JP5497327B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents
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Description
しかしながら、水系のインクジェット記録方式では、普通紙でカラー画像を出力できる電子写真記録方式に比べ、カールと呼ばれる記録物の変形現象が問題となっている。
例えば、特許文献1には、水性担体媒質、着色剤、及び糖類、糖アルコール類等のカール防止剤を含むことを特徴とする水性インク組成物が開示され、特許文献2には、低蒸気圧溶媒、水溶性染料及び水からなり、特定構造の糖が添加されてなる熱インクジェットインク組成物が開示されている。
特許文献3には、水性キャリアー媒体、着色剤、及びカルボン酸アミド等から選ばれるカール防止剤を含む水性インク組成物が開示されている。また、特許文献4には、水、染料、多価アルコール低級アルキルエーテル及びノニオン性アセチレングリコールを含み、グリセリン及び、特定の多価アルコール類から選ばれる少なくとも1種を含むインクジェット記録用インクが開示されている。
しかしながら、これらの方法では、十分な印字濃度、保存安定性、吐出安定性を損なわずに、カールを効果的に抑制することはできなかった。
特許文献6には、印字濃度、印字耐久性等の改善を課題として、着色剤を含有するポリマー微粒子の水分散体、及び特定のポリアルキレンオキシド誘導体を含有する水系インクが開示されている。
特許文献7には、印刷濃度、光沢、信頼性の向上を課題として、水には溶解せず水溶性有機溶媒に溶解可能なモノマーを構成成分として含む水不溶性ビニルポリマーと顔料と水溶性有機溶媒とを含む水系インクが開示されている。
本発明は、印字後のカール抑制、印字濃度に優れ、保存安定性、吐出性にも優れるインクジェット記録用水系インク、及びそれを用いるインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の〔1〕及び〔2〕を提供する。
〔1〕顔料、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物、並びに水を含有し、水分量が50〜65重量%であるインクジェット記録用水系インクであって、下記一般式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量が10〜30重量%である、インクジェット記録用水系インク。
R1−O−(CH2CH2O)n−H (1)
R1−O−(CH2CH2O)m−R2 (2)
(式中、R1及びR2は、炭素数2〜5の脂肪族基、又は炭素数3〜5の脂環族基を示し、n及びmは、平均付加モル数を示し、いずれも6〜9である。)
〔2〕前記〔1〕の水系インクを用いて、普通紙に1パスで印字するインクジェット記録方法であって、普通紙の単位面積当たりに吐出される水系インク中の水の含有量が0.2〜1.0mg/cm2である、インクジェット記録方法。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、顔料、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物、並びに水を含有し、水分量が50〜65重量%であるインクジェット記録用水系インクであって、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物の合計含有量が10〜30重量%であることを特徴とする。
R1−O−(CH2CH2O)n−H (1)
R1−O−(CH2CH2O)m−R2 (2)
(式中、R1及びR2は、炭素数2〜5の脂肪族基、又は炭素数3〜5の脂環族基を示し、n及びmは、平均付加モル数を示し、いずれも6〜9である。)
本発明においては、一般式(1)及び(2)で表される化合物によってカールが抑制される理由は明確ではないが、以下のように考えられる。
カールはインク中の水分によって紙中のパルプ繊維の水素結合が切断され、次いで水分の乾燥とともに水素結合の切断前とは異なる状態で再結合するために起こると考えられている。また、該パルプ繊維は、ミクロフィブリルと呼ばれる繊維状のセルロースの束が水素結合で集まって形成されている。
ここで、一般式(1)及び(2)で表される化合物は、構造中のエチレンオキシド鎖がミクロフィブリルの間に水とともに入り込み、ミクロフィブリル内及び表面の親水性部分とエチレンオキシド鎖が水素結合を形成する。その後、水が蒸発していくが、ミクロフィブリルの水素結合性基が、一般式(1)及び(2)で表される化合物で被覆され、脂肪族基又は脂環族基が水素結合を阻害することで、再結合が抑制され、カールも抑制されると考えられる。
R1及びR2の具体例としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−、t−、iso−を含む各種ブチル基、各種ペンチル基等の1価の炭素数2〜5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、ピロリジン基等の1価の炭素数3〜5の脂環族基が挙げられる。これらの中でも、カール抑制と印字濃度の観点から、R1及びR2は、好ましくは炭素数2〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又は脂環族基であり、より好ましくは炭素数2〜3のアルキル基であり、更に好ましくはプロピル基であり、特にイソプロピル基が好ましく、R1とR2とは同一の構造であることがより好ましい。
n、mが6以上であると、ミクロフィブリル表面及び内部の水酸基へのなじみが優れ、水素結合性基が十分に被覆され、水分が蒸発しても被覆し続けることができるため、カール抑制効果に優れると考えられる。また印字濃度も向上する。一方、n及びmが9以下であれば、吐出性、及び脱泡性に優れるが、これはインクが発泡しにくく、消泡しやすくなるためと考えられる。
水系インク中、一般式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量は、カール抑制、保存安定性、吐出性及び脱泡性の観点から10〜30重量%であり、好ましくは16〜25重量%であり、更に好ましくは20〜25重量%である。該合計含有量が10重量%以上であれば、カール抑制効果及び保存安定性に優れ、30重量%以下であれば、吐出安定性に優れる。
水系インク中、水の含有量に対する一般式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量の重量比〔一般式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量/水の含有量〕は、カール抑制、保存安定性、吐出安定性、及び脱泡性の観点から、好ましくは0.16〜0.60、より好ましくは0.20〜0.50、更に好ましくは0.25〜0.45である。
本発明の水系インク中、水の含有量は、カール抑制、保存安定性、印字濃度、吐出性、脱泡性の観点から、50〜65重量%であり、50〜60重量%が好ましく、55〜60重量%がより好ましい。水の含有量が50%以上であると保存安定性、印字濃度、吐出性に優れ、65重量%以下であるとカール抑制に優れ、脱泡性も良好となる。
本発明の水系インクには、一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物以外の水溶性有機溶媒を含有してもよい。
該水溶性有機溶媒としては、水100gに対する溶解量が、25℃において50g以上であることが好ましく、60g以上であることがより好ましく、飽和蒸気圧(20℃)が0.001〜1kPaであることが好ましい。
該水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される、好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜6の多価アルコール類; エチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル、ジエチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル、トリエチレングリコールモノアルキル(炭素数1〜6)エーテル等に代表される多価アルコール(炭素数2〜6)の低級アルキル(炭素数1〜6)エーテル類;2−ピロリドン、N−メチルー2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類;スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物;ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が用いられる。
これらの中では、保湿性、ドットの濡れ広がりの観点から、多価アルコール類、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、及び複素環類からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、保湿性の観点でグリセリン、2−ピロリドン、ドットの濡れ広がりの観点でトリエチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオールが更に好ましい。
本発明の水系インク中、水溶性有機溶媒の含有量は、上記の観点から、1〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。
本発明の水系インクには、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルフォン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、高級アルコールのリン酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤(具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等)、脂肪酸塩類、高級アルコールのエステル塩類や高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物等のノニオン界面活性剤(具体的には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、Air Products and Chemicals Inc.製のサーフィノール104、同440、同465、同TG、もしくは日信化学工業株式会社製のオルフィンE1010等)等を用いることができる。
