JP5556444B2 - 顕微鏡、培養観察装置 - Google Patents
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Description
シャーレは、ポリスチレン等の透明なプラスチック製で円形の皿部材と蓋部材とからなり、蓋部材を開けて試料と試料を培養するための培養液(培地)を注入して使用される。なお、このようなシャーレは、その径の大きさ等によって複数の種類、例えば35、60、100mmディッシュ等に分類される。
ウェルプレートは、シャーレと同様にプラスチック製で、試料を培養するための小さな円筒状の凹部(ウェル)が多数形成された板状部材と蓋部材とからなる。斯かるウェルプレートは、各ウェルに試料を注入して異なる培地等で同時に培養しながら実験を行うことができるため、取扱い易さや省スペース化の向上を図ることができる。なお、ウェルプレートには、1、6、24、96、384個等のウェルが形成されたものが知られている。特に、96個のウェルが形成された96ウェルプレートは創薬現場等においてよく用いられている。
そこで、このような問題を解消するために、ウェルプレートと、ウェルプレートの各ウェルに対向するように配置された、培養液の凹面によるレンズ効果を打ち消すためのレンズアレイとからなる培養容器を備えた顕微鏡が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、培養容器中の試料を観察する際に培養液にレンズ効果が生じている場合でも、試料の良好な観察像を得ることが可能な顕微鏡、培養観察装置を提供することを目的とする。
観察対象となる試料と前記試料を培養する培養液とを保持する培養容器内に、前記培養液中に浸した状態で前記試料を観察するための顕微鏡において、
前記試料を第1の観察方法で観察するための第1光学系と、
前記試料を第2の観察方法で観察するための第2光学系と、
を含む少なくとも2つの光学系を切替可能に有しており、
前記第1光学系は、照明光学系と、対物レンズを有する観察光学系とを有し、前記照明光学系から射出される照明光の実効的なNAを前記対物レンズの開口数よりも小さくすることが可能であり、
前記培養容器中の観察位置に応じて、前記少なくとも2つの光学系を切り替えて使用することを特徴とする顕微鏡。
前記顕微鏡と、
前記顕微鏡を収納する筐体と、
前記筐体内に配置されており、前記培養容器を格納するための棚部と、
前記培養容器を前記棚部から前記顕微鏡まで搬送する搬送部と、
前記筐体内を所定の環境に維持するための環境維持部と、
を有することを特徴とする培養観察装置を提供する。
ウェルプレートで培養した試料を顕微鏡で明視野観察、位相差観察、或いは微分干渉観察等する場合、試料を透過照明することが必須である。しかしながら、ウェル内の試料を透過照明した際には、照明光が培養液の凹面のレンズ効果によって屈折してしまう。このため、屈折した照明光で照明された試料からの透過光は、対物レンズへ入射することができなくなってしまう。或いは、屈折した照明光がウェルの壁面で反射又は透過してしまい、ウェル内の試料を均一に照明することができなくなってしまう。
ここで、培養液の凹面によるレンズ効果の影響は、凹面の曲率半径が小さく、また当該凹面に対する照明光の入射角度が大きいほど大きくなる。また、ウェルの壁面近傍では、培養液の液面が表面張力によってせり上がるように湾曲するため、凹面の外周部分は略非球面形状となる。したがって、凹面の外周部分におけるレンズ効果の影響は非常に大きくなり、試料の観察がより困難になってしまう。
また、培養液の凹面でレンズ効果が発生すると、顕微鏡で得られる試料の観察像のコントラストが視野内の位置によって反転してしまう。具体的には、視野内の中心部では観察像が黒色で背景が白色であるのに対して、視野内の周辺部では観察像が白色で背景が黒色となり、視野内の周辺部にある試料を観察することが困難になってしまう。また、このように観察像の見え方が視野内の位置によって一様でないため、細胞カウンティング等の画像解析が困難になり、正確な解析及び培養の自動化システムの作成も阻害されることとなってしまう。
また、レンズ効果を引き起こす培養液の凹面は、次のような要因によってその形状が変化する。
1)培養容器の種類(1〜384ウェルプレート、35〜100mmディッシュ)
2)培養液の組成
3)培養容器の材質や培養容器表面のコーティング処理
4)培養液の量
