JP5446782B2 - インプリント用基板およびインプリント転写方法 - Google Patents
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Description
上記のインプリント転写の一つの方法として、光インプリント法が知られている。この光インプリント法では、例えば、インプリント用基板に被加工物として光硬化性の樹脂層を形成し、この樹脂層に所望の凹凸構造を有するモールド(型部材)を押し当てる。そして、この状態でモールド側から樹脂層に紫外線を照射して硬化させ、その後、モールドを樹脂層から引き離す。これにより、モールドが有する凹凸が反転した凹凸構造を被加工物である樹脂層に形成することができる(特許文献2)。このような光インプリント法は、従来のフォトリソグラフィ技術では形成が困難なナノメートルオーダーの微細パターンの形成が可能であり、次世代リソグラフィ技術として有望視されている。
したがって、モールドのパターン(凹部)内部への樹脂の充填性と、硬化した樹脂層に対するモールドの離型性とを満足するようにモールドやインプリント用基板の接触角を設定する必要があるが、この設定はパターン(凹部)の幅、深さ、形状などに応じて変更が必要となる。このため、特定の材料を使用している場合には、転写が可能な条件の許容範囲が狭く、また、許容範囲に適合する材料を得られたとしても、その材料が必ずしも目的となる性能を発揮するとは限らないため、使用目的に合致する材料が場合によっては得られず、プロセスに制限が課されるという問題があった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、モールドのパターン内部への樹脂充填性と、樹脂層に対するモールドの離型性とに優れ、高精細なインプリント転写が安定して行えるインプリント転写方法と、このような転写方法を可能とするインプリント用基板とを提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記濡れ性変化層は、光を照射することにより水の接触角が低下する層であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記濡れ性変化層は、前記基板本体の一方の面の所望の領域に設けられたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記濡れ性変化層は少なくとも使用するモールドのパターン領域と同じか、それより大きい領域に形成されたものであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記基板本体は、多面付けで区画されており、各面付け毎に前記濡れ性変化層を備えるような構成とした。
本発明のインプリント転写方法は、上述の本発明のインプリント用基板の前記濡れ性変化層上に被加工物を配設し、該被加工物にモールドのパターン領域を押し当て、前記濡れ性変化層に光を照射して濡れ性変化層の水の接触角を前記モールドの水の接触角よりも30°以上小さくなるように低下させ、次いで、前記モールドを介し被加工物に光を照射して被加工物の所定領域を硬化させ、その後、硬化した被加工物から前記モールドを引き離すような構成とした。
本発明のインプリント転写方法は、上述の本発明のインプリント用基板の前記濡れ性変化層上に被加工物を配設し、該被加工物にモールドのパターン領域を押し当て、前記モールドを介し被加工物および前記濡れ性変化層に光を照射して被加工物を硬化させると共に、光が照射された前記濡れ性変化層の水の接触角を前記モールドの水の接触角よりも30°以上小さくなるように低下させ、その後、硬化した被加工物から前記モールドを引き離すような構成とした。
本発明の他の態様として、被加工物を配設する前に、前記モールドのパターン内部に被加工物が充填され易いように、光を照射して前記濡れ性変化層の水の接触角を予め調整するような構成とした。
[インプリント用基板]
<第1の実施形態>
図1は、本発明のインプリント用基板の一実施形態を示す断面図である。
図1において、インプリント用基板1は、基板本体2と、この基板本体2の一方の面2aに設けられた濡れ性変化層3とを備えたものである。
インプリント用基板1を構成する基板本体2は、例えば、石英やソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基板、金属基板、あるいは、これらの材料の任意の組み合わせからなる複合材料基板であってよい。また、図2に示されるように、基板本体2は所望のパターン構造物5が面2a側に形成されたものであってもよい。このパターン構造物5としては、特に限定されず、半導体やディスプレイ等に用いられる微細配線や、フォトニック結晶構造、光導波路、ホログラフィのような光学的構造等が挙げられる。
濡れ性変化層3に使用する光触媒としては、照射された光を吸収したときに、周囲の有機物の化学構造に変化を及ぼすものであり、例えば、光半導体として知られている酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化鉄(Fe2O3)等のような金属酸化物を挙げることができ、これらの1種、あるいは2種以上の組み合わせで使用することができる。
