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JP5413829B2 - インバータ一体型電動圧縮機 - Google Patents

インバータ一体型電動圧縮機 Download PDF

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JP5413829B2
JP5413829B2 JP2009119604A JP2009119604A JP5413829B2 JP 5413829 B2 JP5413829 B2 JP 5413829B2 JP 2009119604 A JP2009119604 A JP 2009119604A JP 2009119604 A JP2009119604 A JP 2009119604A JP 5413829 B2 JP5413829 B2 JP 5413829B2
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Description

本発明は、インバータ一体型電動圧縮機に関し、とくに、設計の自由度を高く維持しつつ、回路部品の確実な固定を低コストで実現可能であり、耐振性が高く動作安定性に優れたインバータ一体型電動圧縮機に関する。
インバータ等を含むモータ駆動回路を内蔵した電動圧縮機の構造として、モータ駆動回路が絶縁用樹脂モールド材によって被覆され、該樹脂モールド材中に埋設されるようにした構造が知られている(例えば、特許文献1)。
また、上蓋と圧縮機ハウジングとの間に配置されたパワー半導体モジュールを、加熱流動状態となった絶縁用の合成樹脂等を流し込むことによって、被覆・埋設するようにした構造も知られている(例えば、特許文献2)。この特許文献2に記載の構造では、パワー半導体モジュール等の電気部品を収容した室の全体が樹脂モールド材で満たされるようになっている。
特開2002−70743号公報 特開平4−80554号公報
しかしながら、上記のような従来構造においては、電気部品を実質的に被覆樹脂のみで固定しているため、十分な固定力を確保することが難しく、圧縮機の稼動時において、長期間にわたる振動や高温領域における被覆樹脂の硬度の低下等により被覆樹脂の固定力が低下し、電気部品の配置に望ましくないずれが生じるおそれを払拭することが困難であった。また、例えば、インバータ一体型電動圧縮機において、インバータ機能の向上のためにコンデンサ等の電気部品が大型化された場合も、被覆樹脂の厚みが実質的に低下し、十分な固定力を確保することが難しくなるという問題があった。
さらに、モータ駆動回路等を実質的に埋設する構造であるため、充填もしくは被覆樹脂量が多くなり、その分、電動圧縮機全体としての軽量化やコストダウンを阻害することともなっている。とくに、車両用空調装置等に用いられる電動圧縮機においては、可能な限り、軽量化やコストダウンを図ることが求められている。
そこで本発明の課題は、設計の自由度を高く維持しつつ、回路部品の確実な固定により高い耐振性を実現可能であり、軽量化が容易な、動作安定性に優れたインバータ一体型電動圧縮機を低コストで提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るインバータ一体型電動圧縮機は、モータが内蔵され、インバータを含むモータ駆動回路が設けられた基板を有するインバータ一体型電動圧縮機であって、前記基板を含む電気部品が圧縮機ハウジングで囲まれた収容空間内に固定され、前記収容空間内に絶縁用樹脂が充填され、前記電気部品の少なくとも一部が固化された充填樹脂により密封されるインバータ一体型電動圧縮機において、前記基板上に備えられた回路部品の外形に沿って凹状に成形された凹部を備えた凹状保持部と、該凹状保持部に設けられた通気孔とを有する樹脂フレームを、前記基板上に装着し、該基板上の回路部品と前記樹脂フレームとの間に、樹脂を充填可能な樹脂封入用空間を形成したことを特徴とするものからなる。