特に、96ウェルプレートにおいては、培養液の凹面の曲率半径が4.0〜10.0程度まで変化し、ウェルの壁面近傍では上述のように凹面の外周部分が略非球面形状となる。
また、培養容器において細胞が注入される凹部は、通常、円筒形状である。このため、ユーザーが培養容器を手で持ち運ぶ際には、凹部内の培養液に凹部の中心を軸とした渦が生じてしまう。そしてこの渦の影響により、凹部内の細胞の生え方が一様でなくなってしまい、特に、凹部の壁面近傍に細胞が多く生えることとなる。このため、凹部内の細胞の数を精度良く確認するためには、凹部内の中心部だけでなく、凹部の壁面近傍に生えている細胞の数まで確認しなければならない。しかしながらこのように凹部の全域にわたって細胞の数を確認することは、上述したレンズ効果によって困難であった。
1)培養容器の凹部の壁面へ向かってシェーディングが生じるため、視野の明るさが均一でない。
2)培養容器の凹部の壁面近傍には、照明光が全く届かない暗黒領域が発生し、試料が全く見えなくなってしまう。
3)培養容器の凹部の中心部に位置する試料と壁面近傍に位置する試料では、観察像のコントラストが反転してしまうため、画像解析を行うことが困難である。
4)レンズ効果の大きさは、培養容器の種類、培養液の組成、培養容器の材質、及び培養液の量等によって様々であるため、試料の観察条件が一様でない。
5)観察の精度を確保しながらスループットの向上を図るために、広視野で試料を観察することが望まれるものの、広視野の観察においてはレンズ効果の影響が顕著になる。
1)培養環境下での試料の観察が可能であるため、顕微鏡観察時の環境暴露による試料へのダメージが少ない。
2)培養中の試料の観察、記録、及び管理を自動で行うことが可能であるため、使用者の負担を軽減することができる。
しかしながら、斯かる培養観察装置においても、培養容器中の培養液にはレンズ効果が発生してしまう。特に、培養観察装置によって試料を自動で撮影する場合には、撮影された試料の画像を後で使用者が判断することとなるため、次のような問題が生じる。
1)オートフォーカスで自動撮影を行うが、レンズ効果の影響によってピントがボケてしまう。
2)レンズ効果によって視野の中心部又は周辺部で露光ムラが発生し、細胞が見えなくなってしまう。
3)前記1)、2)の影響により、細胞カウンティング等の画像解析が不能になってしまう。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係る培養観察装置1は、箱状の第1筐体2aとその下方に配置された箱状の第2筐体2bとからなる。
第1筐体2a内には、複数の培養容器3を格納するストッカー4、培養容器3をストッカー4から顕微鏡6まで搬送する搬送装置5、環境維持部13、及び顕微鏡6の照明装置7とステージ20が備えられている。なお、環境維持部13は第1筐体2a内の温度、湿度、二酸化炭素濃度、及び酸素濃度等を調整するものであり、これによって第1筐体2a内を所定の培養環境に維持することができる。また、第1筐体2aには扉8が設けられており、扉8の外面にはタッチパネルの機能を有する表示モニタ9が備えられている。
第2筐体2b内には、搬送装置5、環境維持部13、及び顕微鏡6等を制御するための制御部10、及び顕微鏡本体11が備えられている。なお、制御部10には、後述する記憶部10aが備えられている。
顕微鏡本体11は、位相差観察部16と新明視野観察部17を切替可能に保持する回転切替部18と、撮像部19とを有している。
なお、回転切替部18には、制御部10からの指示により回転切替部18を軸Oを中心に回転させるための不図示の駆動部が備えられており、これによって位相差観察部16と新明視野観察部17を切り替えて選択的に光路中に配置することができる。また、位相差観察部16と新明視野観察部17の構成については後述する。
撮像部19には、2/3インチCCDカメラが備えられている。
なお、回転切替部23には、制御部10からの指示により回転切替部23を軸Qを中心に回転させるための不図示の駆動部が備えられており、これによって位相差照明部21と新明視野照明部22を切り替えて選択的に光路中に配置することができる。また、位相差照明部21と新明視野照明部22の構成については後述する。
光源25には、コヒーレント性の高い赤色LED(発光ダイオード)が用いられている。これにより、照明の均一化と長寿命化を図ることができる。また、培養液12内のフェノールレッド等の栄養素が培養液12の劣化に伴って変色し、これが可視広域の光を吸収してしまうため、培養状態によって観察像の明るさが変化してしまうという影響を解消することができる。
