タッチパネルには、上基板および下基板がともにガラス板からなるガラス−ガラス構造のタッチパネルと、上基板がフィルムで下基板がガラス板からなるフィルム−ガラス構造のタッチパネルとがある。ガラス−ガラス構造のタッチパネルは上基板を薄いガラス板で構成するので、経時変化が少なく高級感がある。しかし、薄いガラス板が高価であり、材料費も高く、フィルム−ガラス構造のタッチパネルに比べて高価になる。
まず、従来のガラス−ガラス構造のタッチパネルの製造方法について説明する。
特許文献1に示されるように、上基板および下基板に個別タッチパネルのほぼ12個分の面積を有するガラス板からスタートする製造方法が開示されている。
図7に示すように、それぞれの2枚のガラス板に上基板と下基板に対応する素子区画50を3行×4列のマトリクス状に形成し、各素子区画にITO膜をフォトエッチングによりパターンニングして透明電極や位置検出電極58aを形成する。
次に、ガラス基板の透明電極が形成された面に、各素子区画50にシール材をスクリーン印刷法等で印刷し、シール層51を形成する。シール層51には、その一部にシール材が印刷されていない開口部52を形成し、その両端から列方向にもシール層を形成する。ガラス基板の内側周縁部に全ての素子区画50を内側に囲い、シール層51より所定の間隔をあけて外周シール層53を形成する。
更に、2枚のガラス基板を所定の間隔に保持するために、一方のガラス基板に球状のドットスペーサーを多数配設する。ガラス基板とガラス基板を素子区画が互いに対向するように重ね合わせ、シール層および外周シール層を熱硬化等で接合し、個別タッチパネルを12個作製し、開口部を封止部材で封止する。
更に、接合された一対のガラス基板を浸漬させ外側表面にエッチング処理を施し、所望の厚さのガラス基板を形成し、洗浄して付着した汚れ等を除去する。その後、ガラス基板を行方向切断線54に沿って切断し、各行方向素子集合体をタッチパネル毎に切断する。
しかし、この製造方法では、ガラス基板に形成された透明電極膜を個別タッチパネルごとの透明電極にエッチングする工程が不可欠である。
特許文献2に示す製造方法では、図8に示すように、厚みが1.1mmのソーダガラス板からなる下基板に、ITO膜を成膜した後、エッチング加工によりパターンを形成し透明電極56とする。透明電極には電気的に接続される位置検出電極58aと引き回し電極58bを、銀ペースト膜を印刷、焼成して形成する。また下基板の下端部には、引き回し電極58bと、外部取り出し電極61を有するコネクタ60とを接続するための仮端子59を含むひさし部が形成される。
次に、透明電極56の表面上に、フォトリソグラフィプロセスによりパターン形成し、ドットスペーサー57を形成する。
その後、下基板の周辺部に上基板と下基板を貼り合わせるためのシール剤51を印刷し、その一部にシール剤の開口部52を設ける。
更に、厚みが0.2mmのホウケイ酸ガラスからなる上基板に、下基板と同様に透明電極、位置検出電極および引き回し電極を形成する。上基板は、下基板のひさし部を露出するように下端部が切断される。従って、上基板の縦幅は、下基板の縦幅よりも短い。
更に、上基板および下基板の透明電極を互いに対向させ、下基板のシール剤51に上基板を重ね合わせ上下基板とし、接着治具にセットして焼成する。
その後、徐冷工程を経て上下基板の周辺部がシール剤51で貼着される。上基板の引き回し電極58bも下基板に設けた仮端子59と電気的に接続される。
そして、シール剤の開口部52より約1.2気圧の空気を注入し、上基板を外側に膨らませ、シール剤の開口部52を封止部材55で封止する。
更に、下基板の仮端子59にコネクタ60の本端子を貼着し電気的に接続する。仮端子59の一部はコネクタ60の上方で露出されるので、ショートを防ぐためにフッ素樹脂でコーティングする。
しかし、この特許文献2に記載された製造方法でも、透明電極のエッチングとドットスペーサーの形成時にエッチングが必要である。また、上基板と下基板の隙間を所定の間隔に保持するために、開口部より空気を封入して上基板を外側に膨らませる工程も必要である。更に、下基板の仮端子とコネクタの本端子とを接続し、露出した接続個所を防湿のためにコーティングする工程も必要である。
続いて、従来のフィルム−ガラス構造のタッチパネルの製造方法について説明する。
特許文献3に示されるように、上基板には可撓性を有する透明絶縁基材を用い、下基板にはガラス板の透明絶縁基板を用いたタッチパネルである。
まず、ポリエチレンテレフタレートフィルムを上基板の透明絶縁基材として用い、その片面にITO膜を形成し、酸などでエッチング処理を行いITO膜の周縁部分を除去した後、シート状にカットして上基板とする。
次に、ガラス板を下基板の透明絶縁基材として用い、上基板と同様にITO膜の形成、周縁部分の除去をした後に、ITO膜状にフォトエッチングプロセスで微細なドットスペーサーを形成した後、シート状にカットして下基板とする。なお、下基板には、ガラス板の他に、透明樹脂板や透明フィルムを用いる。
