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JP5483568B2 - エアバッグ - Google Patents

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JP5483568B2
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  • Air Bags (AREA)

Description

本発明は、例えば、自動車のインストルメントパネル部に備えられる助手席乗員用のエアバッグ装置のエアバッグに関する。
従来、例えば、自動車のインストルメントパネル部に備えられる助手席乗員用のエアバッグ装置が知られている。このエアバッグ装置は、ガスを供給するインフレータと、所定の形状に折り畳まれたエアバッグとを備えている。そして、自動車の衝突などの際には、インフレータからガスを供給して、助手席に着席した乗員の前方にエアバッグを膨張展開させ、乗員に加わる衝撃を緩和する。
そして、このような助手席乗員用のエアバッグ装置のエアバッグについて、乗員の左右の肩部に対する左右の肩拘束部を設けるとともに、これら肩拘束部同士の間で乗員の頭部を収容可能に凹設した収納凹部を設け、乗員の頭部を柔らかく受け止め、乗員の適切な保護を図った構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、この構成では、収納凹部の奥側に、左右の肩拘束部を連結する連結布を配置し、適切な展開形状の実現を図っている。
特開2007−38812号公報
上記従来の構成では、左右の肩拘束部を連結する連結布が乗員の頭部の正面側に対向することになる。そこで、仮に、エアバッグの展開時に連結布が乗員の頭部に干渉すると、エアバッグの挙動が乗員の頭部さらには首部に影響を与えることになる。そこで、連結布について、乗員に干渉しない位置や素材の検討が必要になり、適切な展開形状を実現する構成の実現が必ずしも容易でない。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、乗員の適切な保護を実現できるエアバッグを提供することを目的とする。
請求項1記載のエアバッグは、ガスが導入されて膨張展開する単一の袋状の外殻部と、
この外殻部の一部に設けられこの外殻部の膨張展開時に乗員に接触可能に対向する乗員対向面部と、前記外殻部の前記乗員対向面部を除く部分を構成するベース面部と、前記外殻部の外側に配置され、この外殻部を外側から引き絞るように押圧する拘束ベルトと、この拘束ベルトによる前記外殻部の押圧により前記乗員対向面部の幅方向の中央部及び前記ベース面部の少なくとも一部が前記外殻部の内側に向かって凹設され乗員の頭部に対向する凹設部と、前記拘束ベルトによる前記外殻部の押圧により前記凹設部の両側に前記凹設部よりも乗員側に相対的に突設されて乗員の左右の肩部に対向し互いに連通する同一の気室により構成された左右の肩対向部と、前記ベース面部に位置し前記肩対向部同士を連結する連結部を備えたものである。
請求項2記載のエアバッグは、請求項1記載のエアバッグにおいて、乗員対向面部は、車両の座席に着席した乗員に対向して展開し凹設部は、前記乗員対向面部からベース面部の上部及び下部に連続して設けられて乗員の頭部及び胸部に対向し連結部は、前記ベース面部の上部に配置されたものである。
請求項1記載のエアバッグによれば、エアバッグの外殻部内にガスを導入すると、乗員対向面部が乗員に接触可能に対向して外殻部が膨張展開する。外郭部の外側に配置した拘束ベルトによって外殻部を外側から引き絞るように押圧することで凹設部と左右の肩対向部とが形成される。乗員対向面部がエアバッグに拘束される乗員の姿勢を維持し、例えば首部などへ加わる力を抑制し、左右の肩対向部が乗員の左右の肩部に対向して乗員をしっかりと拘束するとともに、凹設部が乗員の頭部に対向し柔らかく拘束し、乗員を適切に保護する。連結部が肩対向部同士を連結するため、肩対向部を適切な位置に保持し、乗員を適切に保護できる。連結部は乗員対向面部を除く部分を構成するベース面部に位置するため、連結部が乗員に干渉することを防止できる。