上記の(1)の場合、一般式 YnSiX(4-n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基まはたエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。尚、Yで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;および
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3。
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記のような一般式で表される骨格を有する化合物を挙げることができる。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応を生じない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
また、濡れ性変化層3には、上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
また、本発明では、図3に示すように、インプリント用基板11が、基板本体12と、この基板本体12の一方の面12aに、光触媒含有層13aとオルガノポリシロキサン含有層13bとがこの順に積層されてなる濡れ性変化層13とを備えたものとすることができる。
光触媒含有層13aは、光触媒単独で形成されたものであってもよく、また、バインダーと混合して形成されたものであってもよい。
また、濡れ性変化層13を構成するオルガノポリシロキサン含有層13bは、上述のオルガノポリシロキサンを、必要に応じてオルガノシリコーン化合物、界面活性剤、オリゴマー、ポリマー等とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を光触媒含有層13a上に塗布することにより形成することができる。このようなオルガノポリシロキサン含有層13bの厚みは、0.001〜1μm、好ましくは0.01〜0.1μmの範囲で適宜設定することができる。オルガノポリシロキサン含有層13bの厚みが0.001μm未満であると、膜厚が薄くなることで剥離力に対する機械的強度が低下するため、例えば、モールドを被加工物から引き剥がす際にオルガノポリシロキサン含有層13bが破損し、被加工物がモールドに付着してしまうおそれがあり好ましくない。一方、オルガノポリシロキサン含有層13bの厚みが1μmを超えると、基板本体12に対する応力が無視できなくなり、基板本体12に意図しない反りが発生するため好ましくない。
このような本発明のインプリント用基板は、濡れ性変化層の濡れ性を任意に変更することができるので、モールドのパターン内部に被加工物が充填され易いように、濡れ性変化層の濡れ性を調節することができ、また、インプリント転写において硬化された被加工物に対する密着性を制御することができ、これにより硬化された被加工物に対するモールドの離型性を向上させることができる。
<第1の実施形態>
図5は、本発明のインプリント転写方法の実施形態を説明するための工程図であり、上述のインプリント用基板1(図1参照)を用いた例である。
本実施形態では、インプリント用基板1の濡れ性変化層3上に被加工物として光硬化性の樹脂層21を配設する(図5(A))。次に、樹脂層21にモールド(型部材)31のパターン領域(凹部が形成されている領域)を押し当てる(図5(B))。
次いで、モールド31側から樹脂層21に光を照射して、樹脂層21を硬化させて樹脂層21′とする(図5(C))。ここで照射する光は、光硬化性の樹脂層21の感光波長域を含む光であって、濡れ性変化層3に含有される光触媒の励起波長域から外れる光である。このような照射光としては、例えば、紫外線、VUV(真空紫外線)等を使用することができる。また、加熱をすることで樹脂層21を硬化させることも可能である。
次いで、硬化した樹脂層21′からモールド31を引き離すことにより、モールド31が有する凹凸パターンが反転した凹凸構造22が被加工物である樹脂層21′に転写形成される(図5(E))。
図6は、本発明のインプリント転写方法の他の実施形態を説明するための工程図であり、上述のインプリント用基板1(図1参照)を用いた例である。
本実施形態では、上述の実施形態と同様に、インプリント用基板1の濡れ性変化層3上に被加工物として光硬化性の樹脂層21を配設し、この樹脂層21にモールド31のパターン領域を押し当てる。次いで、濡れ性変化層3に光を照射し、濡れ性変化層3の水の接触角θsを低下させて、水の接触角がθ′sである濡れ性変化層3′とする(図6(A))。ここで照射する光は、濡れ性変化層3に含有される光触媒の励起波長域を含む光であって、光硬化性の樹脂層21の感光波長域から外れる光である。このような照射光としては、例えば、VUV(真空紫外線)、紫外線、可視光線、赤外線等を使用することができる。濡れ性変化層3への光照射は、モールド31側から行ってもよく、また、インプリント用基板1の基板本体2が照射光を透過可能である場合には、インプリント用基板1側から行ってもよい。
