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JP5401801B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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JP5401801B2
JP5401801B2 JP2008036337A JP2008036337A JP5401801B2 JP 5401801 B2 JP5401801 B2 JP 5401801B2 JP 2008036337 A JP2008036337 A JP 2008036337A JP 2008036337 A JP2008036337 A JP 2008036337A JP 5401801 B2 JP5401801 B2 JP 5401801B2
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Description

本発明は、ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータを備える電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、ステアリング装置として運転者がステアリングホイールを操舵する操舵トルクに基づいて電流指令値を演算し、電流指令値と電動モータの駆動電流検出値との偏差に基づいてフィードバック制御を行って電動モータを駆動制御することにより、ステアリング機構に操舵補助力を与える電動パワーステアリング装置が普及している。
一般に、ステアリング機構では、ステアリングホイールを中立位置から左及び右の何れかの操舵方向に操舵を続けて、ステアリングホイールの操作量がその最大値に相当する最大舵角に達すると、ステアリング機構がメカニカルストッパに当接してそれ以上の操舵ができない操舵限界となる。このような操舵限界となって、メカニカルストッパに当接する状態となることを所謂端当てと称している。
電動パワーステアリング装置において、操舵アシスト状態で上記端当て状態となると、電動モータの回転が急激に停止状態となって電動モータの逆起電力が急激に消滅し、電流指令値に応じたモータ電流に上記逆起電力に相当する電流が加算されてオーバーシュートが生じる。このようにオーバーシュートが生じると、電動モータの駆動手段としてのインバータを構成する半導体素子を破損するおそれがある。
そこで、このオーバーシュート対策として、操舵トルクに基づいて電流指令値を算出し、該電流指令値とモータ実電流との偏差を比例・積分補償して、電動モータを駆動制御する電動パワーステアリング装置において、電動モータに流れる電流のオーバーシュートを検出したとき、前記比例・積分補償の比例感度、積分ゲインのうち少なくとも一方を制御することで、上記オーバーシュートを抑制するというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の電動パワーステアリング装置において、操舵アシスト状態で上記端当て状態となると、ラックエンド機構に大きな衝撃(トルク)が加わって異音が発生したり、ラックエンド機構の構成部品や減速ギヤ等のトルク伝達系のメカ部品に破損や変形が生じたりするおそれがある。したがって、このような大きな衝撃に耐え得るためには、高性能なメカ部品が必要となり、コストが嵩む。
そこで、端当て対策を制御機能で実現する端当て保護制御として、電流指令値とモータ実電流との偏差を電流制御器で比例・積分補償し、電動モータをパルス幅変調信号によって駆動制御する電動パワーステアリング装置において、通常制御時に使用しているパルス幅変調信号のデューティを一定値以下に制限する方法や、当該デューティを一定値に固定して電磁ブレーキモードとする方法がある。
特許第3232030号明細書
しかしながら、上記従来の端当て保護制御にあっては、出力制限方法として電流制御器から出力されるデューティ指令値を制限する方法を採用しているため、上記フィードバック制御が制限されて、モータ実電流は電流制御器が意図しない動きをすることになる。その結果、電流指令値とモータ実電流との偏差が大きくなり、その偏差を入力とする電流制御器において、構成する積分器の過去値が不必要に大きくなる。
したがって、その状態で端当て保護制御が解除されて通常制御状態に復帰すると、積分器の大きな過去値の影響により、電流制御器から不必要に大きなデューティ指令値が出力されてモータ実電流が急変し、異音が発生したり操舵フィーリングが悪化したりするおそれがある。また、場合によっては、過電流が発生し、モータ駆動回路に負担をかけてしまう。
そこで、本発明は、端当て保護制御等のフィードバック制限を解除したときの異音発生や操舵フィーリングの悪化を抑制することができる電動パワーステアリング装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータの駆動電流を検出する電流検出手段と、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、電圧指令値を演算する電流制御手段と、前記電圧指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
所定条件が成立したとき、前記電流制御手段の前記フィードバック制御を制限するフィードバック制限手段と、該フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を解除する制限解除手段と、前記制限解除手段による制限解除時における前記電動モータの駆動電流の急変を抑制する電流抑制手段とを備え
前記電流制御手段は、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差を積分する積分器を有し、該積分器から出力される積分値を用いて前記電圧指令値を演算するものであって、前記電流抑制手段は、前記フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を行っている間、前記積分器の過去値を零に固定することを特徴としている。