該界面活性剤は、各々インク中に0.01〜10質量%含有することが好ましく、印字した文字の滲み、紙裏面への画像の写り込みを起こさない0.1〜5質量%の範囲であることがより好ましい。
(防腐・防かび剤)
本発明においては防腐・防かび剤を使用することもできる。その好適例としてはナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、2−フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等が挙げられ、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩(アビシア社製、商品名:プロキセル)が好ましい。これらは各々インク中に0.001〜3質量%含有することが好ましく、0.01〜1.00質量%含有することがより好ましい。
本発明の水系インクには、酸化防止剤を含有させることがより好ましい。酸化防止剤を含有させることで、水系インクが輸送等で高温にさらされた際にも、インク物性の変化を抑制することができる。酸化防止剤により保存性が向上する理由は定かではないが、酸化防止剤を添加することで、インク中の一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物のエチレンオキシド鎖が切断され、酸が発生することを抑制することができるため、インクの熱履歴によるpH変動が抑制され、保存安定性が向上すると考えられる。
また、酸化防止剤を添加することで、カール特性の経時的な変化を抑制することができる。酸化防止剤によりカール特性の経時変化が向上する理由は定かではないが、以下のように考えられる。インク中の一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物が普通紙に印字されて大気中にさらされた場合に、酸化防止剤が近傍に存在することで、記録物中の一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物のエチレンオキシド鎖が切断されて酸が発生することを抑制することができる。これにより、記録物中の一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物が酸化されて生じる酸が、新たな水素結合を形成することを抑制することができると考えられる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、耐候性及び水分散体の安定性の点から、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)及びテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が好ましい。
硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト及びトリノニルフェニルフォスファイト等が好ましい。
その他の酸化防止剤としては、アスコルビン酸又はそのアルカリ金属塩、ジブチルヒドロキシトルエンやブチルヒドロキシアニソール等の立体障害フェノール化合物、クエン酸イソプロピル、dl−α−トコフェロール、ノルジヒドログアイアレチン酸、没食子酸プロピル等が挙げられる。
上記の酸化防止剤の中では、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸又はその塩が好ましく、2,6−ジ―tert―ブチル−p−クレゾール(BHT)、アスコルビン酸が特に好ましい。
インク中、酸化防止剤の含有量は、0.01〜1重量%が好ましく、0.05〜0.5重量%がより好ましい。
また、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチレート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の紫外線吸収剤)、光安定化剤(ヒンダードアミン系光安定化剤等)、オゾン劣化防止剤(キノリン系、フェニレンジアミン系等のオゾン劣化防止剤)等を添加することもできる。
上記の水溶性有機溶媒、界面活性剤、防腐・防かび剤、酸化防止剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の水系インクは、保存安定性、吐出性、及び裏面映り込み抑制の観点から、色材として顔料を含有する。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
顔料は、分散安定性の観点から、顔料誘導体を含んでいてもよい。顔料誘導体は、極性基を有し、有機顔料の表面処理剤としての機能を有し、顔料の分散を促進するために用いられる。極性基としては、スルホン酸基、カルボキシ基、リン酸基、スルフィン酸基、アミノ基、アミド基及びイミド基等が挙げられる。
本発明で用いる顔料は、印字濃度、吐出性の観点から、自己分散型顔料であることが好ましい。自己分散型顔料とは、親水性官能基(アニオン性親水基又はカチオン性親水基)の1種以上を直接又は他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。ここで、「分散可能」とは、水中に濃度10%となるように分散させた状態が、25℃で1ケ月間保存後も安定に存在することを目視で確認できることを意味する。
ここで、他の原子団としては、炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数1〜12のアルカンジイル基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフチレン基が挙げられる。なお、親水性官能基は、本発明の目的を阻害しない限り複数存在していてもよく、それらは同一でも異なっていてもよい。
上記化学式中、M1は、同一でも異なってもよく、水素原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属;アンモニウム;モノメチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基;モノエチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基;モノメタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基等の有機アンモニウムである。
R10は、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基である。
一方、カチオン性親水基としては、アンモニウム基、アミノ基等が挙げられる。これらの中でも第4級アンモニウム基が好ましい。
これらの親水性官能基の中では、インク中の他の配合物との混合性の観点からアニオン性親水基が好ましく、吐出信頼性を向上させる観点から、特にカルボキシ基(−COOM1)、スルホン酸基(−SO3M1)が好ましい。
顔料を自己分散型顔料とするには、上記の親水性官能基の必要量を、顔料表面に化学結合させればよい。そのような方法としては、任意の公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第5571311号明細書、同第5630868号明細書、同第5707432号明細書、J.E.Johnson, Imaging Science and Technology's 50th Annual Coference (1997)、Yuan Yu, Imaging Science and Technology's 53th Annual Conference (2000)、ポリファイル,1248(1996)等に記載されている方法が挙げられる。
より具体的には、硝酸、硫酸、過硫酸、ペルオキソ二硫酸、次亜塩素酸、クロム酸のような酸化性を有する酸類及びそれらの塩等あるいは過酸化水素、窒素酸化物、オゾン等の酸化剤によってカルボキシ基を導入する方法、過硫酸化合物の熱分解によってスルホン基を導入する方法、カルボキシ基、スルホン基、アミノ基等を有するジアゾニウム塩化合物によって上記の親水性官能基を導入する方法等があるが、これらの中では、印字濃度の観点から前記酸化性を有する酸類による液相酸化の方法が好ましい。
アニオン性親水基の量は、京都電子工業株式会社製、電位差自動滴定装置、AT−610を用いて測定することができる。具体的には、自己分散型顔料の水分散体に、過剰量の0.01N−NaOHを添加した後、0.01N−HClで中和して、過剰アルカリが中和される中和点(変曲点1)を起点として、続いて起こる中和変曲点の中で最も酸性よりの中和点(最終変曲点2)を終点としたときの、最終変曲点2−変曲点1の間の0.01N−HClの使用量から求めることができる。カチオン性親水基の量は、アニオン性親水性官能基とは逆に、過剰量の0.01N−HClを添加した後、0.01N−NaOHで同様に中和することで求めることができる。
水系インク中、自己分散型顔料の平均粒径は、水系インクの安定性の観点から、50〜300nmが好ましく、60〜200nmがより好ましい。なお、平均粒径の測定は、後述する方法による。
アニオン性自己分散型顔料(カーボンブラック)の市販品としては、CAB−O−JET 200、同300(キャボット社製)やBONJET CW−1、同CW−2(オリヱント化学工業株式会社製)、東海カーボン株式会社のAqua−Black 162(カルボキシル基として約800μmol/g)等が挙げられる。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
本発明の水系インクに用いられる顔料は、下記(1)〜(3)のいずれかの形態であることが好ましい。
(1)顔料を界面活性剤、顔料誘導体又は水溶性ポリマーでインク中に分散させた形態。
(2)自己分散型顔料。
(3)顔料がポリマー粒子に含有されてなる、顔料を含有するポリマー粒子の形態。
