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JP5496798B2 - 2つの非球面、特にプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズ及びそのメガネレンズを算出する方法 - Google Patents

2つの非球面、特にプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズ及びそのメガネレンズを算出する方法 Download PDF

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Description

本発明は、2つの非球面、特に、特許請求の範囲における請求項1の序文に記載のプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズに関するものである。
プログレッシブメガネレンズ(または円滑なシフトレンズ、マルチフォーカスレンズなどとも定義される)は通常、メガネを装着する人が、遠距離にある対象を見る領域――その距離は以下に定義される――における屈折力が、近距離にある対象を見る領域(近接部)における屈折力に比べて異なっている(弱い)メガネレンズを意味するものと理解されている。遠隔部と近接部間では、プログレッシブ領域として知られるものが設置され、この領域においてメガネレンズの効果は、近接部の効果に対する遠隔部の動作から継続的に増加する。遠隔基準点として知られるものと、近接基準点として知られるものとの間の(ジオプトリでの)影響の増加値もまた、付加(Add.)として定義される。付加の典型的な値は(約)0.75ジオプトリから(約)3.5ジオプトリまでの範囲に置かれている。
一般に、遠隔部はメガネレンズの上部に設けられ、「識別する」視野に関して定義される一方、近接視野は低い領域に設けられ、特に読むこと(0.33から0.4メートルの距離)に関して定義される。特別な用途については――パイロットメガネあるいはVDUのワークステーションに関するメガネを例示することをここで述べておく――、遠隔部および/または近接部も他の方法で設けることが可能であり、および/または異なる距離に関して定義することが可能である。さらにその場所を複数の近接部および/または遠隔部にすることが可能であって、同様に複数のプログレッシブ領域にすることが可能である。
一定の屈折率を有するプログレッシブメガネレンズの場合、遠隔部と近接部との間の屈折力の増加に関して、1つのあるいは両方の表面における曲率は遠隔部から近接部へと継続的に変化する必要がある。これは少なくとも2回は継続的に表面を区別することが可能であるという意味である。
メガネレンズの表面は通常、表面上の各点で曲率R1およびR2の主な半径として知られるものによって特徴づけられる(曲率の主な半径の代わりに、主な曲率K1=1/R1およびK2=1/R2として知られるものが特定されることもある)。曲率の主な半径は表面の各点においてメガネレンズの材料の屈折率nとともに、表面における眼科系の特徴について頻繁に用いられる変数を定義する。
表面屈折力=0.5*(n−1)*(1/R1 + 1/R2)
表面非点収差= (n−1)*(1/R1 − 1/R2)
表面屈折力は、それを介して遠隔部から近接部への影響が増加する変数である。眼自身が補正すべき非点収差を持たない場合には、約0.5のジオプトリを超過する非点収差が網膜上のぼけとして感知される像を生成するため、表面非点収差(明確にはシリンダ効果)は「破壊的な特徴」となる。
「破壊的な」表面非点収差を見ることなく、表面屈折力の増加を達成するために必要な表面の曲率の変化は、(真直ぐなあるいは曲がった)線に沿って比較的容易に、確実に行なうことが可能であるが、この線がなければ、レンズを上述の線以外の範囲において多かれ少なかれ貧弱にする、高い表面非点収差に導く表面の重大な「混合」を招く。
表面理論に基づく理由によれば、表面屈折力が遠隔部から近接部にかけて増加する表面においては、表面非点収差を生理的に乱すことがない(非点収差がない、あるいは予め定義された非点収差に影響される)線のない領域を「維持する」ことは不可能である。このため、Minkwitz形成として知られるものにも注目する。
遠隔部においては光学効果とそれによる曲面の主要な半径とが(実際的に)変わらないため、遠隔部が非常に小さい表面非点収差(<0.5ジオプトリ)、あるいは大きな領域における表面非点収差値「0」までも提示するようにプログレッシブの表面の遠隔部を構成すること、すなわち球状に構成されることが比較的容易である。他方、シフト領域の横領域の構成の「品質」は、メガネを装着する一人一人のメガネレンズの忍容性に関して重要事項である。
