以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1および図2に示された表示装置10は、タッチパネル機能を有し表示面12への外部導体(例えば、人間の指)の接触位置(接近位置)を検出可能であるとともに映像を表示可能な装置として、構成されている。つまり、表示装置10は、文字や図等の情報を映像として出力する出力装置として機能するだけでなく、表示面12へ接触(接近)することにより情報を入力する入力装置としても機能する。以下においては、表示装置10が、投影型の容量結合方式のタッチパネル機能を有する例について説明する。また、図2に示すように、本実施の形態における表示装置10は、液晶表示パネル(LCDパネル、液晶パネル)として構成された表示パネル30を有している。すなわち、以下の実施の形態においては、本発明を液晶表示装置(液晶ディスプレイ)に適用した例について説明する。
図1に示すように、表示装置10は、表示パネル30と、表示パネル30に接続され表示パネル30の駆動を制御する制御部20と、液晶パネルとしての表示パネル30を背面側(非観察者側)から照明する面光源装置(バックライト)25と、を有している。本実施の形態においては、液晶パネルとして形成された表示パネル30が面光源装置25からの面状光を選択的に透過させることにより、映像を表示面12に表示することができるようになっている。面光源装置25としては、例えば、エッジライト型や直下型等の面光源装置を適宜用いることができる。また、表示パネル30の表示面12が、タッチパネル装置の入力面(タッチ面、接触面)として機能するようになる。つまり、表示面12に導体、例えば人間の指を接触させることにより又は接近させることにより、表示装置10に対して外部から情報を入力することができるようになっている。
制御部20は、表示されるべき映像に関する情報を処理する映像情報処理部22と、表示面12を介して入力される情報を処理する入力情報処理部24と、を有している。映像情報処理部22は、表示パネル30に接続され、映像情報に基づいて表示パネル30を駆動する。すなわち、映像情報処理部22は、映像情報に基づいて、各画素の表示状態を制御するように構成された回路(駆動回路)を含んでいる。
一方、入力情報処理部24は、表示パネル30に接続され、表示面12を介して入力された情報を処理する。具体的には、入力情報処理部24は、表示面12へ導体(典型的には、人間の指)が接触または接近している際に、表示面12への導体の接触位置または接近位置を特定し得るように構成された回路(検出回路)を含んでいる。また、入力情報処理部24は、映像情報処理部22と接続され、処理した入力情報を映像情報処理部22へ送信することもできる。この際、映像情報処理部22は、入力情報に基づいた映像情報を作成し、入力情報に対応した映像を表示面12に表示させるようにすることもできる。
このような制御部20の映像情報処理部22および入力情報処理部24については、回路構成も含め、従来の映像表示装置で用いられている映像情報処理部22や、従来のタッチパネル装置で用いられている入力情報処理部24と同様に構成することができ、ここでは、これ以上の詳細な説明を省略する。
次に、表示パネル30について詳述する。図2に示すように、液晶パネルとしての表示パネル30は、第1の基板(カラーフィルタ(カラーフィルタ基板)、対向基板とも呼ぶ)40と、第1基板40に対面して第1基板40の背面側(面光源装置側)に配置された第2基板(以下において、素子基板、アレイ基板とも呼ぶ)35と、第1基板40および第2基板35の間に封入された液晶層32と、を有している。また、第1基板40は、透明な板状の第1の基材45と、基材45の一側(本実施の形態においては、観察者側であって、図2の紙面おける上側)に設けられたタッチパネルセンサ層60と、基材45の一側とは反対側の他側(本実施の形態においては、光源側であって、図2の紙面おける下側)に設けられたカラーフィルタ層50と、を有している。このタッチパネルセンサ層60が、上述の制御部の入力情報処理部24と接続され、入力情報処理部24とともにタッチパネル機能を構築する。