ステージ20には、ステージ20を駆動するための不図示の駆動部と、当該駆動部によって駆動されたステージ20の位置情報を検出するための不図示の位置検出部が備えられている。
位相差照明部21は、ステージ20側から順に、コンデンサレンズ27、リング形状の開口が形成されたリング絞り(不図示)、及びコリメートレンズ(不図示)を有する。なお、リング絞りは、位相差観察部16の対物レンズ26中の位相膜に対して共役となるように配置されている。
斯かる構成の下、回転切替部18,23によって位相差照明部21と位相差観察部16を光路中に配置した際には、培養容器3の凹部3a中の試料13を位相差観察することが可能となる。
第1対物レンズ30は、培養容器3の凹部3aの底面から射出された光を略漏れなく集光するための高い開口数(NA)を有する対物レンズであり、本実施形態においてはΦ6.4mm程度の実視野を実現するために、倍率が1.25倍、開口数が0.25以上のものが用いられている。また、第1対物レンズ30には、第1対物レンズ30を光軸方向へ移動させるための不図示の駆動部が備えられている。このため、当該駆動部によって第1対物レンズ30を光軸方向へ移動させることで合焦位置を変更することができる。
可動絞り35は、培養容器3の凹部3aの底面を略均一に照明するための所謂低NAの照明光を生成するための絞り部材である。本実施形態において可動絞り35には、新明視野照明部22から射出される照明光の実効的なNAが0.1以下となるように、絞り径や光軸上の位置等が予め設計された絞り部材が用いられている。ここで、照明光の実効的なNAとは、新明視野照明部22から射出される照明光のうち、新明視野観察部17の第1対物レンズ30に入射する観察光を形成する照明光のNAをいう。なお、斯かる可動絞り35は、照明光が凹部3aの壁面で反射又は透過することを防止するために、照明光の光束が凹部3aの内径よりも小さくなるように照明光の照射領域を絞る役割も果たしている。
また、可動絞り35には、可動絞り35を光軸方向へ移動させるための不図示の駆動部と、可動絞り35の絞り径を変更するための不図示の調整機構とが備えられている。これにより、前記駆動部によって可動絞り35を光軸方向へ移動させることで、照明光の実効的なNAを変更するとともに照明光の主光線の方向を変更することができる。また、前記調整機構によって可動絞り35の絞り径を変更することで、照明光の実効的なNAを変更することができる。
ここで、培養容器3の凹部3a中の培養液12の液面は上述のように凹面となってレンズ効果を生じる。そこで、このような液面に対して実効的なNAの小さな照明光を照射することで、照明光が当該液面で屈折しても、凹部3aの壁面で反射又は透過することを防止することができる。詳細には、照明光の主光線の方向は可動絞り35の光軸上の位置に応じて変化する。このため、本実施形態において可動絞り35の光軸上の位置は、照明光の主光線が培養液12の液面で屈折される方向を考慮し、培養液12の液面で屈折された照明光の主光線の方向が光軸に対して前記屈折される方向と逆方向へ向くように予め設定されており、これによって照明光が凹部3aの壁面で反射又は透過することを防止することができる。したがって、照明光が凹部3a内のみを進行することとなり、凹部3aの底面をムラなく略均一に照明することが可能となり、また、凹部3aの底面から射出された光を第1対物レンズ30へ入射させることが可能となる。
そこで、本実施形態における顕微鏡6は、培養液12のレンズ効果の変化に応じて、可動絞り35を光軸方向に移動させたり、可動絞り35の絞り径を変更することで、照明光の実効的なNAや照明光の主光線の方向を変更することができる。これにより、培養液12のレンズ効果が変化した場合でも、これに対応する実効的なNAと主光線の方向を設定した低NAの照明光によって凹部3aの底面を略均一に照明することができ、レンズ効果の影響を解消した試料13の観察像を取得することができる。
図4(a)に示すように、培養容器3の凹部3a中の培養液12の凹面の曲率半径が小さい、即ち培養液12のレンズ効果が大きい場合、斯かる培養液12に主光線の方向を光軸と略同じ方向とした照明光を照射すれば、凹面で屈折した光は、凹部3aの壁面で反射又は透過することはないものの、第1対物レンズ30に入射することができなくなってしまい、所謂、視野欠けを招くこととなってしまう。
