、エンジンルーム13と車室12とを区画する部材である。ダッシュボードロアパネル18は、左右のフロントピラー19に車幅方向端部が接合(結合)している。
ダッシュボードロアパネル18は、前方に左右のホイールハウス28が設けられる。左右のホイールハウス28の後部がそれぞれ構成されるホイールハウス部101が形成されている。
ダッシュボードロアパネル18は、室内12側で車幅方向に延びるダッシュボードクロスメンバ35と、ブレーキマスタシリンダ36を取付けるブレーキマスタシリンダ補強板(ブレーキマスタシリンダ取付部)37が設けられる。
また、車体11の一方側(左側)に、アクセルペダル(不図示)を支持するアクセルペダルブラケット103と、ステアリングシャフト104を貫通するステアリングシャフトジョイントカバー105と、フットレスト部144(図8参照)を覆う補強板146が設けられる。
ダッシュボードロアパネル18は、図3及び図5に示されたように、サイドシルインナ141の側面141bとで結合部143が形成されている。また、ダッシュボードロアパネル18は、図8に示されたように、乗員の足置き位置となるフットレスト部144が形成される。さらに、ダッシュボードロアパネル18は、ダッシュボードロアパネル18を車室12側から覆うダッシュロアカーペット156を備える(図12参照)。
サイドシル16は、図2に示されたように、アウトリガー26の車幅外方から車体後方に延ばされる。
サイドシル16は、車室12側に形成されるサイドシルインナ141と、車外側に形成されるサイドシルアウタ142からなる。
フロントサイドフレーム15は、ダッシュボードロアパネル18の前方からダッシュボードロアパネル18の下部155を経由して車体前後方向に延ばされる。
フロアフレーム25は、図2及び図4に示されたように、フロントサイドフレーム15の車幅内方にてサイドシル16に沿わせて車体後方に延ばしたものである。
フロアフレーム25は、車室12側に形成されるアッパフレーム25aと、フロアパネル17下に形成されるロアフレーム25bからなる。
アウトリガー26は、図6、図9に示されたように、ダッシュボードロアパネル18の下部155にてフロントサイドフレーム15から車幅外方に延ばされる。
アウトリガー26は、サイドシルインナ141の下面141cに結合部26a(図6参照)で結合される。
ホイールハウス部101は、図2に示されたように、ダッシュボードロアパネル18を、室内12側に膨出させて湾曲形状にすることにより剛性を高められて形成されている。ホイールハウス部101は、ホイールハウス28の後部がそれぞれ構成される部分である。
フットレスト部144は、図8に示されるように、ダッシュボードロアパネル18に結合されフットレスト部144を車室12側から覆うとともに、フットレスト部144を補強する補強板146が配置されている。すなわち、フットレスト部144は、補強板146で覆われる。
図3〜図9に示されたように、補強板146は、サイドシルインナ141の側面141bに結合されるフランジ147が形成される。詳しくは、サイドシルインナ141の側面141bとダッシュボードロアパネル18との結合部143にダッシュボードロアパネル18を介してスポット溶接点145でスポット溶接される。
補強板146は、ダッシュボードロアパネル18に向けて凹ませた複数の凹形状部(ディンプル形状部)148が形成される。ディンプル形状部148は、ダッシュボードロアパネル18(フットレスト部144)を介して結合部152でアウトリガー26と結合する(溶接結合される)。結合部151ではダッシュボードロアパネル18のみに結合される(溶接結合される)。また、補強板146は、フットレスト部144を介して結合部153でもアウトリガー26と結合する(溶接結合される)。
補強板146が、アウトリガー26と結合することにより、ナローオフセット衝突時の荷重は先ずサイドシルインナ141に荷重伝達し、サイドシルインナ141を変形させて、次いでアウトリガー26と補強板146とによりダッシュボードロアパネル18に荷重伝達する。これにより、フロアパネル17の変形を軽減する。
補強板146は、ダッシュボードロアパネル18に向けディンプル形状部148を形成して、ダッシュボードロアパネル18にディンプル形状部148を溶接結合することにより、ダッシュボードロアパネル18との間に閉断面149を形成して強度を高め、ナローオフセット衝突の荷重を吸収するとともに、ダッシュボードロアパネル18の変形を低減する。
補強板146は、サイドシルインナ141とダッシュボードロアパネル18との結合部143近傍に結合されるフランジ147と、ホイールハウス部101まで延長する延長部146aが形成される。ホイールハウス部101は、室内12側に膨出させて湾曲形状にすることにより強度及び剛性を高められて形成されている部分なので、フットレスト部144のさらなる強度及び剛性を高められる。
すなわち、補強板146は、ダッシュボードロアパネル18のホイールハウス部101まで延長して乗員の脚部を保護する。
