JP5428006B2 - 磁性異物検出装置 - Google Patents
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Description
第3の検出方式としては、被検査物に弱いX線を照射してその透過量を半導体センサで検出する方式である。
第4の検出方式としては、SQUID(超伝導量子干渉素子)磁気センサを用いた検出方式で、被検査物を予め磁化した後、続いて磁気シールドされた空間内でSQUID磁気センサにより残留磁気の有無を検出する方式である。
また、第3の検出方式においては、X線照射装置が高価なうえに、定期的に消耗品(例えばX線管球やラインセンサ)を交換する必要があるためメンテナンスコストも派生する。
また、第4の検出方式においては、SQUID(超伝導量子干渉素子)磁気センサは高感度であり、被検出物の大きさに関する検出限界の精度も高い(例えば、SUS304製の針であればφ0.1mmまで検出可能)。しかしながら、超伝導素子を使用するため、液体窒素や液体ヘリウムなどを用いた大掛かりな冷却装置が必要となる。また、検出空間を磁気シールドする必要から環境磁界の影響を受けやすく、装置コストが高くなりやすい。
遊被検出物に混入する磁性異物を検出する磁性異物検出装置であって、前記被検出物が通過する検査領域に発生磁界の周波数の上限が、数十kHz以下の低周波数である磁界を発生させる磁界発生コイルを有する磁界発生装置と、前記磁界発生装置により発生させた発生磁界に鎖交するよう前記磁界発生コイル内に同芯状に配置され、前記被検出物が発生磁界中を通過する際にもたらす磁界分布変化を検出する空芯状の検出コイルと、前記検出コイルのインダクタンスL[H]と抵抗R[Ω]により決まるカットオフ周波数f=R/2πL[Hz]以上の周波数で、前記被検出物による磁界分布変化により前記検出コイルに鎖交する総磁束φ[Wb]に比例したインダクタンスL[H]から当該検出コイル両端を短絡した場合と同程度誘導される誘導電流I=φ/L[A]を増幅して当該誘導電流Iの大きさに比例した電圧信号に変換して出力する電流−電圧変換回路と、を具備したインダクション磁気センサと、前記インダクション磁気センサに具備した電流−電圧変換回路の出力信号を解析して前記磁性異物を特定する信号解析装置と、を備えたことを特徴とする。
具体的には、磁束−電流換算係数について、検出コイルに鎖交する総磁束φ[Wb]とインダクタンスL[H]から誘導される誘導電流I=φ/L[A]となるが、インダクタンスLを小さくすれば微弱な磁界でも大きな誘導電流が流れる。
一方、インダクタンスL[H]と抵抗R[Ω]により決まるカットオフ周波数f=R/2πL[Hz]以上の周波数では、上記磁束−電流変換係数により誘導電流により算出されるが、それ以下の周波数では誘導電流が20dB/octで減衰する。即ち、上記磁束−電流換算係数とは反対にインダクタンスLの値を大きくするのが好ましい。
以上より、インダクション磁気センサは、検出コイルのインダクタンスL[H]と抵抗R[Ω]により決まるカットオフ周波数f=R/2πL[Hz]以上の周波数で、検出コイルに鎖交する総磁束φ[Wb]に比例したとインダクタンスL[H]から誘導される誘導電流I=φ/L[A]を増幅して電圧信号として出力することが望ましい。
特に、磁界発生装置により発生する発生磁界の周波数の上限は、数十kHz以下の低周波数であることから、被検出物が導電材料で包装(例えばアルミホイル包装)されていても、表皮効果による渦電流は発生せず、当該被検出物の内部の異物まで検出することができる。
また、検出コイルの抵抗値がゼロでない場合、当該検出コイルに直流磁界が鎖交しても誘導電流が流れないので、磁界発生装置により発生した一様な磁界中では検出感度を持たない。よって、被検出物に磁性異物が混入している場合のみ磁界分布に変動を生じて異常を検出することができる。
また、検出コイルが磁界発生装置に発生する交番磁界を打ち消すように差動接続されていると、磁界発生装置によって発生する交番磁界の変化だけでは検出感度を持たない。よって、被検出物に磁性異物が混入している場合のみ磁界分布に変動を生じて異常を検出することができる。
また、磁界発生コイルに通電して交番磁界を発生させた状態で被検出物が前記検出コイル内に置かれるか或いは前記検出コイル内を通過させる際に流れる誘導電流により磁界分布変化が検出されるか、或いは磁界発生装置により直流磁界を発生させた状態で被検出物が前記検出コイル内を通過させる際に流れる誘導電流により磁界分布変化が検出されるので、簡易な構成で高感度に磁性異物の検出が行なえる。
磁界発生装置1は、被検出物(加工食品)2が通過する検査領域に均一な磁界を発生させる。被検出物2は、後述するように導電性包装材(アルミホイルなど)に包装されていてもよい。
具体的には、インダクション磁気センサ7は、検出コイル5のインダクタンスL[H]と抵抗R[Ω]により決まるカットオフ周波数f=R/2πL[Hz]以上の周波数とすることが望ましい。しかしながら、インダクションセンサの高感度さゆえ、検出コイル5のアンバランスが問題となるときには、それ以下の周波数が用いられる。本実施形態では一例として10Hzの周波数が用いられる。