このため、図4(b)に示すように、可動絞り35を光源25側へ移動させて光軸に対する照明光の主光線の角度を大きくすることで、凹面で屈折した光は、凹部3aの壁面で反射又は透過することなく、第1対物レンズ30に漏れなく入射することができ、これによりレンズ効果の影響を解消した試料13の観察像を取得することが可能となる。
このため、図4(d)に示すように、可動絞り35をステージ20側へ移動させて光軸に対する照明光の主光線の角度を小さくすることで、照明光が凹部3aの壁面でケラれることを防止でき、レンズ効果の影響を解消した試料13の観察像を取得することが可能となる。
以上より、本実施形態における顕微鏡6では、培養液12の凹面の形状、即ちレンズ効果の大きさに応じて、当該レンズ効果の影響を解消することに最適な位置に可動絞り35を配置することが好ましい。なお、可動絞り35の絞り径を変更して照明光の実効的なNAを変更する際にも、レンズ効果の大きさに応じて適切に設定することが好ましい。
1)培養容器3の凹部3aの壁面へ向かってシェーディングが生じることを解消し、全域にわたって明るさの略均一な視野で試料13を観察することができる。
2)培養容器3の凹部3aの底面を略均一に照明することができるため、視野の全域で、コントラストの一様な試料13を観察することができる。
3)前記1)、2)の結果、ソフトウェア等によるセルカウンティング等の画像解析を行うことが容易になる。
4)培養液12のレンズ効果が変化した場合でも、可動絞り35を光軸方向へ移動させること等により、レンズ効果の影響を解消した試料13の観察像を取得することができる。また、受精卵観察用培地ドロップ等のように培養液12の凹面形状が逆転する観察対象にも対応することができる。
5)後述のように広視野で試料13を観察することができるため、観察の精度を確保しながらスループットの向上を図ることができる。
そこで、本実施形態における顕微鏡6は、上述のように照明光の実効的なNAを0.1以下、第1対物レンズ30の倍率を1.25倍、開口数を0.25以上とすることで、視野の全域(Φ6.4mm程度の実視野)での新明視野観察を実現している。また、上述のように96ウェルプレートにおけるウェルの内径はΦ6.4mm程度であるため、培養容器3に96ウェルプレートを用いる場合には、2/3インチCCDカメラを備えた撮像部19によって、96ウェルプレートのウェルの底面全域を1枚の画像として撮影することができる。即ち、最大限のスループットでレンズ効果の影響を解消した試料13の観察像を取得することが可能となる。
図5に示す本実施形態の観察方法切替ルーチンは、使用者が表示モニタ9を操作して本ルーチンの開始の指示を制御部10へ入力することで開始される。なお、使用者は、本ルーチンを実行するにあたり、位相差観察部16の対物レンズ16や位相差照明部21のリング絞り等の情報を制御部10へ予め入力しておく。
ステップS1:制御部10が、ステージ20に培養容器3が載置されているか否かを判定する。ステージ20に培養容器3が載置されている場合はステップS2へ進み、そうでない場合は本ステップS1を再度実行する。
ステップS3:制御部10が、各種情報に基づくシミュレーションによって培養容器3の凹部3a中の培養液12の液面の形状(具体的には、曲率半径)を算出し、算出した液面の形状に基づいて、凹部3a中の観察位置に応じて観察方法を切り替えるための基準となる切替位置情報を算出する。ここで、切替位置情報とは、培養液12の液面の凹部3aの壁面付近の湾曲部分と中心付近の平坦部分との境界を規定し、当該平坦部分の範囲(例えば、培養容器3に6ウェルプレートを用いた場合、培養液12の液面において曲率半径が100以上となる凹部3aの中心から半径12mmの円形の範囲等)を示すものである。なお、斯かる範囲を切替範囲と称する。
ステップS4:制御部10が、使用者又は制御部10の指示によってステージ20が操作されたか否かを判定する。ステージ20が操作された場合はステップS5へ進み、そうでない場合は本ステップS4を再度実行する。
ステップS6:制御部10が、回転切替部18,23を回転させて新明視野照明部22と新明視野観察部17を光路中に配置する。これによって顕微鏡6は新明視野観察を行うことが可能な状態になる。
ステップS7:制御部10が、回転切替部18,23を回転させて位相差照明部21と位相差観察部16を光路中に配置する。これによって顕微鏡6は位相差観察を行うことが可能な状態になる。
