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JP5478136B2 - 永久磁石式同期モータ - Google Patents

永久磁石式同期モータ Download PDF

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Description

本発明は、コギングトルクを抑制する永久磁石式同期モータに関する。
永久磁石式同期モータにおいて、コギングトルクは、巻線無通電時に、外部駆動にてロータ磁石(回転子)を回転したときに、ステータコア(固定子鉄心)とロータ(回転子)との間で発生するトルク脈動成分である。トルクリップルは、巻線に通電して駆動した場合に、同様に、ステータコアとロータ(回転子)との間で発生するトルク脈動である。
一般的に、コギングトルクは、ロータの機械的な1回転につき、ステータのスロット数と永久磁石の磁極数との最小公倍数の脈動数が発生する。また、このコギングトルクの大きさは、脈動数に反比例するものである。
ステータに空芯コイルが施され、回転子に永久磁石を有する、いわゆるスロットレスモータでは、固定子のティース部分が存在しない。このため、コギングトルクは、理論上発生しない。しかしながら、空芯コイルを固定するためには、なんらかの突起が必要となる。一方、コイルの中心にティースとなる突起を設けることで、モータの特性は、向上する。
しかしながら、ティースとなる突起を設けると、コギングトルクが発生してしまう。そこで、コイルの中心となる部分にティースとなる突起を設けて、その突起形状などを工夫することで、コギングトルクを低減する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−187344号公報
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
径の小さなモータでは、ステータにティースを設けないスロットレス構造が使用されることがある。
このような径の小さなモータでは、ロータの径も小さくなり、セグメント磁石(単極の磁石)を貼り付けることが困難となる。このため、磁石として、ラジアル異方性リング磁石や極異方性リング磁石を用いることがある。
これらのリング磁石は、1つの磁石に複数の極数をもつことになる。このため、着磁ヨーク形状あるいはリング磁石を作成する際の影響を受け、各極の磁石ばらつきが大きくなる。この結果、ロータが機械的に1回転すると、スロット数と同じ脈動数のコギングトルクを発生してしまう。
この磁石ばらつきによって発生するコギングトルクは、極数と突起数との最小公倍数の数だけ発生するコギングトルクとは、周波数が異なる。このため、突起の形状を工夫するだけでは、磁石ばらつきによって発生するコギングトルクを低減することは困難となる。
また、スロットレスモータにおいては、空芯コイルを使用するため、コイルエンド部のふくらみが大きくなり、無駄なスペースが多くなる。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、ステータ突起を設けたスロットレスモータにおいて、磁石ばらつきによって生じるコギングトルクを限りなく零に近い値とすることのできる永久磁石式同期モータを得ることを目的とする。
本発明に係る永久磁石式同期モータは、ステータ突起と、円環状に形成され、ステータ突起に付けられた巻線と、永久磁石とを有する永久磁石式同期モータにおいて、永久磁石に関するばらつきによって発生するコギングトルクを、ステータ突起間における巻線のコイルエンド部にコギングトルク低減用突起を設けることで、コギングトルクの逆相成分を作り出して打ち消し、コギングトルク低減用突起は、径方向の幅がステータ突起と同一であり、かつ、軸方向の長さがステータ突起と同じ形状となるものである。
本発明に係る永久磁石式同期モータによれば、コイルエンド部にステータ突起と同数の突起を設け、無駄なスペースを有効活用することにより、ステータ突起を設けたスロットレスモータにおいて、磁石ばらつきによって生じるコギングトルクを限りなく零に近い値とすることのできる永久磁石式同期モータを得ることができる。
本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの軸方向に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの突起部分の拡大図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの斜視図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの斜視図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの斜視図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの斜視図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの平面展開図である。 本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの回転角度に対するステータ突起1aのみのコギングトルク波形と、突起1bのみのコギングトルク波形を示した図である。 本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの軸方向に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの斜視図である。 本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの平面展開図である。 