このようなインバータ一体型電動圧縮機においては、基板上の回路部品の周囲に形成された樹脂封入用空間への樹脂充填によって回路部品の振動が防止され、かつ、樹脂封入用空間の外周を被覆する樹脂フレームが基板に装着されているので、樹脂封入用空間に充填され固化された樹脂およびその樹脂で覆われた回路部品が、樹脂フレームによって確実に固定され、振動が効果的に防止される。また、樹脂フレーム内に形成される樹脂封入用空間の厚みは、従来技術において、樹脂フレームを用いることなく、回路部品が実質的に単一の樹脂のみにより埋設され被覆される場合と比較して、非常に薄くすることが可能であるため、樹脂材料の物性の変化(例えば、高温領域における被覆樹脂の硬度の低下等)による影響を最小限に抑えることができ、さまざまな動作条件下において、回路部品の固定力を十分に確保し維持することが可能となる。したがって、圧縮機が長期間稼動される場合においても、電気部品の配置に望ましくないずれが生じる可能性が確実に抑制され、振動に起因する不具合が効果的に防止されることとなり、動作安定性に優れた圧縮機が実現可能となる。
また、樹脂からなる部材は加工性に優れており、様々な形状へと容易に成形可能であるので、既存の回路部品の外形に対応した樹脂フレームの製造は低コストで容易に可能であり、本発明の適用においては、圧縮機の設計の自由度を従来の樹脂フレームを設置しない場合とほぼ同様の高い水準に維持することができる。さらに、コンデンサ等の回路部品が大型化された場合においても対応は容易であり、回路部品の固定力を十分に確保することが可能となる。
さらに、樹脂フレームに設けられた通気孔により、樹脂封入用空間への樹脂充填時における樹脂内での気泡の発生および残留が防止され、回路部品の固定がより確実に達成される。
また、本発明においては、樹脂フレームの材質として絶縁用樹脂よりも密度の低い樹脂を用いることにより、圧縮機の軽量化が達成可能である。上述の如く、樹脂フレームは加工性に優れているので、低密度樹脂からなる樹脂フレームの厚みを増加させることなどによって絶縁用樹脂の注入量の低減を達成し、さらなる圧縮機の軽量化を実現することも容易に可能である。
上述の凹部は、とくに限定されないが、実質的に基板上の回路部品ごとの外形に対応させて形成されていることが好ましい。回路部品の周囲に充填される樹脂層の厚みが不均一であった場合、樹脂層の物性の変化(例えば、温度上昇に起因する硬度や膨張率の変化等)により回路部品に不均一な力が加わり、回路部品の配置に予期せぬ微小なずれが生じる可能性がある。一方、凹部が回路部品ごとの外形に対応させて形成されている場合、樹脂層の厚みはほぼ均一となるため、上記のずれは最小限に抑えられ、樹脂層による回路部品の固定力が高温領域においても安定して維持される。
また、前記凹部は、前記通気孔周りに、前記通気孔に近づくほど前記樹脂封入用空間を縮小させるテーパ状部を有することが好ましい。このように、通気孔周りの内面にテーパ状の窪みが形成されることにより、通気孔近傍において樹脂封入用空間の横断面積が通気孔に近づくほど狭くなるので、凹部内の樹脂封入用空間に樹脂が充填される際に空気等のガスが通気孔に導かれやすくなり、樹脂内に気泡が残留しにくい構造が実現可能となる。とくに、通気孔が凹部の上底面に形成される場合には、樹脂内に存在する気泡が浮力によって樹脂外部に浮上させることができるので、樹脂内における気泡の残留をより効果的に防止可能である。なお、すべての凹部に対して上記テーパ状部を形成するのではなく、例えば、アルミ電解コンデンサの外形に対応して形成された凹部に対してのみ、上記テーパ状部を形成してもよい。アルミ電解コンデンサのような、基板上の設置高さが比較的大きいため凹部に気泡が残留しやすい回路部品についてのみ、上記テーパ状部を形成することにより、気泡残留防止のための加工を効率的に行うことが可能となる。
上記の樹脂封入用空間へ充填される樹脂の種類はとくに限定されず、収容空間内に充填される絶縁用樹脂と同一であってもよいし、異なる種類の樹脂が用いられてもよい。樹脂封入用空間および収容空間において同一の樹脂が用いられる場合、工数および製造コストの削減の観点から、絶縁用樹脂の樹脂封入用空間内への充填は、収容空間内への絶縁用樹脂の充填とともに行なわれることが好ましい。
また、絶縁用樹脂と異なる種類の樹脂が用いられる場合、樹脂封入用空間へ充填される樹脂の種類は、とくに限定されないが、接着用樹脂(例えば、接着剤など)であることが好ましく、絶縁不良によるショート等の不具合から基板上の回路部品を保護可能な程度の絶縁性を有する接着用樹脂であることが、とくに好ましい。ここで接着用樹脂とは、収容空間内に充填される絶縁用樹脂と比較して、高温領域における硬度の低下が緩やかな樹脂を意味するものとする。このような樹脂は硬度の変化が小さいため、高温時における回路部品の固定力が絶縁用樹脂と比較して高い水準に維持され、圧縮機の動作安定性の向上が達成可能となる。なお、この接着用樹脂の樹脂封入用空間内への充填は、絶縁用樹脂が収容空間内へ充填される前に行われることが好ましい。