このように、表示パネル30は、表示装置10が映像を表示することを可能とするための構成と、表示装置10がタッチパネルとして機能することを可能にするための構成と、を含んでいる。そして、このような概要の表示パネル30のうち、まず、主に映像表示装置として機能するための構成、具体的には、第1基板40のカラーフィルタ層50および第2基板35について、説明する。そしてその後、表示パネル30の主にタッチパネルとして機能するための構成、具体的には、タッチパネルセンサ層60の構成について、説明する。
上述したように、カラーフィルタ層50は、第1の基材45上に形成されている。第1の基材45は、例えば、樹脂製の板材や板ガラスから構成される。図2に示すように、カラーフィルタ層50は、遮光作用を有し非画素領域(光が透過し得ない領域)を形成する遮光部51を有している。遮光部51は、各々がサブ画素を構成するようになる貫通開口を形成されている。この遮光部51は、いわゆるブラックマトリクスとして機能し、コントラストの向上に寄与し得る。また、本実施の形態において、各サブ画素を構成する貫通開口には、当該サブ画素SPの表示色に着色された第1〜第3の着色部52が形成されている。具体例として、第1着色部52Gは緑色に着色され、第2着色部52Rは赤色に着色され、第3着色部52Bは青色に着色されている。さらに、第1基板40には、液晶パネルの観察者側の基板(カラーフィルタ基板)として有効に機能するため、その他の構成要素が適宜設けられている。例えば、着色部52の光源側には、保護膜53、透明電極層54および配向膜(図示せず)等が設けられ、さらに、後述するタッチパネルセンサ層60よりも観察者側に、偏光板(図示せず)等が設けられる。なお、カラーフィルタ層50の各構成要素の構成については、従来の構成と同一にすることができ、ここでは、カラーフィルタ層50についてのこれ以上の詳細な説明を省略する。
一方、図2に示すように、第2基板35は、透明な第2の基材36と、カラーフィルタ層50の各着色部52に対面するようにして基材36上にそれぞれ配置された画素電極37と、を有している。また、画素電極37に対する印加を制御するスイッチング素子38が、画素電極37毎に別個に設けられている。スイッチング素子38は、上述した制御部20の映像情報処理部22に電気的に接続され、映像情報処理部22の各画素の表示を制御するための駆動回路からの信号に基づいて動作する。第2基材36上には、スイッチング素子38の駆動に必要となる、走査線や信号線(データ線)等の種々の回路配線(図示せず)が形成されている。さらに、第2基板35には、液晶パネルの面光源装置側の基板(素子基板、アレイ基板)として有効に機能するため、その他の構成要素が適宜設けられている。例えば、画素電極37の観察者側には、画素電極37やスイッチング素子38等を保護するための保護層39や、配向膜(図示せず)等が設けられ、さらに、第2基材35の光源側には、偏光板(図示せず)等が設けられる。なお、第2基板(TFT基板)35の各構成要素の構成については、従来の構成と同一にすることができ、ここでは、第2基板についてのこれ以上の詳細な説明を省略する。
以上が、表示パネル30に含まれる主に映像を表示するための装置として機能するための構成である。次に、表示パネル30に含まれる主にタッチパネルとして機能するための構成、すなわち、タッチパネルセンサ層60の構成について説明する。
図2および図3に示すように、タッチパネルセンサ層60は、接触位置(接近位置)を検出され得る領域に対応するアクティブエリアA1(図1および図3参照)に配置されたセンサ部60aと、アクティブエリアA1に隣接する非アクティブエリアA2に配置されセンサ部60aと接続された取り出し部60bと、を有している。なお、アクティブエリアA1は、表示パネル30の映像を表示することができる領域(表示エリア)である。非アクティブエリアA2は、表示領域を取り囲むようにして表示領域の外側に配置された領域であって、映像が表示されない領域(非表示領域)である。
図3に示すように、投影型の容量結合方式として構成された本実施の形態におけるタッチパネルセンサ層60において、センサ部60aは、並列配置された複数の第1単位センサ61と、並列配置された複数の第2単位センサ66と、を有している。各第1単位センサ61は、基材45の一側の面と平行な第1方向に延び、各第2単位センサ66は、第1方向と交差する方向であって基材45の一側の面と平行な第2方向に、延びている。