さらに、請求項に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータの駆動電流を検出する電流検出手段と、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、電圧指令値を演算する電流制御手段と、前記電圧指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
所定条件が成立したとき、前記電流制御手段の前記フィードバック制御を制限するフィードバック制限手段と、該フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を解除する制限解除手段と、前記制限解除手段による制限解除時における前記電動モータの駆動電流の急変を抑制する電流抑制手段とを備え、
前記電流制御手段は、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差を積分する積分器を有し、該積分器から出力される積分値を用いて前記電圧指令値を演算するものであって、前記電流抑制手段は、前記制限解除手段による制限解除時に、前記積分器の過去値をに設定することを特徴としている。
また、請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータの駆動電流を検出する電流検出手段と、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、電圧指令値を演算する電流制御手段と、前記電圧指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
所定条件が成立したとき、前記電流制御手段の前記フィードバック制御を制限するフィードバック制限手段と、該フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を解除する制限解除手段と、前記制限解除手段による制限解除時における前記電動モータの駆動電流の急変を抑制する電流抑制手段とを備え、
前記電流制御手段は、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差を積分する積分器を有し、該積分器から出力される積分値を用いて前記電圧指令値を演算するものであって、前記電流抑制手段は、前記制限解除手段による制限解除時に、前記積分器の過去値を、当該制限解除時の前記電流指令値とフィードバック制御の制限を施した後の前記電動モータの電圧指令値とに基づいて設定することを特徴としている。
さらにまた、請求項4に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜3の何れか1項に係る発明において、前記制限解除手段は、前記フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を開始してから、所定時間経過後に当該制限を解除することを特徴としている。
また、請求項に係る電動パワーステアリング装置は、請求項に係る発明において、前記所定時間は、操舵トルク、電流指令値及びモータ回転数の少なくとも1つに基づいて設定することを特徴としている。
さらに、請求項に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜の何れか1項に係る発明において、前記モータ制御手段は、前記電圧指令値に基づいて、前記電動モータをパルス幅変調信号によって駆動制御するものであって、前記フィードバック制限手段は、前記所定条件が成立したとき、前記パルス幅変調信号のデューティに上限を設けて当該デューティを制限することで、前記フィードバック制御を制限することを特徴としている。
また、請求項に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜の何れか1項に係る発明において、前記モータ制御手段は、前記電圧指令値に基づいて、前記電動モータをパルス幅変調信号によって駆動制御するものであって、前記フィードバック制限手段は、前記所定条件が成立したとき、前記パルス幅変調信号のデューティを一定値に固定することで、前記フィードバック制御を制限することを特徴としている。
さらにまた、請求項に係る電動パワーステアリング装置は、請求項に係る発明において、前記モータ制御手段は、前記パルス幅変調信号によって駆動されて前記電動モータに駆動電流を供給するインバータを有し、前記フィードバック制限手段は、前記所定条件が成立したとき、前記インバータの上アーム及び下アームの何れか一方を同時にオン状態として電磁ブレーキモードに制御することを特徴としている。
また、請求項に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1〜の何れか1項に係る発明において、前記モータ制御手段は、前記電圧指令値に基づいて、前記電動モータをパルス幅変調信号によって駆動制御するものであって、前記フィードバック制限手段は、前記ステアリング機構が操舵限界に達したと判断したとき、前記パルス幅変調信号のデューティを、前記ステアリング機構の前記ステアリングシャフト及び転舵輪間のトルク伝達部材に伝達されるトルクを抑制するように制御することを特徴としている。
本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、所定条件が成立したとき、一時的に電流制御器におけるフィードバック制御を制限すると共に、当該フィードバック制御の制限中に電流制御器の積分器の過去値を一定値にリセットしたり、フィードバック制御の制限解除時に電流制御器の積分器の過去値を一定値にリセットしたりするので、制限解除時に電流制御器の積分器の過去値が大きくなっていることを防止することができる。その結果、制限解除時に、積分器の大きな過去値の影響により電動モータの駆動電流が急変することを防止することができ、異音の発生や操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図中、符号SMはステアリング機構である。このステアリング機構SMは、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が伝達される入力軸2aとこの入力軸2aに図示しないトーションバーを介して連結された出力軸2bとを有するステアリングシャフト2を備えている。このステアリングシャフト2は、ステアリングコラム3に回転自在に内装され、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は図示しないトーションバーに連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、2つのヨーク4a,4bとこれらを連結する十字連結部4cとで構成されるユニバーサルジョイント4を介して中間シャフト5に伝達され、さらに、2つのヨーク6a,6bとこれらを連結する十字連結部6cとで構成されるユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。
このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介して左右のタイロッド9に伝達され、これらタイロッド9によって転舵輪WR及びWLを転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ギヤハウジング8a内に、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8bとこのピニオン8bに噛合するラック軸8cとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8bに伝達された回転運動をラック軸8cで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速ギヤ等の減速機11と、この減速機11に連結された操舵補助力を発生する電動機としての例えばブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
また、減速機11のステアリングホイール1側に連接されたハウジング13内に操舵トルクセンサ14が配設されている。この操舵トルクセンサ14は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を非接触の磁気センサで検出するように構成されている。
そして、操舵トルクセンサ14から出力される操舵トルク検出値Tは、図2に示すように、コントローラ15に入力される。このコントローラ15には、トルク検出値Tの他に車速センサ16で検出した車速検出値V、電動モータ12に流れるモータ電流Iu〜Iw、及びレゾルバ、エンコーダ等で構成される回転角センサ17で検出した電動モータ12の回転角θも入力され、入力されるトルク検出値T及び車速検出値Vに応じた操舵補助力を電動モータ12で発生させる操舵補助トルク指令値IM *を算出し、算出した操舵補助トルク指令値IM *に対して、モータ回転角θに基づいて算出するモータ角速度ω及びモータ角加速度αに基づいて各種補償処理を行ってからd−q軸電流指令値Id*,Iq*に変換する。
また、モータ電流Iu〜Iwを3相/2相変換してd−q軸モータ電流Id,Iqを算出し、前記d−q軸電流指令値Id*,Iq*とd−q軸モータ電流Id,Iqとに基づいて電動モータ12に供給する駆動電流をフィードバック処理して、その結果を2相/3相変換し、電動モータ12を駆動制御するモータ電流Iu,Iv及びIwを出力する。
すなわち、コントローラ15は、操舵トルクT及び車速Vに基づいて操舵補助トルク指令値IM *を演算する操舵補助トルク指令値演算部21と、算出された操舵補助トルク指令値IM *を補償する指令値補償部22と、この指令値補償部22で補償されたトルク指令値Irに基づいてd−q軸電流指令値Id*,Iq*を算出し、これら指令電流に基づいてモータ電流Iu〜Iwを生成するモータ電流制御部23とを備えている。
また、コントローラ15は、q軸電流Iqに基づいて、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達するか又はタイヤが縁石等に接触してこれ以上の転舵ができない操舵限界に達しているか否か(端当て時か否か)を判定する端当て判定部51と、端当て判定部51による判定結果に基づいて、端当て対策をするための端当て保護制御の作動/非作動を示す端当て保護制御フラグFL1を出力する保護制御判定部52とを備えている。
保護制御判定部52から出力される保護制御フラグFL1は、モータ電流制御部23の後述する電流制御部63及びデューティ演算部65に出力されるようになっている。
操舵補助トルク指令値演算部21では、先ず、トルク指令値演算部41で、操舵トルクT及び車速Vをもとに図3に示す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して電流指令値となる操舵補助トルク指令値IM *を算出する。
この操舵補助トルク指令値算出マップは、図3に示すように、横軸に操舵トルクTをとり、縦軸に操舵補助トルク指令値IM *をとると共に、車速Vをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助トルク指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助トルク指令値IM *が操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
そして、位相補償部42で、上記操舵補助トルク指令値IM *に対して位相補償を行い、位相補償後の操舵補助トルク指令値IM *を後述する加算器38に出力する。また、トルク微分回路43では、操舵トルクTを微分した操舵トルク変化率Tdをもとに操舵トルクTに対する補償値を算出し、これを後述する加算器38に出力する。
指令値補償部22は、回転角センサ17で検出されるモータ回転角θを微分してモータ角速度ωを算出する角速度演算部31と、この角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωを微分してモータ角加速度αを算出する角加速度演算部32と、角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωに基づいてヨーレートの収斂性を補償する収斂性補償部33と、角加速度演算部32で算出されたモータ角加速度αに基づいて電動モータ12の慣性により発生するトルク相当分を補償して慣性感又は制御応答性の悪化を防止する慣性補償部34と、セルフアライニングトルク(SAT)を推定するSAT推定フィードバック部35と、を少なくとも有する。