上記(1)の形態に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられ、顔料誘導体としては、イオン性官能基又はイオン性官能基の塩を有する、アゾ誘導体、ジアゾ誘導体、フタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、イソインドリノン誘導体、ジオキサジン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、チオインジゴ誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体等が挙げられる。
水溶性ポリマーは、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10gを越えるもの、好ましくは20g以上、更に好ましくは30g以上であるポリマーである。上記溶解量は、水溶性ポリマーがカルボキシ基、アンモニウム基等の塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の最大溶解量をいう。
上記水溶性ポリマーは、分散性の観点から、その重量平均分子量が2,000〜50,000であることが好ましい。なお、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイドを溶解したジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
上記(3)の形態に用いられる、顔料がポリマー粒子に含有されてなる、顔料を含有するポリマー粒子としては、後述のものが挙げられる。
これらの中でも、本発明に用いられる水系インクとしては、カール抑制効果、優れた吐出性の観点から、上記(2)及び(3)の形態であることがより好ましく、カール抑制効果、保存安定性、マーカー耐性、耐水性等の観点から、上記(3)の形態であることが更に好ましい。
水溶性ポリマーや界面活性剤で顔料を分散させた場合、顔料と共に紙の中に浸透した水溶性ポリマーや界面活性剤が紙のパルプ繊維の中で広がる。水溶性ポリマーや界面活性剤が有するカルボキシ基等の親水性官能基とミクロフィブリルの水素結合性基とで新たな水素結合を生じるため、カール抑制効果が低くなると考えられる。
本発明の水系インクは、カール抑制効果、保存安定性、吐出性、耐水性の観点から、顔料を含有するポリマー粒子を含有することが好ましい。
顔料を含有するポリマー粒子に用いられるポリマーとしては、カール抑制の観点から、水不溶性ポリマーが好ましい。ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマー固形分換算100gを105℃で2時間乾燥させ、恒量に達した後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の最大溶解量である。
用いるポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられるが、保存安定性の観点から、ビニル単量体(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られるビニル系ポリマーが好ましい。
ビニルポリマーとしては、(a)塩生成基含有モノマー(以下「(a)成分」ともいう)と、(b)マクロマー(以下「(b)成分」ともいう)及び/又は(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ともいう)とを含むモノマー混合物(以下、単に「モノマー混合物」ともいう)を共重合させてなるビニルポリマーが好ましい。このビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位と、(b)成分由来の構成単位及び/又は(c)成分由来の構成単位を有する。より好適なビニルポリマーは、(a)成分由来の構成単位、又は(a)及び(c)成分由来の構成単位を主鎖として有し、(b)成分由来の構成単位を側鎖として有する水不溶性ビニル系グラフトポリマーである。
(a)塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の保存安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
塩生成基含有モノマーとしては、特開平9−286939号公報段落〔0022〕等に記載されているカチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、アミン含有モノマー、アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N'−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、カルボキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、保存安定性、吐出安定性の観点から、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
(b)マクロマーは、顔料を含有するポリマー粒子の保存安定性及びカール抑制効果を高める観点から用いられる。マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが好ましく挙げられる。なお、(b)マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーの中では、顔料を含有するポリマー粒子の保存安定性等の観点から、片末端に重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー、芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー、及びシリコーン系マクロマーからなる郡から選ばれる1種以上が好ましい。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
また、それらのマクロマーの片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、共重合される他のモノマーとしては、アクリロニトリル等が好ましい。
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、顔料との親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
CH2=C(CH3)-COOC3H6-〔Si(CH3)2O〕t-Si(CH3)3 (3)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(b)成分として商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
(c)疎水性モノマーは、印字濃度の向上の観点から用いられる。疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの基が存在しない場合には、ノルマルを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はそれらの両方を示す。
(c)成分の中では、印字濃度向上の観点から、スチレン系モノマー(c−1成分)が好ましく、スチレン系モノマーとしては特にスチレン及び2−メチルスチレンが好ましい。(c)成分中の(c−1)成分の含有量は、印字濃度向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレート(c−2)成分としては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましい。(c)成分中の(c−2)成分の含有量は、印字濃度及び保存安定性の向上の観点から、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは20〜80重量%である。また、(c−1)成分と(c−2)成分を併用することも好ましい。
モノマー混合物には、更に、(d)水酸基含有モノマー(以下「(d)成分」ともいう)が含有されていてもよい。(d)水酸基含有モノマーは、保存安定性を高めるという優れた効果を発現させるものである。
(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
モノマー混合物には、更に、(e)下記式(4)で表されるモノマー(以下「(e)成分」ともいう)が含有されていることが好ましい。
CH2=C(R3COO(R4O)qR5 (4)
(式中、R3は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R4は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R5は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基又は炭素数1〜9のアルキル基を有してもよいフェニル基、qは、平均付加モル数を示し、1〜60、好ましくは1〜30である。)
(e)成分は、吐出性を向上するという優れた効果を発現するばかりか、本発明の一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物と併用することで、記録物の印字濃度を上げることができる。
式(4)のモノマーに含まれるヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。
R3の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられる。
R4O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
R 5 の好適例としては、炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20、更に好ましくは炭素数1〜8の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基、炭素数1〜8のアルキル基を有していてもよいフェニル基が好ましく挙げられる。
上記(a)〜(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(a)成分の含有量は、得られるインクの保存安定性の観点から、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは4〜30重量%、特に好ましくは5〜25重量%である。