本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの回転角度に対するステータ突起1aのみのコギングトルク波形と、突起1bのみのコギングトルク波形を示した図である。 本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの軸方向に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの斜視図である。 本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの平面展開図である。 本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの回転角度に対する突起部分のみのコギングトルク波形と、削り部分のみのコギングトルク波形を示した図である。 ラジアルリング磁石の配向図である。 本発明の実施の形態4における永久磁石式同期モータの極異方性リング磁石の配向図である。
以下、本発明の永久磁石式同期モータの好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
なお、本発明は、いわゆる3相電源で駆動するモータで、円環状に形成され巻線(コイル)が施されたステータ突起と、永久磁石を有したモータに関するものである。そして、このようなモータのコイルの中心部分にステータ突起(主極)を設け、さらにコイル中心間の突起と突起の間に周方向と軸方向に同じ大きさの突起を設けている。このような構成を備えることで、磁石の極ピッチばらつき、磁石の残留磁束密度Brのばらつき、あるいは配向ばらつきといった磁石に関するばらつきによって発生するコギングトルクを、その逆相成分を作り出すことで打ち消し、コギングトルクを低減することが可能となることを技術的特徴としている。換言すると、突起形状のコギングトルク低減部を備えている点を技術的特徴としている。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの軸方向に垂直な断面を示す断面図であり、一例として、8極6スロットで構成されたものを示している。図2は、本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの突起部分の拡大図であり、図1における突起1a、1bの大きさを示したものである。なお、突起1aは、ステータ突起に相当し、突起1bは、コギングトルクを低減するために設けられた突起に相当する。
図3〜図6は、本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの斜視図であり、図1のA−A'面における軸方向の斜視図である。図3は、突起1a、1bの配置を示したものである。また、図4は、突起1a、1bの軸方向の長さを示したものである。また、図5は、図3の突起1aにコイル10を付ける状態を表したものである。さらに、図6は、この突起1aにコイル10を付けた後の状態を表したものである。
また、図7は、本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの平面展開図であり、図6に示した突起1aにコイル10を付けた後の状態の平面展開図となっている。なお、図1では、極数が8のモータを例示しているが、極数とスロット数の組み合わせは、これに限定されるものではない。
図8は、本発明の実施の形態1における永久磁石式同期モータの回転角度に対するステータ突起1aのみのコギングトルク波形と、突起1bのみのコギングトルク波形を示した図である。
なお、本実施の形態1における永久磁石式同期モータは、図2において、W1=W2、d1=d2とし、突起1aと突起1bの断面形状は、同じになっている。また、図4における磁石の軸方向の長さは、図7(a)〜(c)に示したように、Lとなっており、突起の長さは、L1=(L2+L3)となっている。ただし、図7(a)では、L>(L1+L2+L3)、図7(b)では、L=(L1+L2+L3)、図7(c)では、L<(L1+L2+L3)となっている。このように、L2=L3、または、L2≠L3のいずれであっても問題ない。
次に、図1のようなリング状に形成された磁石20において、磁石20のばらつきがある場合について検討する。図3に示す突起1a(ステータ突起)のみが存在する場合には、ロータが機械的に1回転する間に、スロット数と同じ数だけのトルク脈動、つまり、コギングトルクが発生してしまう。これに対して、図5のような空芯コイル10を形成する場合を考える。この場合、空芯コイル10の角部分は、理想的には角型形状となり、全体形状として長方形の形状とすることで、磁石20からの磁束をより多く受けることができる。
しかし、実機においては、コイルエンド部は、丸みをもち、楕円形のような形状となる。そこで、本実施の形態1では、隣り合うコイル10の端部間、つまり、コイルエンド部の空間に、突起1aと同じ大きさの突起1bを、図3に示すように、突起1aの中心のコイルエンド部に設けている。これにより、図8に示すように、突起1bによって突起1aとは位相がずれたコギングトルクが発生することとなる。
突起1aによって発生するコギングトルクと、突起1bによって発生するコギングトルクとは、互いに半周期ずれている(図8参照)。このため、磁石ばらつきによって発生するコギングトルクを低減することが可能となる。
以上のように、実施の形態1によれば、スロットレスモータにおいて、軸方向の端部、つまり、コイルエンド部に、径方向で隣り合う突起間の中心となる位置に、同じ大きさの突起を設け、無駄なスペースを有効活用する構成としている。これにより、極ピッチ幅のばらつきによって発生するコギングトルクとは逆位相となる成分を作ることができ、コギングトルクを低減することが可能となる。
実施の形態2.