フランジ147は、図3及び図5に示されたように、サイドシルインナ141とダッシュボードロアパネル18との結合部143近傍に上下方向に延ばされたビード形状154a,154bを備える。フランジ147は、スポット溶接部145で結合される。すなわち、補強板146は、サイドシルインナ141の側面141bにフランジ結合されている。
図6に補強板146のディンプル形状部148が形成されていない補強板一般面断面が示され、ダッシュボードロアパネル18と補強板146とで閉断面149が形成される。
例えば、ナローオフセット衝突が発生し、ナローオフセット衝突荷重は、矢印A1の如く閉断面149を介して車幅外方から車幅内方に伝達される。これにより、ナローオフセット衝突荷重の分散を図る。
図7に補強板146のディンプル形状部148が形成されている補強板結合部断面が示され、ディンプル形状部148は、ダッシュボードロアパネル18(フットレスト部144)を介して結合部152でアウトリガー26と結合する(溶接結合される)。従って、フットレスト部144は、補強板146及びアウトリガー26と一体的に結合されることで、強度及び剛性が向上される。
図10(a)は車体底面から見た底面図であり、図10(b)はダッシュボードロアパネル18及びアウトリガー26を除いた底面図である。例えば、フロントサイドフレーム15の車幅外方に、矢印b1の如くポールが衝突(いわゆるナローオフセット衝突)すると、車輪(タイヤ)29が回転しながら、矢印b2の如くサイドシルインナ141の先端141a(図3参照)に当たり、矢印b3の如くサイドシルインナ141に荷重伝達されるとともに、矢印b3の如くダッシュボードロアパネル18のフットレスト部144(図8参照)及びアウトリガー26に荷重伝達される。
これにより、サイドシルインナ141の先端141aはフットレスト部144に向け倒れるようとする。本発明に係る車体前部構造では、強度が高い補強板146がサイドシルインナ141及びダッシュボードロアパネル18の結合部143に結合されているため(図3参照)フロアパネル17の変形を抑制する。
フランジ147は、サイドシルインナ141とダッシュボードロアパネル18との結合部143近傍に上下方向にビード形状154a,154bを備えたので、結合部143は補強され強度を高めサイドシルインナ141の倒れ込みを低減する。
すなわち、ダッシュボードロアパネル18のフットレスト部144にサイドシルインナ141の側面141bにフランジ接合し、フットレスト部144を覆う補強板146を配置することにより、ナローオフセット衝突の荷重をサイドシルインナ141に荷重伝達して、ダッシュボードロアパネル18のフットレスト部144の変形を低減することができる。
また、補強板146は、ダッシュボードロアパネル18に向けディンプル形状部148を形成して溶接結合することにより、ダッシュボードロアパネル18との間に閉断面149を形成して強度を高めナローオフセット衝突の荷重を吸収できるとともに、ダッシュボードロアパネル18の変形を低減できる。
なお、車両の衝突実験などでは正面衝突を想定したものが多かったが、実際の衝突事故の場合は真正面からの衝突より、左右どちらかに大きくズレ、フロントサイドフレームの車幅方向外方に前突荷重が作用する衝突が多いことが判明した。このような衝突をナローオフセット衝突という。正面衝突は車の前面全てで衝撃を吸収するが、ナローオフセット衝突ではフロントサイドフレームに衝突荷重が作用しないので、エネルギー吸収ができないため、車のダメージがより大きくなる。従って、このナローオフセット衝突を想定して車体の強度や衝撃吸収の設計をすることが求められている。
図11〜図13に示されたように、ダッシュロアカーペット156は、ダッシュロアカーペット156と一体的に形成されるとともに車室12に突出させたフットレスト157が形成される。
フットレスト157は、車室12に突出させることでダッシュボードロアパネル18側に凹部空間(凹み部)158が形成される。
補強板146は、フットレスト157の凹部空間(凹み部)158に配置されている。
言い換えれば、ダッシュロアカーペット(ダッシュインシュ)156に一体のフットレスト157を凹ませて凹部空間(凹み部)158を形成し、形成した凹部空間158に補強板146を配置したものといえる。これにより、フットレスト157を自体を補強する必要はない。
図1〜図10に示されたように、車体前部構造では、車体11を前後方向に区画するダッシュボードロアパネル18と、このダッシュボードロアパネル18の前方からダッシュボードロアパネル18の下部155を経由して車体前後方向に延ばされたフロントサイドフレーム15と、ダッシュボードロアパネル18の下部155にてフロントサイドフレーム15から車幅外方に延ばされたアウトリガー26と、このアウトリガー26の車幅外方から車体後方に延ばされたサイドシル16と、フロントサイドフレーム15の車幅内方にてサイドシル16に沿わせて車体後方に延ばしたフロアフレーム25を備えた。ダッシュボードロアパネル18に、乗員の足置き位置となるフットレスト部144が形成される。