(b)成分の含有量は、特に顔料との相互作用を高め、カール抑制効果と保存安定性を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、得られるインクの印字濃度向上の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、得られるインクの保存安定性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜20重量%である。
(e)成分の含有量は、得られるインクの吐出性及び印字濃度向上の観点から、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られるインクの保存安定性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%である。〔(a)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られるインクの保存安定性及び吐出性の観点から、好ましくは6〜75重量%、より好ましくは13〜50重量%である。また、〔(a)成分+(d)成分+(e)成分〕の合計含有量は、得られるインクの保存安定性及び吐出性の観点から、好ましくは6〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、得られるインクの分散安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.67、更に好ましくは0.03〜0.50である。
前記ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
本発明で用いられるポリマーは、(a)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリブチルアミン等の塩基が挙げられる。
ポリマーを架橋させる場合は、架橋前のポリマーの塩生成基の中和度は、保存安定性と架橋効率の観点から、10〜90%であることが好ましく、20〜80%であることがより好ましく、30〜80%であることが更に好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価(HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。又は、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
本発明における架橋剤としては、インクの保存安定性及びカール抑制の効果の観点から、ポリマーの表層部を架橋するため、分子中に2以上の反応性官能基を有する化合物が好ましく用いられる。架橋剤の分子量は、反応のし易さ、及び得られる架橋ポリマー粒子の保存安定性の観点から、120〜2000が好ましく、150〜1500がより好ましく、150〜1000が更に好ましい。
架橋するとインクの保存安定性及びカール抑制に優れるのは、水系インク中、前記一般式(1)及び/又は(2)で示される化合物の存在下、顔料を含有するポリマー粒子中のポリマーが顔料粒子から拡散し、ポリマーが有するカルボキシ基等の親水性官能基とミクロフィブリルの水素結合性基とで新たな水素結合を生じるのを抑制するためと考えられる。
架橋剤に含まれる反応性官能基の数は、分子量を制御して保存安定性を向上する観点から、2〜6が好ましい。反応性官能基としては、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、アミノ基、カルボキシ基、オキサゾリン基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1以上が好ましく挙げられる。
架橋剤は、効率よく、ポリマー、特に水不溶性ポリマーを表面架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下である。
(a)分子中に2以上の水酸基を有する化合物:例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングルコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルアルコール、ジエタノールアミン、トリジエタノールアミン、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニタン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール。
(b)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物:例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテル。
(c)分子中に2以上のアルデヒド基を有する化合物:例えば、グルタールアルデヒド、グリオキザール等のポリアルデヒド。
(d)分子中に2以上のアミノ基を有する化合物:例えば、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン等のポリアミン。
(f)分子中に2以上のオキサゾリン基を有する化合物:例えば、脂肪族基又は芳香族基に2個以上、好ましくは2〜3個のオキサゾリン基が結合した化合物、より具体的には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、1,3−フェニレンビスオキサゾリン、1,3−ベンゾビスオキサゾリン等のビスオキサゾリン化合物、該化合物と多塩基性カルボン酸とを反応させて得られる末端オキサゾリン基を有する化合物。
(g)分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物:例えば、有機ポリイソシアネート又はイソシアネート基末端プレポリマー。
有機ポリイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート;芳香族トリイソシアネート;それらのウレタン変性体等の変性体が挙げられる。イソシアネート基末端プレポリマーは、有機ポリイソシアネート又はその変性体と低分子量ポリオール等とを反応させることにより得ることができる。
これらの中では、(b)分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物が好ましく、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルがより好ましい。
ポリマーの反応性基がカルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、ホスホン酸基、リン酸基等のアニオン性基の場合は、架橋剤は前記(a)、(b)、(d)、(f)及び(g)化合物が好ましい。ポリマーの反応性基がアミノ基の場合は、架橋剤は前記(b)、(c)、(e)及び(g)化合物が好ましい。ポリマーの反応性基が水酸基の場合は、架橋剤は前記(c)、(e)及び(g)化合物が好ましい。ポリマーの反応性基がイソシアネート基、エポキシ基の場合は、架橋剤は前記(a)、(d)及び(e)化合物が好ましい。
上記の組合せの中では、ポリマーに適度な架橋構造を付与するように制御する観点から、架橋剤が、ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有することが好ましく、(b)分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物との組合せがより好ましい。
架橋剤と反応しうる反応性基として、アニオン性基、アミノ基等の塩生成基を有するポリマーとしては、前述の塩生成基含有モノマーを共重合したポリマーを用いることができる。また、架橋剤と反応しうる反応性基として水酸基を有するポリマーとしては、前述の水酸基含有モノマーを共重合したポリマーを用いることができる。
架橋剤と反応しうる反応性基としてエポキシ基を有するポリマーとしては、エポキシ基を有するモノマー、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを共重合したポリマーを用いることができる。架橋剤と反応しうる反応性基としてイソシアネート基を有するポリマーとしては、(i)イソシアネート基を有するモノマー、例えばイソシアネートエチル(メタ)アクリレートを共重合したポリマー、(ii)不飽和ポリエステルポリ
オールとイソシアネートから得られるイソシアネート末端プレポリマーを共重合したポリマー等を用いることができる。
本発明の水系インクは、前記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる化合物を含有すること、及び水の量が限定されており水溶性有機溶媒を含有することから、顔料を含有するポリマー粒子中の該ポリマーを架橋剤で架橋して得られるもの、すなわち、顔料を含有する架橋ポリマー粒子(以下、「顔料含有架橋ポリマー粒子」ともいう)を用いることが、保存安定性及びカール抑制効果の観点から好ましい。
塩基で中和されたアニオン性基の具体例としては、カルボキシイオン(−COOM1)、スルホン酸イオン(-SO3M1)、リン酸イオン(−PO3M1 2)等が挙げられる。
上記化学式中、M1は、段落〔0023〕に記載のとおりである。
塩基としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ水酸化物、アルカリ土類水酸化物、アミン、トリエタノールアミン等の有機アミン、塩基性アミノ酸等である。
塩基で中和されたアニオン性基は、解離して、アニオンのイオン同士の電荷反発により、顔料含有架橋ポリマー粒子の安定性に寄与すると考えられる。
塩基で中和されたアニオン性基の量が多すぎると、ポリマーが有するカルボキシ基等の親水性官能基とミクロフィブリルの水素結合性基とで新たな水素結合を生じ易くなり、カール抑制の点から好ましくない。
塩基で中和されたアニオン性基の量は、顔料含有架橋ポリマー粒子同士の電荷反発により、前記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる化合物の存在下、保存安定性及びカール抑制効果を向上させる観点から、該架橋ポリマー1g当たり、好ましくは0.5mmol以上、より好ましくは0.5〜5mmol、より好ましくは0.7〜3mmol、より好ましくは0.7〜2mmol、更に好ましくは0.7〜1.5mmol、更に好ましくは1.0〜1.5mmolである。上記範囲内であれば、顔料濃度が高く、水分量が少ない水系インクにおいても保存安定性が高く、カールも抑制される。