更に、回路シートは、枠上の本体とその一辺において本体より20mmだけ枠外に外部接続部を一体的に突出してなる厚み25μmのポリイミドシートを絶縁基材として用い、その両面にその辺部に互いに平行に延びた一対のバスバーと引き回し回路を形成する。バスバーおよび引き回し回路は、導電性ペーストを使用しスクリーン印刷によって形成されたり、金属材料のみを使用しスパッタリング法やCVD法等により形成される。
更に、上基板と下基板をITO膜の面を対向させ、その間に回路シートを挟み込み周縁部において両面テープからなる接着材料で貼り合せる。
しかし、上基板に可撓性を有する透明フィルムを用いたタッチパネルでは、上下基板の貼り合わせ工程において上基板に撓みが生じやすいため、上基板と下基板に形成した透明電極を絶縁するドットスペーサーの形成が必要となる。
従って、この特許文献3のタッチパネルでも、ITO膜の周縁部分を除去するエッチングとドットスペーサーの形成するためのエッチング工程が必要である。
また、上述した特許文献1〜3に記載されているタッチパネルでは、上下基板の接着する領域と位置検出電極からの引き回し電極を配置する領域を重ならないように設計するのが明白である。
上述したように、特許文献1〜3に示されるタッチパネルの構造においては、上下基板の接着する領域と位置検出電極からの引き回し電極を配置する領域を重ならないように設計するためにタッチパネルのタッチ領域の周辺額縁領域が広くなり、タッチパネルの小型化の障害となっている。
また、上述したように、特許文献1および特許文献2に示されるタッチパネルの製造方法においては、以下の問題点がある。
まず、特許文献1に示す従来のガラスーガラス構造のタッチパネルの製造方法では、ガラス板に個々のタッチパネルの透明電極や位置検出電極58aを形成するためのフォトエッチング工程が不可欠である。
また、上下基板の接着工程においては、上基板の位置検出電極と下基板の引き回し電極、あるいは下基板の位置検出電極と上基板の引き回し電極がそれぞれ重ならないように位置合わせをする必要があり、上下基板を接着する際に、下基板にシール剤を付着する工程と、下基板に対向して上基板を配置し接着する工程の2工程が必要となる。更に、この接着工程で各タッチパネルの中央部は接着治具により加熱、加圧されるため、薄い上基板が下基板側に窪むために、個別のタッチパネルに切断した後、シール剤の開口部52より約1.2気圧の空気を注入し、上基板を外側に膨らませてから開口部52を閉じる工程も必要となる。
このために、従来のガラスーガラス構造のタッチパネルの製造方法では、フォトエッチング工程のほかに多数の工程が必要となり、ガラスーガラス構造のタッチパネルの製造コストを押し上げていた。
一方、特許文献3に示す従来のフィルム−ガラス構造のタッチパネルの製造方法では、ロール状の透明フィルムにITO膜を形成した後、予めカットラインの周辺のITO膜を一定幅でフォトエッチングする工程やドットスペーサーを形成するフォトエッチング工程が不可欠である。
また、上下基板を接着する際に、位置検出電極の表面を露出させるように両面テープを位置合わせして設ける工程と、上下基板の間に回路シートを接着する工程の2工程が必要である。
このために、従来のフィルム−ガラス構造のタッチパネルの製造方法でもフォトエッチング工程は不可避であり、製造コストを押し上げていた。
このフォトエッチング工程は、図9に示すように、最初に基板を洗浄し汚れを除去して乾燥させた後、基板にフォトレジストを塗布してその表面を乾燥させ、その後パターンを露光、現像し、露光されない部分のフォトレジスト層を除去し、残存したフォトレジスト層をマスクとして塩酸および塩化第2鉄等の溶液でエッチングを行い、残存するフォトレジスト層を水酸化ナトリウム等の溶液に浸して剥離した後、基板の洗浄を行い薬品や汚れを除去するといった一連の多くの工程が必要となる。
これらの工程を有するエッチング設備は大きなガラス板(例えば、240mm×380mm)を流すために大きな設備スペースを必要とし、具体的には、約60m前後の長さが必要であり、またライン速度は約180cm/min前後の時間を要する。このため、設備投資のコストを抑え、かつ最短工程数でのタッチパネルの製造を実現するために、エッチング工程のないタッチパネルの製造方法を確立することが望まれていた。