先の実施の形態1では、ステータ突起1aと突起1bの形状を同一にする場合について、説明した。これに対して、本実施の形態2では、突起1bの形状が、ステータ突起1aの形状と異なる場合について、説明する。
図9は、本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの軸方向に垂直な断面を示す断面図であり、一例として、8極6スロットで構成されたものを示している。図10は、本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの斜視図であり、図9のA−A'面における軸方向の斜視図である。また、図11は、本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの平面展開図であり、図9、10のコアにコイル10が施された場合の平面展開図を示している。
図10、図11に示すように、突起1bを突起1aとは異なる形状にし、隣り合うコイルエンド部の間にある空間に、コイル10と接触しないように突起形状を設計している。このような形状の突起1bを設けることによっても、先の実施の形態1と同様に、磁石ばらつきによるコギングトルクを低減することが可能となる。
図12は、本発明の実施の形態2における永久磁石式同期モータの回転角度に対するステータ突起1aのみのコギングトルク波形と、突起1bのみのコギングトルク波形を示した図であり、8極のロータが機械的に1回転した際のコギングトルク波形となっている。突起1bは、突起1aと形状が異なるため、コギングトルク波形は、異なる形状となる。そこで、突起1bの形状の大きさを磁界解析などのシミュレーションを用いて最適な形状にすることで、突起1a、1bで位相がずれたコギングトルクを発生させることができ、コギングトルクを低減することが可能となる。
以上のように、実施の形態2によれば、突起1aと突起1bが異なる形状であっても、突起1bの形状を磁界解析などのシミュレーションを用いて最適な形状にすることで、先の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。これにより、コイルエンドの軸方の長さが短い形状のモータにおいても、コイルエンド部に設ける突起を、コイル形状に合わせた形状にすることで、軸方向の長さを短くすることができ、さらに磁石ばらつきによって発生するコギングトルクを低減することができる。
実施の形態3.
本実施の形態3では、突起1bを設けるとともに、極数と突起数によって発生するコギングトルクを低減するための削り部をさらに備えた構成について、説明する。
図13は、本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの軸方向に垂直な断面を示す断面図であり、一例として、8極6スロットで構成されたものを示している。図14は、本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの斜視図であり、図13のA−A'面における軸方向の斜視図である。また、図15は、本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの平面展開図である。
図13〜図15に示すように、突起1aを設けることで、ロータが機械的に1回転する間に、極数と突起数との最小公倍数となるコギングトルクが発生する。ここでは、8極で突起1aが6個のため、24山のコギングトルクが発生する。また、磁石20にばらつきがある場合、先の実施の形態1、2で説明したように、磁石ばらつきによるコギングトルクが発生する。このような磁石ばらつきによるコギングトルクは、先の実施の形態1、2で示したように、コイルエンド部に突起1bを設けることで、低減することができる。
さらに、本実施の形態3では、各突起1aの間に削り部2aを設けるとともに、各突起1bの間に削り部2bを設けることで、極数と突起数によって発生するコギングトルクとは逆相となる成分を作り出すことができる。図16は、本発明の実施の形態3における永久磁石式同期モータの回転角度に対する突起部分のみのコギングトルク波形と、削り部分のみのコギングトルク波形を示した図である。この結果、極数と突起数によって発生するコギングトルクを低減することができる。
以上のように、実施の形態3によれば、突起1a、突起1bのそれぞれに対応して削り部2a、削り部2bをさらに設けることで、先の実施の形態1、2と同様の効果に加え、極数と突起数によって発生するコギングトルクを低減することができる。すなわち、このような削り部分を設けることで、突起によって発生するコギングトルクを低減するという、さらなる効果を得ることができる。
実施の形態4.