前記工程I及び工程IIによる製造方法は、例えば、次の工程(1)〜(3)により行うことができる。
工程(1):ポリマー、有機溶媒、顔料、水、及び必要に応じて中和剤を含有する混合物を分散処理して、顔料を含有するポリマー粒子の分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料を含有するポリマー粒子の水分散体を得る工程
工程(3):工程(2)で得られた顔料を含有するポリマー粒子のポリマーを架橋剤で架橋させて、顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得る工程
前記ポリマーと顔料との合計量に対する顔料量の重量比〔顔料/(ポリマー+顔料)〕は、保存安定性の観点から、55/100〜90/100であることが好ましく、70/100〜85/100であることがより好ましい。
ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましい。中和剤を用いて中和する場合の中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては、前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶媒及びジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒が挙げられる。好ましくは、水100gに対する溶解量が20℃において、好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上であり、より具体的には、好ましくは5〜80g、更に好ましくは10〜50gのものであり、特に、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンが好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄工株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
また、必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。この操作により、インクとしての保存性が向上する場合がある。保存性向上の理由は定かでないが、分散体中のポリマーがより強固に顔料に吸着するためであると考えられる。
得られた顔料を含有するポリマー粒子の水分散体は、顔料を含有するポリマーの固体分が水を主媒体とする中に分散しているものである。ここで、ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料とポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、ポリマーに顔料が内包された粒子形態、ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、ポリマー粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれる。
工程(3)では、用いる架橋剤により、触媒、溶媒、温度、時間を適宜選択することができる。架橋反応の時間は、好ましくは0.5〜10時間、更に好ましくは1〜5時間、架橋反応の温度は、好ましくは40〜95℃である。
架橋剤(分子中に2以上の反応性官能基を有する化合物)の使用量は、保存安定性及びカール抑制の観点から、〔架橋剤/ポリマー〕の重量比で0.3/100〜50/100が好ましく、0.3/100〜35/100がより好ましく、2/100〜30/100がより好ましく、5/100〜25/100が更に好ましく、5/100〜20/100が更に好ましい。
前記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物の存在下、架橋ポリマー粒子の保存安定性及びカール抑制を向上させる観点から、架橋剤が、ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有し、架橋剤の使用量が、該ポリマー1g当たりのアニオン性基量換算で、該ポリマーのアニオン性基0.1〜3mmolと反応する量であることが好ましく、0.4〜2.5mmolと反応する量であることがより好ましく、0.7〜2.5mmolと反応する量であることがより好ましく、0.7〜2.0mmolと反応する量であることが更に好ましく、0.7〜1.5mmolと反応する量であることが更に好ましい。また、(架橋剤のモル数×架橋剤1分子が有する架橋に寄与する反応性官能基の数)は、上記の観点から、該ポリマー1gあたり、好ましくは0.1〜3mmol、より好ましくは0.4〜2.5mmol、より好ましくは0.7〜2.5mmol、更に好ましくは0.7〜2.0mmol、更に好ましくは0.7〜1.5mmolである。
また、ポリマーの架橋工程としては、工程(1)で得られた顔料を含有するポリマー粒子の分散体と架橋剤とを混合して行うこともできる。この場合は、該架橋工程で得られた架橋ポリマー粒子の水分散体から、有機溶媒を除去する工程を前記工程(2)と同様に行うことにより、顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体を得ることができる。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数×100/ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数] (5)
式(5)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤の重量を反応性基の当量で除した値である。即ち、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
架橋ポリマーと顔料との合計量に対する顔料量の重量比〔顔料/(架橋ポリマー+顔料)〕は、保存安定性の観点から、55/100〜90/100であることが好ましく、70/100〜85/100であることがより好ましい。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、顔料、一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物、水を含有するが、更にインクジェット記録用水系インクに通常用いられる親水性有機溶媒、湿潤剤、浸透剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防黴剤、防錆剤等を添加して調製することができる。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、良好な吐出性を維持するために、インク粘度(20℃)として2〜20mPa・sが好ましく、5〜15mPa・sがより好ましい。なお、水系インクの粘度の測定は、実施例記載の方法で行う。
本発明の水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水系インクとしては、好ましくは20〜50mN/m、より好ましくは27〜45mN/mである。また、水系インクのpHは4〜12が好ましく、より好ましくは5〜11である。
水系インク中の顔料を含有するポリマー粒子、及び/又は顔料含有架橋ポリマー粒子の含有量は、印字濃度と保存安定性の観点から、3〜30重量%が好ましく、4〜30重量%がより好ましく、6〜25重量%がより好ましく、8〜20重量%が更に好ましく、10〜15重量%が特に好ましい。
また、顔料を含有するポリマー粒子、及び/又は顔料含有架橋ポリマー粒子の平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び保存安定性の観点から、好ましくは10〜500nm、より好ましくは30〜300nm、特に好ましくは50〜200nmである。なお、平均粒径の測定は、レーザー粒子解析システム(大塚電子株式会社製、ELS−8000)を用い、フィルターを3%としたときのコリレータ感度が8000〜13000になるようにイオン交換水でインクを希釈し、インク中の顔料を含有するポリマー粒子の平均粒径を測定した。測定条件は、温度が25℃、入射光と検出器との角度が90°、積算回数が200回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の水系インクを用いて、普通紙に1パスで印字する方法であって、普通紙の単位面積当たりに吐出される水系インク中の水の含有量が0.2〜1.0mg/cm2であることを特徴とする。本発明のインクジェット記録方法によれば、カール抑制効果が高く、かつ印字濃度に優れた印字物を得ることができる。
「1パスで印字する」とは、ラインヘッドの場合、インクジェットヘッドのスキャン(走査)方向と印字対象物の送り方向を同一の方向にして一度のスキャンで画像を形成すること、またシリアルヘッドの場合、インクジェットヘッドを双方向にスキャンさせ、印字対象をインクジェットヘッドのスキャン方向と垂直の方向に送りながら、かつ着弾させたインク上にインクを実質的に再度着弾させることなく(重ねることなく)、画像を形成することをいう。
1パスで印字すると、単位面積当たりに、インクジェットのノズルから射出される滴数が減少する。従って、数パスで印字するのに比較して1滴1滴が大きくなり、大きなドット1滴は、小さなドット数滴と比較して、単位面積当たりのインク量がばらつくため、印刷紙上のある微小部分では、インク量が多く、浸透し易くなる部分が存在する。本発明の水系インクは、カール抑制効果を有するため、1パスでの印刷方法に適している。
また、普通紙の単位面積当たりに吐出される水系インク中の水の含有量は、目詰まりと印字濃度を満足させつつ、印字後に普通紙の裏面に画像が映り込むのを抑制し、かつ印字後の普通紙のカールを抑制する観点から、好ましくは0.2〜1.0mg/cm2であり、より好ましくは0.4〜0.8mg/cm2である。
印字される色は、シアン、マゼンタ、イエロー、グリーン、レッド、オレンジ、ブラック、グレー等の単色だけでなく、それらを印字紙上で混色した2次色、もしくは3次色等の多次色であってもよい。