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされ、片面に透明電極膜を設けた上基板と、片面に透明電極膜を設けた下基板と、一主面にX方向の位置検出電極を2本対向させ、前記X方向の位置検出電極から外部取り出し電極まで引き出し電極を引き回して配置し、反対主面にY方向の位置検出電極を2本対向させ、前記Y方向の位置検出電極から外部取り出し電極まで引き出し電極を引き回して配置し、前記X方向および前記Y方向の位置検出電極の表面に金属粒子を含む導電性塗料を付着し、前記X方向および前記Y方向の位置検出電極および引き出し電極と前記導電性塗料とに重畳して絶縁性の加熱溶解型接着層を両主面に形成した枠状のフレキシブル配線板を備え、前記導電性塗料の前記金属粒子で前記加熱溶解型接着層を貫通して前記X方向あるいは前記Y方向の位置検出電極と前記上基板あるいは前記下基板の前記透明電極膜とを電気的に接続し、前記フレキシブル配線板の前記加熱溶解型接着層で前記上基板および前記下基板を一体に接着することを特徴とする。
また、本発明は、前記導電性塗料は前記X方向および前記Y方向の位置検出電極の全表面を被覆し、前記加熱溶解型接着層は前記フレキシブル配線板全面を被覆することを特徴とする。
更に、本発明は、前記導電性塗料は少なくとも銀とニッケルの金属粒子とバインダーとが混合されることを特徴とする。
更に、前記上基板に薄いガラス基板を用い、前記下基板に前記上基板より厚いガラス基板を用いることを特徴とする。
本発明は、厚さの異なる2枚のマザー基材の片面に透明電極膜を形成し、それぞれの前記マザー基材から個別のタッチパネルと略同じサイズの片面に前記透明電極膜を有する上基板と下基板に分割する工程と、一主面にX方向の位置検出電極と引き出し電極を形成され、反対主面にY方向の位置検出電極と引き出し電極が形成され、前記X方向および前記Y方向の位置検出電極の表面に金属粒子を含む導電性塗料を付着し、前記X方向および前記Y方向の位置検出電極および引き出し電極と前記導電性塗料とに重畳して絶縁性の加熱溶解型接着層を両主面に形成した枠状のフレキシブル配線板を準備する工程と、前記上基板と前記下基板の間にフレキシブル配線板を配置して加熱加圧して、前記フレキシブル配線板の前記加熱溶解型接着層を溶融して前記上基板と前記下基板の接着を行い、同時に前記導電性塗料に含まれた前記金属粒子を前記加熱溶解型接着層を貫通させて前記X方向あるいは前記Y方向の位置検出電極と前記上基板あるいは前記下基板の前記透明電極膜とを電気的に接続する工程とを具備することを特徴とする。
また、本発明は、前記マザー基材は厚さの異なるガラス板を用い、前記上基板あるいは前記下基板の大きさの略整数倍の大きさに設定されることを特徴とする。
更に、本発明は、前記上基板と前記下基板の間にフレキシブル配線板を配置して加熱加圧して、前記フレキシブル配線板の前記加熱溶解型接着層を溶融して前記上基板と前記下基板の接着する工程において、前記上基板、前記フレキシブル配線板および前記下基板を単に重ねるだけで位置合わせを省略することを特徴とする。
更に、本発明は、前記上基板と前記下基板の間にフレキシブル配線板を配置して加熱加圧して、前記フレキシブル配線板の前記加熱溶解型接着層を溶融して前記上基板と前記下基板の接着する工程において、前記上基板および前記下基板の前記フレキシブル配線板のある外周部分のみを加熱加圧して、前記加熱溶解型接着層を溶融して前記上基板と前記下基板の接着を行い、同時に前記導電性塗料に含まれた前記金属粒子を前記加熱溶解型接着層を貫通させることを特徴とする。
構造上の効果は以下の通りである。
本発明に依れば、枠状のフレキシブル配線板の表裏面に、X方向あるいはY方向の位置検出電極を対向させて設け、位置検出電極から引き出し電極を引き回して配置し、位置検出電極および引き出し電極を被覆して枠状の幅に加熱溶解型接着層を形成したので、フレキシブル配線板全体を接着領域として利用でき、かかる位置検出電極の表面に金属粒子を含んだ導電性塗料を付着することで、金属粒子が加熱溶解型接着層を貫通して位置検出電極と透明電極膜を接続でき、接続領域を接着領域に重ねて配置できる。
これにより、フレキシブル配線板に枠状の幅全体の接着領域が確保できるので、上基板あるいは下基板の接着強度は大幅に向上する。その結果、位置検出電極や引き出し電極を形成する領域を接着領域内に形成できるので、フレキシブル配線板の枠状の幅を最小値に抑えることが可能となり、フレキシブル配線板の枠幅も狭小化が可能となり、上下基板の接着強度を十分に保ったタッチパネルの狭小額縁が実現できる。
また、金属粒子が加熱溶解型接着層を貫通して位置検出電極と透明電極膜とを接続する構造を採るので、位置検出電極と透明電極膜との電気的な接続は圧着による機械的な接続となり、確実な電気的接続が実現できる。
この結果、上下基板とフレキシブル配線板の最小構成要素でタッチパネルを実現できるので、高級なガラスーガラス構造のタッチパネルの価格を大幅に引き下げられる。
製造方法上の効果は以下の通りである。