ここで、収斂性補償部33は、角速度演算部31で算出されたモータ角速度ωが入力され、車両のヨーの収斂性を改善するためにステアリングホイール1が振れ回る動作に対して、ブレーキをかけるように、収斂性補償値Icを算出する。
また、SAT推定フィードバック部35は、操舵トルクT、モータ角速度ω、モータ角加速度α及び操舵補助トルク指令値演算部21で算出した操舵補助トルク指令値IM *が入力され、これらに基づいてセルフアライニングトルクSATを推定演算する。
このセルフアライニングトルクSATを算出する原理は、路面からステアリングまでの間に発生するトルクの様子を図4に示して説明する。
すなわち、ドライバがステアリングホイール1を操舵することによって操舵トルクTが発生し、その操舵トルクTに従って電動モータ12がアシストトルクTmを発生する。その結果、車輪Wが転舵され、反力としてセルフアライニングトルクSATが発生する。また、その際、電動モータ12の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
J・α+Fr・sign(ω)+SAT=Tm+T ………(1)
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s)=Tm(s)+T(s)−J・α(s)−Fr・sign(ω(s)) ………(2)
上記(2)式から分かるように、電動モータ12の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、モータ角加速度α、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを推定することができる。ここで、アシストトルクTmは操舵補助トルク指令値IM *に比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助トルク指令値IM *を適用する。
そして、慣性補償部34で算出された慣性補償値Ii及びSAT推定フィードバック部35で算出されたセルフアライニングトルクSATが加算器36で加算され、この加算器36の加算出力と収斂性補償部33で算出された収斂性補償値Icとが加算器37で加算されて指令補償値Icomが算出され、この指令補償値Icomが操舵補助トルク指令値演算部21から出力される操舵補助トルク指令値IM *に加算器38で加算されて補償後のトルク指令値Irが算出され、このトルク指令値Irがモータ電流制御部23に出力される。
モータ電流制御部23は、電動モータ12の各相コイルLu、Lv及びLwに供給されるモータ電流Iu、Iv及びIwを検出するモータ電流検出器60と、トルク指令値Irからd−q軸電流指令値Id*,Iq*を算出する電流指令値算出部61と、モータ電流Iu、Iv及びIwをd−q軸モータ電流Id,Iqに変換する3相/2相変換部62と、d−q軸電流指令値Id*,Iq*からd−q軸モータ電流Id,Iqを個別に減算して各相電流偏差ΔId,ΔIqを求める減算器61d,61qと、各相電流偏差ΔId,ΔIqに対して比例積分制御を行って電圧指令値Vd,Vqを算出するフィードバック制御を実行する電流制御部63と、当該電圧指令値Vd,Vqが入力されて、3相の電圧指令値Vu,Vv,Vwが算出される2相/3相変換部64と、これら電圧指令値Vu、Vv及びVwに基づいてデューティ演算を行って、電動モータ12の駆動指令値となる各相のデューティDu、Dv及びDwを算出するデューティ演算部65とを備えている。
さらに、モータ電流制御部23は、デューティ演算部65から出力されるデューティに基づいてパルス幅変調を行ってパルス幅変調信号を求め、このパルス幅変調信号に基づいて3相モータ電流Iu、Iv及びIwを電動モータ12に出力するインバータ66を備えている。
そして、前記電流制御部63及び前記デューティ演算部65に、保護制御判定部52から出力される保護制御フラグFL1が入力される。
図5は、電流制御部63を離散化されたデジタル信号処理系で表した図である。本実施形態では、論理値“1”の保護制御フラグFL1が入力されたとき、スイッチ部63aを破線で示す状態に切り換えて、積分器の過去値を一定値(例えば“0”)にリセットするようになっている。
また、デューティ演算部65は、図6に示すように、保護制御判定部52から出力される保護制御フラグFL1に応じて、電圧指令値Vu、Vv及びVwに基づいて演算される各相のデューティDuB、DvB及びDwBと、デューティDuB、DvB及びDwBを所定値(例えば、3%)以下に制限した制限デューティDuL、DvL及びDwLとのうち一方を選択して、最終的な各相のデューティDu、Dv及びDwとして出力するデューティ演算/制限演算部65u、65v及び65wを備えている。
ここで、ディーティ演算/制限演算部65uは、電圧指令値Vuに基づいて正負のデューティDuBを演算する各相デューティ演算部65aと、この各相デューティ演算部65aで算出されたデューティDuBを所定値(例えば、3%)以下に制限するリミッタ65bとを備えている。
さらに、ディーティ演算/制限演算部65uは、テューティ比DuB及び制限デューティDuLが入力され、保護制御フラグFL1が、ステアリング機構が操舵限界に達していないことを意味する論理値“0”であるときにデューティDuBを選択し、保護制御フラグFL1が操舵限界に達していることを意味する論理値“1”であるときに制限デューティDuLを選択して、デューティDuとして出力するスイッチ部65cを備えている。また、他のデューティ演算/制限演算部65v及び65wも上記デューティ演算/制限演算部65uと同様の構成を有する。
つまり、本実施形態では、保護制御判定部52からステアリング機構が操舵限界に達していることを意味する論理値“1”の保護制御フラグFL1が出力されているとき、端当て保護制御としてデューティ演算部65でデューティを一定値以下に制限するデューティ制限制御を行うことで、電流制御部63におけるフィードバック制御を制限すると共に、このデューティ制限制御が行われている間、電流制御部63で、積分器の過去値を“0”にリセットし続けるようにしている。
端当て判定部51は、3相/2相変換部62から出力されるq軸モータ電流Iqが入力され、先ず、このq軸モータ電流Iqを微分して電流変化率Iq´を算出する。