本発明の水系インクを適用しうるインクジェット記録装置は制限されないが、特にサーマル及びピエゾ方式のオンデマンドインクジェットプリンターに好適である。また、高速印字が可能なプリンターに適しており、例えば3〜150枚/分、好ましくは5〜100枚/分、より好ましくは10〜100枚/分の印字速度で印刷しうるプリンターに好適に使用することができる。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。使用カラム:東ソー株式会社製(TSK-GEL、α-M×2本)、本体:東ソー株式会社製(HLC−8120GPC)、流速:1mL/minを用いた。
(2)インク粘度の測定
E型粘度計(東機産業株式会社製)を用い、標準ローター(1°34′×R24)を使用し、測定温度20℃、測定時間1分、回転数20〜100rpmのうち、該インクで装置が許容する最高回転数の条件で測定した。
容量100mlのガラス製のスクリュー管2に、インク50gと攪拌子3を入れ、図1に示す脱気槽1に入れた後、0.02MPa以下に減圧し、マグネチックスターラー4を用いて、120rpmで10分間撹拌した。攪拌を止めた後、インク内に溶解していた空気が排出されたものである、泡6が減少していく様子を観察した。攪拌を止めてから、インク表面に残存する泡6が残り3つになるまでの時間を計測した。
時間が短いほど、インクの生産性が向上するため良好であり、吐出性能も良好となる。
(4)吐出性(目詰まり性)の評価
脱泡性評価後のインクを、シリコンチューブを介してインクジェットプリンター(エプソン株式会社製、型番:EM−930C)のブラックのインクジェットヘッド上部のインク注入口に充填する。ブラックヘッドの全ノズルが吐出するまでクリーニングとノズルチェックを繰り返した。次いで、25℃、湿度55%の環境において、インクジェットヘッドをヘッドのキャップ位置から装置の中央まで移動させ、ブラックヘッドが外気にさらされる状態にして1分間放置した。次いでノズルチェックを行い、ノズル欠本数を評価した。上記を5回繰り返し、平均値を求め、小数点以下は四捨五入した。
ノズル欠本数が小さいほど、吐出性が良好である。
脱泡性評価後のインクを、シリコンチューブを介して前記インクジェットプリンター(EM−930C)のブラックヘッド上部のインク注入口に充填した。次いで、プリンターのユーティリティからクリーニング操作を3回行った。ブラックヘッドの全ノズルで吐出可能となった状態から、市販の普通紙(上質普通紙、XEROX株式会社製、商品名:XEROX 4200)に横204mm×縦275の大きさにフォトショップ上でRGBを0として作成した黒ベタ画像を印字し〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ブラック、ファイン(1パス)、双方向〕、インクが入ったスクリュー管の重量変化でインクの吐出量を測定した。測定は5回行い、平均値を求めた。得られた平均値を、各インクの粘度で除し、各インクの吐出係数Knとした。比較インク1で得られた吐出係数KH7に対する各インクの吐出係数の割合を百分率で計算し、吐出率Jnとした。
吐出率Jnが高いことは、E型粘度計における粘度(低剪断時の粘度)が高くても、インクジェットノズルから吐出される際の粘度(高剪断時の粘度)が低くなることを示しており、同一の粘度のインクで、同一のインクジェットヘッドの吐出エネルギーが加えられた際、より多くのインクが吐出されていることになり、環境の変化やヘッドノズル間の吐出性能ばらつき等による吐出不良の発生を抑制することができる。
吐出率が高いほど、吐出安定性が良好である。
前記インクジェットプリンター(EM−930C)を用いて、ブラックの全ノズルで吐出可能となった状態から、前記普通紙(XEROX4200)に横204mm×縦275の大きさに、吐出量を調整して、ブラック、又はグレー画像を印字した〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ブラック、ファイン(1パス)、双方向〕。
前記ブラック、又はグレー画像は、一つの画像において画像濃度が均一であるものを用いた。吐出量の調整はフォトショップ上で画像のDutyを変えて、全ノズル吐出ではブラックを、吐出量を減らすためにはDutyを下げたグレー画像を印字した。吐出量は、インクが入ったスクリュー管の重量変化で測定しながら、Dutyを変化させて印字を繰り返し、実際の打ち込み量の平均が0.80±0.01mg/cm2となるようにDutyを調整した。印字所要時間は1枚あたり9秒であった。
印字は5回行い、印字後すぐにアズワン株式会社製、アルミパンラック上に印字面を上にして平面状に静置した。25℃湿度55%で1ヶ月放置後、反り返った4隅の高さを定規で測定し、合計20点のカール高さの平均値を記録した。
カール高さが小さいほど、カール抑制効果が高く、良好である。
前記吐出率評価と同様の方法で得られた5枚のベタ印字記録物を25℃、湿度55%で24時間放置後、表側(印字面)の印字濃度を、マクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914)を用いて測定した(測定条件:観測光源D65、観測視野2度、濃度基準DIN16536、白色基準を紙の濃度Paper、基準となる紙の濃度は印字していない前記普通紙(XEROX4200)の表面、フィルター無し)。出力されるブラック、シアン、イエロー、マゼンタの色濃度のうちインクの色に対応する色の数値を印字濃度とした。測定は、双方向印字の往路において印字された部分から5点、復路において印字された部分から5点をランダムに選び、合計10点の平均値を求めた。
印字濃度が高いほど、良好である。
(8)保存安定性(粘度の変化率)の評価
インクの初期粘度及び70℃で1週間静置した後の粘度を、E型粘度計(東機産業株式会社製)を用い、標準ローター(1°34′×R24)を使用し、温度20℃、時間1分、回転数20〜100rpmのうち、装置が許容する最高回転数の条件で測定した。粘度の変化率を、[1週間静置後の粘度(mPa・s)]×100/[初期粘度(mPa・s)]の値として求めた。粘度の変化率が100%に近いほど、保存安定性が良好である。
(9)カール抑制効果2(保存インクのカール高さ)の評価
保存安定性評価で用いたインクを、前記カール高さ試験と同様にして印字し、保存インクのカール高さの測定を行った。カール高さが小さいほど、カール抑制効果が高く、良好である。
前記吐出率測定と同様にして得られた5枚のベタ印字記録物を25℃湿度55%で24時間放置後、印字部分の裏面の印字濃度を測定した。印字濃度の測定には前記マクベス濃度計を用い、測定条件及び測定は、基準となる紙の濃度は印字していない前記普通紙(XEROX 4200)の裏面を用いた以外は、(7)印字濃度の評価と同様にして、裏面印字濃度を得た。
このようにして得られた裏面印字濃度と(7)で得られた印字濃度の比(裏面印字濃度/印字濃度(表面))が小さいほど、裏面映り込み性が小さく、良好である。
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、及びモノマーとして、(a)メタクリル酸(三菱瓦斯化学株式会社、商品名GE−110(MAA))15部、(b)スチレンマクロマー(東亜合成株式会社、商品名AS−6S、数平均分子量6,000、50%トルエン溶液)10部(有効分換算:50%溶液で20部)、(c)2−エチルヘキシルメタクリレート(三菱レイヨン株式会社、商品名アクリエステルEH)30部、(c)スチレンモノマー(新日鉄化学株式会社、商品名スチレンモノマー)30部、及び(e)メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(前記式(4)において、qが9、R4及びR6がメチル基、R5がエチレン基、新中村化学株式会社製、商品名NKエステルM−90G)15部のうちのそれぞれ10%ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロート中に、上記各モノマーの残りの90%ずつを仕込み、次いで重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27部、メチルエチルケトン60部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その混合溶液の液温を75℃で2時間維持した後、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を該混合溶液に加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、反応終了とし、ポリマー溶液1を得た。
得られたポリマー溶液1の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。得られたポリマーの重量平均分子量は196,000であった。
製造例1で得られたポリマー溶液1を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、5N水酸化ナトリウム水溶液4.1部(中和度75%)、及びイオン交換水230部を加えてポリマーを中和し、次いでウルトラディスパー(浅田鉄工株式会社製)を用いて分散させた後(ディスパー翼、2000回転/分、10分間)、マゼンタ顔料「Pigment Violet19」(クラリアントジャパン株式会社製、商品名:Ink Jet Magenta E5B 02)を100部加え、さらに15℃以下で9000回転/分で1時間分散処理した。
得られた分散液をピコミル(浅田鉄工株式会社製、分散メディア:ジルコニア、温度:20℃、分散メディア/分散液重量比:8/2)を用いて分散した(周速15m/s、2時間)。得られた分散物をさらにマイクロフルイダイザー(Micro fluidics 社製、商品名)で分散した(200MPa、10パス)。次に、得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、60℃の水浴に浸けて減圧下でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去して、固形分濃度が30%の水分散体を得た。
次に得られた水分散体40gに、架橋剤(商品名:デナコールEX321、エポキシ当量140、水100gへの溶解量約27g(25℃)、ナガセケムテックス株式会社製)を0.177g加え、90℃下で1時間攪拌を行った。攪拌後、冷却し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、固形分濃度が30%の水分散体1を得た。