本発明に依れば、透明電極膜をパターン形成のためのエッチングをすることなくマザー基材から個別タッチパネルと略同じサイズの片面に透明電極膜を有する上基板と下基板に切断する工程と、枠状の両面に位置検出電極と引き出し電極が形成され、位置検出電極の表面に金属粒子を含む導電性塗料を付着し、位置検出電極および引き出し電極を被覆して加熱溶解型接着層を形成した枠状のフレキシブル配線板を準備する工程と、フレキシブル配線板を上基板と下基板の間に配置し、上基板および下基板を加熱加圧して接着を行い、同時に導電性塗料に含まれた金属粒子を加熱溶解型接着層を貫通させて電気的に接続する工程の全3工程でタッチパネルの製造が可能となる。これにより、エッチング工程のない最小工程数でのタッチパネルの製造方法を確立できる。
また、ドットスペーサーの形成や、透明電極膜のパターン形成の工程が製造工程より除外されるので、一連の多くの工程を有するフォトエッチング工程が不要となり、工程数の大幅な削減や、それによる設備投資および製造のコストの大幅な減少に繋がる。
具体的には、多くの工程を有するエッチング設備を排除できる結果、約60mあったエッチング設備のスペースを有効に利用でき、また、従来の製造方法では420秒要していた製造時間を半分以下の約180秒まで縮めることができる。
更に、上下基板とフレキシブル配線板の接着工程において、上基板、下基板およびフレキシブル配線板を略同じ大きさに形成しているので、上基板と下基板とその間にフレキシブル配線板をはさんで単に重ねるだけで位置合わせする必要はない。そして、上下基板から外周部分のみ加熱加圧して接着を行うため、上下基板とフレキシブル配線板とを一体に接着できる。この工程で同時に導電性塗料に含まれた金属粒子を加熱溶解型接着層を貫通させて、位置検出電極と透明電極膜を電気的に接続するので、接着と接続を単一の工程で実現できる。
更に、位置検出電極の上に導電性塗料を付着しているので、位置検出電極からのみ金属粒子が加熱溶解型接着層を貫通して透明電極膜と機械的に接触をするために、導電性塗料のあるところが自動的に位置検出電極となり、位置合わせは一切不要になるセルフアラインを実現できる。従って、従来のように位置検出電極の部分と接着層とを重ならないようにする必要性もなくなる。
更に、上下基板とフレキシブル配線板の接着工程において、上下基板をフレキシブル配線板のある外周部分のみ加熱加圧して接着を行うため、タッチパネルの中央部分は加熱加圧されないので、上基板のタッチ領域となる部分が下基板側に湾曲しない。これにより、上基板と下基板の隙間がフレキシブル配線板の厚みに保持されるので、従来の製造工程から空気の封入工程および開口部の封止工程も除外できる。
また、本発明に依れば、上基板と下基板の大きさを略同じサイズとし、マザー基材であるガラス板は個別タッチパネルの上基板あるいは下基板の大きさの略整数倍の大きさに設定される。フレキシブル配線板の枠の一部に外部取り出し電極を突出させ、上基板と下基板の間に配置させたので、従来のタッチパネルに設けていた下基板のひさし部が不要となる。これにより、ガラス板から上下基板をカットする際に上基板の一部をカットする必要がなくなり、マザー基材であるガラス板の廃棄をほぼゼロにできる。
以上に詳述する効果により、本発明の製造方法で製造されたガラスーガラス構造のタッチパネルでは高価な薄いガラス板を用いても製造工程数を最小限に低減できるのでフィルムーガラス構造のタッチパネルと十分に価格で対抗できるガラスーガラス構造のタッチパネルを実現できる大きな利点が生み出せる。なお、本発明の製造方法をフィルムーガラス構造のタッチパネルに応用しても同様に製造工程数を削減でき、コストを大幅に下げることもできる。
図1〜図5を参照して本発明のタッチパネルの構造について説明する。
図1は本発明のタッチパネルを説明する平面図である。
本発明のタッチパネルは、片面に透明電極膜を設けた上基板と、片面に透明電極膜を設けた下基板と、一主面にX方向の位置検出電極を2本対向させ、前記X方向の位置検出電極から外部取り出し電極まで引き出し電極を引き回して配置し、反対主面にY方向の位置検出電極を2本対向させ、前記Y方向の位置検出電極から外部取り出し電極まで引き出し電極を引き回して配置し、前記X方向および前記Y方向の位置検出電極の表面に金属粒子を含む導電性塗料を付着し、前記X方向および前記Y方向の位置検出電極および引き出し電極を被覆して加熱溶解型接着層を形成した枠状のフレキシブル配線板を備え、前記導電性塗料の金属粒子で前記加熱溶解型接着層を貫通して前記X方向あるいは前記Y方向の位置検出電極と前記上基板あるいは下基板の透明電極膜とを電気的に接続し、前記加熱溶解型接着層で前記フレキシブル配線板を挟んで前記上基板および下基板を一体に接着することを特徴とする。
図1に示すように、タッチパネル1は、片面に透明電極膜21を設けた下基板20と、下基板の透明電極膜上に重ねた枠状のフレキシブル配線板30と、フレキシブル配線板上に重ねた片面に透明電極膜11を設けた上基板10で構成されている。