請求項2記載のエアバッグによれば、請求項1記載の効果に加え、連結部は、ベース面部の上部に配置されたため、外殻部の上側部の乗員の頭部に対向する位置では肩対向部同士が比較的接近した状態とし、乗員の頭部及び肩部をしっかりと拘束して乗員を適切に保護できるとともに、外殻部の下側部の乗員の胸部に対向する位置では肩対向部同士が比較的開いた状態とし、乗員の胸部を柔らかく受けとめて乗員を適切に保護できる。
本発明のエアバッグの一実施の形態を示すエアバッグが展開した状態の説明図であり、(a)は図7のI−I断面相当位置の説明図、(b)は図7のII−II断面相当位置の説明図である。 同上エアバッグの展開した状態を示す説明図である。 同上エアバッグを備えたエアバッグ装置の分解斜視図である。 同上エアバッグの展開した状態を示す平面図である。 同上エアバッグの展開した状態を示す下方からみた説明図である。 同上エアバッグの展開した状態を示す正面からみた説明図である。 同上エアバッグの展開過程の状態を示す側面からみた説明図である。 同上エアバッグの展開過程を示す説明図である。 本発明のエアバッグの他の実施の形態を示す下方からみた説明図である。
以下、本発明のエアバッグの一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図3において、1はエアバッグ装置で、このエアバッグ装置1は、移動体である車両としての自動車2の座席3である助手席、すなわち被保護物である助手席の乗員Aの前方に位置する被設置部としてのインストルメントパネル部4の内側に配置され、アシストエアバッグとも呼ばれる助手席乗員用のエアバッグ装置1を構成している。なお、以下、前後方向、両側方向、及び上下方向は、それぞれエアバッグ装置1を自動車2に取り付けた状態における自動車2の直進方向を基準として説明する。また、各図において、乗員Aはダミーにより示され、A1は乗員の頭部の位置、A2は乗員の胸部の位置、A3は乗員の肩部の位置を示している。
そして、インストルメントパネル部4は、後側すなわち助手席側に向かって若干下降する曲面状などに形成され、このインストルメントパネル部4の内側に配置された車体の部材に、エアバッグ装置1が正面側を上方に向け、あるいは上方から後側すなわち乗員A側に向けて適宜傾斜した状態で固定されている。また、インストルメントパネル部4の上方には、前側下方から上側後方に向かって傾斜したウインドシールドであるフロントガラス5が配置されている。
そして、このエアバッグ装置1は、エアバッグモジュールとも呼び得るもので、図3などに示すように、基布にて構成された袋状のエアバッグ11、このエアバッグ11にガスを供給するインフレータ12、これらエアバッグ11とインフレータ12となどが取り付けられるケース体14、リテーナ15、ブラケット16、及び展開前のエアバッグ11を覆うカバー体などを備え、エアバッグ11は、シートベルトを装着して座席3に着席した乗員Aに対向して展開するようになっている。
そして、ケース体14は、鉄板を組み合わせるなどして略箱状に形成され、正面側あるいはフロントガラス5に向かう上側を開口部である矩形状の突出口14aとし、内側が、折り畳んだエアバッグ11を収納するエアバッグ収納部14bとされている。また、このエアバッグ収納部14bに臨み、ケース体14の底部には、単数あるいは複数、本実施の形態では2個のインフレータ12を取り付ける円孔及びボルトが挿入される取付孔を設けたインフレータ取付部が設けられている。さらに、ケース体14の両側部には、側部ブラケット14cが取り付けられ、ケース体14の前後部には、カバー体を係止して取り付ける爪状のカバー取付部14dが設けられている。また、このケース体14には、軽量化のために複数の開口14eが設けられている。
また、カバー体は、カバー取付部14dに係止してケース体14に取り付けられ、通常時に突出口14aを覆うもので、樹脂にてインストルメントパネル部4と一体あるいは別体をなして形成され、他の部分より薄肉で容易に破断するテアラインが平面略H字状などに形成されている。