したがって、各プログレッシブメガネレンズの設計における基本的な役割は、遠隔部あるいはその大きさにおける不適切な欠点を持たずにシフト領域において側面領域を構成することであり、適切な場合、近接部の側面領域は、メガネの装着者、特に、初めてプログレッシブメガネレンズを使用する若い老眼の人にとってこのメガネレンズができるだけ快適であるように構成される。
過去においては、屈折率の変化に寄与するプログレッシブメガネレンズの表面の設計におけるこの基本的な問題を解決するために、「表面の設計のバックボーン」として、主要な頂点あるいは主要な線としても設計された、平面における線あるいは曲線から開始した。この線、あるいはこの設計のバックボーンは、頂点から底面まで表面に対してほぼ中央に(通常)通っており、特に眼の位置が低くなった場合、眼が見る活動を行なっているあいだ、可視光線が(各)メガネレンズ表面を貫く点をほぼ通る方向をとる。この線上における各点の主要な曲率は、遠隔部から近接部までの表面屈折力が所望の大きさに増加するように選択される。この線から始まって、その後、表面の側面領域が(多かれ少なかれ)適切に計測される。
側面の領域の構成に関して、多くの解決策が開示されている。プログレッシブメガネレンズを計算する初期の期間において、純粋な表面理論に基づくプログレッシブ表面のみの最適化が実行され、このとき、破壊的な表面非点収差の最も広範囲な減少、あるいはメガネレンズの低い横領域に対して表面非点収差を「開始すること」が最前提である。
数年のあいだ、プログレッシブメガネレンズの最大の製造業者は、純粋な表面理論に基づいた視点からではなく、用いる位置に基づいて、すなわち特に斜めの光線の非点収差を考慮してプログレッシブ表面を最適化したため、表面非点収差のみでなく、全体的な非点収差もまた、最適化されるべき(ひとつの)関連変数として見なされる。
使用する位置においてプログレッシブ表面を算出するために、使用状態が定義される。これは、瞳孔の間隔、前方向の傾斜、角膜頂の間隔などの個人のパラメータが、各仕様状況において個々に決定される、実際の使用者に関連しており、また、プログレッシブの表面が算出され、個々に製造されるか、あるいは、例えば、DIN58208パート2になどと表される平均値で製造される。さらに、特に考慮すべきパラメータに関しては、特許文献1を参照願いたい
唯一のプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズにおいて、この表面が表面理論(のみ)を考慮して最適化されているか、あるいは実際の使用位置に関する理論を考慮して最適化されているかにはかかわらず、結果的には、ただ、唯一の表面が屈折力に貢献しており、最適化された表面の特徴に関して制限があり、そのため、全体的なメガネレンズの特徴に関しても制限があるということである。
したがって、長期間、少なくとも特許文献においては、2つのプログレッシブ表面を有するメガネレンズが提供されてきた。この点に関しては、純粋に例として、特許文献2および3(出願人:Optische Werke G.Rodenstock)が挙げられ、付随的にこれらに関して明示的に言及する。また本発明に引用されたすべての書類に関しては、本発明の説明を補充するためのものである。
2つのプログレッシブ表面、すなわち遠隔部から近接部までの光学的効果の増加に貢献する表面を使用することには、いかなる場合においても、各表面が付加の部分のみを提供すればよいという利点がある。表面非点収差あるいはゆがみなどの表面の画像誤差が、通常の表面設計における付加Add.における線形の増加よりさらに鋭角に増加するため、唯一のプログレッシブ表面であって、それ以外の表面が球状あるいは円環形状である同一の遠隔部効果および同一の付加を有するプログレッシブレンズと比較して、付加を2つの表面に分けることによって、より良い光学的特徴がすでに得られている。
これはまた、他の表面が、平均的な使用状況に関して最適化されたプログレッシブ表面を使用の設計状況とは異なる使用の特定の状況に適応させるために、個々に計算された非球状あるいは非円環形状の表面であるときにも当てはまる。