上基板10および下基板20は、マザー基材であるガラス板2、3より略同じサイズに切り出したものである。具体的には、上基板10および下基板20のサイズは190mm×120mmであり、ガラス板2、3のサイズは380mm×240mmであるので、1枚のガラス板より上基板および下基板は4枚切り出せる。
ガラス板2、3は、上基板10として厚みが0.2mmの透明なガラス材を用い、下基板20として厚みが1.1mmの透明なガラスを用いる。それぞれのガラス板2、3の裏面には、透明電極膜11、21が形成されている。なお、ガラス板にフィルムではなくガラスを用いたことで、片面に形成した透明電極膜を上下基板の切り出しラインでエッチングしなくても、ダイヤモンドカッターでガラス板をダイシングし、各基板サイズに分割すると同時に透明電極膜を一緒に分割することができる。ただし、小型のタッチパネルの場合は上下基板10、20の周辺部の透明電極膜11、21を剥離防止のためにエッチング除去する場合もある。
なお、ここではマザー基材としてガラス板で説明をしているが、フィルムでも樹脂板でも本発明は適用できる。
フレキシブル配線板30は、上基板および下基板のタッチ領域となる部分の外周を枠状に囲った形状であり、枠状部分は幅2.5mmで全周を一定幅で形成され、その枠状部分の一部より幅2.5mm、長さ15mmに長方形状に突出した外部取り出し電極用の端子板31が形成されている。フレキシブル配線板のベースフィルムには厚さ25μmのポリイミド樹脂を用いる。また、端子板31の裏面には約175μm厚のポリイミド樹脂フィルムを貼り付けて、外部取り出し電極36、37の補強を行っている。なお、フレキシブル配線板については後述の図2および図3で詳細に説明をする。
X軸位置検出電極32あるいはY軸位置検出電極34は、フレキシブル配線板30のベースフィルム上に銀ペーストなどをスクリーン印刷して形成される。フレキシブル配線板の一主面にはX軸の位置検出電極32を2本対向させ、反対主面にはY軸の位置検出電極34を2本対向させる。位置検出電極32、34の表面に導電性塗料40が塗布される。具体的には、各位置検出電極は厚さ0.015mmのAg配線をスクリーン印刷により形成される。
導電性塗料40は、銀とニッケル粒子41とバインダーが混合されたものを用いる。
加熱溶解型接着層39は、フレキシブル配線板のベースフィルム上であって、X軸およびY軸位置検出電極32、34と引き出し電極33、35に重畳して、フレキシブル配線板の枠状の幅に層状に形成される。加熱溶解型接着層にはホットメルト樹脂を用いる。
かかる導電性塗料40は、加熱前の初期の状態では絶縁性の性質を有しており、一定の圧着条件のホットヒーターで加熱加圧することにより、バインダーが溶解して導電性の性質へと変化し、上下基板と接着されると同時に透明電極膜と導通される。なお、この接続動作原理については後述の図5で詳細に説明する。
X軸あるいはY軸の引き出し電極33、35は、位置検出電極32、34から引き回して配置され、位置検出電極と同時に、フレキシブル配線板30のベースフィルム上に銀ペーストなどをスクリーン印刷によりAg配線を施す。なお、引き出し電極は透明電極膜11、12と導通する必要がないので、その表面に導電性塗料40を塗布する必要はなく、直接、絶縁性の加熱溶解型接着層39で被覆されている。
X軸あるいはY軸の外部取り出し電極36、37は、フレキシブル配線板30の端子板31の裏面に並べて設けられ、位置検出電極と同様にベースフィルム上にスクリーン印刷によりAg配線が施される。X軸の外部取り出し電極36は、スルーホール電極38を用いてX軸の引き出し電極33に接続される。なお、端子板31は上下基板10、20間から突出するので、突出部分には機械的な強度を持たせるためにUV樹脂(図示せず)で補強する。
次に、図2および図3を用いて本発明のフレキシブル配線板の構造について説明する。図2(A)は本発明の枠状のフレキシブル配線板の表面を説明する平面図であり、図2(B)はその断面図である。図3(A)は本発明の枠状のフレキシブル配線板の裏面を説明する平面図であり、図3(B)はその断面図である。
図2(A)に示すように、枠状のフレキシブル配線板30の表面側には、右辺および左辺に沿ってX方向の位置を検出するためのX軸位置検出電極32が2本設けられている。そして、X軸位置検出電極32から枠状のフレキシブル配線板30の周辺に沿って引き出し電極33で引き回されて、枠の一部より突出した端子板31の裏面に形成されたX軸の外部取り出し電極36に接続される。なお、X軸の外部取り出し電極36は端子板31の裏面にあるため、スルーホール電極38を用いて引き出し電極33と接続される。
そして、X軸位置検出電極32あるいはX軸引き出し電極33に重畳して、枠状の幅に加熱溶解型接着層39が形成される。加熱溶解型接着層には絶縁性の接着層を用い、フレキシブル配線板30の枠状の部分にのみ形成される。従って、接着時に上下基板から突出して配置される仮端子31には、加熱溶解型接着層を形成する必要はない。具体的には、加熱溶解型接着層39にはホットメルト樹脂が用いられ、0.0325mmの厚さで2.5mmの幅の層が枠状のベースフィルムの表裏面に形成され、フレキシブル配線板30の厚さh1としては0.090mmとなる。
