JP5487377B2 - 人工飼育水による養殖システム - Google Patents
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Description
また、海に生息する魚を陸上で飼育する場合もあったが、海水魚の飼育においては海水が必須と考えられ、内陸部での飼育では大量の海水が必要となるため安価な飼育ができずにいた。
この人工海水では、天然海水の状態に近づけるため、一般的に、天然海水に含有する塩類と同等の塩類を同量となるように含有させていた。
即ち、天然海水では、一般に最も多く含有している塩化ナトリウムが比重1.02〜1.03の海水1(kg)中に約23〜28(g)である。また、天然海水中の他の塩類としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、臭化マグネシウムなどが挙げられ、これら塩化ナトリウムを含む全塩類の含有量は、通常海水1(kg)中35(g)前後、即ち重量比で35(‰)である。そこで人工海水も原則として、このような天然海水の成分組成に準拠して調合していた。
また、従来の人工海水を用いた人工的な海棲生物の受精では、経時段階的な異常卵が高頻度で出現し、例えば、天然海水以外の人工海水に過敏に反応するウニ卵では、極めて微量の生理的有害成分に対しても鋭敏に反応するので、正常な受精・発生率が得られ難く、所定時間内にプルテウス幼生期に到達する率が低く、また同じ条件にて行う天然海水での実験と比較して発生段階に遅延がみられる等、天然海水に比した人工海水独自の問題点を有していた。
また、人工海水の温度を、1年を通して快適な温度(20℃前後)に保つためには、冬場は加温機によって人工海水を温め、夏場の暑い時期には人工海水の温度が上昇しすぎるので冷却装置により人工海水を冷やさなければならなず、人工海水の温度を調節するために必要な灯油や電気等のエネルギーが必須となり、養殖にかかるコストを抑えることがなかなかできないという問題点を有した。
しかしながら、天然海水を希釈して用いるとしても、少量ではあっても陸路により天然海水を運搬するための輸送コストが必須となり、また、天然海水の輸送コストを抑えるためには、飼育槽を設置する場所は交通の利便の良いところにする必要が生じ、養殖所を設置する場所に制限が出来てしまうという問題点を有する。更に、希釈するための水道水等も必要となり、更には、希釈槽の設備化や防疫上の問題は避けて通れない。
そこで更に思考を加え、内陸部でも容易に確保できる水道水や河川水あるいは地下水に活性塩類を添加し、しかも低比重を実現できれば、低コスト型飼育水を得ることができるのではないかとの思いに至った。
そこで、海水では放射性同位元素を除き約60種有る組成の中から、魚類の浸透圧にかかわるものを割り出し、必要最低限の成分を加えることが最良との思いに至り、種々の実験を重ねた。
また、一方では、飼育水の温度管理を快適な温度付近で1年を通して一定にすることに思い至った。
飼育槽内に満たされ海水性生物及び淡水性生物の人工飼育に用いる飼育水であって、飼育水中にカルシウムを0.1002(g/l)以上、カリウムを0.09419(g/l)以上の割合で含有すると共に、比重が1.004以上天然海水比重以下となるようにカルシウム、カリウムに加えナトリウムを含有する人工飼育水と、
飼育槽内に満たされた人工飼育水を循環させる飼育水循環装置と、
飼育槽内に満たされた人工飼育水を濾過する濾過装置とを備えることを特徴とする人工飼育水による養殖システム、