また、眼の側面および前表面の表面非点収差値は幾何学的に、あるいは交差したシリンダ方法に従って合計される、すなわち大きさではなく、軸方向の位置を考慮して合計される。また、すでに最適化された、あるいは各他の表面を考慮する一方で、次々に、あるいは同時に最適化された前表面および目の側面の場合、表面非点収差の最大値が一般的に、同一のひとつの可視光線によって「貫通され」ない点において存在し、また、表面非点収差の軸方向の位置が同様に、一般的に異なるため、プログレッシブの前表面の(幾何学的に)付加された表面の非点収差の値と、プログレッシブの眼の側面の付加された表面の非点収差の値とは、唯一のプログレッシブ表面を有するメガネレンズの表面非点収差に到達しない。また、表面を、2つの表面の望ましくない表面非点収差値などの画像誤差が、少なくとも部分的に互いに補完するように構成することも可能である。これに関しては、すでに引用したOptische Werke G.Rodenstockの特許文献2および3を参照願いたい。
先行技術から既知である2つのプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズの場合、2つの表面は、唯一のプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズと比較して、光学的な特徴を改良するという視点からのみ計算されている。
特に幾何学的な視点などの他の視点から2つのプログレッシブ表面を最適化することについては、例えば、メガネのフレームのレンズリングに適合した幅広のメガネのフレームの前表面の端部の方向については過去には考えられていない。特許文献2に記載されている混合を減少させることは、単に表面非点収差を減少させるためにのみ用いられるため、光学的な特徴を改良するために用いられることになり、幾何学的な点、特に美容上の点を考慮しながら、2つのプログレッシブ表面を有するプログレッシブのメガネレンズを最適化するために用いられるわけではない。
WO01/57584 A2 ドイツ連邦共和国特許公開第DE3331757A1号公報 ドイツ連邦共和国特許公開第DE3331763A1号公報
本発明は、好適な光学的特徴を提示するだけでなく、特にその外形に関する特定の事前定義を満たすような方法で、特許請求の範囲における請求項1の序文に記載されるプログレッシブのメガネレンズを開発するという目的に基づいてなされている。この場合、事前定義は美容上の視点から作成することが可能であり、例えば、メガネレンズのたわみおよび/またはメガネレンズの端部の方向(経路)に関して作成することが可能である。
本発明においてこの目的を達成することについては、個々の請求項に定義されている。本発明の開発は従属項の主題となっている。
特許請求の範囲における請求項1によれば、プログレッシブの表面(i=1,2)のうち少なくとも1つの(i)におけるメニスカスレンズの高さz=z(x,y)は、以下の数式、すなわち、y≧0のときにy=fi1(x)、y<0のときにy=fi2(x)によって定義されるメガネレンズの端部におけるこの表面のメニスカスレンズの高さzが、この表面(i)あるいは、支持端などを形成する曲率と反対の曲率を有する他の表面(j)を有していない所定の値を取るように選択される。
例えば、白内障用のメガネの場合、中央の厚さが厚すぎない比較的大きいメガネフレームに、メガネレンズを挟むことを可能にするために、支持端が用いられる。
特に、この場合、端部の方向だけでなく、かなり自由な方法でひとつあるいは両方の表面の周辺領域の構成を、例えば、美容上の視点から前もって定義することが可能である。
本願の範囲内におけるメガネ光学の従来の定義によれば、メニスカスレンズの高さは、正接平面のメガネレンズの2つの表面のうちひとつの表面上で座標(x、y)を有する点から表面の頂点に対する、正接平面に対して直角(z軸)な線方向での距離である。この場合、x、y、z座標系の原点は前表面の頂点に位置しており、必ずしも必要ではないが一般に、未加工の円形のメガネレンズの中心と一致している。すなわちメガネを装着する人の目の前に設けられたメガネレンズの場合、x軸は使用される位置を水平に通っており、y軸は垂直に通っている。
本発明によれば、2つの非球面、特にプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズの場合、かなり自由な方法で少なくとも1つの表面の端部の方向を(視野を方向付けるためだけに、周辺部の端部の方向も)予め定義することが可能であり、端部の領域は、端部の方向には無関係に最適化された唯一のプログレッシブ表面を有する従来のプログレッシブメガネレンズの場合と同様に(直接的および間接的な)視野に用いることが可能である。従って、特に端部の領域は支持端として既知であるものとしては構成されていない。これは例えば、白内障の手術を受けたメガネの装着者にとって高い効果を持つメガネレンズの場合に用いられ、このタイプのメガネレンズは例えば、特に「曲率の反転」と「支持端」の説明に関連して、ドイツ連邦共和国特許第DE3225270C2号公報に記載されている。