本発明のフレキシブル配線板30は、枠状の幅全体に接着層を設けているため、十分な接着領域を確保できる。これにより、狭小額縁であっても上基板あるいは下基板とフレキシブル配線板との接着強度が大幅に増し、タッチパネルの押圧操作にも十分耐えうる接着強度を提供できる効果がある。
図2(B)の断面図は、図2(A)のX−X線で示す部分に対応している。図に示すように、フレキシブル配線板のベースフィルムの表面にはX軸位置検出電極32が形成され、ベースフィルムの裏面にはY軸の引き出し電極35が形成されている。X軸位置検出電極32の表面には、位置検出電極の形成幅に導電性塗料40が塗布されており、導電性塗料40の中には銀、ニッケル粒子41、バインダーが混合されている。ニッケル粒子41は導電性の性質を有するが、接着前の状態ではニッケル粒子はバインダーの層で覆われている。
そして、位置検出電極あるいは引き出し電極を重畳して、枠状の幅に、絶縁性の加熱溶解型接着層39が形成されているため、フレキシブル配線板30を上下基板の間に挟んだだけでは透明電極膜と位置検出電極とは導通しない。
なお、ここではベースフィルム表面のX軸位置検出電極32とベースフィルム裏面のY軸引き出し電極35の中心位置を一致させて配置した状態を図に示しているが、ベースフィルムに絶縁性の素材を用いているので、両者は絶縁されている。この場合には、X軸位置検出電極32とY軸引き出し電極35重ねているので接着強度を低下させることなく、両者をずらせて配置したときより更に狭小額縁のタッチパネルを実現できる。
図3(A)に示すように、枠状のフレキシブル配線板30の裏面側は、上述の表面側と同様に、上辺および下辺に沿ってY方向の位置を検出するためのY軸位置検出電極34と引き出し電極35が形成され、端子板31の裏面に形成されたY軸の外部取り出し電極37に接続されている。なお、Y軸の外部取り出し電極37は端子板31の裏面にX軸の外部取り出し電極36と並べて設けられている。
図3(B)の断面図は、図3(A)のY−Y線で示す部分に対応している。図に示すように、フレキシブル配線板のベースフィルムの表裏面には、位置検出電極あるいは引き出し電極に重畳して、枠状の幅に、加熱溶解型接着層39が形成されている。なお、図2に示した枠状のフレキシブル配線板30と図3に示した枠状のフレキシブル配線板30とは裏返しをした関係にあるので、導電性塗料40はいずれも上側にある。
なお、詳細については上述の表面側と同様であるので省略する。
次に、図4および図5を用いて、本発明の特徴である位置検出電極と透明電極膜の接続動作原理について説明する。図4は本発明のガラス基板を用いたタッチパネルの断面図である。図5(A)は本発明の枠状のフレキシブル配線板が接着される前の状態を説明する一部拡大断面図であり、図5(B)はその接着された後の状態を説明する一部拡大断面図である。図4の断面図は、図1のA−A線で示す部分に対応しており、図5(A)、(B)の一部拡大断面図は、図4の点線で囲った部分に対応している。
図4に示すように、完成されたタッチパネル1の上基板10と下基板20はフレキシブル配線板30の加熱溶解型接着層39により十分な幅をもって強固に接着され、フレキシブル配線板の位置検出電極32、34と上下基板の透明電極膜11、21は確実に電気的に接続されている。
しかしながら、前述したように、フレキシブル配線板30の表裏面は絶縁性の加熱溶解型接着層39で覆われている。このため、図5(A)に示すように、上下基板と接着される前の状態では、位置検出電極と透明電極膜の間に加熱溶解型接着層39が存在し、導通していないことがわかる。かかる構造をしたフレキシブル配線板30は、定められた圧着条件で加熱、加圧することにより、位置検出電極と透明電極膜が確実に接続できる。
ここで、図5(B)を用いて、その接続動作原理について説明する。
まず、定められた圧着条件で上基板10と下基板20の外周部を枠状にヘッドヒータで挟み込み(図6(D)参照)、加熱、加圧を行う。具体的には、圧着条件は150℃〜160℃の温度で13秒間とする。
この圧着条件で加熱、加圧を行うと、導電性塗料40中のバインダーは溶解してニッケル粒子41が表面より突出する。また、位置検出電極32、34と透明電極膜11、21の間にある加熱溶解型接着層39も加熱加圧により溶解し、圧縮される。そして、図5(B)に示すように、突出した硬質のニッケル粒子41が加熱溶解型接着層39を貫通し、位置検出電極と透明電極膜はニッケル粒子を介して確実に導通される。