このように光照射で濡れ性が変化した濡れ性変化層3′の接触角θ′sは、モールド31の接触角θtとの間に、θt−θ′s≧30°となる関係が成立するものである。
図7は、本発明のインプリント転写方法の他の実施形態を説明するための工程図であり、上述のインプリント用基板1(図1参照)を用いた例である。
本実施形態では、上述の実施形態と同様に、インプリント用基板1の濡れ性変化層3上に被加工物として光硬化性の樹脂層21を配設し、この樹脂層21にモールド31のパターン領域を押し当てる。次に、モールド31側から樹脂層21および濡れ性変化層3に光を照射する(図7(A))。これにより、樹脂層21を硬化させて樹脂層21′とする。また、これと同時に、濡れ性変化層3の水の接触角θsを低下させて、水の接触角がθ′sである濡れ性変化層3′とする。ここで照射する光は、光硬化性の樹脂層21の感光波長域と濡れ性変化層3に含有される光触媒の励起波長域とに波長が存在する光を少なくとも含むものである。このような照射光としては、例えば、VUV(真空紫外線)、紫外線、可視光線、赤外線等を使用することができる。このように光照射で濡れ性が変化した濡れ性変化層3′の水の接触角θ′sは、モールド31の水の接触角θtとの間に、θt−θ′s≧30°となる関係が成立するようにする。これにより、濡れ性変化層3′に対する硬化した樹脂層21′の密着性が、モールド31に対する硬化した樹脂層21′の密着性よりも大きいものとなる。濡れ性変化層3′の接触角θ′sと、モールド31の接触角θtとの間にθt−θ′s≧30°となる関係が成立しない場合、硬化した樹脂層21′の濡れ性変化層3′に対する密着性とモールド31に対する密着性との差が不十分であり、硬化した樹脂層21′からモールド31を引き離す際に、モールド31に樹脂層21′が付着するおそれがある。
上述の各実施形態では、樹脂層21にモールド31を押し当てたときに、モールド31のパターン(凹部)内部に樹脂が充填され易いように、濡れ性変化層3の水の接触角θs、および、モールド31の水の接触角θtを適正な範囲に設定することができる。また、モールド31のパターン(凹部)内部への樹脂の充填性向上を目的として、モールド31の接触角θtとの関係から、濡れ性変化層3に光を照射して、接触角θsを上記の接触角θ′sより大きい範囲で若干低下させて所望の接触角θ″s(θ′s<θ″s<θs)とする調整を予め行ってもよい。
このような本発明のインプリント転写方法では、モールドのパターン内部への被加工物の充填性と、硬化した被加工物に対するモールドの離型性とを両立させることができ、これにより高精細なインプリント転写を安定して行うことができる。
本発明のインプリント転写方法で使用するモールドは、図示例のような形状に限定されるものではなく、例えば、図9に示されるようなメサ構造を有するモールド32であってもよい。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
<インプリント用基板の作製>
基板本体として、厚み625μmの石英ウエハを150mmφの寸法としたものを準備した。
一方、JSR(株)製 グラスカHPC7002を30g、JSR(株)製 グラスカHPC402H(アルキルアルコキシシラン)を10g混合し、この塗布液を上記の基板本体の一方の面にスピンコーティング法で塗布し、乾燥(150℃、10分間)して、厚さ2μmの塗布層を形成した。次に、JSR(株)製 グラスカHPC7002を15g、JSR(株)製 グラスカHPC402H(アルキルアルコキシシラン)を5g、チタニアゾル(日産化学(株)製 TA−15(平均粒径12nm))を混合し、この塗布液を上記の塗布層上にスピンコーティング法で塗布した。これを乾燥(150℃、10分間)することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒とオルガノポリシロキサンを含有する濡れ性変化層(厚み3μm)を形成し、インプリント用基板とした。
このように作製したインプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角θsは63°であった。尚、水の接触角はマイクロシリンジから水滴を滴下して30秒後に接触角測定器(協和界面科学(株)製 CA−Z型)を用いて測定した。
厚み6.35mmの石英ガラスを用いてモールドを作製した。このモールドは、大きさが25mm×25mmであり、深さ100nm、ライン/スペースが50nm/50nmの凹凸パターンを備えるものであった。また、このモールドの水の接触角θtを上記と同様に測定したところ、78°であった。