そして、これらを成分とする人工飼育水は、地下、廃坑となった坑道、あるいは、洞窟等地表から3(m)入った地表内部に設けた飼育槽内に満たされて養殖魚の飼育が行われる。地表から3(m)入った内部では、好ましくは5(m)ほど内部へ入った地表内部では、地熱等の影響および地表の断熱効果により外気の影響を余り受けず、周囲温度が通念を通して略18℃程度の一定に保たれる。勿論、地中内部の深さは、飼育槽を設置する地域・土地等によって様々であるが周囲温度が15℃から30℃であれば良好な環境である。
更にまたこの発明では、天然海水中に多く含まれるマグネシウムを添加し天然海水の成分に近づけた人工飼育水として、
同様に、発明者は各成分の存在比を調整して様々な魚種について好適な環境水を試作して実験を行った結果、魚種によっては、とりわけトラフグにおいては更に比重が軽く、各成分の含有量が少なくても飼育に影響を与えないことを知見するに至ったので、
また、観賞魚である海水性熱帯魚を飼育する際に利用することで、塩類の濃度の濃い天然海水あるいは人工海水では濾過装置の回り等に大量に付着する固形塩類の付着を少なくでき、飼育時の固化した塩類による錆びを低減できる等の効果を有すると共に、水槽回りの外観を損ねることが無いというこの発明特有の効果を奏する。
そして、地下空洞や廃坑となった坑道あるいは洞窟内に養殖用の飼育槽を設置して該人工飼育水を満たして養殖を行うので、該人工飼育水の温度を1年を通して適度な温度に保ち養殖が可能となるので、養殖魚の発育が良好となる本願特有の効果を有する。
特にトラフグを飼育するための人工飼育水では、更に塩類の濃度を下げても実施でき、溶解させる塩化ナトリウムを1.781(g/l)、同塩化カルシウム2水和塩を0.092(g/l)、塩化カリウムを0.045(g/l)として実施できる。
上記実施する人工飼育水を、容量約4800(t)の飼育槽(畜養水槽)に満たす。
また、飼育槽(畜養水槽)の水を循環させるための飼育循環装置を備える。この飼育循環装置は、飼育槽(畜養水槽)の一部から循環路を分岐して再び飼育槽(畜養水槽)に戻すように構成し、更に該循環路途中に循環ポンプ等の動力部を備えて強制的に飼育槽(畜養水槽)内の人工飼育水を再び飼育槽(畜養水槽)に戻して循環させる。
そして、該循環路の途中に濾過装置を設け、循環させた際の人工飼育水を濾過して魚粉や食い残しの餌の分離除去を可能とし、更に、pH調整等を行えるように、濾過装置内に粒状のサンゴ等からなるpH調整剤を通過させることで、人工飼育水のpHを整えて養殖に適した環境を構築する。
図1は観察実験に使用する水槽及び濾過装置の模式図を表し(a)は側面説明図、(b)は平面説明図であり、図2は成長率を比較した説明図であり、図3はアンモニアの平衡状態を表す説明図であり、図4は人工飼育水による養殖システムを表し(a)は同システムの側面説明図であり(b)同システムの平面説明図である。
しかしながら、人工海水も、従来天然海水に少しでも近づけることで飼育に良好な環境が得られると考えられていたので、天然海水と同等な複数の塩類を天然海水と同じ濃度となるように溶解させるため、人工海水にかかわるコストもやはり膨大となっていた。
そこで発明者は、人工海水を天然海水に近づけるのではなく、マダイやハマチなど食用海水魚を天然海水とは異なる低塩類低濃度の環境で飼育(養殖)できないかを試みることに思い至った。
尚、以下に表す各実験では、図1に表すように、100(l)程度の水槽に密閉式濾過槽からなる濾過フィルターを使用して実験を行った。そして、濾過フィルター中にはセラミックを加え調整長期に亙り飼育水のpH調整が可能とした。尚、図1には、泡沫分離装置4が記載されているが、泡沫分離装置4は飼育水を長期に亙り使用するために飼育水中の魚糞や余剰餌等の浮遊物を除去するためのものであり、短期間の実験では使用していない。また、飼育水冷却装置5も記載されているが、これは夏場の屋外に設置した水槽では飼育水の温度が上昇しすぎるため、飼育水温度を実験環境に合わせて一定に保つために設置したものである。