このニッケル粒子41は平均粒径が20〜30μmの範囲で選ばれ、硬質のために加圧されてもそのままの形状を維持するので、加熱溶解型接着層39を貫通する。銀はこのニッケル粒子41の周囲に留まり、ニッケル粒子41の隙間を埋めるので、位置検出電極と透明電極膜の接続をより確実に行う。
かかる接続動作原理を利用すれば、位置検出電極32、34と透明電極膜11、21は確実に電気的な接続ができ、一方、引き出し電極33、35と透明電極膜11、21は加熱溶解型接着層39により確実に絶縁できる。その結果、従来のタッチパネルの製造では必要であった、上下基板の接着工程の前に位置合わせする工程を除外できる。すなわち、セルフアラインを実現できる。
また、位置検出電極と引き出し電極とを重ねて配置する場合は、ずらして配置した場合に比べて、圧着時に不要の力が段差部分に加わらないので断線の恐れも排除できる。
更に、加熱溶解型接着層39は、上下方向からの加熱、加圧により圧縮された後、冷却されフレキシブル配線板30の高さをh2に保つ。具体的には、加熱、加圧前のフレキシブル配線板30の厚さ(h1)は0.090mmであるが、加熱、加圧により60〜70%まで圧縮され、その厚さ(h2)は0.054〜0.063mmとなる。
上下基板のギャップは、圧縮後のフレキシブル配線板30の高さh2に維持されるため、従来のタッチパネルの構造では安定したギャップを保持するために必要であったドットスペーサーやスペーサー用のビーズを不用にでき、シール剤の一部に設ける空気封入用の開口部も不要にできる。
上述した構造のタッチパネルでは、タッチパネルのタッチ領域の任意の点を指またはペン等で押圧操作すると、その点において上基板の透明電極膜と下基板の透明電極膜とが接触してオン状態となる。この透明電極膜の抵抗値がフレキシブル配線板の位置検出電極で検出され、その点のX座標およびY座標を知ることができる。座標情報はフレキシブル配線板の各引き出し電極、外部取り出し電極を介して入力装置のCPUへと送られ、座標情報に対応する処理が行われる。
なお、押圧操作を止めると上基板の透明電極膜と下基板の透明電極膜とが離れてオフ状態となり、座標情報に対応する処理は終了する。
次に、図6を参照して本発明の製造方法の一例について説明する。
図6は、本発明のガラス基板を用いたタッチパネルの各製造工程を説明する工程フロー図を示している。
まず、図6(A)、(B)に示すように、マザー基材であるガラス板2、3から上基板10と下基板20に分割する工程では、厚さの異なる2枚のガラス板2、3の片面全体に透明電極膜11、21となる酸化インジューム等を片面全体に蒸着してITO膜を形成する。その後、ITO膜をエッチングすることなく、それぞれのガラス板から個別のタッチパネルと略同じサイズの片面全体にITO膜を有する上基板10と下基板20に分割する。
ガラス板2、3は、上基板10として厚みが0.2mmの透明なガラス材を用い、下基板20として厚みが1.1mmの透明なガラス材を用いる。それぞれのガラス板2、3の片面全体には、透明電極膜11、21が形成されている。ガラス板2、3のサイズは、上基板10および下基板20の大きさの略整数倍の大きさに設定され、上基板10と下基板20とは略同じサイズになっている。具体的には、上基板10および下基板20のサイズは190mm×120mmであり、ガラス板2、3のサイズは380mm×240mmであるので、1枚のガラス板より上基板および下基板は4枚切り出せる。
なお、上基板10と下基板20の大きさはタッチパネルの大きさに応じて適宜必要な寸法となる。
上基板10は、厚さ0.2mmのガラス板2の透明電極膜11をエッチングすることなく、片面全体に透明電極膜を残した状態で上基板10のサイズに分割される。
下基板20も、厚さ1.1mmのガラス板3の透明電極膜21をエッチングすることなく、片面全体に透明電極膜を残した状態で下基板20のサイズに分割される。
本工程では、従来のタッチパネルのように、上基板および下基板の透明電極膜にX方向およびY方向の位置を検出する位置検出電極と、各位置検出電極から各基板の周辺に沿って引き出し電極とを形成する必要がないため、上基板および下基板の透明電極膜を透明電極のパターンにエッチングする工程が不要である。ただし、小型タッチパネルでは透明電極膜の剥離を防止するために上下基板10、20の周辺部分の透明電極膜をエッチング除去する場合がある。
この結果、基板を洗浄し汚れを除去して乾燥させた後、基板にフォトレジストを塗布してその表面を乾燥させ、その後パターンを露光、現像し、露光されない部分のフォトレジスト層を除去し、残存したフォトレジスト層をマスクとして塩酸等の溶液でエッチングを行い、残存するフォトレジスト層を水酸化ナトリウム等の溶液に浸して除去した後、基板の洗浄を行い薬品や汚れを除去するといった一連の工程を含むフォトエッチング工程が除外できる。