次に、算出した電流変化率Iq´が、ステアリングギヤ8のラック軸8cがラックストロークエンドに達するか又はタイヤが縁石等に接触してこれ以上の転舵ができない操舵限界となったときに生じる通常の操舵では発生することがない大きな傾きの電流を判別する閾値ΔIth(例えば、3500A/sec)以上であるか否かを判定する。
そして、Iq´<Iqthであるときには操舵限界に達していないものと判断し、Iq´≧Iqthであるときには操舵限界に達したものと判断する。
図7は、ステアリング機構が操舵限界に到達したときのq軸モータ電流波形である。
時刻t1でラック軸8cがラックストロークエンドとなると、ラック軸8cの車幅方向の移動が停止され、これによってピニオンシャフト7、ユニバーサルジョイント6、中間シャフト5、ユニバーサルジョイント4、ステアリングシャフト2の出力軸2bを介し、さらに減速機11を介して電動モータ12の回転が停止されるので、電動モータ12に供給されるモータ電流Iu〜Iwが急増する。これによって、q軸電流Iqが通常の操舵では発生しないような大きな傾きで増加し(図7の例では4000A/sec程度)、その後過電流保護回路の動作によってモータ電流Iu〜Iwが徐々に減少されることにより、q軸電流Iqが徐々に減少する。
このため、電流変化率Iq´の閾値Iqthを所定値(例えば3500A/sec程度)に設定することにより、操舵限界を確実に検出することができる。
保護制御判定部52には、端当て判定部51の端当て判定結果が入力される。そして、端当て判定部51で、ステアリング機構が操舵限界に達していないと判定しているときには、論理値“0”の保護制御フラグFL1を出力する。一方、端当て判定部51でステアリング機構が操舵限界に達したと判定したときには、端当て保護制御を実施するものと判断して論理値“1”の保護制御フラグFL1を出力開始する。
また、本実施形態では、FL1=1の保護制御フラグを出力してから所定時間(例えば、20msec程度)が経過したときに、前記端当て保護制御を解除するものと判断して、論理値“0”の保護制御フラグFL1を出力するものとする。
このとき、上記所定時間は、操舵トルクセンサ14で検出した操舵トルクT、回転角センサ17で検出した電動モータ12の回転角θ、及びトルク指令値Irの組み合わせから算出する。
具体的には、ステアリング機構が操舵限界に達したときの中間シャフト5に伝達される伝達トルクが大きいほど、前記所定時間を長く設定する。すなわち、操舵トルクT、モータ回転角θ、トルク指令値Irが大きいほど、前記所定時間を長く設定する。
なお、図2において、操舵トルクセンサ14が操舵トルク検出手段に対応し、操舵補助トルク指令値演算部21及び指令値補償部22が電流指令値演算手段に対応し、モータ電流検出器60が電流検出手段に対応し、電流制御部63が電流制御手段に対応し、デューティ演算部65及びインバータ66がモータ制御手段に対応し、端当て判定部51及びデューティ演算部65(図6のスイッチ部65c)がフィードバック制限手段に対応し、保護制御判定部52が制限解除手段に対応している。また、図5において、電流制御部63のスイッチ部63aが電流抑制手段に対応している。
次に、第1の実施形態における動作について説明する。
今、車両の走行を開始するために、イグニッションスイッチをオン状態としたものとすると、コントローラ15に電源が投入されて操舵補助制御処理が実行開始され、操舵トルクセンサ14で検出した操舵トルクT、車速センサ16で検出した車速V、モータ電流検出器60で検出したモータ電流検出値Iu〜Iw、回転角センサ17で検出したモータ回転角θがコントローラ15に供給される。
したがって、操舵補助トルク指令値演算部21で、操舵トルクTと車速Vとに基づいて図3に示す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して操舵補助トルク指令値IM *を算出する。一方、回転角センサ17で検出したモータ回転角θが角速度演算部31に入力されてモータ角速度ωが算出され、このモータ角速度ωが角加速度演算部32に入力されてモータ角加速度αが算出される。
そして、収斂性補償部33でモータ角速度ωに基づいて収斂性補償値Icが算出され、慣性補償部34でモータ角加速度αに基づいて慣性補償値Iiが算出され、さらにSAT推定フィードバック部35でモータ角速度ω及びモータ角加速度αに基づいてセルフアライニングトルクSATが算出され、これらが加算器36及び37で加算されて指令値補償値Icomが算出され、これが加算器38で操舵補助トルク指令値IM *に加算されて補償後のトルク指令値Irが算出される。
このとき、車両が停止状態にあって、ステアリングホイール1が操舵されていない状態では、トルク指令値Irは“0”となっている。
また、電動モータ12も停止状態にあるので、モータ電流検出器60で検出したモータ電流Iu〜Iwも“0”であり、このモータ電流Iu〜Iwを3相/2相軸変換部62で変換したq軸電流Iqも“0”となるので、電流変化率Iq´も“0”となる。このため、端当て判定部51は、ステアリング機構が操舵限界に達していないものと判断し、保護制御判定部52から論理値"0"の保護制御フラグFL1を電流制御部63及びデューティ演算部65に出力される。
そのため、電流制御部63は、図5のスイッチ部63aを実線で示す状態に維持して、通常の比例積分制御を行い、デューティ演算部65は、図6のスイッチ部65cを実線で示す状態に維持して各相のデューティDuB、DvB及びDwBをそのままデューティDu、Dv及びDwとして出力する。そして、これらデューティDu、Dv及びDwに基づいて電動モータ12が駆動制御される。このとき、デューティDuB、DvB及びDwBは0%であるので、インバータ66から出力されるモータ電流Iu〜Iwも“0”となって、電動モータ12は停止状態を継続する。
この状態から車両が発進し、運転者による通常操舵が行われたものとすると、操舵補助トルク指令値演算部21で、操舵トルクセンサ14で検出される操舵トルクT及び車速センサ16で検出される車速Vに基づいた操舵補助トルク指令値IM *が算出される。そして、指令値補償部22で算出される各補償値によって操舵補助トルク指令値IM *に対する補償が行われ、補償後のトルク指令値Irが演算される。