また、各インフレータ12は、円盤状の本体部12aを備え、この本体部12aからフランジ部12bが突設されているとともに、このフランジ部12bの上側に位置して複数のガス噴射口12cが設けられている。そして、本体部12aの内側には、点火器及び薬剤が収納され、底部に接続されたコネクタを介して伝えられる制御手段からの電気信号により、点火器が薬剤を燃焼させ、ガス噴射口12cから膨張用のガスを急速に供給するようになっている。また、フランジ部12bには、4個の取付孔12dが形成されている。なお、インフレータ12は、種々の形状があり、例えば円柱状の本体部を備えた1個のインフレータ12を用いることもできる。
また、リテーナ15は、リテーナ基板部15aと、このリテーナ基板部15aに取り付けられたスタッドボルト15bとを備えている。そして、リテーナ基板部15aには、インフレータ12の本体部12aが挿入される2個の円孔15cが形成されているとともに、各円孔15cを囲むようにして、それぞれ4個のスタッドボルト15bが下方に突設して固定されている。また、各スタッドボルト15bには、それぞれナット18が螺合して締め付けられるようになっている。
また、ブラケット16は、下側ブラケットとも呼び得るもので、ケース体取付部16aと、このケース体取付部16aから下方に延設された車体側取付部16bとを備えている。そして、ケース体取付部16aには、取付孔16cが4カ所に形成され、車体側取付部16bには、ねじ孔を有するナット部16dが2カ所に設けられている。
そして、エアバッグ11は、図1ないし図6に示すように、単数あるいは複数の基布を組み合わせ、例えば、正面基布部21、上側基布部22、下側基布部23の3枚の基布を縫い合わせて単一の袋状としたエアバッグ本体部である外殻部25を備えている。そして、このエアバッグ11の外殻部25は、正面基布部21の部分が、展開時に乗員に接触可能に対向する乗員対向面部26となり、この乗員対向面部26を除く部分すなわち上側基布部22及び下側基布部23の部分がベース面部27となっている。そして、上側基布部22は展開時にフロントガラス5に対向するいわばウインドシールド部であり、下側基布部23はインストルメントパネル部4から乗員Aの膝部分などに対向するベース部となっている。そして、この外殻部25の前端下側すなわちベース面部27の前端下側の部分がるエアバッグ基部31となり、このエアバッグ基部31がインストルメントパネル部4のケース体14に取り付けられるとともに、このエアバッグ基部31の内側にインフレータ12からガスが供給されて外殻部25が膨張展開する。
そして、この外殻部25は、エアバッグ基部31からエアバッグ基部31の反対側である後端側の乗員対向面部26に向かって上下方向及び両側方向に拡開している。さらに、外殻部25は、乗員対向面部26の全体からこの乗員対向面部26に近接する上下のベース面部27にかけて、外殻部25の内側すなわち前方に向かい凹設され、すなわち幅方向の中央部に位置して上下方向に沿って溝状に凹設された凹設部33が形成されているとともに、この凹設部33の両側に位置し、乗員対向面部26の両側部に、外殻部25の膨張展開時に凹設部33よりも相対的に乗員A側すなわち後方に膨出する左右一対の肩対向部34が形成され、上側から見ていわばハート形となっている。そして、外殻部25の膨張展開時に、座席3の所定位置にシートベルトを装着して着席した乗員Aに対し、凹設部33は頭部及び胸部の少なくとも幅方向の中央部に対向し、肩対向部34は、乗員Aの左右の肩部に対向する。
そして、凹設部33は本実施の形態では、各基布部21,22,23は凹設された形状を形成しない単純な形状とし、また、外殻部25の内側にベルトを配置せず、外殻部25の外側に配置した拘束ベルト36により外殻部25を外側から引き絞るように押圧して凹設部33を形成するとともに、この凹設部33に対して相対的に突出する肩対向部34を形成している。すなわち、本実施の形態では、左右の肩対向部34は、互いに連通した同一の気室により構成されている。