ステップS8:制御部10の指示の下、撮像部19が試料13の画像を撮影する。
ステップS9:制御部10が、表示モニタ9に文字情報「撮影終了?」を表示させ、使用者によって撮影を終了する旨の指示が制御部10へ入力されているか否かを判定する。撮影を終了する旨の指示が制御部10へ入力されている場合には本ルーチンが終了し、そうでない場合にはステップS4へ戻る。
第2実施形態に係る培養観察装置は、上記第1実施形態と基本的に同様の構成であるため、図1乃至図3を参照して説明する。
上述のように、培養液12のレンズ効果の大きさは、培養容器3の種類や材質、培養液12の組成や量等によって様々に変化する。そして、培養液12のレンズ効果が変化すれば、新明視野観察において、培養容器3の凹部3aの底面を略均一に照明することが困難になり、また、撮影時にピントボケや露光ムラが生じてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態に係る培養観察装置は、培養容器3の凹部3a中の観察位置に応じて観察方法を自動的に切り替えることに加えて、新明視野観察を行う際には、自動的に凹部3aの底面の略均一な照明を実現しながらピントボケと露光ムラを解消するための観察方法切替ルーチンを実行可能に構成されている。
具体的には、記憶部10aは、前記補正情報として、培養液12の液面の形状に応じて照明光の実効的なNAと主光線の方向を変更するための可動絞り35の光軸上の位置情報を記憶している。この位置情報に基づいて可動絞り35を光軸方向へ移動させて照明光の実効的なNAと主光線の方向を適切に設定することで、培養容器3の凹部3aの底面の略均一な照明を実現することが可能となる。
また、記憶部10aは、前記補正情報として、培養液12の液面の形状に応じて合焦位置を変更するための第1対物レンズ30の光軸上の位置情報を記憶している。この位置情報に基づいて第1対物レンズ30を光軸方向へ移動させて合焦位置を補正することで、撮影時のピントボケを解消することが可能となる。
また、記憶部10aは、前記補正情報として、培養液12の液面の形状に応じて露光量を変更するための露光情報(具体的には、撮像部19の感度情報)を記憶している。この感度情報に基づいて撮像部19の感度を変更して露光量を補正することで、撮影時の露光ムラを解消することが可能となる。
ステップT1:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS1と同様。
ステップT2:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS2と同様。
ステップT3:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS3と同様。
ステップT4:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS4と同様。
ステップT5:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS5と同様。
ステップT6:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS6と同様。
ステップT7:制御部10が後述する補正情報算出サブルーチンを実行する。
ステップT8:制御部10が、ステップT7で得られた補正情報に基づいて、可動絞り35を光軸方向へ移動させて照明光の実効的なNAと主光線の方向を適切に設定し、第1対物レンズ30を光軸方向へ移動させて合焦位置を補正し、撮像部19の感度を変更して露光量を補正する。そして制御部10が撮像部19に試料13の画像を撮影させる。
ステップT9:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS7と同様。
ステップT10:制御部10が撮像部19に試料13の画像を撮影させる。
ステップT11:上記第1実施形態の観察方法切替ルーチンのステップS9と同様。
ステップP1:制御部10が、ステップT2で得られた各種情報を参照して、当該各種情報に対応する補正情報(可動絞り35の光軸上の位置情報、第1対物レンズ30の光軸上の位置情報、及び撮像部19の感度情報)を記憶部10aの補正情報テーブルから読み出す。
ステップP2:制御部10が、ステップP1で読み出した補正情報を前記各種情報と関連付けて記憶部10aに登録する。