上記にように作製したインプリント用基板の表面(濡れ性変化層を形成した面)に容量が0.01μLとなるように光硬化性樹脂層(東洋合成工業(株)製 PAK−01)を5×5箇所(計25箇所)、5mmピッチで配設して被加工物とし、基板本体側が当接するようにインプリント装置の基板ステージに載置した。
次いで、光硬化性樹脂層に上記のモールドを押し込み、この状態でインプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が365nmの紫外線)を100mJ/cm2照射した。これにより、光硬化性樹脂層を硬化させた。
次に、インプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が172nmの真空紫外線)を130mJ/cm2照射した。これにより、インプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角は63°(θs)から8°(θ′s)へ低下し、上記のモールドの水の接触角θt(78°)よりも30°以上小さい値となった。
(欠陥率の測定)
光学顕微鏡でパターン領域内を5箇所観察し、一つの観察箇所(1.0mm×1.0mm)内で、樹脂層の剥がれや、パターン欠損が確認できた面積の割合を測定した。したがって、この欠陥率が大きい程、欠陥が多いことを意味し、本発明では、欠陥率が0.1未満を実用レベルと判定する。
<インプリント用基板の作製>
実施例1と同様にして、インプリント用基板を作製した。
<モールドの作製>
実施例1と同様にして、モールドを作製した。
<インプリント転写>
インプリント用基板の表面(濡れ性変化層を形成した面)に容量が0.01μLとなるように光硬化性樹脂層(東洋合成工業(株)製 PAK−01)を5×5箇所(計25箇所)、5mmピッチで配設して被加工物とし、基板本体側が当接するようにインプリント装置の基板ステージに載置した。
次いで、光硬化性樹脂層にモールドを押し込んだ状態でインプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が172nmの真空紫外線)を130mJ/cm2照射した。これにより、インプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角は63°(θs)から8°(θ′s)へ低下し、上記のモールドの水の接触角θt(78°)よりも30°以上小さい値となった。
その後、硬化した樹脂層からモールドを引き離した。そして、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した結果、欠陥率は0.04であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。
<インプリント用基板の作製>
実施例1と同様にして、インプリント用基板を作製した。
<モールドの作製>
実施例1と同様にして、モールドを作製した。
<インプリント転写>
インプリント用基板の表面(濡れ性変化層を形成した面)に容量が0.01μLとなるように光硬化性樹脂層(東洋合成工業(株)製 PAK−01)を5×5箇所(計25箇所)、5mmピッチで配設して被加工物とし、基板本体側が当接するようにインプリント装置の基板ステージに載置した。
その後、硬化した樹脂層からモールドを引き離した。そして、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した結果、欠陥率は0.09であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。
インプリント用基板の濡れ性変化層の濡れ性を変化させることなく、硬化した樹脂層からモールドを引き離した他は、実施例1と同様にしてインプリント転写を行った。
このインプリント転写では、モールドへの樹脂層の付着が大となり、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した結果、欠陥率は0.54であり、実用レベルを満足していないことが確認された。
インプリント用基板の濡れ性変化層の濡れ性変化において、平行光の照射量を60mJ/cm2とし、インプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角を63°(θs)から52°(θ′s)までの低下とし、モールドの水の接触角θt(78°)との差が26°となるようにした他は、実施例1と同様にしてインプリント転写を行った。
そして、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した。その結果、欠陥率は0.21であり、比較例1に比べて欠陥率は低いものの、実用レベルを満足するものではなかった。
<インプリント用基板の作製>
基板本体として、厚み625μmの石英ウエハを150mmφの寸法としたものを準備した。
一方、実施例1と同様にして濡れ性変化層を形成した後、VUV(波長172nm)を60mJ/cm2照射して、インプリント用基板とした。
このように作製したインプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角θsは50°であった。