そこで発明者は必須成分の割り出しに際して、哺乳類及び魚類の体液と天然海水の成分とを比較することに思い至った。そして、更に添加する塩類の種類を減少させるべく、更に添加する塩類の種類を減少させるべく、前記6元素から魚類の必須元素及びその存在度を特定する実験を試みた。
哺乳類や魚類の体液は、塩化ナトリウム、カリウム、リン酸を主体としていることが既知である。また、また希釈天然海水の組成にもこれらの成分が有り、主に存在する成分がナトリウム(2.625(g/l))、塩素(4.750(g/l))、カリウム(0.0998(g/l))、カルシウム(0.103(g/l))、マグネシウム(0.320(g/l))、硫酸塩(0.674(g/l))であることが解った。発明者は、これら成分から、魚類が生存するのに適するためには魚類の浸透圧に拘る成分を調整して人工飼育水を作ることに思い至った。
なお、リン酸は給餌による魚類の代謝から補給されると考え、添加は行なわなかった。
その結果、該マダイは斃死することもなく異常が認められず、良好な飼育が行えた。
なお、リン酸は給餌による魚類の代謝から補給されると考え、添加は行なわなかった。
そして、該人工飼育水中に体長10(cm)のマダイ5(尾)を放し飼育を実施した結果、約3週間斃死等の問題が認められず体色も良好で順調に生育しており、良好な飼育環境であることが確認できた。
塩化ナトリウム 7.0587(g/l)
塩化カルシウム2水和塩 0.3641(g/l)
塩化カリウム 0.18125(g/l)
のみを添加して飼育を試みた。この時の飼育水のpHは6.45、比重は1.004であった。
その結果、飼育した体長12(cm)の3(尾)のマダイは、餌食いは良好であったが、約2週間目から頭皮の欠損症状が現れ、3週間目に斃死した。
そこで、塩化ナトリウムが体内から排出されてしまうのであるから、予め塩化ナトリウムを添加せずに飼育水を作成し海水魚を飼育することを試みた。これによれば、前記6元素4試薬の飼育水中最も添加量の多い(人工飼育水作成費用が嵩む)塩化ナトリウムを必要とせずに人工飼育水が開発できるものと予想した。
即ち、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウムを全く添加せず、塩化カルシウム2水和塩を0.3641(g/l)、塩化カリウムを0.18125(g/l)のみ添加し、人工飼育水を作成して12(cm)のマダイ3(尾)を飼育した。
その結果、即座に平衡感覚を失い仰向けとなり、1時間後には斃死してしまった。
塩化ナトリウムを 7.0587(g/l)
塩化カルシウム2水和塩を 0.3641(g/l)
塩化カリウムを 0.18125(g/l)
添加した人工飼育水(以後、3試薬による人工飼育水という。)での飼育が、当初良好であり2週目以降に悪化し3週間に斃死した状況であり、塩化ナトリウム及び硫酸マグネシウムを全く加えない人工飼育水による飼育して直ぐに斃死してしまった結果とは異なっていることに着目し、3週間飼育した後の3試薬による人工飼育水を詳しく調べてみたところ、飼育前には6.45であったpHが、3週間後のマダイ斃死時には4.8にまで減少していた。
これを受け、マダイが生存できるpHを実験した結果、pH5.0乃至pH8.4程度であることが判明し、先の3試薬による人工飼育水を用いた実験を再び行った。その際に、使用した濾過装置に用いた棒状セラミックスに加え、小豆台の天然サンゴ砂も加えて濾過装置とし、サンゴの主成分である炭酸カルシウムが徐々に人工飼育水中に溶け出してpH調節が可能な状態(pH調整剤としての働きを行う状態)で飼育実験を行った。被検体は、体長15(cm)のマダイ2(尾)と、体長10(cm)のヒラメ10(尾)をそれぞれ別水槽に収容した。