このとき、ラック軸8cがラックストロークエンドに達していないものとすると、Iq´<Iqthであるため、保護制御判定部52はFL1=0の出力を継続し、デューティ演算部65は、各相のデューティDuB〜DwBをそのままデューティDu〜Dwとしてインバータ66に供給する。このため、インバータ66からモータ電流Iu〜Iwが出力されて電動モータ12が回転駆動される。その結果、操舵トルクT及び車速Vに応じた操舵補助トルクが発生され、これが減速機11を介してステアリングシャフト2の出力軸2bに伝達されるので、運転者の操舵負担を軽減することができる。
このような通常操舵状態からステアリングホイール1を素早く操作して、タイヤが縁石等に接触することにより、操舵限界に達したものとすると、図7に示すようにq軸電流Iqが急増し、電流変化率Iq´が閾値Iqth以上となる。したがって、この結果を受けて保護制御判定部52は、論理値"1"の保護制御フラグFL1を電流制御部63及びデューティ演算部65に出力する。
これにより、電流制御部63は、図5のスイッチ部63aを破線で示す状態に切り換えて、積分器の過去値を“0”にリセットした状態で比例積分制御を行い、デューティ演算部65は、図6のスイッチ部65cを破線で示す状態に切り換えて、リミッタ65bから出力される低デューティの制限デューティDuL〜DwLをデューティDu〜Dwとして出力する。そして、これらデューティDu〜Dwに基づいて電動モータ12が駆動制御される。
このように、デューティDu〜Dwが制限されることにより、インバータ66から出力されるモータ電流Iu〜Iwが減少されて、電動モータ12で発生する操舵補助トルクが減少し、中間シャフト5に伝達される伝達トルクのピーク値が、デューティ制限制御を行わない場合と比較して抑制されることになり、中間シャフト等のトルク伝達部材の耐久性を向上させることができる。
その後、デューティ制限制御を継続させる所定時間が経過すると、保護制御判定部52から論理値“0”の保護制御フラグFL1が出力される。これにより、電流制御部63は、図5のスイッチ部63aを実線で示す状態に戻し、積分器の過去値のリセット処理を解除して通常の比例積分制御に復帰し、デューティ演算部65は、図6のスイッチ部65cを実線で示す状態に戻し、デューティ制限制御を解除する。
このとき、デューティ制限制御中は、電流制御部63で積分器の過去値を“0”にリセットしているので、デューティ制限制御解除時には、当該積分器の過去値が“0”の状態となっている。
ところで、デューティ制限制御による端当て保護制御を行う場合、端当て保護制御が機能したとき、モータ実電流は電流制御器が意図しない動きをすることになる。そのため、本実施形態のように電流制御部63における積分器の過去値のリセット処理を行わないと、電流指令値とモータ実電流との偏差が大きくなり、その偏差を入力とする電流制御器において、積分器の過去値が不必要に大きくなってしまう。
したがって、その状態で端当て保護制御が解除して通常制御状態に復帰すると、上記積分器の大きな過去値の影響により、電流制御器から不必要に大きなデューティが出力されてモータ実電流が急変し、異音が発生したり操舵フィーリングが悪化したりするおそれがある。場合によっては、過電流が発生し、モータ駆動回路に負担をかけてしまう。
これに対して、本実施形態では、端当て保護制御が機能している間、電流制御部63で積分器の過去値を“0”にリセットし続けるので、上述したように、端当て保護制御が解除して通常制御状態に復帰した時点で電流制御器の積分器の過去値が大きくなっていることを防止することができる。
このように、上記第1の実施形態では、ステアリング機構が操舵限界に達したと判断したとき、パルス幅変調信号のデューティを制限するので、ステアリングシャフト及びステアリングギヤ間に介挿された中間シャフト等のトルク伝達部材に過大なトルクが伝達される前に電動モータで発生する操舵補助トルクを制限し、上記トルク伝達部材に伝達される衝撃力を緩和する端当て保護制御を実現することができる。
また、デューティ制限制御中に、電流制御器の積分器の過去値を一定値(例えば、0)にリセットするので、制御解除時に電流制御器の積分器の過去値が大きくなっていることを防止することができる。その結果、制御解除時に、積分器の大きな過去値の影響により電動モータの駆動電流が急変することを防止することができ、異音の発生や操舵フィーリングの悪化を防止することができる。
さらに、デューティ制限制御は、所定時間継続した後に解除するので、中間シャフト等のトルク伝達部材に発生する伝達トルクのピークを低減するに十分な時間だけデューティ制限制御を継続させて、長い時間制限制御が継続されることに起因する運転者の違和感を抑制することができる。
このとき、操舵トルク、電流指令値及びモータ回転数の少なくとも1つに基づいてデューティ制限制御の継続時間を設定するので、上記トルク伝達部材への衝撃荷重の大きさに応じた適切な継続時間を設定することができる。
次に、本発明における第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、前述した第1の実施形態において、端当て保護制御が機能している間、電流制御部63で積分器の過去値を一定値にリセットしているのに対し、端当て保護制御の解除時に、上記積分器の過去値を一定値にリセットするようにしたものである。
すなわち、図8に示すように、第2の実施形態におけるコントローラ15は、図2に示すコントローラ15において、保護制御判定部52から電流制御部63への保護制御フラグFL1の出力を削除し、保護制御判定部52の判定結果に基づいて、制御解除フラグFL2を電流制御部63に出力する制御解除判定部53を追加したことを除いては、図2と同様の構成を有する。
保護制御判定部52は、端当て判定部51でステアリング機構が操舵限界に達したと判定してから、所定時間、端当て保護制御としてデューティ制限制御を行うものとして、論理値“1”の保護制御フラグFL1をデューティ演算部65に対して出力する。
制御解除判定部53は、端当て保護制御の解除タイミング、すなわち保護制御判定部52でFL1=1からFL1=0へ切り換えるタイミングに同期して、論理値“1”の制御解除フラグFL2を電流制御部63に対して出力する。また、それ以外では論理値“0”の制御解除フラグFL2を電流制御部63に対して出力する。
図9は、第2の実施形態における電流制御部63を離散化されたデジタル信号処理系で表した図である。本実施形態では、論理値“1”の制御解除フラグFL2が入力されたとき、スイッチ部63aを破線で示す状態に切り換えて、積分器の過去値を一定値(例えば“0”)にリセットするようになっている。