<モールドの作製>
実施例1と同様にして、モールドを作製した。
上記にように作製したインプリント用基板の表面(濡れ性変化層を形成した面)に容量が0.01μLとなるように光硬化性樹脂層(東洋合成工業(株)製 PAK−01)を5×5箇所(計25箇所)、5mmピッチで配設して被加工物とし、基板本体側が当接するようにインプリント装置の基板ステージに載置した。
次いで、光硬化性樹脂層に上記のモールドを押し込んだ状態でインプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が365nmの紫外線)を100mJ/cm2照射した。これにより、光硬化性樹脂層を硬化させた。
次に、インプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が172nmの真空紫外線)を30mJ/cm2間照射した。これにより、インプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角は50°(θs)から30°(θ′s)へ低下し、上記のモールドの水の接触角θt(78°)よりも30°以上小さい値となった。
その後、硬化した樹脂層からモールドを引き離した。そして、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した結果、欠陥率は0.09であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。
<インプリント用基板の作製>
基板本体として、厚み625μmの石英ウエハを150mmφの寸法としたものを準備した。
次に、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製 KBM−403)を上記の基板本体の一方の面にスピンコーティング法で塗布し、乾燥(120℃、60分間)して塗布層を形成し、インプリント用基板とした。
このように作製したインプリント用基板の塗布層表面の水の接触角θsは3°であった。
<モールドの作製>
実施例1と同様にして、モールドを作製した。このモールドの水の接触角θtは、実施例1と同様、78°であり、濡れ性変化層の水の接触角θsよりも30°以上大きい値であった。
インプリント用基板は濡れ性変化層を有していないため、濡れ性を変化させることができないものであった。よって、濡れ性を変化させることを行わない他は、実施例1と同様にしてインプリント転写を行った。
そして、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した。その結果、離型時の樹脂層の剥がれに起因する欠陥が多くみられた。また、モールドのパターンへの樹脂の充填不良に起因するパターン欠損も存在しており、欠陥率は0.53であり、実用レベルを満足していないことが確認された。
<インプリント用基板の作製>
実施例1と同様にして、インプリント用基板を作製した。
<モールドの作製>
実施例1と同様にしてモールドを作製し、さらに、このモールドにオプツールDSX(ダイキン工業(株)製)を用いて離型処理を施してモールドとした。このモールドの水の接触角θtを上記と同様に測定したところ、110°であった。
インプリント用基板の濡れ性変化層の濡れ性変化において、平行光の照射量を60mJ/cm2とし、インプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角を63°(θs)から52°(θ′s)まで低下させ、モールドの水の接触角θt(110°)よりも30°以上小さい値とした他は、実施例1と同様にしてインプリント転写を行った。
そして、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した。その結果、モールドのパターンへの樹脂の充填不良に起因するパターン欠損がおおくみられ、欠陥率は0.19であり、実用レベルを満足していないことが確認された。
<インプリント用基板の作製>
基板本体として、厚み625μmの石英ウエハを150mmφの寸法としたものを準備した。
一方、イソプロピルアルコールを30g、トーケムプロダクツ(株)製 MF−160E(フルオロアルキルシランが主成分)を0.4g、東芝シリコーン(株)製 TSL8113(トリメトキシメチルシラン)を3g、石原産業(株)製 ST−K01(光触媒である二酸化チタン水分散体)を20g混合し、100℃で20分間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈し、この塗布液を上記の基板本体の一方の面にスピンコーティング法で塗布し、乾燥(150℃、30分間)して、厚さ0.2μmの触媒含有層を形成した。
このように作製したインプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角θsは99°であった。