ステップP3:制御部10が、表示モニタ9に文字情報「ライブ観察を実行?」を表示させ、使用者によってライブ観察を実行する旨の指示が制御部10へ入力されているか否かを判定する。ライブ観察を実行する旨の指示が制御部10へ入力されている場合、新明視野観察による試料13のライブ画像が表示モニタ9に表示され、顕微鏡6は使用者が試料13をライブ観察しながら可動絞り35の光軸上の位置、第1対物レンズ30の光軸上の位置、及び撮像部19の感度を自ら補正することが可能な状態となり、ステップP4へ進む。一方、ライブ観察を実行しない旨の指示が制御部10へ入力されている場合には、本サブルーチンを終了して上記観察方法切替ルーチンへ戻る。
ステップP5:制御部が、使用者が補正した可動絞り35の光軸上の位置、第1対物レンズ30の光軸上の位置、及び撮像部19の感度を、新たな補正情報として前記各種情報に関連付けて記憶部10aに登録する。
また、上記各実施形態の観察方法切替ルーチンでは、上述のように凹部3a中の観察位置が切替範囲内にある場合には位相差観察が実施される。しかしこれに限られず、観察位置が切替範囲内にある場合には、制御部10が各種情報のうちの試料13の種類の情報を参照して、試料13が受精胚である場合にはホフマンモジュレーション観察、試料13が薄い細胞である場合には微分干渉観察、試料13が標準的な厚みの細胞である場合には位相差観察、試料13が厚い細胞である場合には斜光照明観察を実行する構成としてもよい。なお、斯かる場合には、顕微鏡6の回転切替部18,23に各々の観察方法に必要な照明部と観察部をそれぞれ追加すればよい。
また、上記各実施形態の観察方法切替ルーチンでは、観察位置、撮影回数、インターバルタイム、総時間等の撮影条件を制御部10に予め入力することで、タイムラプス撮影を実施することもできる。この場合、オートフォーカスで自動撮影を行う際のピントボケを解消し、露光ムラによって試料が見えなくなることを解消することができるため、観察像の品質を効果的に向上させることができる。またこれにより、細胞カウンティング等の画像解析を正確に実施することも可能となる。
また、上記各実施形態の観察方法切替ルーチンは、制御部10によって実行される構成であるが、これに限られず顕微鏡本体11内に備えられた不図示の制御部によって実行される構成とすることも勿論可能である。
3 培養容器
6 顕微鏡
10 制御部
10a 記憶部
12 培養液
13 試料
16 位相差観察部
17 新明視野観察部
20 ステージ
21 位相差照明部
22 新明視野照明部
AX 光軸
Claims (17)
- 観察対象となる試料と前記試料を培養する培養液とを保持する培養容器内に、前記培養液中に浸した状態で前記試料を観察するための顕微鏡において、
前記試料を第1の観察方法で観察するための第1光学系と、
前記試料を第2の観察方法で観察するための第2光学系と、
を含む少なくとも2つの光学系を切替可能に有しており、
前記第1光学系は、照明光学系と、対物レンズを有する観察光学系とを有し、前記照明光学系から射出される照明光の実効的なNAを前記対物レンズの開口数よりも小さくすることが可能であり、
前記培養容器中の観察位置に応じて、前記少なくとも2つの光学系を切り替えて使用することを特徴とする顕微鏡。 - 前記培養容器中の観察位置に対応する前記培養液の液面の形状に応じて、前記少なくとも2つの光学系を切り替えて使用することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡。
- 前記培養容器中の観察位置に対応する前記培養液の液面の曲率半径に応じて、前記少なくとも2つの光学系を切り替えて使用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の顕微鏡。
- 前記培養容器中の観察位置に応じて、前記少なくとも2つの光学系を自動的に切り替えて使用することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 前記第2光学系は、前記試料を位相差観察するための光学系であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 前記第1光学系は、前記培養液の液面の形状に応じて前記照明光学系から射出される照明光の実効的なNAを前記対物レンズの開口数より小さくすることが可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 