フットレスト部144に、ダッシュボードロアパネル18に結合されフットレスト部144を車室12側から覆うとともに、フットレスト部144を補強する補強板146が配置され、補強板146に、サイドシル16のサイドシルインナ141の側面141bに結合されるフランジ147が形成されたので、ダッシュボードロアパネル18のフットレスト部144に作用するナローオフセット衝突荷重をサイドシルインナ141に伝達することができる。この結果、ダッシュボードロアパネル18のフットレスト部144の変形を低減することができる。
図3に示されたように、車体前部構造では、フランジ147に、サイドシルインナ141とダッシュボードロアパネル18との結合部143近傍に上下方向延ばされたビード形状154a,154bを備えたので、結合部143近傍を補強することができ、結合部143近傍の強度を高めることができる。この結果サイドシルインナ141の倒れ込みを低減することができる。
図7〜図8に示されたように、車体前部構造では、補強板146に、ダッシュボードロアパネル18に向けて凹ませた複数の凹形状部(ディンプル形状部)148が形成され、ダッシュボードロアパネル18に凹形状部を溶接結合したので、補強板146は、ダッシュボードロアパネル18との間に閉断面149を形成することができ、さらにフットレスト部144の強度を高めることができる。この結果、ナローオフセット衝突荷重の吸収量を増すことができるとともに、さらにダッシュボードロアパネル18の変形を低減することができる。
図8及び図9に示されたように、車体前部構造では、補強板146がアウトリガー26と結合したので、ナローオフセット衝突荷重は、先ずサイドシルインナ141に伝達され、次いでアウトリガー26及び補強板146によりダッシュボードロアパネル18に荷重伝達される。これにより、サイドシルインナ141の変形による荷重吸収を見込めるので、ダッシュボードロアパネル18に作用する荷重の低減を図ることができる。
図2及び図4に示されたように、車体前部構造では、ダッシュボードロアパネル18の前方に左右のホイールハウス28が設けられ、ダッシュボードロアパネル18に、ホイールハウス28の後部が構成されるホイールハウス部101が形成される。例えば、ホイールハウス部101は、室内側に膨出させて湾曲形状にすることにより強度及び剛性を高められている。従って、補強板146を、ホイールハウス部101まで延長したので、補強板146でフットレスト部144の支持強度及び剛性の向上を図ることができる。この結果、乗員の脚部を保護する保護能力の向上を図ることができる。
図11〜図13に示されたように、車体前部構造では、ダッシュボードロアパネル18に、ダッシュボードロアパネル18を車室12側から覆うダッシュロアカーペット156を備える。
ダッシュロアカーペット156に、ダッシュロアカーペット156と一体的に形成されるとともに車室12に突出させたフットレスト157が形成され、フットレスト157のダッシュボードロアパネル18側には凹部空間(凹み部)158が形成される。
補強板146が、フットレスト157の凹部空間158に配置されているので、凹部空間の車体前方の強度及び剛性は確保されている。従って、フットレスト157を補強する必要はないので、例えば、フットレスト157に天然ゴム若しくは合成ゴム等のエラストマ等の弾性材料(緩衝材)等により、フットレスト157の衝撃吸収の機能を自由に向上させることができる。すなわち、設計の自由度を拡げることができる。
図14〜図16に実施例2の車体前部構造が示される。図1〜図7に示された実施例1の車体前部構造に用いた部品と同一の部品は同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
補強板166は、フロアフレーム25と結合することにより、一層強度剛性が向上する。
補強板166は、サイドシルインナ141の側面141bに結合されるフランジ167が形成される。詳しくは、サイドシルインナ141の側面141bとダッシュボードロアパネル18との結合部143にダッシュボードロアパネル18を介してスポット溶接点165でスポット溶接される。
補強板166は、ダッシュボードロアパネル18に向けて凹ませた複数の凹形状部(ディンプル形状部)168が形成される。ディンプル形状部168は、ダッシュボードロアパネル18(フットレスト部144)を介して結合部162でアウトリガー26と結合する(溶接結合される)。
補強板166は、サイドシルインナ141とダッシュボードロアパネル18との結合部143近傍に結合されるフランジ167と、ホイールハウス部101(図2参照)まで延長する延長部166aが形成される。ホイールハウス部101は、室内12側に膨出させて湾曲形状にすることにより強度及び剛性を高められて形成されている部分なので、フットレスト部144の強度及び剛性を高められる。
すなわち、補強板166は、ダッシュボードロアパネル18のホイールハウス部101まで延長して乗員の脚部を保護する。
図15に補強板166のディンプル形状部168が形成されていない補強板一般面断面が示され、ダッシュボードロアパネル18と補強板166とで閉断面169が形成される。