そして、この拘束ベルト36は、例えば一枚の基布にて形成され、図4及び図5に示すように、長尺な帯状の拘束ベルト本体部36aと、この拘束ベルト本体部36aの一端部である上端部に一体に設けられた上部接続部36bと、拘束ベルト本体部36aの他端部である下端部に一体に設けられた下部接続部36cとを備えている。そして、拘束ベルト本体部36aは、乗員対向面部26の幅方向の中央部に沿って縫い付けない状態で配置されている。また、上部接続部36bは、拘束ベルト本体部36aより幅寸法が大きく、上側基布部22に縫い付けて取り付けられている。さらに、下部接続部36cは、拘束ベルト本体部36aよりも幅寸法が大きく、下側基布部23に縫い付けて取り付けられている。そして、上部接続部36bと下部接続部36cとの間の拘束ベルト本体部36aの長手寸法は、外殻部25の拘束ベルト36を配置した部分の表面に沿った寸法より短く、この寸法差により外殻部25が押圧され、凹設部33と肩対向部34とが形成されている。
さらに、このエアバッグ11には、図1及び図4に示すように、外殻部25の外側に配置され左右の肩対向部34を連結して接近した状態に保持する連結部41を備えている。この連結部41は、連結布とも呼び得るもので、帯状の基布にて形成され、両側方向を長手方向とし、正面基布部21すなわち乗員対向面部26から外れた位置で、外殻部25の上側部のベース面部27すなわち上側基布部22に、縫製による左右一対の接合部42で両端部が連結されている。また、この連結部41の長手寸法は、展開時の外殻部25の幅寸法より小さく形成されている。さらに、この連結部41は、車室で外殻部25が膨張展開した状態で、乗員Aの頭部より上方に位置し、外殻部25の上端部すなわち頂部か頂部より若干前側に位置するようになっている。
また、図示しないが、エアバッグ基部31には、インフレータ12の本体部12aを受け入れ可能なガス導入口が形成されている。また、このガス導入口の周囲には、リテーナ15のスタッドボルト15bが挿入される取付孔が8カ所に形成されている。また、図2に示すように、外殻部25の側面には、例えば上側基布部22に、円孔状をなしガスを排気可能な排気口44が形成されている。
そして、エアバッグ装置1の組立工程は、まず、エアバッグ11の外殻部25の内側にリテーナ15を挿入し、このリテーナ15のスタッドボルト15bを取付孔から引き出して位置合わせした状態で、エアバッグ11を所定の形状に折り畳む。次いで、このエアバッグ11をケース体14のエアバッグ収納部14bに収納するとともに、リテーナ15のスタッドボルト15bをケース体14の底部の取付孔に挿入する。そして、このリテーナ15のスタッドボルト15bに下側からインフレータ12のフランジ部12bの取付孔12dを挿入するとともに、インフレータ12の本体部12aの上側部をケース体14の底部の円孔及びエアバッグ11のエアバッグ基部31のガス導入口に挿入する。さらに、リテーナ15のスタッドボルト15bにブラケット16の取付孔16cを挿入する。次いで、各スタッドボルト15bにナット18を螺合して締め付けることにより、ケース体14に、エアバッグ11、インフレータ12、リテーナ15、及びブラケット16が取り付けられる。さらに、ケース体14にカバー体を被せカバー取付部14dに係止することにより、エアバッグ装置1のユニットが組み立てられる。
そして、このエアバッグ装置1は、ケース体14の側部ブラケット14cの孔部及びブラケット16のナット部16dなどを用いて車両のステアリングメンバなどの部材に連結固定され、自動車2のインストルメントパネル部4に取り付けられ、さらに、センサなどを備えた制御装置に電気的に接続して、エアバッグ装置1が構成される。
次に、このエアバッグ装置1の展開動作を説明する。
自動車2の衝突などの際に、センサが検出した乗員Aの状態に応じて制御装置がインフレータ12を1個あるいは2個作動させ、各インフレータ12のガス噴射口12cからガスを噴射させる。すると、このエアバッグ11の外殻部25はガスの流入に伴い膨張展開し、カバー体のテアラインを破断して突出口14aから突出し、直接に、あるいはフロントガラス5に沿って、後方の乗員A側に向かって膨張展開し、図1、図2、図6、及び図7に示すように、助手席に着席した乗員Aの上半身の前方に乗員対向面部26を対向させて展開し、この乗員対向面部26を乗員Aに当接して乗員Aを拘束し、乗員Aを衝突の衝撃から保護する。