しかしながら、第一に唯一のプログレッシブ表面を有するメガネレンズとは異なって、幾何学的な事前定義によって実質的に決められる端部の方向の事前定義は、中央部のメガネレンズの光学的な特徴、すなわち直接的および即時の重要な視力に視覚的な効果を実質的に有してはない。一方、唯一のプログレッシブ表面を有するプログレッシブレンズの場合、周辺部に関する端部の状態は中央領域の最適化に対してかなりの影響力を持つ。
このように本発明によるメガネレンズの場合、特に、唯一のプログレッシブ表面を有する既知のプログレッシブメガネレンズの場合と同様に、所定の値を取る。全体的な非点収差とは、2つの表面および斜めの光線の非点収差によって実質的に決定される使用位置での非点収差を意味するものであると理解される。光学的な効果をほとんど持たないメガネレンズの場合、全体的な非点収差は2つの表面の表面非点収差によって実質的に決定される。
全体的な非点収差に関する状態に順応することが、特に、ゆがみおよび/または屈折誤差などの他の光学的な特徴を犠牲にしてはならない。特に、メガネレンズの非点での屈折誤差は1.0*Add.の値を超過することが可能であって、具体的には、0.7*Add.となる。さらにメガネレンズ上の特定の点におけるプリズム効果に関する特定の定義も作成することができる。
実際、全体的な非点収差や屈折誤差に関しては、実質的にさらに低い値とすることが可能である。
本発明における端部の方向の事前定義においては、非常に広い視点を持つことが可能である。
特に、端部は、選択されたメガネフレームによって予め定義される幅広のメガネレンズの端部となりうる。これは、特別に構成されたメガネフレームの場合でも、(個々に計算された)端部の方向が、例えば、メガネフレームのレンズリングとして既知であるものを越えた任意の点で前表面の端部が「突出」しないように形成されうるということを意味している。
しかしながら、もちろん、プログレッシブメガネレンズが挿入されるメガネフレームのレンズリングの方向を考慮しながら端部の方向を予め定義することは不可能である。
特に2つのプログレッシブ表面が個々の使用状況に関してではなく、平均的な使用状況に関して算出されるときには、すなわち個々に算出されてはいないときには、未加工の円形のメガネレンズの端部の方向が予め定義されていることに利点がある。
あるいは、または付加的には、ひとつのあるいは両方の表面の周辺領域における端部の方向あるいは構成も、メガネレンズの臨界的な厚さ、正の効果を有するメガネレンズの場合の中央の厚さ、負の効果を有するメガネレンズの場合の端部の厚さが最小限になるように予め定義することが可能である。
さらに、メガネレンズの周辺に沿った端部の厚さが、唯一の非球面のプログレッシブ表面を有するプログレッシブのメガネレンズの場合よりかなり薄くなるように、2つの表面の端部の向きを選択することが可能である。この場合、端部の厚さを減らすことは、唯一のプログレッシブの表面を有するメガネレンズと比較して光学的特徴を改良することと釣り合いが取れる。
特に釣り合いが取れている構成の場合、周辺端部に沿った端部の厚さにおける差異を、同じ遠隔部効果と付加を有し、また唯一のプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネの場合より少なくとも30パーセント少なくすることが可能である。絶対的に言えば、未加工の円形のメガネのレンズの周辺に沿った端部の厚さは、40パーセント未満、具体的には25パーセント未満だけ変化することが可能である。
本発明によるメガネレンズはこの場合、従来のプログレッシブメガネレンズと同様に形成することも可能であり、特に、特定の患者あるいは特定の使用位置に関して個々に計算された唯一のプログレッシブの表面を有するメガネレンズと同様に形成することが可能である。
例えば非点収差を規定する場合、2つの表面のうち少なくとも1つの表面が、斜めの光線の非点収差を考慮に入れて、適当であれば、その大きさと軸方向の位置が少なくとも眼の非点収差をほぼ補正する表面の非点収差を有することが可能である。
それにもかかわらず本発明によるメガネレンズは、公開された特許文献に記載されていない、あるいは2つのプログレッシブの表面を有する既知のプログレッシブのメガネレンズにおいて実施されない多数の可能な構成を有している。
2つのプログレッシブ表面を有するメガネレンズの場合、先行技術において認識されていない可能な構成とは、前表面と眼の側面との間に付加を分けることである。
第一に、これは、近接部(近接部用の基準点)に対して遠隔部(遠隔部用の基準点)の効果を同じ量だけ増加させる役割を前側の表面と眼の側の表面とが果たす必要がないということを意味している。第二に、これは、前側の表面と眼の側の表面とにおいて効果の増加が局地的に異なる、すなわち(各)主要な線に沿っておよび/または垂直に異なることを意味している。