なお、図3に示すように、本実施の形態では、複数の第1単位センサ61は、第2単位センサ66の長手方向である第2方向に、等間隔で並べられている。また、複数の第2単位センサ66は、第1単位センサ61の長手方向である第1方向に、等間隔で配列されている。そして、第1単位センサ61の長手方向および第2単位センサ66の長手方向は、基材45の一側の面上において、直交している。
すなわち、図3に示すように、アクティブエリアA1内において、第1単位センサ61および第2単位センサ66は互いに交わっている。ただし、図2および図4に示すように、第1単位センサ61および第2単位センサ66は、交差する領域において、基材45の一側の面からの離間距離が異なる位置、すなわち、基材45から異なる高さ方向位置を通過している。この結果、第1単位センサ61および第2単位センサ66は、互いから非接触状態で、交差している。なお、図4においては、図示および理解のしやすさの便宜から、カラーフィルタ層50を省略している。以下、センサ部60aの構成についてさらに詳述していく。
まず、第1単位センサ61について説明する。複数の第1単位センサ61は、透明な導電性材料、例えばITOから形成されている。図3に示すように、複数の第1単位センサ61は、前記第1方向および前記第2方向の両方向に並べて配置された多数の第1単位センサ主部62と、多数の第1単位センサ主部62のうちの第1方向に並べられた複数の第1単位センサ主部62を、互いに接続するライン部63と、を有している。すなわち、第1方向に隣り合う二つの第1単位センサ主部62の間に、それぞれ、ライン部63が、これらの二つの第1単位センサ主部62と一体として設けられ、これらの二つの第1単位センサ主部62を連結している。このようにして、第1方向に並べられた複数の第1単位センサ主部62と、それらの間を接続するライン部63と、によって、各第1単位センサ61が構成されている。
なお、図3に示すように、第1単位センサ主部62は、基材45の一側の面上において、略正方形状の形状を有している。この正方形は、該正方形をなす各辺が第1方向に対して略45°傾斜するようにして、基材45の一側の面上に配置されている。一方、ライン部63は、基材45の一側の面上において、第1方向に延びる細長い長方形状の形状を有している。そして、第1方向に直交する方向における第1単位センサ61の幅は、ライン部63にて最も細くなっている。
次に、第2単位センサ66について説明する。複数の第2単位センサ66は、第1単位センサ61と同様に、透明な導電性材料、例えばITOから形成されている。図3に示すように、複数の第2単位センサ66は、前記第1方向および前記第2方向の両方向に並べられて、複数の第1単位センサ61の間に当該複数の第1単位センサ61から離間して、配置された多数の第2単位センサ主部67と、多数の第2単位センサ主部67のうちの第2方向に並べられた複数の第2単位センサ主部67を、互いに接続するブリッジ部68と、を有している。すなわち、第2方向に隣り合う二つの第2単位センサ主部67の間に、それぞれ、これらの二つの第2単位センサ主部67と別体としてライン部68が設けられている。このようにして、第2方向に並べられた複数の第2単位センサ主部67と、それらの間を接続するブリッジ部68と、によって、各第2単位センサ66が構成されている。
ここで、図2および図4に示されているように、各ブリッジ部68は、第2方向に隣り合う二つの第2単位センサ66の間を、第1単位センサ61を跨ぐようにして延びている。具体的には、図2および図3に示すように、第2単位センサ主部67は、第1単位センサ61と同一平面(図示する例では、基材45の一側の面)上に設けられている。そして、第2単位センサ主部67および第1単位センサ61の観察者側には、透明な絶縁性材料(例えば、アクリル系ポリマーやSiO2)からなり、容量結合方式タッチパネルにおける誘電体としても機能する誘電体層(絶縁層)70が設けられている。図3に示すように、この誘電体層70は、アクティブエリアA1の全域を覆うとともに、さらに、アクティブエリアA1から非アクティブエリアA2内まで延び入っている。この結果、誘電体層70は、複数の第1単位センサ61および第2単位センサ66の主部67を覆っている。