(調製例1における架橋率等)
架橋率(前記式(4)):(0.177/140)×100/(1.6×0.17/86)=40(モル%)
(ここで、架橋剤使用量0.177g、エポキシ当量140、ポリマー使用量1.6g、ポリマー中のメタクリル酸由来の構成単位の比率0.17、メタクリル酸の分子量86である)
架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基の量:111/56×0.75×(1.6/1.777)=1.34(mmol)
(ここで、ポリマーの酸価111、中和度75%である)
架橋剤の使用量:ポリマー1g当たりのアニオン性基量換算で、0.00126/1.6×1000=0.79mmolと反応する量。
ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)20部、2−ピロリドン(和光純薬株式会社製)2部、トリエチレングリコールモノブチルエーテル2部(商品名:ブチルトリグリコール、日本乳化剤株式会社製、以下「TEGmBE」という)、1,2−ヘキサンジオール(東京化成工業株式会社製、濡れ広がり性向上溶剤)2部、サーフィノール465(日信化学工業株式会社製、濡れ剤、サーフィノール104のエチレンオキサイド65%付加物)0.5部、オルフィンE1010(日信化学工業株式会社製、濡れ剤、アセチレンジオールのエチレンオキサイド(10モル)付加物)0.5部、プロキセルXL2(アビシア株式会社製、防腐剤)0.3部、2,6−ジ―t―ブチル−p−クレゾール(商品名:アンテージBHT、川口化学工業株式会社製)0.2部、及びイオン交換水30.8部を混合し、室温で15分間攪拌して、インク製造用の希釈液を得た。次いで調製例1で得られた水分散体1 41.7部(固形分30%)をマグネチックスターラーで120rpmに撹拌しながら、前記希釈液を約5g/秒の速度で添加し、添加終了後、室温で1時間撹拌し、混合液を得た。得られた混合液を調製例2と同様にして1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)で濾過し、インク1を得た。
その評価結果を表1に示す。
ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)、2−ピロリドン、TEGmBE及びイオン交換水を表1のように調整した以外は、実施例1と同様にして、インク2〜5及び比較インク1を得た。
それらの評価結果を表1に示す。
表1の評価結果から、一般式(1)で表される化合物の含有量が10〜30重量%であると、カール抑制効果に優れ、保存安定性にも優れることが分かる。
ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)、2−ピロリドン、TEGmBE及びイオン交換水を表2のように調整した以外は、実施例1と同様にして、インク6〜8及び比較インク2〜3を得た。それらの評価結果を表2に示す。
表2の評価結果から、水分量が50〜65重量%であると、カール抑制効果に優れ、保存安定性にも優れることが分かる。
比較例4〔比較インク4(高溶解性型染料を含む)の製造〕
TEGmBEの量を4.5部に、イオン交換水の量を60部に変更し、水分散体1に替えて、アシッドブルー9(東京化成工業株式会社製、高溶解性型染料)を10部用いた以外は、実施例1と同様にして比較インク4を得た。
比較例5〔比較インク5(低溶解性型染料を含む)の製造〕
比較例13において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)の量を27部とし、アシッドブルー9に替えて食用黄色5号(東京化成工業株式会社製、低溶解性型染料)を3部用いた以外は、比較例1と同様にして比較インク5を得た。
Cab−o−jet 260(キャボット社製、自己分散型顔料、固形分濃度10重量%)300gを1リットルのナスフラスコに計り取り、60℃の水浴に浸けて減圧下で水を揮発させて濃度を調整し、調整例1と同様に5μmのフィルターで濾過し、固形分濃度が20%の自己分散型顔料を含む水分散体2を得た。
実施例9〔インク9(自己分散型顔料を含む)の製造〕
実施例1において、2−ピロリドンを2部、TEGmBEを4.5部、イオン交換水を20部とし、調製例1で得られた水分散体1に替えて、調製例3で得られた水分散体3(固形分20%)50部とした以外は、実施例1と同様にしてインク9を得た。
実施例10〔インク10(顔料含有架橋ポリマー粒子と自己分散型顔料を含む)の製造〕
実施例1において、2−ピロリドンを3部、TEGmBEを2.25部、イオン交換水を25.45部に変更し、調製例1で得られた水分散体1を20.8部(固形分30%)に変更し、調製例2で得られた水分散体2を25部(固形分20%)添加した以外は、実施例1と同様にしてインク10を得た。
ポリマー分散剤〔花王株式会社製、商品名:デモールC(多環芳香族化合物のスルホン酸塩のホルマリン縮合物)〕25部、水400部、更に調製例1で使用したマゼンタ顔料「Pigment Violet19」75部を加え、ディスパー翼を用いて20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザーで分散した(200MPa、10パス)。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で一部の水を除去し、調整例1と同様に5μmのフィルターで濾過し、固形分濃度が30%のポリマー分散型顔料を含む水分散体3を得た。
実施例11〔インク11(ポリマー分散型顔料を含む)の製造〕
実施例1において、調製例1で得られた水分散体1に変えて、比較調製例1で得られたポリマー分散型顔料を含む水分散体を用いた以外は、実施例1と同様にしてインク11を得た。
インク9〜11及び比較インク4〜5の評価結果を表3に示す。
表3の評価結果から、色材が顔料であると、保存安定性に優れることが分かる。
調製例4(顔料含有未架橋ポリマー粒子を含む水分散体4の調製)
調整例1において、架橋工程を行わなかった以外は、調整例1と同様にして水分散体4を得た。すなわち、ポリマー溶液1を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、5N水酸化ナトリウム水溶液4.1部、及びイオン交換水230部を加えてポリマーを中和し、次いでウルトラディスパーを用いて分散させた後、マゼンタ顔料「Pigment Violet19」を100部加え、さらに分散処理した。得られた分散液をピコミルを用いて分散し、得られた分散物をマイクロフルイダイザーで分散した。次に、分散液に、イオン交換水250部を加え、攪拌後、減圧下でメチルエチルケトン、更に一部の水を除去して、固形分濃度が30%の水分散体4を得た。
実施例12〔インク12(顔料含有未架橋ポリマー粒子を含む)の製造〕
実施例1において、調製例1で得られた水分散体1に変えて、調整例4で得られた水分散体4を用いた以外は、実施例1と同様にして、インク12を得た。
調整例1において、5N水酸化ナトリウム水溶液の量を1.4部(中和度26%)とし、イオン交換水の量を230部から232.7部に変更した以外は、調整例1と同様にして水分散体5を得た。架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたアニオン性基の量は、0.47mmol/gである。
実施例13〔インク13(顔料含有架橋ポリマー粒子を含む)の製造〕
実施例1において、調製例1で得られた水分散体1に変えて、調整例5で得られた水分散体5を用いた以外は、実施例1と同様にして、インク13を得た。
製造例1において、(b)スチレンマクロマーを使用せず、(c)スチレンモノマーを40部にした以外は、製造例1と同様にして、ポリマー溶液2を得た。
得られたポリマー溶液2の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。得られたポリマーの重量平均分子量は172,000であった。
調製例6(顔料含有架橋ポリマー粒子を含む水分散体6の調製)
調整例1において、ポリマー溶液1の代わりにポリマー溶液2を用いた以外は、調整例1と同様にして、固形分濃度が30%の水分散体6を得た。
実施例14〔インク14(顔料含有架橋ポリマー粒子を含む)の製造〕
実施例1において、調製例1で得られた水分散体1に変えて、調整例6で得られた水分散体6用いた以外は、実施例1と同様にして、インク14を得た。
製造例1において、(e)メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートを使用せず、(c)スチレンモノマーを45部にした以外は、製造例1と同様にして、ポリマー溶液3を得た。
得られたポリマー溶液3の一部を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。得られたポリマーの重量平均分子量は186,000であった。
調製例7(顔料含有架橋ポリマー粒子を含む水分散体7の調製)
調整例1において、ポリマー溶液1の代わりにポリマー溶液3を用いた以外は、調整例1と同様にして、固形分濃度が30%の水分散体7を得た。
実施例15〔インク15(顔料含有架橋ポリマー粒子を含む)の製造〕
実施例1において、調製例1で得られた水分散体1に変えて、調整例7で得られた水分散体7を用いた以外は、実施例1と同様にして、インク15を得た。
実施例12〜15の評価結果を表4に示す。
実施例1において、2,6−ジ―t―ブチル−p−クレゾールに替えて、TEGmBEを配合した以外は、実施例1と同様にして、インク16を得た。評価結果を表5に示す。
実施例1において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)に替えて、表6に示すように、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数6、7、8)、ポリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数6、7、8、9)、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数3、7)とした以外は、実施例1と同様にして、インク17〜24及び比較インク6を得た。
実施例17〜24及び比較例6の評価結果を表6に示す。