例えば、遠隔部から近接部(付加)までの各規制によって予め定義された効果Add.の増加は、少なくとも1つの表面(i)のメニスカスレンズの高さzが所定の値を有するように、前表面(i=1)と眼の側面(i=2)との間で分割することが可能である。
しかしながら、さらに遠い基準点から開始するプログレッシブ領域における効果の増加は、1つの表面の曲率における変化によって最初に(実質的に)生成され、プログレッシブ領域の低い部分における効果の増加は、他の表面の曲率における変化によって(実質的に)生成される。言い換えれば、プログレッシブ領域における前表面と眼の側面における効果の増加の勾配は、主要な線に沿って局地的に異なっている。この結果、本発明によるメガネレンズの周辺を完全に新しく構成することが可能になる。
さらに主要線に沿った進行方向の上昇のみでなく、プログレッシブ領域の長さも、前表面と眼の側面においてでは異なることが可能となる。
特許請求の範囲における請求項1の定義部分の特徴とは独立して用いられることも可能であるというさらなる可能性は、軸方向の位置および/または非点収差の大きさに依存しており、特に非点収差および/または、遠隔のおよび/または近くの軸方向の位置が異なる量の場合、すなわち、遠隔部および近接部において、1つの表面(i)は遠隔部において、少なくとも実質的に非点収差規制を適用し、他の表面(j)は近接部において、少なくとも実質的に非点収差規制を適用する。
例えば、特定の軸方向の位置において、まず第一に、前表面の遠隔位置における表面非点収差は、(少なくとも部分的に)眼の非点収差を補完する非点収差を生成することが可能である。プログレッシブの領域において、補完に必要な前表面の表面非点収差はその後、継続的に減少し、その一方で、眼の側面での表面非点収差は継続的に増加する。近接部において、眼の側面の表面非点収差はその後、眼の非点収差を補完することに(実質的に)非常に貢献している。もちろん、非常に広い範囲の「シフト形態」あるいは「混合形態」あるいは逆の構成が可能である。
さらに遠隔部と近接部は、前表面と眼の側面とで異なる範囲を有することが可能である。
遠隔部と近接部の限界は通常、特定の絶対値を有する表面非点収差の等値線によって与えられる。これらの線は、その後、前表面上と眼の側面上とにおいて異なる方向を有することが可能になる。
非点収差がない規制の場合、遠隔部あるいは近接部を限定する表面非点収差の等値線は通常、表面非点収差の0.5ジオプトリ線である。しかしながら、もちろん、遠隔部の制限および近接部の制限に対して他の定義を与えることも可能である。
上述のように、本発明によるメガネレンズは特定の部分においては従来の方法で形成される。
このように、遠隔部から近接部への効果は、特に、鼻の側面に向かって曲がっている曲線(主要な線)に沿って既知の方法で増加することが可能である。
主要な線は前表面と眼の側面とにおいて異なる方向を取ることが可能である。これは、メガネレンズにおける可視光線のプリズム偏向のせいで最初に必要となる。しかしながら、主要な線の方向の違いを、プリズム偏向の補完に必要な量より大きくする、あるいは小さくすることが可能である。このようにして、さらに別の構成が可能となる。
したがって、本発明のメガネレンズにおいては、遠隔部と近接部とのあいだの主要線のオフセットは、前表面と眼の側面においてかなり異なっている。さらに、オフセットは付加および/または効果の機能となりうる。
前表面と眼の側面における主要線は、必ずしも2本の表面非点収差の等値線の間の中央の線となる必要はない。
このように、主要線上では、非点収差のない規制の場合、表面非点収差は最小限となり、また非点収差規制の場合、表面非点収差はメガネレンズの中央の領域において、非点収差規制の値に最も近づく。
あるいは、特に非点収差規制の場合、表面非点収差は主要線の両側の1つのストリップにおいて主要線に対して少なくともほぼ線形に垂直に変化することも可能である。
本発明によるメガネレンズは上述の技術的教示を考慮にいれて従来の方法で算出することが可能である。そのため、実際の実施の形態においてその方法についての説明は省略することが可能である。特に本発明によるメガネレンズを算出するために、対象となる機能を従来の方法で予め定義することができる。この場合、前表面と眼の側面の主要線の両側の二重のストリップに関する初期の状態は、所定の対象となる機能を満たす表面の構成の場合、表面の端部のメニスカスレンズの高さzの所定の方向が取得されるように適切に選択される。