その一方で、誘電体層70には、第2単位センサ主部67に通じる貫通孔71が形成されている(図11および図12参照)。より詳細には、第2単位センサ66の端をなす第2単位センサ主部67を除く、その他のすべての第2単位センサ主部67に対応して、当該第2単位センサ主部67に通じる貫通孔71が二つ形成されている。一つの第2単位センサ主部67に対応して設けられた二つの貫通孔71は、第2方向に離間している。そして、図2に示すように、各ブリッジ部68は、誘電体層70上を延びて、さらに、貫通孔71を通過し、第1単位センサ61と非接触状態で、二つの第2単位セン66に接続している。すなわち、第2方向に隣り合う各二つの第2単位センサ主部67は、一つのブリッジ部68によって、連結されている。
なお、図3に示すように、第2単位センサ主部67は、基材45の一側の面上において、略正方形状の形状を有している。この正方形は、該正方形をなす各辺が第2方向に対して略45°傾斜するようにして、基材45の一側の面上に配置されている。一方、ブリッジ部68は概ね帯状に延びており、第2方向に直交する方向におけるブリッジ部68の幅は、第2単位センサ主部67と接続される両端部分以外において概ね一定となっている。そして、第2方向に直交する方向における第2単位センサ66の幅は、ブリッジ部68のうちの隣り合う第2単位センサ主部67間上に位置する領域にて最も細くなっている。
また、図3に示すように、タッチパネルセンサ層60の上面視において(タッチパネルセンサ層60をその法線方向から観察した場合)、第2単位センサ66の幅狭のブリッジ部68は、第1単位センサ61の幅狭のライン部63と、交差するようになっている。この結果、上面視において、第1単位センサ61と第2単位センサ66とが重なり合っている部分が非常に小さくなる。このため、第1単位センサ61は、外部導体の接触面として機能する表示面12の側からみて、第2単位センサ66の裏側に位置するようになるが、第1単位センサ61での検出感度が、第2単位センサ66での検出感度と比較して、大幅に低下してしまうことはない。
次に、取り出し部60bについて説明する。図3に示すように、取り出し部60bは、複数の第1単位センサ61にそれぞれ対応して設けられた複数の第1取り出しライン73と、複数の第2単位センサ66にそれぞれ対応して設けられた複数の第2取り出しライン74と、を含んでいる。各第1取り出しライン73は、その一端において、当該第1取り出しライン73と対応する第1単位センサ61と接続され、その他端に、外部(すなわち、入力情報処理部24へ通ずる配線)との接続端子として機能するパッド73aを含んでいる。同様に、各第2取り出しライン74は、その一端において、当該第2取り出しライン74と対応する第2単位センサ66と接続され、その他端に、外部との接続端子として機能するパッド74aを含んでいる。
なお、図2に示されているように、本実施の形態において、各第1取り出しライン73および各第2取り出しライン74は、後に説明する製造方法に起因して、三つの層によって構成されている。具体的には、各取り出しライン73,74は、基材45の側から順に配置された、銅、アルミニウム、銀またはそれらを含む合金等の高導電率金属からなる金属ライン部75aと、上述した第1単位センサ61および第2単位センサ主部67と同一の透明導電体からなる第1透明導電体部75bと、上述したブリッジ部68と同一の透明導電体からなる第2透明導電体部75cと、を有している。
ところで、本実施の形態においては、図2および図3に示すように、第1基板40は、タッチパネルセンサ層60の観察者側に配置された保護層42を、さらに有している。保護層42は、タッチパネルセンサ層60上に設けられ、タッチパネルセンサ層60を少なくとも部分的に覆うようになっている。この保護層42は、絶縁性の材料からなり、容量結合方式のタッチパネルにおける、センサ部60aと外部導体との間に位置する誘電体としても機能する。
図3に示すように、本実施の形態による保護層42は、アクティブエリアA1に対面する領域においてタッチパネルセンサ層60を覆い、さらに、非アクティブエリアA2に対面する領域までタッチパネルセンサ層60上を延び広がっている。より詳細には、保護層42は、タッチパネルセンサ層60のセンサ部60aを全領域において覆い、さらに、パッド73a,74aの一部分を除き、取り出し部60bも覆っている。すなわち、取り出し部60bは、外部との接続に必要となる取り出し端子として機能する部分を除き、保護層42によって覆われている。