また、被検出物2は樹脂系試料台(非磁性)17のA点及びB点に試料として各々固定され、該樹脂系試料台17を多層ソレノイドコイル11に挿入したときの出力電圧波形をオシロスコープにて観測を行なった。
PCパーマロイ材(78Permalloy, Nilaco社製)の場合、直径φ0.8mmを共通で、長さをA点で5mm,10mmと変化させ、B点で長さを100mm,40mm,20mm,10mmと変化させて出力電圧波形を観測した。この結果、PCパーマロイ材の場合、A点で(φ0.8mm,長さ10mm)、B点で(φ0.8mm,長さ40mm)以上のサイズであれば出力電圧の変化が各々観測され、磁性異物を検出できることが確認できた。
図5(b)によれば、アルミ箔により包装されていても、PCパーマロイ材による出力電圧の変化が観測され、磁性異物を検出できることが確認できた。
本実施例は、樹脂系試料台17のA点及びB点に試料であるステンレス材の長さ10mmを共通にして、直径をφ0.5mm,φ0.2mm,φ0.1mmと変化させた試料を各々固定して出力電圧波形を観測した。この結果、ステンレス材の場合には、φ0.2mm,長さ10mm以上のサイズであれば磁性異物を検出できることが確認できた。
アルミ箔により包装されていても、出力電圧の変化が観測され、磁性異物が検出できることが確認できた。
図8(a)(b)は、樹脂系試料台17のA点及びB点に試料である鉄材の直径がφ0.5mmの場合、φ0.2mmの場合で長さを10mm,5mm,2mmと変化させたものを各々固定して得られた出力電圧波形示す。また、図9(a)(b)は、直径がφ0.1mmの場合で長さを50mm,10mmと変化させたものを各々固定して得られた出力電圧波形を示す。この結果、鉄材の場合には、直径φ0.2mm,長さ5mm以上のサイズで磁性異物を検出できることが確認できた。また、直径φ0.1mmであれば、長さ50mm以上のサイズで磁性異物を検出できることも確認できた。
また、上記各サイズの鉄材はアルミ箔により包装されていても、出力電圧の変化が観測され、磁性異物が検出できることが確認できた。
2 被検出物
3 交流電源
4 磁界発生コイル
5 検出コイル
6 磁性異物
7 インダクション磁気センサ
8,15 電流−電圧変換回路
9 信号解析装置
10 均一磁界空間
11 多層ソレノイドコイル
11a 外層コイル
11b 内層コイル
12 発振装置
13 増幅回路
14,16 電圧計
17 樹脂系試料台
Claims (6)
- 被検出物に混入する磁性異物を検出する磁性異物検出装置であって、
前記被検出物が通過する検査領域に発生磁界の周波数の上限が、数十kHz以下の低周波数である磁界を発生させる磁界発生コイルを有する磁界発生装置と、
前記磁界発生装置により発生させた発生磁界に鎖交するよう前記磁界発生コイル内に同芯状に配置され、前記被検出物が発生磁界中を通過する際にもたらす磁界分布変化を検出する空芯状の検出コイルと、
前記検出コイルのインダクタンスL[H]と抵抗R[Ω]により決まるカットオフ周波数f=R/2πL[Hz]以上の周波数で、前記被検出物による磁界分布変化により前記検出コイルに鎖交する総磁束φ[Wb]に比例したインダクタンスL[H]から当該検出コイル両端を短絡した場合と同程度誘導される誘導電流I=φ/L[A]を増幅して当該誘導電流Iの大きさに比例した電圧信号に変換して出力する電流−電圧変換回路と、を具備したインダクション磁気センサと、
前記インダクション磁気センサに具備した電流−電圧変換回路の出力信号を解析して前記磁性異物を特定する信号解析装置と、を備えたことを特徴とする磁性異物検出装置。 - 前記信号解析装置は、磁性異物に応じた電圧波形をサンプルとして表示可能に記憶している請求項1記載の磁性異物検出装置。
- 前記検出コイルの抵抗がゼロでない場合、当該検出コイルに直流磁界が鎖交しても誘導電流が流れないことを特徴とする請求項1又は2記載の磁性異物検出装置。
- 前記検出コイルが前記磁界発生装置に発生する交番磁界を打ち消すように差動接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の磁性異物検出装置。
- 前記磁界発生装置は、交流電源と、該交流電源より空芯状のコイルへ通電することにより交番磁界を発生させる磁界発生コイルと、を具備し、
前記検出コイルは、前記磁界発生コイル内に同芯状に設けられ、当該磁界発生コイルに通電して交番磁界を発生させた状態で被検出物が前記検出コイル内に置かれるか或いは前記検出コイル内を通過させる際に流れる誘導電流により磁界分布変化が検出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の磁性異物検出装置。 - 前記磁界発生装置は、複数の永久磁石或いは直流電源に接続された磁界発生コイルのいずれかを具備し、前記検出コイルは前記永久磁石間若しくは前記磁界発生コイル内に同芯状に設けられ、前記磁界発生装置により直流磁界を発生させた状態で被検出物が前記検出コイル内を通過させる際に流れる誘導電流により磁界分布変化が検出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の磁性異物検出装置。
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