実施例1において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)に替えて、表7に示すように、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)、ポリエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)、ポリエチレングリコールジエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)、ポリエチレングリコールモノエチルモノブチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)、ポリエチレングリコールモノエチルモノ2−エチルヘキシルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)とした以外は、実施例1と同様にして、インク25〜26及び比較インク7〜9を得た。
実施例25〜26及び比較例7〜9の評価結果を表7に示す。なお、評価結果の比較のために、実施例18、21、24の結果も表7に示す。
実施例27
インク1を、シリコンチューブを介して、インクジェットプリンター(EM−930C)のブラックヘッド上部のインク注入口に充填する。次いで、フォトショップ上でDutyを変化させて試し印字を行い、実際の吐出量の平均が0.40±0.01mg/cm2となるようにDutyを調整した。吐出量は、インクが入ったスクリュー管の重量変化を測定した。調整したDutyのベタ画像を用い、〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:ブラック、ファイン、双方向〕において、市販の普通紙(XEROX4200)に横204mm×縦275mmの大きさに印字を行った。印字所要時間は1枚あたり9秒であった。打ち込まれた水分量は0.24mg/cm2となった。
実施例28
実施例27において、インク吐出量の平均が0.60±0.01mg/cm2になるようにDutyを調整し、1回目の印字後直ぐに、再度同一Dutyで同じ面に2回目の印字を行った以外は、実施例27と同様に行った。
打ち込まれた水分量は0.72mg/cm2となった。
実施例29
実施例27において、インク吐出量の平均が0.80±0.01mg/cm2になるようにDutyを調整し、1回目の印字後直ぐに、再度同一Dutyで同じ面に2回目の印字を行った以外は、実施例27と同様に行った。
打ち込まれた水分量は0.96mg/cm2となった。
実施例27〜29の評価結果を表8に示す。
比較例10〔比較インク10(高溶解性型染料を含む)の製造〕
比較例4において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)に替えて、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)とした以外は、比較例4と同様にして比較インク10を得た。
比較例11〔比較インク11(低溶解性型染料を含む)の製造〕
比較例5において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)に替えて、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)とした以外は、比較例5と同様にして比較インク11を得た。
比較例12〜13〔比較インク12〜13(ポリマー分散型顔料を含む)の製造〕
実施例11において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)に替えて、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数5、10)とした以外は、実施例11と同様にして比較インク12〜13を得た。
比較例14〜15〔比較インク14〜15(顔料含有架橋ポリマー粒子を含む)の製造〕
比較例2において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)に替えて、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数3)、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)とした以外は、比較例2と同様にして比較インク14〜15を得た。
比較例16〔比較インク16(顔料含有架橋ポリマー粒子を含む)の製造〕
比較例3において、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数9)に替えて、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)とした以外は、比較例2と同様にして比較インク16を得た。
比較例10〜16の評価結果を表9に示す。
(顔料等の種類)
・架橋粒子1:調製例1で得られた顔料を含有する架橋ポリマー粒子。
・架橋粒子5〜7:調製例5〜7で得られた顔料を含有する架橋ポリマー粒子。
・自己分散型2:調製例2で得られた自己分散型顔料。
・ポリマー分散型3:調製例3で得られたポリマー分散型顔料。
・ポリマー粒子4:調製例4で得られた顔料を含有する未架橋ポリマー粒子。
・Me−EO5〜10:ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(5〜10は、エチレンオキシド鎖の平均付加モル数nを示す。)
・Et−EO3〜9:ポリエチレングリコールモノエチルエーテル(n=3〜9)
・IPA−EO6〜9:ポリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(n=6〜9)
・Bu−EO3〜7:ポリエチレングリコールモノブチルエーテル(n=3〜7)
・He−EO7:ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル(n=7)
・EtHe−EO7:ポリエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル(n=7)
・Et−EO7−Et:ポリエチレングリコールジエチルエーテル(m=7)
・Et−EO7−Bu:ポリエチレングリコールモノエチルモノブチルエーテル(m=7)
・Et−EO7−EtHe:ポリエチレングリコールモノエチルモノ2−エチルヘキシルエーテル(m=7)
・2−PDN:2−ピロリドン
・TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
3:攪拌子 4:マグネチックスターラー
5:回転数調整つまみ 6:泡 7:減圧ゲージ
Claims (11)
- 顔料、下記一般式(1)及び/又は(2)で表される化合物、並びに水を含有し、水分量が50〜65重量%であるインクジェット記録用水系インクであって、下記一般式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量が10〜30重量%である、インクジェット記録用水系インク。
R1−O−(CH2CH2O)n−H (1)
R1−O−(CH2CH2O)m−R2 (2)
(式中、R1及びR2は、炭素数2〜5の脂肪族基、又は炭素数3〜5の脂環族基を示し、n及びmは、平均付加モル数を示し、いずれも6〜9である。) - 顔料の含有量が5〜12重量%である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インク。
- 水の含有量に対する一般式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量の重量比〔一般式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量/水の含有量〕が0.16〜0.60である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インク。
- 顔料が、ポリマー粒子に含有されてなる、顔料を含有するポリマー粒子の形態である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
- 顔料を含有するポリマー粒子が、顔料を含有するポリマー粒子中の該ポリマーを架橋剤で架橋して得られる架橋ポリマー粒子である、請求項4に記載のインクジェット記録用水系インク。
- ポリマーが、カルボキシ基を有し、該架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたカルボキシ基の量が0.5mmol以上である、請求項5に記載のインクジェット記録用水系インク。
- ポリマーが、(a)塩生成基含有モノマー由来の構成単位と、(b)マクロマー由来の構成単位及び/又は(c)疎水性モノマー由来の構成単位を有するグラフトポリマーである、請求項4〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
- ポリマーが、下記式(4)で表されるモノマー由来の構成単位を有するポリマーである、請求項4〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
CH2=C(R4)COO(R5O)qR6 (4)
(式中、R4は、水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、R5は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R6は、ヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基又は炭素数1〜9のアルキル基を有してもよいフェニル基、qは、平均付加モル数を示し、1〜60である。) - 顔料が自己分散型顔料である、請求項1〜8のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
- 更に酸化防止剤を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
- 請求項1〜10のいずれかに記載の水系インクを用いて、普通紙に1パスで印字するインクジェット記録方法であって、普通紙の単位面積当たりに吐出される水系インク中の水の含有量が0.2〜1.0mg/cm2である、インクジェット記録方法。
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