なお、本件発明者が鋭意実験を繰り返したところ、JIS K 5600−5−4に準拠した鉛筆硬度試験において、保護層が、3H以上の硬度を有することが好ましい。この場合、後述する製造方法で第1基板40を作製する際に、タッチパネルセンサ層60が損傷してしまうことや、タッチパネルセンサ層60に汚れが付着してしまうこと等を、効果的に防止することができる。
次に、以上のような構成からなる第1基板40を製造する方法の一例について説明する。
図5に示すように、まず、第1基材45をなすようになる透明な基材を準備する(工程S1)。透明な基材として代表的には板ガラスが用いられるが、これに限られず、十分な厚さを有した樹脂板が第1基材45を構成するための透明基材として用いられてもよい。
次に、準備した基材45の一側の面上に、タッチパネルセンサ層60を作製する(工程S2)。ここでは、主に図6〜図13を参照しながら、タッチパネルセンサ層60を基材45の一側の面上に形成する方法の一例について説明する。
まず、図6に示すように、基材45上の第1取り出しライン73および第2取り出しライン74を形成する(工程Sa1)。より詳細には、図7に示すように、第1取り出しライン73および第2取り出しライン74のうちの、金属ライン部75aが形成される。第1取り出しライン73および第2取り出しライン74は、上述したように、アクティブエリアA1に形成されたセンサ部60aと、制御部20と、を接続するために、非アクティブエリアA2に形成される。したがって、表示面12の表示領域外であり、金属ライン部75aは、銅、アルミニウム、銀、若しくはそれらを含む合金等の透明でない高導電率金属から形成され得る。
例えば、基材45の一側の面の全面を覆うようにして、高導電率金属からなる膜を蒸着、スパッタ等の真空薄膜形成方法で形成し、フォトリソグラフィー技術を用いてこの高導電率金属からなる膜をパターニングすることによって、第1取り出しライン73および第2取り出しライン74のうちの金属ライン部75aが形成され得る。他の例としては、スクリーン印刷により、所望のパターンで、第1取り出しライン73および第2取り出しライン74のうちの金属ライン部75aを基材45上に形成することもできる。
次に、図6および図8に示すように、第1導電体層77を形成する(工程Sa2)。第1導電体層77は、上述した第1単位センサ61および第2単位センサ66の主部67を形成するようになる層である。したがって、第1導電体層77は、透明な導電性材料を用いて形成される。具体例としては、ITO(酸化インジウムスズ)を蒸着またはスパッタリングにより第1基材45に一側から付着させ、ITOをからなる第1導電体層77を一定の厚みで形成することができる(図8参照)。
次に、第1導電体層77をパターニングする(工程Sa3)。この工程では、フォトリソグラフィー技術を用いて、第1導電体層77をパターニングする。この結果、図9に示すように、第1単位センサ61および第2単位センサ66の主部67が、第1導電体層77から形成される。また、第1取り出しライン73および第2取り出しライン74のうちの金属ライン部75a上の第1導電体層77を除去することなく残し、金属ライン部75a上に第1透明導電体部75bを形成する(図2参照)。
その後、第1単位センサ61および第2単位センサ主部67の基材45とは反対側に、誘電体層70が形成される(工程Sa4)。誘電体層70は、透明な絶縁性材料、例えばアクリル系ポリマーやSiO2を、基材45上にコーティングすることにより形成される。誘電体層70は、例えば、アクティブエリアA1を含む基材45の一側の面の全領域を覆うようにして形成される。これにより、誘電体層70は、第1透明導電体77から形成された第1単位センサ61および第2単位センサ66の主部67を覆うようになる。なお、誘電体層70をコーティングにより形成することにより、図10に示すように、基材75上における第1導電体層77のパターンに関わらず、形成された誘電体層70の基材45とは反対側の面70aは、平坦となる。とりわけ、基材45が水平方向と平行に保持された状態で誘電体層70をなすようになる材料のコーティングが行われると、誘電体層70の基材45とは反対側の面70aは、基材45の一側の面と同様に、水平方向と平行となる。