実施例1と同様にしてモールドを作製し、さらに、このモールドにオプツール(ダイキン工業(株)製)を用いて離型処理を施してモールドとした。このモールドの水の接触角θtを上記と同様に測定したところ、117°であった。
<インプリント転写>
上記にように作製したインプリント用基板の表面(濡れ性変化層を形成した面)に容量が0.01μLとなるように光硬化性樹脂層(東洋合成工業(株)製 PAK−01)を5×5箇所(計25箇所)、5mmピッチで配設して被加工物とし、基板本体側が当接するようにインプリント装置の基板ステージに載置した。
次いで、光硬化性樹脂層に上記のモールドを押し込み、この状態でインプリント装置の照明光学系から平行光(ピーク波長が365nmの紫外線)を100mJ/cm2照射した。これにより、光硬化性樹脂層を硬化させ、かつ、インプリント用基板の濡れ性変化層の水の接触角を変化させた。これにより、接触角は99°(θs)から6°(θ′s)へ低下し、上記のモールドの水の接触角θt(117°)よりも30°以上小さい値となった。
その後、硬化した樹脂層からモールドを引き離した。そして、形成されたパターンについて、実施例1と同様に欠陥率を測定した結果、欠陥率は0.02であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。
2,12…基板本体
3,13…濡れ性変化層
3′,13′…濡れ性は変化した濡れ性変化層
13a…触媒含有層
13b…オルガノポリシロキサン含有層
21…被加工物
21′…硬化した被加工物
31,32…モールド
Claims (9)
- 被加工物を配設しモールドを用いたインプリント転写に供し、前記モールドのパターン内部に被加工物が充填される際の濡れ性と、硬化した被加工物から前記モールドを引き離す際の濡れ性を変化させて使用することができるインプリント用基板において、
基板本体と、該基板本体の一方の面に設けられた濡れ性変化層とを備え、該濡れ性変化層は、光触媒とオルガノポリシロキサンを含有する層、あるいは、光触媒含有層とオルガノポリシロキサン含有層とがこの順に前記基板本体上に積層された層であり、光を照射することにより表面の濡れ性が変化する層であることを特徴とするインプリント用基板。 - 前記濡れ性変化層は、光を照射することにより水の接触角が低下する層であることを特徴とする請求項1に記載のインプリント用基板。
- 前記濡れ性変化層は、前記基板本体の一方の面の所望の領域に設けられたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインプリント用基板。
- 前記濡れ性変化層は少なくとも使用するモールドのパターン領域と同じか、それより大きい領域に形成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインプリント用基板。
- 前記基板本体は、多面付けで区画されており、各面付け毎に前記濡れ性変化層を備えることを特徴とする請求項4に記載のインプリント用基板。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインプリント用基板の前記濡れ性変化層上に被加工物を配設し、該被加工物にモールドのパターン領域を押し当て、被加工物の所定領域を硬化させ、次いで、前記濡れ性変化層に光を照射して濡れ性変化層の水の接触角を前記モールドの水の接触角よりも30°以上小さくなるように低下させ、その後、硬化した被加工物から前記モールドを引き離すことを特徴とするインプリント転写方法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインプリント用基板の前記濡れ性変化層上に被加工物を配設し、該被加工物にモールドのパターン領域を押し当て、前記濡れ性変化層に光を照射して濡れ性変化層の水の接触角を前記モールドの水の接触角よりも30°以上小さくなるように低下させ、次いで、前記モールドを介し被加工物に光を照射して被加工物の所定領域を硬化させ、その後、硬化した被加工物から前記モールドを引き離すことを特徴とするインプリント転写方法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインプリント用基板の前記濡れ性変化層上に被加工物を配設し、該被加工物にモールドのパターン領域を押し当て、前記モールドを介し被加工物および前記濡れ性変化層に光を照射して被加工物を硬化させると共に、光が照射された前記濡れ性変化層の水の接触角を前記モールドの水の接触角よりも30°以上小さくなるように低下させ、その後、硬化した被加工物から前記モールドを引き離すことを特徴とするインプリント転写方法。
- 被加工物を配設する前に、前記モールドのパターン内部に被加工物が充填され易いように、光を照射して前記濡れ性変化層の水の接触角を予め調整することを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載のインプリント転写方法。
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