次に、フレキシブル配線板30を準備する工程では、一主面にX方向の位置検出電極32と引き出し電極33が形成され、反対主面にY方向の位置検出電極34と引き出し電極35が形成され、かかる位置検出電極と引き出し電極に重畳して枠状幅に加熱溶解型接着層39を形成した枠状のフレキシブル配線板であって、その枠の一部より突出した端子板31に引き出し電極33、35を延在させて外部取り出し電極36、37を形成したフレキシブル配線板30を準備する。なお、位置検出電極の表面には導電性塗料が塗布されている。
フレキシブル配線板30は、上基板および下基板のタッチ領域となる部分の外周を枠状に囲った形状であり、枠状部分は幅2.5mmで全周を一定幅で形成され、その枠状部分の一部より幅2.5mm、長さ15mmに長方形状に突出した外部取り出し電極用の端子板31が形成されている。端子板31の裏面には約175μm厚のポリイミド樹脂フィルムを貼り付けて、外部取り出し電極36、37の補強を行っている。
一主面に設けるX方向の位置検出電極32と引き出し電極33および反対主面に設けるY方向の位置検出電極34と引き出し電極35は銀ペーストを用いてスクリーン印刷により付着された後、焼成した銀配線として形成される。なお、外部取り出し電極36、37も同時にスクリーン印刷で形成される。その後、X方向の位置検出電極32およびY方向の位置検出電極34上に導電性塗料40をスクリーン印刷し、枠状のフレキシブル配線板上に全体に加熱溶解型接着層39を形成する。導電性塗料40中のニッケル粒子41が加熱溶解型接着層39を貫通して透明電極膜11、21の位置検出電極として接触して働くので、フレキシブル配線板30の位置検出電極32、34とは精度良く位置合わせをしなくても一部で重なり、電気的な接触があれば良い。
なお、一主面に設けるX方向の位置検出電極32と引き出し電極33、反対主面に設けるY方向の位置検出電極34と引き出し電極35および外部取り出し電極36、37をフレキシブル配線板30のベースフィルムの両面に設けた銅箔をエッチングし、その表面をニッケルメッキして形成しても良い。この場合もフレキシブル配線板30はプリント基板製造メーカーから供給をされるので、タッチパネル製造メーカーではエッチング工程は不要であり、プリント基板製造メーカーでは銅箔のエッチングは既存の設備で行えるので工程設備での問題はない。
なお、フレキシブル配線板の枠の一部より端子板を突出させたことで、従来のタッチパネルでは必要であった下基板の外部電極の接続部が不要となる。これにより、下基板のひさし部の形成が不要となり、ひさし部を露出するために上基板の一部をカットすることも不要になる。その結果、ガラス板から上基板および下基板を分割する際に、ガラス板の廃棄量をほぼゼロにできる。なお、ガラス板2、3の周辺部には欠けなどが発生するので、周辺部を数mm幅だけ除去する必要があり、この周辺部の切り落としが廃棄されるガラス板のすべてである。
更に、図6(C)に示すように、上基板10と下基板20の接着を行う工程では、下基板20の透明電極膜21上であって、その外周部にフレキシブル配線板30を重ね、更に上基板10を重ねて配置し、フレキシブル配線板30のある外周部分をプレートで加熱、加圧して、上基板10とフレキシブル配線板30と下基板20の接着を行い、同時にX軸あるいはY軸位置検出電極32、34と透明電極膜11、21とを電気的に接続する。
本工程では、上基板10、フレキシブル配線板30および下基板20を単にそれらの外周部分を揃えて加熱治具42内に配置する。そして、図6(D)に示すように、フレキシブル配線板30が位置する上基板10および下基板20を選択的に溶解温度を有するヒータヘッド43により一定時間加熱、加圧して固定し、上基板10とフレキシブル配線板30と下基板20の接着を行うので、枠状のフレキシブル配線板30のみが加圧され、タッチ領域となる中央部は加圧されない。これにより薄い上基板10は外側に引っ張られるために上基板10と下基板20のギャップは略フレキシブル配線板30の加熱溶解型接着層39の厚みに規制される。このために上基板10と下基板20のギャップは従来用いていたドットスペーサーやスペーサー用のビーズを用いなくても形成でき、このギャップが維持できることで加熱溶解型接着層39には従来の開口部を設けることも必要なくなる。
本工程では、フレキシブル配線板30の位置検出電極32、34および引き出し電極33、35に重畳して形成した加熱溶解型接着層39が位置する部分をヒータヘッド43で挟み、具体的には150℃〜160℃で13秒加熱、加圧する。位置検出電極表面の導電性塗料40中のバインダーと加熱溶解型接着層39が溶解し、導電性塗料40中のニッケル粒子41が露出し、硬質のニッケル粒子が加熱溶解型接着層39を貫通する。これにより、位置検出電極32、34と透明電極膜11、21はニッケル粒子41及びその周辺の銀を介して電気的に接続する。
なお、位置検出電極と透明電極膜は上述の接続動作原理により確実に接着されるので、位置合わせの工程が不要となり、セルフアラインを実現できる。