次に、誘電体層70をパターニングする(工程Sa5)。この工程Sa5では、フォトリソグラフィー技術を用いて、誘電体層70をパターニングする。具体的には、図11および図12に示すように、誘電体層70に、誘電体層70と基材45との間に配置された各第2単位センサ主部70に通じる貫通孔71を形成する。この際、上述したように、第2単位センサ66の端をなす第2単位センサ主部67を除く、その他の各第2単位センサ主部67に対応して、当該第2単位センサ主部67に通じる貫通孔71が二つ形成される。また、一つの第2単位センサ主部67に対応して設けられた二つの貫通孔71は、第2方向に離間するようにする。
さらに、誘電体層70は、非アクティブエリアA2に積極的に設ける必要はない。したがって、例えば図3に示すように、非アクティブエリアA2の一部から誘電体層70を除去するようにしてもよい。なお、図3に示す例においては、誘電体層70は、アクティブエリアA1の全域を覆うとともに、金属ライン部75aの端部を覆う位置まで、アクティブエリアA1から非アクティブエリアA2に延び出ている。このような例によれば、誘電体層70が、金属ライン部75aの基材45からの剥離の起点となりやすい金属ライン部75aの端部を、覆うことになり、これにより、金属ライン部75aの基材45からの剥離を効果的に抑制することができる。
その後、図6および図13に示すように、第2導電体層78を形成する(工程Sa6)。第2導電体層78は、上述した第2単位センサ66のブリッジ部68を形成するようになる層である。したがって、第2導電体層78は、第1導電体層77と同様に、透明な導電性材料を用いて形成される。具体例としては、ITO(酸化インジウムスズ)を蒸着またはスパッタリングにより第1基材45に一側から付着させ、ITOをからなる第2導電体層78を形成することができる。蒸着またはスパッタリングによれば、成膜対象物の表面が凹凸形状として形成されていたとしても、当該凹凸形状に沿って延びる、厚みが薄く且つ一定である膜(層)を形成することができる。したがって、図13に示すように、貫通孔71が形成された誘電体層70の表面、および、貫通孔71によって露出した第2単位センサ主部67の表面に、所望の厚みの第2導電体層78を形成することができる。
次に、第2導電体層78をパターニングする(工程Sa7)。この工程では、フォトリソグラフィー技術を用いて、第2導電体層78をパターニングする。この結果、図2および図3に示すように、第2単位センサ66のブリッジ部68が、第2導電体層78から形成される。
なお、上述した誘電体層70をパターニングする工程Sa5において、非アクティブエリアA2の一部領域から誘電体層70を除去している。この結果、第1取り出しライン73および第2取り出しライン74の第1導電体部75bが露出している。また、第2導電体層78を形成する工程では、露出した非アクティブエリアA2にも第2導電体層78が形成されている。そして、第2導電体層78をパターニングする工程においては、露出した第1導電体部75b上の第2導電体層78を除去することなく残し、第1導電体部75b上に第2透明導電体部75cを形成する(図2参照)。
以上のようにして、第1基材45上に、投影型容量結合方式のタッチパネルセンサ層60が得られる。その後、図5に示すように、タッチパネルセンサ層60の基材45とは反対側に、保護層42を形成する(工程S3)。
保護層42は、例えばアクリル系ポリマー等の有機材料をタッチパネルセンサ層60上にコーティングして有機材料層を形成し、さらに、フォトリソグラフィー技術を用いてこの有機材料層をパターニングすることによって、形成され得る。このような方法によれば、タッチパネルセンサ層60の所望の領域のみを覆う保護層42を作製することができる。あるいは、保護層42は、蒸着またはスパッタリングによって、例えばSiO2、SiON、SiN等の無機材料をタッチパネルセンサ層60上に付着させることによっても、作製され得る。この場合、タッチパネルセンサ層60をメタルマスクでマスキングした状態で、蒸着またはスパッタリングを行うことにより、または、蒸着またはスパッタリングで形成した無機材料層をフォトリソグラフィー技術でパターニングすることにより、無機材料からなる保護層42が、タッチパネルセンサ層60の所望の領域のみを覆うようにすることができる。