その結果、マダイ、ヒラメ共に2ヶ月以上の長期に亙り斃死等の発生もなく順調に飼育でき、約2ヶ月間でマダイの体長が25(cm)、ヒラメの体長が15(cm)となり良好な発育が見られた。
塩化ナトリウムを 7.0587(g/l)
塩化カルシウム2水和塩を 0.3641(g/l)
塩化カリウムを 0.18125(g/l)
を添加した比重1.004の人工飼育水中で海水魚の良好な飼育が可能であることが突き止められたので、飼育用の水槽を1000(l)の大型とし、濾過装置を重力落下式として通常用いる濾過フィルターに棒状セラミックス25(l)と前記サンゴ砂5(l)を加えて構成し、更に長期に亙る飼育実験を行うために泡沫分離装置を加えて人工飼育水を濾過しながらオゾンを添加して長期飼育を試みた。
海水魚では、マダイ、イシダイ、イシガキダイ、サラサハタ、ヒラメ、トラフグ、オニオコゼ、カクレクマノミ、チョウチョウウオ科5種、スズメダイ4種、ゴマハギ、モンガラカワハギ、ルリヤッコ、ハリセンボン、ハコフグ、クダゴンベ、マハゼであり、
甲殻類では、イシガニであり、
淡水魚では、コイ、金魚(ランチュウ、子赤)、ネオンテトラ、ブラックテトラ、アーリーシクリット、スジシマドジョウである。
このように3試薬による人工飼育水では、淡水魚から海水魚まであらゆる環境の魚類の飼育が可能であることが解り、しかも淡水魚及び海水魚を同一の水槽にて飼育しても問題ないことが知見された。
特にトラフグに関しては、塩化ナトリウムを1.781(g/l)、硫酸マグネシウム7水和塩を0.426(g/l)、塩化カルシウム2水和塩を0.092(g/l)、塩化カリウムを0.045(g/l)添加した3.5(‰)の低濃度人工飼育水でも飼育が可能であることが実験から確認でき、更には硫酸マグネシウム7水和塩を添加しなくとも飼育可能であることも実験から知見された。
即ち、
1.3試薬による人工飼育水(トラフグ飼育用の更に希釈された飼育水も含む)による飼育では、すべての魚において、魚病の発生がない。
一般的に魚病性疾患の原因は細菌性、ウイルス性、繊毛類等の原生動物と寄生節足動物に分類される。さらには、腸炎ビブリオ等の一部例外を除き海水性と淡水性に大別される。
そこで、マダイ蓄用槽の人工飼育水における一般細菌数(標準平板菌数)を測定したが、細菌の検出は認められなかった。
また、夏場、海面養殖で問題となる単生類ベネデニア症(Benedenia)に感染しているキイロハギを前記3試薬による人工飼育水に収容して飼育すると、一瞬にして体表から寄生しているベネデニアが剥がれ落ち完全に治癒した。これは急激な浸透圧の変化による寄生虫へのダメージと推察される。
また、ウーディニウム症(Oodinium ocellatum)トリコディナ症(Trichodina)に感染しているカクレクマノミを前記3試薬による人工飼育水に収容して飼育し経過を観察したところ、2週間で完治した。この現象は単生類ベネデニア症と同様に急激な浸透圧の変化によるこれら繊毛虫へのダメージと推察される。
更に、尾柄部が大きく欠損して真皮が露出しているトラフグ10(尾)を前記同様3試薬による人工飼育水中に収容して2ヶ月間飼育したが、ビブリオ感染が見られず生存を続けた。この結果から外傷性ビブリオ感染が発症しないことが知見される。そして、これと対比すべく外洋水を直接補給する開放式飼育法によって同様に尾柄部が大きく欠損して真皮が露出しているトラフグを飼育して経過観察を行ったところ、該外傷性ビブリオ感染は避けられなかった。