このように、上記第2の実施形態では、デューティ制限制御の解除時に、電流制御器の積分器の過去値を一定値(例えば、0)にリセットするので、上述した第1の実施形態と同様に、制御解除時に電流制御器の積分器の過去値が大きくなっていることを防止し、積分器の大きな過去値の影響により電動モータの駆動電流が急変することを防止することができる。
次に、本発明における第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、前述した第2の実施形態において、端当て保護制御の解除時に、電流制御部63の積分器の過去値を一定値にリセットしているのに対し、当該過去値のリセット値を、保護制御解除時の電流指令値とデューティ制限制御後のデューティとに基づいて設定するようにしたものである。
図10は、第3の実施形態における電流制御部63を離散化されたデジタル信号処理系で表した図である。本実施形態では、論理値“1”の制御解除フラグFL2が入力されたとき、スイッチ部63aを破線で示す状態に切り換えて、積分器の過去値をリセット用過去値算出部63bで算出された値にリセットするようになっている。
リセット用過去値算出部63bでは、例えば以下のような演算により、リセット用過去値z-1を算出する。
-1={b0/(a1・b0−b1)}u−{1/(a1・b0−b1)}y ………(1)
ここで、uは電流指令値算出部61から出力される電流指令値、yはデューティ演算部65から出力されるデューティである。
このように、上記第3の実施形態では、デューティ制限制御の解除時に、電流制御器の積分器の過去値を、デューティ制限制御解除時の電流指令値とデューティ制限制御を施した後のデューティとに基づいて設定した値にリセットするので、制御解除時に電流制御器の積分器の過去値が大きくなっていることを防止することができると共に、端当て保護制御から通常制御への移行を、不連続を生じることなく行うことができる。
なお、上記各実施形態においては、端当て保護制御として、デューティを一定値以下に制限するデューティ制限制御を採用する場合について説明したが、デューティを一定値(例えば、3%)に固定するようにしてもよい。
また、このとき、インバータ66の上アーム部(又は下アーム部)を構成する3つのスイッチング素子に対するパルス幅変調信号のデューティを0%とし、下アーム部(又は上アーム部)を構成する3つのスイッチング素子に対するパルス幅変調信号のデューティを100%に固定して、電動モータ12の各コイルを短絡状態の閉回路とすることにより、電磁ブレーキモードとし、電動モータ12のロータの慣性力が中間シャフト5に伝達されないようにすることもできる。
さらに、上記各実施形態においては、端当て判定部51で、q軸電流Iqの電流変化率Iq´に基づいてステアリング機構が操舵限界に達しているか否かを判断する場合について説明したが、操舵トルク変化率、モータ角加速度、モータトルク変化率や、これらの組み合わせに基づいて操舵限界であるか否かを判断することもできる。
また、上記各実施形態においては、d軸電流Id及びq軸電流Iqとd軸目標電流Id*及びq軸目標電流Iq*との偏差に対して、電流制御部63で比例積分制御を行う場合について説明したが、電流指令値算出部61の出力側に3相/2相変換部を設けて電流指令値Iu*、Iv*及びIw*に変換し、3つの減算部で電流指令値Iu*〜Iw*とモータ電流Iu〜Iwとの偏差に対して夫々比例積分制御を行うこともできる。
さらに、上記各実施形態においては、デューティ演算部65において、各相デューティ演算部65aでデューティDuBを演算してからリミッタ65bで制限デューティDuLを算出し、これらを選択スイッチ部65cで選択する場合について説明したが、電圧指令値Vu〜Vwをリミッタで所定値に制限し、電圧指令値Vu〜Vwと制限電圧指令値VuL〜VwLとを選択スイッチ部で選択し、選択された指令値に基づいてデューティDu〜Dwを演算することもできる。
また、上記各実施形態においては、フィードバック制御を一時的に制限する機能として、端当て保護機能を用いる場合について説明したが、例えば、定格電流以上の過電流が流れたとき、フィードバック制御を一時的に制限し、更にパルス幅変調信号のデューティを制限することにより、モータ駆動回路を保護する保護機能等にも適用することができる。
なおさらに、上記各実施形態においては、電動モータとして3相ブラシレスモータを適用する場合について説明したが、ブラシモータシステムを適用することもできる。この場合、例えば、モータの逆起電力からモータ角速度ωを推定すればよい。
本発明の実施形態における電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 第1の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 操舵補助トルク指令値算出マップである。 セルフアライニングトルクの説明に供する模式図である。 第1の実施形態における電流制御部の具体的構成を示すブロック図である。 デューティ演算部の具体的構成を示すブロック図ある。 操舵限界到達時のq軸モータ電流変化を示す信号波形図である。 第2の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 第2の実施形態における電流制御部の具体的構成を示すブロック図である。 第3の実施形態における電流制御部の具体的構成を示すブロック図である。
符号の説明
SM…ステアリング機構、1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…ステアリングコラム、4,6…ユニバーサルジョイント、5…中間シャフト、8…ステアリングギヤ、10…操舵補助機構、11…減速機、12…電動モータ、14…操舵トルクセンサ、15…コントロールユニット、16…車速センサ、17…回転センサ、21…操舵補助トルク指令値演算部、22…指令値補償部、23…モータ電流制御部、51…端当て判定部、52…保護制御判定部、53…制御解除判定部

Claims (9)