上述の如く、樹脂封入用空間へ接着用樹脂が充填される場合、とくに限定されないが、上記樹脂フレームには接着用樹脂注入器具の位置決め用の孔が設けられていることが好ましい。ここで、位置決め用の孔は、接着用樹脂注入器具の所定位置への設置が速やかに行われるべく構成されていればよく、必ずしも樹脂フレームを貫通している必要はない。例えば、位置決め用の孔は、接着用樹脂注入器具の樹脂フレームへの当接部位の形状に応じて樹脂フレームの表面に形成された、少なくとも一つの凹状の窪みであってもよい。このような位置決め用の孔により、接着用樹脂の充填が容易となり、圧縮機の製造工程に要する時間が短縮される。
上記の樹脂フレームには、とくに限定されないが、樹脂注入孔が設けられていることが好ましい。また、凹部が複数設けられている場合は、複数の凹部のそれぞれに樹脂注入孔が設けられていることがとくに好ましい。このような樹脂注入孔により、樹脂封入用空間内へ樹脂を隙間なく充填することが容易となり、回路部品の固定がより確実に達成される。なお、この樹脂注入孔は上述の通気孔と同一の孔であってもよいし、異なる孔であってもよい。
樹脂注入孔が通気孔と異なる孔として形成される場合においても、通気孔の場合と同様に、前記樹脂注入孔周りに、前記樹脂注入孔に近づくほど前記樹脂封入用空間を縮小させるテーパ状部を有することが好ましい。このように、樹脂注入孔周りの内面にテーパ状の窪みが形成されることにより、樹脂注入孔近傍において樹脂封入用空間の横断面積が樹脂注入孔に近づくほど狭くなるので、凹部内の樹脂封入用空間に樹脂が充填される際に空気等のガスが樹脂注入孔に導かれやすくなり、樹脂内に気泡が残留しにくい構造が実現可能となる。とくに、樹脂注入孔が凹部の上底面に形成される場合には、樹脂内に存在する気泡が浮力によって樹脂外部に浮上させることができるので、樹脂内における気泡の残留をより効果的に防止可能である。
本発明に係る樹脂フレームは、とくに限定されないが、基板に対して締結により固定された状態にて、基板上に装着されることが好ましい。樹脂フレームが基板に対して締結されることにより、樹脂封入用空間内もしくは収容空間内への樹脂充填時における樹脂フレームの所定位置からのずれの発生が防止され、そのようなずれに起因する樹脂内での気泡の発生や充填漏れが防止され、回路部品の固定が確実に達成される。
本発明に係るインバータ一体型電動圧縮機の用途はとくに限定されないが、設計の自由度を高く維持しつつ、回路部品の確実な固定を低コストで実現可能であることから、高い耐振性が要求され、設置スペースの要求水準が厳しい車両搭載用圧縮機に用いられて好適なものであり、とくに、車両空調装置用の圧縮機として用いられて好適なものである。
このように、本発明に係るインバータ一体型電動圧縮機によれば、設計の自由度を高く維持しつつ、回路部品の確実な固定により高い耐振性を実現可能であり、軽量化が容易な、動作安定性に優れたインバータ一体型電動圧縮機を低コストで実現可能である。
本発明の一実施態様に係るインバータ一体型電動圧縮機の概略縦断面図である。 図1に示したインバータ一体型電動圧縮機における収容空間形成部の概略斜視図を示しており、図2(A)は樹脂フレーム装着前の状態を、図2(B)は樹脂フレーム装着後の状態を、それぞれ示している。 図1に示したインバータ一体型電動圧縮機における基板および樹脂フレームを示しており、図3(A)は平面図を、図3(B)は側面図を、それぞれ示している。 図1に示したインバータ一体型電動圧縮機における凹部近傍の拡大断面図を示しており、図4(A)は樹脂封入用空間に絶縁用樹脂が充填された例を、図4(B)は樹脂封入用空間に接着用樹脂が充填された例を、それぞれ示している。 図3に示した樹脂フレームの変形例を示しており、図5(A)は平面図を、図5(B)は部分断面図を、それぞれ示している。 図3に示した樹脂フレームの変形例における凹部近傍の拡大断面図である。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係るインバータ一体型電動圧縮機を示しており、とくに、スクロール型電動圧縮機に本発明を適用した例を示している。図1において、インバータ一体型電動圧縮機1は、固定スクロール3および可動スクロール4からなる圧縮機構2を備えている。可動スクロール4は、ボールカップリング5を介して自転が阻止された状態で、固定スクロール3に対して旋回されるようになっている。圧縮機ハウジング(センターハウジング)6内には、モータ7が組み込まれており、この内蔵モータ7によって主軸8(回転軸)が回転駆動される。主軸8の一端側に配設された偏心ピン9、それに対して回転自在に係合された偏心ブッシュ10を介して、主軸8の回転運動が可動スクロール4の旋回運動に変換されるようになっている。本実施態様では、被圧縮流体としての冷媒を吸入する吸入ポート11が圧縮機ハウジング(フロントハウジング)12に設けられており、吸入された冷媒は、モータ7配置部を通して圧縮機構2へと導かれ、圧縮機構2で圧縮された冷媒は、吐出孔13、吐出室14、圧縮機ハウジング(リアハウジング)15に設けられた吐出ポート16を通して外部回路に送られる。