なお、以上のタッチパネルセンサ層60を形成する工程S2および保護層42を形成する工程S3は、搬送手段によって基材45を搬送しながら、行われる。この際、典型的な例として、基材45の他側の面が搬送手段のローラーに接触した状態で、ローラーが回転および停止を繰り返し、基材45の搬送、基材45への処理、あるいは、搬送しながらの基材45への処理が実施されていく。基材45がガラスや樹脂板等からなる場合には、基材45は高い硬度を有し得るため、搬送手段による搬送中に、基材45の他側の面が損傷してしまうことや、基材45の他側の面に汚れが除去不能に付着してしまうこと等を、防止することができる。
次に、図5に示すように、基材45の他側の面上に、カラーフィルタ層50を作製する(工程S4)。図14には、カラーフィルタ層50の製造方法を説明するためのフローチャートを、作製されつつあるカラーフィルタ層の状態を示す模式図とともに、示している。なお、図14においては、図示および理解のしやすさの便宜から、タッチパネルセンサ層60および保護層42を省略している。
図14に示すように、カラーフィルタ層50を作製する工程S4は、遮光部51の形成工程Sb1、第1着色部52Gの形成工程Sb2、第2着色部52Rの形成工程Sb3、第3着色部52Bの形成工程Sb4、保護膜53の形成工程Sb5、透明電極層54の形成工程Sb6、さらに、配向膜の形成等の他の工程を含んでいる。これらの各工程Sb1〜Sb6において、それぞれ、コーティング、蒸着またはスパッタリング等による材料層の形成工程、材料層を露光する工程、材料層を現像する工程が実際される。
これらの各工程は、一般的に専用の装置で実施されるため、タッチパネルセンサ層60を設けられた基材45は、カラーフィルタ層50を形成する工程S4中、搬送および停止を数十回にわたって繰り返しながら、長い製造ラインを搬送されている。このカラーフィルタ層50を形成S4する工程においては、上述したタッチパネルセンサ層60を形成する工程S2や保護層42を形成する工程S3とは異なり、基材45が一側から搬送手段のローラー等に接触した状態で、基材45(作製中の基板40)が搬送されるようになる。
しかしながら、上述してきたように、カラーフィルタ層50を形成する工程S4の前に、タッチパネルセンサ層60を覆う保護層を形成する工程S3が実施される。すなわち、タッチパネルセンサ層60は、保護層42を介して搬送手段に対面するようになり、これにより、タッチパネルセンサ層60の一側の面が損傷してしまうことや、タッチパネルセンサ層60の一側の面に汚れが除去不能に付着してしまうこと等を、防止することができる。
とりわけ、上述した製造方法において製造された投影型の容量結合方式のタッチパネルセンサ層60は、基材45から離間する側(前記一側であって、観察者側)に向けて、誘電体層70からブリッジ部60の一部が突出している。したがって、保護層42が設けられていない場合、このようなタッチパネルセンサ層60では、第2単位センサ66が、たちまち損傷してしまう、さらには破断してしまう可能性がある。そして、このような不具合は、タッチパネルセンサ層60上に保護層42を設けることによって、極めて効果的に防止することができる。
この結果、第1単位センサ61だけでなく、第2単位センサ66も安定して予定した導電率を有するようになり、信頼性の高いタッチパネルセンサ層60を安定して提供することが可能となる。
また上述しように、保護層42が3H以上の鉛筆硬度を有する場合には、搬送手段による搬送中に、保護層42が損傷してしまうことや、保護層42に汚れが除去不能に付着してしまうこと等を、効果的に防止することができる。このため、タッチパネルセンサ層60上から保護層42を除去することなく、保護層42を含んだままの状態の第1基板40を、表示装置10に組み込むことができる。この場合、保護層42を、容量結合方式タッチパネルに誘電体層70として用いることができ、都合が良い。
以上のようにして、タッチパネルセンサ層60およびカラーフィルタ層50を有する第1基板40が、製造される。このようにして得られた第1基板40は、カラーフィルタ基板として、液晶表示装置10に組み込まれる。したがって、この表示装置10は、高感度のタッチパネル装置として機能するとともに、映像を表示する装置としても機能する。