即ち、図2に表すように、前記100(l)の水槽において、体長5(cm)のマダイ5(尾)を天然海水環境で、体長6(cm)のマダイ5(尾)を人工飼育水環境で、それぞれ飼育し、マダイの成長を経過観察し、経過1週間毎に総重量を測定して比較した。
その結果、天然海水環境のマダイは4週間経過後81.46(%)の重量増加率であったのに比し、人工飼育水環境のマダイは、119.07(%)の重量増加率であった。
この現象は天然海水中での飼育ではエネルギー代謝の30(%)が浸透圧調整に消費されているのに比べ、人工飼育水では低浸透圧なため浸透圧に拘るエネルギー代謝が低減されることが示唆され、これに伴い成長ホルモンの分泌が促進されていることが推察される。
尚、前記した各人工飼育水において、実験では極力少ない塩類(元素)でしかも極力少ない量の添加によってに天然海水に代る人工飼育水を得ようと試みているので、3乃至4種類の塩類の添加実験しか行っていないが、これらが添加してあれば海水魚の飼育には適正であり、これに他の塩類を適宜量添加してもその作用に影響を及ぼさずに人工飼育水として利用可能であれば、従来行われていた人工海水に添加していた他の塩類や例えばビタミン等の栄養素等を上記各人工飼育水に添加しても何ら差し支えなく、本願の人工飼育水と同等である。
畜養水槽1は、この実施例では縦横略40(m)・高さ3(m)からなり、一側端には給水循環部8を設ける。給水循環部8は、畜養水槽1との間に通水可能なスリット81を設け、畜養水槽1内部の人工飼育水6との循環を可能としてある。尚、この実施例では畜養水槽1を4800(t)としたが、畜養水槽1の容積あるいは形状は特に特定されるものではなく、一般家庭で用いる程度の極小さな水槽から、例えば東京ドーム並みの極大きな畜養水槽でも実施可能であり、地中空間の大きさに合わせる等して適宜選択すれば足りる。
更に、給水循環部8には循環路71を設ける。循環路71の一端を開口し、他端は畜養水槽1の中央低部を稍下方へ下げた該中央に開口し、循環可能とさせる。更に、別途給水循環部8からは、一端を該給水循環部8に開口すると共に該開口から濾過装置2および泡沫分離装置4を経由して再び畜養水槽1の他部へ開口して人工飼育水6を循環可能とする濾過循環路72を設ける。また、該濾過循環路72は濾過装置2および泡沫分離装置4による人工飼育水6の浄化を効率よく行うために、給水循環部8において畜養水槽1に満たされた人工飼育水6の上ずみ部分が該循環路72内に入り込むように給水口を上方へ上げて設けてある。これにより、人工飼育水6中で浮遊して上方へ移動した魚フンや不純物あるいはゴミ等が効率的に濾過循環路72内に循環可能となる。
また、この養殖システムでは、濾過装置2からは温調循環路73を分岐して予備加温装置である水温調整装置9を経由して再び畜養水槽1の他部へと循環可能としている。水温調整装置9は濾過装置2と水温調整装置9との間に設けるポンプ91によって強制的に人工飼育水6を循環させ、水温調整装置9によって人工飼育水6の温度を調節可能である。この水温調整装置9は、例えば、畜養水槽1に新たに補充する人工飼育水6の水温が既に畜養水槽1内に有る人工飼育水6の温度と差があった場合等に水温を調節するためのものであり、加温および冷却の両方が可能に構成する。
補助タンク10は、畜養水槽1へ人工飼育水6を補給あるいは交換するための新しい人工飼育水6を蓄水しておくタンクである。この補助タンク10には、地下水や河川水を利用できるように地下水や河川水を引き込んで供給可能に引き込み路(図示せず)およびバルブ(図示せず)が設けてある。
従って、人工飼育水6を製造するに当たり地下水や河川水を利用可能となるので、更に人工飼育水6の製造コストを押さえることが可能となる。