ここで、エアバッグ11は、凹設部33が乗員Aの頭部及び胸部の幅方向の中央部に対向し、肩対向部34は、乗員Aの左右の肩部に対向する。そこで、肩対向部34が乗員Aの左右の肩部に当接し、乗員Aをしっかりと受け止めて適切に保護できる。一方、乗員Aの頭部及び胸部については、乗員Aからみて凹設された凹設部33が設けられているため、乗員Aの頭部及び胸部を柔らかく受け止めて適切に保護できる。
そして、エアバッグ11の外殻部25は、凹設部33を挟んで肩対向部34が設けられているため、ガスの流入に伴うガスの圧力により、さらに、エアバッグ11に乗員Aが当接した圧力により、左右の肩対向部34が開くように離間する挙動が生じる。ここで、左右の肩対向部34は、連結部41により互いに連結されているため、開く挙動が抑制され、肩対向部34が乗員Aの肩部に当接した状態を保持して乗員Aを適切に保護できる。
さらに、この連結部41は、外殻部25のベース面部27の上側部に設けられ、さらに、乗員Aの頭部より上方に位置するため、凹設部33は上側部が閉じて、下側部に向かって徐々に開く傾向となる。そこで、凹設部33は、図1(a)に示すように、頭部を拘束する部分では、頭部の幅の略V字状に展開し、矢印Bに示すように頭部を横方向からの圧縮力で挟み込むように拘束して、頭部の移動を抑制して適切に保護できる。一方、図1(b)に示すように、胸部に対向する部分では、凹設部33は略U字状に広がり、矢印Cに示すように力は両側の肩対向部34に振り分け、シートベルトに拘束された胸部は柔らかく受け止めて、あるいは凹設部33が胸部に接触すなわち押圧しない状態として、胸部に力が加わりすぎない状態で適切に保護できる。
さらに、エアバッグ11の連結部41は、乗員対向面部26ではなく、外殻部25のベース面部27に設けられている。そこで、連結部41は乗員Aの頭部に干渉せず、乗員Aを適切に保護できる。
図8に、本実施の形態のエアバッグ装置1を用いてエアバッグ11の展開実験を行った結果を示す。図8(a)はエアバッグ11が乗員Aの拘束を開始するタイミングであるエアバッグ装置1の作動後40ミリ秒後、図8(b)はエアバッグ11が下降する状態となる50ミリ秒後、図8(c)はエアバッグ11がさらに下降する60ミリ秒後の状態である。この結果、エアバッグ11の展開過程で外殻部25の先端側である乗員対向面部26がいわばおじぎをするように下降するような挙動を示す場合にも、乗員Aの頭部の位置A1が下降する挙動はほとんどなく、すなわち、エアバッグ11の外殻部25が頭部を上から押す動作は発生していないことが確認できた。一方、乗員の頭部の正面に位置して凹設部33に連結部41と同様の部材を取り付けて実験を行った場合には、図8(b)及び図8(c)に破線Fで示すように、連結部41の下にあるバッグ内にガスがたまり、袋状になり、頭部が上から押されて下降する挙動が見られた。
さらに、本実施の形態では、図7に示すように、エアバッグ11の展開過程において、側面視でエアバッグ11の外殻部25の乗員対向面部26のなす仮想面Dは、ダミーのトルソー角度すなわち乗員Aの上半身のなす仮想面Eと平行になるように設定されている。そこで、エアバッグ11に拘束される乗員Aの姿勢を維持し、例えば首部などへ加わる力を抑制し、乗員Aを適切に保護できる。
このように、本実施の形態によれば、助手席用のエアバッグ装置1について、エアバッグ11の外殻部25内にガスを導入すると、乗員対向面部26が乗員Aに接触可能に対向して外殻部25が膨張展開し、左右の肩対向部34が乗員Aの左右の肩部に対向して乗員Aをしっかりと拘束するとともに、凹設部33が乗員Aの頭部に対向し柔らかく拘束し、乗員Aを適切に保護できる。さらに、連結部41が肩対向部34同士を連結するため、肩対向部34を適切な位置に保持し、乗員Aを適切に保護できる。さらに、連結部41は乗員対向面部26を除く部分を構成するベース面部27に位置するため、連結部41が乗員Aに干渉することを防止して、乗員Aを適切に保護できる。すなわち、エアバッグ11の外殻部25の展開形状が、側面視で、乗員に当接可能に対向する正面基布部21である乗員対向面部26と、乗員Aに対向せずフロントガラス5に対向する上側基布部22及び下側基布部23の3辺から構成され、乗員対向面部26の中央部を凹設して形成された左右の肩対向部34を連結する連結部41について、上側基布部22の部分、すなわち乗員に当接可能に対向する乗員対向面部26よりも乗員から離間する方向である前方(エンジン側)に配置したため、展開時に乗員対向面部26が下降する挙動を示した場合にも、連結部41は乗員Aに接触せず、乗員の挙動に干渉することを防止できる。