例えば、ナローオフセット衝突が発生し、ナローオフセット衝突荷重は、矢印A2の如く閉断面169を介して車幅外方から車幅内方に伝達される。これにより、ナローオフセット衝突荷重の分散を図る。
図16に補強板166のディンプル形状部168が形成されている補強板結合部断面が示され、ディンプル形状部168は、ダッシュボードロアパネル18(フットレスト部144)を介して結合部162でアウトリガー26と結合する(溶接結合される)。従って、フットレスト部144は、補強板166及びアウトリガー26と一体的に結合されることで、強度及び剛性が向上される。加えて、補強板166は、フロアフレーム25と結合しているので、一層強度剛性が向上する。
図14〜図16に示されたように、車体前部構造では、補強板166がフロアフレーム25と結合したので、ダッシュボードロアパネル18のフットレスト部144廻りの強度及び剛性を一層向上することができる。
尚、本発明に係る車両のカウル構造は、図1に示すように、車両10は左ハンドルの車両であったが、右ハンドルの車両の場合は車体11の左右の構成を入れ換えることを妨げるものではない。
本発明に係る車体前部構造は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
11…車体、12…車室、15…フロントサイドフレーム、16…サイドシル、17…フロアパネル、18…ダッシュボードロアパネル、26…アウトリガー、25…フロアフレーム、28…ホイールハウス、101…ホイールハウス部、141…サイドシルインナ、141b…サイドシルインナの側面、143…サイドシルインナとダッシュボードロアパネルとの結合部、144…フットレスト部、146…補強板、147…フランジ、148…凹形状部(ディンプル形状部)、154a,154b…ビード形状、156…ダッシュロアカーペット、157…フットレスト、158…凹部空間(凹み部)、166…補強板、167…フランジ、168…凹形状部(ディンプル形状部)、169…閉断面。

Claims (6)

  1. 車体を前後方向に区画するダッシュボードロアパネルと、このダッシュボードロアパネルの前方からダッシュボードロアパネルの下部を経由して車体前後方向に延ばされたフロントサイドフレームと、前記ダッシュボードロアパネルの下部にて前記フロントサイドフレームから車幅外方に延ばされたアウトリガーと、このアウトリガーの車幅外方から車体後方に延ばされたサイドシルと、前記フロントサイドフレームの車幅内方にて前記サイドシルに沿わせて車体後方に延ばしたフロアフレームを備えた車体前部構造において、
    前記ダッシュボードロアパネルは、乗員の足置き位置となるフットレスト部が形成され、
    前記フットレスト部は、前記ダッシュボードロアパネルに結合され、該フットレスト部を車室側から覆うとともに、該フットレスト部を補強する補強板が配置され、
    前記補強板は、前記サイドシルのサイドシルインナの側面に結合されるフランジが形成され、
    前記補強板は、前記フロアフレームと結合する、
    ことを特徴とする車体前部構造。
  2. 前記フランジは、前記サイドシルインナとダッシュボードロアパネルとの結合部近傍に上下方向に延ばされたビード形状を備えたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
  3. 前記補強板は、前記ダッシュボードロアパネルに向けて凹ませた複数の凹形状部が形成され、前記ダッシュボードロアパネルに前記凹形状部を溶接結合することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体前部構造。
  4. 前記補強板は、前記アウトリガーと結合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車体前部構造。
  5. 前記ダッシュボードロアパネルの前方に左右のホイールハウスが設けられ、
    前記ダッシュボードロアパネルは、前記ホイールハウスの後部が構成されるホイールハウス部が形成され、前記補強板を、前記ホイールハウス部まで延長したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体前部構造。
  6. 前記ダッシュボードロアパネルは、該ダッシュボードロアパネルを前記車室側から覆うダッシュロアカーペットを備え、
    前記ダッシュロアカーペットは、該ダッシュロアカーペットと一体的に形成されるとともに前記車室に突出させた前記フットレストが形成され、前記フットレストの前記ダッシュボードロアパネル側には凹部空間が形成され、
    前記補強板は、前記フットレストの凹部空間に配置されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車体前部構造。
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