11は、モニタリング室である。モニタリング室11は、畜養水槽1、濾過装置2、泡沫分離装置4、飼育水冷却装置5、各循環路71、72、73、74、水温調整装置9、循環ポンプ91、補助タンク10のそれぞれに設けた水位センサや温度センサ、電圧計、電流計、電力計等の監視を行う。これら各装置の監視は、一般に行われている水位や水温の管理、供給電力の管理等なので特に詳説しない。
12はソーラー発電装置である。ソーラー発電装置12は、太陽光発電を行うソーラーパネルと電力を蓄える蓄電装置と供給する際の電力を制御する制御部とからなるが通常設置されるものと何ら変わりは無いので説明は省略する。ソーラー発電装置12はソーラーパネルを地上の日当たりの良好な場所に設け、電力供給線によって電力を使用する水温調整装置9や循環ポンプ91等に供給する。また、特に説明はしていないが、養殖システムを設置している場所が地中であるため、明かりを採る必要があるので、各所に設置した蛍光灯等へも電力の供給を行っている。勿論養殖魚へも光を当てる必要があるので、適宜量の光が供給できるように畜養水槽1の外部あるいは内部に畜養水槽1内の養殖魚に光が当たるよう光源を設置する。
また、必要に応じ、孵化専用の水槽(図示せず)や、畜養水槽1で飼育可能な大きさになるまで稚魚を飼育するのに用いる稚魚飼育槽(図示せず)を別途設け、これらの水槽で孵化や稚魚飼育を行うことで、孵化から市場への提供が可能な成魚までの一貫した養殖を内陸部で行うことができるようにしても良い。
また、廃鉱となった鉱山や坑道、洞窟等の地中においては、酸素濃度が地表より低い場合が有るので、畜養水槽1内の人工飼育水6の溶存酸素濃度を上げるために通常の気泡発生装置による酸素供給装置や純酸素による酸素供給装置を循環路7の中間部に設けるか畜養水槽1内に直接設けて溶存酸素濃度を上昇させても良い。この場合には、地上に於ける養殖同様に養殖魚を過密養殖することも可能となる。
2 濾過装置
3 濾過材
4 泡沫分離装置
5 飼育水冷却装置
6 人工飼育水
7 循環路
71 自然循環路
72 濾過循環路
73 温調循環路
74 給水循環路
8 給水循環部
9 水温調整装置
Claims (4)
- カルシウムと、カリウムと、ナトリウムの塩化物を水道水や河川水あるいは地下水に添加し、水中にカルシウムを0.1002(g/l)以上天然海水中の濃度以下、カリウムを0.09419(g/l)以上天然海水中の濃度以下、残りのナトリウムは水溶液の比重が1.004になる濃度であるような水溶液乃至は、この水溶液の前記成分量を0.25倍まで薄めてなる人工飼育水と、
この人工飼育水を満たした魚の養殖を行うための畜養水槽と、
畜養水槽の一側端にあって、この畜養水槽との間に通水可能なスリットが設けてあり、畜養水槽内の人工飼育水が循環可能な給水循環部と、
一端がこの給水循環部に開口し、他端が畜養水槽の底部に開口する人工飼育水の循環可能な循環路と、
一端が前記給水循環部に開口し、他端が濾過装置および泡沫分離装置を経由して畜養水槽の他部に開口する人工飼育水の循環可能な濾過循環路とを有し、
この濾過循環路は、畜養水槽から給水循環部内に流入した人工飼育水の上ずみ部分が濾過循環路内に入り込むように前記一端を上方へ上げて設けてあるフグ類の人工飼育に用いる養殖システム。 - カルシウムと、カリウムと、ナトリウムの塩化物を水道水や河川水あるいは地下水に添加し、水中にカルシウムを0.1002(g/l)以上天然海水中の濃度以下、カリウムを0.09419(g/l)以上天然海水中の濃度以下、残りのナトリウムは水溶液の比重が1.004になる濃度であるような水溶液乃至は、この水溶液の前記成分量を0.25倍まで薄めてなる人工飼育水と、
この人工飼育水を満たした魚の養殖を行うための畜養水槽と、