上記圧縮機ハウジング12(フロントハウジング)の延設部で囲まれることにより収容空間20が形成されており、モータ駆動回路21がこの収容空間20内に設けられている。より詳しくは、収容空間20内における、圧縮機ハウジング12に形成された冷媒吸入経路側との仕切壁22の外面側にモータ駆動回路21が設けられている。モータ駆動回路21は、仕切り壁22を貫通させて取り付けられた密封端子23(モータ駆動回路21の出力端子)、リード線24を介してモータ7に給電し、密封端子23設置部では、冷媒吸入経路側とモータ駆動回路21設置側とがシールされている。本実施態様においては、モータ駆動回路21を仕切壁22の外面側に設けることによって、仕切壁22を介して、モータ駆動回路21を含む電気部品の少なくとも一部が吸入冷媒と熱交換可能に構成されており、吸入冷媒によって冷却可能となっている。このように構成することにより、発熱しやすい電気部品(例えば、インバータ機能を有するモータ駆動用高電圧回路)を自動的に適切に冷却でき、モータ駆動回路21の所定性能を維持できるとともに、別途冷却装置等を設ける必要がないため、構造の簡素化をはかることができる。なお、このような構成はスクロール型電動圧縮機のみに限定されず、被圧縮流体が冷媒であるあらゆる種類のインバータ一体型電動圧縮機に適用可能である。
モータ駆動回路21は、インバータ機能を有するIPM(Intelligent Power Module)25と、回路部品30からなる制御回路を備えた基板26を含んでおり、それとは別体にあるいは一体にコンデンサ27等の電気部品が設けられている。このモータ駆動回路21は、入力端子としてのコネクタ28を介して外部電源(図示略)と接続される。これらモータ駆動回路21を含む電気部品を実装した圧縮機ハウジング12の外部への開口側は、蓋部材29でシールされた状態で覆われており、これら電気部品が蓋部材29により保護されている。
上記制御回路が備えられた基板26には、回路部品の外形に沿って凹状に成形された凹部を備えた凹状保持部32と、凹状保持部32に設けられた通気孔33とを有する樹脂フレーム31が装着され、基板26に備えられた回路部品30と樹脂フレーム31との間には、樹脂を充填可能な樹脂封入用空間34が形成されている。この樹脂封入用空間34への樹脂充填によって回路部品26の振動が防止されるとともに、通気孔33によって樹脂内における気泡の発生および残留が防止され、回路部品26の固定が確実に達成される。また、樹脂封入用空間34に充填され固化された樹脂および回路部品26は、基板26に装着された樹脂フレーム31によって確実に固定される。
収容空間20内においては、上記モータ駆動回路21およびコンデンサ27等の電気部品が配置され、樹脂フレーム31が装着された後に、絶縁用樹脂35が充填され、これらの実質的に全体が固化された絶縁用樹脂35により密封される。絶縁用樹脂充填の範囲は、図示の如く、収容空間20内の必要最小限の範囲内に納められ、圧縮機1全体の軽量化が図られている。また、上述の如く、樹脂フレーム31の材料として絶縁用樹脂35よりも密度の軽い素材を用いることにより、さらなる軽量化を達成することも可能である。
図2は、図1に示したインバータ一体型電動圧縮機における収容空間20の概略斜視図を示しており、図2(A)は樹脂フレーム31が装着されていない状態を、図2(B)は樹脂フレーム31が装着された状態を、それぞれ示している。図2(A)において、収容空間20内には、回路部品30からなる制御回路が設けられた基板26と、ノイズフィルタ36とが配置されている。また、図2において基板26の下に配置されているIPM25は、ノイズフィルタ36を介して外部電源と接続され、外部電源による信号線伝導性ノイズから保護されている。
図2(B)は、図2(A)の基板26に、回路部品30の外形に沿って凹状に成形された凹部を備えた凹状保持部32と、凹状保持部32に設けられた通気孔33とを有する樹脂フレーム31が装着された状態を示している。樹脂フレーム31は、図示の如く、回路部品30を含む収容空間20内の各部材の形状に対応して成形されているため、装着において他の部材が制約を受けることはなく、圧縮機の設計の自由度は従来通りの高い水準に維持される。