前記照明光学系は、開口絞りとコンデンサレンズとを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 前記照明光の実効的なNAは0.1以下であり、前記対物レンズの開口数は0.25以上であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 前記第1光学系は、前記照明光学系に可動絞りを有し、前記可動絞りを光軸方向へ移動させることで前記照明光の実効的なNAを変更することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 前記培養容器中の観察位置に応じて前記少なくとも2つの光学系を切り替えるための基準となる前記培養容器中の切替位置情報を求め、前記観察位置と前記切替位置情報に基づいて前記少なくとも2つの光学系の切り替えを行う制御部を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 前記切替位置情報を複数個記憶した記憶部を有し、
前記制御部は、前記培養容器の種類、前記培養容器の材質、前記培養液の組成、及び前記培養液の量のうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記記憶部から前記切替位置情報を取得することを特徴とする請求項10に記載の顕微鏡。 - 前記制御部は、前記培養液の液面の形状に応じて前記第1光学系を構成する光学要素の補正を行うための補正情報を求め、前記補正情報に基づいて前記光学要素の補正を行うことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の顕微鏡。
- 前記記憶部は、前記培養液の液面の形状に応じて前記照明光の実効的なNAを変更するための前記可動絞りの光軸上の位置情報を前記補正情報として複数個記憶しており、
前記制御部は、前記培養容器の種類、前記培養容器の材質、前記培養液の組成、及び前記培養液の量のうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記記憶部から前記可動絞りの光軸上の位置情報を取得し、前記可動絞りの光軸上の位置情報に合わせて前記可動絞りを光軸方向へ移動させることを特徴とする請求項12に記載の顕微鏡。 - 前記試料の画像を撮影するための撮像部を有し、
前記記憶部は、前記培養液の液面の形状に応じて露光量を変更するための露光情報を前記補正情報として複数個記憶しており、
前記制御部は、前記培養容器の種類、前記培養容器の材質、前記培養液の組成、及び前記培養液の量のうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記記憶部から前記露光情報を取得し、前記露光情報に合わせて前記撮像部の感度を設定することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の顕微鏡。 - 前記記憶部は、前記培養液の液面の形状に応じて合焦位置を変更するための前記対物レンズの光軸上の位置情報を前記補正情報として複数個記憶しており、
前記制御部は、前記培養容器の種類、前記培養容器の材質、前記培養液の組成、及び前記培養液の量のうちの少なくとも1つの情報に基づいて前記記憶部から前記対物レンズの光軸上の位置情報を取得し、前記対物レンズの光軸上の位置情報に合わせて前記対物レンズを光軸方向へ移動させることを特徴とする請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の顕微鏡。 - 使用者が前記第1光学系によって前記試料をライブ観察して前記光学要素の補正を行い、新たな補正情報を前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか一項に記載の顕微鏡。
- 請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の顕微鏡と、
前記顕微鏡を収納する筐体と、
前記筐体内に配置されており、前記培養容器を格納するための棚部と、
前記培養容器を前記棚部から前記顕微鏡まで搬送する搬送部と、
前記筐体内を所定の環境に維持するための環境維持部と、
を有することを特徴とする培養観察装置。
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