  1. ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータの駆動電流を検出する電流検出手段と、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、電圧指令値を演算する電流制御手段と、前記電圧指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    所定条件が成立したとき、前記電流制御手段の前記フィードバック制御を制限するフィードバック制限手段と、該フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を解除する制限解除手段と、前記制限解除手段による制限解除時における前記電動モータの駆動電流の急変を抑制する電流抑制手段とを備え
    前記電流制御手段は、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差を積分する積分器を有し、該積分器から出力される積分値を用いて前記電圧指令値を演算するものであって、前記電流抑制手段は、前記フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を行っている間、前記積分器の過去値を零に固定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータの駆動電流を検出する電流検出手段と、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、電圧指令値を演算する電流制御手段と、前記電圧指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    所定条件が成立したとき、前記電流制御手段の前記フィードバック制御を制限するフィードバック制限手段と、該フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を解除する制限解除手段と、前記制限解除手段による制限解除時における前記電動モータの駆動電流の急変を抑制する電流抑制手段とを備え、
    前記電流制御手段は、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差を積分する積分器を有し、該積分器から出力される積分値を用いて前記電圧指令値を演算するものであって、前記電流抑制手段は、前記制限解除手段による制限解除時に、前記積分器の過去値をに設定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. ステアリング機構に入力される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて電流指令値を演算する電流指令値演算手段と、前記ステアリング機構のステアリングシャフトに与える操舵補助トルクを発生する電動モータと、該電動モータの駆動電流を検出する電流検出手段と、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差に基づいてフィードバック制御を行い、電圧指令値を演算する電流制御手段と、前記電圧指令値に基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
    所定条件が成立したとき、前記電流制御手段の前記フィードバック制御を制限するフィードバック制限手段と、該フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を解除する制限解除手段と、前記制限解除手段による制限解除時における前記電動モータの駆動電流の急変を抑制する電流抑制手段とを備え、
    前記電流制御手段は、前記電流指令値と前記駆動電流検出値との偏差を積分する積分器を有し、該積分器から出力される積分値を用いて前記電圧指令値を演算するものであって、前記電流抑制手段は、前記制限解除手段による制限解除時に、前記積分器の過去値を、当該制限解除時の前記電流指令値とフィードバック制御の制限を施した後の前記電動モータの電圧指令値とに基づいて設定することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 前記制限解除手段は、前記フィードバック制限手段によるフィードバック制御の制限を開始してから、所定時間経過後に当該制限を解除することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記所定時間は、操舵トルク、電流指令値及びモータ回転数の少なくとも1つに基づいて設定することを特徴とする請求項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記モータ制御手段は、前記電圧指令値に基づいて、前記電動モータをパルス幅変調信号によって駆動制御するものであって、前記フィードバック制限手段は、前記所定条件が成立したとき、前記パルス幅変調信号のデューティに上限を設けて当該デューティを制限することで、前記フィードバック制御を制限することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記モータ制御手段は、前記電圧指令値に基づいて、前記電動モータをパルス幅変調信号によって駆動制御するものであって、前記フィードバック制限手段は、前記所定条件が成立したとき、前記パルス幅変調信号のデューティを一定値に固定することで、前記フィードバック制御を制限することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記モータ制御手段は、前記パルス幅変調信号によって駆動されて前記電動モータに駆動電流を供給するインバータを有し、前記フィードバック制限手段は、前記所定条件が成立したとき、前記インバータの上アーム及び下アームの何れか一方を同時にオン状態として電磁ブレーキモードに制御することを特徴とする請求項に記載の電動パワーステアリング装置。
  9. 前記モータ制御手段は、前記電圧指令値に基づいて、前記電動モータをパルス幅変調信号によって駆動制御するものであって、前記フィードバック制限手段は、前記ステアリング機構が操舵限界に達したと判断したとき、前記パルス幅変調信号のデューティを、前記ステアリング機構の前記ステアリングシャフト及び転舵輪間のトルク伝達部材に伝達されるトルクを抑制するように制御することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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