そして、この表示装置10がタッチパネル装置として機能する場合には、以下の作用効果を期待することができる。上述したように、損傷や汚れの付着を防止しながら、タッチパネルセンサ層60を安定して作製することができるため、表示装置10も安定した感度で接触位置または接近位置の検出を行うことができるようになる。とりわけ、複雑な構成を有するタッチパネルセンサ層60をも安定して製造することができ、複雑な構成を有するタッチパネルセンサ層60を組み込んだ表示装置10においては、この複雑な構成に依存した極めて高感度な接触位置または接近位置の検出を行うことができる。
一方、この表示装置10が映像を表示する装置として機能する場合、以下の作用効果を期待することができる。この表示装置10は、表示装置とは別個に形成されたタッチパネル装置が表示装置に貼り付けられている装置と比較して、照明等の環境光(外光)や映像光等を反射し得る界面の数を減じることができる。これにより、映像光の透過率が上昇してエネルギ効率が向上するとともに、環境光の反射を抑制して表示装置10に表示される映像のコントラストを向上させることができる。以上のことから、本実施の形態による表示装置10によれば、タッチパネル機能を付与されているものの、優れた画質の映像を表示することができる。
以上のように本実施の形態によれば、タッチパネルセンサ層60の基材45とは反対側に保護層42が設けられている。したがって、基材45の一側にタッチパネルセンサ層60を形成した後に、基材45の一側を下に向けた状態で、搬送手段によって、作製中の基板40を繰り返し移動および停止させながら、基材45の他側にカラーフィルタ層50を形成したとしても、保護層42によってタッチパネルセンサ層60を保護することができる。これにより、タッチパネルセンサ層60が損傷したり、タッチパネルセンサ層50に汚れが付着したりすることを防止することができる。この結果、期待した機能を発揮し得るタッチパネルセンサ層60を有した表示装置用基板40が安定して得られるようになる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
例えば、上述した実施の形態において、タッチパネルセンサ層60が、投影型の容量結合方式のタッチパネルセンサとして構成されている例を示したが、これに限られない。例えば、タッチパネルセンサ層60が、表面型の容量結合方式のタッチパネルセンサとして構成されていてもよいし、あるいは、抵抗膜方式のタッチパネルセンサとして構成されていてもよい。
また、上述した実施の形態において、タッチパネルセンサ層60上に保護層42が形成されたままの状態で、第1基板40が表示装置10に組み込まれる例を示したが、これに限られない。例えば、図5に二点鎖線で示すように、カラーフィルタ層50を形成する工程S4の後に、保護層42をタッチパネルセンサ層60上から除去する工程S5が、さらに設けられてもよい。例えばアクリル系ポリマー等の有機材料からなる保護層42を、例えばアルカリ性現像液等を用いて、エッチングすることにより、除去することができる。なお、保護層42をタッチパネルセンサ層60上から除去する工程S5が設けられる場合、保護層42を形成する工程S3において、取り出しライン73,74のパッド73a,74aの一部分を露出させる必要はない。この場合、保護層42により、パッド73a,74aを覆って保護することができるようになり、例えば、取り出しライン73,74が、パッド73a,74aを起点として、基材45上から剥離してしまうことを効果的に防止することができる。
さらに、上述した実施の形態において、第2単位センサ主部67の一端部とブリッジ部68の一端部とを接続するため、第2単位センサ主部67の一端部に対面する誘電体層70の領域に貫通孔71が一つ設けられる例を示したが、これに限られない。第2単位センサ主部67の一端部に対面する誘電体層70の領域に、二つの以上の貫通孔71を設けるようにしてもよい。この場合、第2単位センサ主部67の一端部とブリッジ部68の一端部とが、二つの以上の貫通孔71を介して接続され、第2単位センサ主部67とブリッジ部68とのより確実な接続を確保する上で好ましい。また、第2単位センサ主部67に対面するブリッジ部68の端部における幅を、第1単位センサライン部63に対面するブリッジ部68の中央部における幅と比較して、広くしておくことが、第2単位センサ主部67とブリッジ部68とのより確実な接続を確保する上で好ましい。