図3は、図1に示したインバータ一体型電動圧縮機において、基板26に樹脂フレーム31が装着された状態の概略を示しており、図3(A)は樹脂フレーム31が装着された基板26の平面図を、図3(B)は側面図を、それぞれ示している。樹脂フレーム31において、凹状保持部32を形成する凹部37は、実質的に基板上の回路部品30ごとの外形に対応させて形成されている。また、複数の凹部37のそれぞれには、樹脂注入孔として兼用可能な通気孔33が設けられているので、各凹部37に対応する樹脂封止用空間34に対して確実に樹脂が充填されるとともに、樹脂封止用空間34内における気泡の発生および残留が効果的に防止される。樹脂フレーム31の表面には樹脂注入器具の位置決め用の孔38が設けられ、樹脂封止用空間への樹脂注入工程が短時間で容易に実施可能となっている。さらに、樹脂フレーム31および基板26には締結部39が設けられているので、樹脂フレーム31は基板26に対し、締結により固定された状態にて基板26上に装着されることとなり、樹脂フレーム31の所定位置からのずれが防止され、回路部品30の固定が確実に達成される。
図4は、図3に示した基板26の凹部37近傍における概略断面図を示しており、とくに、基板26に樹脂フレーム31が装着された後、樹脂封入用空間34および収容空間20に樹脂が充填された例を示している。なお、図4(A)は、収容空間20内への絶縁用樹脂35の充填とともに樹脂封入用空間34内においても絶縁用樹脂35が充填された場合を、図4(B)は、樹脂封入用空間34に接着用樹脂40が充填された後、収容空間20に絶縁用樹脂35が充填された場合を、それぞれ示している。図4(A)において、凹部37には樹脂注入孔として兼用可能な通気孔33が設けられているので、樹脂封入用空間34および収容空間20への樹脂充填は同時に実施可能であり、樹脂充填工程の短縮およびコストダウンが可能となる。また、通気孔33により、樹脂封入用空間34および収容空間20における気泡の発生もしくは残留が効果的に防止され、回路部品30の固定が確実に達成される。
図4(B)において、樹脂封入用空間34には、樹脂注入孔として兼用可能な通気孔33を通じて接着用樹脂40が充填される。接着用樹脂40は、上述の如く、絶縁用樹脂35と比較して高温領域における硬度の低下が緩やかであるから、高温時における回路部品30の固定力が絶縁用樹脂34と比較して高い水準に維持され、圧縮機1の動作安定性の向上が達成可能となる。また、凹部37の基板対向面41はほぼ基板26に当接しているため、接着用樹脂40が充填される樹脂封入用空間34の範囲は回路部品30近傍の領域に限定され、接着用樹脂40の使用量が抑制されてコストダウンが図られるとともに、限定された領域に充填された接着用樹脂40の接着力によって回路部品30および樹脂フレーム31が確実に固定される。
図5は、図3に示した樹脂フレーム31の変形例としての樹脂フレーム42を示し、図5(A)は平面図、図5(B)は部分断面図である。樹脂フレーム42において、凹状保持部43を形成する凹部44には、樹脂注入孔として兼用可能な通気孔45が設けられており、凹部44の上底面46の内面には、通気孔45に近づくほど樹脂封入用空間47を縮小させるテーパ状部48が形成されている。凹部44の上底面46に、このようなテーパ状部48が形成されているために、各凹部44に対応する樹脂封止用空間47内から空気等のガスが抜けやすくなっており、充填樹脂内への気泡残留が確実に防止されている。
図6は、図3に示した基板26の凹部44近傍における概略断面図を示しており、とくに、基板26に樹脂フレーム42が装着された後、樹脂封入用空間47および収容空間20に樹脂が充填された例を示している。なお、図6は、収容空間20内への絶縁用樹脂35の充填とともに樹脂封入用空間47内においても絶縁用樹脂35が充填された場合を示している。図6において、凹部44には樹脂注入孔として兼用可能な通気孔45が設けられているので、樹脂封入用空間47および収容空間20への樹脂充填は同時に実施可能であり、樹脂充填工程の短縮およびコストダウンが可能となる。また、凹部44の上底面46の通気孔45周辺に設けられたテーパ状部48によって、樹脂封入用空間34および収容空間20における気泡の発生もしくは残留がより一層防止され、回路部品30の固定がより確実に達成される。