本実施の形態4では、極異方性リング磁石を備えた永久磁石式同期モータに対して、先の実施の形態1〜3で説明したコギングトルク低減策を適用する場合について、説明する。
図17は、ラジアルリング磁石21の配向図である。これに対して、図18は、本発明の実施の形態4における永久磁石式同期モータの極異方性リング磁石22の配向図である。極異方性リング磁石22は、その配向から、ロータコアバック部分を通る磁束が理論上ない。このため、ロータコア30の径が小さく、ロータコアバック部分が大きく取れないモータなどに用いられる。
また、極異方性リング磁石22は、ラジアルリング磁石21と異なり、成形の配向時から着磁可能な方向が決まってしまう。このため、ラジアルリング磁石21よりも各極の極ピッチのずれが大きくなりやすい。この結果、径が小さなモータにおいて、極異方性リング磁石22を用いて、ステータコアを取り付ける突起1aを設けた場合、磁石のばらつきによるコギングトルクが大きく発生してしまう。そこで、先の実施の形態1〜3で示したように、磁石ばらつきによるコギングトルク対策が有効となる。
以上のように、実施の形態4によれば、極異方性リング磁石を用いる場合に、先の実施の形態1〜3の構成を適用することで、コギングトルク対策を施すことが可能となる。すなわち、極異方性リング磁石の方がラジアルリング磁石に比べ、磁石ばらつきなどが大きい。しかし、特に、径の小さなモータでは、ロータコアバックの影響などから、極異方性リング磁石が使用されることが多い。このため、径の小さなモータで極異方性リング磁石を使用する場合のコギングトルク対策として、先の実施の形態1〜3の構成が有効となる。
なお、径の小さなモータでは、スロット(コイル)を多く設けると、製作するコイルの寸法も小さくなる。また、小さな寸法のコイルをステータに施すことは、製作するうえで困難となる。このため、スロット数の小さくなる極スロットの組み合わせを選択することが考えられる。先の実施の形態1〜4のコギングトルク対策を行う際、2極3スロット、4極3スロット、4極6スロット、8極6スロットの組合せを選ぶことで、スロット数を小さくでき、径が小さなモータでも製作が可能となる。
定量的には、ステータ突起をZ個(Zは自然数)有し、2P極(Pは自然数)の永久磁石を有する場合、Z/(3(相)×2P)が0.5または0.25となる極スロットの組合せが、径の小さなモータでは有効となる。
換言すると、径の小さなモータではコイルを作製する精度が要求され、コイルを施す精度も要求される。このため、スロット(つまりコイル数)が多くなると、コイル作製が困難となり、また、コイルを施す作業が困難となる。そこで、上述したような関係を有するように、ZおよびPの組合せを規定して、スロット数が小さくなる組合せを選ぶことで、製作が容易になる。
1a 突起(ステータ突起)、1b 突起、2a、2b 削り部、10 コイル(巻線)、20 磁石、21 ラジアルリング磁石、22 極異方性リング磁石、30 ロータコア。

Claims (5)

  1. ステータ突起と、
    円環状に形成され、前記ステータ突起に付けられた巻線と、
    永久磁石と
    を有する永久磁石式同期モータにおいて、
    前記永久磁石に関するばらつきによって発生するコギングトルクを、前記ステータ突起間における前記巻線のコイルエンド部にコギングトルク低減用突起を設けることで、前記コギングトルクの逆相成分を作り出して打ち消し、
    前記コギングトルク低減用突起は、径方向の幅が前記ステータ突起と同一であり、かつ、軸方向の長さが前記ステータ突起と同じ形状となる
    ことを特徴とする永久磁石式同期モータ。
  2. ステータ突起と、
    円環状に形成され、前記ステータ突起に付けられた巻線と、
    永久磁石と
    を有する永久磁石式同期モータにおいて、
    前記永久磁石に関するばらつきによって発生するコギングトルクを、前記ステータ突起間における前記巻線のコイルエンド部にコギングトルク低減用突起を設けることで、前記コギングトルクの逆相成分を作り出して打ち消し、
    周方向における前記ステータ突起間、および前記コギングトルク低減用突起間のそれぞれに、削り部分をさらに有する
    ことを特徴とする永久磁石式同期モータ。
  3. 請求項1または2に記載の永久磁石式同期モータにおいて、
    前記コギングトルク低減用突起は、前記巻線の前記コイルエンド部におけるコイル形状に合わせた形状を有する
    ことを特徴とする永久磁石式同期モータ。
  4. 請求項1または2に記載の永久磁石式同期モータにおいて、
    前記永久磁石は、極異方性リング磁石である
    ことを特徴とする永久磁石式同期モータ。
  5. 請求項1または2に記載の永久磁石式同期モータにおいて、
    前記ステータ突起の個数をZ個(Zは自然数)、前記永久磁石の極数を2P極(Pは自然数)としたとき、Z/(3(相)×2P)が0.5または0.25となる関係を有するように構成される
    ことを特徴とする永久磁石式同期モータ。
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