畜養水槽の一側端にあって、この畜養水槽との間に通水可能なスリットが設けてあり、畜養水槽内の人工飼育水が循環可能な給水循環部と、
一端がこの給水循環部に開口し、他端が畜養水槽の底部に開口する人工飼育水の循環可能な循環路と、
一端が前記給水循環部に開口し、他端が濾過装置および泡沫分離装置を経由して畜養水槽の他部に開口する人工飼育水の循環可能な濾過循環路と、
前記濾過装置から水温調節装置を経由して畜養水槽の他部に連絡する温調循環路と、
畜養水槽へ人工飼育水を補給あるいは交換するための新しい人工飼育水を蓄水しておく補助タンクと、
一方が濾過装置に開口し、他方が前記補助タンクに開口する給水循環路とを有するフグ類の人工飼育に用いる養殖システム。 - カルシウムと、カリウムと、ナトリウムの塩化物を水道水や河川水あるいは地下水に添加してなり、塩化ナトリウム7.0587(g/l)、塩化カルシウム2水和塩0.3641(g/l)、塩化カリウム0.18125(g/l)を溶解させて得られる略1.004の比重の水溶液の濃度から、塩化ナトリウム1.781(g/l)、塩化カルシウム2水和塩0.092(g/l)、塩化カリウム0.045(g/l)を溶解させた時の水溶液の濃度の範囲で用いられる人工飼育水と、
この人工飼育水を満たした魚の養殖を行うための畜養水槽と、
畜養水槽の一側端にあって、この畜養水槽との間に通水可能なスリットが設けてあり、畜養水槽内の人工飼育水が循環可能な給水循環部と、
一端がこの給水循環部に開口し、他端が畜養水槽の底部に開口する人工飼育水の循環可能な循環路と、
一端が前記給水循環部に開口し、他端が濾過装置および泡沫分離装置を経由して畜養水槽の他部に開口する人工飼育水の循環可能な濾過循環路とを有し、
この濾過循環路は、畜養水槽から給水循環部内に流入した人工飼育水の上ずみ部分が濾過循環路内に入り込むように前記一端を上方へ上げて設けてあるフグ類の人工飼育に用いる養殖システム。 - カルシウムと、カリウムと、ナトリウムの塩化物を水道水や河川水あるいは地下水に添加してなり、塩化ナトリウム7.0587(g/l)、塩化カルシウム2水和塩0.3641(g/l)、塩化カリウム0.18125(g/l)を溶解させて得られる略1.004の比重の水溶液の濃度から、塩化ナトリウム1.781(g/l)、塩化カルシウム2水和塩0.092(g/l)、塩化カリウム0.045(g/l)を溶解させた時の水溶液の濃度の範囲で用いられる人工飼育水と、
この人工飼育水を満たした魚の養殖を行うための畜養水槽と、
畜養水槽の一側端にあって、この畜養水槽との間に通水可能なスリットが設けてあり、畜養水槽内の人工飼育水が循環可能な給水循環部と、
一端がこの給水循環部に開口し、他端が畜養水槽の底部に開口する人工飼育水の循環可能な循環路と、
一端が前記給水循環部に開口し、他端が濾過装置および泡沫分離装置を経由して畜養水槽の他部に開口する人工飼育水の循環可能な濾過循環路と、
前記濾過装置から水温調節装置を経由して畜養水槽の他部に連絡する温調循環路と、
畜養水槽へ人工飼育水を補給あるいは交換するための新しい人工飼育水を蓄水しておく補助タンクと、
一方が濾過装置に開口し、他方が前記補助タンクに開口する給水循環路とを有するフグ類の人工飼育に用いる養殖システム。
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---|---|---|---|
JP2010068848A JP5487377B2 (ja) | 2010-03-04 | 2010-03-04 | 人工飼育水による養殖システム |
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