例えば、表面非点収差の値のみでなく、主要線に沿った表面非点収差の軸方向の位置、および表面屈折力の値も予め定められ得る、以下の目的関数Fが、用いられ得る。
Figure 0005496798
ここでA(y)、D(y)およびε(y)は主要線に沿ってそれぞれ、所定の表面特徴をあらわし、A(y)は表面の非点収差であり、D(y)は表面光学力であり、ε(y)は水平面に対して表面非点収差の軸方向の位置を表している。
対象となる機能を最小限にすることによって、主要線とその周囲の領域(二重のストリップ)は、x、y平面上の主要線の突出f(y)に対する以下の事前定義の生理学上の観点から取得することができる。その過程において、様式的な理由によって要求されたり予め定義されたりするプリズムも考慮に入れることが可能となる。これについてはドイツ連邦共和国特許公開第DE4337369A1号公報を参照願いたい。
このとき特に、所定の対象となる機能を満たす表面構成の場合、その結果は唯一のプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズにくらべてかなり減少した端部の厚さの差異となって表れる。所定の対象となる機能は、端部の方向を考慮せずに最適化された唯一のプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズの機能と対応している。
どの場合も2つのプログレッシブ表面を有するメガネレンズが取得される。このメガネレンズにおいて、周辺端部領域は、光学的な視点のみでなく、幾何学的な視点、特にメガネレンズの忍容性を損なうことなく美容上の視点からも構成される。
さらにあるいは別の方法として、表面の方向に関する他の事前定義も満たすことが可能である。他の事前定義とは「非光学的」視点、例えば、メガネレンズの忍容性を損なうことなく、一方向あるいは互いに直交した二方向におけるメガネレンズのゆがみ、臨界厚さなどの美容上の視点から設けられる。

Claims (8)

  1. 遠隔部から近接部への効果の増加(付加Add.)に寄与する2つのプログレッシブ表面を有するプログレッシブメガネレンズにおいて、
    遠隔部および近接部での乱視処方における乱視屈折力および/または乱視軸に依存して、1つの表面(i)が遠隔部の乱視処方を実質的に含み、また他の表面(j)が近接部の乱視処方を実質的に含む、プログレッシブメガネレンズ。
  2. 遠隔部と近接部との間にプログレッシブ領域が存在しており、
    遠隔部においては、1つの表面(i)における表面非点収差が、目の乱視を補正し、
    近接部においては、他の表面(j)における表面非点収差が、目の乱視を補正し、
    プログレッシブ領域においては、遠隔部側の領域から近接部側の領域へ向かうにつれて、1つの表面(i)では表面非点収差が継続的に減少し、他の表面(j)では表面非点収差が継続的に増加する、請求項1に記載のメガネレンズ。
  3. 1つの表面(i)は、前側の表面であり、
    他の表面(j)は、目側の表面である、請求項2に記載のメガネレンズ。
  4. 同一の遠隔部効果と付加と唯一のプログレッシブの表面を有するプログレッシブメガネレンズの場合に比べて、外周に沿った端部の厚さの変化が少なくとも30パーセント少なくなるように決定される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメガネレンズ。
  5. 未加工の円形のメガネレンズの外周に沿った端部の厚さが、40パーセント未満、具体的には25パーセント未満変化する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のメガネレンズ。
  6. 斜め入射の非点収差を考慮しながら、眼の非点収差を少なくともほぼ補正するように、表面の非点収差が選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のメガネレンズ。
  7. 前記効果が主要線に沿って遠隔部から近接部に増加し、主要線が装着者の鼻の側面に向かって曲がった曲線として形成され、遠隔部と近接部との間の主要線曲線が該レンズの前表面上と眼側表面上との間で異なってオフセットされてなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のメガネレンズ。
  8. プログレッシブ領域の長さおよび/または主要線に沿った進行増加の方向が、前部表面上と眼側表面とで異なる、請求項1〜7のいずれか1項に記載のメガネレンズ。
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