また、連結部41は、ベース面部27の上部に配置したため、外殻部25の上側部の乗員Aの頭部に対向する位置では肩対向部34同士が比較的接近した状態とし、乗員Aの頭部を凹設部33で挟み込むようにして挟持するとともに肩部を肩対向部34でしっかりと拘束して乗員Aを適切に保護できるとともに、外殻部25の下側部の乗員Aの胸部に対向する位置では肩対向部34同士が比較的開いた状態とし、乗員Aの胸部を柔らかく受けとめて乗員Aを適切に保護できる。
また、複雑な構成を用いることなく、構造を簡略化して製造コストを低減できる。
なお、上記の実施の形態では、連結部41は、エアバッグ11の上側部のみに設けたが、この構成に限られず、上側部と下側部、あるいは下側部のみに設けることもできる。例えば、エアバッグ11の下側部に、図9に示すように、連結部51を設けることもできる。すなわち、この連結部51は、エアバッグ11の下側部に外殻部25のベース面部27に位置して、接合部52で両端部が肩対向部34に接合され、肩対向部34同士を連結している。なお、この連結部51は、上部の連結部41よりも長手寸法が大きく形成され、凹設部33の下側部が開いた状態とできるようになっている。
また、連結部41,51は、エアバッグ11の外殻部25の全体の幅寸法を規制する部材として機能させることもできる。例えば、図9に破線Gで示すように、連結部51によりエアバッグ11の外殻部25の全体の幅寸法を規制し、すなわち、連結部51の長手寸法を、エアバッグ11の外殻部25の幅寸法と等しくすることができる。
また、エアバッグ11の外殻部25の基布の構成は、上記の3枚の基布部21,22,23を用いた構成に限られず、例えば、上下の2枚の基布を接合した構成とすることもできる。
さらに、助手席乗員用のエアバッグ11に限られず、例えば、前席の座席の後部から、後席の座席の乗員の上体に向かって展開するエアバッグ11に適用することもできる。
本発明は、例えば、車両の助手席乗員用のエアバッグ装置のエアバッグに適用できる。
2 車両としての自動車
3 座席
11 エアバッグ
25 外殻部
26 乗員対向面部
27 ベース面部
33 凹設部
34 肩対向部
36 拘束ベルト
41,51 連結部
A 乗員

Claims (2)

  1. ガスが導入されて膨張展開する単一の袋状の外殻部と、
    この外殻部の一部に設けられこの外殻部の膨張展開時に乗員に接触可能に対向する乗員対向面部と、
    前記外殻部の前記乗員対向面部を除く部分を構成するベース面部と、
    前記外殻部の外側に配置され、この外殻部を外側から引き絞るように押圧する拘束ベルトと、
    この拘束ベルトによる前記外殻部の押圧により前記乗員対向面部の幅方向の中央部及び前記ベース面部の少なくとも一部が前記外殻部の内側に向かって凹設され乗員の頭部に対向する凹設部と、
    前記拘束ベルトによる前記外殻部の押圧により前記凹設部の両側に前記凹設部よりも乗員側に相対的に突設されて乗員の左右の肩部に対向し互いに連通する同一の気室により構成された左右の肩対向部と、
    前記ベース面部に位置し前記肩対向部同士を連結する連結部を備えた
    ことを特徴とするエアバッグ。
  2. 乗員対向面部は、車両の座席に着席した乗員に対向して展開し、
    凹設部は、前記乗員対向面部からベース面部の上部及び下部に連続して設けられて乗員の頭部及び胸部に対向し、
    連結部は、前記ベース面部の上部に配置された
    ことを特徴とする請求項1記載のエアバッグ。
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