本発明はあらゆる種類のインバータ一体型電動圧縮機に適用可能であり、とくに、優れた動作安定性および耐振性が要求され、設計の自由度に対する要求水準が高く、小型軽量化が要求される、車両空調装置用のインバータ一体型電動圧縮機として好適なものである。
1 インバータ一体型電動圧縮機
2 圧縮機構
3 固定スクロール
4 可動スクロール
5 ボールカップリング
6 圧縮機ハウジング(センターハウジング)
7 モータ
8 主軸
9 偏心ピン
10 偏心ブッシュ
11 吸入ポート
12 圧縮機ハウジング(フロントハウジング)
13 吐出孔
14 吐出室
15 圧縮機ハウジング(リアハウジング)
16 吐出ポート
20 収容空間
21 モータ駆動回路
22 仕切壁
23 密封端子
24 リード線
25 IPM
26 基板
27 コンデンサ
28 コネクタ
29 蓋部材
30 回路部品
31、42 樹脂フレーム
32、43 凹状保持部
33、45 通気孔
34、47 樹脂封入用空間
35 絶縁用樹脂
36 ノイズフィルタ
37、44 凹部
38 位置決め用の孔
39 締結部
40 接着用樹脂
41 凹部の基板対向面
46 凹部の上底面
48 テーパ状部

Claims (12)

  1. モータが内蔵され、インバータを含むモータ駆動回路が設けられた基板を有するインバータ一体型電動圧縮機であって、前記基板を含む電気部品が圧縮機ハウジングで囲まれた収容空間内に固定され、前記収容空間内に絶縁用樹脂が充填され、前記電気部品の少なくとも一部が固化された充填樹脂により密封されるインバータ一体型電動圧縮機において、前記基板上に備えられた回路部品の外形に沿って凹状に成形された凹部を備えた凹状保持部と、該凹状保持部に設けられた通気孔とを有する樹脂フレームを、前記基板上に装着し、該基板上の回路部品と前記樹脂フレームとの間に、樹脂を充填可能な樹脂封入用空間を形成したことを特徴とするインバータ一体型電動圧縮機。
  2. 前記凹部は、前記通気孔周りに、前記通気孔に近づくほど前記樹脂封入用空間を縮小させるテーパ状部を有する、請求項1に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  3. 前記凹部が、実質的に前記基板上の回路部品ごとの外形に対応させて形成されている、請求項1または2に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  4. 前記収容空間内への絶縁用樹脂の充填とともに、該絶縁用樹脂の前記樹脂封入用空間内への充填が行われている、請求項1〜3のいずれかに記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  5. 前記樹脂封入用空間内に接着用樹脂が充填された後に、前記収容空間内への前記絶縁用樹脂の充填が行われている、請求項1〜3のいずれかに記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  6. 接着用樹脂注入器具の位置決め用の孔が前記樹脂フレームに設けられている、請求項5に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  7. 前記樹脂フレームに樹脂注入孔が設けられている、請求項1〜6のいずれかに記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  8. 複数の凹部のそれぞれに前記樹脂注入孔が設けられている、請求項7に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  9. 前記凹部は、前記樹脂注入孔周りに、前記樹脂注入孔に近づくほど前記樹脂封入用空間を縮小させるテーパ状部を有する、請求項7または8に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  10. 前記基板上に装着された前記樹脂フレームが基板に対して締結により固定されている、請求項1〜9のいずれかに記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  11. 車両に搭載される圧縮機からなる、請求項1〜10のいずれかに記載のインバータ一体型電動圧縮機。
  12. 車両空調装置用の圧縮機からなる、請求項11に記載のインバータ一体型電動圧縮機。
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